■ 巻 頭 言
正 念 場 (社)福岡市薬剤師会 会長 藤原良春

医薬分業の推進という言葉が、医薬分業の適正化という言葉に変わった。その意味するところは、大型であれ小型であれ門前薬局の否定ということである。

従って今度は、今までのようにマンツーマン型で個人が進めてきた分業推進は困難になる。その意味では、適正化というのは分業抑制策である。しかし、分業そのものは時代の流れとして進んでいくし、後退することはありえない。

分業先進県といわれる福岡は、マンツーマン型の処方せん応需で30%の分業率を達成しここまで進んできた。それがあったからこそ広域病院の処方せん応需にも大きな困難な問題もなく対姉できたわけであるし、地域医療に寄与するものは誠に大きかったといわなければならない。

さて、今回の調剤報酬改訂ではほとんどの全員が大きな影響を受ける。調剤を主としている薬局では、今までのような経営が成り立たないところも出始めている。しかもこれは序の口である。次回の改訂では、生活基盤を失う会員が多数出てくることも予想される。

福岡型の分業の弱点がもろに露呈したわけであるが、それを克服するために全員が一丸とならなければ、会員はもとより市薬組織も崩壊する。

一方、OTC薬を主とする薬局にとっても数少ない例外は別として、大半の薬局が価格破壊、規制緩和の波にもまれてジリ貧の状態に陥るのは目に見えている。したがって、医療、福祉、介護に参加する以外に道はない。

市薬という組織は会員のために存在する。会活動は、これを第一義とするのが当然である。会員の経営、経済の安定あってこそ市薬という組織も存在する。

いま、時代のテーマはかかりつけ薬局の育成である。何故か。結局そこにしか生き残り策は見いだし得ないからである。そして、かかりつけ薬局の認定は地域住民が行う。とするならば、今後は常に地域住民を視点に入れた諸施策に重点を置かなければならない。

在宅医療への参加、推進はその最たるもので、行政、医師会、歯科医師会、地域団体を巻き込んで進められていく。広域病院も例外でははい。ここに積極的に参加することによって、というよりこれを足がかりとして分業率のUP、パイの拡大につなげなければならない。幸いにして、行政も福岡市医師会も在宅医療を積極的に推進している。

すでに薬剤師にとっても共通の問題として取り組める土俵はできあがっている。躊躇している段階では ないということを強調しておきたい。このパイの拡大なしには、処方せん集中度問題の解消はあり得ないし、また、面分業推進なしにパイの拡大もあり得ない。これを最大のH標として市薬はもちろん、支部、部会でも真剣に取り組んでいただきたい。

重ねて申し上げるが、誰かが何とかしてくれるであろう、どうにかなるであろうという甘い考えは許されない事態に立ち至っている。

今こそ、組織力、団結力が試されているのである。私はすべて、かかりつけ薬局の育成というその視点で会運営に当たりたいと考えている。最後に、正念場という言葉でご挨拶に代えさせていただきたい。

<代議員会報告> 役員選挙を終えて 選挙管理委員会 委員長 毛利久美子

役員選挙の結果
  会 長 藤原良春
  副会長 光安龍彦
   〃  細井徹一
   〃  篠崎正幸
  監 事 長谷川宏明
   〃  井原俊一

選挙が終わって、3週間が経ちました。不安と緊張のうちに過ごした期間中が思い出されます。

選挙管理委員会は、11月15日、会長の委嘱により各支部及び勤務薬剤師会から1名ずつ、総数8名でスタートしました。市薬剤師会では2回目の選挙のため、前回の経験者の方々に話を聞きながら、更に会員にとって身近な選挙に歩を進めるべく、討議を重ねました。

代議員の方々が会員の声を反映した投票が出来るようにするにはどうすればよいか、その中から出てきたのが、一般の会員の参加による立会演説会でした。

規則上の問題、広報で十分という意見、質問をどうするか等々、背中に厳しい会員の声を感じながらの結論でした。立会演説会は整然と進行し、候補者の方々のお考えは勿論ですが、熱意、雰囲気、そしてお人柄までが伝わり、貴重な経験になりました。

選挙方法についても、選挙規則の不備も相まって、8人8様の意見が出され、“ちょっと待って下さい”と頭を抱え込む場面もしばしばで、私は時計を見ないことにして、限られた時間の中での精一杯の選択でした。

選管で方針を決定した後、

 1月18日立候補者及び推薦人に対する説明会
 1月19日 代議員会議事運営委員会での説明
 1月22日 立ち会い演説会

と当日に至るまでの重要な仕事に直面する度に成果と反省を繰り返す中で、委員会は1つにまとまり、熱気あるものになっていきました。選挙を通して組織が大きくなればなる程、社会における役割が重くなればなる程、選挙規則の充実の必要性を痛感します。

選管委員の資格、選挙方法、立会演説会を明確に位置づけて頂きたいと思います。強い向い風の環境の中で今求められる基盤強化のために実績を生かして頂きたいと願います。

短期間に会の根幹にかかわる部分に参加することができたことは、正会員になって3年弱の私には、貴重な体験でした。

選管の先生方、事務長は、口の中がカラカラに渇き、メモした文字が見えなくなったり、頭の中が裏白になって言葉が出なくなったりのさんざんな委員長を暖かく、懐深く受けとめて下さいました。又、選挙の中で励ましのお言葉をお送り下さった先生方もあり、忘れ難い思い出です。

選挙が終わり、川沿いの道を歩いている時、これ程の場にこの私が居合わせたという事の重大さに安堵というより、これでよかったのかという自責の思いに、体の中を風が吹き抜けるような後悔に、体中が満たされたことが思い出されます。日が経ち、いっもの自分にもどった時、あるがままをあるがままに受けとめる私流の生き方で、納得しています。そして、又いつものように少し緊張し、少し疲れ、少し幸せな毎日がもどってきました。

臨時代議員会選挙についてのインタビュー

◎ 選挙が始まって休憩時問に聞きました。“今回の選挙をどう思いますか。”

○ノーコメント
○バカなこと、二度としないよう、会長は話し合いで。
○市薬は分裂してます。
○この選挙は泥仕合で、本当に選挙で選ぶことに会員は成熟していない。早すぎる。
○無記名だからよい、正常なあり方、民主的なあり方。
○執行部に期待出来たらよい。
○まだわからない。もっと回を重ねるとよい。
○前回よりもよい。
○将来に対するビジョンの討論をもっとやって欲しい。
○会長と監査は選挙でもよいが、副会長は会長の指名又は信任とするがよい。
(この意見は多く、会長と副会長は一体でないと運営が出来ない。)

◎時間の合間に

開局の方、勤務の先生方にインタビューして思いいました。公平な目でしっかり眺めていらっしゃること、相手を批判する段階でなく、一致協力する現況だと思いました。新しい執行部の先生方頑張って下さい。宜しくお願い致します。

(冨田)

 

 

薬連のページ
新薬誠会結成 薬誠会 副会長 清水達三

衆議院小選挙区制による新3区の薬剤師会が太田誠一講演会として「薬誠会」を再結成致すべく、新薬誠会結成懇親会を2月10日「とり市」にて開催しました。

当日は医誠会会長の安部龍夫先生をはじめ、西区、早良区、糸島地区三師会の各医師会及び歯科医師会の会長全員の来賓出席と県議田中久也(西区)、横田進太(早良区)、井手善来(糸島)3県議に花を添えていただき盛大な新薬誠会の発足式と成りました。

更に木村市薬会長、次期市薬会長、前葉誠会会長の藤野義彦氏はもちろん、太田誠一国会議員の政局説明会を中心に各地区薬剤師会会員32名が共に親しく歓談し力強く励まし合いました。

尚、今度の新薬誠会会長には吉田斌氏が、副会長に清水達三・古川栄司氏が、顧問には前会長の藤野義彦氏が決まりました。今後は太田誠一代議士を支える会として、新3区3地区三師会にも「薬誠会」が認知される事に成ります。

そして県の薬務行政や市の衛生福祉行政にも政治力が如何に大切かが認識されるように成ってきた現今、その一員として増域医療・保健福祉向上の立場に薬剤師が如何にかかわる事ができるかを考え後援活動をする事を誓合いました。

この新3区には名簿上だけでも900名を越す薬剤師が在住し、その家族縁者を入れると相当数の有権者がおり一大勢力と成ります。それを今後は緻密で実の有る講演会会員集めに出席会員全員が幹事として団結し積極的に活動することだと誓い合いました。

尚、その場で西区医師会の遺永会長から“今後は三師会でもって太田誠一講演会をやって行こう”との提案が有り、満場一致で採択され賑やかに散会しました。

薬誠会懇親会

日 時:平成8年2月10日(土)午後7時
場 所:『とり市』

【来賓】
  議員
   太田誠一 衆議院議員
   田中久也 県議会議員
   横田進太 県議会議員
  医師会
   安部龍夫 医誠全会長
   井上朝生 糸島医師会会長
   道永 顕 西区医師会会長
   森 龍平 早良区医師会会長
  歯科医師会
   小笹勝利 糸島歯科医師会会長
   矢田正嗣 西区歯科医師会会長
   村上義和 早良区歯科医師会会長
  薬剤師会
   藤野義彦 薬誠会顧問
   梶原敬史 福岡県薬剤師会会長
   木村英樹 福岡市薬剤師会会長
   藤原良春 福岡市薬剤節会

<私と薬> 東区の在宅ケアについて 東保健所 所長 恒吉香保子

世界で日本人ほど薬好きの国民はいないとよく言われる。これは江戸時代にすでに定着していたそうである。文政7年に刊行された「江戸買物独案内」これは業種別ショッピングガイドとも言えるものであるが、総掲載店名数は約2,600である。業種別のランキングを見ると、薬種・売薬が259店で約1割とトップである。

現在に生きる私達が薬局を利用する頻度は此の時代より遥かに多い。調剤薬局としての機能の他に、スポーツで痛めた学生の筋肉痛用湿布剤、企業戦士として疲れた親の総合ビタミン剤、風邪のひきはじめの総合感冒薬など、どの年齢層をとっても店頭を訪れる人々の利用度は江戸時代に比べかなりのものであろう。

昨年、福岡市の在宅ケアホットライン事業に薬剤師会も参入するとの報に接し、先ず頭に浮かんだのは事業のPRの場としての薬局の購買客層の大きさ。それに加えて市民にとっての町中での身近なロケイションの良さ。多くの市民にこの車業を知っていただける画期的なチャンスではと、明るい想いが胸を満たした。

保健や福祉関係の制度を是非市民の皆さんに知って頂きたくて、効果的にPRしようと意気込むのだが、現実の効果はなか年か思うにまかせない事が多いのだ。店頭にみえた方からの健康に問題を持つ高齢者に関する情報のキャッチと在宅ケアホットラインへの情報発信、いずれにしても市民が気軽に立ち寄れる薬局の存在は地域で大きい。

平成4年度に高齢者の在宅ケア支援事業(在宅ケアホットライン)開始するに当たり、東区では保健所と医師会との協議の結果、高齢者支援の保健・医療・福祉の連携において特に在宅医療を重視してほぼ月に1回の定例的な在宅医療委員会と保健所との会合を実施してきた。

平成5年度6年度も保健所の在宅ケアホットラインへの相談事例を中心に共通の課題を抽出して、医療機関からの市町村への情報提供制度や住宅総合診療料の周知、訪問看護ステイション制度の理解、医学の各分野としては「痴呆」:かかりつけ医やパラメディカルスタッフの痴呆患者への対応のレベル向上や、「褥創」:予防から治療まで最新ケアの知識の取得など医療従事者の研修を企てた。

東区では薬剤師会より入江理事が平成5年12月からオブザーバーとして参加され始めた。「何をどこでどのように支援していったらよいのかご意見、ご要望を積極的に出して頂きたい」、「在宅服薬指導の手始めに誰と同伴したらいいのか、主治医から患者に薬剤師が訪問することを告げておいて欲しい」etc.意欲的に検討会に参加されている。

脳卒中や骨折中心の原因疾患中心の状態から、今年度はリウマチやパーキンソン症候群など、基礎疾患も多岐にわたってきた。厚生省の動向でもいよいよ難病患者対策に力を入れてきているので在宅ケアの幅と奥行きは広くなってきた。

幸い東区は現在訪問看護制度の活用も全市でトップであるし、薬剤師会・歯科医師会の参加で訪問服薬指導や訪問歯科診療・訪問口腔衛生指導等個別のサービス部門も充実してきた。益々関係者のネットワークも拡大してきて喜ばしいことである。

国の高齢者対策の目標は新ゴールドプランに示されているが、それぞれの目標値が単独に一人歩きすることでは真の市民のニーズにあっていないものになってしまうことを危惧する。様々のサービスや制度に強引に高齢者を合わせてしまうのでなく、個別のケースを徹底的に大切に検討し、「事例に学ぶ」事が私の方法である。

1)既存の制度や組織間で連絡を十分に取れば解決できるもの。2)既存の制度の狭間で欠落しているもの等など個別の症例への対応にとどまらず普遍的な問題点を浮き彫りにするためにも活用したいものである。

また東区での特徴は従来できるだけ多くの医師会役員と保健事業の相互理解を図るために医師会長以下保健所職員との会合を15〜20名程度の規模で催してきた歴史がある。が、それとドッキングして行われていた在宅ケアの事例検討をより充実し、広く在宅医療の裾野を拡げろために困難な事例には主治医中心のカンファレンスを頻回催していきたいと計画中である。心理的距離を最小にし本音で関係 者が話し合える場は貴重である。

今後は薬剤師会の訪問服薬指導で高齢者が納得して十分な服薬管理を行えば在宅医療の実は上がるし、各種検診のすすめや医療機関への紹介など、また、保健所での体力測定のチラシの配布など、様々の接点を持って「寝たきりにしない・ならない・させない」の究極の高齢者対策に薬剤師会とスクラム組んでやっていきたいものである。

<薬剤師会薬局> 福岡市薬剤師会を訪問して 薬業時報社 大阪支局編集部 橋本綾

弊社のファーマウィークの企画、「薬剤師の在宅医療」で、2月2・3の2日間福岡市のケースを取材するために訪問した。取材先として同市に白羽の矢を立てたのは他でもない。全国でも有数の在宅医療先進地区であったのは勿論のことであるが、このほかに、福岡市薬剤師会と在宅医療、そして私自身が偶然ともいう形で結びついているように思えたからである。

その偶然とはまず、私事ではあるが入社後初めて掲載された記事らしい記事が、昨年5月に市薬が在宅ケア・ホットラインに参画したことを取り上げたものであったこと。以来、市薬と在宅医療が記憶として深く残り、私の関心事の一つとなった。

もう一つの偶然とは、今回の取材で大変御世話になった冷川副会長との出会いである。昨年12月に仙台で行われた日薬学術大会で、ポスターセッションの取材をしていた際、在宅に大変詳しい様子の人を見つけ、是非話を伺おうと声を掛けたその人が冷川副全長であった。

実はこの数週間前も別件で冷川氏と電話で話していた私であったが、まさか偶然声を掛けた人が冷川氏だったとは、名刺をいただいて大変驚いた。そして大会に参加していた木村会長、中島副会長、樋口専務理事を紹介して戴いた。

という経緯で市薬の方々と知り合いになったわけであるが、今回の取材にご協力戴けたことに大変感謝している。2日間という短い取材期間ではあったが、市薬に関して紙面に載せきれぬ程多くのものを得ることが出来たように思う。

特に在宅医療をはじめとする地域医療参加にかける意欲、市薬薬局の取り組みにみられる市薬あげての面分業推進事業などに、見本として取り上げるに値するものと思う。

市薬が今後も目の離せない取材先としてますます発展し、全国薬剤師会の先駆的存在となることに大きな期待を寄せている。

ひとこと

日薬学術大会の2日目、ポスターセッションの会場で、福山市のそうごう薬局による在宅の発表があった。演者に若い女性が熱心に質問していた。多分どこかの薬局に勤務する女性薬剤師だろうと考えていた。彼女の質問が途切れたところで、演者に質問をいくつか行った。

質問を終わって次のポスターを見ていたら、先ほどの女性が名刺を持って声をかけてきた。名刺には薬業時報社・記者橋本 綾とある。なんと先日、九山大会の記事の件でクレームを入れた時、誤記事で申し訳ありませんと詫びの電話があったばかりだった。

この偶然の出会いに、早速、木村会長、中島副会長、樋口専務理事に橋本記者を紹介した。これが縁で、1月下旬、福岡市薬の在宅業務を取材したいという連絡があり、2月2・3日に来福され、その時の取材内容が2月19日号のファーマウィークに掲載された。取材の折に、それならば市薬ジャーナルにも一文をとお願いして、ここに書いて頂いた。

