■ 巻 頭 言
天 命 (社)福岡市薬剤師会 副会長 細井徹一

昨年の暮れ、藤原先生がひょっこり訪ねて見え、久しぶりで気楽にいろんな事を話し合った。もともと口数の少ない先生だが、薬剤師会のことになると熱っぽい口調で日頃の思いを語られた。そして、「今回、私は市薬会長を目指しています。ついては、副会長として補佐を願いたい」「この会長、副会長のご縁は、私は天命だと思っています」ということだった。

お気持ちは有難いが、私にその思いが全くなかったので、その場で丁重にお断りをし、さらに、翌日お訪ねして念を押していた。

しかし、その後、周囲の事情がそれを許さず、先生のいわれる天命をお引き受けすることになってしまった。

「人間、誰と出会ったかで、その生き方が決まる」といいます。勿論私は、素晴らしい先輩、同輩、そして、後輩の先生方との出会いに恵まれ、今の自分があるんだと患っています。だから今回「人様に物を頼まれたら気持ちよく引き受けてお役にたっべきだ」とご忠告を頂いて前向きに決断しました。

人はどう生きるかと思い悩むとき、何か強く思うことがあるものです。

終戦の年の昭和20年6月、私が7月の熊本薬尊の入学を待っていたとき、兄のように仲良くしていた2年先輩の、志願して海軍に入ったUさんが母校へ訪ねてこられた。

出撃前の最後の帰郷ということであった。今日は俺に付き合えということで、連れ立って日暮れまで町の中を歩き回った。それは、Uさんにとって二度と見ることのない故郷の山河への限りないお別れだった。

翌日、記念写真をとり、夜には隣村の駐在所のUさんのお宅でお別れのお食事に呼ばれた。その折、私は血書の鉢巻きを身代わりに託してお願いし、後に続くことを誓った。

いよいよ出発の日、故郷の駅のホームでの見送りの際、Uさんは真っ白の海軍下士官の夏の制服に白の手袋をして、きりっと挙手の礼をされて「細井、俺の分まで生きてくれ」とだけいわれた。爾来50年以上、忘れることのない雄々しくも悲しいUさんの門出であった。

終戦後まもなく、Uさんの戦死の悲報を知らされた。8月1日、光基地を伊第366号潜水艦で出撃し、人間魚雷回天特別攻撃隊として8月11日、沖縄の海に散華された由。あと4日で戦争の終わる日のことであった。

あれから50年経った昨年8月、私は回天の基地のあった徳山沖の大津島に渡り、遥か沖縄を望む海辺に立ってご冥福をお祈りしようと以前から思い立っていた。しかし、日曜日毎に体調が悪くて果たせないでいた。

そんな折も折、お盆過ぎの8月19日、全く偶然に、平素殆どテレビを見ない私にNHKテレビの「お父さんの髭は痛かった最後の回天特別攻撃隊員の手記から」が目にとまった。

なんと眼前の主人公はUさんである。思わず声を呑み目頭を拭いながらテレビに見入った。

今更に、人間の出会い、魂の遜造、因縁の不思議さを感じ「生かされている自分」を思わずにはいられない。今後も常に自らの生き方を問いながら「俺の分まで生きてくれ」を反窮し天命を果たさねばと燃える思いです。

<代議員会報告> 第35回 社団法人 福岡市薬剤師会
通常代議員会(通算第63回絵会)

日 時 平成8年4月27日(土)午後2時
場 所 福岡市薬剤師会館 講堂

代議員会次第
1.開会
1.会長演述
1.来賓祝辞
1.議事
(1)報  告
 第1号 平成7年度会務並びに事業報告(学薬、勤務薬、女子薬、商組事業概況報告)
 第2号 第74回(臨時)第75回(通常)
     福岡県薬剤師会代議員会報告
(2)議  案
 第1号 平成8年度事業計画決定の件
 第2号 平成8年度会費決定の件
 第3号 平成8年度歳入歳出予算決定の件
 第4号 借入金限度額決定の件
1.閉会

総会次第
1.開会
1.会長演述
1.第35回福岡市薬剤師会通常代議員会決定事項報告
1.日薬有功賞伝達
1.部会表彰
1.高齢全員(80才以上)表彰、還暦会員祝彰
1.閉会
※高齢会員、還暦会員並びに平成7年度被表彰者を囲んでの祝賀会
 於:タカクラホテル 2F宝珠の問(B)

1.会長演述

皆さん、こんにちは。本日は連休の前の日で、お忙しい中をお集まり頂きまして、ありがとうございました。

いつの時代におきましても、新任の会長になられた万は、この重大な時期に大役を仰せつかって身の引き締まる思いがすると、その様なごあいさつがございます。私もまた同じように、この重大なときに、会長を仰せつかりまして、実に身にしみているこの言葉が実感でございます。

我々を取り巻く環境というのは、日に日に変わっております。そして、今後もまた急速な速度で変わって参ります。そのような時期に、重大な役目を引き受けた訳でございますが、私はまず、皆様方に申し上げたいことは、私の肉声を皆様方に伝えたいという風に考えている事でございます。

肉声というのは、ただ話しかける事だけではございません。文章につきましても、肉声の伝わるような文章にしたいと考えております。

今回、事業計画を出すに当たりまして、前書きの部分は私が書いております。今までの文体といささか異質でございます。内容もそうでございます。従いまして、皆様方にはかなり違和感を覚えられたのではないかなと考えております。

あえてそういうものにしたのは、これもまた私の肉声を伝えたいという、表現が悪うございますが、一つの苦肉の策でございまして、あえて裏の問題を表に出した訳であります。

さて、本日は表の問題について申し上げたいと思います。本日、自重の副会長の荒巻先生がお見えになっております。後埠ど、恐らく話の中に出てくるであろうと思いますが、福岡市の分業が40%近くたなりますと、これは荒巻先生流の発言によれば、社会現象であります。社会現象ということであれば、当然地域住民あるいはマスコミからいろいろと指弾を受けたり、批判を受けたり、これからはそいう事が起こってくるという事を、まず覚悟しておかなければなりません。

したがいまして、我々はいかに社会に対して責任を果たすか、また医療人としての責任を果たすかということが大切なことであろうと思います。

今では、在宅医療という言葉は一般化してきました。しかし、2年前には薬剤師にとっては遠い存在であった訳です。これもまた、患者の方々がこれを必要とするという事であるならば、我々は横を向いている訳にはいきません。

つまり、医療人として社会的な責任を果たす上から、何が何でも取り組まなければならない問題である訳です。

こういう時に当たりまして、私は常々九州医療センターの原点化という言葉を使いました。

原点化というのは、処方箋を拡散しなければならないという事でございます。つまり、患者の方々の権利を守るという観点から、そのように考えている訳でございますが、まずその前にやらなければならない事があります。

厳しいことを言うようでございますが、保険薬局が平日の午後閉めていたり、それからお盆休み、年末年始、医療機関があいているのに閉まっているという状況では責任を果たしていると、また地域住民に対して、医療人としての責任を果たしている事にはならない訳であります。

したがって、こういう問題もこれからはシビアに考え、執行部はもとより、支部の中においてもどのようにこれを解決していくか考えなければならない問題だろうと思います。

また、これに関連しまして、休日夜間の連絡網、あるいは当番制という問題、こういう問題にしましても、すべて社全責任の中に存在するという風に考えております。したがって、私としては、こういう事を会としては一生懸命取り組みながら、なおかつ地域住民、あるいはマスコミを含め、対外的に私たちがこれからやっていかなければならないこと、それから責任ということも含めまして十分広報活動をする必要があるというふうに考えております。

それからもう一つ、今度、療担規則が厳しくなりました。これは、我々薬剤師に対してだけでなく、医師に対しても厳しいものでございます。したがって、在宅医療と同じように、ここにもまた一つ医師会との共通の土俵ができた訳であります。

こういう問題も含めて、この分業の問題を考えていきたいという風に患います。

それから、OTCを主体としてやっていらっしゃる会員の方々も、これから先、じり貧の状況に陥ります。いずれにしても、医療に参加し、そして社会的責任を果たす、そのことが逆に言えば生き残り策になるという風に考えている訳であります。

本日、いろいろな事業計画を羅列しておりますが、この計画の中にはそういう意味が込められているというふうにお受け取りいただきたいと思います。

最後に、この理事席に座っている皆さんは、つい最近まで皆様方の隣の席に座っていらっしゃった方々ばかりでございます。これから、新しい事業を進めるに当たりまして、まだまだ未熟な、というよりも、今までそこに携わっていなかった方々もたくさん含まれている訳ですから、皆様方のご協力、ご支援、これがなければ、事は前に進みません。一歩ずつできることから先に進めていきたいと、そのように考えておりますので、ひとつ皆様方のご支援、ご協力をお願いしまして、ごあいさつにかえさせていただきます。

本日は、ありがとうございました。


2.来賓祝辞

西岡衛生局長 皆さん、こんにちは。本来なら桑原市長が参りまして、皆様方にごあいさつすべきところでございますが、公務が重なっておりますので、本日は出席いたしておりません。私、衛生局長の西岡でございます。市長のあいさつを代読させていただきます。

祝辞 本日ここに福岡市薬剤師会第35回通常代議員会が開催されるに当たり、一言お祝いの言葉を申し上げます。

日ごろから藤原会長様を始め薬剤師会の皆様方には、本市衛生行政の推進に一方ならぬご支援、ご協力を賜り心から感謝申し上げる次第でございます。

ご承知のように、急速な高齢化社会の進展や疾病構造の変化など、我が国の保健医療を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、日常の健康づくり、疾病予防から診断治療等に至る継続的かつ包括的保健医療サービス体制の必要性が高まってきております。このような状況の中、貴会におかれましては本市が推進しております在宅ケア新システムに参画していただくなど、まことに心強い限りでございます。

本市といたしましても、高齢社会の到来に珂応し、地域全体で支え合う町づくりを進め、高齢者が住み慣れた地域や家庭で健康を維持し、生きがいを持って安心して暮らせるよう、保健・医療・福祉の連携をさらに強化し、在宅介護の支援体制の充実を図ってまいりますので、今後とも皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

最後になりましたが、皆様方には健康に十分留意され、なお一層ご活躍いただきますとともに、本日の代議員会、総会が皆様方のご熱心な審議によりまして十分に所期の眉的を達成され、実りある会となり、福岡市薬剤師会が今後ますますご発展されますことを祈念いたしまして、私のお祝いの言葉といたします。

平成8年4月27日
福岡市長 桑原敬一(代読)


〔1〕報 告

報告第1号 平成7年度会務並びに事業報告

1.一般会務関係事項

(1) 会員数

 平成7年3月未現在 1,003名
 平成8年度3月末現在 1,064名
   (内訳)薬局528、一般販売業146、薬種商5、勤務その他373、C会員12
 部会数・人員数
   東支部5部会89名、博多支部10部会130名、中央支部7部会124名、城南支部3部会36名
   早良支部5部会77名、西支部3部会45名、南支部5部会85名  計38部会 586名
 保険薬局数
   475薬局

(2) 会議

 代議員会、総会        4回
 顧  問  会        1回
 三  役  会        3回
 理  事  会        14回
 三役・常務会         1回
 総  務  会        1回
 支 部 長 会        4回
 部会連絡協議会        2回
 議事運営委員会        5回
 監  事  会        3回
 委  員  会
  組織委員会         8回
  薬局委員会         14回
  急患委員会         8回
  社保分推委員会       8回
  学術委員会         7回
  広報委員会         17回
  在宅医療委員会       4回
  市薬薬局委員会       5回
  急患診療医薬品集編集委員会 5回
  試験センター委員会     4回
  九大問題協議会       2回
  定款改正委員会       8回
  情報委員会         1回
  選挙管理委員会       5回

(3) 高齢会員、還暦会員祝彰

 高齢会員(19名)
  藤ヲサム(89)、工藤菊江(88)、村上タカ子(87)、武田準一(86)
  清水貞知(85)、瀬上留次郎(84)、副島恒夫(84)、藤田脾(83)
  児島豊(83)、鶴原正蔵(82)、三井所清澄(82)、柴田伊津郎(82)
  北田光男(81)、小松臭佐雄(81)、田添喜久子(80)、前田現平(80)
  上野慎一郎(80)、畠田クツ子(80)、小野信方(80)
 還暦会員(14名)
  青木経済、飯野常高、小溝信治、金山一彦、椛島和子、河崎昌代、北沢清
  桑山正信、冨田郁美、田中邦彦、中田博己、仁田脇三朗、馬崎学、藤野嘉道

(4) 表彰関係

 厚生大臣賞(薬事功労)       平成7年10月 青山敏信
 厚生大臣賞(公衆衛生事業功労)   平成7年10月 堀江秀男
 福岡県知事賞(薬事功労)      平成7年10月 宮崎和人
 福岡県知事賞(公衆衛生事業功労)  平成7年11月 冨永雄造、松尾英照
 福岡県教育委員会長賞(教育文化功労)平成7年11月 木村英樹
 福岡県学校保健会長賞(学校保健功労)平成7年11月 藤野嘉道、森田幸枝
 九州山口薬剤師会長賞        平成7年11月 城戸嘉寿子
 福岡県公衆衛生協会理事長賞     平成7年11月 本川栄、中野勝郎
 福岡市教育委員会長賞        平成7年11月 土肥善衛
 福岡市学校保健会長賞        平成7年11月 古賀茂次
 福岡県薬剤師会長賞         平成8年3月 市花晃、戸田昭洋

(5) 会員及び家族に対する見舞金

  1)会員死亡見舞金
   高丘昭、中島紘美、松枝茂雄、小松真佐雄、小野信方、藤田脾
  2)会員家族死亡見舞金(配偶者・一親等)
   伴洋子、川上繁、岩佐周一一郎、合澤英夫

