公示

会員各位

社団法人 福岡市薬剤師会
会長 三津家正友

会長、副会長及び監事選挙並びに
候補者届け出の受付に関する公示

(1) 候補者の資格は、平成6年2月24日までに、本会への正式入会手続きを完了している正会員にかぎります。

(2) 届け出の受付機関は、平成6年2月24日から3月24日正午までとし、市薬会館事務室で受け付けます。但し土曜日は正午までとし、日曜日を除きます。

(3) 届け出の締切日時は、平成6年3月23日正午までとします。締切日時後の届け出は受け付けられません。郵送による届け出は、受け付けられませんので、直接市薬までご持参下さい。

(4) 立候補届出書(又は候補者推薦届出書と承諾書)をはじめ、必ず添付しなければならない書類の様式は全て規定されております。届け出関係書類一式は市薬に準備しています。

(5) 市薬ジャーナル1993年9月号(No.55号)に、選挙に関する関係規定を掲載しておりますので御覧ください。


お問い合わせは市薬へお願いします。

以上

平成6年度 選挙管理委員

東区・加藤正剛、博多区・蔵元良行、中央区・平島久義、早良区・糸岐良次、城南区・松島願事、西区・吉田斌、南区・戸田昭洋

■ 巻 頭 言
かかりつけ薬局の育成と会営薬局の意義 福岡市薬剤師会 会長 三津家正友

「冬来たりなば春遠からじ」という言葉があるが、平成不況は未だに出口が見えない。その中での年明けとなった1994年。世相は政治も経済も波乱含みである。いずれにしても世は物・金の高度成長期から、ソフト充実の時代へと移ってきた。

薬剤師職能についても、市薬の組織運営においてもまたしかり。ソフト面、つまり内容の充実を問われるのが本年の課題であり、このことに組織を挙げて取り組まなければならない。その日的はただ一つ、「かかりつけ薬局」の育成にある。そして、地域住民に対して啓発が必要であり、結果として認知されなければならない。このことを無くしては、調剤を主とする薬局も、OTCを主とする薬局も今後は生き残れない。

いうまでもないことであるが、「かかりつけ薬局」とは患者に投与される薬剤を総合的に管理する薬局のことであり、このためには医療に参加しなければできない。当然の帰結として、第三の医療といわれる在宅医療にも参加しなければならなくなる。昨年通達された「薬局業務運営ガイドライン」は、結局ここまで行きつくことになり、今後、その締め付けは一段と厳しくなることを覚悟すべきだ。

さて、市薬の懸案事項であった「会営薬局」が来たる3月には完成する運びとなり、4月から「福岡市薬剤師会薬局」という名称のもとに運営することになった。まずは会員諸兄と関係諸団体、諸機関に感謝申し上げたい。

運営内容は、国立福岡中央病院の処方せん応需、備蓄と研修による分業支援、在宅ケア支援、休日夜間調剤、OTCモデル薬局となっていて一大事業である。今後とも会員諸兄のご理解とご協力がなければ運営は不可能となるので、経費の面を含めて積極的なご支援をお願いしたい。

スタートするに当り是非申し上げておきたいことは、目薬の方針、厚生省の考えにもあるように、門前薬局は規制または排除の方向に進んでいる。従って当薬局も早晩門前薬局の機能を縮小または廃止することを考えておかなければならない。そうでなければ、「かかりつけ薬局」の育成とは逆行することになるからである。そのとき残る機能は、主として在宅ケア支援センターである。

県薬会報1月号で、田中慶司県保健環境部長は「医薬品の備蓄や休日夜間時の調剤を主とする医薬分業支援センターの設置について補助を行った」と述べている。

これが行政の認識であり、休日夜間の機能も充実させなければならない。そしてこの機能もまた在宅ケア支援事業につながり、ひいては「かかりつけ薬局」の支援に寄与する。

会営薬局の建設については、議論百出、異論もあったが、薬局を取り巻く環境が激変する中にあって、ここに述べたように今後の市薬事業の有益な拠点となることを信じている。

最後に、本年は役員改選の年である。会営薬局の建設に尽力していただいた現役員諸鬼に感謝申し上げるとともに、次期執行部で運営される会営業局には、若い世代の意見を取り入れ、有意義な運営がなされるよう希望してごあいさつと致したい。

<私と薬> 健康増進ブームにのって 福岡市教育委員会保健体育課長 課長 福薗洲雄

薬剤師の先生方は既にご存知だとは思いますが、保健体育謀の仕事について御紹介させていただきたいと思います。

保健体育謀は「学校保健法」に基づき、児童生徒及び教職員の健康の保持増進、環境衛生検査、安全点検等により、学校教育の円滑な実施とその成果の確保を図るための業務をいたしておりまして、学校環境衛生を確保するため学校薬剤師の先生方を各学校に配置し、教室の換気、採光、照明、飲料水、学校プールの管理、保健室の医薬品等について専門的見地から学校の指導に従事していただいております。今後ともご協力、ご鞭樽のほどをよろしくお願いいたします。

さて、現在のわが国は、まさに健康ブーム、健康増進ブームと言えるのではないでしょうか。室内ランニングマシンから始まった家庭用健康増進機器。その後、ぶら下がり機器や、背伸ばし座椅子などいろいろな健康器具の普及、水泳教室やアスレチッククラブの繁栄。また、自然食や無農薬野菜への関心の高まりにみられるような健康食品に対する関心、そして健康作りに関する書籍等の氾濫は、まさに健康ということがブームになっております。このようなブームを引き起こした背景には、環境衛生の改善や公衆衛生活動の推進によって、細菌やウイルスなどを原因とした感染症による死亡が減少し、それらに代わって、悪性新生物や心疾患、脳血管疾患等いわゆる成人病による死亡が上位を占めるようになったこと、また、高血圧、動脈硬化、肥満こ糖尿病、など本人の日常の食生活や飲酒、喫煙などの晴好に関する問題、運動量の減少、等によって経過の長い疾病や半健康状態の人たちが増加していることがそれらの理由として考えられます。

私は、学生時代から軟式庭球をやってきました。ここ数年は毎日曜日には昼から夕方まで白球をおっています。同じクラブに93才の男性がおられて、ラケットを持ってコートに立つのが唯一の楽しみだと言っておられます。この人の自慢であり、また長生きの秘訣は、「私は45才から酒もタバコもやめました」ということです。我々凡人は、汗をかいたあとのビールを飲むためにテニスをしているわけで、この人のまねは出来ませんし、また、しようとも思いませんので、長生きは出来ないでしょうが、以前から健康食品には興味があり、健康雑誌に載っているものを読むとつい試したくなってしまいます。

初めは、おふくろが酢大豆を送ってくれたので、それを食べていましたが、ある時、人から大豆を蒸したのがよいと聞き、圧力釜を買って蒸して昼食の弁当にも持っていき、みんなから笑われながらも1年ぐらい続いたでしょうか。また、ドクダミがよいと本で読んで池で揚げたり、はては生で食べたり。これもいつのまにか(ドクダミの花が咲き終わる頃)忘れてしまった。次はネズミモチ、ヒシ茶、それからりんご酢、蜂蜜を薄めてこれにりんご酢を少したらして飲む。これは最近始めたのでまだ続いている。

いま、取り立てて健康に問題があるわけではありませんが、成人病の年齢になると、中年ぶとりや、健康診断で再検査の指示を受けたりしており、何となく健康に自信がなくなってきて、娘に笑われながらも(妻は、全面協力)、いろいろ挑戦しておるところです。

酒も、タバコも飲みながら長生きする方法はないでしょうか。

<会員の広場> 100年史編纂にあたって 県薬100年史編纂委員会 副委員長 藤野義彦

荒巻会長の下、県薬100年史発刊が発意され、荒巻会長・古賀副会長・木村専務・倉田・神谷・藤野によって発起人会が催されたのが平成2年10月であった。

全国的に同種の他県100年史発刊が盛んである。今なぜ100年史かというと、今まとめておかないと忘却のかなたにとんでいってしまう。過去歩んで来た歴史を忠実に綴ってこそ、県薬会員が目的意識を持ち、薬剤師職能をもって現在に生き、次代へ渡すためにも歴史を知る必要がある。過去を知り現在に生きるために己を知る。これは個人も会も同じであり、方向性のない行為は埋没してしまうからである。

平成2年11月1日、100年史編纂委員会がもたれ、次のような委員が任命される。

 委 員 長 神谷武彦
 副委員長 藤野義彦・金枝正巳
 委  員 荒巻善之助・梶原敬史・古賀隆・木村英樹・倉田憲次・末宗成二
      住吉邦昭・中尾泰史・藤原良春

(1) 会長、副会長、専務によって委員会の方向づけ(予算、印刷会社の選定、出版冊数、発刊の時期)をする。
(2) 100年史の内容については委員会に一任する。

以上のような、大綱の確認がなされた。目薬80年史、長野県薬史、岩手県薬史、富山県薬史、岡山県薬史、久留米薬剤師全史、福岡県医師全史その他多数の資料を参考にしながら、今は亡き神谷先生と2人して、原案作成を急ぎ出来上がった神谷私案を叩きだいとして、100年史の概要がまとまり、それぞれの分野の 責任分担が決定したのが平成3年1月30日であった。

以後全体委員会8回、小委員会(神谷・藤野・金枝)46回。神谷と藤野は毎週月曜日と木曜日の午後より出動。その間資料の収集に全力をあげつつ平成3年6月13日、須原勇助・尾崎松夫・鶴原正戒の各先生と荒巻・古賀・神谷・藤野が出席して長い間役員を勤められた長老の回顧録を聞き、特に鶴原先生の資料は大変役に立ち、原案租稿を脱稿しトッパン印刷に手渡したのが平成5年4月、1稿の校正を7月に終り、2稿を9月30日、3稿を10月30日、4稿を11月16日に終了した。

年表を調べると、

福岡県薬剤師会は明治22年12月に結成され会則が作られている。翌明治23年3月福岡薬学校第1回卒業式が行われ、以後大正期まで活躍される。徳島峯太郎・白水象次郎氏外15名が輩出されている。一番早く薬剤師会を発足させたのは明治13年3月の大阪薬剤師会であり、明治20年、東京・広島、明治22年には愛知・防長(山口)・静岡・岡山・讃岐(香川)・京都・福岡となり、以後明治27年までに多くの薬剤師会が全国的に結成をみせている。

薬局の開設は明治5年8月に資生堂生みの親、福原有信によって東京新橋に洋式薬局が開設された。時代は新橋横浜問の鉄道が開通し、福沢諭吉が「学問のすすめ」を発表した時代である。

明治19年6月、収載薬品数470巻末に製剤通則・試薬・規定液・常備薬など6表を付した。日本薬局法が制定公布され、以来現在まで10版を数える。

明治30年末の全国調査によると、医師42,377人に対し薬剤師3,112人という状況であった。

薬剤師の誕生は明治22年3月法律第10号を以て薬品営業並薬品取扱規則が公布され、1年後の明治23年3月から施行されている。この法律によって初めて薬剤師という名称が定められ、従来の正規免許薬舗主が薬剤師に切り替えられた。新法の焦点は第9条で「薬剤師に非ざれば薬局を開設する事を得ず」によって医師の処方せんにより調剤し得るものは薬剤師以外にないという医制以来の医薬分業が打ち立てられている。にもかかわらず、付則第43条で「医師は自ら診療する患者の処方せんに限り薬剤を調合し販売授与する事を得」の条項によって医薬分業制度は形骸化されてしまった。

以後薬剤師・薬剤師全は、当時の会議・講演などをみると稚新政府気鋭の構想とみられた明治7年8月医制の施行いらい、先輩達の苦難と失望と忍耐の累積ばかりであったことを痛感する。特に江戸期における売薬の隆盛は明治以後の薬剤師の職能の在り方に大きな問題をあたえている。

明治中期以後の薬剤師はともすれば調剤という天職を追求するあまり、医薬分業以外に薬剤師の職能はないという短絡的な感性にはしりすぎるキライもあり、真の薬剤師としての理論武装を問わなかったことは反省すべきことであったと思う。