これからも、橋本記者にはファーマウィークの紙上で、福岡市薬を取り上げてもらうよう期待しています。

(冷川)

<研 修> 第28回日薬学術大会に参加して (社)福岡市薬剤師会 前副会長 中島英之

平成7年度の日薬学術大会は、阪神大震災の影響で、神戸で行なわれる予定が中止になり、急遽会場が変更され、杜の都、宮城県仙台市で、12月9・10日の両日に、「新医療時代の担い手をめざして〜ファーマシューティカルケアの理念と実践〜」のメインテーマをかかげて、史上最多の約8,000人の会員を集めて盛大に行なわれた。

薬剤師を取りまく環境が激変する中、医療、保健、福祉の枠組みが変えられようとする時代にあって、薬剤師は医療の担い手として、役割と責任を果たして、いかに社会に貢献することができるのか。 医薬分業に対して厳しい問い掛けがなされている今日、社会が薬剤師という存在を認めている理由を改めて考え直し、その期待に応え得る薬剤師像を打ち立てていく上で、大事な時期に立っている認識が、これだけ多くの会員を集めたのであろう。

私にとって、仙台は京都大学の学生時代に七帝戦(旧七帝国大学定期戦)のテニスの試合で行って以来、30年ぶりであった。その時の仙台の印象は、東北大学近辺しか知らなかったこともあって、古い小さな田舎町だったが、今回行ってびっくりした。

東北の中心都市で、東京が近いだけあって、東京の衛星都市的雰囲気があり、洗練された、実しい大きな都市に変貌していた。学会会場も、仙台国際センターに集中していて、短い準備期間にもかかわらず、素晴らしい運営でした。関係各位のご努力に敬意を表します。

学術大会は12の分科会で研究発表され、熱心な議論がなされた。その中で最大のハイライトは、薬局・薬業経済合同分科会で、日薬として長年の宿題であった「薬局のグランドデザイン」の概要が中間発表としてなされたことであった。その内容についてご紹介したい。

 

薬局・薬業経済合同分科会
「薬局のグランドデザインについて」

日本薬剤師会医薬・分業推進対策本部 委員幹事 平野伸幸氏の講演から

薬局のグランドデザインについて議論され始めたのは、約4年前にさかのぼる。日薬の医薬分業推進対策本部の討論の中で、「将来の医薬分業推進計画を立てるには、薬局のモデル像を作りあげる必要があり、それを土台に進めていかなくてはいけない。」の考え方が提起され、検討が始まった。今日までの間、「医薬分業グランドデザイン」について討議された一時期があったが、やはりその基礎になるのは、「将来の薬局像」であるということになり、標題に落ち着いた。

21世紀に向けて、処方せんの発行枚数が加速度的に伸びることが予想されるが、それを既存の薬局がしっかり受けとめると共に、地域医療体制の中心として、薬局がどのような役割を果たさなければならないかが、基本的視点になっている。その際に考慮すべき要素としては、薬局の規模、薬剤師の能力、職能のあり方など、さまざまな問題があるが、今回示されたのは、2005年の現状を想定したものである。2005年では、分業率は48%、処方せん応需枚数7億枚を予想している。

これに対応していくために、薬局はこうあらねばならないという方向性すなわち薬局の目標として、次の4つの条件が柱となる薬局像が考えらている。

(1)薬局、薬剤師は地域社会の中で、薬の責任者である立場を全うするために、医薬品の一元的管理そして供給体制作りを目指す。そのためには、常時開局体制が必要となるので、地域で当番制などのシステムを構築しなければならない。

(2)薬局が医薬品適正使用の主導的役割を果たす。

(3)薬局がセルフケア支援の主導的役割を果たす。

(4)保健、医療、福祉の連携が進んでいく中で、福祉に関する地域ケアの分野で、薬局の役割を確保する。

これらの目標を達成させるためのグランドデザイン作成の段階で、現状調査の目的で、日薬は、平成7年2〜4月にかけて、全国の応需処方せん枚数300枚/月以上の薬局2000軒を対象にアンケート調査を行なった。

有効解答775件を基礎に作成したグランドデザインの骨子が、表1〜表5である。各項目ともに、薬局 の現状を考えると、かなり高いハードルになっている。アンケート結果をみると、薬局の置かれている現状に対して、かなり厳しい考え方をしている会員が多い。それらをまとめたのが、表6〜表13である。

資料:薬局新聞 H.7.12.20号
Pharmaweek H.7.12.4号

 

 

私は現在の薬局の現状とグランドデザインのギャップをどのように埋めて行って、今の薬局が21世紀にも生き残れるように成長していくか、各会員は真剣に考えなくてはいけないと思う。結論的には、研修を重ねて、薬剤師職能を高めて、それを発揮し、国民から薬剤師の存在についてコンセンサスを得て、その結果、かかりつけ薬局が育成されて、医薬分業を正しい方向に推進させることが大切だと思う。

私は3月で副会長を退任したが、今後は、新執行部にリーダーシップを発揮してもらい、その手腕に期待したい。

頓服 日薬学術大会こぼれ

市薬ジャーナル前号の「九山大会面白紀行」では、ベランダに閉め出された先生や、冷水浴をした先生の話が書かれていた。もう一人、酒に酔わずに車に酔った先生もいたんだが・・。

さて今回日薬学術大会ではどんなエピソードがとび出すやらと、ふといたらぬ考えも頭をかすめた。1日目、会場につき目的の漢方部会会場へ行くと超満員、立見も困難な程であった。あきらめて、薬局・薬業経済調査合同部会会場へはいる。こちらも盛況だが、それ以上に会場が広いので前の方に座れた。

既にグランドデザインの中間発表が始っていた。この内容については中島先生が詳細に書かれているので省略するが、納得いかない内容であった。

その後2題、東北での2薬局の面分業への参加実例、同じく東京での安売り乱売薬局がどう処方せん応需薬局へと体質変換したかという発表があった。その後、サテライト会場で在宅医療と薬剤師の講演を聞いた。

2日目、ポスターセッションの演者立合いまで、少し時間があるので、会場の隣の青葉城跡へ樋口専務理事、中野理事と行ってみた。途中道端で、中野理事が「オウレンが生えている」と言われ、近づいてみると間違いなくセリバオウレンであった。

春3月だったら花が咲いているのになあと思いながら天守台へと来た。天守台から見渡すと仙台は街並がきれいに造られている。雄将伊達政宗も、徳川幕府に遠慮して天守閣を造らなかったそうだ。歩いてポスターセッションの会場へと戻る。

ここもかなりの人でにぎわっている。講演発表と違い、発表者と対面して質問できるのがかえってよかった気がする。今後こういう学会へ出席した時は、もっとこのポスターセッションに参加しようと思った。

一応学会の目的を果たし、帰りの飛行機迄の時間、松島へと観光に出かけた。これで何事もなくと思われた帰りの松島駅を目面にして、N先生が足を滑らし、歩道ですってんころりん。ああ、右手の甲をすりむいてしまった。上海でオートロックに部屋から閉め出され、唐津ではベランダに閉め出され、またも今回、オチを作られた。

(冷川)

<研 修> 処方検討会・特別講演会
病院の再生−薬剤師の専門性を生かして−
(社)福岡市薬剤師会 前社保担当理事 下瀬和俊

日 時 平成7年12月7日(木)7時
場 所 福岡市中央市民センター
講 師 国立病院九州医療センター 副院長 鴛海良彦先生

12月7日、外はもう真暗になり7時からの開演に仕事を6時過ぎには終えて、会場である中央市民センターに急いだ。処方検討会では、初めて外に会場を借りての講演会なので人は集まるのだろうかと心配しながら着いてみると、みんな講演を期待してだろう、いつもの様に多くの会員の顔が見えて安心した。

中島副会長の座長のもと定刻7時より講演会は始まった。会長のあいさつに続き今日の演者である国立九州医療センター副院長鴛海先生の紹介があった。立たれた先生は白髪の紳士で柔和な顔立をされた先生である。講演の途中に言われたが、先生は敬虔なクリスチャンであるとのこと、副院長ということでどの様な先生かと思ったが何だかとっつきやすそうな先生である。

講演が始まるとまず診療の中に占める薬剤師の位置付け、薬事委員会の役割、医薬品の効率的な管理運用、調剤薬局の役割、かかりつけ薬局の在り方、薬剤師の専門性と講演の内容の説明があった。病院の再生の中に副題として薬剤師の専門性を生かしてという話をされるとのこと、色々な話が聞けそうであると思った。

前身の国立福岡中央病院時代の苦労話から始まった。先生は放射線科の出身だそうで診療科にもメジャーとマイナーなものがあり、放射線科は非常にマイナーな診療科だそうである。我々からするとCTとかMRIとかの読影で非常に時代の先端の様な気がするのだが中身はそうでないのかもしれない。

そういうマイナーな中から苦労されて副院長になられ、病院の中でも意見が通る様になり医薬分業の100%院外処方に踏み切られた。当時は院外処方せん発行に対して医師がはばまれ、患者も院外になると医療費が高くなりいやがっていたそうである。がしかし先生は院外になると薬歴により管理され患者にとって利益になるものが多く、それに対する費用は受益者負担と考え、どんなに反対されても院 内にはもどされなかった。

先生にとっては院外処方せん100%発行は、もちろん病院管理の中の一部であり、頭の中には多岐に渡る病院管理が理路整然としている様である。これは中央病院時代、不幸な事故があった事にそうでないスタッフまで非難されその様な目で見られたたかれた経験が生きている様である。

今我々の薬局に来ている処方せんもトータルオーダリングシステムにより作り出されているのだが、このコンピューターも医療現場から作り出されたもので、決して業者が考えたマニュアルを使っているのではないそうだ。診療精度と患者サービスの向上、病院業務の効率化、病院収支の健全化、医療事故の予防を考えて作り出された物であるということである。

現在の地行浜に移転する時、院外処方は2月の時点で発行率33%、これが3月になると92%になっている。何故この様に出来るのか?講演の中で病院が決めて会議にかけ、同意を得たならば間髪をいれずにすぐ実行をする事である。時間をかけると失敗するのだと言われてまさにその通りだなと思った。

その様にして出て来た処方せんであるが、院外に出たら知らないとは言われなかった。このことは薬剤科の牛島先生のご尽力にあると思う。

病院には色んな職種の方が働いているが、職員の意識改革、医療事故の防止、診療科のワクを越えた連携、職場間の壁を破る結果、地域医療の場における位置付け、運命共同体の認識をあげられ説明をされた。我々が処方せんを受ける以上、病院とは運命共同体であり、今回の講演は医療センター内だけのことでなく地域医療を担う調剤薬局を含めた内容の話であると理解した。

医薬分業の四文字の中に含まれる意味は非常に多くの事を含んでいると思わされた講演であった。

貴重なお話をありがとうございました。先生と皆様の健康と活躍を心よりお祈り致します。

 

<研 修> 在宅医療講演会
〜痴呆とは?漢方薬は効くか?〜

日 時 平成8年1月24日(水)午後7時
場 所 福岡市薬剤師会館 講堂
講 師 福岡市医師会理事 鹿井博文先生

皆さん今晩は、只今ご紹介頂きました福岡市医師会理事の鹿井です。いつも講演しているところは老人クラブなどが多くて金さん銀さんみたいな方ばかりですが、今日は薬剤師の先生の勉強会ということで若い方も多く緊張しています。

今日私に与えられたテーマは「痴呆の臨床」ということで、堅い内容なのでこう言った物を持って来ました。以前鹿児島の出水に講演に行ったとき、「長寿人生」と印刷された和タオルをいただいた物です。皇寿というのがありました。「そろそろゆずろか日本一」111才。普通70〜80才くらいまで、よくて90才までのはありますが100才以上書いてあるので珍しいですね。非常にめでたいので皆さんにご 紹介したいと思ったからです。

ぼけずに健やかに、長生きをする、我々の願いでもあります。確かに日本は、世界の長寿国の仲間入りをしています。かつて65才以上の老人は10%位といわれていたが、今や14〜15%で老人は増えています。数にして1700万〜1800万人と、どんどん増えています。長寿で長生きするということは、大変嬉しいことですが、それとともに痴呆老人の占める割合も増えています。

65才以上の老人人口は今述べましたが、痴呆老人の占める割合は、いろんな統計にもよりますが、5〜6%で少ないように見えますが、年齢が上がるに従って比率が増えます。85才以上では4人に1人、25%の老人が痴呆で、大変高い比率です。人ごとではない。

このように多いと痴呆であることを隠す必要はありません。隠しても意味がないのです。むしろ隣近所の人に分かってもらって、サポートしてもらうことが一番大事です。これからますます増えるので何も恥ずかしいことはないです。夜になると排掴し外に飛び出してドロボーが来てるので警察を呼んでと大騒ぎします。隣近所の人は何事が起こったかと驚きます。

しかし、「うちの婆ちゃん最近ぼけてきまして、ご迷惑を掛けることがあるかもしれませんが宜しくお願いします。」と一言頼んでおくと、「そうか隣の婆ちゃん最近ぼけたんだな」と分かってくれます。人事ではありません。お互い様なのです。昼夜を問わず飛び出して行って、行方不明になっても近所の人が連絡をしてくれます。呆けかかったかなと思ったら治療を速くスタートするのに意味があります。

物忘れが始まった時はたして痴呆の始まりなのか、年をとってきて誰にも起こる物忘れなのかといった境目のところを少し話してみたいと思います。

〈健忘〉 という言葉と 〈痴呆〉 という言葉があります。持つ意味を考えてみます。健忘という言葉は読んで字の如しなのですが、健康な物忘れ、健やかな物忘れ、ということですね。うっかり物忘れです。

私達にとって日常生活で大事なこと、例えば印鑑とか預金通帳とか日頃あまり使わないと、なおし込んでしまって、そのなおした場所が思い出せない。こう言ったことは健忘の類に入ります。しばらく捜しているうちに、押し入れのあそこになおしてたんだ、と思い出します。

良くあることで人の名前が出てこない、顔は分かってお互い「今日は、お寒いですね」と季節の挨拶とかしてるんですが、固有名詞が出てこなかったりすることがあるんですね、しばらく喋ってるうちに、山田さんちのトメさんだったとわかります。これは日頃の中で経験することです。

あれ、これ、そのとかいった固有名詞以外の言葉を言っていると、だんだん言葉が出なくなって来てます。どんどん、どんどん忘れて行きます。きちっと名前を言っていると忘れません。健忘は日常生活にさほど支障はない、進行しない、一過性、一時的なものです。人の名前が出てこなくてもしばらくすると出てきます。生活そのものには影響しません。

ところが痴呆はそうはいかない。痴呆という字の持つ意味を眺めてください。人間は知的存在です。良く発達した大脳を持っているわけですが、この知的存在が病になる。やまいだれが着くわけですね。大脳が病気になるというと交通事故で頭の怪我をする、頭部外傷の後遺症、物忘れをする、脳卒中で倒れる、脳梗塞とか脳血栓あるいは脳出血を起こしたりして脳にダメージをおこす。

そう言ったものも痴となります。あるいはかって三井三池炭坑などであった一酸化炭素中毒なんかで、脳の虚血状態となる、そうするとこれが痴の状態ですね。これらが痴呆の痴と思っていいです。

次の呆の字、良く見ると何かの形に見えませんか?人の形に見えるでしょう。ところが良く見ると口は頭なんですが、空、虚です。うつろです。正常な状態でないです。なぜならば知的なものが病です。そして下の木は身体を現してるんですが、身体だったら大の字でいいわけです。ところが大の字ではない。棒があります。ではこれは何だと思いますか?これはおむつです。赤ちゃんがおむつを付けてもらっている姿です。

痴呆者は発病当初は非常に元気で夜になるとゴソゴソ、ゴソゴソだします。昼と夜が引っ繰り返って排掴し行方不明になって、警察に保護されることになります。日常で問題になるのは食行動の異常が出ます。全然御飯を食べなくなったり、あるいは過食状態になり5分もすると御飯ちょうだいと言い出します。

排泄に関してはトイレできちんとできなくなります。所かまわず排泄します。押し入れを開けておしっこしたりもします。すると家の中で介護しにくくなりおむつを付ける。こう言った状態です。これが痴呆の本態です。うっかり物忘れや健忘の類ではありません。日常生活に支障が来て症状が進行してきます。

先ほどの話のように御飯を食べて満腹なのに又欲しがり、食べたでしょうといっても駄目です。そして御飯を食べさせないのかと言って家族に攻撃的になります。それは食事体験そのものがきれいに忘れられているのです。普通私達は食事しておなかがいっぱいになり満足感があるのですが、満足感さえ感じられなくなっているのです。そして1日5回も6回も食事をするというケースもでてきます。これが健忘と痴呆の違いです。