(6) 研修事業

  1)薬物療法研究会
    日 時 平成7年4月26日(水)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 124名
    演 題 「骨粗髭症の薬物療法と開発中の薬剤について」
        武田薬品工業kk創薬第二研究所 第4部部長 津田昌夫先生
  2)学術研修会
    日 時 平成7年5月29日(月)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 105名
    演 題 皮膚癌の診断と治療
        九州大学附属病院皮膚科助教授 中山樹一郎先生
  3)学術研修会
    日 時 平成7年6月28日(水)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 122名
    演 題 「尿路・性器腫瘍の診断と治療」
        福岡大学医学部泌尿器科助教授 平塚義治先生
  4)学術研修会
    日 時 平成7年7月26日(水)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 120名
    演 題 「肺癌〜その発見診断、そして治療について〜」
        国立病院九州ガンセンター呼吸器部 部長 一瀬華人先生
  5)薬物療法研究会
    日 時 平成7年8月22日(火)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 87名
    演 題 「ガン化学療法」−各種制癌剤と多剤併用療法の現状−
        日本化薬株式会社医薬事業本部学術部 内田靖夫先生
  6)在宅医療研修会
    日 時 平成7年10月13日(金)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 135名
    演 題 在宅医療における医師会と薬剤師会の連携について
        社団法人福岡市医師会理事 樋口正士先生
  7)薬物療法研究会
    日 時 平成7年10月31日(火)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 74名
    演 題 臨床栄養における最近の話題
        株式会社大塚製薬工業学術情報部学術輸液学術担当次長 杉本比先生
  8)社保・分推研修会
    日 時 平成7年12月7日(木)午後7時
    場 所 福岡市中央市民センター
    受講者 280名
    演 題 〜病院の再生・薬剤師の専門性を生かして〜
        国立病院九州医療センター副院長 鴛海良彦先生
  9)学術研修会
    日 時 平成7年12月11日(月)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 111名
    演 題 「不妊と内膜症」〜薬物療法を中心として〜
        福岡大学医学部産婦人科講師 詠田由美先生
  10)在宅医療研修会
    日 時 平成8年1月24日(水)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 100名
    演 題 「痴呆の臨床」
        社団法人福岡市医師会理事 鹿井博文先生
  11)学術研修会
    日 時 平成8年2月27日(火)午後7時
    場 所 福岡市薬剤師会館
    受講者 119名
    演 題 中高年女性におけるホルモン補充療法(HRT)
        九州大学医学部産婦人科講師 野崎雅裕先生
  12)第6回薬局実務研修会
    日 時 平成7年9月2日(土)午後2時 受講者 63名
        平成7年9月3日(日)午前10時 受講者 67名
        平成7年9月9日(土)午後2時 受講者 69名
        平成7年9月10日(日)午前10日 受講者 65名
    場 所 福岡市薬剤師会館

(7) 親睦事業

 16回ソフトボール大会
  日 時 平成7年10月8日(日)
  参加者 120名
  場 所 武田薬品工業グラウンド
  支部対抗優勝 城南支部
 13回ボーリング大会
  日 時 平成7年2月4日(日)
  参加者 130名
  場 所 城山スポーツパレス
  支部対抗優勝 中央支部
  個人優勝 市花晃

(8) 試験センター業務

 (1) 医薬品関係
  1.日本薬剤師会医薬品全国統一試験
   1)クロフイブラートカプセル(軟カプセル)中のクロフイブラートの
    重量偏差試験ならびに定量試験
   2)ジクロフェナクナトリウム(錠剤)中のジクロフェナクナトリウムの定量試験
  2.福岡県医薬品計画的試験
   検体数 37品目、試験項目 92項目
 (2)環境関係
  1.市立学校飲料水水質検査 233校(分校を含む) 毎学期1回
   6月 233校(分校を含む)
   11月 231校(分校を含む)
   2〜3月 231校(分校を含む)
  2.市立学校プール水水質検査 年2回
   6月 219校
   9月 211校
  3.県立学校プール水水質検査 年2回
   6月 26校
   7月 26校
  4.酸性雨検査
   毎降雨に対してpHおよび導電率試験を実施

(9)広報活動の強化

 1)対内的広報活動
  座談会「学校薬剤師会役員に聞く」を企画、市薬ジャーナルに掲載。
  学校薬剤節会三役による貴重な意見、アドバイスを満載。
  学校薬剤師会会員の“座右の書”ともいえる企画となった。
 2)対外的広報活動
  薬業事報杜大阪支局の女性記者との交流が得られ、記事の掲載、
  今後更に市薬事業に注目、協力態勢を得ることが出来た。

2.重点事業報告

行政改革から始まり、規制緩和への動きが大きくなった平成7年度は、薬業界にとって種々な勤行と変化の中、医薬分業は面分業へと急速な進展を示した。が、一方では、一部の薬局の不祥事など、医薬分業の歪みが指摘され社会問題にもなってきた。

福岡市薬剤師会では、医薬分業が国民からコンセンサスを得る為には、薬剤師が医薬品の適正使用に役割を果たす分業体制の構築が急務と考え、九州医療センターとの分業を軸に、面分業の発展に努めてきた。特に服薬指導の充実を目的に企画した処方検討会は、九州医療センターの先生方の協力を得て毎月行ない、多くの会員が参加して医薬品の適正使用の為に大きな実績を残した。

市薬薬局の運営に於いては、昨今、会営薬局のあり方が厳しく問われている中、福岡医療圏の医薬分業支援センターとしての機能を十分に発揮すべく、備蓄・調剤・研修・情報センターとしての位置付けを確立し、かかりつけ薬局の育成・強化に寄与した。

なかでも研修センターは、女子薬剤師会ともタイアップして、未就業薬剤師の実務研修を行ない現場復帰への実績をあげた。

在宅医療に於いては、日薬の在宅薬剤管理モデル事業から始まって、5月より市内全域で、在宅ケア・はっとラインの協力薬局として多くの薬局が参加し、行政からも大きな期待が寄せられているが、これからといった感が免れない。

又、在宅患者への服薬指導では、それぞれの地域差はあるにせよ着実に成果をあげ、医師からもその意義の大きさを認められてきている。

市薬内部の組織の強化については、民法に則った定款改正ができ、又、5年振りに会員名簿の発行も行なうことが出来た。

対外的活動の充実としては、平成7年度から薬草観察会が、福岡市薬剤師会・福岡市・健康づくり財団あいれふの主催で行なわれ、各関係団体から高い評価を受けた。

更に、毎年各区で行なわれる健康フェアも、市民からの厚い信頼を受け充実したものとなった。

昨年8月に開催されたユニバーシアード大会に於いては、選手村診療所に多くの会員の協力を得て、無事任務を果たすことが出来た。

行政から、三師会として対等に業務委託を受けたということは、特筆されるものである。

1.組織の強化

(1) 支部の活性化を図るため、7支部役員と個別に懇談、意見調整を行ない支部独自のイベント等事業に対して、助成を行なった。
(2) 恒例親睦行事のソフトボール大会およびボーリング大全が盛会樫に終了。全員相互の親睦が図られ、組織の強化につながった。
(3) 市薬会員名簿内容を刷新発行。
(4) 定款改定のための特別委員会を設置し、民法に則った定款改定案を作成。ジャーナルに掲載、全員の意見を求めた。

2.福岡市薬剤師会薬局の運営

(1) 現在、会営業局のあり方が厳しく問われている中、平成7年6月の日薬通達に沿った福岡医療圏の医薬分業支援センターとしての機能を発揮すべく、研修・調剤・備蓄・情報・在宅の各支援センターとしての事業の発展に努めた。尚、11月の九州山口薬学大会で、市薬薬局の実践内容を発表した。
(2) 研修センター
実務研修を通じ未就業薬剤師の調剤薬局等への就職および各大学学生の研修もあわせて行った。
(3) 調剤センター
かかりつけ薬局を持たない遠隔地区患者および市薬薬局周辺住民のかかりつけ薬局としての機能をはたした。医療センターからの処方せん応需率は、約13%台となっている。
(4) 備蓄センター
備蓄薬リストを作成し、今後はソフトの開発により、迅速にタイムリーな作成が出来るようにした。
(5) 情報センター
処方せん応需に於ける相互作用などの情報を、コンピューター機能を活用し、FAXによるスピーディに会員の求めに応じ提供するシステムを確立。平成8年3月1日から業務開始。

3.薬局業務の充実

(1) 開局薬剤師の資質向上として、更に規制緩和問題で揺れ動く中、薬局の生き残り策として、薬局製剤の実習を7月から5ケ月にわたって5回実施。5製剤を手掛けた。
(2) 福岡市民の薬草観察会が、平成7年度から福岡市薬剤節会・福岡市・健康づくり財団あいれふの主催で行われるようになり、大変好評を博した。又、あいれふの広報番組“おはよう・あいれふ”でも紹介された。
(3) PL法に関する研修会を開催。
(4) 地域医療への参加協力。急患センターへの出動による地域住民の救急医療に貞献。
(5) 急患センター医薬品集の編集、第6刊発刊。

4.医薬分業の推進

(1) 医薬品の適正使用並びに分業体制の推進のため、処方検討会を実施。九州医療センター各科の先生方の協力を得て毎月実施。又、12月には、九州医療センター副院長・鴛海先生による特別講演を中央市民センターで開催。大きな反響を得た。
(2) 現在いまだ分業にふみ切っていない広域病院に対して面分業を働きかけ、いくつかの病院から具体的な動きが出てきた。
(3) 市民に対する医薬分業特に面分業の意識調査を立案し、その結果を平成9年行なわれる九州山口薬学大会で発表。その為の研究助成金を、平成7年度の九州山口薬学大会佐賀大会で受領した。

5.研修事業の充実

(1) 学術委員会の企画による学術研修会を、各界の講師を招き年8回実施。
(2) 第6回薬局実務研修会を、学術委員会の協力を得て9月に4回実施。
(3) 社保・分推委員会による処方検討会を実施。多くの全員が参加。
(4) 九州山口薬学大会参加会員への助成を実施。

6.試験センター

(1) 市立学校の飲料水水質検査(毎学期)。プール水水質検査(2回)実施。
(2) 日薬全国統一試験(検体:クロフイプラートカプセル、ジクロフェナクナトリウム錠)、福岡県医薬品計画的試験(鎮痛薬、漢方薬、点眼薬、精製水)を実施。
(3) 福岡県薬剤師会の事業として、酸性雨分取器レインゴーランドU(堀場製)を用い初期降雨を分割採取。pH値および導電率の測定を5回実施。

7.在宅医療訪問薬剤管理指導の充実

(1) 前年度の博多区モデル事業は、全国に福岡市の在宅支援システムの素晴らしさをアピールできたが、今年度は行政と三師会共催で発表会を開催。
(2) 在宅ケア・ホットライン相談協力薬局として、支援ネットワークに参加し、そのネットワークの中に訪問服薬指導も位置づけられた。
(3) 福岡市医師会の在宅担当理事樋口先生、在宅委員鹿井先生を講師に招き、研修会を開催。

報告第2号 第74回(臨時)第75回(通常)福岡県薬剤師会代議員会報告

1.第74回臨時代議員会

 日 時 平成7年6月24日(土)午後2時
 場 所 福岡県薬剤師会館
 演 題 議案第1号 平成6年度歳入歳出決算認定の件
     議案第2号 平成6年度収益事業決算認定の件
       平成6年度決算(平成6年4月1日〜平成7年3月31日)
        歳入金  228,443,268円
        歳出金  163,393,252円
        差引残額  65,050,016円
     議案第3号 平成6年度対九大病院事業特別会計収支決算認定の件
     議案第4号 対九大病院事業の福岡市薬剤師会への移管に伴なう
           第73回通常代議員会に於いて決定された同事業予算廃止の件
     議案第5号 細則の一部改正並びに規定制定の件

2.第75回通常代議員会

 日 時 平成8年3月17日(日)午前10時30分
 場 所 福岡県薬剤師会館
 演 題 報告第1号 平成7年度会務並びに事業報告
     報告第2号 日本薬剤師会第79回臨時、第80回通常代議員会報告
     報告第3号 平成7年度歳入歳出中間報告
     議案第1号 平成7年度補正予算決定の件
       補正後の予算額  236,007,016円
     議案第2号 平成8年度事業計画決定の件
     議案第3号 平成8年度会費決定の件
     議案第4号 平成8年度一般会計歳入歳出予算決定の件
       平成8年度歳入歳出予算 229,289,000円
     議案第5号 平成8年度対九大病院事業特別会計収支予算決定の件
       平成8年度収支予算 24,705,000円
     議案第6号 借入金限度額決定の件
       借入金限度額    50,000,000円
     議案第7号 細則の一部改正の件
     議案第8号 全長、副会長及び監事選挙の件
     議案第9号 目薬代議員選挙の件
     議案第10号 理事指名承認の件

〔2〕議 案

議案第1号 平成8年度事業計画決定の件

平成8年度事業計画(案)

温故知新、明治以来100有余年、薬剤師会の最大の目的は医薬分業の接待であった。それぞれの時代において分業の理念を掲げ、対策を模索しながら進展を計ってきたが遅々として進まず、ようやく動き だしたのは昭和49年処方箋料が10点から50点に引き上げられてからであった。

10年を一昔とするならば、二昔を経た今日を見るとき隔世の感がある。

しかしながら、今日までの分業は右の理念によって進展したわけでは決してなく、あくまでも経済的理由のものであった。したがって、今後もこの経済的理由でもって変貌していくし、弱者である我々はその汝にもまれ続けていく。