現在の薬剤師は分業の進展に合わせて、堀岡先生のいう「調剤とは、医薬品情報を薬剤服用歴をベースに患者に投薬される薬剤を総合的に管理し処方監査・服薬指導等を更に充実させる調剤と定義されている」これを銘記しなければならない。

100年史は平成6年2月1日発刊となりその内容は別表の通りです。利用させていただいた文献、資料などの引用本は100年史の巻末に記載されておりますが、特に九州薬事新報・薬剤誌など最大の寄与をしてくれた。また歴代会長の御家族の協力、その他原稿写真などを投稿して下さった柴田伊津郎・奥村陸平・阿部定吉各先生はじめ多くの方々に特に感謝をします。

100年史が九分九厘出来上がって急逝された神谷武彦先生を悼むと共にそのあとがきが最後の筆となっております。神谷先生を中心として出来上がった汗と3年間の結晶である100年史をよろしく熟読して下さい。

(福岡市薬剤師会顧問)

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目    次

発刊にあたって
    福岡県薬剤師会々長 荒巻善之助

お祝いのことば
    福岡県知事      奥田八二
    日本薬剤師会々長  高木敬次郎

序 章
  ※ 近世ヨーロッパ薬学、薬業の周辺
  ※ 日本江戸期の医療、薬業の周辺
  ※ 明治維新(1868年)前後の薬業
     洋薬の台頭と維新政府の医薬制度
     クスリをめぐる法律
     薬局と薬剤師
     薬剤師の誕生と薬学教育

第1編 福岡県薬剤師会の歩みと事績
    明治22年(1889)〜明治45年(1912)
    大正2年(1913)〜昭和20年(1945)

第2編 戦後薬剤師職能創成期
         (昭和35年まで)

  はじめに
  第1章 終戦直後の日本薬剤師会
  第2章 薬学教育の見直しと県内薬科大学の新設
  第3章 G.H.Qの勧告
  第4章 薬剤師全組織の見直しと強化
  第5章 新薬事法の成立
  第6章 覚醒剤の乱用と規制
  第7章 戦後の薬学界
  第8章 戦後の新薬、その浮き沈み
  第9章 九州山口薬学大会の再出発
  第10章 医薬分業法の成立
  第11章 薬剤師職能アピールの轍文・論文

第3編 国民皆保険下、薬剤師職能基盤確立の時代

  はじめに
  第1章 公害、薬禍と行政対応
  第2章 消費者保護基本法
  第3章 医薬品副作用救済基金法と薬剤師賠償責任保険制度
  第4章 薬事審議会とその周辺
  第5章 薬事法関係事犯について
  第6章 医療制度の改正と対応
      (保険医療と薬剤師会)
  第7章 地方医療協議会と五者協議会
  第8章 福岡県における三師協調
  第9章 保険調剤報酬請求の予備審査と手数料賦課
  第10章 保険薬局ローン
  第11章 支部組織の強化
  第12章 事務局の拡充
  第13章 センター構想と県薬の対応
  第14章 北九州生活科学センターの失敗
  第15章 厚生大臣への陳情
  第16章 県議会質問
  第17章 医薬分業推進モデル地区事業
  第18章 医薬分業とその周辺
      (大学、卸、マスコミ等)
  第19章 昭和62年厚生科学研究の受託
      (地域医療における医薬情報センター機能に関わる調査研究)
  第21章 県薬の広報活動
  第22章 歴代会長の巻頭言
  第23章 九州薬事新報始末記
  第24章 100年史編纂にいたる経緯

第4編 職能団体としてのあゆみ

  第1章 医薬分業の推進
  第2章 医薬品情報システムの確立
  第3章 公衆衛生活動
  第4章 学校薬剤師の歴史と現況
  第5章 薬剤師の政治活動
  第6章 薬剤師国民健康保険組合のあゆみ
  第7章 県薬剤師会会館の建設
  第8章 九州山口薬剤師会の沿革
  第9章 試験センター業務の発足
  第10章 薬剤師の研修
  第11章 九州山口薬学会

第5編 関係団体

  第1章 福岡県病院薬剤師会
  第2章 福岡県薬業団体連合会
  第3章 福岡県医薬品小売商業組合
  第4章 福岡県行政薬剤師会
  第5章 福岡県女子薬剤師会

第6編 年譜

第7編 資料

  1.会及び会員の栄誉
  2.社団法人 福岡県薬剤師会定款
  3.福岡県薬剤師連盟規約
  4.福岡県薬剤師国民健康保険組合規約
  5.歴代の正副会長
  6.調剤報酬の変遷
  7.処方せん受付状況の推移
  8.地区薬剤師会
  9.会員と予算の推移

あとがき

<会員の広場> 南区シニア・フェスタ93” 南支部 大橋部会 (有)スエタ薬局 末田順子

南区老人会主催の高齢者の健康フェスティバル「ふれあいフェスタ93つで、高齢者向けの薬の話しをという南福祉事務所の依頼を受けた。毎日、お年の方々に接して、何かと世間ばなしに余念のない私としては、いつも一対一で話していることを、たくさんの方にも話してあげたいという思いで、その依頼を引き受けた。前年度のシニア・フェスタではファッションショーとか漫才などのバラエティーショー等とても楽しいものだったらしく「薬の正しい飲み方」などと硬い話しでは、入場者は少ないのではと心配だった。皆さんに配布する資料を作ったり、県薬に頼んで「読むクスリ」とか「福岡県の薬草」、在宅ケアに関するパンフレットを用意した。また、メーカーに沐浴剤800個そろえていただいた。

当日、スライド等の準備のため、11時半ごろ南市民センターの文化ホールに出かけた。前日は夜半より、みぞれまじりの雨が降り当日は寒い日になってしまったけれど、午後1時開演というのに、すでに50人ぐらいの方が席に座っていらっしゃって驚いた。ホールではイベントを依頼されたプロデューサーとアナウンサーの方が、繰り返し練習なさっている。ここまで盛大なフェスティバルなのかと少し戸惑いつつ、プロデューサーの方とスライドの打ち合わせをする。控え室で、南区の区長さんや老人会の会長さんを紹介されいろいろ雑談する。

いよいよ、午後1時開幕、司会者の女性アナウンサーのはりつめた声が会場を盛り上げる。老人会の会長さんの挨拶、区長の挨拶が続く。福祉課の松尾課長が、「先生、次ですよ。深呼吸、深呼吸」と声をかける。椴帳がするすると上がる中、演台に進む。この寒い中、800の席が完全に埋まっている。折角来てくださった方々に、少しでも記憶に残る話しをと思いつつ、ゆっくりと、はっきりと話し出す。

 話しの内容としては

 1.高齢者における多科受診
 2.高齢者が服薬に際して特に気をつけなければならない薬剤
 3.薬歴簿
 4.医薬分業
 5.高齢者における薬の正しい飲み方

楽しい話しも入れたいと思い「福岡県の薬草」の中から、薬草のはなしを少しした。私は山登りが好きで、その折に、撮り集めたスライドを中心に、話しをすすめたけれど、トリカブト、ハシリドコロ、ゲンノショウコ等はとても興味をもって聞いていただけた。この盛況ぶりは、続いて催された県警のブラスバンドや武田イクさんによるものと感謝しつつ、予定を10分もオーバーして話し終えた。顔見知りのおじいちゃん、おばあちゃんの顔もかなりあり、熱心に聞いていただいてとても嬉しかった。控え室に戻ると武田イクさんが(武田鉄矢さんの母上)丁度待っていらっしゃっていろいろと話しをしたがとても気さくないい方だった。講演では幼少からの泥の中を這いずり回るような苦労ばなしを淡々と語られ、またユーモアをまじえての鉄矢さんの話しは会場を爆笑の渦に巻き込んだ。ブラスバンドも懐かしのメロディーからクリスマスソングまでとても軽快な曲が流れお年より達も楽しんでいらっしゃった。これからの高齢化社会に向けて、老人が心安らかに、気持ち良く生活していくにはいかにすれば良いかなどと、いろいろと考えさせられた一日であった。

余談になるが、私が講演する資料の中に、在宅ケアに関する項目をいれていた。現在、市薬サイドでもプロジェクトチームをつくり、乗り出そうとしていることなので、少し触れておこうと思ったのだけれど、前日に保健所の方と保健婦さんがみえてクレームがつき、薬剤師側の立ち遅れをしみじみと感じた。11月の目薬学術大会で発表された若松方式などを紹介する予定だったけれど、時期、尚早の感じがした。これからどのような方向に進めていくか、我々の肩にかかってくることだけれど、県薬会報12月号の清水貞知氏のような考え方も一理ある。地域の老人の方々のことを思い自分のできる範囲内でのボランティア精神から始めるしかない。いずれ我々も、はいっていかなければならないその世代に、今、何か光を射しこんでおかねばならないと思っている。

<会員の広場> 好好香港 仲原病院 吉田和子

何のきっかけで好きになったのかよくわからないが、気づいてみれば5回めの香港。1つの街で大した目的もなく何度も行った所は他にないのでやっぱり何か魅力があるのだろう。昨年の11月20日から3泊4日、忙しい月曜日にお休みを取って6人で出かけていった。そのメンバーは、まず夫婦とも内科医のO先生夫妻、香港は初めてというSさんとTさん、学生時代から私の友人のH美ちゃん。こんな3組の共通の目的は「食」。もちろん女性はショッビングも楽しみだけれど、それが主なら夏と冬のバーゲンシーズンを狙った方がお得。秋の香港は何といっても上海ガニ!にわかグルメの私は1月に行った時も注文し、「12月までしかなかバイ」と断られた苦い経験を持つ。最近は乱獲がたたって値が上がってきたという。デパートの食品売場でも見かけたが一匹200〜300香港ドルだった。路面電車がどこまで乗っても1香港ドルであることを考えるとこれは超高級品であると思う。

ということで第一日めの夕食はさっそく「大上海飯店」に行き、トロリとしたカニミソに舌鼓をうった。上海ガ二は甲羅の中身が主で爪や足は小さいが、身はしっかり詰っているので、一心不乱に食べてしまう。手がベトベトになろうと、テーブルに殻が飛び散ろうとおかまいなしに食べていいのが中華料理のありがたいところ。カニを食べ終わる頃合を見計らってお茶のはいったフィンガーボールを出してくれるが、これで手を洗うと生臭さがさっぱりととれてしまう。またしょうが湯(のようなもの)も出てきて、口の中の生臭さを洗い流してくれるだけでなく、カニを「冷」ショウガを「温」とし、冷温組み合わせて摂るという考え方からきているとか‥・医食同源といわれる中華料理らしい。このレストランは名前からもわかるように上海料理の店だが、北京鴨もなかなかおいしい。こんがりとアメ色に焼かれた北京鴨がワゴンに乗って運ばれてくると思わずゴクリとツバをのむ。ヨダレを垂らさんばかりの私たちを前にコックさんは「いま切っちゃあけん、ちいっと待ちんしゃい」とばかりに、鮮やかなナイフさばきで皮だけをそぎ切ってお皿に並べてくれる。「好食!(おししい)」他にも白灼蝦(ゆでエビ)、楊春麺(具のないラーメンのようなもの)、韮黄炒肉絲(黄ニラと牛肉の炒めもの。楊春麺にのせて食べる)等を食べたが、お腹いっぱいになって名物の小龍飽を食べられなかったのは残念だった。白灼蝦は皆なの大好物で、新鮮なエビをゆでただけの料理だけど、これがまたおいしい。2日めの夕食の鯉魚門では言うまでもなく、3日めの潮州料理のレストランでもフカヒレスープと共にゆでエビを食べまくった6人であった。

さて今回の旅行での「食」に次ぐ楽しみは「オーダーメイド」である。日本よりかなり安いし、たいていは滞在中に受け取れるのも魅力。私は前回同様シェラトンホテルの3Fにあるテーラーでジャケットを誂え、H美ちゃんはスーツを注文していた。SさんとTさんの2人は同じフロアにある印鑑のお店で自分用とおみやげ用のハンコをオーダーしていた。またオーダーメイドのおそろいの靴とバッグを持つのもいいと思う。今回私は作らなかったけれど、他の人たちが作るというのでお店を2、3軒まわってみた。結局ガイドブックでもおなじみの店にしたが、4日めの朝ホテルに届けられた品物は良い出来であった。

夜になると露店がひしめき合って並ぶ通称女人街をブラブラし、目もくらむような下着に赤面し、アクセサリー屋で値引き交渉に夢中になったりもした。最後の夜はビクトリアピークに登り、百万ドルの夜景(古い表現?)に見入り、「あー、近いうちにまた来たいなァ」とタメ息をついた。うれしいことにSさんやTさんも香港を気に入ってくれ、「ぜひまた来たい」と言ってくれた。香港を訪れる度にこのエネルギッシュな街は私に「活」を与えてくれるような気がする。

今年の秋も絶対絶対香港で上海ガ二を食べるゾ!!