次に痴呆を大きく2つに分けると脳血管性痴呆とアルツハイマー性痴呆にわけられます。日本はどちらが多いでしょうか?脳血管性痴呆ですね。うちの病院で4〜5年前取った統計では2:1でした。今どっちが増えているでしょうね。皆さん知っているでしょうが1.5:1でアルツハイマーの方が増えています。

何故だと思いますか?私なりの考えですが、戦前と戦後の食生活の違い、例えば町中を歩けばマクドナルド、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、ローソン、セブンイレブンといった横文字の店が増えています。電子レンジでチンといわせて食べるようなファーストフードの食品は戦前はありませんでした。欧米から入ってきた食生活ですね。もしかしたらこの食物に関係あるのかなと感じています。

その理由は、今何の癌が増えているでしょう?大腸癌ですね。レーガン前大統領は、大腸癌とアルツハイマーですがね、恐らく食物が関係しているんじゃないかと思います。もう1つ脳血管性痴呆発症因子、リスクファクターとして上げられるのは2つあります。高血圧症と糖尿病です。これは九大の小島教授が言われています。私もそう思います。

しかしこれらは早い時期からコントロールしていきますので合併症は起こりにくい。血管障害は起こりにくい。当然その結果として脳血管性痴呆は頻度が下がってきている。ということは相対的にアルツハイマーが増えてきているのではないかと言われています。学者によれば脳血管性痴呆とアルツハイマー性痴呆の違いを鑑別するためには患者さんがなくなった後、脳の組織を見てみなければわからないといわれています。私達は臨床所見で区別してますけど、実際はなくなった後解剖して調べます。

脳血管性痴呆は詰まったりしてやられます。脳卒中をするとリハビリをします。半身が麻痺して手足が動かない。一生懸命リハビリテーションし、筋肉のトレーニングをして回復してきます。麻痺して喋れなかったのが喋れるようになります。ここで問題なのは脳卒中を起こして半年〜1年ほったらかしにしておくと痴呆症状がでることです。

大事なのは身体が回復したからホッと一安心でなくて、知的な働きかけをしておかないと知的機能はどんどん落ちてきます。障害が起きたところから先は虚血状態になって脳細胞がやられているのだから、そのダメージというのは相当なものがあります。身近に脳卒中の人がいたら知的働きかけをするのが大事です。こう言ったものが血管性痴呆です。

アルツハイマー痴呆は脳の細胞といったものは電気現象ですが、細胞がニューロンをのばしてシナッブスをつくり次に伝達をする。電気信号がA地点からB地点までピピピピーと流れていきます。ところがアルツハイマーはこれが変性します。

専門用語で言えばアルツハイマーげんせん変化、アミロイドの沈着とか最近はアルミニュウムが沈著してるとかいろんなことを言っていますが、原因は分かりません。けれども細胞そのものが変性します。健康なニューロンではなくなっていくのです。

するとどうなるか。私達は信号をA地点からB地点に送りたいのだが行かない。C地点にいったり、D地点にいったりとんでもないところへ送られます。すると私達の思考の統合、まとまりが悪くなります。まとまった話ができにくくなります。アルツハイマー痴呆の進んだ方とコミュニケーションをとろうとしても言語的なコミュニケーションが取れない。言葉で意思を通じ合うことができにくい、私達が話している内容が理解できない。向こうのやってることがちんぷんかんぷんで、最後は言葉がほとんど出なくなっていく。病状がどんどん進んで行きます。

どこがやられているかというと脳血管性痴呆は病巣がはっきりしているが、アルツハイマー性痴呆は例えば梅干しがしゅっと縮んだように、脳味噌がしわくちゃになってぎゅっと縮んでしまっています。大脳皮質の萎縮ですね。特に全体的な愚考回路を統合する前頭葉とか記憶を司る側頭葉などが非常に縮んだ状態になる。CTスキャンをみてみると梅干しが水の中にポッカリと浮かんだような感じで脳味噌が見えるわけですね。こう言う状態がアルツハイマー性痴呆なのです。

治療に反応するのはどちらだと思いますか?どちらも難しいのだが薬物を使ったり、生活機能を回復したりする訓練をやったりするのです。そうです。血管性痴呆ですね。なぜでしょうか?脳の細胞は生まれてから成人になるまでに140〜150億になるといわれています。

学者によっては1000億という方もいます。生まれてから死ぬまでの間にその何%が使われるのでしょうか?4〜5%です。140〜150億の財産を持っているのにそのうちの4〜5%しか使わずにあの世に行くわけです。非常にこれはもったいない話です。この倍ぐらい使うとアインシュタインぐらいのレベル位になるでしょう。

要は頭の使い方だと思いいます。もっともっと使うと頭は喜ぶのでしょうか?これがヒントです。脳のキャパシティーというのは非常に大きいのです。ある部分がやられてしまう。リハビリテーションするとどうして動ける様になるのでしょうか?それは他の健康な脳の部分に働きかけることによって、代償してくれるのです。本来ならある部分が持っていた機能を他の部分がやってくれるようになる。働かせる様になったり、喋れる様になって脳が回復してくるのです。

脳血管性痴呆では脳代謝斌活剤として、例えばセレポート・エレン・アバン・脳循環改善剤として例えばカラン・サアミオン・セロクラールそういったものが使われます。アルツハイマー痴呆だと、お手あげなのか?確かに変性したニューロンを元の健康なニューロンには戻すことはできない。今あるのはアセチルコリン仮説一つです。アルツハイマーの人は健常な老人に比べるとアセチルコリンの産生量が少ない。あるいは体内分解される。

じゃあアセチルコリンを増やすにはどうしたらいいか?アセチルコリンそのものを補充する。分解する酵素アセチルコリンエステレースをブロックすればいいわけです。かつてアメリカで夢の薬と言われたタウリン、聞かれたことあるでしょう。アセチルコリンインヒビター特効薬と言われたのですが、確かに知的機能は上がって来ました。ところが問題がありました。肝機能障害です。肝臓がやられます。結局ポシャッてしまいました。

しかし研究は続けられました。現に治験薬としてあるのはE2020これはやはりアセチルコリンエステレースインヒビターの改良版です。肝機能陣等を起こさない様にしたもの、こう言った物がいくつも開発されてます。まだそのレベルです。

これを投与するとどうなるか?例えば温度計を見て「今は30度だね」とか字が読める、数が数えられるようになるとか、集中力が上がったりしてます。只今Wブラインドでやってますが、結果は数年先です。販売は3〜5年後位になるでしょう。こう言った物が一番新しい話です。

痴呆の専門科は精神科医です。一番大事なことは鑑別診断です。はたして痴呆なのかという事をきちんと知る必要があります。是非精神科医が専門家であるということを皆さん知っていて欲しい。

 

痴呆専門病院における入院患者の実態調査

1.発症より入院までに要した時間

*6ケ月未満に入院
早期発見、早期治療ということで何らかのアプローチをする方が進行を遅らせることができる。
*2〜4年目に入院
発症して家で何とかしてみようと家族で介護されるが介護疲れで連れてこられる。
(外来でもいいからできれば早い時期に治療に入りたい)

2.発症の誘因

  配偶者の病気、死亡。配偶者の位置付けは大きい誘因です。

3.痴呆症状としては

  物忘れ、見当識障害、徘徊、被害妄想、失禁等です。

4.家庭での介護困難の理由

核家族化が進んで介護者がいない。徘徊、昼夜逆転で家族は夜も眠れなくなり、疲れ果てて来ます。火の不始末、火が恐い物だと言うことがわからない。特に初歩の場合まともな行動はできにくくなっても、食事を作ったりする記憶があったりするもので、鍋の空炊や風呂の空炊をして火事を起こしたりします。一人暮らしの老人が焼死んだりするのは痴呆だったりすることが多いのです。夜になるとドロボーがくるとパトカーを呼んだり、警察を呼んでくれと大声で叫んで近所まで巻き込んでしまいます。近所迷惑を起こして下手をするとそこで住めなくなる。

5.介助項目

痴呆の程度が高度でも歩行や食事は介助を要しないケースが多い。患者さんは、はじめのうち足腰しっかりして徘徊する。最終的には寝たきりになります。食欲は本能的なものですから、放って置いても食べれます。腐っていても、何でも食べます。異食と言う言葉がありますが、食べ物でない物でも食べます。ところが手順を要する物に関しては介助がいります。お風呂にはいる、散歩をする、洋服を着る(着衣失効)ということができません。排泄もトイレでできなくなります。ウォシュレットトイレなど、使い方が分からなくなって水浸しにしたり、きれいなトイレではそこでしたら悪いと思い便器の横でしたり、お風呂でしたりします。排泄の為誘導することが必要になります。

 

[定義]ぼけ(痴呆)Dementia Demenz

器質的な病変があります。

CTスキャン等取りますと脳梗塞の後があったり、器質の萎縮があったりします。オルガニックな病変があります。痴呆はオルガニックです。ファンクシャルでないと言うことです。脳の器質的な病変によって生じる慢性かつ持続的な知的機能全般の低下です。

痴呆は臨床上の概念で言うと、先天的に起こる精神発達遅滞、精神薄弱と言ったものと違う。後天的で一旦正常に発育したものが脳が病気になることによって知能低下が起こってくるのです。MRICTやソウルCTをとって診ると、病変がはっきり見える。異常なところが見つかる。臨床像あるいは臨床検査において脳器質固変がはっきりしている。意識障害がない。はっきりしている。クリアである。

意識障害が出てくるのはせん妄状態です。少し眠くなってうつらうつらしてきます。診察の場面で意識障害がないのが必須であります。この3つが揃うと痴呆と呼ぶのです。

 

痴呆患者の症状

夜間せん妄 24.2% 不安焦燥  9.9%
人物誤認  21.4  作話    6.6
幻覚妄想  14.8  攻撃的行為 4.4
うつ状態  12.1  弄ほう   3.9
徘徊    11.0  不潔行為  2.2
心気状態  10.4  自殺企画  1.1

夜間せん妄と徘徊は痴呆受診時の症状でN0.1である。

人物誤認:患者さんの奥さんを他人と思ったりする。

幻覚妄想:白い洗濯物がユラユラ揺れてるのを見て子供が幽霊と思うのは錯覚です。錯覚は実態があるものを間違って視覚すること。〈幻覚〉は実態がないものを認識してしまう。見えない物が見える。私達に聞こえない物が聞こえる〈幻聴〉、有り得ない物を本人が確信しているのを〈妄想〉という。財産を狙って、死ねばいいと思い毒を食べ物に盛られていると思い込んでいる。

うつ状態:ぼけてしまったら何も悩みがなくていいじゃないかと思われているが大きな間違いである。人間は知的レベルが高い。プライドが高いので自分が誰であるか分からなくなることは辛い。苦しいことである。最初のうちは常識があるので自分はどうしたんだろう、どうなるんだろうと悩みます。その例がレーガンです。自分はアルツハイマーにかかった。これからだんだん分からなくなる、めいわくをみんなに掛けるだろうと国民の前に自分の病気を知らせたのです。彼は随分悩んだでしょう。うつ状態で忘れてならないのは自殺に気を付けなくてはいけない。そうならないように初期の段階で受診しなくてはいけません。

心気状態:胸がドキドキする、狭心症になったんじゃないかとか。頭が痛い、脳腫瘍じゃなかろうか。おなかが痛い。胃癌ではなかろうかと大騒ぎします。これを心気状態といいます。健常な老年者でもあります。

不安焦燥:イライラして落ち着きません。

作話:作り話。私達はA地点からB地点まで道路を走らせます。凸凹がなければまっすぐ走らせられるのですが痴呆の人は凸凹道になっています。そこでアスファルト舗装をしてあたかもA地点からB地点までスムーズに走れる様にした状態が作話の状態です。私達は患者さんと話をするとき、作り話が入っている可能性があるぞとそういう見方をします。

攻撃的行為:これは大変困ります。オムツを替えようとしたり、陰部を洗浄しようとしたりするとにより興奮状態になって足で蹴られたり、手でなぐったり、罵倒したりします。又お盆をひっくりかえしたり、茶碗を投げっけたりもします。

弄火:火の悪さが分からない、火をもてあそぶ。

不潔行為:一番困ります。おしっこだけならまだいいが大便でお手玉をしたり、壁塗りをしたり、おいしそうに食べたりします。

 

在宅の中で一番苦労する問題行動

*せん妄 Delirium
 軽度の意識障害(もうろう状態)に精神運動興奮を伴う物
 ○比較的急激に発病する
 ○夜間に起こりやすい(夜間せん妄)
 ○幻覚・幻想を伴う

*排欄
 何の目的か分からないけどうろつき回る。本人としては目的があることがある。昔住んでいたところに人を尋ねて行きたいと言って出ていくが、どっちにいっていいか分からずウロウロして警察に保護されることがある。何故俳掴するのかを観察する。

*攻撃的行動

*不潔行為

*濫集傾向 
 スリッパ・チリ紙など何でも集める。お金と思っているのでしょうか。競って集めます。老人ホームから来た人でトイレのペーパータオルや使用済みのトイレットペーパーをもったいない、又使うといって懐に集めていた人がいました。

*性的行動  男も女も死ぬまで男であり女である。本能的なものは残されている。普通は本能的なものはより高いレベルでコントロールされているのだが、そのレベルがやられているので野性的なものとなり性的行動を働きかけて共同生活ができなくなる。

 

ここでいくつかの症例を紹介します。

[症例]:67才 男性 無職
主訴:精神運動興奮 不眠 易怒的 徘徊
生活歴:6人同胞の第3子 次男 義父妻との3人暮らし
病前性格:凡帳面でおとなしい
現病歴:平成元年リウマチの疑いで生体防御研究所に2年間入院、その際K大心療内科を受診しうつ病と診断された。C病院に検査入院したが夜間排桐のためH病院に同年7月〜10月まで入院、その後自宅療養していたが暴言、不穏、不眠があり介護困難となり平成4年3月13日雁の巣病院入院。

 私が鑑別診断が大事といった理由はうつ病と書いてあるが一般的な老人のうつ病と痴呆のうつ病は違います。症状は大変似ています。うつ病だったら皆さん何を使うと思いますか。抗うつ薬を使うでしょう。4環系の抗うつ薬であれば、ルジオミール、テトラミド、テシプールといったものがあります。特に老人の場合は副作用の少ない物を用.いますので、そういった4環系を主に用います。

 そのほか最近ではプロチアデンといった物があります。3環系の抗うつ薬ではトフラニール、アナフラニール、トリブクノール、ノリトレンこれは若い人に使います。

 どうして3環系を若い人に使うのかといえば、やはり錐体外症状が強く出るのです。喉がカラカラに渇いたり舌がもつれる、物が二重に見えた、手が震えるとか筋強剛といった副作用とかがパンパン出ます。

 それでこの方はうつ病と診断されてますので当然抗うつ薬はでてたのですがさっぱり効かなかった。それで私は痴呆のうつ状態だと考えました。抗うつ薬は全て止めました。そして脳代謝賦活剤、脳循環改善剤、興奮状態に対してのメジャートランキライザーを使うことによって落ち着いてきました。痴呆のうつ状態だと診断するのは大変難しい。

 

せん妄に対するLipo−PGE1の使用経験

 Lipo,PGE1パルクスという薬がありこれをせん妄に使う。まず血栓や動脈の塞栓によって血流が悪くなったケースで壊死とか起こすような循環が悪い時これを使うと血の流れが良くなる。そう言った薬があります。これをせん妄に使えないかと言うことで、使ってみました。

[症例]:85才 男性
主訴:夜間せん妄 不眠
現病歴:平成4年12月頃より自転車に乗って転倒するようになった。その頃より関節の疼痛を訴える様になり整形外科に通院。平成5年1月30日、トイレで転倒し頭部打撲、救急車で外科に搬送。脳梗塞と指摘された。

 このころより同じことを繰り返し述べたり、話の内容がまとまりのないものとなった。夜間せん妄、夜間徘徊が出現し家族も目が離せない状態となり、同年1月25日当院を受診入院。

 #Lipo−PGE1 1Omg2週間投与数日間で夜間せん妄・不眠が治まってきた後ハイドロキシジン、五苓散、脳代謝賦括剤を使った。


[症例]:72才 女性
主訴:夜間せん妄、被害妄想
既往歴:30才頃より坐骨神経痛
現病歴:長男との2人暮らしであったが平成4年6月頃より外出しなくなった。料理も作らなくなり食欲低下、物忘れやもの取られ妄想が出現し、話の内容も被害的なものとなった。夜間せん妄、不眠があるため同年12月4日当院入院。

 #Lipo−PGE1 10mg1週間以内に夜間せん妄、不眠治まる。脳代謝賦活剤、脳循環改善剤を投与していないとどんどん悪くなる。しかし早期に対処しておけば症状は取れる。後にサアミオンとかを使うとうまくいく。