今回の診療報酬改正で厚生省は、一私企業の事件にすぎないクラフト問題を最大限に利用した。そして、出てきた言葉が医療分業の適正化である。この分業適正化の名の下に零細薬局は大きなしわ寄せを受けた。厚生省はいつの時代七も零細薬局の味方はしてくれないし、今後も保険財政の悪化という経済的理由でもって零細薬局は締め付けられていく。

分業の理念は、その締め付けのための理由づけに利用されることも認識しておかなければならないが、一方医療機関においては、処方箋を発行せざるを得ないという状況にも追い込まれているし、ここに明るい未来の突破口が開けている。

会員の生き残り策というのは、経済闘争に他ならない。地域薬剤節会レベルでできることは限られているが、地域薬剤師会でなければできないものもある。また、支部レベルでなければできないものもある。広域病院対策、あるいは地域住民に密着した在宅医療の参加・推進がそれに相当する。

市薬・支部組織がそれぞれの立場、役目を分担し組織運営に当たり生き残り策を計らなければならない。そして、会員も全員が自らかかりつけ薬局になる努力をし、結果として地域住民に認められる必要がある。その観点で諸事業を行なっていく。

1.広報活動の充実

 (1) 対外的広報活動を重視
 (2) 会報「市薬ジャーナル」年6回発行
   ア.内容充実

2.組織強化

 (1) 支部薬剤師会の強化
   ア.支部長会の月例化(組織の活性化)
   イ.研修、在宅、健康フェアーの事業強化
   ウ.未就業薬剤師の掘り起こし
 (2) 会員相互の親睦
   ア.ソフトボール大全
   イ.ボーリング大会
   ウ.薬草観察会
 (3) 定款及び選挙制度の見直し

3.福岡市薬剤師会薬局の運営

 ア.在宅支援事業の研究
 イ.かかりつけ薬局育成機関としての強化
 ウ.処方せん拡散の為の諸問題検討
 工.情報センターの有効的利用

4.薬局の活性化

 (1) 薬局業務の充実
   ア.OTC薬局の医療への参加促進(応需薬局の拡大)
   イ.基準薬局の見直し申.研修会充実
   エ.在宅事業への積極的参加
 (2) 地域医療への参加協力
   ア.急患センターへの出動協力
   イ.各区健康フェアーへの支援
   ウ.福岡市薬草観察会への協力
   エ.薬と健康の週間行事への参加協力

5.医薬分業の推進

 (1) 面分業推進の為の対策
   ア.医師会、歯科医師会との協力体制の整備
   イ.広域病院へのアタック
   ウ.支部との連動
 (2) 保険業務の研修と指導の徹底
 (3) 備蓄情報ネットワーク構築

6.在宅医療への参加

 (1) 福岡市医師会、歯科医師会、福祉、衛生、行政及び杜協との連携
 (2) 老健、特養施設、ケアハウス対策
 (3) 支部における在宅医療活動への支援

7.研修事業の強化

 (1) 各種研修会との連携
 (2) 研修内容の再検討
 (3) 支部研修会及び会員研究発表の支援

8.試験センター

 (1) 行政対策の強化
 (2) 学校保健施行規則第22条の2の第1項による検査事業の実施
   ア.県立及び市立学校プールの水質検査
 (3) 水道法第24条の2の第2項による事業実施
 (4) 厚生大臣指定機関としての医薬品試験の実施
 (5) その他の医薬品試験


議案第2号 平成8年度会費決定の件

平成8年度の会費、入会金は次のとおりとする。

(1) 会 費
  A会員(薬局、一般販売業、薬種商等) 年額 83,000円(県薬会費 39,500円)
  B会員(勤務、その他)        年額 31,000円(県薬会費19,000円)
  C会員                年額 8,000円
(2) 入会金
  A会員    保険薬局 500,000円    (県薬入会金 50,000円)
   その他のA会員 250,000円 (県薬入会金 50,000円)
  B全員 20,000円 (県薬入会金10,000円)
  C会員 なし


議案第3号 平成8年度歳入歳出予算決定の件


議案第4号 借入金限度額決定の件

 平成8年度福岡市薬剤師医会の借入金限度額は次のとおりとする。
  一金 150,000,000円

 

尚、代議員会に於ける質疑応答、休憩時問のインタビュー、その後のタカクラホテルでの祝賀会の模様は時間の都合上、次号(7月号)に掲載致します。

(広報)

 

 

4月1日より医師会・歯科医師全般員が下記の通り改適された旨、ご通知頂きましたのでお知らせします。

(広報)

(社)福岡市医師会新役員

会  長 多田秀敏(新)
副会長  竹嶋康弘(新)
     池田俊彦(新)
専務理事 福田量 (新)
理  事 田中耕一(再)
     江崎泰明(再)
     樋口正士(再)
     後藤元継(再)
     江頭芳樹(再)
     大木賓 (再)
     井上博 (再)
     山浦隆宏(再)
     大内伸夫(再)
     古川洸 (再)
     長野作郎(新)
     井上仁人(新)
     田坂健二(新)
常任監事 小野恭 (再)
監  事 土居壽孝(新)
     森安眞文(新)


(社)福岡市歯科医師会新役員

会  長 秋山治夫
副会長  蒲池徹志
     水ノ江文生
専務理事 永田正典
常務理事 熊澤栄三
     山本達雄
     小川孝二
     牛島進
     高口秀夫
     酒井健策
     堀田謙一郎
     川村啓造
     長畑栄一
     石川久
     山本和己
監  事 小川巌
     王丸道平

<私と薬>
ドラッグ・アディクション 中央保健所 所長 村上浩

ほかならぬ北島理事からのご依頼は引き受けたものの何を書くか、思いは定まらぬままに連休前のハナキンの夜、家内と映画を見にゆきました。

高岡早紀主演の「KYOKO」。若いヒロインが、子供のころにダンスを教えてくれた元GIを訪ねて渡米します。やっと探しあてた彼はエイズで痴呆症も併発し、若いころの記憶も失ってホスピスに入っています。

映画は、彼女が自ら運転する大型バンの後ろに、重態の彼と共に多量の医薬品を載せてニューヨークを出発し、道中で色々なハプニングや偏見、差別に会いながらマイアミの母のもとに送り届けるまでのロードムービーの形をとっています。

全編を通して流れるラテン音楽やダンスシーンも素晴らしいが、私にとっては、アメリカのエイズの現実(差別も含めて)を、とても興味深く見ました。久しぶりに心洗われる本当に良い映画でした。

映画の中で、ひょんなことから同乗させた小学生ぐらいの悪ガキが、患者の鎮痛のためにつんでいるモルヒネを盗もうとするシーンがあります。MORPHINEと書かれた薬袋がアップで写ったとき、「あ、これだ!ドラッグで行こう。」とテーマが決まりました。

さて前置きが長くなりましたが、ドラッグといえばアメリカではコカインを始めとする事業汚染のことが先ず頭に浮かびます。エイズも、この問題と切り離しては考えられないのはご承知の通りです。

麻薬や覚醒剤は、常に金を介してダーティな組織と結びついている特殊性がありますが、ドラッグ・アディクション(薬物依存=中毒)の代表的なものであり、広く言えば嗜癖の範疇に入ります。

専門家は、身近なところではアルコールから、はてはギャンブルに到るまで、人間の行動を嗜癖という概念でとらえて研究しています。

アルコール依存症の専門施設、国立久里浜病院の名誉院長河野先生は、人間は三つのこと、すなわち「人、事、物」に酔うと言っておられます。これがバランスがとれていれば良いが偏った状態になると、人に偏すれば若いうちの恋に夢中の時代は良いが、浮気、不倫とつらなり、事では仕事中毒、ギャンブルなどの○○オタクとなり、物に偏した状態が種々の薬物中毒だとのことです。

河野先生は、中島らもが自らのアルコール依存体験をもとに書いた好著「今夜、すべてのバーで」の中にモデルとしても登場します。中島らもには又、実際の自分の薬物体験を書いた「アマニタ・パンセリナ」というものすごい本があります。これを今回買って読んでみました。睡眠剤、覚醒剤、せき止め、抗うつ剤・‥と薬物が出てくるわ、くるわ。

私は人一倍好奇心が強い方ですし、いささか無鉄砲なところもあります。これをきっかけに薬物にはまってしまったら‥・「全ては、あの四月の電話から始まりました。」とならぬように「クスリはリスク」といつも肝に銘じながら人、物、事とバランス良くつきあって行きたいと思っています。

保健所も業務として、アルコールを中心とした薬物依存症にかかわっています。これまで博多保健所でアルコール専門相談を行っていましたが、今年度は早良保健所にも窓口を拡大しました。

アルコールについては、いろいろな断酒会やAA(Alcohol Anonimous)等の自助組 織があり、薬物中毒についても九州DARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)など自らの薬物依存と戦っている人たちが活動しています。

さらになんと言いましても、公衆衛生上、薬物依存の最大の課題はニコチン依存症です。5月31日はWHOの定めた世界禁煙デーで、あいれふホールでは、中央保健所の主催で「子供とタバコ」をテーマにトークショウを開催します。

今回は、クスリはクスリでもヤクの話になってしまいました。

中島らも「今夜、全てのバーで」講談社文庫
  同 「アマこタ・パンセリナ」集英社

 

村上所長、今回は原稿締め切りまでの猶予僅かな中、又、大変お忙しい時期に気持ちよくお引き受け下さり、本当にありがとうございました。

(広報)

<薬剤師会薬局> 福岡市薬剤師会薬局3年目を迎えて 薬剤師会薬局 副薬局長 江田隆秀

私が、福岡市薬剤師会薬局にお世話になって3年目の春がやってきました。あっという間の2年間でした。国立病院を退職して、何もわからない私でしたが、たくさんの先生方にご指導いただき今日を迎えています。4月より副薬局長という役職につき、身も心も引き締まる思いでいっぱいです。

3年目を迎えた市薬薬局も、今一歩踏み出す時期が来ていると思われます。今、薬剤師は何をすべきなのか、薬剤師に何を求められているのか、考える事、実行すべき事は山のようにあると思います。その中で、服薬指導を通じての患者との関わりというものは、薬局内においても、また今注目されている在宅においても、共通する点は多いと思われます。

ここで、私が国立病院在職中忘れる事の出来ない患者の紹介をしてみたいと思います。その患者との出会いは、私が病棟活動を行ならている時でした。70歳代の女性で数回の入退院を繰り返していたその患者は、薬剤師が直接病室で薬の説明をすることに対して、とても喜んでいた様でした。

数回病室を訪ねる内に、薬の話だけでなく、今一人暮しで淋しい事や兄弟が他県在住にてなかなか会う事が出来ない事など、プライベートな事まで話をしてもらえるようになりました。

退院後も薬の事でわからない事があると、薬局に電話がありました。私は、その患者の自宅を数回訪問 し、薬効や服用方法等について説明した事もありました。患者からの質問等についてどのように指導したのか、私から主治医には報告していました。

その患者が再入院したある日、主治医がジゴキシンのTDM測定をしたが、血中濃度が上がっていないという報告を受けました。主治医は一番にノンコンプライアンスを考えたようでしたが、私は患者と会う度にコンプライアンスを確認し、きちんと服用しているという返事が得られていたので、それは考えにくいという事を主治医に伝えました。

原因としては、他剤との相互作用や患者の体質的なものなども考えられましたが、主治医と話し合い、看護婦が服薬を確認した上で服用前、服用直後、1時間後等の6点採血でそれぞれのTDM測定を行なう事になりました。その結果、きれいな血中濃度曲線が得られました。最初のTDM測定の結果は、ノンコンプライアンスが原因だったという事が明らかになったのです。

自宅へ訪問したりして、患者との信頼関係が出来ていると思っていた私にとって、この事は大きなショックでした。その後主治医と相談し、患者にノンコンプライアンスをせめるのではなく、もっと患者の話を聴いて様子をみてみるという事になりました。

ゆっくり時間をかけ患者とかかわる中で、患者の考えがわかってきました。私は、処方されている薬の薬効についてその一つ一つを説明し、その中で、ジゴシンは大事な薬である事を伝えていました。患者はそのジゴシンを服用しなければ このまま入院したままでいられる、退院して一人暮らしをしなくて良いと考えた結果ジゴシンのみ服用しなかったのです。

この患者のおかげで、私は色々なことを考えさせられました。今からますます進んでいく高齢化社会、またそのケアの問題、薬の説明をする事の難しさ、そして何より患者との信頼関係について…。

調剤薬局のカウンターにて一人の患者と接する時間というものは、ごく限られた時間だと思います。その限られた時間の中で患者との関係をどこまで深めていく事ができるか、そこが問題であり重要な事だと私は思っています。

最後にこれからも薬剤師として、また一人の人間としてのビジョンを持ち続けながら頑張っていきたいと思いますので、先生方のご指導よろしくお願い致します。

<特 集> 医薬分業

(社)福岡市医師会の御厚意により、今号と次号の2回に渡り「福岡市医報」No.435より“医薬分業特集”をそのまま転載させて頂き、諸先生方のご意見を伺も、たいと思います。御快諾下さり、誠にありがとうございます。尚、木原三千代先生の原稿も「福岡市医報」に掲載されたものです。

(広報)

 

7年後の続編(社)福岡市医師会(早良区) 佐藤克彦

7年ほど前に、医薬分業についてこの医報に小文を書いたことがあり、その続編を書け、とのことです。

何しろ大昔のこととて、その時の医報は手元になく、あやふやなのですが、主として医療機関の側からみた分業のメリット、デメリットについて書いたように記憶しています。

それから7年の間に、分業化率は上昇しました。これは、度重なる薬価切下げ、即ち薬価差の縮小、処方料の上昇、利用し易い調剤薬局の増加などによるものと思います。中には、一旦分業したのに、近くの薬局が遠くへ移転したために、分業を中止した、などと例外的なところもありますが、全体としては、これからも、分業への流れは止らないだろうと思っております。