<会員の広場> 在宅医療への係わりについて 早良支部 藤崎部会 浦上薬局 浦上光子

在宅介護に、薬剤師がどうかかわっていけばよいか、まだ、はっきりわかりませんが、私なりに、一薬局としての考えを述べたいと今回、ペンをとらせていただくことになりました。

最近、私どもの薬局に、福祉課でいただいた「高齢者在宅介護サービスの本」を、置いておりましたところ、何人もの患者さんから「いただけませんか」と、頼まれました。あまりにも反響が大きくて驚き、患者さんが在宅介護について、ご存じないこと、関心があることを合わせて知りました。介護していらっしゃる人達は、それぞれ工夫し、手さぐりで、全力をあげていらっしゃると思います。行政も日々進歩し、いろいろ工夫されているのでしょうが、行政と介護者がつながっていないことが、「高齢者在宅介護サービス」の本、一冊で垣間見た様な気がいたしました。この橋渡し的な存在に薬局はなれるのではないかと思います。そして、長い間、OTCの薬局が、地域に貢献してきた集約であり、今、新しい形で地域社会に貢献する出発の時であると思います。

在宅介護の場には、患者さん、介護者、治療する医師、介護及び治療を助ける看護婦、保健婦、薬に関するエキスパートの薬剤師がいると思います。そして、治療のいろいろな準備をすることができるのも薬剤師かもしれません。

例えば、一家に在宅介護が必要な人が出た場合、病院に入院していたときのように設備や介護用品、介護の知識も何も準備できていない場所で介護しなければなりません。すなわち、家庭という病院に患者さんは入院しなければならないのです。そこには、器具を消毒するにも、鍋しかない場所なのです。

しかし、患者さんにとっては、家庭であれ、病院であれ、同程度の医療を受けられることが、必要な条件です。

各薬局ですぐできる在宅医療のプライマリー業務としては、訪問服薬指導、薬歴管理、医薬品の保管管理と廃棄、衛生管理(特に寝室など)などはもと皐り、介護用品についての相談も考えられます。特に希望されている、簡単な滅菌消毒剤と滅菌ガーゼ(市販の物では量が少なく、値段が高いとの声です。)の用意をすることが出来ると思います。

又、高度医療の中には、無菌室内のクリーンベンチでの輸液の調整をする、高カロリー輸液で高張ブドウ糖液、アミノ酸液、電解質液の調整、中心静脈栄養療法、在宅酸素療法、経腸栄養剤、自己導尿療法、人工呼吸療法、自己注射療法、腹膜産流療法等に必要な医療器具の管理、保存、指導をすることなど多岐にわたると思います。

将来は院内の薬局が市中に出てきたかのように、活動できたら良いのではないでしょうか。

しかしながら、高度医療を除いても、在宅看護の用意を一薬局で準備するのは、不可能でしょう。従って、郵便局の数より多く、各商店街に位置し、地域住民と密着して医療、保健、福祉についての情報を市民に伝えやすいという特徴をもっている薬局が、薬剤師会を頂点とする薬局の組織を形成して対処していかねばならないのではないでしょうか。

先日、在宅介護の講演会に参加させていただきました際に、民生局の先生は、在宅介護をどう広めるべきか、また、医師会の先生は、薬局がどのように活動しているのかわからないと、話していらっしゃいました。

最後に、患者さんの持っている問題を解決するために、患者さんの立場に立って、医師、看護婦、保健婦、薬剤師のそれぞれの専門知識を役立てる努力が出来ればと思います。

<会員の広場> 5日間の台湾旅行(2) 城南支部 別府部会 サカタ薬局 坂田博子

海外旅行で言葉が通じ自由に話せたら、どんなにか嬉しいことだろうと患う。

ところが、全く台湾語も中国語も知らない。 そこで、片言の挨拶ぐらいはと、俄か生徒と なり、中野先生に教えて頂いた。先生は大学 卒業後、1年半ほど台湾にて漢方の勉強をされ たそうで、台湾は先生にとって言わば第2の故 郷である。ご夫妻とも台湾も、台湾語も詳しい。

 「謝々」ありがとう。
 「祢好」こんにちは
 「聯里、聯里」どういたしまして
 「洗手間在邸里?」トイレはどこですか?
 「早安」おはようございます。

8月19日(2日目)朝7時、「早安」と挨拶して初めての朝食を囲んだ。昨晩の夕食と同じ卓につく。日暮の山の湖とは一変して今朝の日月澤はキラキラと太陽の光を受けて眩しい。旅のはやる心を一層かきたてる。もうじっとしてはいられない。跳び出すように、大飯店(ホテル)からバスに乗り込んだ。

先ず、すぐ近くの文武廟に向かう。孔子、関羽、岳飛とその弟子達を祭ってある所。目のさめるような朱塗りの壁、灰色の石彫りの柱、そして朱の屋根とコントラストが強烈で目を奪う。彫り物の竜や獅子は今にも飛び出しそうな迫力でしっかりと廟を守っている。門をバックに写真を撮る。台湾に来たんだという想いに浸る。

ところが、旅行中、この様な寺廟にバスを降りて何度も案内されたのだが、今、思い浮かべてみると誰が祭られてあったのか、ごちゃまぜになってしまって記憶が定かでなくなっている。恥ずかしい話だけれど、それほど台湾には寺廟が多いということだろうと思う。お供え物や線香の香り、熱心に祈る人、どこででも見かけた。そして街の中、片田舎と問わず、立派な構えの寺廟をバスの中からいくつ見送ったろう。数えきれない。信仰心も厚く、祈りは生活の中で切り離せない大事なものだろう。素晴らしい寺廟を見て、この国の人々にとってそれがどれほど大切な存在かわかるような気がした。

再びバスに乗る。ガイドさんが1人1人に果物、龍眼肉を配って廻る。見た目はレイシ、味はナタデココのようなさっぱりとツルンとして美味しい。口にほおばったら、あとで大きなじゅず玉のような種がでてきた。ここで食べれば何でも珍しく美味しい。

中野先生や越智さんのカラオケが流れる。うまいなあと思いつつ、バスは南へ走る。

午後、高雄、澄活湖に着く。丁度、眠たいお昼寝の頃、ポォーっとしたまま人の後からバスを降りる。文乃ちゃんと橋口先生も眠たそう。眠けざましにハッカ油を買い、ソフトクリームを食べた。ますます皆に遅れ、湖の橋の上、走って追いつこうとするけれど、なかなか追いつけない。ジグザグ、ジグザグ。九曲橋といい、直進しかできない悪魔よけにジグザグ状につくられたそうだ。追いつけないはずだ。この湖は、中国の西湖に模してつくられ、又これを模して大濠公園ができたという。湖に沿って歩いていると犬の散歩とすれ違った。ここも憩いの場所で、家族連れやカップルで休日は賑わうのだろう。

「夜、高雄では、何といっても夜店です」と中野先生。バスでの昼寝が幸いして、体力充分、気力も充分、先生を先頭にして、夜店に6名全員で出かけた。

道の両側、びっしりと露店がでて、人とバイクの多いこと。色とりどりのフルーツあり、アクセサリーあり、衣料品、魚、肉、豚の脳、カエル、ゲーム屋、お粥屋、ペット、何でも揃いそうです。焼鳥屋の香ばしい香りとジュージュー焼く音、売る人、買う人、見る人、食ベる人、活気があふれている。ボーッと見とれているとバイクにはねられてしまいそうになる。見てるだけでなく参加しなくちゃ楽しくないよといわれそう。「?仔」という屋台のメニューが気にかかる。何がはいっているのか?カエルや豚の脳を今見たばかりの目には空想が広がっていく。

薬局を見つけた。モダンなウインドウを見て驚いた。日本の医薬品がきれいに飾られている。台湾の薬にあこがれてきたのに。あべこべだ。きれいな調剤室もあって、明るい。「薬局」「薬房」「薬舗」と台湾でも別れているのは日本と同じようだ。

昼、立ち寄った「薬舗」では老舗らしい店構えで「不老丸」「人参大桶丸」と大きなビラが貼ってあった。台湾らしい雰囲気の薬品がある。もっと見たいと中に入ると、店の人が近寄って来る。何か、何かと咄嗟に「羅漢果枇杞膏糖」枇杞入りののど飴を買った。ケースの上で丸いお腹の布袋様が笑っていた。

夜も遅くなり文乃ちゃんのまぶたも重たそう。お母さんの背中におんぶされて眠り出した。買い物もできたし、十分に楽しんだ。今日はおしまいと、ホテルへ帰る。

<会員の広場> 支部研修会のこと 城南支部 七隈部会 ライオン薬局 小林智

平成6年を迎え、2年に1度の調剤報酬改定が4月に実施されます。この時期になると、将来薬局はどうなるのか?と暗い気持ちになります。最近は医療費伸び率抑制のなかでの調剤報酬改定、分業による総医療費の抑制、PL制度導入、在宅介護、再販制度の見直し、異業種参入、24時間体制等、薬局を取り巻く環境は厳しいことばかりと、考えさせられます。我が薬局の将来像を乏しい知恵をめぐらせば、以前より言われている「地域に密着したかかりつけ薬局」これ以外ないと再認識させられます。

認識しても、何をどうすれば良いか?これが解らない……。

そんな中、今回で3回目の城南支部研修会。

初めは、県薬、市薬、広域病院等の研修会が多い中、支部という一部地域で行う研修会の意味があるのだろうか?参加者が集まらず、講師に失礼しないだろうか?と心配しながら参加しました。

第一回 平成4年12月16日 前立腺肥大症 角田先生 23名
第二回 平成5年4月15日 老人性白内症 広瀬先生 23名
第三回 平成5年12月3日 エイズと漢方 宮本先生 38名

多くの熱心な先生方が参加されていました。

講師は、城南区内で開業あるいは勤務されている医師です。私同様、講演された先生の所へ通院している患者の釆局を経験された方も多いと思います。今後、患者が近隣の複数の医療機関を受診し投薬を受けるケースはますます増加し、かかりつけ薬局としての仕事を果たすためには、近隣の病・医院との協力は不可欠です。

名前と所在地は知っていても面識ない近くの医師の講演を傾聴することにより、治療法、考え方を知ること、また薬剤師会の活動の一部を知ってもらうことは、意義あることです。

世話役の先生は大変でしょうが、できるだけ出席しますので長く続けて下さい。

<会員の広場> ドイツ 原理原則 欧米薬局レポート その7 博多支部 千代吉塚部会 荒巻薬局 荒巻滋

4−7

4月14日、ドイツ最後の朝だ。昨夜のアルコールがいくぶん残っており、残念ながらさわやかな朝とはいかない。ホテルを出てドイツでも指折りの薬局Strummel PetcrApothekeにむかう。目的の薬局はフランクフルトの数ある名所の一つゲーテハウスから徒歩数分の所にある。(4−7−A,B)

1日受付処方せん枚数約1,000枚、医薬品在庫数約18,000アイテム、ただしヨーロッパでは通常同じ医薬品でも包装の規格が違っていれば1アイテムに数えられる。ホメオパシーも多数在庫されている。総面積は約150坪、と言っても当然の事ながら相当部分は客の目の 届かぬところに使われている。

この薬局には5人の薬剤師と19人のスタッフ計24名が働いている。ドイツの教育制度は2年して国家試験、さらに2年して国家試験、さらに1年の後3度目の国家試験を受け、その合格者にはなんと恐怖の口頭試問が待ちうけている。その間に薬局実習がもりこまれており、ここにいる19名のスタッフのうち数人はおそらく実習生であろう。