〈まとめ〉

1.脳血管障害による痴呆患者に対しLipo−PGE1lOmgを2週間投与し、その効果を検討した。
2.問題症状としての夜間せん妄は数日〜1週間程度で消失し、精神的に安定した。
3.血管痛などの副作用は特に認めず、安全な薬剤であった。
4.治療の前後に於て血液、尿の生化学的検査を施行したが異常は認められなかった。
5.本剤は夜間せん妄の速やかな改善という点に於て有用である事が示唆された。

 

牛車腎気丸

八味地黄丸に牛膝と車前子を加味
下肢知覚障害(糖尿病性末梢神経障害など)
下肢の浮腫などが一層顕著な例

症例:83才 男性
主訴:排個 暴言 不眠 物忘れ
家族歴:精神科的遺伝負因(−)
同胞5人の5番目(男5人)妻 長男夫婦との4人暮らし
病前性格:頑固で無口 几帳面で短気
現病歴:平成元年12月16日、路上で転倒し腰痛をうったえ歩けなくなり、同年12月18日A病院入院、同年12月26日B病院へ転院、加療で歩行は可能となったが徘徊、暴言、尿失禁、下半身麻痺になる等の問題行 動が出現し、平成2年1月30日当病院へ入院。セレポート、グラマリール等の投与による上記症状はやや改善してきた。
経過:裏寒虚証(八網分類)と考え、八味地黄丸7.5g/日を併用したが、約1ケ月の投与で胃部不快感嘔吐が出現した為中止、安中散7.5g/日投与により軽快した。治療に対して意欲がなくなり、抑うつ気分出現し、平成2年8月10日よりアバンをセレポートに変更した。しかし依然として、腹部以下の冷えと痛み、夜間頻尿と不眠を訴えるため腎虚と考え牛車腎気丸を7.5g/日を9月7日より投与した。さらに歩行時のふらつきがあるためグラマリール(チアプリド)は中止し筋力増強のリハビリテーションを開始した。

 平成2年10月頃より、腰から下の痛み、冷えが和らぎ気分も穏やかになり頻尿もなく熟睡できるようになった。理学療法にも積極的に取り組むようになり約5ケ月の歩行訓練、階段昇降などのADLは著明に改善し表情も明るくなった。平成3年1月27日退院しその後外来通院しているが経過は良好。

 牛車腎気丸の投与により、裏寒虚証の状態が改善した。身体的な問題点の解決に伴って不眠などの様々な精神症状の改善が得られた。

 当初、八味地黄丸の投与により胃腸障害が出現したことから牛車腎気丸でも同様な訴えが予測されたためノイエル600mg/日を併用することで消化症状は予防できた。

 西洋薬と漢方薬の併用で治療効果を上げる事ができた痴呆の一例を報告した。

 

十全大補湯

(証)全身衰弱著しく胃腸の働きも弱り、貧血し皮膚枯燥、脈拍軟弱で温かい手をもって腹を按ずることを好み熱はない。
〈応用〉諸種の大病、慢性病、白血病や悪性腫瘍などで全身衰弱、産後や術後の疲労衰弱
〈八網分類〉裏寒虚証

症例:78才 男性
主訴:昼夜逆転 昼は傾眠がち食欲低下しやる気がない。
家族歴:7人同胞の1番目 妻 長女の3人暮らし
現病歴:生来健康な方であった。平成5年8月頃より食欲不振のため近くの内科医院を受診するが原因は不明。平成7年3月22日H病院で前立腺癌が指摘され、同年4月10日手術。主治医より「あと2〜3年の命だろう」と言われたが、本人には告知されていない。

 術後よりもの忘れが目立つ様になった。手術した事すら覚えておらず、妻が快気祝を送ろうとすると「何故そんな事をするのか」と怒り出す。見当識障害や人物誤認もあり、家族の名前を間違ったりする。昼夜逆転し昼は傾眠しがちで意欲がない。漢方医学的治療を求めて平成7年5月18日当科初診。

現症:表情変化に乏しくぼんやりとしている。問いかけにも口数少なく意欲低下がある。不眠、食欲不振、尿失禁、記憶力障害、見当識障害、人物誤認、作話など認める。
診断:血管性痴呆
受診時の処方
Rp オダイン 3T
カラン(5mg) 3T
ユベラ(100mg) 6C
AM散 4.0g
3×毎食後

 この処方は家族の要望として、いじってくれないようにと、そして漢方薬で何とかならないだろうかという事であった。

治療効果
 平成7年5月18日気血両虚の裏寒虚証と考え十全大補湯7.5g/日の投与開始。
 5/25 胃部の調子良くなり表情が明るくなるなど急激に症状が改善。
 6/8 書字が乱れていたのが、手紙などきれいに書けるようになった。
 7/20 意識がしっかりしてきた。
 8/3 市役所の手続きにも「自分一人でやる」と単独での外出が可能となった。
 8/17 この頃より単独での来院となる。話のまとまりが出てきたが、同時に作話が混在。

 このように漢方薬でも著効するケースがある。しかしケースとしては補剤である。ぼけずに長生きするにはお金や生きることなど、何にでも欲を持つことである。金さん、銀さんや泉重千代さんのようにユーモアがあり、明るい心を持ちましょう。


※以上、鹿井先生の講演内容をテープ起こしさせて頂きました。

(織田)

<研 修> 在宅医療に係わる研修会を終えて 博多支部 千代・吉塚部会 若草調剤薬局 磯田秀幸

在宅医療に係わる研修会が、1月24日午後7時から市薬講望で開かれました。演題は「痴呆の臨床」。

講師は福岡市医師会理事の鹿井博文先生。平成2年より雁の巣病院の診療部長として、痴呆の問題に取り組んでおられる気鋭の精神科のドクターです。

恥かしい話ですが、お話を伺うまでは、痴呆は血管性とアルツハイマー型に大別されることすら知りませんでした。自分の排泄物を口にする不潔行動(尿健康法とはもちろん異ります)に象徴される問題行動の凌まじさに改めて驚き、そして早期発見、早期治療によっては症状の改善も十分に可能であることを教えていただき、少し胸を撫で下ろしました。

痴呆症は世に余多ある病名の一つでしょうが、本人、もしくはその周りの人間に及ぼす影響を考えると、“痴呆”の二文字の重みは底知れぬものがあります。明日にも我が肉親の身に起こっても不思議ではありません。

かの地の元大統領のように、我が身に着実に忍び寄る“痴呆の足音”を聞かざるを得ない運命が私に、そしてあなたに待っていないとも限りません。興味があると言うものの、暗くて、重くて、避けたいけど、しかし、避けては通れないこのテーマを、鹿井先生はより明るくそして分かりやすく、時にはユーモアさえ混じえてお話されました。

そう言えば最後に痴呆にならない為の生き方、心構えにも触れられました。名古屋のあの、きんさん、ぎんさんの話がそれです。お二人はテレビのCMに出演、300万円の御礼を手にしました。そのうち200万円は福祉施設に寄付されました。「残りの100万円はどうされたのですか?」と誰かが聞いたそうです。お 2人の答え。「貯金だがね。わたしたちもそろそろ老後に備えんとー」。

百歳にして老後を考える−大長寿時代の名言・至言?

鹿井先生の言わんとされたこと。それは、70歳になろうと80歳になろうと、いや、きんさん、ぎんさんのように百歳になろうと、生きている限り物事は楽観的に見ること。前向きに意欲的に毎日を過ごすこと。「痴呆にならない為にはそんな生き方こそが大事なんですよ」鹿井先生の講演はそんなお話でおわりました。

2時間の研修会でしたが、約70人の出席者の皆様には、時間を忘れて熱心に参加していただきました。興味あるテーマと秀れた演者の相方を揃えることこそが、研修会の成否のポイントである−そんな当然のことを再認識させていただきました。無論、知的好奇心旺盛な多数の参加者の存在が大前提であることは言うまでもありませんが…。

<会員の広場> ああ実感 城南支部 友泉部会 アップル薬局 浦本恭子

昨年の師走は例年に無く冬らしい冷え込みの厳しい月だったように思います。

日頃は忙しさにかまけて滅多に電話をしない私が実家(北九州)に頻繁にするようになったのは、父が風邪をひいてからです。(これが曲者だったのです。高齢者の風邪を甘く見てはいけません!!)軽いカゼと思っていたのが、熟は高くなるはトイレにはひとりで立って行けなくなるはで、慌てて私達夫婦は店を閉めて父を病院に連れて行きました。検査の結果、炎症が強く肺炎の一歩手前と診断され即入院するように言われてしまいました。

年末のことで、本人は入院を嫌がっていましたが自宅で療養して病状が悪化した場合、病院は年末年始の休みに入って充分な対応ができないと先生に説得され、渋々入院することを承知しました。さあ、それからが大変です。

急いで入院の支度を整えて、再度病院へ。実家に戻って介護用ベッドの手配と設置場所の検討、古い玄関や部屋の改造、トイレや階段の手すりの取り付け等、退院後の介護をやりやすくするにはどうすべきか、頑の中が混乱していました。

その上、母までが風邪で寝込んでしまい、すっかり気持が落ち込んでしまいました。病院と実家を往復しながら両親の世話をどうやってやっていけばいいのか、それぽっかり考えていました。

そのうち、思ったより早く母が元気になったので、私は自宅に戻ることができました。父の入院中にベッドを設置し、家の中も改造をし介護しやすく、本人も動きやすくなったようです。

まだ先の話かなと思っていた(いや、思いたかった)介護の問題が目の前に現実となってつきつけられたのですから、一時はお先真暗の状態でした。病院の看護婦さんや介護補助員の皆さんの合理的な介護の仕方(床ズレの予防・清拭のやり方・寝返りのさせ方等)を見たり聞いたりしてとても参考になりました。

これらを確実に身につけて、さらに勉強し、環境(例えば、家の改造、種々の公的サービス等)を整えれば在宅介護も怖くないのではないかという気がしてきました。

幸い、父も3週間程度で退院でき、元の生活に戻りつつありますが、持病のある体であり、いつ介護が必要となるかわかりません。

年寄り2人だけでいつまでやっていけるか、いずれ北九州へ戻って両親を支えていかなければならないことを実感させられた今回の父の入院でした。 

■■トピックス■■ 市薬学術委員会

PAF桔抗薬について

血小板活性化因子(platelet−activating factor:PAF)はエーテル結合型リン脂質で肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、リンパ球、マクロファージ、血小板、血管内皮細胞、気道上皮細胞より産生される。PAFは血祭中および細胞のアセチルハイドラーゼによってすみやかに代謝されるが、極めて強力な生理活性を示す炎症性のケミカルメディエータであり、気管支喘息や腎炎など炎症性疾患および播種性血管内凝固症候群(DIC)やショックなどに関与していることが確認されている。

PAFは種々な炎症細胞より産生され、これらの炎症性細胞より気道収縮を引き起こすメディエークーを遊離させるとともに種々の炎症性サイトカインの産生をもたらし、さらに好酸球、好塩基球、血管内皮細胞の接着因子の発現を増加させることにより、より炎症を憎悪させる作用があると考えられる。最近、数 種治験されているが、PAF措抗薬による抗アレルギー作用とりわけ抗喘息作用が期待される。

日本病院薬剤師会雑誌 No.12 1995

マクロライド系抗生物質(MLs)の最近の話題

本来の抗菌作用とは異なる作用が注目を集めている。

1.免疫抑制・抗炎症作用:ちなみに免疫抑制剤のプログラフはマクロライドの一種である。

2.細菌の産生するバイオフィルムの産生抑制・破壊作用

3.消化管運動改善薬:14員環MLsの消化管運動促進作用(モチリン様作用)超未熟児の消化管運動を促進するためにこども病院でも時々使用する。

4.Helicobacter Pyloriに対する作用:クラリスロマイシンが第一選択薬。

MLsの抗菌作用は14員環MLsおよび16員環MLsの双方に認められるが、免疫系・バイオフィルム・消化管運動に対する作用は14員環MLsにのみ認められている。

日本病院薬剤師会雑誌 No.1 1996

降圧療法にK、Ca、Mg

降圧目的のために肥満の是正(総エネルギー摂取制限)、アルコール・NaCl摂取制限などの食生活改善を勧告している。K、Ca、Mgの降圧効果が米国では認められ、適量摂取を勧告している。

我が国では食生活の欧米化にもかかわらず高齢者や女性などのK、Ca、Mgの摂取量は少なく、摂取奨励が必要である。量不足と煮炊きなどの調理によりミネラルが喪失している。

Kの降圧機序は交感神経活動の抑制、Na利尿や血管拡張が挙げられる、肉、魚、牛乳、野菜、果物、イモに多量含まれるが調理の過程で失われるので生での摂取、調理法の工夫が必要。

Caの摂取低下は血圧上昇を促しやすいからCa補充療法が行われている。Caは牛乳、乳製品、小魚、豆、海藻に多いがCa吸収率からみると牛乳がよい。

Mgの降圧作用は弱いが体内Mg含有量と血圧とは負の相関があり、Mgの補充療法が行われている。Mgは種実(アーモンド、ピーナツ、ゴマ)、穀類、豆、海藻に多く含まれるが加工によって失われやすい。利尿剤はK、Ca、Mg利尿で低K、Ca、Mg血症を釆しやすいので、薬物療法施行中はこれらのミネラルの制限・補充を指導すべきである。

日本医事新報 No.3735

小柴胡湯に緊急安全性情報を配布

小柴胡湯の医療用エキス製剤を投与された慢性肝炎の患者88例に問質性肺炎が発現し(うち10例は死亡)、緊急安全性情報が配布されました。

間質性肺炎の初期症状は感冒様症状であり、小柴胡湯を授与する際には患者へ、発熱、乾性咳嗽、呼吸困難などの症状があらわれたらすぐに医師・薬剤師に知らせるように、服薬指導を行って下さい。

因果関係は明かではありませんが、繁用されている漢方エキス製剤であり、充分注意して投棄して下さい。

[参考]問質性肺炎とは

肺胞隔壁を病変の主座とし、原因不明のなんらかの刺激により肺胞隔壁に浮腫、細胞浸潤をきたす非細菌性炎症が生じる疾患である。

炎症が進行するにつれて肺胞隔壁に膠原線経を主とする線維化がおこり、肺胞隔壁は肥厚する。このため臨床的には肺が固くなりのびにくく、拘束性障害がおもな機能障害となって発症する。乾性咳と呼吸困難、とくに労作時の呼吸困難が主訴である。

胸部×線上びまん性スリガラス様陰影を認め、進行するに従い肺胞隔壁の弓長力の元進のため細気管支の拡張が生じ蜂巣状となり、胸部×線上は輪状陰影(蜂巣状陰影)となる。線維化はしだいに進み、多くは不可逆性であり、治療に反応せず予後はきわめて不良である。

本疾患は原因不明の刺激により肺胞隔壁に炎症、ひきつづいて線維化肥厚が発生する疾患と定義され、病 理学的診断名である。このため確定診断は肺生検にて行われる。

緊急安全性情報

小柴胡湯の投与による重篤な副作用「間質性肺炎」について

小柴胡湯による重篤な副作用「間質性肺炎」については、既に「使用上の注意」に記載し注意喚起を行ってまいりましたが、平成6年1月の改訂均降、問質性肺炎88例、うち10例の死亡例が報告されています。

本剤の投与にあたっては、下記の点に十分ご注意下さい。

1.投与中は十分なチェックをして下さい。
投与中は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難などの感冒様症状に留意し、このような場合には直ちに胸部]線によって間質性陰影(スリガラス様陰影)の有無を確認して下さい。
2.異常があれば直ちに投与を中止し、適切な治療を行って下さい。
3.慢性肝炎、肝硬変などを患者に投与した場合に発現していますので、観察を十分に行いつつ授与して下さい。

おしらせ1

福岡大学公開講座 −第8回薬学部卒後教育講座−

福岡大学薬学部では医療の現場で働いている卒業生の自己研磨の一助とするために、年2回の卒業後教育講座を開催しておりますが、今回はアレルギーをメインテーマとし、純学問的な側面からと、実際の臨床面からのとりあげを話題として、それぞれの専門の方お二人に講演をして頂きます。本講座は福岡大学公開講座の一環として開講しておりますので、本学卒業生に限らず、多数の方々のご参加をお待ちしております。

なお、奉講座邸「研修認定薬剤師制度」に該当する研修会として認可を得ておりますので、 薬剤師受講者には受講シール(3単位)を発行致します。

講 演

 1.アレルギーの発症機序と抗アレルギー剤
   岐阜薬科大学名誉教授 江田昭英
 2.アトピー性皮膚炎の臨床
   国立南福岡病院院長  三島三馨


日 時:平成8年5月18日(土)午後1時〜5時30分
場 所:福岡大学薬学部 3号館第3別館 301教室
対象者:薬剤師及び医療関係者
参加費:無料
申込先:〒814−80 福岡市城南区七隈8丁目19−1
  福岡大学薬学部事務室 TEL(092)871−6631 内線2260
  FAX(092)863−0389
  往復葉書に住所、氏名、年令、職業、電話番号を御記入の上、お申し込みください。
  FAXでの申込みも受付けます。
受付期間:平成8年4月22日〜5月10 当日参加も可