現在の医療政策(分業推進もその中に含まれますが)の目標の一つに、全医療費中に占める薬剤費の減少、があると思われます。しかし、現実には、薬剤費の減少はさほどのものではなく、これに関連して「薬漬け」と云う定型化した言葉で、マスコミは記事を書き、放送します。

この「薬漬け」と云う、おぞましき単語が用いられ始めて四半世紀が経過しました。当初から、一部を除いて、..大多数の医師、医療についてはこのようなことは無かったし、現在では、その一部の存在でさえ著明に減少していると信じています。

処方の主流が散薬から錠剤に移ったことで、何種類もの散薬を乳鉢の中で撹拝し分包していた頃と比べて、薬の量が嵩張って見えるのも、誤解を招く一因でしょう。このような単純な誤解に基づくものは別として、もうーつ、医療費中の薬剤費の総額や率が問題となっているのでしょう。

度重なる薬価切下げ、薬価差縮小にもかかわらず、見込み通りには薬剤費が減少しないのには、それなりの仕組みがあるからだと思います。

二つには、同一目的に用い、同等の薬効が期待される薬物A、Bがあり、どちらも薬価差は10%、Aは1日分薬価が100円、Bは10円と仮定します。この場合、Aは1日分10円の、Bは1円の薬価差があります。Bの場合、調剤中に1錠か2錠、コロコロと床に転がったり、使用し難いような半端な錠数が不良在庫となれば、それだけで薬価差などは吹っ飛んでしまいます。

「差益」と云う言葉は、この場合は用いることは出来ません。薬価差あれど差益無し、です。経営を考えれば、薬物Bは誰も使用しなくなり、いや、使用出来なくなり、その代りにAを使います。これでは薬剤費の大幅な減少は見込めません。

薬価決定に当り、原価の安いものには、流通、保管、調剤などの経費や手間を考慮すべきだと思います。前記A、Bで言えば、Aは1日分100円で据置き、Bを1日分20円にすれば、Bの薬価差は11円となり、使用に堪えるようになります。Bの使用量は増加し、Aは減少する。すると、薬剤費、及び全医療費中の薬剤費の率は減少し、「薬漬け」などと云う、謂れなき中傷、非難も減少するでしょう。

局方品に代表されるような古くからの薬の、捨て難い良さに接する機会も多くなります。

この程度のことは、誰だって判っているはずなのですが、長年にわたって是正されないのは、何か理由があるのでしょうか?残念です。以上は、既に分業している者にとっては、どうでも良いことのようですが、敢て書いてみました。

 

調剤薬局よりのリベート今昔(社)福岡市医師会(博多区) 桑原廉靖

今日(2月12日)の朝日新聞は大きなニュースとして厚生省は、医薬分業適正化のため大型門前薬局の調剤報酬を大幅に引き下げると報じている。

大型門前薬局「クラフト」の事件について朝日は、これを昨年11月25日から5日間、精力的に追って報道した。おなじ日、毎日・読売・日経・西日本の各新聞社も記事にしたけれど一日だけに終ったようだ。

朝日が掲げた見出しは次のようにある。医師ら33人に未公開株。公開後株価10倍に。院外処方せん発行を促す事実上のリベート。厚生省が調査へ。

「濡れ手で粟」医・薬にも。元社員「完全なリベート」。医師ら「息子が」「妻が」。これほど手の混んだ悪行ではなかったが、官公立病院と製莱全社の暗い関係が、新聞で暴かれた。一般の医師は薬で金儲けしていると非難した。薬価基準(公定価格)と取り引き価格の差額利益を厚生省もとがめず、医師もまた疑うことをしなかった。闇経済を黙認して今日に至ったのである。

薬を売って生計を立てる医者に堕落したくなかったから藤田薬剤師と手を組んで、完全医薬分業をはじめてから27年が経つ。適当な場所が近くになかったので隣地の空家を利用してもらった。今で云う門前薬局の走りである。リベートなどとはとんでもない。公正証書も踏んでいる。

ところが分業すると、どれくらいリベートがあるかと長男は同僚の医師に尋ねられたよし。唖然とした。分業の本旨を知ってほしい。

日本医師会長だった武見太郎さんは、医薬分業を推奨した。調剤薬局は全国の郵便局に併設すべしと提案した。その配置が問題である。都市と地方との分業、患者老齢化の世情では薬を渡すまでの手間、ひまも容易ではない。これらは国民みんなが手をたずさえて考慮せねばならぬことである。

 

むかしばなし(社)福岡市医師会(中央区) 権藤祐一

私は昭和47年5月からマン・ツウ・マン方式で分業を始めたので、やがて24年になる。

したがって私にとって分業は空気のようなものになっている。数年前長男公和に診療所を譲って、時折りピンチヒッターに出るくらいだが、たぶん彼も分業をそのように感じているだろう。四半世紀も前のこととなればまさに“むかしばなし”である。

終戦後間もなく駐留米軍のサムス准将が『日本の医師は薬を売り、歯科医師は金を売って生計を立てている』と酷評したが、ある意味では的を射ていると言えよう。

永らく燻っていた医薬分業問題が医師会と薬剤師会が対立しての激しい泥仕合的国会闘争となり、昭和30年の国会決議によって一応の決着がついた。

つまり医師は建て前として処方箋を発行することが義務づけられたが、適応除外条件が非常に多く、実際には従前どうりに自院で調剤・投薬することが常態となって、いわゆる強制医薬分業は回避され、薬剤師会は名を取り、医師会は実を取ったと言われたのである。

分業問題闘争のピークとなった昭和28〜30年頃、私は勤務医であったから医師会との関わりも薄く、第三者的にこれに接していたが、『葉を売って儲ける』ことには懐疑的であった。

昭和43年に開業して、薬価差益の実利を身近かに実感したのだが、なんとなく味が悪く、その上に薬品会社からの添付攻勢は不愉快至極であり、関連して算盤を弾きながらの処方や在庫管理は医療に縁遠いイヤな仕事であった。そういうことで何時の頃からか分業を考えるようになっていたのである。

私が分業したとき福岡市では既に3人の医師が分業に踏み切っていた。先駆者は旧制福岡中学以来の同級であり、畏友でもある桑原廉靖君である。彼は昭和44年5月から医師としての信念に基づいて完全医薬分業を実施していた。後に私が名付けた『マン・ツウ・マン分業』の囁矢である。

1年後の45年8月に桑原医院の近くで、外科の向井盛信君が処方箋発行に踏み切り、さらに天神福ビル6Fにサテライト診療所を開いた大先輩の松垣忠国先生が46年7月(保険医総辞退の月)から分業を始めていられる。

従って47年5月の私の分業は市内での第4件目であるが、もっと遡ると元県医師会長の渡辺信書大先輩が昭和15年頃開業された際に自院投薬をせずに、処方箋を発行されていたという歴史的事実がある。

桑原君の先例を知ってから私は分業を真剣に考慮し、開業4年目の47年5月に完全分業を始めたのである。

最大の理由は単純で、医師は『薬を売って儲けるべきでない』に尽きる。

たゞ処方料8点、処方箋料6点の時代であって、粗収入の大幅減がかなり厳しいことを覚悟していたが、薬剤購入費および翌年度の所得税の減少とでかなり埋め合わせができる格好となり、私が中洲で飲んだ修養娯楽費と思えば廉いものじゃないかと言い聞かせていた。

分業にはもちろんメリットもデメリットもあるし、本質的な議論もしたいが、厚生省は聞き流すに過ぎないであろう。予想外の利点としては薬品について薬剤師の専門知識を容易に利用できることがある。

分業していることが当たり前になっている私だが、3年毎の薬局許認可更新の際に、いわゆる第二薬局規制に関連して、お役人のいつもながらの杓子定規ぶりを耳にするのは不愉快である。

 

医薬分業についての感想(社)福岡市医師会(早良区) 野中昌文

医薬分業にふみきった当初は、患者さんを厳選し、本人負担のない保険本人か老人医療に限定し、さらにその反応は如何にと恐る々処方箋を発行してみたものですが、はや10年近くも継続していますと、当初の緊張も薄れて少々マンネリ化しているのではないかと最近すこし反省しています。

分業にも多くのメリットがあるにしても、患者さんにとっては二重の経済負担を強いている訳ですから、これからもできるだけ分業の長所即ち薬剤師の知識を活用する努力を忘れてはならないと思っています。

62年県医調査の医薬分業率は全科では30%ですが、眼科に限定すれば61%でした。現在ではさらに高率の分業になっているでしょう。

点眼薬5ccだけでも処方箋料は76点ですので、点眼薬を現物で手渡すよりも、薬価によっては一枚の処方箋で投与し治療する方がずっと有利ですし、内服薬がないか或いは少ないほどさらに有利となります。

ただ近頃のように処方箋発行が当たり前になりますと、ほんの一部ですが、処方箋に便乗したのではと曲解しかねない内容の明細書がみられることがあります。

たとえば極端な例ですが、慢性疾患でとくにその月に特段の病状変化はないようなのに、月に21日通院14回処方箋(即ち2〜3日毎に処方箋発行)、16日通院12回処方箋、19日通院12回処方箋発行の事例、或いは通常1回15ccのカリーユニを5ccずつ何回も処方するなど、組合からの再審査請求となった事例がありますが、注記がなければ保険組合にも誤解を与えかねません。

逆に一日通院のみで点眼薬を上限量15cc×6種薬剤処方の事例もあります。なるべく一回の通院で済むようにとの配慮でしょうが、保険診療は約束ごとですし、内服は14日分、外用は一回7日分を目安として処方する決まりです。薬の変質も心配だし、できる限り量を遵守してもらい、患者さんにも薬を乱用しないよう教育してもらいたいものです。

処方箋の場合は薬代を医療機関は受け取りませんので、ついうっかりすると、患者さんを忘れがちになりますが、分業の場合にはとくに高価薬の処方に際しては心すべき事柄の一つでしょう。

先日抗生剤メイアクト100mg、3tab4日分を処方しました所、患者さんから10ヶ月の赤ん坊に授乳しているが、薬は大丈夫だろうかと質問を受けました。

しかしその日に限って薬の効能書が見当たりませんし、64年版の日本医薬品集にもまだ新薬だったためか索引に無いようです。普通は短期間投与ですし、まあ大丈夫でしょうと言うところですが、慎重を期して薬剤師に連絡してようやく乳汁には検出されないとの記載を見つけましたので、それでよく納得してもらいました。

一般に抗生物質のパンフレットにはよく妊婦・小児にたいする安全性は確立されていないので慎重に投与すること、と記載されていますが、慎重にとか治療効果が副作用を上回る場合とかは、製薬会社の逃げ口上の印象を受けあまり助けになりません。

かえって何も記載がなければ記載がないから心配しなくてよいでしょう、と患者さんを納得させることができます。

薬剤師は薬に関しては医師より多くの文献を持っていますし、こんな時にはすすんで助言を求めるのは、私自身の精神衛生からも気楽です。

また近ごろは薬局、墾剤師に関しては、暗に薬歴管理が強調されていますので、投薬の重複とか、正しい薬の服用とか保存などの説明にも、もっともっと薬剤師の存在を活用していきたいと思っております。

 

誰が為の医薬分業か(社)福岡市医師会(中央区) 末松英次

医薬分業についての私の意見を書いて7年になるので、もう一度当時の自分の論文を読んでみたが、やはり根本的な考えは変っていないと思う。

当時に書いたようにKleines Fachの開業医で大体同じパターンの薬剤を授与している医院或は大学公立その他の多科を有する個人病院で患者数の多い病院は院外処方箋を発行してあげた方が患者に親切かと思う。

但し金銭的には老人以外は割高になるようだ。投薬の待ち時間が何時まで経ても40分と表示されている大学病院に偶々診療に行った私には不思議に感じたし、病院の前に市場よろしく調剤薬局が並んでいる場所では確かに所謂医薬分業は便利な方便だと思われる。

医薬分業をGHQのサムス准将が勧告したのは昭和31年との事、その後40年を経ている現代、当時の薬剤の種類がその後毎年100品ぐらい宛増加し、現在は500品以上になっている現実を彼が生きていて知るならば驚くのではあるまいか。

且つましてやある疾患に対して殆んど同じ効果があると云われる薬剤が10種類近く或はそれ以上もある事実を知ったなら尚更であろうと思う。その中から主治医は投薬するのである。例えばCa桔抗剤だけでも第一世代、第二世代、第三世代と医学雑誌を見ても16種類もある。此等の申何れが絶対と云うものは無い筈である。

例えば10箇所の医院から夫々異った処方箋を患者が持参した場合に薬局は常時此等の16種類を持ち合せているだろうか、一剤としても大変な数である之に加えて他の降圧剤や胃薬その他の薬剤も一緒に処方される筈である事を考えると如何に調剤薬局がその処方箋通りの薬剤を即座に投与出来るか否かが想像出来る筈である。

即否と云わざるを得ないと思う。結局一医院一薬局と云う事になり、7年前に書いたように処方箋発行に依る 患者が2ヶ所行く煩わしさと高額の支払の負担を背負う結果になる。

私は近頃の日本医事新報No.3739の時論の「医薬分業に反対する」の中で矢部尚志医師の論文に全く同感を禁じ得ないと共に、医薬分業に依る患者の負担金の割高を具体的に知る事が出来た事を感謝する次第です。