店頭には薬局のオーナー達が知恵を出し合って作ったものと思われる顧客向け情報誌が沢山おいてある。子供用も置いてありそれを楽しみに毎月釆局する小学生もいるそうだ。私が日本に持ち帰ったものには酸性雨による森の破壊について記されている。またベーター薬局オリジナルのものもあり、実に20数ページにおよんでいる。日本の薬局でよく見られる販売促進のためのものではなくあくまでも啓蒙を目的とした情報誌である。

薬局名のストロメルベーターとは1845年にフランクフルトの精神科医パインリヒーホフマンにより著された童話集の名だ。親が子に買い与える事が多く、ドイツ人なら幼少の頃だれもが一度は手にする本で、絵本の内容が頭にやきついてしまっている人も非常に多いらしい。かなりどぎついブラックユーモアで子供達への戒めを説いているのがこの本だが、このストロメルベーター薬局もさまざまな啓蒙活動により現代人への戒めを説きつづけている。

薬局奥の通路に沿って製剤室・DI室・試験室・ストックルーム・休憩室などがある。(4−7−C)

通路を通り抜けると地下の商店街とつながっており、ここにもう一つの店舗がある。(4−7−D)地上の店舗と地下街の店舗を通路でつなぎ、その通路の両脇にいろんな設備を備えていると言ったところだろうか。

薬局での製剤は、処方せんにもとづき、局方品を用いて行われる限り、一定の販売量をこえなければ、処方内容も自由に決めることができる。販売量がある一定量を越えた場合は、安全性確保のため製造業の許可を取らねばならない。

試験室にはハイデルベルグのヒルシュ薬局同様に沢山の試験設備が並べられている。その設備基準は近年ますます厳しくなる傾向にあるそうだ。ドイツはつい最近まで東西に分裂し事実上戦争状態であったわけである。そのようななかでも良質な医薬品を安定供給するためには、製剤技術や試験技術を温存する必要がある。その名残ではなかろうか。

3週間に1度休日当番が回ってくるので、立派な休憩室がそなえてある。夜勤の時に使う他、静脈癌予防用ストッキングの試着などにも用いられている。

ここでは血圧測定や血液検査・尿検査なども行われているが、すべてマージンなしで行い、データは客に渡した後は廃棄してしまい一切後に残さない。あくまで薬局の立場として行っているわけだ。

DIの部屋にはコンピューターが備え付けられ、それを用い2週間に1度、世界的規模での情報交換を行っているそうである。「薬剤師とは基本的には商人であり職人であり科学者でありそして時には医療人でもある」とドイツの薬剤師は言っていたが、ここにきて職人と科学者の順番が入れ替わったようだ。時代は我々に、技術集積型から情報集約型へと発想の転換を求めているのだろう。

一般にドイツ人は理念を重んじ原理原則を大切にする。方法論一偏例の我々日本人とは対照的である。枝葉末節の話しを好まず、限られた時間内での質疑応答には非常な困難をともなう。これは「我々は科学で世界を制覇したが日本は規格大童生産で世界を制覇した」と言うドイツ人の弁にもよくあらわれている。

世界に冠たる科学の国ドイツ。そこでは薬剤師も薬局も世界一なのだという自信とプライドに満ちていた。いずれの薬局も、その昔薬剤師国家試験に“芸術”の科目が設けられていた国だけあって、とても格調高く、美しく、決して私達を失望させることはなかった。それにしてもドイツの薬剤師は大変だろう。とても私にはつとまりそうにない。

4−8

ベーター薬局での見学を終え、ドイツでも有数の問屋シュルツへ向かう。

85,000アイテムの在庫をもちながら実際にはそのうち3,000アイテムのみで全売上げの80%を上げている。くわえて、全受注のうち60%が単品発注である。注文を受けると配送の準備をするのに30分プラス得意先までの草での所要時間のみで薬を届けてくれる。(4−8−A)配送の回数は実に1日6回にも及ぶ。したがって薬局は、客が持って来た処方せんに記載された薬品を、ほぼ確実にその日のうちに揃えることができる。しかし、たった10人で900軒もの得意先を担当し、充分に利益を上げている。

ドイツでは日本と違い、処方せん薬も小分けではなく箱ごとの販売だから、薬局には一切不良在庫はたまらない。万が一期限が切れた場合や開封後使用が中止された場合でも、メーカーが責任を持って回収にあたっているそうである。健全な薬局経営は卸の流通面における後ろだてがあって初めて可能となる。我々日本の薬剤師にとっては夢のような話しである。

シュルツの社員食堂で昼食をとった後、アムステルダムまで長時間のバス旅行が始まる。ビールを腹一杯飲んで寝るとしよう。

(続く)

〔フレッシュさん紹介〕 製造物責任制度と開局薬剤師の役割 博多支部 博多東部会 保生堂調剤薬局 田代義徳

新しい年の1994年は診療報酬や薬価基準の改定が最大課題ですが、同時に製造物責任(PL=プロダクト・ライアビリティ)制度の導入も大切な問題となっております。この医薬品についてのPL制度はすでに中央薬事審議会の承認を得て、国民生活審議会でも答申がなされ、諸施策の具体化と立法措置が要望されております。

米国におけるPL制度は、1960年代半ばに確立され飛躍的に発展しましたが、その結果PL訴訟の急増と賠償金の高騰がもたらされました。そのため二度にわたり保険危機がおこっており、企業にとっては現状でも依然として厳しい状況にあります。他方、欧州ではサリドマイド事件等をきっかけにPL制度に対する関心が高まり、EC委員会を中心に、統一的なPL制度が検討されて、1985年には消費者と企業の双方に配慮されたEC指令が採択されております。このEC指令は、米国とは国情に違いはありますが、PL訴訟等に目立った変化はないとされております。

こうした米国及びECのPL制度に対し、今回中央薬事審議会で承認された、わが国におけるPL制度の概要について紹介させていただきます。

《PL制度の意義》は「製品の欠陥により被害を生じた場合、製造者が過失の有無を問わず(無過失責任)損害賠償の責任を負う制度」と位置づけております。

《PL制度の基本的な考え方》は、(1)消費者保護と国際的な調和を図る観点から導入が望ましい (2)医薬品は副作用を伴うが、事前の予見はむずかしい。しかも医師・歯科医師・薬剤師を通じて患者に提供される特性があるので、十分配慮する必要がある (3)経済活動に支障をきたさないよう消費者の利益擁護と企業活動の調和に配慮する必要がある と言うもので製造者の責任が明確化されるに伴い、医師や歯科医師・薬剤師などの役割が重要視され、医薬品の適正使用の推進が望ましいと提言しております。

《PL制度導入にあたっての留意点》としては、医薬品は有効性の反面、副作用を伴うために副作用をもって直ちに製品の欠陥と判断することにはならず、副作用の程度が有効性を上回る有害性を持つと認められる場合にのみ、初めて欠陥があると解釈すべきとされています。各段階で判明した副作用については、積極的に医師・歯科医師・薬剤師に情報を与えることが、製造物責任の主要な条件となり、正確に情報を提供していた場合には、これを患者に処方した医師等が過失責任を問われることになります。つまり被害が生じた場合には製品の欠陥によるのか、医療関係者の責任か、その他の原因か慎重な判断が必要となってまいります。

《開発危険の抗弁》については、製造者が、医薬品を市販した時点での科学知識や技術知識の水準では欠陥の存在を発見できなかったことを立証した場合には、製造者は免責されるという原則を認めるべきとしています。但しこの科学や技術の知識は国内に限定されることなく、世界的に入手可能な最高水準と解釈すべきとなっております。

《欠陥と被害との因果関係》については、被害が生じた場合には事実上、製造者が責任を負うことになりかねず、医師・歯科医師・薬剤師などの責任が曖昧になる可能性があることや、患者の体質によって被害が発生することもあるなどの理由から、推定規定を設けることは適当ではなく、原告が立証すべきであるとしております。

《責任期間》としては、製品の欠陥の場合には製造日から10年を目安としています。

《対象物の範囲》は、流通するすべての医薬品がPL制度の対象となり、薬局製剤も含まれます。但し、全血製剤や血液成分製剤は、人体から採った血液を基本的には加工処理せずに供給されており、また生ワクチンについても、基本的には加工しないでウイルスや細菌を人体に接種するものなので、PL制度の対象である製造物の概念にはなじまないとされております。

《責任主体》としては製造者、輸入業者が責任主体となります。とくに薬局製剤は薬局が責任主体となる点留意が必要です。一方医師・歯科医師が行う処方せんの交付、薬剤師が行う調剤業務はサービスなので、PL制度での責任主体ではないとされております。しかし調剤に関する薬剤師の責任は、PL制度上の責任からは免責されたとしても過失責任を負うことまで否定されるわけではありません。

上述のように、PL制度での医薬品についての一番大きな課題は指示警告にあると言われています。とくに薬剤師は調剤−>表示−>用法・用量の指示説明など職務分野の全般にわたり過失責任を問われるとされています。とりわけ指示説明上の責任については、薬歴管理・服薬指導との関連があり、より掘り下げた研究が必要と考えられます。

そこで薬歴管理の面では、服薬コンプライアンスの徹底、副作用の調査とともに、処方のチェックを行い、医療機関との連携の下に、適切な服薬指導が必要となります。そのためには薬剤師が医師・歯科医師と患者とのコミュニケーションをとることが最も大切と思います。

製薬メーカーではこのPL制度の実施に伴い、添付文書の作成に当たっては、医薬品の有効性や有用性とともに、安全性に関する警告や使用上の注意についても内容の充実が図られると思われますが、開局薬剤師としては、服薬指導の面から薬品相互作用、更には副作用の頻度や重篤匿、副作用発生時の処置等の記載も希望したいものです。

参考までですが、厚生省の個別医薬品服薬指導情報集作成委員会では、医師・歯科医師・薬剤師の手引書として、医薬品服薬指導情報集が作成され、日本薬剤師研修センターからすでに発刊されております。

このほか、医薬品副作用被害救済制度については、「制度の性格や救済の対象範囲が異なり、また簡易・迅速な被害救済の点で救済制度には意義がある」として引き続き存続させる意向とのことです。

おわりに、製薬メーカーにおける医薬品等の研究開発、製造、市販後の各段階における薬効評価や安全対策(GLP、GCP、GMP、PMS)は、益々充実されております。そこで医療機関や薬局等においても、県や市の薬剤師会の指導のもとに、医薬品情報の迅速かつ的確な収集を行い、服薬指導を充実させて、医薬品の適正使用を推進することが大切と痛感しております。

(S24熊本大学卒業)

※田代先生は、S63年までは田辺製薬の福岡支店長を勤められ、その後九宏薬品(株)の取締役を経て、平成5年6月市薬A会員になられました。

田辺製薬在職中は「スモン問題」に深く係わってこられ、今回のPL制度の実施についても、服薬指導を充実させて、医薬品の適正使用を推進する事が大切と書いておられます。S24年卒の大先輩ですが、市薬への入会が昨年ですので、あえてフレッシュさんとして紹介させていただきました。

【特集・在宅ケア】 在宅ケア支援事業講演会

日 時
平成5年11月22日(月)午後7時
場 所
市薬会館4F 講堂
演 題
「在宅ケア支援事業について」
講 師
福岡市民生局 高齢者対策部長 花田兎一先生
福岡市衛生局 保健部長 坂本雅子先生
福岡市医師会 理事 樋口正士先生
福岡市歯科医師会 専務理事 秋山治夫先生
受講者
170名
司会者
中島常務理事
荒巻県薬会長あいさつ要旨

本日、このように沢山の人がお出になっているというのは、それだけ開催者側の努力もあったのでしょうが、それにも増して薬剤師をとりまく環境が非常にきびしいものになってきているというのが、一つの大きな誘因であったと思います。私は以前から「OTCはいずれだめになるよ」と言ってきましたが、今度はここに来て、調剤薬局の方が非常にきびしい状況になってきています。平成4年度の調剤報酬は8,500億円、そして5年度は1兆円を越すだろうと予測されています。つまり、コンマから上がるわけでして、頭が出てくれば叩かれることになります。OTCの方はジリ貧でくるわけですが、調剤薬局の方はポカリと一ツ叩かれるとすぐだめになる、そういう形のものであります。加えて、薬局業務運営ガイドラインは、このまま実施されれば、ほとんどの薬局はつぶれる、そういう性格のものであります。おそらくこのままでいけば少数の大型の薬局が制覇する時代が来るだろうと思います。その時に薬局・薬剤師が生き残る道は、地域医療の中にどのように根をおろすかという事につきます。つまり国民のニーズにどのように応えていくかと言う事が今後の我々の運命を決定することになります。