後援 福岡大学薬学部同窓会



<ほっとらいん>

おつかれさま 副会長を終わって 福岡市薬剤師会 前副会長 冷川襄

 この2年間、本当にめまぐるしい2年間でした。副会長として、総務・組織・薬局・広報・在宅医療を担当させて頂きました。それぞれ担当理事の先生や委員の先生方の御尽力で、それなりの成果を上げることが出来たと感謝いたしております。

理事会の発足時は専務不在でスタートしました。しかし1年後には広報委員長の樋口先生が専務理事に就任され、理事会内部は非常に強化されました。

まず組織委員会については、恒例親睦行事でありますソフトボール大会とボーリング大会、どちらも盛会裡に終ることができました。

また会員名簿を任期内に発行できました。名簿作成に当っては、県薬名簿の校正作業が重複し、発行時期が遅れてしまいました。また定款の改正作業中であり、役員選挙も迫っていましたので、定款と役員名簿は掲載できませんでした。その点に関しては不満足な会員の先生方もいらっしゃるとは思いますが、事情が事情なので御容赦の程お願いいたします。

担当常務理事の占部先生、会計常務理事でありながら応援頂いた松島先生、各区より出られた委員の吉村先生、蔵元先生、平島先生、深見先生、大隈先生、福岡先生、佐藤先生に御礼申し上げます。理事の小牧先生には途中からの参加でその実力を充分には出し切れなかったのではと申し訳なく思っています。

薬局委員会については10年目の福岡市民の薬草観察会が、今年から福岡市健康づくり財団との共催になりました。毘沙門山で大変好評を拍して行われました。あいれふの広報番組「おはよう・あいれふ」でも紹介されました。

それから今年度、新しい試みとして薬局製剤にとりくみました。会員から募集し、まず薬局委員会だけで製剤し、それから会員が実習して、薬局に持ち帰ればすぐに売ることができる段階まで行いました。今後の薬局経営にこの薬局製剤は貢献できるものと信じています。

担当常務理事の吉田先生、理事の戸田先生、各区から出られた中野(達)先生、山本先生、國武先生、井上先生、満生先生、行実先生、中野(勝)先生お疲れでございました。どうもありがとうございました。

広報委員会は市薬ジャーナルの発行回数を6回から4回に減らしましたが、その分内容の充実に勉めました。企画段階から委員会で十分練り、また校正にも非常に多くの時間を費やしました。各委員の先生方の御協力で毎号原稿不足ということはありませんでした。

専務理事の樋口先生、担当理事の北島先生、委員の荒巻先生、織田先生、坂田先生、冨田先生、大変ありがとうございました。

在宅委員会の方は、当初どういう進め方をすれば良いのかはっきりしないままにスタートしてしまいました。しかし博多区のモデル事業は福岡市の在宅支援サービスのすばらしさを全国にアピールすることができました。また各区それぞれ保健所と協力体制を作ることができ、在宅ケア・ほっとライン相談協力薬局として支援ネットワークに参加しました。

またそのネットワークの中に訪問服薬指導も位置づけられました。それから医師会の在宅担当理事樋口先生、在宅委員鹿井先生を講師にお招きし、研修会を開催いたしました。この委員は今後ますます重要な位置づけがなされると思います。

担当理事の入江先生、委員の磁田先生、柴山先生、合澤先生、浦上先生、冨永先生、下瀬先生、遠藤先生それに薬局委員会と兼任の常務理事吉田先生ありがとうございました。

最後に総務に関して少し触れたいと思います。この部門は私にとって大変勉強になりました。まず社団法人の認識が行き渡っていません。社団法人は公益法人であって会員の利益擁護の為の団体では無いということです。

私達薬剤師の職能を生かして、市民に貢献する事業を行う団体であります。このことは会員の先生方全員に認識して頂きたいと思います。

そして今回定款改定作業に当り、民法を勉強することができました。理事の位置づけ・権限・責任というものが軽んじられています。会長であれ、副会長であれ、専務理事であれ、常務理事であっても民法上は全て同格の理事です。代表権や責任は全て平等に持っています。

会長が選任した理事だから、会長の権限で勝手に更迭はできません。逆に会長を気にいらないからと辞表を出してやめるということはできません。このことは充分認識して頂きたいと思います。

2年間弱の短い期間ではありましたが、会員の先生方にこういう機会を与えて頂いたことに感謝いたして、御礼とさせて頂きます。

 

薬局委員会の思い出 福岡市薬剤師会 前常務理事 吉田邦夫

 薬局委員会担当事項:薬局の経営および業務に関する事項(定款細則)と定義されています。

・薬局経営ガイドライン説明会は、県薬務課に解説をお願いし、区単位で実施、約70%の先生方の出席をいただき、これからの薬局経営の在り方に付いて勉強。

・漢方薬研修会は、冷川副会長(はなたれ薬局)に鼻アレルギーと花粉症を講演して頂きました。

・区主催健康フェアの協賛では、各支部ともいろいろと趣向をこらし、健康茶や薬用酒、そして生薬の展示等、薬局委員と支部長さん始め、多数の先生方の協力で各保健所から又、市民の皆様から大変喜んでもらえました。

・薬局製剤製造実習では、全員の皆様に実習参加をつのり、厳選の上、15名の方と一緒に「薬局製剤業務指針」片手に5製剤を製造実習しました。

詳細に付いては、市薬ジャーナル前号、戸田理事と江藤、田中両先生の記事を参照下さい。実習し、実際に製造し、自分が製造した製品が売れた時、又、「この前買った先生の作った薬下さい」と返り客があった時の喜び、この味を知ったらもうヤメラレナィ、トマラナィ。

お客さん(患者さん)と相談され、レパートリーをどんどん拡げられている先生も何人かいらっしゃいます。先ず、やってみること日自分の決めた値段で売れますし、価格破壊の心配などありません。

・薬草観察ウオーキング、従来は福岡市の主催行事で、薬剤師会は協力すると云う形でしたが、昨年から主催が福岡市、健康づくり財団、そして、市薬剤師会の共催と云う形に変わって来ました。

毎年市民の方100名を5班に分け、約50種類の薬用植物を説明し山登りしますが、先ず100名の定員に約3倍の申込みが有ります。これを健康作り財団で抽選しますが、その前に我々薬局委員会は8月頃から、観察予定地(だいたい前年度に決定)の下見に3〜4回行って薬用植物を決定します。

しかし残念な事に秋には雑草の除草が行われるので、事前に決定していた薬用植物が、一週間前の最終下見の時には無くなってしまって、あわてて別の物を見つけて付け加える等本当に大変な作業です。

が、参加出来た市民100名の方々からお礼を云われるとそんな苦労もどこへやら、サア、来年はどこの山で行おうかな、等話しながら近くの川辺や海岸で楽しいバーベキューをしてしめくくり。

尚、薬局製剤製造実習には久留米薬剤師会と筑紫薬剤師会から見学に来られました。又、薬草観察ウオーキングには、歯科医師会の先生と久留米薬剤師会からも参加され、大変有意義であったと思います。

 

理事としての半年間 福岡市薬剤師会 前社保担当理事 井上嘉明

私が社保の理事を受けて半年が経過しました。振り返ってみますと処方検討会の明け暮れでした。処方検討用の処方せん選び、講演をお願いするドクターへの挨拶、又、参加者増加のため市薬講堂では手狭になり、中央市民センター、あいれふと他会場探しなど盛会になるにつれ仕事量も増えて参りました。

また、日薬大会(仙台)に派達させて頂き、医薬分業のグランドデザインについて話を聞けたことでした。発表する機会があればお話ししたいと思いますが、これからの薬剤師、薬局としての厳しさや将来性について勉強できたことに感謝致します。

先日、浜の町病院の院長、薬局長にお会いする機会があり、今、薬剤師会として分業についてどの様な対応をされているか問い掛けがありました。 現在の広域病院等の応需状況を説明し4年前、九大病院が分業を行った時に比べ、薬剤師の処方せんに対する取り組み方、理解度が数段向上していることを説明して参りました。

ドクターの問でも連絡を密にされていもらしく、処方検討会のこともご存じでした。今後も継続して行って頂きたいと次期執行部にお願いいたします。

最後に理事としての資質に欠ける私ですが、これまでやってこれたのも各委員の先生方のご支援の賜物と息らております。本当にありがとうございました。  

 

理事を終えて 福岡市薬剤師会 前情報担当理事 山本和宏

 昨年8月30日情報担当理事に就任し、あっと言う問に半年が過ぎた。

当初、社会的にも薬剤師としても経験豊富な先輩方の中で、私みたいな未熟者が理事として仕事をするなどとは思いもよらぬことで当惑したのを思い出す。2年前より社保委員(城南)、急患委員(南)として市薬の仕事はしていたものの理事となると話は違う。しかし、何事も勉強だ。この様な決意の元お引き受けすることにした。

いざ、就任してみるとタイミングが良かったのか、悪かったのか備蓄集の作成、市薬薬局情報センター設立のためのコンピューター導入、研修会等のビデオ編集、社保や急患の仕事も重なり時間に追われる毎日が続いた。

中でも、備蓄集の作成には苦労した。データの入力は外注にだすものの、私の読みが甘かったのか、入力するデータが集まらず先へ進めない。そうこうしているうちに年末年始、市薬のコンピューターを薬局に持ち込んでの最終作業。

ようやく、先達て発行する事ができたものの今後の課題ばかりが残った。

それはさておき、私が社保、急患委員として2年間また理事としての半年間、様々な席で多くめ先生方の貴重なご意見を聞かせていただいたことは、いろいろな意味で私にとって大きな財産になったことと確信している。今後、今回の経験を少しでも生かし、市薬の為に何か役立つことができればと思う。

最後になりましたが、この間、多くの先生方にご指導をいただきましたことをこの場をかりて感謝申し上げます。

おしらせ2

第一薬科大学同窓会福岡支部総会・セミナーのご案内

日 時:平成8年5月・19日(日)午後1時〜5時
場 所:三鷹ホール7F 博多区綱場町2−2 (291)8366
テーマ:『薬物の相互作用と服薬指導』
講 師:国立療養所南福岡病院薬剤科 立石正登先生

※認定薬剤師の点数になる様に申請中ですので、研修カードをご持参下さい。

連絡先:いしばし薬局 (582)7915

[広報]

会議報告

【第11回理事・監事会】

日 時
平成7年12月20日(水)午後7時
場 所
福岡市薬剤師会館会議室
出席者
木村会長、冷川、中島、長谷川各副会長、松島、占部、吉田、篠崎各常務理事、小牧、戸田、市花、井上、成澤、入江、中野、北島各理事、高杉、池田各監事

議 事

1.会長あいさつ

2.報告事項
(1) 会務報告
(2) 委員会報告
(3) 学薬・勤務薬・商組報告

3.協議事項
(1) 定款改定案について−副会長定数問題−次回検討
(2) 支部企画イベントへの助成について−了承
(3) 試験センター業務規定(案)について−承認
(4) 他項目迅速水質・土壌・食品分析計購入について−次年度で
(5) その他
  副会長立候補の決意表明
  中島 (市薬薬局事業を開花させたい)
  冷川 (薬草観察会の充実、経営基盤の強化)
  長谷川(勤務薬剤師会の推せんで出てるが任期中に定年になるので、
          副会長は今期限りであとは監事に、後任は篠崎先生に)

 

【第12回理事・監事会】

日 時
平成8年1月17日(水)午後7時
場 所
「すし幸」港町本店
出席者
木村会長、冷川、中島、長谷川各副会長、樋口専務理事、松島、占部、吉田、篠崎各常務理事、小牧、戸田、市花、下瀬、井上、成澤、山本、入江、中野、北島各理事、高杉、池田各監事、三津家顧問

議 事

薬剤師会事業の運営と当面する諸問題について

 

【第13回理事・監事会】

日 時
平成8年2月9日(金)午後7時
出席者
木村会長、冷川、中島、長谷川各副会長、樋口専務理事、松島、占部、吉田、篠崎各常務理事、小牧、戸田、市花、下瀬、井上、成澤、山本、入江、北島各理事、高杉、池田各監事

議 事

1.会長あいさつ
2.報告事項
(1) 会務報告
(2) 委員会報告
(3) 学薬・勤務薬・商組報告
3.協議事項
(1) 新執行部への引き継ぎについて
(2) 予算執行について
(3) その他

 

【常務理事会】

日 時
平成7年12月13日(水)午後7時
場 所
タカクラホテル福岡
出席者
木村会長、冷川、中島各副会長、樋口専務理事、松島、占部、吉田各常務理事

議 事

1.会長あいさつ
2.報告事項
(1) 定款の改定案について
(2) 支部企画イベントの助成について
(3) 役員改選について
(4) その他
3.協議事項
 1.代議員を選出する会員数10人に1人を15人に1人と改める
 2.B会員を支部会員数に等入する
 3.賛助会員を定義付けした
 4.支部活動費助成額決定

 

【支部長会】

日 時
平成7年12月15日(金)午後7時
場 所
福新楼
出席者
木村会長、冷川、中島、長谷川各副会長、樋口専務理事、松島、吉田、篠崎各常務理事、北島広報委員長、松井、木原、梅末、吉田(斌)各支部長、岩佐、本村、合澤各副支部長

議 事

1.会長あいさつ
2.協議事項
(1) 定款の改定案について−再度検討する
(2) 支部執行部との協議結果について−項目毎に説明
(3) その他一薬誠会の経費残は西支部に引き継ぐ。

 

【第2回部会連絡協議会】

日 時
平成8年2月26日(月)午後7時
場 所
福岡市薬剤師会館 講堂
出席者
会長、副会長、専務理事、常務理事、理事、監事、支部長、副支部長、郡会長 

〔部会連絡協議会〕

議 事

1.会長あいさつ
2.平成7年度事業報告
(1) 委員会報告
(2) 学薬・勤務薬・商紺報告
(3) その他
3.質疑応答

〔福岡市薬剤師会連盟総会〕

議 事

(1) 平成7年度決算認定について
(2) 平成8年度予算承認について

 

理事の先生方の事業報告に耳を傾けている と、この半年間の市薬の行事が走馬灯のよう にかけめぐってきます。報告の中に淡々と想 いを述べられ、どの先生方の顔にもさっぱり した表情が見受けられました。時間との戦い のようなスケジュール、事業を成し遂げて、ホ ットしたというのが偽らざる本書です、とあ る先生の言葉。本当にお疲れさまでした。

市薬の事業もどんどん複雑さ、活発さを増 してきています。そんな中、若手の先生方の 協力も見逃せません。新しい人材の育成も着 実に育んできたこの半年間を改めて思い返す 会でした。

1月末の選挙により新三役が決まり今後どの ような形で引き継いでいかれるのか。 バトンタッチ、走者からバトンは託されました。

(坂田)

委員会報告

【情報委員会】

日 時
平成7年12月12日(火)午後6時
場 所
福岡市薬剤師会館会議室
出席者
中島副会長、山本、井上各理事、久池井薬局長

議 事
市薬薬局情報センター設立の件
コンピューターソフトetc.の打ち合わせ

【在宅委員会】

日 時
平成8年1月19日(金)午後7時
出席者
木村会長、冷川副会長、吉田常務理事、入江、下瀬各理事、柴山、浦上各委員

議 事
1.老人訪問看護ステーションとの連携のとり方について、入江理事より説明

【学術委員会】

日 時
平成8年1月19日(金)午後7時
場 所
網元
出席者
長谷川、中島各副会長、篠崎常務理事、市花、成澤各理事、藤田、石飛各委員

議 事
1) 次回学術研修会の打ち合わせ
 a) 2月末か3月上旬に「更年期外来の現状について」を予定
2) 平成7年度事業報告と反省点
 a) 月末の日程は避ける必要あり
 b) 講宝のカーテンの買い替えを考える
 c) 生涯研修制度の単位取得のため1ヶ月前に県薬へ届出ること
3) 平成7年度決算途中経過報告
 a) 案内ハガキ代が通信費に入ったため、予算総額は130万円となっている。
 b) 講師料55,555円、出動費28,000円、委員会費28,000円の合計111,555円が必要である。
4)その他

【急患委員会】

日 時
平成8年2月2日(金)午後7時
出席者
中島副会長、成澤、市花、山本各理事、竹尾、小松、高丘、馬場各委員

議 事
(1) 3、4、5月出動表作成
(2) 新規出動希望者説明会1/31(水) 白石聡美、今村幸代、村松恭子
(3) 出勤者登録表の訂正の件
(4) 平成8年度出勤者確認表の発送の件
(5) 今年度出動者懇親会の件 3/22(金)を予定
(6) 医薬品集 第6版について
(7) 小児の年齢、体重と薬用量を確認の件
(8) その他