即ち処方調剤料合計193点で非分業の処方料26点+調剤料5点計31点に比べて162点増加する事を恥ずかしながら初めて知る事が出来、これが月1回14日分の投薬の場合で、患者の負担は之に調剤薬局側が薬剤服用管理指導料21点が加算され計214点となる。従って健康保険支払側の負担額はそれなりに増加する事になる。

例えば先の計算に依れば分業は非分業に比して一剤14日分で1回の処方調剤で1890円医療費の増加となる。此の事実を近頃の新聞に依ると厚生省の役人はやっと気が付いて驚いているようであるがマスコミは先の戦争中同様他人事のように書いているだけで、一般市民には知らされず唯々医師の薬価の利潤の元をその利鞘に依る事ばかりを謳いあげている。

此の薬価差の利鞘は分業の場合でも薬局の収入になる事になり、保険支払側への影響は全く同じである事実を知っているのであろうか、何故なら薬局も医師と同じ薬価で購入している筈であるから。

私は矢部氏の論文の少し前に「医薬分業の現状、そして将来」と題した名取徳彦氏の論文を同じく日本医事新報No.3734で読ませて頂いていたが、氏の医薬分業に依るメリットは患者には少いように思われる。その理由は 7年前に書いた私の論文に指摘されたものと同じだと考えられる。

私は厚生省が医薬分業を奨めた時の最大の理由の一つとして、患者が二箇所以上の医院或は病院で投薬を受けた時に其の薬剤の重複を避けることに依る患者への副作用と同時に経済的負担を(同じ系統の薬剤の二重投与に)、避ける為にその地区に中央投薬センターなるものを設立してコンピューターを利用すれば希望する医師に知らせる事が出来ると云う宣伝文句があったと記憶している。

その一番大事な事は全く忘れて唯々標的を医師の薬剤利鞘のみに集中して医薬分業を圧し進め、その為処方箋料を無理に高くした結果、保険支払の増加になり、慌てて此の度は処方箋料の点数を大幅に引き下げる工夫を考えるような案を模作している事を新聞に書いていたが、とうとう朝日新聞1996年2月12日の朝刊に依れば門前薬局(何と情けない術語か)を主なる対照として、その他の薬局も何とかして調剤報酬改正を考え始めたようである。

はた又一方では大資本が調剤薬局を牛耳ると云う噂を耳にする。医療産業なる言葉と併て、折角人間対人間の関係に成り立っている町医師と患者との関係を無理やり引き裂かんとする厚生省の役人の心情は、未だに参百年間の封建政治体制時代の「お上」と云う言葉から脱する事が出来ないようである。

医師は知識人としての誇りを失ってはならないと思う。私は7年を経た現在も上記のような理由で医薬分業を強制すべきではないと思う。望むらくは、厚生省は開業医が薬剤利鞘に頼らないように診療所の診察料、処方料を考えるべきと思う。追記として現在でも決して利鞘は大きな製薬メーカーの利益になるように決めていると思うが。

《参考文献》
 (1)福岡市医報1989.No.358.
 (2)日本医事新報1995.No.3734.
 (3)日本医事新報1995.W0.3739.
 (4)日学雑誌 血圧1995.No.Vl1月.

 

分業10年(社)福岡市医師会(城南区) 井上四郎

自分の病院と、他人の薬局のふたつの経営を担う医薬分業だと、受診してくれる患児の数に一喜一憂する気持ちの動きは、院内処方時代とは比べものになりません。だから依頼されたこの原稿の内容も月、あるいは季節でまったく違ったものになります。

今は冬、病気のこどもは多く、気持ちは大らか、だから躁の状態で書けます。

分業は良いか、と問われれば、今は躊曙なく「勿論ですよ」と答えられます。

薬量の錯覚などの処方の間違いは必ず訂正してくれる、調剤のミスはまず絶無、服薬時の注意など指導に遥編はなく私より親切丁寧、時間外の解熱剤の電話の問い合わせにも親切に対応、などなど、唯々薬局に感謝のみ。すべて患者減の防止に役立っています。

経営上も、院内調剤に必要な人員、設備、薬剤費が不要、レセプトの内容も簡潔で月末の締めも容易。診療報酬のアップの度にセットになる薬価のダウンも、薬局側には申し訳ないが無関係で、アップ率は分業の分もっと高く得をします。今でも院内調剤より処方料のほうが実質手取りは上になりましょう。業で失うものは思い当たりません。

良い事ずくめですが、前回にも書いたように、小児科がガラガラになる7月から9月の夏の季節は、処方箋の発行も少なく、申し訳ない気持ちで、目を伏せて薬局の前は足早に駆け抜ける毎夕となります。これだけが、分業10年、毎夏味わう辛さです。もっともこの辛さは小児科だけの事で、内科等のように患者数に季節変動がなければ、こういった心労はなくて済みます。

幸い、近くの歯科や外科の処方箋もずっと増してきたとか。私にとって嬉しいこの傾向がつづけば、夏の心労はぐっと減ります。

発展のつづく福岡はまだこどもの数が多く、専門科指向の土地柄も今のところ小児科には有り難いことです。しかし、出生数の減少がつづくと、小児科はもっと暇になり、薬局には魅力のない、分業の対象にしたくない科になるでしょう。「分業は良い」とのんびり言っておれるのも今だけかもしれません。

昨年は開業10年ということで、薬局側の祝宴があり、大変ご馳走になりました。だが本当は分業で恩を受けているこちらが宴席を設け、お礼を述べるべきではなかったかな、というのが10年目の実感です。結婚が相手次第で幸せにも不幸にもなるように、分業で患者負担が増してもマイナスに作用せず、患者増になるかどうかも相手次第です。私の場合は、とにかく最高の相手に恵まれたという一語につきます。

2月という風邪のこどもの多い季節で、躁の気分で書きました。8月、9月のまったく暇な鬱状態の夏だったら、分業で負担が多いから患者が少ないのではないか、などこれとは違った分業否定の悲観的な文章になったかも知れません。書き手の精神状態を勘案して読んで下さい。

 

在宅医療と太文字カレンダー博多区薬剤師会 会長 木原三千代

人間、誰しも五十路にさしかかると、身体機能に衰えを感じることがいくつかあります。

女として現役かどうかは別にして、その一つが五十肩。最近これに悩まされています。男には無くて女だけが使う下着、これが不思議と9割かたホックが背中についています。フロントホック式とかスポーツタイプなどもありますが、オバさんにはあまり縁がない代物ばかりです。このところ「いたーっ!なして、こげな物ば着けないかんとかいな!?」の毎朝です。

そして、もう一つが視力。初めて意識したのは、名刺の電話番号です。数字の二か三が読めない。名刺を持つ手が自然と離れるではありませんか。愕然としたのを思い出します。

新聞の文字が大きくなったのは何年前か忘れましたが、大きい文字は、たしかに楽です。

1.薬業人から医療人へ

チリ紙と石ケンを売っていると言われていた薬局・薬剤師が、処方せん調剤を通じて、医療従事者として位置づけられるようになって、4年。平成6年には、在宅医療への参加まで求められるようになりました。病院・薬剤師に病棟業務(600点業務)を求められるようになったのと同じように、薬局・薬剤師にも、調剤室のガラス窓越しに薬を渡すだけでなく、薬局から一歩外に出て、患者さんのベッドサイド迄行くことを求められるようになったのです。それが在宅医療への参加です。

薬剤師は、医師・歯科医師・看護婦さん達のチーム医療の一員と認めてもらえてこそ、はじめて一人前の医療従事者になれるのです。

2.薬剤師の在宅医療への参加

電話とFAXの違いは、音声か文字かの通信手段。受話器を取った途端に相手がわかる電話と違って、FAXには受信紙がせり出してくる時の「ウム!誰だろう、何んだろう?」という期待感があります。

FAXの呼出し音とともに、K病院から「要訪問指導」の指示がある処方せんと「患者情報提供書」が送られてきます。訪問看護ステーション博多の要請で、独居の患者さんに薬を届け、訪問指導をすることになりました。

薬剤師が在宅医療に参加するためには、医師からの処方せんによる指示が必要です。患者さんが通院中のK病院は、院外に処方せんは出しておられないのですが、ステーションからの要請ということで、特別に院外処方せんを発行してくださることになりました。

患者さんはパーキンソン症で、K病院の内科と眼科を受診しておられ、メネシット錠をつぶして粉末にしたものと、アーテン、パーロデル等の錠剤が処方されています。薬の管理は、訪問看護婦さんがきちんとされており、朝・昼・夜の服用時間毎に表を作成し、のみ忘れがないように柱に掛けてあります。

それも、散剤の包みの上に5〜6種類の錠剤を1錠づつセロハンテープで貼り付けてあるのです。この薬の表を作成するのにかなりの時間を取られるため、入浴時問がなくなることもあるとのこと。それを聞いて、薬局で服用時間毎に一包みにしてしまう“一包化”の調剤をすることにしました。

写真は、コンプライアンスグッズの薬のカレンダーです。薬包紙の上に貼ってあった、5〜6種類の錠剤を粉薬と一緒に包むことで、包みの上が空き、大きく日付を書き込めるようになったのです。目が少し不自由なため、般用表の横に小さく書いてある日付だけでは見えにくかったのが、大きな数字になり、分かりやすくなったと喜ばれました。

患者さんは、食事をしないときの服用方法とか、副作用等について質問をされます。主治医が渡しておられたパーキンソン手帳を使って説明すると、分かりやすいようでした。

昨年末訪問したとき、写真のが小さいためにしきりに太字のカレンダーがほしいと言っておられました。薬局に帰って捜したのですが、ありません。そして、1月。博多区医師会の福嶋会長をお訪ねしたとき、待合室で「ご自由にお持ち帰りください」と書かれた箱の中に、あるではありませんか、太文字のカレンダー。遠慮なく、自由に持ち帰らせていただいたことは言うまでもありません。

このようなカレンダーのことは書きませんが、訪問指導した薬剤師は、主治医に「訪問薬剤管理指導報告書」を提出します。服薬・管理状況や併用薬剤の有無、患者さんの主訴や要望等、主治医に伝えた方がいいと思えることを報告します。

薬剤師の在宅医療への参加には“初めに、医薬分業ありき”です。

3.医薬分業における“面と線”

松本清張の小説「点と線」ではありませんが、医薬分業の形態を、1医療機関と1薬局の場合をマンツーマン分業(線)。医療機関と不特定多数の薬局、いわゆる患者さんが運んだかかりつけ薬局によるものを面分業といいます。昨年末、調剤薬局のクラフト事件がマスコミをにぎわし、医療機関と薬局の癒着が問題になりました。そして調剤報酬改定(案)は、医療機関からの処方せんの集中度で4段階に分け、大型門前薬局の調剤報酬を大幅に引下げることで諮問されました。

今回の改定は、マンツーマンの線型から、面型に展開させようとするもの。分業率の高さで、全国1位、2位を争う佐賀県と福岡県は、もろに影響を受けることになります。ただ、今までは医師の薬剤師に対する信頼度から、薬品備蓄の問題までを含めて、マンツーマンの方が分業が進めやすかったのは事実です。

しかし、分業は抗ガン剤とソリブジンの事故を契機に、量から質の時代に。かかりつけ薬局による、大衆薬も含めた相互作用、副作用等の薬剤管理の必要性を問われるようになりました。

福岡市薬剤師会では、九大病院、九州医療センター、南福岡病院の院外処方せんをFAXを使って、筑紫、宗像などを含む福岡医療圏の290の薬局で受け付けています。かかりつけ薬局による分業で一番困るのが医薬品備蓄の問題ですが、福岡市では、薬剤師会薬局の備蓄と各薬局間の備蓄薬品リストで、30分から1時間もあれば、必要な薬は揃えられるようになっています。

病院と薬局の2ヵ所を周る二度手間と、高くつく料金。この医薬分業のデメリットを、かかりつけ薬局による薬歴管理と服薬指導でいかにクリアできるか。薬剤師にこれができなければ、医薬分業制度は医師はもとより、地域住民からも決して受け入れられることはないでしょう。やはり、ここは薬局・薬剤師の生き残りをかけた正念場であると言えます。

それにしても、さすが医師会理事。頭がいいというか、お口が悪いというか、素晴らしい先生がいらっしゃいますねぇ。かかりつけ薬局による分業(面分業)を称して、何とおっしゃったと思いますか。 「処方せんが来て、薬がないときにごめーん!て、言わないかんけんやろうもん」ですって。

<研 修> 平成8年度調剤報酬改正に関する解説 (社)福岡市薬剤師会 副会長 光安龍彦

1.調剤基本料

 調剤基本料(I)a 回数  4,000回以下
           集中度 70%以下
               45点
 調剤基本料(I)b     4,000回以上
               70%以下
               40点
 調剤基本料(U)a     4,000回以下
               (600回以下)
               70%以上
               (70%以上)
               35点
               (40点)
 調剤基本料(U)b     4,000回以上
               70%以上
               20点

 基準調剤加算(施設基準薬局のみ) 20点
 同一医療機関からの処方せん回数が患者1人につき月6回以上の部分 10点

 ○ 調剤基本料の5ランクを設定する条件の回数、集中度を算出する処方せんは、
   社保・国保に係るもののみ(公費単独例えば生保、公害、労災等は除く)

 ○ 基準調剤の施設基準
  1.500品目以上の備蓄
  2.集中度70%以下
  3.OTCを含めての薬剤服用管理指導録の作成
  4.緊急時の調剤に対応できる体制整備
  5.時間外、休日、夜間における応需体制の整備
  6.在宅患者訪問薬剤管理指導の施設の届出
  7.麻薬小売業者免許の取得

 資料(1)

 