10月に福岡で九州医師会の総会が開かれました。その時のシンポジウムのテーマが「開業医の復権」でした。この開業医の復権の中に薬剤師がどのように入っていけるか、これが今後の我々の進むべき一つの方向付けであります。そして地域医療を考えたときに、本当の決め手となるのはおそらく在宅ケアであろうと思います。ようするに大型店に対抗し得る唯一の我々の手段は、在宅ケア以外にないでしょう。そういう意味で、今日の講演会は非常に意義のある事です。講師陣も各界から壮々たる方がおみえであります。ぜひとも聞き逃しがないように勉強していただきたいと思います。

 

講演要旨

民生局高齢者対策部長 花田兎一先生

今、我国の65才以上の高齢者は、全国で13.5%、福岡市は10%ちょっとですから、全国からは約10年ほど高齢化が遅れています。しかし、高齢化は確実に進んでいて、2020年の高齢者率は25.5%で世界一の長寿国・高齢国になります。そういうことをもう一度再認識してほしいと思います。もう一つ大事なことは、世界一の高齢者の国になるという事はやむを得ない事ですが、高齢化社会に突入するスピードがめちゃくちゃに早いという事です。ちなみにフランスの場合、7%から14%に要した期間は130年、北欧スウェーデンでは85年かかっています。アメリカでは75年、イギリスは45年、それで我国は高齢化率が7.1%を記録したのが1970年、これが14%を越えるのが来年でございます。たったの24年しかかかっていないのです。

我国の高齢化のスピードはわずか24年で、欧米先進国の実に2〜3倍、世界に頬を見ない速さです。2020年には世界一の高齢国になると同時に、そのスピードは世界がかつて経験した事がない早さで進んでいます。65才以上のお年寄りの5〜6%の方が寝たきりであったり、痴ほう症であったりで、何らかの介護を必要としています。特に85才以上の方では、25.8%の方が何らかの形で痴ほう症が出ています。85歳以上の方の4人に1人が痴ほう症が出ているという事は、非常に深刻な問題です。これまでのように病院とか福祉施設で対応するのではなく、社会全体で支えるシステムを構築しなければなりません。福祉の今までのあり方にも改革が必要になっています。今、我々に求められているのは、あくまでもQOLの保障と思っております。そのために3つの目標を揚げています。

(1) 継続性の保障

家族でみれなければすぐ施設への考えから、今日のテーマの在宅サービスへを探っていきたいと思います。お年寄りは、ヘルパーなど外からの支援を受けながら、在宅サービスを受ける権利が当然の選択として用意されている、そういう社会を築いてゆくべきです。そして、施設にしても、普通の家庭の生活に少しでも近づけていく努力が要求されるのではないかと思います。医療がだめなら福祉というように縦割りに切っていくのではなくて、要介護者を保健・医療・福祉の全体でそれぞれの面を出しあって守っていくシステムが必要だと思います。これを私は継続性の保障と申し上げているわけです。

(2) 残存能力の活用

寝たきりとか痴ほう症になっても、何かそのお年寄りに能力が残っているはずだという目を持っていたい。寝たきりになったら寝かせきりという事ではなしに、その状況に応じた日常生活を保障すべきであろうと思います。

(3) 自己決定の原則

お年寄りが寝たきり痴ほう症であっても、あくまで残存能力の活用によって、生活そのものを自分で決定できる、そういうシステム作りが必要です。今までの福祉というのは救貧的な考えでして、ごく一部の方の為のものでしたが、これからの福祉は私も皆さんも含めて全員がお世話になるようになります。ですから今からの福祉は、社会全体、市民、地球、みんなで支えていくといったシステム作りが要求されています。

高齢者対策の福岡市の予算は130億、対前年比21.5%増です。今、我国の予算の伸びは5〜6%、もしくは9%ですから、これはすごい数字です。これでもまだ充分ではありません。今後とも私共は予算の獲得に努力し、整備に努めていこうと思っております。

この福祉政策を展開するにあたりまして、3つの目標(1)継続性の保障(2)残存能力の活用(3)自己決定の原則、この3つがお年寄りに保障される社会、いわゆるQOLの保障をしっかり明記して展開しなければ、福祉にならないという事を申し上げて、簡単ではありますが終らせていただきたいと思います。

 

衛生局保健部長 坂本雅子先生

福岡市では各区の保健所で、いろんな方と協力しながら、在宅ケアホットライン事業というのを、昨年6月から全市的に始めました。保健所にホットラインの担当を決めて、ベテランの保健婦さんを1人配置しています。できれば、これを薬局の店頭などでもPRしていただきたいと思います。“もしもし”から始まる在宅ケアホットライン。「とりあえずどんな方でも保健所にご相談下さい」という事でPRさせてもらっております。

昨年の6月から今年の5月までの一年間で2,137人の相談がありました。どういう方からかかって来るかといいますと、もちろん本人や家族の方が一番多いのですが、その他に医療関係の先生からは13.9%、民生委員の方や福祉事務所、市民サービス公社などからの相談もあります。特に医師会の先生からのご相談がどんどん増えて来ております。熱心に取り組んでおられる為だと思います。

相談の内容は、以前は虚弱の方が一番だったのですが、最近は非常にひどい寝たきりの方や痴呆の方の相談も増えています。保健所でしておりますので、医療についてのご相談が多いのですが、できるだけ何でもご相談下さいといっております。もう少し福祉サービスについても相談が増えてこなければいけないだろうと思います。相談がありましたらいろいろと状態をお聞きしまして、必要に応じては保健婦さんが家庭訪問をした上でいろんな関係機関と調整をしています。主治医といっしょに、いろんな専門的な部分は主治医の指示のもとにやっていくというのが、これからの在宅医療の基本的なところだと思います。保健婦が訪問するのが747という事は、相談された方の35%の方は訪問を受けているという事になります。

在宅医療に必要となる薬剤等の研究報告書の中で介護用品、医療機器などが必要となった場合、市民の方はまず薬局を頼って行かれる場合が多いようですし、又、こういう事が起こりました時に、在宅医療・保健福祉の公的補助支援制度に対する情報の提供なども、今のところ薬剤師会の方などにお願いできる事ではなかろうかと考えております。

「とりあえずホットラインにご相談してみられませんか」と一言、言っていただければ、薬局に相談に来られた方にもお役に立てるのではないかと思います。今後とも宜しくお願いいたします。

 

福岡市医師会理事 樋口正士先生

今年6月に在宅ケアホットライン事業が1周年を迎えるので、行政に在宅ケアシンポジウムを開いて頂くことを提案しましたところ、引き受けて頂き6月19日に早良市民センターで行われました。その時、薬剤師会の木原常務理事と橋口広報委員がお見えになっており、後日、薬剤師会の会報に投稿して頂きたいとの依頼を受けました。その後、合澤専務、中島常務、木原常務と橋口広報委員が医師会にお見えになり、「薬剤師会も在宅ケア支援事業に積極的に係わっていきたいのですが、どのようにこの事業に係わっていけば宜しいのか、お話をお伺いしたい」ということでした。

私は次の二つを提案させて頂きました。一つは、現在福岡市で在宅ケアをやっておられる、行政、医師会、歯科医師会の方々に集まって頂き、講演会形式で皆さんがどんな事をなさっているか伺って、薬剤師会の皆さん方で、どのような事をすればよいかという事をお考えになる。

もう一つは、我々は各区に在宅医療検討委員会を設けており、保健所と福祉事務所と医師会が合同で高齢者の為のサービス推進調整会議を行っております。そういう会に各区の薬剤師の方がまずオブザーバーとして参加され、我々がどういうことをやっているかご覧になって、自分達が何をなすべきかをお考え頂きたいと提唱致しました。

医師会では平成3年の2月に第1期在宅医療検討委員会を11名のメンバーで設置致しました。その後、福岡市の行政の方から在宅ケアホットラインを始めたいという提唱がなされ、博多区、南区、西区がモデル区になって、在宅ケアホットライン事業に参加させて頂きました。又、城南区では、痴呆性老人支援ネットワーク事業を始めました。

更に、アンケートの意識調査の中で会員の啓発が必要であろうと考え、パネルディスカッション、シンポジウム、講演会を次から次へと計画してきました。

平成4年4月に第2期在宅医療委員会が発足し、在宅医療を福岡市医師会の重点項目に入れました。そして、有り難い事に診療報酬改訂で、在宅医療の項目が新設され、一般会員も目を向けてくれるようになりました。そして、6月からは全区で在宅ケアホットラインが稼働致しました。7月には、福岡市医師会方式の在宅医療について、私より試案を会員に投げかけ、検討する機会をもちました。

8月には県医師会にも在宅ケア委員会を作ってもらいました。又、秋には九州全市医師会や13大都市(政令郡市)医師会で、在宅医療が大変脚光を浴び、福岡市医師会方式の在宅医療体制を全国に紹介申し上げ、薬剤師会の“すこやかライフくすりのセミナー”では、在宅医療の講演をさせて頂きました。

在宅医療は、日本医師会も第3の医療ととらえています。外来や入院の延長上ではなくて、とにかく新しい次元のものとして把握しています。在宅医療が成り立つためには三つの条件が必要です。一つは、患者が自宅でやるぞと強く希望している事。二つ目は、介護をする人がいるという事。そしてもう一つは、その介護者を支援するシステムが必要だということです。

在宅医療がどのような状況かといいますと、障害をもつ子供さん方の在宅医療、難病をもっている方、癌の手術後とか宿をもたれた方の在宅医療、又、寝たきり老人とか痴呆症の方の在宅医療の五つのことが考えられます。

障害者の70%近くの人が在宅で生活している状況で、難病に対しては在宅医療の割合はかなり高いと思われます。癌患者の在宅医療に関しては、今後我々も勉強しなければいけないような状況です。

次に、我々医師会の連係システムは、従来友人とか大学の先輩などの医療機関と、個人的な協力体制でやっておりました。しかし、寝たきり老人や痴呆性老人などの場合には、精神科や整形外科など他科の先生方との連係も必要になってきました。また、歯科診療をなさっている歯科医師会にも、この連係システムに加わっていただいております。

また、一人の患者さんに医師が24時間かかりっきりになることは、中々できないことから、チーム医療をしていくことに致しました。これは、往診可能な医療機関に協力医療機関として登録していただき、主治医の先生のご都合が悪い時にはかわりにこちらの先生にお願いするというようなシステムです。そのための協力医療機関名簿も平成5年3月に整備致しました。

また、福岡市には医療法人がなさっている老人訪問看護ステーションが6ヶ所ありますが、今後福岡市医師会では、老人訪問看護ステーションと在宅介護支援センターを各区に1ヶ所づつで7ヶ所を、平成6年度中には作りたいと鋭意努力中です。在宅介護支援センターは、各保健所の中に作り、福岡市医師会が委託を受けて運営していきたいと思っています。

入所施設につきましては、現在福岡市には740床の老人保健施設と、1,090床の特別養護老人ホームがありますが、まだまだ痴呆に対する施設が足りません。これは行政の方に十二分にお願いをし、この入所施設とも連係をとりながら進めたいと考えています。

昨日まで13大都市連絡協議会が大阪で開催されていましたが、老人訪問看護ステーションを作ったが、1ヶ所だけでも大赤字でフウフウ言っているとのことでした。それを福岡市医師会は7ヶ所一度に作ろうとしています。これは、会員の先生方が在宅医療をやり易くするためにはどうしても必要だと考えますし、また患者さんには在宅医療が受けやすく、やり易くす去ための支援になるとも考えています。

今日おいでの民生局、衛生局の部長にぜひご協力賜わらんことを、この場をおかりしてお願いして終りと致します。

 