【広報委員会】

日 時
平成8年1月8日(月)午後7時30分
場 所
変喰通
出席者
木村会長、袷川副会長、樋口専務理事、冨田、織田、坂田、荒巻各委員

議 事
 ・1月号を振り返って
 ・4月号の企画

日 時
平成8年1月29日(月)午後7時30分
出席者
冷川副会長、樋口専務理事、北島理事、冨田、織田、坂田、荒巻各委員

議 事
 ・1月号の写真返送、謝礼送付
 ・4月号の原稿依頼とレイアウト企画

日 時
平成8年2月23日(金)午後7時30分
出席者
冷川副会長、樋口専務理事、北島理事、冨田、織田、坂田、荒巻各委員

議 事
 ・4月号第1回編集、校正
 ・企画変更そのレイアウトと原稿依頼
 ・未稿催促
 ・写真整理、催促

支部だより

〔東支部〕

第6回東区三師会のつどい

日時:平成8年1月26日(金)午後7時
場所:リーセントホテル

1.開会の辞
 福岡市東区薬剤師会  江藤理事
2.幹事会代表挨拶
 福岡市東区薬剤師会  入江副会長
3.来賓祝辞
(1) 福岡市薬剤師会  木村英樹会長
(2) 福岡市医師会   大熊隆人会長
(3) 福岡市歯科医師会 中西勇副会長
4.懇親会
 乾杯 福岡市東区医師会 八木会長
 合唱 東杏混声合唱団
 アトラクション『ビンゴゲーム』
 万歳三唱 福岡市歯科医師会東支部 内田支部長
5.閉会の辞
 福岡市東区医師会   松本副会長

 第6回三師会のつどいは今回薬剤師会の担当で開催致しました。市薬より木村会長に来ていただき、祝辞をいただいております。

  出席者数 医師会会員   35人
       歯科医師全会員 38人
       薬剤師会員   25人

 それに、それぞれの市会長の出席を得て、総数で101名です。

 すでに6回目になっておりますので、三師会の先生それぞれ和気あいあいで、楽しい会でした。今回ビンゴゲームをしましたが、大変よろこぼれました。

(東副支部長 藤野)

〔博多支部〕

第2回「在宅医療懇談会」〜薬剤供給推進モデル事業のその後について〜

日時:平成7年10月24日(火)午後7時
場所:「三井アーバンホテル福岡」

来賓
 福岡市医師会
     大熊隆人会長
     樋口正士理事
出席者
 博多保健所
     押領司文健所長
     足達淑子予防課長
     大隈千鶴子地域保健係長
     早川文子在宅ケア主査
 博多区医師会
     福嶋恒彦会長
     御鍵儲治副会長
     桑原靖道専務理事
     木梨博史理事
     古原雅樹理事
     石橋明人理事
     万代澄子訪問看護ステーション博多管理者
 歯科医師会博多支部
     佐喜真盛雄支部長
     佐伯和雄副支部長
 福岡市薬剤師会
     木村英樹会長
     冷川襄副会長
     入江理裕理事
 博多区薬剤師会
     木原会長、森川専務理事、田代監事、磯田、藤田、蔵元、市原、山本各理事
     身元、森、安元、金田各委員、長谷川、山村、井手、岡村、吉富各部会長

昨年度の薬剤供給推進モデル事業のその後について、追跡調査を日本薬剤師会から言ってきた。そのため、博多保健所の足達予防課長から提案され七いたこともあって、これを機に各部会から1人ずっ10名の委員で構成する「在宅薬剤管理委員会」を設立することになった。

博多区で在宅医療をしている患者さんに、保健・医療・福祉各関係者間の連携のもとに、薬局・薬剤師がいかに責献できるかを検討することを目的とした。

ご挨拶される福岡市医師会大熊隆人会長昨年7月に続く2回目の在宅医療懇談会は、モデル事業の追跡調査への協力要請とともに、各委員の紹介を主な協議事項として開催した。

ご来賓としておいでいただいた福岡市医師会の大熊会長は「この会に出させていただくのは、3回目ですかね?いや4回目でしたね」とおっしゃりながら、「すみません、そこのローソンで買ってきました」とおもむろに出されたのはお祝いと書かれたのし封筒。

日医の代議員会で、東京日帰り出張のため、医師会の職貞さんが準備しておられたものを忘れてきたとのこと。それも、博多区薬剤師会の懇談会のために、大切な日医の代議員会を中途退席してまで駆けつけてくださったというのだから、まったくもってお礼の申し上げようがない。

ごあいさつに立たれた押領司保健所長は、市町村等行政への積極的な患者情報の提供をお原いになり、福嶋医師会長は協力をお約束された。そして、歯科医師会佐喜真支部長は、歯科衛生士の訪問指導が始まる事と口腔衛生の重要性を「口腔を清潔にすれば、肺炎か少なくなります」とおっしゃって、医師会の先生方から大拍手が送られた。

薬剤師会からは、モデル事業追跡調査のご協力をお願いし、磯田理事による各委員の紹介の後、懇親に入った。

 

〜訪問看護ステーション博多のカンファランス〜

日 時 平成7年10月28日午後6時30分
場 所 訪問看護ステーション博多
出席者 医師会:福嶋会長、古原、石橋各理事
    ステーション博多:万代管理者他8名
    薬剤師会:木原、磯田、蔵元

第2回在宅医療懇談会の席で、ひょんなことで蔵元理事が申し入れをしたことから実現した。カンファランスへの参加は、初めてのことでよくわからないが、ともかく行ってみようと3人で出かけた。6時25分、ステーション博多のドアをノックすると、すぐに管理者・万代さんの優しい出迎えを受けた。

一歩足を踏み込むと、奥の机に福嶋会長の笑顔。会長までおいでになっているとは思わなかったもので一瞬緊張する。会長の他に、担当理事の古原先生と広報担当の石橋理事が出席されている。ステーション博多は、マンションの一室にあり2LDK、6畳の和室に長机を並べてのカンファランスである。

管理者から、当月の患者数と訪問回数が報告され、介護用品の扱いについて提案されていた。写真の前の方に写っているダンボールの箱におむつカバーや差し込み便器、スプーンやフォークの特殊な食器がはいっている。

薬剤師が参加していたことから、介護用品や薬剤についての質問が多く出され、残業がかなり見受けられるとも報告されていた。また、ある薬局で、広域病院の院外処方せんを持っていくと、「薬を揃えるのが大変なんですよと言われるけど、そうなんですか」と、気の毒にともクレームっぼくともとれる質問があった。

薬剤師がなんとなくグチった言葉だろうが、このように取られることもあるのだから、気をつけねばと思いつつ、何か不都合がありましたらいっでもおっしゃってくださいと答えた。

帰りに、初めてのカンファランスは大変有意義で、「今後とも参加させてもらうことにしよう」とは、コーヒーをすすりつつの3人の反省の言葉であった。

 

日 時 平成7年11月27日(月)午後6時30分
場 所 訪問看護ステーション博多
出席者 医師会:福嶋会長、木梨、古原各理事
    ステーション博多:万代管理者他6名
    薬剤師会:木原、磯田、藤田

ケーキの箱をぶら下げてステーションのドアを開けた。途端に靴を脱ぐ暇もあったればこそである「木原さん、それフグ刺やろう?」。またもや福嶋会長の声、「来期の副会長は、桑原先生やけんね。御鍵副会長が辞めるけん…。うん、御鍵先生は監事になるよ」と。どうして薬剤師会がここで、医師会のトップ人事を聞くことになるのかしらと思うことしきりである。

今回の医師会の出席は、在宅担当の古原理事と木梨理事。先月に引き続き、介護用品の扱いが問題になっている。ステーションに介護用品を置くことの是非について、市医師会からの判断持ちの状況。福嶋全長は、市医師会の担当理事と電話をしながら、なにか不都合があれば私がお詫びをするからと言っておられるのが聞こえる。会長たるもの斯くあるべきかとただただ納得。

看護婦さん達はあった方が仕事がしやすいと要望されており、そこでも、薬局の介護用品の取り扱い状況についての質問がでた。

困ったこととして、夜間に急変した患者さんの処置について管理者からでていた。古原先生は、ノートに看護婦さんの報告を逐一筆記されている。市医の会議で出されるのだろう。

最後に、KT病院の患者さんが独居であることから、訪問薬剤管理指導をお願いできないかと依頼があった。訪問保健婦さんから以前に相談された患者さんのようであり、KT病院は院外処方は出しておられないが、処方せんの指示がないと訪問できないことから、特別にお願いすることにした。

 

博多区薬剥師会研修事業 〜薬局薬剤師の生き残りをめざして〜

1.日 時 平成8年1月13日(土)午後5時
2.場 所 福岡市薬剤師会館 講堂
3.演 題 『激動する薬剤師の周辺』
 講 師 日本薬剤師会 副会長 荒巻善之助先生
4.懇親会
 時 間 午後6時30分
 会 場 「タカクラホテル」
 会 費 3,000円(博多区薬剤師会員)
     5,000円(上記以外の会員)


博多区薬剤師会研修会
     司会 森川専務理事
1.講演会
 開 会     森川専務理事
 主催者あいさつ 木原会長
 講演会の座長  市原理事
 閉 会     森川専務理事
2.懇親会
 来賓
  福岡市薬剤師会長    木村英樹
  福岡市議会議員     福田康男
  博多保健所所長     押領司文健
  福岡市薬剤師会顧問   藤野義彦
 開 会          森川専務理事
 主催者あいさつ      木原会長
 来賓あいさつ
  福岡市薬剤師会会長   木村英樹
  博多保健所  所長   押領司文健
 乾杯のご発声
  福岡市薬剤師会顧問   藤野義彦
 万歳三唱
  福岡県薬剤師会専務理事 阿波欽治
 閉会あいさつ       鶴原副会長

博多区薬剤師会では今年度、社保委員会の各区ごとの処方検討会とは別に、独自の研修会を企画し、開催しました。開催日が1月ということで、有料の新年会を兼ねた懇親会にしたのですが、どれくらいの全員さんに集まっていただけるか心配でした。

しかし、それも柁憂に。演者が日薬副会長の荒巻先生ということで、講演会には70名、懇親会には50名もの参加者がありました。このところ、毎日と言ってもいいくらいマスコミに登場する公的介護保険導入。それを審議している「老人保健福祉審議委員会」のただ一人の薬剤師委員として活躍されている荒巻先生。今後の医療と福祉について、ご自分の体験談を交えながら、分かりやすくお話になりました。

講演会には、博多保健所運営協議会長の福田市議と押領司保健所長、早川在宅ケアホットライン主査、そして訪問看護ステーション博多の万代管理者も出席されました。

懇親会では、主催者あいさつの後、ご来賓の木村市薬会長、押領司保健所長にごあいさつしていただきました。その後、荒巻先生がお話になるということで、わざわざお出でくださった、藤野市薬顧問の乾杯のご発声で懇親に移りました。そして、締めくくりの万歳三唱は、出席者の中で、博多区薬剤師会の最高齢会員の先生を予定していました。

それで、藤田先生にお願いしたのですが、体よく断られてしまいました。そのため、最高齢には足元にも及ばないところの阿波県薬専務理事に、気の毒にも白羽の矢が立つところとなりました。でもさすが、県薬専務。貫禄ありましたよ。

終わって、生野菜のサラダがあまり手をつけられていなかったのを見て「やっぱー、さっきの荒巻先生のパーティ病の話が気になるっちゃろうね」と。これは、懇親会の参加者が少ないのではと“枯木も山の…”で参加させていた長男の枯木発言。

 

〜相談薬局設置準備のための調査訪問について〜

1.日 時 平成8年2月13日(火)午後1時30分〜5時
2.場 所 博多保健所
3.出席者
(1) 博多保健所 押領司所長、足達予防課長、早川主査
(2) 博多区医師会 福嶋会長、御鍵副会長
(3) 博多区薬剤師会 木原会長、森川専務理事、蔵元理事
 来訪者
(1) 鶴見薬剤師会副会長 山田三夫
(2) 鶴見区保健所 保健係長 山嵜巌
(3) 鶴見区福祉保健サービス課 福祉保健係長 阿部隆康
(4) (財)横浜・神奈川総合情報センター 主任研究員 人見和美 他1名
4.調査項目
(1) 博多区における在宅ケアの現状およびサービス推進体制について
(2) 在宅ケアにおける薬剤師会および薬局の役割について
(3) 薬局における在宅ケアの相談について
  (1) 事業の趣旨、内容、現状、課題について
  (2) 事業準備段階の取組みについて(研修、帳票、物品、広報など)
  (3) 薬局における相談ツールおよびその維持管理について
  (4) その他実施にあたっての留意事項
5.調査方法
(1) 担当者および関係者からの聞き取り調査
(2) 薬局を尋ねての現地調査

以上のような日程で、福岡市と福岡市薬剤師会の「在宅ケア・ほっとライン協力薬局制度」について、横浜市鶴見区から調査訪問がありました。

この依頼は福岡市にあったものですが、博多保健所で対応されることになり、博多区薬剤師会に協力要請があったのです。福岡市薬剤師会の事業についての調査訪問にもかかわらず、博多区医師会の御鍵副会長が協力してくださることになりました。

打ち合わせの時、福嶋会長は出席されないとのことだったのですが、保健所の駐車場で出会ってしまったのです、例の赤いベンツに。「えーっ!会長、来てくださったのですか」でした。

予定外の出席者で、資料が足りないと保健所の早川主査が慌てられたこと、これは内緒です。私たちが参加する前の会議で、すでに行政レベルの打ち合わせは終了。そこに医師会、薬剤師会が加わる形で名刺交換の後、写真のように聞き取り調査が始まりました。

写真の向かって左側が医師会、右側が鶴見区からの来訪者、正面が保健所そして手前が薬剤師会です。

鶴見薬剤師会の山田副会長によれば、鶴見区は会員数130の中、保険葉局は80で、調剤専門の薬局はおよそ16とのこと。会員数はほとんど博多区と同じですが、分業率はかなり違うようです。鶴見区に住んでいたという蔵元理事によれば、大きな工場があり、少し田舎で、ちょうど私の町・月隈に似ているそうです。

そのため、在宅医療への参加についても、訪問薬剤管理指導をしたいのは山々なれど、まずは福祉部門の参加から。また、介護用品の取り扱いについても考えているとのことでした。

前の会議で押領司所長から、博多区では協力薬局制度がスタートする前に、訪問薬剤管理指導が始まっていたと紹介があっていたようで、「医師会と、このように連帯できる秘訣を」と、医師会の福嶋会長に尋ねておられました。鶴見区にも医師会立の訪問看護ステーションはあるが、カンファランスに参加できるまでには至っていないとのこと。「そこが一番の突破口になりえるのでは」とは、訪問看護ステーション博多とのカンファランスを、不遜な下心(浅野ゆう子に似た看護婦さんに会ってみたい…)で、成功させた蔵元理事の言。

鶴見区の福祉保健サービス係長は、薬局の福祉部門への参加を大変期待しておられ、実際に薬局でどのような相談があっていて、どの程度の内容まで対応できるのかと具体的な質問をされました。福岡市薬剤師会がやっているのは、あくまでも在宅ケア・ホットラインヘの協力であり、相談を受ける迄はやっていないことを報告しました。

その後は、薬局を訪ねての現地調査訪問です。保健所に近いことから、森川専務理事の薬局を見てもらうことにしました。県庁をぐるっと周ると遠まわりになるため、総勢8人がゾロゾロと用もないのに県庁に入り、通り抜けさせてもらいました。

森川誠心望薬局さんは、どちらかといえば調剤よりも、OTC薬局の雰囲気。備蓄薬品の多さに「すごいですね。これだけあれば…」と、協力薬局のステッカーや、パンフレットを置いてあるカウンターを写しながら、しきりに言っておられました。

終わったのはちょうど5時。明日は、博多区の福祉事務所を訪ねますとおっしゃって、5人は地下鉄の県庁前駅へ。

それにしても、気合が入っていますね。横浜市鶴見福祉事務所長名で、押領司所長宛に来た依頼文によれば、派道職員等の(1)に鶴見薬剤師会副会長の名前があり、4名となっていたのに実際は5名派遣されているのですから。

かかったでしょうね、出張旅費。いらんこったい!他人の財布の中身まで心配せんでちゃ、と言われそうですが、博多区薬剤師会の予算を眺めて、ため息をついていたもので、つい…。

(博多支部長 木原)

 