2.調剤料

 ○ 内服薬(3剤まで算定可)
  14日分以下
  7日目以下1日につき     6点
  (7日分:42点)
  8日目以上1日につき     4点
  (10日分:54点、14日分:70点)
  15〜21日           75点
  22〜30日           80点
  31〜90日           100点
 ○ 内服用滴剤(内服薬の剤数にはカウントしない、種類にはカウントする)10点
 ○ 頓服薬(1割で5回分の30点までしか算定やきない)6点
 ○ 外用薬(3剤まで算定可)10点
 ○ 注射薬(3剤まで算定可 25点

3.調剤料加算

 麻薬 (麻)30点
 向精神薬、覚醒剤原料、毒薬 (局)(覚)(毒)7点

 


4.指導管理料

 1 薬剤服用歴管理指導料           30点
  (1) 薬剤情報提供加算       (薬)5点
  (2) 長期投薬特別指導加算     (長)30点
    (31日分以上より)
  (3) 重複・相互作用防止加算    (防)35点
 2 服薬情報提供料           (服)150点
 3 在宅患者訪問薬剤管理指導料 (訪)(老訪)550点
  麻薬指導管理加算          (麻)50点

4−1−(1) 薬剤情報提供加算

 患者への医薬品に関する情報提供の促進を図る観点から設けられたものであり、患者の適切な薬剤使用が図られるよう、平成8年3月8日保険発第21号医療課長通知では(1)薬剤の販売名(一般名処方の場合は一般名)、(2)形状(色、剤形等)、(3)用法・用量、(4)効能・効果、(5)服用又は保管取扱い上の注意事項、(6)保険薬局の名称、(7)服薬指導を行った保険薬剤師の氏名、(8)保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等の項目を、保険薬剤師が作成した文書により情報提供することになっているが、これに加え次の点に留意して情報提供を行うこと。

 (1) 記載上の留意点
  ア 処方全体を考察して記載すること
  イ 患者に不安を与えないよう配慮しつづ、必要に応じ重要な情報は確実に提供すること
    ・個々の薬剤に特徴的で重篤な副作用及びその前駆症状
    ・アレルギー体質など患者個々に起因する注意事項
  ウ 「特記事項」欄には、特に注意すべき事項を記載すること
  エ 分かり易い表現で記載すること
  オ 抗悪性腫瘍剤又は精神病薬など患者への告知又は不告知につき特に配慮が必要な薬剤
    については情報提供の前に処方医への照会を行って、提供する情報や指導の内容を十
    分吟味する等慎重に対応すること

 (2) 記載すべき具体的事項
  ア 患者が薬剤を区別できるよう大きさ、色、形状・記号番号等を記載すること
  イ 薬剤服用上の注意で留意すべき事項
    ・服薬を中断した場合の問題点の有無
    ・粉砕の可否
  ウ 副作用等症状の変化が起きたときの連絡先
  工 当該薬剤の保管上の注意事項
  オ 患者が他科を受診する場合(処方医に見せること)等の指示

 (3) 様式
   様式は特に規定されていないが、保険薬剤師が作成した文書により提供することとなっ
  ており次の点を踏まえて作成すること。
  ア 薬局名と薬剤師氏名を記載すること
  イ 薬袋の裏面を利用する場合表面に記載されていろ項目については省略可能であること
  ウ メーカー作成め文書を、1銘柄ごと渡すのみでは算定対象とならないこと

   作成した文書としては、次のような様式等が考えられるか、調剤した薬剤について、患
  者に必要な事項を如何に適切に情報提供できるかという点に留意して工夫・作成する必要
  があること。

   (1) 専用の独立した文書(様式例1)(文書による提供を第一選択すべきである)
   (2) 処方せんの「処方」欄を複写し、必要事項を加筆し作成した文書(同様式例2)
      留意点:処方医の同意を得て保険薬剤師が処方を訂正した場合など、
          そのまま複写すると患者の不信を招く恐れのあるものについては
          使用しないこと
   (3) 薬袋の東面を活用して必要事項を記載したもの(同様式例3)
      留意点:ただし、薬袋がひとつの場合のみ認められ、2以上の場合は不可

 (4) 記載事例
   服用方法、副作用、相互作用、日常生活上の注意及び保管上の注意に関する記載事例は
  別紙2のとおりであるが、この他「医薬品服薬指導情報某」(厚生省薬務局監修、日本薬
  剤師研修センター発行)を参考にするとよい。

4−2 服薬情報提供料

 (1) 本点数を算定するには基準調剤の施設基準の届出を行っている薬局であることが前提
  となること。
 (2) 服薬情報提供料の算定要件及びその様式については、平成8年3月8日保険発第21号
  医療課長通知により示されているところであるが、同通知で示された様式を踏まえて、3
  つの様式案を作成したので、これらを参考にして、患者の医薬品の適正使用に資する情報
  提供を適切に行うこと。なお、様式案中「Event」とあるのは、患者の容態の変化を
  指すものであり、副作用や重複投薬・相互作用の他に、副作用とは決めつけられないがそ
  の疑いがあるものを含むものであること。
 (3) 患者の同意を必ず得ること。
 (4) 1回の処方せんにおいて14日分を超える投薬に対して。
 (5) 処方医に服薬情報を提供する方法について、できれば地域の薬剤師会と医師会で事前
  に協議しておくことが望ましいこと。
 (6) 様式(様式例4参照)


5.老人調剤報酬

 一包化加算   処方せん受付1回につき (包) 30点
 老人用製剤加算 処方せん受付1回につき (老) 35点

○ 一包化加算:2剤以上が処方されている時、薬剤の種類にかかわらず服用時点毎に一包して患者に投与。 医師の指示か、薬剤師が患者さんの利便を考え、医師の了解を得た上で一包化する。処方せん上にも、また薬歴にもその記録を。
○ 老人用製剤加算:薬剤の服用が困難な老人に対し、医師の了解を得た上で錠剤を砕いたり、脱力プセルをして剤型加工して投与。その薬剤に粉末・顆粒剤等が薬価収載されている場合は砕いたり、脱カプセルをしても(老)算定不可。(老)と(計)は同時算定不可、どちらか一方を算定すること。


6.薬剤料

 1処方につき8種類以上の内服薬の投与を行った場合は所定点数の90/100に相当する点数により算定する。

○ 種類は、1処方のうち、内服薬(内服用滴剤を含む)のみについて勘定する。錠剤、カプセルは1銘柄ごとに1種類とする。また、散剤、顆粒剤、細粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類とするものであるが、これらを混合して服薬できるように調剤を行ったものについては、1種類として勘定する。
○ 薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類として勘定する。
○ 複数の診療科を標按する同一医療機関の異なる診療科の複数の医師が発行する処方せんを同時に受け付けた場合は、内服薬の種類については、それぞれの処方せんごとに勘定する。
○ 臨時に投与する薬剤とは、連続する投与期間が2週間以内であり、処方医がその投与の必要性について処方せんに記載したもの(保険薬剤師が疑義照会によりその投与の必要性を確認したものを含む。)をいう。投与中止期間が1週間以内の場合は連続するものとみなす。また、投与期間が2週間を超える薬剤については常態として投与する薬剤とみなす。臨時薬を除いても8種類以上ある場合は、処方せんに記載している全ての内服薬が10%の減点をうける。
○ 急性疾患等に対し、内服薬が臨時に2週間以内処方されている場合であって、医師の処方せんにその旨を明記しており、かつ、当該薬剤を除けば処方薬が8種類未満であるときは、所定点数により算定できる。その場合、調剤報酬明細書の摘要欄にその旨を記載するか、処方欄に他の薬剤とは別欄にして記載し、同欄に「臨時投薬」と併せて記載してもよい。

7.調剤報酬の請求

○ 1件のレセプト点数が2,000点をこえる場合は、処方せんのコピーを添付すること。
○ 同一患者に対し同一医療機関で複数の医師から処方せんが発行された場合は、保険医氏名を達記すること。
○ 同一薬剤で複数の規格がある場合は、必ず規格を記載すること。
○ 205円以下の場合、1回の受付により内服又は頓服のみの調剤料しか算定してない時のみ、薬品名の記載省略ができる。
○ 海外への渡航、年末年始および連休(G・W)の場合、必要最小限の範囲においてすべての薬は30回分を限度として処方調剤ができる。処方せんの備考欄およびレセプト摘要欄にその理由記載が必要。
○ 1処方中で臨時薬を除けば8種類未満となる場合は、レセプトに臨時薬であることを記載すること。(摘要欄又は処方欄に)

■■トピックス■■ 市薬学術委員会

家庭における自動腹膜透析APD(腎臓病最近のトピックス)

小児慢性腎不全の第一選択治療法は腎移植である。しかし、ドナー不足は容易に解決出来ず、“つなぎ”として透析療法の役割が大きい。透析療法には、血液透析(HD)と持続携行型腹膜透析(CAPD)とがある。家庭で行える利点から、小児ではCAPDが主流である。

CAPDの場合、同間隔での頻回の透析バッグ交換、昼間のバッグ交換と腹腔内の貯液など介護者や患児のQOLを制限している。

最近、患児の睡眠中に、しかも操作もCAPDの半分という夜間を中心とした腹膜透析装置(APD)が開発された。

APDによって夜間に短時間に頻回の薬液の注排液を行い、昼間は腹腔を空にしておくことが最良の治療法選択と言えよう。短所としては、年長児に成るにつれて、夜間の処理だけでは透析不足の傾向になる点である。

小児科 Vol.1.37No1 1996

サイコオンコロジーでの研究

1.がん患者さんの3割〜4割がうつ病、不安・恐怖・抑うつを伴う精神疾患を合併している。

2.乳ガンの患者さんで「手術後に、病気に対してファイティング・スピリットを示した患者さんは、予後が最も良い。病気のことを否認している患者さんは2番目に予後がよい。逆に、抑うつ的・絶望的になる患者 さんは生存期間が最も短い」ことが示された。

 日本人では「すべて先生におまかせする」といった、「おまかせ医療観」が一般的である。自分の病気を理解した上で、治療法の決定に参加していくという態度が、日本人には一番欠如していると言われている。
 しかし、このことはがんの予後という面からだけ見ると、決して批判されるものではない。

3.がんになりやすい性格傾向として、「過度に従順で協力的で、自分の感情、特に怒り・敵意の感情を抑圧してしまい、言葉で表現することがない」という特徴があげられる。

日本病院薬剤師会雑誌 Vol.32No1 1996

糖尿病とインスリン抵抗性の対策

予防と治療の両面にわたり重要である。
1)肥満の是正と予防
2)高脂肪食を避ける(高脂肪はインスリン抵抗性を増大する。)
3)複合糖質の比率を高め、食物繊維も積極的にとる(庶糖など単純糖質を避ける)。
4)運動の奨励
5)糖尿病を誘発または憎悪する薬剤を避ける(サイアザイド系利尿薬やステロイド剤など)。

この中で特に運動がインスリン抵抗性を除くのに最も有効である。
3)4)は内蔵脂肪蓄積への対策として重要である。

 最近、チアゾリジン系化合物のインスリン感受性を高める作用のあることが発見されインスリン抵抗性改善薬として注目を集めている。

 このうちトログリタソン(ノスカール)は世界最初の薬剤として厚生省の製造承認が得られ、近く発売される予定である。

PTM Vol.7,4(11)FEB.1996

お知らせ

薬剤師の変革の時を迎えて、薬剤師会の会務の繁忙さも到底昔日の比ではありません。しかも、職員の皆さんは、小人数ながらよく纏まって信じられないほどの仕事量を、それぞれの職務分掌に従って、意欲的に遂行されています。

また、いつ電話しても、訪れて用事をお願いしても、明るい声と笑顔で、とても気持ちよく応対してくれます。

この度、組織の活性化と対外的考慮より、4月1日から下記のとおり、3名の職名を変更しました。よろしくお願いします。

(細井)


    〔氏 名〕 〔新職名〕  〔旧職名〕
   事務局
    水越正幸   事務局長   事務長
    井原行子   事務係長   事務主任

   市薬薬局
    江田隆秀   副薬局長



[広報]

会議報告

【第14回理事・監事会】

日 時
平成8年3月18日(月)午後7時
場 所
福新棲
出席者
木村会長、冷川、中島、長谷川各副会長、樋口専務理事、松島、占部、吉田、篠崎各常務理事、小牧、戸田、市花、下瀬、井上、成澤、山本、入江、中野、北島各理事、高杉監事

議 事

1.会長あいさつ

2.報告事項
(1) 会務報告
(2) 委員会報告
(3) 学薬・勤務薬・商組報告

3.協議事項
(1) 平成7年度事業の総括について
(2) その他

 

【第15回理事・監事会】

日 時
平成8年3月29日(月)午後7時
出席者
藤原会長、細井、光安、篠崎各副会長、南島専務理事、川上、入江、磯田、市原、冨永各常務理事、中野、北島、小松、藤田、千阪、山本、白木各理事、井原監事

議 事

1.会長あいさつ

2.報告事項
(1) 会務報告

3.協議事項
(1) 役員の業務分担について
(2) 平成8年度事業計画について
(3) 同上予算案について
(4) その他

 

【第1回理事睾監事会】

日 時
平成8年4月12日(金)午後7時
出席者
藤原会長、細井、光安、篠崎各副会長、南島専務理事、川上、入江、市花、市原、冨永各常務理事、中野、北島、小松、藤田、千阪、山本、白木各理事、井原、長谷川各監事

議 事

1.会長あいさつ

2.報告事項
(1) 会務報告

3.協議事項
(1) 第35回通常代議員会の付議事項について
(2) その他

 