在宅医療一福岡市医師会方式一後方支援システム (平成4年12月末)

全 市
 協力医療機関数・・・・・・・・・606
 歯 科 診 療・・・・・・・・・431
 老人訪問看護ステーション・・・・ 4
東 区
 協力医療機関数・・・・・・・・・129
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 66
 老人訪問看護ステーション・・・・ 0
博多区
 協力医療機関数・・・・・・・・・ 62
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 82
 老人訪問看護ステーション・・・・ 0
中央区
 協力医療機関数・・・・・・・・・ 78
 歯 科 診 療・・・・・・・・・117
 老人訪問看護ステーション・・・・ 1
早良区
 協力医療機関数・・・・・・・・・ 88
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 50
 老人訪問看護ステーション・・・・ 1
城南区
 協力医療機関数・・・・・・・・・ 52
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 20
 老人訪問看護ステーション・・・・ 2
西 区
 協力医療機関数・・・・・・・・・ 87
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 32
 老人訪問看護ステーション・・・・ 0
南 区
 協力医療機関数・・・・・・・・・110
 歯 科 診 療・・・・・・・・・ 64
 老人訪問看護ステーション・・・・ 0

 

福岡市歯科医師会専務理事 秋山治夫先生

  高齢化社会が進む中で、歯科治療を在宅でする希望が高まって参りましたのは、もう10年以上も前のことでございます。そこで、昭和52年に歯科医師会の有志でボランティアグループを発足しまして、在宅診療を行ってまいりました。

しかし、これから先の在宅医療を考えますと、ボランティアだけでは対応出来ないだろうという事で、63年の10月より行政の援助を受けて、本会独自の事業として在宅歯科訪問診療を発足しました。

この実施の方法ですが、福岡市歯科医師会に申し込んで頂きますと、まず掛かり付けの歯科医師や最寄りの協力医を紹介し、原則として65才以上で治療内容も保険の効く範囲内ということでやっております。又、在宅ケアホットラインを通して保健婦さんの訪問指導を受けておられる方々については、事前に受診者の状態や生活環境の情報提供がいただけますので、患者さんとのトラブル防止に非常に役立っております。更に、ホットラインが出来てから在宅診療を希望される方も増えて来ており、70才以上が大体65%で、診療内容も義歯関係が圧倒的に多いようです。

在宅歯科診療は、全身的な管理をしながらやっていくことの困難性や医療材器の形態や設営の煩雑性、二次医療機関の受け入れや治療内容の限界などを考えますと、対応出来なくなるのではないかと心配しております。

しかし一昨年度の診療報酬の改訂で、患者の訪問指導を歯科衛生士が出来るようになりました。歯科衛生士と保健婦さんとがうまく連係を取りながらやっていけば、口腔内疾患の早期治療、予防につながり、在宅でも困難な治療が受けられるのではないかと思っております。

次に薬剤師会の先生方へのお願いですが、薬局の在宅グッズコーナーに是非口腔衛生清掃用品を一緒に展示して頂きたいと患っております。まず、在宅寝たっきりになりますと、どうしても口腔内が不潔になって、義歯の清掃不良が口腔内や歯肉の炎症の原因になり、食欲の減退や歯肉のやせる原因にもなります。こういう場合は義歯用の清掃歯ブラシや義歯の洗浄剤の使用を勧めて頂きたいと思っております。

又、薬用洗口剤につきましては、殺菌剤の他、歯垢分解酵素のデキストロナーゼなどの配合されたものを使用すると良いと思います。

次に、電動歯ブラシですが、これは元々高齢者や肢体不自由の方の為に開発考案されたものですので、大いに勧めて頂きたいと思います。

虫歯になりにくい砂糖ということで、パラチノースを使った菓子製品も置いて頂けたらばと思います。

又、介護用品を買いに来られる介護者、家族の方がおられたら、口の中のことはあまりおっしゃらないと思いますが、口の中の状態もお訪ねになって、今までの説明をして頂くことによって寝たきりの方の歯を守ってほしいと思います。

私共は医師会のリードのもとに衛生局、民生局などの活動援助を頂きながら、在宅療養者、高齢者の幸せの為に力一杯頑張って行きたいと思っております。

在宅業務を3分野から検証
在宅薬剤供給委 経済的インセンティブの配慮も

厚生省薬務局の在宅医療薬剤供給推進委員会(委員長・西三郎愛知みずほ大学教授)が17日開かれ、(1)在宅薬剤師の活動指針の策定(2)在宅医療担当薬剤師の現状−について議論した。このなかで活動指針策定に向けた検討方法として、在宅業務をプライマリー医療、セカンダリー医療、高度在宅医療の3分野から検証することとし、個々の項目ごとに専門家によるワーキンググループを設置することを決めた。同活動指針は在宅医療における薬剤師業務の拡充や薬局業務運営の充実を図るためのもの。薬務局では同指針の運用に際し診療報酬などの経済的インセンティブの配慮が必要との認識を示しており、今年度中に具体的内容 を盛り込んだ在宅医療への薬剤師の活動指針を示す考えだ。

在宅薬剤師の業務内零を細分化して検討する方法は、現在の薬剤師業務や薬局業務運営との対比で別途必要に応じて設けるべき項目を摸索する意味で重要とされる。なかでも検討事項に盛り込まれた「高度在宅医療に必要な薬剤師業務」は、現状の薬局業務と照らし合わせて(設備、業務などで)難しい面が多いものの、無菌調剤設備などの高度設備の問題や、IVHなどの特殊製剤の調剤や使用方法の指導、さらには酸素濃縮装置などの高度在宅医療機器の搬送などについて、医療環境や患者ニーズの多様化に応じてこれらをどのように整備すべきかが提言されるものと見られ、将来の薬局業務のあり方を占う観点からも重要と考えられる。また薬局レベルで行うプライマリー業務や、医薬分業推進支援センターを活用するセカンダリー業務についても、薬剤師以外の医師や看護婦との関わりについて改めて問われることになり、とくに現在の医療で指摘の多いチーム医療の考え方についても検討されそうだ。そのほか同日の議論では、在宅薬剤師の実態を探るための全国規模のアンケート調査を実施することにした。このような調査は初めてで、今後の議論の参考資料とする考えだ。

(日刊薬業 H5.11.18)

【特集・在宅ケア】 第7回東区在宅医療研究会報告在宅ケアプロジェクト 東区委員 入江理裕

日 時
平成5年11月28日(月)午後7時
場 所
東保健所
出席者
25名 医師会、歯科医師会、薬剤師会、保健所

○報告事項
 1.各区「在宅ケア・ホットライン」の現況について 保健所
 2.中心型在宅介護支援センターの進捗状況について
   *中心型:福岡市医師会が委託した形とし運営は行政が行う
        各保健所に設立する
   *地域型:民間施設に併設する・特養・老健センター
 3.福岡市薬剤師会の各区在宅医療委員会へのオブザーバ参加について

○協議事項
 1.福岡市医師会訪問看護ステーション開設について
 2.その他

東区における「在宅医療研究会」は、平成5年4月に始まり、今回(平成5年11月)の会で、第7回を数えています。薬剤師会も在宅医療に取り組む為に医師会・保健所にお願いして、まずはオブザーバーとして参加させていただく事になりました。

当日は時間通りに始まり、次のように進行していきました。

まず、各区の在宅ケアホットラインの現況について報告がありました。その中で、かかりつけの医院・医師を持っていない患者さんの場合、主治医を必要とする在宅ケアは受けられませんので、主治医を決める時はどのようにして決めるかが大変重要であり、かつまた慎重を要するという報告がなされていました。

次に、中心型在宅介護センターの進捗状況についてをテーマに協議され、各区にセンターを1つずつ作る事が云われていました。協議事項は、福岡市医師会訪問看護ステーションの開設について、多岐にわたり話し合われていました。

最後に、保健所より訪問指導実施状況の説明があり、これは大変ショックでした。筋萎縮側索硬化症、難病に指定されています。入院して看護を受けても当然と思われるのですが、自宅で在宅ケアを受けられ、ホームヘルパー、看護婦、医師、家族によって支えられています。この病気は簡単に述べますと、体中の筋肉が硬化して自分では何も出来なくなる病気です。残されたわずかな筋肉を使ってコミュニケーションをしています。たとえば、まばたきだけで会話をしたりという具合です。薬剤師は何が出来るのだろうと深く考えさせられました。在宅医療は人ごとでなく自分達のものとして考えていかなくてはならない時代が来ています。余りに今の医療界から離れている薬剤師界にびっくりさせられています。何とかしなくてはと考えさせられた第7回東区在宅医療研究会でした。

■■トピックス■■ 市薬学術委員会

口内炎の痛み止め(有痛性口腔粘膜疾患に対する新しい治療法)

有痛性口腔粘膜疾患に対しては、一般的な鎮痛効果を期待して、キシロカインゼリーやキシロカインビスカスなどの表面麻酔剤が使用されていることがある。しかし、持続効果は十分とは言えない。院内製剤の3%アネステジン軟膏と口腔用2%アスピリンの比較試験では、口腔用2%アスピリン軟膏の方が効果発現時間が早く、効果持続時間も長い結果が得られている。図1に口腔用2%アスピリン軟膏の効果発現時間、図2に効果持続時間、図3に臨床効果判定を示す。製剤は基剤としてプラスチベース、粘着剤としてCMC−Naを混合している。使用法は、羅患部位が被覆される程度の量(約0.2gアスピリンの量としては4mg)を清潔な手指又は綿棒などで1日6回塗布。5℃では、2ケ月間の保存・使用が可能である。

帯状庖疹後神経痛に対する鎮痛薬、慢性関節リウマチの痺痛に対しても十分鎮痛効果が期待できる。蛇足?…アスピリン服用者では、結腸ガンで死亡する確率が非服用者に比べて41%低下したなどの報告も見られている。

PTM Vol.6.4(3)FEB.,1993

コンタクトレンズ(CL)装着時の患者指導について

1.点眼液のレンズに及ぼす影響

ハードレンズは、疎水性で一般的に薬物の吸着はない。一方ソフトレンズは親水性の材質のため、薬物が吸着し蓄積されやすいといわれている。(1)CLメーカーによるレンズ侵清試験の条件は統一されておらず、判定の基準にも若干差があると思われる。(2)点眼液がCLに及ぼす影響では、ハードの場合は物理的な影響はうけにくいとされているが、ソフトは、その吸着量はレンズの吸水率が高く、厚さが厚いほど多い。そして、薬物の分子量が小さい程、吸着されやすい。又、変形、自衛などの物理的影響も受けやすい。

2.保存剤の眼に及ぼす影響

(1)点眼液中の保存剤設定には、特に緑膿菌に対する有効性が問題とされるが、効果の順序としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン類の順である。塩化ベンザルコニウムと主薬が沈殿など変化を起す場合、次に変えられる。(2)保存剤としての国内頻度は、塩化ベンザルコニウム50%、クロロブクノール25%、パラベン類25%である。(3)保存剤の蓄積により角膜障害は惹気されるが、塩化ベンザルコニウムにおいては濃度依存毒性があるほかに、接触時間が延長するに従って障害が増加することも報告されている。このことから、レンズ装着に伴い、レンズに蓄積した保存剤の眼への接触時間の延長による角膜障害が懸念される。

3.患者がCL装着時の点眼を望んだ場合、先ず医師がその物理的障害、炎症の度合いや細菌感染の有無など、患者個人の病態を考慮し、CL装用の継続の可否を判断する。次に継続可能な場合、薬局でレンズメーカーの資料に基づき、着色、歪といった薬剤のレンズに及ぼす影響を判定する。さらにレンズに影響がない場合、レンズの薬剤に与える影響(レンズによる薬剤の濃縮)を判定し点眼の可否を判断する。CLの種類、点眼液の種類、患者の症状の3点を考慮し、個々の症例に対応した指導を行う。

Vol.30..1 1994 JJSHP

投薬に関連した興奮と焦燥

薬によっては、投与を開始してまもなくいらいらや興奮が起ることがある。日常使われている薬物で潜在的にそのような可能性を持っているのは、H2ブロッカー、イソニアジド、抗パーキンソン剤、フェノバルビタール、プリミドン、その他種々ある。実際にそのような状態になるか否かは、薬を代謝する酵素の型を含む本人の体質、年齢、肝・胃の機能など種々の因子が関与するようで、行動の変化は薬を服用した人のうちの一部にしか認められない。しかし行動に変化が現れた場合には、薬の影響も一つの可能性として考えるべきであろう。

例として、イソニアジドとエスタゾラム投与の透析患者が透析後にイライラや不安が出現した為、イソニアジドの中止と抗不安薬の変更で対処したこと。フェノバルビタールやプリミドンでイライラや療病が激しくなった場合、薬物をフェニトインやカルハマゼピンに変更すると以前の状態に戻る。

日本警事新報 No.3634 平成5年12月18日

※日薬誌1月号の81ページに「薬局店頭における外国語用語集」が初めて登場した。第1回目は英語。今後は中国語、韓国語、スペイン語もシリーズで企画されているようだ。

おこがましいが、市薬ジャーナルの「FUSAKOさんの英会話」は隔月発行でシリーズNO.10である。そういえば、西区の中野勝郎先生は中国語が堪能だとか。次回は中野先生にもお願いしなければなどと思いつつ日薬誌を読んだ。イヤ、眺めた。

ふだんはパラパラと最初の方だけをめくって、興味のある部分だけを読んでしまう日薬誌だが、1月号には調剤報酬改定に関する中医協への要望が掲載されていた。それで、ついつい最後まで読んだというよりは、眺めていて見つけたのが外国語用語集だった。

日薬誌より市薬ジャーナルの方が早いじゃないの!