〔中央支部〕

中央支部役員・部会長・監事・代議員会

日 時 平成8年2月9日(金)午後7時
場 所 タカクラホテルフクオカ会議室
議 事
1.第34回市薬臨時代議員会報告(任期満了による役員選挙の件)
2.平成7年度事業計画推進について
3.その他
(1)次期(4月より)市薬会長・副会長に中央区推薦の藤原先生・光安先生当選の報告。
  尚、選挙制度の在り方について協議。
(2)医師会訪問看護ステーション指示医師(現在、在宅医療に携わり自家投薬をしておられる
  医師)に対する近隣薬局によるアプローチ、在宅医療の参画について協議。
(3)副支部長に川上繁先生就任。

終了後、別室にて懇親会。 

(北島)

 

〔早良支部〕

早良支部理事会

日 時 平成8年1月24日(水)午後7時
場 所 一水
出席者 清水、本村、本川、江頭、松尾、冨永、有馬、浦上、冨田、行実、北、福岡、西岡
議 事
1.市薬会長・副会長の選挙について
 記名選挙(会長、副会長、監事、三分割投票はどうか)
 会 長1名(候補:木村、藤原)
 副会長3名(候補:冷川、中島、光安、細井、篠崎)
 監 事2名(候補:井原、長谷川)
 市薬代議員(7名)
  清水、有馬、本村、冨永、南島、橋口、浦上(代)
2.新薬誠会結成について
 結成懇親会 平成8年2月10日(土)早良区10名、西区10名、糸島地区10名
3.早良区薬剤師会次期役員改選について
4.会費について
 特別会費として1件が5千円ずつ部会より支部へ、値上げはしない。 

(冨田)

 

〔南支部〕

南区三師会地域懇談会

三師の連携を強める意味で以前より年1回南区三師会が行われ、各会長、副会長、専務の出席で行われていた。九大病院、医療センター、南福岡病院と広域の処方せんが発行されるようになってくると、南区薬剤師会としても数ヶ所の基準薬局に備蓄をお願いし、応需態勢の強化をはかった。

地域医療が重視される流れにそって役員のみではなく地域三師会会員同士の融和協力が必要という認識が一段と深まり前大庭支部長、岩佐副支部長の努力で三師会対抗ソフトボール大会、三師全地域懇談会が企画・準備され、平成6年に継ぎ具体化された。

会員名簿の再編成 今期当番会である南区歯科医師会の御協力で退会会員、新規入会会員の再チェックにより名簿を作成した。

地域法の編成 医師会16部会、歯科医師会8部会、薬剤師会5部会を歯科医師会組編成に合わせて8班に区分した。(H7.10.1現在 登録会員数)



1)実際には、地域的に他の法に入った方がよい場合も多々あると思うが、まず会合をもつことが先決であるので、今期中3月迄に斑懇談会をもってもらい、その後に調整をすることにした。
2)自分の所は、三師連携している甲で、班会議をわざわざする必要はない。商売仇が一緒になる必要あるのか、今しなくても時期がくれば自然とそうなるのではないか、等の意見もあったが、事情経過を説明し了解を求めた。
3)地域の三師が面識をもち相互理解し協力していくことが地域住民の信頼をうけることになるという点で一致した。
4)8班の各班長24名外各師役員共々有意義な意見交換と開催日程が大半決まった。

南区薬剤師会としての対応
1)薬剤師会員がこの運営には積極的に参加すべきである。
2)表でわかるように医5、歯3、薬2の比率である。OTCのみ又漢方専門であるとか保険薬局でない会員もあるが、出来るだけ参加して頂きたい。
3)オーナーだけでなく、処方調剤の実務にあたっている管理薬剤師、勤務薬剤師も積極的に参加してもらいたい。
4)第1回目は会長は全班に出席し、出席薬剤師1人につき5000円を助成する。
5)出席者全員のネームプレート(医・青、歯・黄、薬・白)をつける。スナップ写真をとる。

(班会議を終えて)
(1) 開会30分前には医、歯、共に過半数の先生方が来席されているのには感謝した。
(2) 当番会である歯科医師会より、近隣三師が隣同士になるよう席順配置がされ、又、山本歯科医師会副支部長より、開会に当り趣旨及び経過説明をして頂いた。
(3) 医師会より、備蓄薬品について、服薬指導について、患者負担について、部会内の連けいについて等々、積極的な御意見を頂いた。
(4) 三師会対抗ソフトボール大会は、特に話題になったが、薬草観察会、健康ウオーク、南区健康フェア、南区医師会演芸大会等、お互いに積極的に参加しようという声も多かった。
(5) 勤務薬剤師は女性が多い為、大変なごやかな雰囲気になり好評であった。
(6) 地域三師全会員の分布図(高宮、大橋、井尻、皿山)も出来、活用がのぞまれる。
(7) これを機会に、何人でもよいから集って懇談の場を考えようという話も多く出た。
(8) 患者は自分を診てもらう医師はよく知っている。又調剤し、服薬指導をした薬剤師もよく知っている。この医師と薬剤師が相互連携していることを知った時、患者の地域医療に対する信頼は更に探まるであろう。
(9) 後日、これを機会に早速処方せんを出すことにした(老司)、一皮話に出ておいで(高宮)ということを聞き、よかったと思った。
(10)今年4月からは南区薬剤師会が当番会である。医療費改訂、又在宅医療が広がっていくであろう時代の流れに出て来た芽が大きく育つよう全薬剤師の積極的協力をお願いしたい。

(南支部長 小村)

〔城南支部〕

城南区に於ける在宅ケアに関する活動を報告致します。在宅医療に対しては私達薬剤師は、在宅薬剤管理指導を行っています。城南区ではまだ平成8年1月末現在で2薬局で11件の訪問指導を行っているに過ぎません。

とにかく、医師、患者、患者の家族の方の要望で処方せんが手元に届かない限り動く事が出来ませんので、少しもどかしい感じが致します。この制度をもっと医師会や地域の皆さんに認識していただいてもっと私達薬剤師を利用して欲しいと思っています。唯、実際に訪問指導を行っている人の話を聞きますと、これに参画するにはかなりの覚悟と広範囲で豊富な知識が必要であると思います。

在宅ケアについては行政の在宅支援事業に参加し、在宅ケアホットライン協力薬局として、現在27薬局が参加しています。又在宅ケアをすすめる会、在宅医療委員会のメンバーとして、行政、医師会、歯科医師会、地域の各種団体との連係につとめています。

2月22日在宅医療委員会が行われ、そのメンバーは行政、医師会(8名)歯科医師会(1名)薬剤師会(2名)でした。今回は薬剤師会の事例報告がメインテーマになり、実際に訪問指導を行っている坂田先生に発表していただきました。いろいろな問題点が指摘され、医師会、行政側とも真剣に討論していただきました。

一番大きな問題は在宅に於ける医療、いろいろなサービスに対して、これを統括しコーディネイトする機関又は人が必要である事が再確認されました。医療に於いては医師、サービスについては行政(保健所)になると思いますが、この連係も又不可欠だと思われます。

2月29日には在宅ケアをすすめる会が開かれました。参加者は、行政、医師会、歯科医師会、各種団体(5名)でした。それぞれ各種団体の在宅ケアに対する活動が報告されました。この中には薬局や薬剤師に関する部分は ほとんどありませんでしたが、地域の人達、特に老人の薬に対する関心が非常に強い事は出席の皆さん方の認める所でありました。

薬剤師会としては、各種団体の今後の活動に是非とも薬に関する話題を入れていただきたい事、5名でも10名でも集まりがあれば薬の話者させていただきたい事を申し入れて来ました。又城南区に於ける近くの薬局、薬剤師に薬品、介護用品、在宅サービス等、何でも気軽に相談して欲しい事をお願いしました。

会員の皆さんには、相談された事に対して、きちんと正しく対応していただきたいと思っています。とにかく、やっと薬局、薬剤師がその職能に於いてその力を発揮出来る地盤が出来つつあります。その為には地域に対してこのような地道な努力が必要だと思います。お互いに研磨につとめ、存在の意義がある薬局、薬剤師でありたいと願っています。

(城南支部長代理 合澤)

第13回市薬懇親ボーリング大会 (社)福岡市薬剤師会 前組織担当理事 小牧俊郎

2月4日(日)、城山スポーツセンターにおいて支部対抗ボーリング大会が盛大に開催されました。

参加人数も過去最高の135名(東−16、博多−26、中央−16、早良−17、城南−14、西−8、南−28、勤務−13、市薬−8)と大人から赤ちゃんまでの多数の応援者によって、午前10時半に木村会長・冷川副会長の始球式でボーリング大会がスタート致しました。

残念ながら皆さん始球式でのストライクを期待しておりましたが、惜しくもストライクとはいきませんでした。

さあ一斉にゲームのスタートです。ポーリング場全レーン貸切りの大会で、その光景は壮快でそしてダイナミックなものでした。ストライクありガーターありで、参加の皆さんの歓声がボーリング場一杯に響き渡り、我こそは個人優勝をと眈々と狙っている顔・顔・顔・・・でした。

 

ある先生一家は9時にポーリング場にお見えになり、そこで練習をして本番に備えようと張切って来られましたが、当会場が休止のためわざわざ他のボーリング場で練習し、優勝を狙っておられたようです。開始ギリギリに到着され、練習のし過ぎか本番ではその成果は発揮されなかったようでした。

参加人数の関係上、1レーン3人もしくは4人となりましたが、皆さんの配慮によりほぼ時間内に終りました。が、なぜかしら?ある1レーンだけが機械の故障を2回も起こし20〜30分遅れる羽目になりました。全員無事投球が終り、続いて表彰式、懇親会へと移りました。

懇親会では木村会長挨拶の後、三津家前会長の乾杯の音頭により和やかに歓談している間に支部対抗戦と個人戦の集計ができ、さっそく表彰式になり、木村会長より各受賞者に賞品が渡されました。その結果につきましては、次頁の支部対抗・個人戦をご参照下さい。

表彰式が終った後も、楽しく飲んだり、食べたり、話したりして楽しいひとときを過ごしました。

こうして、今年の懇親ポーリング大会も無事終りました。最後にこの大会を開催進行するに当たりお世話下さいました各支部の組織委員の先生方、集計を手伝って下さった市薬の女子事務員の皆さん、そして盛り上げて下さった参加者全員に心よりお礼申し上げます。

又、来年このボーリング大会でお会いしましょう!

○会員にインタビューしてみました ※敬称略

・優勝者:(市花)パートナーの先生のお陰で、久し振りに集中したゲーム展開ができ、最高点をあげることが出来ました。私が良かったのか、他の人が悪かったのか……?来年も連破めざして頑張ります。
・勤務三長老:(長谷川)1年振りなので玉が右に左に…。ウ〜ン、やはり練習しなくてはネ。(篠崎)僕はもう学術のお世話はしません!ボーリングの指導をやります。本日は楽しみながらやってます。(成澤)本日はまあまあの出来。大きなポールは苦手。もっと小さなボールだったら…。
・ディフェンディングチャンピオン:(小野)今年は機械が味方してくれない。ストライクよりスペアーをキチンと取ってゆくのがむずかしい。おととしまでの調子に戻ったという事かな…??
・市薬の立役者:(樋口)ストライクを出そうと思うと冷や汗、脂汗の方が先に出て…。市花先生はターキー。僕はケンターキー。ア・ハ. ハ. ハ…。
・九大院外処方せん窓口係:(瀬戸)今年初めて参加しましたが、滅多にやらないので今一つ調子が…。でも楽しいです。※因みにこの方、美人、スラリ、29才、シングル?
・2人のお子さんを連れて参加:(吉田)昨日、練習した時は全くダメで…。でも今日は、いいコンディションです。私、本番に強いみたい!

○レーンが壊れた?!
 大場先生のスピードボール・パワーポールの出し過ぎにより、な・なんと11レーンが壊れるハプニングが起きました!先生の方は大丈夫ですか〜?壊れませんでした?あっ、失礼!!

 (冨田、北島)

報告

平成7年度医薬品計画的試験

日薬の依託試験として医薬品全国統一試験ならびに医薬品計画的試験を平成7年11月から8年2月に実施いたしました。試験医薬品および試験項目は以下のとおりです。福岡県医薬品計画的試験として会員薬局より提供いただきました医薬品について、結果をご報告いたします。

平成7年度医薬品試験

1.日本薬剤師会医薬品全国統一試験

検 体 1:クロフイブラートカプセル(軟カプセル)
    試験項目 重量偏差試験、定量(液体クロマトグラフ法)

    2:ジクロフェナクナトリウム(錠剤)
    試験項目 ジクロフェナクナトリウムの定量(吸光度測定法)

2.福岡県医薬品計画的試験

(1)点眼薬
  ・pH
  ・異物試験
(2)鎮痛剤(裸錠で、かつ30錠入り以上の製品)
  ・性状
  ・重量偏差
  ・鎮痛剤中のアセトアミノフェンのHPLCによる定量
  ・崩壊試験
(3)漢方薬(裸錠で、かつ30錠入り以上の製品で日本のメーカーに限る)
  ・性状
  ・重量偏差
  ・崩壊試験
(4)精製水
  ・性状
  ・酸又はアルカリ試験

以上の福岡県医薬品計画的試験にあたって医薬品をご提供いただきました先生方に厚く御礼申しあげます。

また、提供いただきました医薬品は、前述の試験項目においてすべて適合でありました。詳細な試験結果につきましては、ご提供いただいた先生方にご通知申しあげ、また日薬にも医薬品全国統一試験の結果とともにこれらの結果を報告いたしました。

 

[平成7年度医薬品試験を終えて]

私にとりましては今回が初めての医薬品試験でしたが、不慣れもあり、医薬品分析機器の相次ぐ故障などで、思っていた以上に時間がかかってしまい、日薬への試験報告書の提出期限の2月末に、やっと間に合ったというところです。

今後、円滑にこの医薬品試験を行うためには、会員薬局からの医薬品の収集方法の確立、古い分析機器の更新または新規購入、医薬品試験のためのデータ収集、分析機器の精度管理など、課題は山積みです。また今春には日本薬局方も改正(第13次)されますので、局方に則した試験機器および内容の見直しも不可欠です。

この医薬品試験について、全員の先生方により一層のご理解をいただきながら、試験センター業務の充実を図っていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申しあげます。

 計画的試験は、薬局に代わって試験センターで医薬品の試験検査を行い、その結果を薬局等での医薬品の適正な管理等に役立て、流通・販売・使用段階での医薬品の品質を確保することを目的として実施されています。したがって、一般消費者に品質の確保された医薬品が供給されますよう、経時変化の著しい医薬品、保管条件により品質の影響を受けやすい品目および試験項目を、毎年選んで試験検査しております。

 全国統一試験は、試験検査センターとして医薬品の試験検査技術の習熟と精度の向上を目的として、年1回日薬から送付される試験実施要領にしたがって試験を行うものです。

 (試験センター室長 冨田)

【学薬のページ】

学薬の皆さん益々お元気にご活躍のことと思います。平成8年度は、新設2校(三苫小学校、愛宕浜小学校)、新入会員11名、退会者14名の変動があり、一部、担当校の変更がありました。本年度、新たな気持で、学業活動に励みたいと思います。

新入会員の先生、担当校が変更された先生、担当校の校長や養護教諭に変動のあった先生方は、なるべく早めに登校され、学校の関係者と面会し、コミュニケーションをはかって下さい。

一学期は、プール水検査・飲料水検査等で6月より夏休み期間中、登校する機会も多いと思います。具体的なスケジュールについては、その都度、お知らせ致しますので、決められたスケジュール(例えば検査日程等)を必ず厳守して学薬活動をお願い致します。

(竹尾)

会務・事業経過

12月27日 市教委学校保健体育課との協議(於市薬)
     腰洗槽について
1月18日 第5回理事会
2月1日 市教委学校給食課との協議(於市薬)
  〃  市学薬統一調査(理科薬品管理状況)
  5日 平成8年度担当学校薬剤師確認
  6日 城南支部研修会
  16日 第6回三役会
  19日〜21日 飲料水検査(博多・中央・城南・南)
  22日 第3回給食センター調査
3月11日〜13日 飲料水検査(東・早良・西)
  19日 第6回理事会
  26日 平成7年度会計監査


1学期 会務予宅

4月14日 第41回福岡市学校薬剤師会総会
5月   飲料水検査
6月   オルトトルジン配布
6月〜8月 プール水検査(授業時・開放時)

 