【支部長会】

日 時
平成8年4月3日(水)午後7時
出席者
藤原会長、細井、光安、篠崎各副会長、南島専務理事、川上、入江、磯田、市原、冨永各常務理事、木原、梅末、吉田、末田各支部長、藤野、清水、合澤各副支部長

議 事

1.会長あいさつ

2.協議事項
(1)平成8年度事業計画について
(2)同予算案について
(3)その他

3.その他
(1)福岡市薬剤師連盟について

 

委員会報告

【市薬薬局委員会】

日 時
平成8年3月19日(火)午後7時
出席者
木村会長、中島副会長、樋口専務理事、松島、吉田(邦)各常務理事、成澤、入江、山本、下瀬、井上各理事、久池井薬局長、小村、梅末各支部長、合渾副支部長

議 事

(1)現状報告

(1) 全般
 ・厚生省、福岡県薬務課、日薬 佐谷常務より理想的な医薬分業支援センターとの
  評価を受けている。
(2) 備蓄センター
 ・安定した利用状況
 ・滅菌グリセリン製造の件で、医療センター薬局の施設を利用。
 ・会員D.S.買い上げ(¥1,369,472支払)
(3) 調剤センター
 ・医療セシターの集中率は13%台が続いている。
 ・特殊疾患の患者、一般薬局では調剤が困難な症例、市薬薬局周辺の患者、遠方で
  かかりつけ薬局を持たない患者を中心に応需。
(4) 研修センター
 ・平成7年度は、薬局実務研修受講者27名、第一・福大の学生57名、計84名実施
(5) 在宅医療支援センター
 ・特に具体的な活動なし。
(6) 情報センター
 ・3月1日に事業開始(1日2〜3件の利用)
   データベースの改善
   毎月メンテナンスを行う(5万円/年)
   毎月20日に必要事項を提出して月末までにコンピューターにインプット
(7) 会計・人事
 ・2月末で吉武薬剤師退職

(2)時期執行部へ申し送り事項

(1) 全般
 ・担当者は頻回市薬薬局を訪問し、情報交換を。
 ・運営委員会を設置し、正しい運営の為の協議を。
(2) 備蓄センター
 ・備蓄薬品数のUPが必要。
 ・会員のD.S.買い上げの件では小委員会を設置、円滑な運営を。
 ・滅菌製剤を製造する為の施設が必要。
(3) 調剤センター
 ・集中率UPを防ぐ為にナビゲーションシステムの活用、チラシでの患者指導etc.
  を進める。
(4) 研修センター
 ・学生実習に対する対応方法を多角的に検討。
(5) 在宅医療支援センター
 ・滅菌製剤の製造施設をつくる件
(6) 情報センター
 ・市薬薬局での実務担当者をどのようにするか?
 ・毎月のメンテナンスの件
(7) 会計・人事
 ・4月から薬価及び調剤報酬改定での影響の件

 

【広報委員会】

日 時
平成8年3月11日(月)午後7時30分
出席者
冷川副会長、樋口専務理事、北島理事、冨田、織田、坂田、荒巻各委員

議 事

4月号 第2回校正、推敲 企画変更部分練り直し

日 時
平成8年4月8日(月)午後7時
出席者
細井副会長、北島理事

議 事

・市薬ジャーナル(次号)の企画
・今後の広報活動の構築

 

【学術委員会】

日 時
平成8年4月25日(木)午後7時
出席者
篠崎副会長、市花常務理事、千阪、藤田各理事、石飛委員

議 事

1.4月22日薬物療法研究会の反省
 マイクの不良
2.5月以降の講演会の予定
 5月 「インシュリン製剤の種類と特徴」(薬物療法研究会)
 6月 「糖尿病について」(学術研修会)
3.薬局実務研修の予定
 8月31日、9月1日、9月7日、9月8日の4日間で行なう。
4.社保委員会、薬局委員会との連けいでメーカーの情報をいかに各薬局に流すか?の調整
 についての篠崎副会長の説明。

 

【在宅委員会】

日 時
平成8年3月5日(火)午後7時30分
出席者
木村会長、冷川副会長、樋口専務理事、吉田常務理事、入江理事、磯田、遠藤、柴山、合澤、浦上、冨永各委員

議 事

(博多)訪問薬剤管理委員会 鶴見区薬剤師会見学
(中央)保健所福祉 年5会
(城南)在宅医療委員会で事例報告 在宅ケアを進める会
(南) 在宅医療検討委員会 3/22研修会
(東) ・医師会が積極的
    ・在宅ケア支援ネットワークづくり推進会議
    ・訪問看護ステーションの看護婦とボランティアで訪問する。
     (区医師会長を通じて主治医の了解を得ておく)

在宅ケアホットラインへの紹介件数のUP法
保健所の受付フォーマットに薬局欄を作る
ミニドック推進

 

【急患委員会】

日 時
平成8年3月6日(水)午後7時
出席者
中島副会長、成澤理事、小松、竹尾、高丘、馬場各委員

議 事

(1) 平成7年度.事業報告
  ・委員会      7回
  ・出勤表作成    4回
  ・新規出勤者説明会 5回
(2) 出勤者懇親会の件 3/22(金)午後7時 福新楼
(3) 医薬品集の編集の状況
(4) 九山佐賀大会の反省及び報告
(5) 平日夜間診療の対応について
(6) 新年度出勤者登録表の作成について

支部だより

【城南支部】

平成8年度城南支部定期総会

日 時:平成8年4月19日(金)午後7時
場 所:茶寮志のぶ

総会次第
1.開会挨拶
2.支部長挨拶
3.来賓祝辞
4.議事
 報告第1号 平成7年事業報告
 議案第1号 平成7年度決算承認の件
 議案第2号 平成8年度事業計画の件
 議案第3号 平成8年度予算決定の件
 議案第4号 役員並びに代議員選出の件
5.閉会挨拶
 * 引き続き懇親会開催

上記のレジメに沿って城南支部の平成8年度総会、懇親会が開催されました。

来賓に藤原会長、南島専務をお迎えし、支部長代理の合渾先生からの事業報告に始まって議案も次々に承認、可決されました。昨年は11月1日付けで栗田先生が退会されました。

長年、支部薬剤師会のため、市薬のため支部長としてお世話をしてこられました。その会員を引っ張ってきてくださいました先生の情熱と功績に対しまして心から感謝の念に耐えません。(なお、お身体の調子も落ち着かれ現在はB会員で在籍です)また、後を引き継いで支部長代理を遂行された合渾先生お疲れ様でした。

そのような状況のもと、今回は特に役員改選が大きなテーマとなっておりましたが満場一致で松島新支部長が誕生しました。「(支部組織の充実)、(分業推進に関わる支部での対応)と、今年の事業計画にあげられている項目を1つずつ」と力のこもった新支部長の挨拶に会員の期待が集まります。

栗田先生の後を引き継がれ、各委員の先生方との協力のもとに気分一新、本年もスタートしました。

懇親会は部屋を変えて、気分も新たに乾杯、時間の経っのも忘れて和やかに春の一時を語らいました。途中パチパチとシャッターの音、最後に全員揃って写真におさまりお開きとなりました。

(坂田 博子)

平成8年度

城南支部役員並びに県黄・市薬代議員氏名

支 部 長:松島 照幸(松島薬局)
副支部長 :合澤 英夫(あいざわ薬局)
     :瀬尾  隆(せお調剤薬局)
会   計:坂田 博子(サカタ薬局)
社保委員 :瀬尾  隆(せお調剤薬局)
     :山本 和宏(クリーン薬局)
広報委員 :東  美代(ライオン薬局)
組織委員 :東  健一(ログ調剤薬局)
薬局委員 :満生 活士(七隈調剤薬局)
在宅委員 :原田美代子(ハト薬局)
     :台揮 英夫(あいざわ薬局)
監   事:大隈 拾人(大隈調剤薬局)
県薬代議員:松島 照幸(松島薬局)
     :式町 正信(薬局しきまち)
市薬代議員:松島 照幸(松島薬局)
     :式町 正信(薬局しきまち)
     :瀬尾  隆(せお調剤薬局)
     :坂田 博子(サカタ薬局)

 

【早良支部】

早良区薬剤師会の現況

慢性不況、再販制度撤廃、規制緩和、そして大型ドラッグによる価格破壊により既存OTC薬局は我慢の限界に達してなお耐えに耐えています。一方保険調剤も今回の診療報酬改定で打撃を受けました。さらに次回の調剤報酬改定では九州型マンツーマン薬局は成り立たない所も出るとされています。このままでは既存薬局の3分の2はつぶれて行くとされています。

既存の薬局が体力を無くしてしまう前に本当の面分業を進めたいと思っても、これが病院という相手が有っての難問題。処方箋発行率が40%を越せば分業への流れは一気に加速力を増すと言われても、マンツーマン分業ばかりじゃ信じられません。

早良区は国立九州医療センターのFAX処方箋応需では最も恩恵を受けているようですが、それはそれ、今後は区内の大型・中型病院の面への処方箋発行を如何に進めて行くかが課題でしょう。

また一方、門前マンツーマン黄局も処方箋の独り占めをしないで面に散らばらせる広い気持ちを持ち、全ての薬局が処方箋応需体制をとらない限り面分業への加遠は見いだせません。

さて次に面分業をめざして早良区の76薬局を分析してみますと

【早良区薬局分業分析】

別表の様に早良区ではマンツーマン薬局の数は約50%にも達します。病・医院数との対比では病院約158に対して薬局は76でほぼ半数となり、処方箋全面発行病・医院数は約45で全病・医院の28%に成ります。未入金薬局は8店あります。

開設者非薬剤師の薬局と開設者薬剤師でも普段は不在の薬局を数えたのは、現実問題として管理薬剤師に権限が無い薬局が多く研修会や情報の伝達や職能の行事に協力が得にくい薬局が多いからです。面分業に積極的に努力している薬局は約55店で72%と成ります。

今後さらに地域面分業を進めるには薬局と病院の地理的・地域的特性も考え薬局・病院地図なども作って分析してゆかなくてはならないと思います。小地域での病院と薬局の分布について見ましてもOTC主体薬局の半数以上が現在の場所では面分業に成るまで頑張ってみても経営を立て直すほど処方箋を得られないでしょう。また面分業を進める前に薬局が体力を消耗し減ってしまっては面分業も何も成り立ちません。

最近猛烈な勢いで価格破壊店舗を進出させている大手薬局はこそこそと薬店申請で出店して薬剤師会に入らず、やりたい放題の安売りで既存のOTC保険薬局を経営危機に陥らせます。またすでにコンビニは姑息な手段で薬の24時間販売をし始めました。

これらの大手薬局やドラッグやコンビニは地域医療や処方箋応需・社会福祉・在宅・学校薬剤師等にはなんの協力もしません。非薬剤師オーナーの調剤薬局は“広域公立病院のFAX分業など損をしてまで応需するのは経済的には間違っている”と逆ネジを食わすしまつ。

ましてや薬剤師会への入会は保険調剤の為に義理ではいっているだけで職能向上の行事や事業には非協力的な薬局もいるのが現実です。

ここ2年程で約10件のOTC主体薬局が店をたたみ、約12件の薬局が生まれました(調剤8・大型チェーン支店4)。新陳代謝と言われればそれまでですが消えて行ったOTC薬局を考えると、いったい薬剤師全は既存会員薬局をどこまで守ってやったのでしょうか。それともOTC既存薬局を守るなす手がないなどあきらめてしまったのでしょうか。

薬剤師会は規制緩和反対や価格破壊に対する仕事は、商組(医薬品小売商業組合)の仕事だと言ってすぐ逃げるが、薬剤師会を支えているのは既存の薬局なんです。薬局あっての薬剤師会なのだから本気になって行政との接点を大事にし、業務課も医薬品規制緩和を反対しているのだから、真面目な薬局が規制されるばかりでなく言うべき事もいって支援を要請してもらいたいものです。

一方政治活動にも我々の力になってくれる議員を選び、説得をし、積極的に会員に喚起させる方策をとり、薬剤師からOTC薬を守り職能の安定を得る努力をしてゆこうではありませんか。そして市薬剤師会は地域医療を支えるべき既存薬局が減って行かないように、また会員薬局が路頭に迷わない様に進むべき方向を示してください。

いま面分業を進めるためには“かかりつけ薬局”“ガイドライン”“基準薬局”“ホットライン”“在宅医療”等に努力しないと進まないと言われますが、これらの制度や方針は現実には会員薬局を縛るばかりで今のところ経済安定や分業推進にはほとんど役立っていません。

すなわち“かかりつけ薬局”を努力しても大事な客は安売店に取られ売上は減る一方、“ガイドライン”も“基準薬局”も守れば守るほど身動きは取れなくなり苦しくなるばかり。

ボランティアとわかっていても“ホットライン”や“在宅医療”に参加協力しても一向に努力した薬局に患者は戻って来ない。“広域公立病院処方箋応需”はいつまでたっても赤字ばかり、ただひたすら耐えるばかりです。

支部としても行政対策や三師会会合や政治にも、いずれは何らかの実が成ることを期待して支部で何とか努力して進めてはいるのですが、市薬がはっきりしたイニシアティブを取らない限り7支部の足並みも揃わず無駄ばかりしてしまいます。

さらに県・市薬剤師会はもっと医療人としての薬局を対外的に宣伝活動してほしい。相変わらず業界関係者以外は「保険薬局」と「薬店」の区別すらできない状況です。分業推進にしても支部単位で区内の中小病院に分業推進のアタックをするのに支部長ごとき名刺で手ぶらで病院に処方箋発行の話をしに行ってもなかなか話には成りません。