[広報]

城南区研修会について 城南支部 支部長 栗田邦彦

日 時
2月3日 城南市民センター
講 師
福岡大学医学部薬理学教室 医学博士 宮本康嗣
演 題
「エイズと漢方」
エイズは撲滅できない

12月1日は世界エイズデーであります。

日本では血友病治療のための輸血によって'83〜'85年の問に1000人位の方が感染したと思われる。加熱処理が不十分だったのでしょう。また献血を検査がわりに利用した方々も大勢おられます。

現在アフリカで1200万人、南北アメリカで100万人、ヨーロッパ、東南アジアを加えると1800〜2000万人が感染していると考えられます。

2000年には世界56億人で12,000万人、全世界で50人に1人という状況が見られるはずである。

エイズウィルスとはどんなものだろうか。直径10000分の1ミリで、生体を守る免疫系が破壊されてさまざまな感染症やガンにかかる。

また寄生虫や原虫真菌がはびこってカリニ肺炎、カンジタ症、カポジ肉腫をおこす。

すべて生物は遺伝情報をDNAの形でもっている。ウィルスは遺伝子とそれを包むタンパク質からなり細胞をもたない。それ自体は生命体ではないのであるが、他の細胞に寄生すると、自分のRNAをDNAに転写する逆転酵素をもっているので、自己を複製してどんどん増殖し、人間の免疫系を司るT4細胞を殺してしまう。T4細胞は1ミリ立方に1500コあったものが5年で2分の1となる。そのために深刻な免疫不全をおこす。ここではエイズをみているのだが、よくにている三種を見てみると、

HTLV−1 成人T細胞白血病
HTLV−2 白血病(HTLV−1のごく一部)
HTLV−3 後天性免疫不全症候群(エイズ)

このうちで怖いのは九州に特異的に多い成人T細胞白血病である。エイズは体内に取り込まれてから増殖し発病するまでに何年とかかる。

さて薬のほうはどうでしょうか。西洋薬ではAZTがある。血液脳関門を通過するために脳神経を侵された患者にもよい。しかし3ヶ月くらいで耐性となるのではないか。1ヶ月で薬価が10万円かかる。

いっぽう漢方薬のほうはどうか。

長期間の使用可能。少ない副作用。AZTの副作用の軽減。AZTの用量を減量する。

麻黄湯、桂枝湯、葛根湯、麻黄附子細辛湯、川弓茶調散。慢性期となると小柴胡、大柴胡湯、柴朴湯、柴胡桂枝湯、がよい。

人血中の単球、T細胞、B細胞の免疫ネットワークの増強。インターフェロンの産生を誘導。末消単核球からのPGE2の産生を抑制する。アメリカでの実験では以上のようなことがわかった。免疫調整剤としての漢方の重要性、心のケアの重要性がわかりました。

以 上

講師は九大理学部45年卒

アメリカコロンビヤ大学病院でエイズの治療にあたり帰国後に福岡大学薬理学教室で医学博士をとり外来治療にあたっておられます。

雨降りの夜の研修会に多数出席していただきありがとうございます。となりの早良支部からも出ていただきました。また新宮小児科のドクターにもきていただきました。

オーストラリア・ニュージーランドにおける保健衛生の視察について 福岡市薬剤師会 会長 三津家正友

去る10月。10日間に亘り上記視察旅行に福岡市の要請をうけて参加した。以下にその報告を行う。

1.日 程 平成5年10月2日〜10月11日

2.訪問地
  オーストラリア(シドニー市、メルボルン市)
  ニュージーランド(オークランド市)

3.参加者
  福岡市衛生局長                穂屋下 信 書
  福岡市博多保健所長              神 宮 純 江
  福岡市こども病院感染症センター 感染病科部長 青 木 和 信
  福岡市市民福祉サービス公社 事務局長     小 河 泰 久
  福岡市歯科医師会会長             中 富 憲次郎
  福岡市薬剤師全会長              三津家 正 友

4.日 的

オーストラリアにおける、エイズ患者・HIV感染者の発症の現況と対策を視察し、福岡市におけるエイズの正しい知識の普及と医療機関の体制整備などエイズ対策の一層の推進を図るものである。

又、ニュージーランドは保健・医療・福祉が有機的に結びつき、社会福祉の統合化が最も進んだ国として知られている。本格的な高齢社会に向けて、ニュージーランドの市民参加型の福祉システムを調査し、福岡市における保健衛生の構築に役立てるものである。


5.所 感

エイズ患者・HIV感染者は世界の国々において増加の一途をたどり、我国においてもHIV感染者の数が急増している。オーストラリアではエイズ患者・HIV感染者の新規発症数が減少傾向となっている。これはオーストラリアにおけるエイズ患者・HIV感染者の大部分(86%)を男性の同性愛者が占めているという事実を冷静に受け止め、これらの人々を排除することなく、又強制力を用いずに初期の段階より現実的対応を行って来たためである。

またその予防対策として1983年より統計分析を詳しく行い、その分析に基づきターゲットを同性愛と静脈薬物乱用の問題にしぼり、その対策をたてた。強制力に訴えるのではなく、自主的な動きを育てるよう疎府が援助していく。例えば男性同姓愛者を差別や偏見をもたずに受け入れ、これらのグループを医療従事者・政府関係者が同じテーブルで話し合い、同性愛グループに対して援助の手をさしのべる。又、同性愛グループの中で教育カウンセリングを行うなどである。

我国とは背景は異なるが、疫学統計の重要性、HIVの検査を受ける人を信頼し、差別しないこと。青少年の教育が必要であると痛感させられた。

ニュージーランドにおいては、保健・医療の再編成が行われている状況の中、福祉システムについては、従来の施設福祉から在宅福祉への切り替えがはかられている。

公的なサービスとボランティア活動が有機的に連携し、地域の中で普通の生活をという、いわゆるノーマライゼーションの理念を実現するための努力が払われていた。

主な訪問先は次の通りであった。

(1) オーストラリア
  ○セントビンセント病院(ニューサウス・ウェールズ州立)
  ○フェアフィールド病院(ビクトリア州立感染症専門病院)
  ○ニューサウス・ウェールズ州保健省エイズ対策課)
  ○ビクトリア州地域保健サービス局
  ○エイズ基金
  ○ビクトリアエイズ委員会
  ○HIV感染者生きがいセンター

(2) ニュージーランド
  ○オークランド市役所
  ○エイズ基金
  ○マンガレ精神病院
  ○ウィルソンホーム
  ○ノースヘルス

以上10日間に亘るオーストラリア・ニュージーランドにおけるエイズの問題と高齢者福祉について、所感を交えつつ簡単に報告を行った。

くすり箱

21世紀は50人に1人!

城南区の研修会に参加させて頂いた。話題はエイズ。最近ではもう誰も驚かない話題だが、統計的な資料を示されると、知っているつもりで知らない事が多く、又改めて怖さを思い知らされた。

現在地球上に患者が2000万人、このカーブで増え続けると、21世紀(もうすぐ!)には、地球人口56億人中1億2000万人。50人に1人が患者であるという。

アフリカ、アジアに多く、アジアではタイ、インドに多い。ニューヨークも多く、現在既に50人に1人の患者数(潜在的には10人に1人とも言われている!)だという。

日本でも他人事ではないが、最近では自分がエイズであると公表しても何もメリットがなく差別を受けるだけという現実があり、患者が潜在化して来ている事実もあるという。

HIVに感染してCD4=500以下となりエイズが発症してからでなければ治療ができないのではなく、漠方が免疫力を高め、発症までの期間を延ばすのに有効であるという治療例が示された。エイズと言えば短絡的にコンドーム、ではなく、他にも予防する方法があるかも知れないというデータは非常に心強いものであった。

私たち薬剤師に何が出来るか。何も出来ないけど啓蒙だけは出来る。正しい情報を伝える事は出来る。不用な不安を除き、相談には乗ってあげられる。知らなければ何も出来ないが、知っていれば話す事は出来る。広く会員の方々に聞いて頂ける機会を、又作って頂きたいと思った。

(橋口)

理事会報告

【第8回理事・監事会】

日 時
平成5年11月16日(火)午後7時
出席者
三津家会長、細井、松枝各副会長、山口、中島、篠崎、木原各常務理事、鶴原、松島、成澤、市花、城戸、藤田各理事
藤原、豊福監事

議 事
1.会長あいさつ
 11月6〜7日の日薬学術大会はご苦労さまでした。合澤専務理事は体調を崩され、入院中のため欠席しておられます。

 会営薬局、九大問題、そして来週の在宅ケア講妾寅会などご協議よろしくお願いします。また、薬連より石井道子参議への支援についてのお願いもきております。

2.会務報告

3.委員会報告
 ○組織委員会
  昨年は中止したボーリング大会は、今年度は例年通り1月に実施の予定で準備している。
 ○学術委員会
  薬局実務研修会は受講者数43名。
  その内10名前後は、市政だよりや西日本新聞を読んでからの参加であった。
  10月22日開催の「老人の整形外科疾患」の受講者数は83名。
 ○情報管理委員会
  備蓄リストが出来上がったので、一冊1,000円で販売する。

4.協議事項
 ○会営薬局について
  12月9日に上棟式の予定になっている。
 ○九大応需について
  13番窓口から、意愛団薬局跡地への移転はまだ完了していない。
 ○在宅ケア支援事業講演会について
  「在宅ケア支援事業講演会」の横看板を用意する。
  受講者研修のために特別に研修カードの単位を2ポイントにする。
  荒巻県薬会長に、全国的な在宅ケアの展開状況をごあいさつで話してもらう。

5.自民党新規入党および石井通子議員支援について
 県の薬連会長よりお願いがきているので会員に協力お願いをする。
 石井参議の支援については異論はないが、自民党については、現在野党であることやかなり政界再編にむけて流動的であることから、再考の必要はないかとの意見も出された。

 

【第9回理事・監事会】

日 時
平成5年12月20日(月)午後6時30分
場 所
「しばこ」六本松
出席者
三津家会長、細井、松枝、長谷川各副会長、合澤専務理事、山口、中島、小野、木原常務理事、鶴原、松島、国武、成澤、市花、城戸、藤田各理事
藤原、豊福監事

議 事
1.会長あいさつ
2.会務報告
3.委員会報告
4.学薬、勤務部会、女子薬、商組報告
5.協議事項
 (1) 会営薬局について
 (2) 九大応需について
 (3) その他

 当日は6時半より理事会。終了後に顧問の先生方、支部長先生方ならびに職員を交えての忘年会となった。顧問の荒巻県薬会長と古賀県薬副会長は県の「三師会」と重なったため欠席された。
 なお、ご来賓として顧問でもある久保田市議と早麻県議にもお出でいただいた。