第28回日本薬剤師会学術大会

〔学校薬剤師分科会〕報告

日 時 平成7年12月9日(土)・10日(日)
会 場 仙台国際センター

今回の大会は、本来は兵庫県薬剤師会が担当して、神戸市で開催されるはずであったが、阪神大震災によって急遽仙台市で開催された。

学校薬剤師分科会の発表演題中、我々の日常の学薬活動に参考になる発表例をひろい報告する。

発表例:プール水検査で大腸菌群が検出された1例。
     鹿児島逓信病院薬剤部 木下力

毎年6月か7月に飲料水の水質検査と併せて、プール水の水質検査を行っている。今年7月5日に水質検査を行ったところ、飲料水はすべての学校で飲料適だったが、プール水で大腸菌群が検出された学校が1校あり、消毒を十分に行い、残留塩素が0.4ppm以上あるような状態でプールを使用するよう指示して再検査。

このプールは図のように矢印のところから消毒液が注入されるようになっていて、注水口がA地点の近く、排水口がF地点にある。再検査をする前に、学校の先生立ち合いのもとで、プールの8カ所の残留塩素を測定した結果は、A(0.5ppm)、B(0.2ppm)、C(0.4ppm)、D(0.5ppm)、E(0.1ppm)、F(0.6ppm)、G(0.5ppm)、H(0.5ppm)の値を示した。

このことより、最初の検査当日、F地点は残留塩素が0.7ppmあるが、B地点では0.4ppmであった可能性が示唆された。そこで再検査では、F地点を採水することにした。結果は、大腸菌は検出されなかった。

以上のことから、学校には次のことを助言するとともに、我々学校薬剤師もただ測定するだけでなく、注意すべきことがあると感じた。

1.プールを使用する前には、かならず残留塩素を3ヶ所以上測定すること。
2.特に、水の流れの悪いB地点、C地点、E地点、それにプールの中央を重点的に測定すること(残留塩素が0・4ppm以上あることを確認の上)。

(木村、小松、中野)

くすり箱

明日は我が身

一昨年位から、薬局が減っていく、2・3年後には○○店、21世紀には○○店の薬局しか残れないと言うことを私は耳にし、目にしていましたが、馬耳東風、うちの店ではないと全く気にしてませんでした。何処か関東関西辺りの事で又九州でも、他の地区の事と思い込んでましたのでどの位の数が減っていくのかも覚えていません。

ところが私の店がそれに入っていたのです。去年の8月、店の前に大型ディスカウントの店ができました。安い商品が薬だけでなく雑貨の他にクリーニングからお米、コピー用紙等々、生活に必要なものを抱きかかえて買物を誘っています。結局推売していた商品をかっていただくお客さん、馴染みで話し込んでいかれるお客さん、相談のお客さんだけが来ていただけます。

テレビのコマーシャルで耳慣れた商品等の売上がすっかり減ってしまいました。

うちの辺りは郊外でないので、家賃や人件費を考えると大型店はできないと考えていたら、100坪のある店が閉店したので、その後にまさかのくすり屋ができました。

信じられない!考えが甘かった。

先日、「たまには来んと心配しよろうと思って来たよ」とドリンクを飲みに来られたお客さん。「浮気ばかりしたらいかんよ。」と私も冗談を言い返しますと、「そうやねアハハ」と笑ってあります。

薬局も商売です。売上が減ると面白くありません。やる気も減ります。今スランプに落ち入ってますがまだ頑張って見ましょう。慌てて止めなくても。次はあなたの店かもよ! 

(織田)

会 務 日 誌 (平成7年12月〜平成8年2月)

12月1日 試験センター委員会 19:30
  5日 福岡市高齢者サービス総合調整推進会議(国際ホール) 14:00
  7日 特別講演会 (中央市民センター) 19:00
  9日 日薬学術大会 (仙台市)10日まで
  11日 学術研修会 19:00
  12日 社保・分推委員会 18:00
  13日 常務理事会 19:00
  14日 薬局委員会 19:30
  15日 支部長会議 19:00
  16日 大学行政薬剤師合同研修会 14:00
  18日 広報委員会 19:30
     急患委員会 19:00
  19日 選挙管理委員会 19:30
  20日 理事会 19:00
  21日 政治資金規制法説明会(県庁) 13:00
  25日 広報委員会 19:30
1月5日 福薬連年賀会(ホテル日航) 11:00
  6日 山崎拓、太田誠 新春のつどい 14:00
  8日 広報委員会 19:30
  9日 緑遊会、新春のつどい 12:00
  10日 社保・分推委員会 19:30
     選挙管理委員会 19:30
  13日 会長など役員選挙立候補届出締切日 12:00
  16日 選挙管理委員会 19:30
  17日 顧問・理事懇談会(すし幸) 19:00
  18日 処方検討会 19:00
     立候補者に対する説明会(選管) 19:30
     日薬試験センター講習会(東京)
  19日 議事運営委員会 19:00
     学術委員会(網元) 19:00
  21日 保険薬局セミナー(明治生命ホール) 13:30
     医師連「新春のつどい」(ソラリア) 17:30
  22日 立ち会い演説会 19:30
  23日 薬局委員会 19:00
     組織委員会(福新楼) 19:00
  24日 在宅医療研修会 19:00
  25日 処方検討会(あいれふ) 19:00
  27日 第34回臨時代議員会 15:00
  29日 広報委員会 19:30
2月1日 三役会 19:00
  2日 急患委員会 19:00
  4日 ポーリング大会 10:00
  6日 県薬会報通信員連絡会議(県薬) 14:00
     新役員との業務引き継ぎ連絡会議 19:00
  7日 選挙管理委員会 19: 00
  9日 理事会 19: 00
  15日 処方検討会 19: 00
  17日 山崎拓政経懇話会(ニューオータニ) 8:00
     福岡ブロック研修会(県薬主催) 14:00
  21日 監査会(薬連・試験センター) 19:00
  23日 広報委員会 19:30
  26日 部会連綿協議会 19:00
     簡易専用水会議 19:30
  27日 学術研修会 19:00
  28日 処方輸討会(あいれふ) 19:00
  29日 県薬代議員会予備会議 19:00

[編集後記]

今後に期待!

市薬剤師会の広報を担当させていただいて早いもので4年になります。この4年間で世間の動きはがらりと変わり、以前ならば半年や1年間はニュースのねたになっただろうと思われる事件が、毎週のように新聞の紙面を飾っています。薬剤師をとりまく環境の変化も同様、めまぐるしいものがありました。

先日手にしたばかりの合衆国連邦薬剤師会誌AphA2月号に、日本の3つの自治体でおこなわれているICカードを用いた情報管理システムと日本の保険制度に関する記事が掲載されていました。

そして、なんと最後はU.S.pharmacists should be aware of such professional developments in other countries and their potential for use in U.S. health care system.

というだいそれた文章でしめくくられています。私は、山陰地方の小郡市で、このような試みが行われていることは知っています。しかしそのレポートを読むのはこれが初めてでした。正直、とてもショックです。

このような最先端の試みがこの日本で行われ、その試みに対する評価を日本の会報からではなく海外の会報で初めて目にし、しかもそのしめくくりは上記のごとくなのですから。

勿論、日本の業界誌でも紹介されていたにもかかわらず、私が気付かなかっただけかもしれませんが。

これから5年10年の先、我々を取り巻く環境は一体どうなっているのでしょうか。当の本人も知らぬ間に一気に変わってしまうのではないでしょうか。その変化はますます加速度をつけていき、この5年間とはくらべものにならぬくらい凄まじいものとなるでしょう。どのようにお感じになりますか。

私共、薬剤師をとりまく環境がこの先どのように変わろうとも、会員活動の貴重な記録として、5年先も10年先も市薬ジャーナルが版を重ね続けられることを願います

(荒巻)

  

何でも勉強

激動の社会状勢と平行して、市薬も私の見た限りでは、変動があったように思われました。2年間でしたが、一つの会を運営するには、多くの人々の貢献と協力によって成り立っていることが理解出来ました。一般に薬剤師としての働きは、自分の領域において自己啓発をしながら働いておれば流れて行き、経営もなされていくことでしょう。

しかしこの薬剤師会の先生方の殆んどが夫々一国一城の主であるために、自分なりの意思強固なものがあり、一事を決める時には、色々な意見が続出し、あとは多数決で解決する以外にないようです。

どの意見が正当でどれが不当かは、実際にやってみないとわからない事も多いと思われます。国の政治でも問題を提起して、議論、討議して納得した上でやってみる、そのことが、真実で正当であれば断行して、一時反対があってもやがて皆が理解してくれる時が来ることでしょう。

ただ、自己の利益追求、名誉欲、悪事をしているとやがては破綻を来たし暴露されるようですね。悪いことしてばれないなんて神様は不公平なことはなさらないでしょう。自分のすることがみんなのために、世のため、大きく世界のためになるかを己の胸に問うてみて、真実で間違いなければ、例え理解されなくても諦めがつくことでしょう。

ただ何事も理論と実際は異ってくることを認識して実践することだと思いませんか。

理屈っぽく申しましたが、住専とかエイズの問題が報道されているのせ何かぶっつけてみたくなりました。来期からの新しい役員の先生方に、国を参考にしながら、よりよい薬剤師会となるよう頑張って下さることをお願いして広報の仕事を終りにしたいと思っています。

余り適役でなかった私でしたが、周りの先生に助けられてやってこられました。感謝を申し上げて、このことをこれからの自分の糧にしたいと思います。

(冨田)

  

交替の春

今年は市薬の選挙や調剤報酬の改正と、慌ただしい幕開けでスタートし、気がつけばもう春。そして気がつけば4年、広報委員になってもう4年間も経っていました。大した仕事は何もできずじまいなのに、月日だけはしっかりと経っているようです。交替のときがきたよと、春が私に教えています。

時の経つのは早いもの、特に楽しいことをしているときは夢のようと言いますがその通りでした。この紙面をお借りして沢山の心からのお礼を申し上げます。お届けしたジャーナルのご愛読に対して、沢山の先生方のご寄稿に対して、ありがとうございました。

「市薬ジャーナル」は市薬の執行部と各会員を繋ぐ情報誌。人間の体の中で、血液は動、静脈がスムーズに流れています。これが健康な体づくりにかかせないように市薬ジャーナルも市薬と各会員の意思の疎通に欠かせないものであり、ますます将来大切な存在になることでしょう。

それに会員の紙上への参加、委員の増員、各区からはもちろん勤務部会も参加していただいて密に交流する事。その必要性を思いました。

広報委員、皆で手分けして様々の行事に参加させていただきました。代議員会、連絡協議会から薬草観察会、ソフトボール大会と、楽しい経験でした。そこではどの委員の先生方も一生懸命で情熱的でした。

「愛とは自分の時間をさくこと、自分の時間を惜しまず、他の人に捧げること」その愛を市薬のために注がれた先生方に感謝致します。この報告を最後に交替します。

ありがとうございました。これからは愛読者となり発行を楽しみにしています。

(坂田)

  

ありがとうございました

薬局は「南警察署入口」というバス停の前にあります。しかバス停から前後左右あたりを見ても警察署は見あたりません。角を曲がって200〜300mくらい先にあるから見あたらなくてもっともです。それでよくどこにあるか尋ねられます。

警察署だけでなく、南区役所、南保健所、南社会保険事務所、九州中央病院、等々回りに公共施設が一杯ありますので毎日何人かの人が道を尋ねに薬局に入って来られます。表に出て指をさしながら教えたり、地図を書いて教えたりしますと「ありがとうございました」と言われるのは半分位しかいません。

たいてい「アッソウ」「アッどうも」「分かった、分かった」とか言って頭を下げるよりかえって後ろにそっくり返る人が多いなと思います。年齢は若い人とはかぎらず40・50代の人、男性女性同じくらいです。そんな時、頭を下げながらお礼を言われるとお互い爽やかな気持ちでよかったなと思います。

近所にある有名名菓の社長さんがいらっしゃいます。奥様が一番下の4才の子供さんを連れて買物にいらっしゃいました。いろいろと買っていただいて、坊やにおもちゃをあげました。「ありがとう」と言われたのですが声が小さかったのでお母さんは「大きな声ではっきりと言いましょうね」と子供に言いました。

坊やはまた今度は「ありがとう」と元気よく言ってくれたのです。私も「ありがとうございました」と心からお礼を言いました。そして帰られる時、子供さんに言っているのが聞こえました。「○○ちゃん、お礼を言う時はおばちゃんの目を見ながら言いましょうね」と。

こういうお母さんから育ったお子さんの将来が目に浮かぶようでした。

2年間一生懸命広報をさせていただきました。行き届きませんでしたがご容赦下さい。私の勉強にもなりました。紙上から皆様の目を見つめましてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました。     

(織田)

  

川の流れにのって

時、あたかも春。森羅万象、心浮き立つ季節というのに…。昨年の今頃は多分“お花見弁当のメニューは何にしよう?”などと他愛もない事に想いをめぐらせていた様に思う。所が今年はどうであろう。大きくも小さくも、考えなければならない様々な事が私の単純な頭と微弱な心臓を支配し、少し焦り、何となく落ち着かない日々である。

厚生省・医薬品メーカーの前代未聞の不祥事、相次ぐ医薬品回収騒動、重篤な副作用情報、諸々の医療法改定事項や懸念される改定案…等々。又、市薬の執行部不信任案と改選・メンバー再編、そして迷い、かすかな不安…。

それから、当然今後尚一層の加速度的な研鑚が要求される一薬剤師としての職能、一薬局としてのおける位置、方向。そしてそれら諸々の局員達への教育・周知徹底・実践‥・。

何だか今までの認識不足のしわ寄せが来そうな気配。が、しかし、そんな事を言っている場合ではない。もしかすると神様が一人間としての成長のチャンスを与え、発破を掛けてくださっているのかも知れない。かくなる上は現実を真撃に受け止め、この川の流れにのって何とか沈む事なく泳いでみよう。

こんな時、最も近しい場所に居る人が時折アドバイスしてくれる“TAKEIT EASY!!”という言葉に心救われる。  

(北島)

  

今、会員の皆さんに問う!!

4年前、木原先生のもとで広報委員をさせて頂いてから、2期4年間が終わろうとしています。何もわからずやり始めた広報を2年前、木原先生から引き継ぎました。当時、代議員会の副議長の要職にあったこともあり、理事にはなれず広報委員長という形で理事会にも出席させて頂きました。

私が委員長を引き受けてからは、各区から選出された委員の先生と、「皆んなで作るジャーナル」をスローガンに委員会の在り方を明確に致しました。

年6回の発行から年4回(1月、4月、7月、10月)としたのも、各委員の先生方の負担が少しでも軽くなればとの配慮からでしたが…。

特に新年号の発行に際しては、12月の1年間で一番忙しい時期に2〜3回委員会を開き、赤ペン片手に目次から編集後記まで、目を皿のようにして一文字一文字を追っていきました。ともすれば、日付けの変わる頃まで時の経つのも忘れ校正したものです。

委員の先生方も文句一つ言わずやって頂きました。「遅くまで済みません」と言うと「いや〜、結構楽しいですよ」と言って下さるのが、せめてもの慰めでした。本当に各委員の先生方、夜遅くまで有り難うございました。この紙面をお借りしてお礼申し上げます。

昨年の5月に専務理事を引き受けてからも、広報への愛着を捨て切れず、委員長を北島理事にお願いし、最後の最後まで一緒にさせて頂きました。北島委員長になってからは、各委員の先生方に色んなイベント(薬草観察会、ボーリング大会など)や会議に出席して頂きインタビュー形式を取り入れたり、随所にかわいらしいカットを載せるなど女性らしい気配りをして頂きました。

お陰でホットなジャーナルを作ることが出来ました。短い期間でしたが、本当にお疲れ様でした。

又、対外的には薬業事報社の橋本記者と知り合いになり、ファーマウィークに市薬活動のことを掲載して頂きました。これを機会にこれから一歩一歩対外的広報活動も進められて行くものと明るい希望を持っております。

このように一生懸命やってきた広報でしたが、昨年の8月4日の臨時代議員会の前後は「執行部○○○」で揺れ動くなか、10月号の発行を目前に控えやる気がなくなったのも事実です。

そして今回、1月末に行われた役員改選の選挙後の2ケ月も同じような気持ちになりました。

市薬にとっては年度末の一番忙しい時期に、現執行部はあたかも“ガンの告知”をされたかのように、2ケ月の期限を切られ、やる気をなくされ、4月以降にもち越す懸案事項については何も出来ず、唯々時の過ぎゆくのを待ちながら残務整理に追われるだけです。

このような状態がはたして市薬にとってプラスになるのでしょうか。

1月末の役員改選の選挙が会員の為になるのかどうか?会員の皆さんに問いかけ、新執行部に期待しつつペンを置きます。2年間ご協力頂き有り難うございました。   

(樋口)

  

平成8年4月1日発行
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会 T E L 092-714-4416
発行人   木 村 英 樹
編集人   樋 口 昌 嗣
 委員長  北 島 啓 子
 委 員  冨 田 郁 美
      織 田 登紀子
      坂 田 博 子
      荒 巻   滋
担当副会長 冷 川   襄
印刷所   (有)興英社印刷