 

委員会報告

【急患委員会】

日 時
平成5年11月1日(月)午後6時
出席者
中島常務理事、成澤、市花各理事、小松、北島、井上、馬場、竹尾各委員

議 事
1.市医師会大熊会長からの年末年始急患診療への協力依頼の件
2.年末年始および12月〜2月の出動表作成
3.出動者確認カード様式を一部変更
4.出勤者懇親会は1月28日に予定
5.新規出動希望者説明会について
  受講者名 権藤雅彦、中野雅江、大塚暁子、奥靖子
  日  時 10月28日(木)午後3時〜5時
  於:急患センター薬局
6.医師会総合忘年会の件
  12月8日(水) 於:ホテル日航

 

【第5回会営薬局特別委員会】

日 時
平成5年11月12日(金)午後7時
出席者
細井副会長、中島、小野、篠崎、木原各常務理事
高杉、光安、栗田、大庭各支部長

議 事
1.下記諸規程(案)の検討
  福岡市薬剤師全就業規程(案)
  福岡市薬剤師全職員給与規程(案)
  福岡市薬剤師会退職手当支給規程(案)
  福岡市薬剤師会パートタイム職員就業規則(案)
  福岡市薬剤師会薬局運営委員会設置規程(案)

 まず、就業規程から条文ごとに検討を重ねたが、この委員会では時間がかかりすぎることから、細井、中島、山口各執行部側委員と二宮事務長の4氏で検討することになった。

 

【第6回会営薬局特別委員会】

日 時
平成5年12月13日(月)午後7時
出席者
細井副会長、中島、山口、小野、篠崎、木原各常務理事
高杉、光安各支部長

議 事
1.パース(カラーの立面図)を使って中島常務理事より詳細にわたって説明があった。
2.設備機器については、特にオートロック設置の是非とコンピュータの機種について検討された

 

 

【広報委員会】

日 時
平成5年11月11日(木)午後7時30分
出席者
木原常務理事、樋口、坂田、橋口、荒巻各委員

議 事
1.市薬ジャーナル11月号の編集
  原稿のレイアウトおよび読み合わせ
2.11月22日開催予定「在宅ケア支援事業講演会」の役割分担について
  受付・接待・・・坂田、橋口
  記録   ・・・荒巻
  写真   ・・・樋口

日 時
平成5年12月10日(金)
出席者
木原常務理事、坂田、橋口、荒巻各委員

1.市薬ジャーナル11月号の反省
  「会員のひろば」の投稿が少ないので、1月号は積極的に原稿依頼をする
2.新年号の編集企画について
  巻頭言は会長
  特集は再度「在宅ケアについて」とする
  2月10日前後に会員の手元に着くため、選挙関連の記事を山口委員長に依頼する。

 

【在宅ケア特別委員会】

日 時
平成5年12月4日(土)午後2時
出席者
三津家会長、中島、木原各常務理事、松島理事、入江、光安、橋口各委員

議 事
1.「在宅ケアプロジェクト」の位置づけについて
  今年度中は、会長直属の諮問機関として活動する。
2.アンケート調査について
  実際に市薬会員が在宅ケアに係わっている事例など、意識調査をする。
3.若松地区でしている実際の様子を全員啓発のための研修会で取り上げてはどうか?

 

【学薬のページ】 福岡市学校給食センター職場環境調査について

福岡市学校薬剤師会の委託契約事業には、(1)簡易専用水道の検査(2)飲料水の検査(3)学校給食センター職場環境調査(4)県立高校プール水質検査(5)市立小中学校開放プール調査があり、今年度は臨時で砂場の検査もあった。

その中の一つ、福岡市教育委員会・学校給食課から委託されている学校給食センター職場環境調査は、市内4ヶ所、那の津・有田・柳瀬・箱崎の各センターで学期毎に1回、年3回実施している。ただし、騒音環境調査については、年1回の測定になっている。

次のような項目を3〜5名の会員さんで調査しているが、その他に数名の新人学業さんも研修のために参加されている。今回の調査から「騒音環境」が、従来のA特性騒音レベルから、等価騒音レベルになった。また測定地点も、従来の定位置で20分間隔に14回測定する方法から、調理室・配送室のそれぞれ7地点を移動しながら10分間測定する方法に変わったのでここに報告する。

有田学校給食センター(騒音調査)
日 時 平成5年11月17日(水)午前8時45分
責任者 橋口扶佐子
出勤者 西岡啓子、坂田博子、中野佐代子、鶴原律子

那の津学校給食センター
日 時 平成5年11月19日(金)午前8時45分
責任者 瀬越 寿
出勤者 中野佐、千望富士子

柳瀬学校給食センター
日 時 平成5年11月19日(金)午前8時45分
責任者 城戸嘉寿子
出勤者 木村英樹、深見朋子

箱崎学校給食センター(騒音調査)
日 時 平成5年11月19日(金)午前8時45分
責任者 木原三千代
出席者 安陪佑子、永田静香、堀民子、栗岡美佐子

 

いまいづみ日記

○年末に南市民センターで開催されたシニアフェスタの取材に行った。武田イクさん と肩を並べて、薬剤師会からも末田先生の講演があったからである。
 解り易く、懇切丁寧に、信頼される薬剤師とは斯くやと思わせる口調で講演された。時に、御主人用の高血圧の薬を奥さんが服んで起こった怖い話などの具体例を挟み、正しく薬を使うことの大切さを訴えられた。
 後半、山歩きが大好きとおっしゃる先生自ら撮影された薬草の数々のすばらしいスライドが印象的だった。ウーン、写真もなかなかいいなァ、今度は私も写真に挑戦してみようかなどと考えているうちにアッという間に時間となった。
 かかりつけ薬局の事、在宅の事など少し触れられるかと思っていたのだがそれはなく、不信に思っていたら保健所からクレームが付いたとの事、少しがっかりさせられた。薬剤師が医療人としての地位を確立していくのはまだまだ日暮れて道還し、なのだろうか。
 地域の医療に貢献する為には地域の人々の信頼を得るしかない。その為には地道な努力しかないと自らに言い聞かせる毎日である。

(橋口)

○夜、市薬でのある理事会の後、三々五々解散して帰路につく時のことです。会長と数人の理事の先生が、議論されているのに出合いました。真剣な声が聞こえます。折角、顔を合わせた機会、寸時も惜しんでの話し合いです。日常茶飯事の風景なのでしょうが、諸先生、ご存知でしょうか?
 以前より、何かあれば、毎晩、夜遅くまで会議、討論がなされてありました。むろん、理事を経験された先生にとっては当たり前のことと映るでしょう。
 でもご存じない先生方に、そっとお教えします。
 夜、遅くまで話し合いがなされていることを。その結果が、ジャーナルでの数行の報告に形を変えることを。知っていて下さいね。

(坂田)

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訃 報

 松井博先生(享年70才)

 博多支部 浜部会(株)松井薬局博多店の松井博先生が、
 平成6年1月23日ご逝去されました。
 謹んでご冥福をお祈りいたします

会 務 日 誌 (平成5年11月1日〜12月31日)

11月1日 会常葉局地鎮祭 11:00
     急患委員会 18:00
  2日 麻薬覚せい剤禍撲滅運動福岡大会(市民会館、松枝) 13:00
  4日 処方検討会 Bブロック 19:00
  6〜7日 第26会日薬学術大会(北九州市)
  9日 新規保険薬局個別指導 19:00
  10日 組織委員会 19:00
  11日 処方検討会 Cブロック 19:00
     学術委員会 13:00
     広報委員会 19:30
  12日 会営薬局特別委員会 19:00
  13〜14日 薬局実務研修会
  15日 福岡市三師会 17:30
     日本文化デザイン会議'94福岡実行委員会設立総会 16:00
  16日 理事会 19:00
  18日 処方検討会 Dブロック 19:00
  19日 薬物療法研究会 19:00
  22日 在宅ケア支援事業講演会 19:00
     薬局委員会 20:30
     社保委員会 21:00
  24日 会営薬局建設委員会 19:00
  25日 処方検討会 Aブロック 19:00
     温知会、拓山会時局講演会 15:30
  27〜28日 薬局実務研修会
  29日 市薬就業規程等検討会 17:00
  30日 三役会 17:30
12月1日 処方検討会 Cブロック 19:00
  4日 在宅ケアプロジェクト委員会(会長) 14:00
  6日 会営薬局小委員会 17:00
  7日 新規保険薬局個別指導 19:00
  9日 地行浜、会営薬局上棟式 16:00
     処方検討会 19:00
  10日 県選挙管理員会説明会 13:00
     市薬就業規程等打合会 18:00
  13日 会営薬局特別委員会 19:00
  16日 処方検討会 19:00
  20日 理事会 18:30
  22目 処方検討会 19:00

訂正とお詫び

11月号 15ページ 12行目   wonld −> would

33ページの おめでとうございます
 「福岡市学校保健功労表彰」の細井副会長のお名前と年令が間違っています。
 細井俊一先生(67才)→ 細井徹一先生(65才)
 やはり1才でもお若いほうがよろしいようです。お詫びして訂正いたします。

学校薬剤師募集中!!

2月20日まで募集続行中です。特に東区、博多区、南区、早良区が不足しています。当然のことながら、学校薬剤師活動は地域医療への貢献、かかりつけ薬局の育成・整備にもつながります。

また昨年、薬局業務運営ガイドラインが提示されてから、薬局・薬剤師の有り様は大きく変わろうとしています。それにつれて、福岡市学校薬剤師会も一人一校へと、また試験センターの拡充をも含めて変わって行こうとしています。

平成5年度末に設立予定の「財団法人 福岡市健康づくり財団」の設立趣意書(案)の中には「健康づくりは地域保健、学校保健、職域保健と多面的な展開が必要でもあります」と書かれています。

入会申込書は、市薬に用意しています。ぜひ積極的なご参加をお願いします。

[編集後記]

○新年明けましておめでとうございます。
 希望に満ちた輝かしい年をお迎えの事とお慶び申し上げます。今年は福岡市薬剤師会薬局が誕生し、面分業がワンステップ前進する年。耳を澄ますと、今急ピッチで進む建設現場から活気に放れた槌の音が聞こえてきそうです。
○今年は市薬剤師会長選、市薬剤師会薬局の稼働、在宅医療への参画等色んな問題を抱えてスタートしました。
○昨年11月21日に市薬講堂で行なわれました“在宅ケア支援事業講演会”の要旨を新年号に掲載する為、正月早々そのテープ起こしを手伝い、その難しさに困惑。とうとう木原編集長に応援して頂いたような次第です。広報の仕事って大変なんですよ。講演要旨をまとめてて、これから先の高齢化社会における“在宅医療”は大変だなあと痛感しました。それだけに、薬剤師も医療人として真剣に取り組んで行かなければならないのではないでしょうか。
○戌年にあやかり、犬も歩けば・・・。我々市薬も一歩一歩前進し、私の干支にバトンタッチする頃、ワンワンダフルといえるような年にしたいものです。今年一年間の会員の皆様方のご協力をお願い申し上げます。

(橋口)

○在宅医療の講演会では、大変勉強させていただきました。
 それまでは高齢化というと、なんとなく漠然ととらえていたのですが、異体的な数字を示されてとても驚きました。
 高齢者にあたる65才以上の人の割合が近いうちに日本の全人口の1/4に達し、さらにその3%にあたる人々が何らかの介護を必要とするだろう。又、未だかって、これ程の猛スピードで高齢化した国は例がないという事実。
 同時に日本の経済は、現在高度成長期を終え成熟期に入ろうとしています。
 その中で、我々薬剤師の仕事は単なる、薬物の管理者としてのみではなく、北欧の薬剤師が言う、福祉の番人として、ますます重要なものになってゆくのではと身のひきしまる思いがいたしました。

(荒巻滋)

  

  

平成6年1月31日発行(隔月年6回発行)
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会
T E L 092-714-4416
発行人  三津家 正 友
編集入  木 原 三千代
広報委員 樋 口 昌 嗣
     坂 田 博 子
     橋 口 扶佐子
     荒 巻   滋
印刷所  (有)興英社印刷