市薬には面分業の“理”を解いた“七つ道具”や“お膳立て”を用意してほしい。それに反して大手調剤薬局は既にほとんどの中型病院に対し微にいり細にいり甘いお膳立てをして門前分業のアタックを進めています。

いま病院業界も病院の乱立で患者の目減りに悩み、そしてそれらの多くの病院は処方箋を発行しようかと少し考え始めています。もし患者数の少ない病院が面に処方箋を出した場合、それを受けた薬局は以後その病院は有りがたい良い病院になり、処方箋に見返りを期待して自店の客をその病院に次から次へと推薦紹介する事に成るでしょう(そのための病院紹介のカード等も作ってほしい)。

病院は自らの宣伝は規制があり出来ないが、これほど患者集めに効果の上がるクチコミ宣伝はないとわかるでしょう。

マンツーマン薬局対応での処方箋発行では同じ釜の中の患者であり宣伝効果はほとんど無いと思われ、自分の病院の前に門前薬局の出店が期待できない小病院こそ面で処方箋発行して患者を増やすチャンスとなると説くべきです。

また大型調剤専門薬局が不祥事で少し粛正されている今こそ中型病院に面分業の本質を熱く語りかけるチャンスでもあり分業推進担当は本気に成って積極的方策を考えだし支部を指導して分業の推進の後押しをしてほしいと思います。

国立九州医療センター処方箋全面発行による処方検討会はいっも満員で、支部にまかされた支部処方検討会や勉強会も大盛況で会員薬剤師の貪欲なほどの吸収意欲とパワーに開催した役員のほうがビックリしてしまう熱気でした。

早良支部の研修会では基礎薬理学の研修会にOTC主体薬局の薬剤師が競って受講しに来て下さって60名を越すほどの盛況ぶりと成っています。支部でもこれだけの会員集約ができるのなら更にこの力を組織活性に役立てたいものだと願っています。

これからの薬剤師会では支部でも会員同士が同じ夢を持って進む方向が定まっていなければ会員を団結させる事はできません。最近“日薬”が発表した薬局のグランドデザインも2005年へ向けてのみんなで描ける理想と夢だと思います。

まだまだ国の支援や法改正を得なければ“絵に描いた餅”の粗削りデザインですが、その方向性と目標ができた訳で、この夢に乗るためには今後薬局がそのような薬局作りを目指し、一薬局では達成が無理であれば集まって協業して行くという発想も必要に成ってきます。

また場所の悪い所に店を張っている薬局は処方箋の応需が得られる場所に移動することも必要だと必死で考えるべきです。なんとか既存の薬局がOTCと面分業でしっかり食って行けるようになるまで生き残らなくては成らないし、それに向かって日・県・市・支部薬剤師会が職能の向上に指導性を発揮し、会員薬局を団結させて進む必要があると思います。

会員もいっまでも頑固なこだわりに捕らわれず、共に歩む協調姿勢が大切かとも思われます。

これは私見ですが市薬剤師会の全長副会長選挙法は絶対時期尚早だと思います。選挙が民主的であると説き選挙規定などを成立させるのはたやすいが、選挙によって仲の良かった会員同士が争ったり派閥ができ怨念になってしまう今の市薬ごときの組織成熟度では今後本当に必要な会長副会長候補が出てくるとは限りません。

派閥・仲間争いによって支部同士が対立したり支部の中でさえも仲たがいして団結を分裂させてしまう、必要な執行部さえ組めなくなる、そんな派閥闘争的で未熟な選挙法のどこが良いというのでしょうか。もう一度じっくり考え直してはしいと思います。

在宅医療については過渡期とは申せこれだけ行政が方向修正していては我々薬局は何をしていいのかはっきりせず腰を落ち着けてついて行けません。在宅参加を面分業の推進の取っ掛かりとすると言うのはなんだか理解できるが、“在宅と行政さらに地域・福祉団体のかかわり”を執行部がもっと勉強して会員に正しく理解をさせる事、在宅担当理事ですら何をしていいのかを迷い理解していないのではないでしょうか。

いまの在宅ケアー・在宅医療では会員を迷わせるばかり。掴みどころもわからず、このままでは薬局だけが浮いて外れてしまう危険性もあるでしょう。

次に支部薬剤師会運営についてですが、今後政令都市福岡でも地域保健法の改正により県から市、市から保健所に薬務行政が降ろされてくるならば、それに伴い今後支部が果たさなければならない事業が増える訳で、支部における人材不足と資金不足が悩みに成って来ます。

協力会員不足については無関心会員や広域処方箋応需による外出不可能な会員が増え役員に成り手がなく更に深刻に悩んでしまうし、また今後支部に増えてくる事業に対しても資金不足は目に見えています。今福同市薬剤師会の各支部は各々違った運営方法と支部予算で運営されているようで、独立性と個性があって良いところもあるが足並みがそろわず困る事もあるでしょう。

7支部がその支部の積極的施策によって進んだ支部と遅れて行く支部の格差も生まれてくる事でしょうし、ここで支部を運営する支部役員も会員も覚悟しなくては成らないのも事実です。そこでもし支部運営に独自性を重んじてもらえるなら保険調剤特別会費の1〜2円でよいから支部に貰えれば運営費にも余裕ができ分業推進にも拍車が掛かると思うのですが。

支部や部会を運営する役員は一番末端全員に接して働かなくてはならず会員の意識統一に多難な時代に成ると患われるし、それゆえ市薬が7支部の情報交換をまとめてイニシアティブをとって明確で迅速なご指導をお願いします。

本来は会員薬局が医療の中で職能と地位を確立し経済的にも社会的にも立派な医療人になる日が一日も早く来ることを願って、今回はじれったい面分業進展といつまでも不況から抜け出せない事への不満ばかりになり、早良支部の現況報告と言うより市薬剤師会への要望になってしまい申し訳ありません。

今後とも市薬や他支部の仲良きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

(清水 達三)

 

【中央支部】

役員・部会長・代議員会

日 時:平成8年4月19日(金)午後7時30分
場 所:市薬第一会議室

議 事
(1)第35回市薬通常代議員会について(事業計画、予算について)
(2)中央区薬剤師全市薬代議員選出について
(3)平成7年度中央区薬剤師会総会について
  1 会務並びに事業推進状況及び反省点について
  2 総会日程他
(4)平成8年度事業計画及び、歳入歳出予算案について
(5)任期満了による役員改選について
(6)その他
  薬剤師連盟活動について

(北島啓子)

 

【博多支部】

平成7年度博多区 高齢者サービス調整会議について

日 時 平成8年3月27日
場 所 博多区役所(博多区福祉課)

会議次第
1.開会
2.委員の紹介
3.協議事項
 (1) 各機関(団体)の取組みについて
   博多福祉事務所
     高齢者福祉サービスの現状について
   博多保健所
     高齢者に対する保健事業について
   博多区医師会
     平成7年度訪問看護ステーション利用状況
     健康教育結果(博多区医師会依頼分)
   歯科医師会博多支部
     訪問口腔衛生指導について
   博多区薬剤師会
     平成7年度訪問薬剤管理指導実施状況
     ホットライン協力薬局制度について
   博多区社会福祉協議会
     地域ふれあいネットワーク事業について
   博多区民生児童委員会
     要援護高齢者実態調査、高齢者等実態調査について
   博多区老人クラブ連合会
     友愛訪問活動実績について
4.閉会

上記のように博多区高齢者サービス調整会議が開催された。福岡市の同会議には、以前から薬剤師会代表は構成員と認められており、市薬会長が委員として参加されている。しかし、各区の会議には、薬剤師会代表は委員に入っていなかった。

昨年6月、第18回定期総会に出席してくださった博多区社会福祉協議会の嶋村会長に「博多区福祉事務所の会議に、薬剤師会がはいっとらんけん、来年から委員になってもらうように言うたけんね」と言われた。「ウム!?何のことかいな」である。

博多の支部長に委嘱される公的委員は、衛生局がらみの保健所の3つの委員だけであり、民生局の委貞に一つもなかった。もっとも、国の在宅ケアのシステムが動きだすまでは、薬剤師会と福祉・民生局とはほとんど嫁がなかったのだから、委員の委嘱がなかったのは仕方がないことでもある。

昨年末、たまたま近くまで来たからと言って寄ってくださった市会議員に先の話をし、ぜひ入れてほしいとお願いをしてみた。すると、おトソ気分もまだ抜けない1月5日、さっそく民生局・高齢者対策課の謀恵から問い合わせの電話があったのだから、議員の仕事の早さに驚くとともに、市会議員には厚かましくお願いをしてみるものだとつくづく思った。

そして、平成8年3月1日。「福岡市高齢者サービス総合調整推進事業要項」の附則が施行され、構成員のなかに薬剤師会代表の文言がつけ加えられた。

会議の前に福祉係長から「薬剤師会は何かやっておられますか」と打ち合せの電話があった。在宅ケアホットライン協力薬局制度のことを伝え、保健所の主査と相談の上資料を提出した。

会議の帰りに、区役所の3Fと2Fの間の階段の途中で、社会福祉協議会の会長に呼び止められた。「さっきかわいいステッカーば見せよったろう。あればくれんね」と。

社協の会議で協力薬局制度のことを話してくださることになった。これが、初めて参加した平成7年度博多区高齢者サービス調整会議の最大の収穫であった。

 

第19回 定期総会

日 時 平成8年5月11日 午後5時
場 所「ホテルステーションプラザ」
出席会員 38名 委任状 71名

ご来賓
 日本薬剤師会副会長       荒巻善之助
 福岡市薬剤師会会長       藤原 良春
       副会長       篠崎 正幸
      専務理事       南島 敏彦

懇親会ご来賓
 博多福祉事務所所長       友納 博美
 博多保健所所長         押領司文健
 博多区医師会会長        福嶋 恒彦
      副会長        桑原 靖遺
 訪問看護ステーション博多管理者 万代 澄子
 歯科医師会博多支部支部長    佐喜真盛雄
         副支部長    佐伯 和雄
 県議会議員           井上 雅実
                 新宮松比古
 市議会議員           友杉 淳治
                 福田 康男
                 浜崎 和久
                 川口  浩
                 南原  茂

会次第
 1.開  会    司会 磯田理事
 2.会長あいさつ
 3.来賓祝辞    市薬 藤原会長
          日薬 荒巻副会長
 4.来賓紹介    市薬 篠崎副会長
          南島専務理事
 5.議長登壇    細井議長
 6.議  事
 7.閉会あいさつ  鶴原副会長

懇親会次第
 1.開  会    司会 森川専務理事
 2.会長あいさつ
 3.来賓祝辞    博多区役所 友納次長(博多福祉事務所長)
          博多保健所 押領司所長
          博多区医師会 福嶋会長
          歯科医師会博多支部 佐喜真支部長
          県議
          市議
 4.来賓紹介    桑原副会長、佐伯副支部長、万代管理者
 5.乾杯の発声   荒巻日薬副会長
 6.万歳三唱    堀江秀男先生
 7.閉会あいさつ  鶴原副会長

〔会員祝彰〕
  厚生大臣表彰(公衆衛生事業功労) 堀江秀男先生
  福岡県知事賞(公衆衛生事業功労) 冨永雄造先生
  福岡県学校保健会長表彰 藤野嘉道先生

〔会費決定〕
  支部会費  700円/月(8,400円/年)
  支部入会金 100,000円

〔役員改選〕
  会 長 木原三千代
  副会長 鶴原  潔
  監 事 田代 義徳

上記のような次第で、博多区薬剤師会定期総会ならびに懇親会が開催された。総会では福岡市薬剤師会藤原会長と日本薬剤師会荒巻副会長にご祝辞をいただいた。

6時30分からご来賓をお招きして開催した懇親会には、今回「博多区高齢者サービス調整会議」の委員を委嘱されたことから、初めて博多区役所の区長と福祉事務所長(博多区次長)をお招きし、友納所長からご祝辞をいただいた。

また、総会のご案内をしたときに、福嶋区医師会長はご家族の慶事があり、無理だろうと桑原副会長に言われていたのだが、出席してくださった。そしてご挨拶と乾杯のビール2〜3杯(?)で、すぐに保健審査会の会議のため、会場の「三光園」へ。

ごあいさつに立たれた保健所運営協議会の会長でもある福田市議は、博多区の市議の中で4名が第2委員会に所属しているから、博多区は大変恵まれていると言われた。第2委員会が何人の委員で構成されているのかは聞き漏らしたが、懇親の場で浜崎市議の秘書の方から、議員が今年度第2委員会の委員長を務められると伺った。

祝電披露では、訪問看護ステーション博多の万代管理者をお招きするために、福岡市医師会長にお願いしていたことから、福岡市医師会の多田会長から祝電をいただいた。総会に福岡市医師会長からいただいたのは初めてのことであり、森川専務理事が特別に披露した。

また会場では、今年度の三師会の当番である佐喜真歯科医師会長と福嶋医師会長は、手帳を突き合わせて三師会のスケジュール調整。8月末を予定されているらしく、今決めないと間にあわないらしい。

懇親会とはまったくいろいろな機能があるものである。

(木原 三千代)

【学薬のページ】

シンナー乱用防止保健教育実施報告

実施日時 平成8年3月11日(月)午後3:00〜4:00
対象者  福岡市立赤坂小学校6年生 担任教職員・教頭先生
参加人員 80名
講  師 赤坂小学校学校薬剤師 女賀信子
実施場所 赤坂小学校“ランチルーム”
使用ビデオ「森の裁判」(20分)

ビデオ終了後、シンナーの依存性の強さや、フラッシュバック現象の恐しさ等を補足説明した。無記名で寄せてくれた感想文にはこの事に言及する者が多く、「ゼッタイ やらない」と誓う子がほとんどであった。

中には、シンナーは揮発性があるというのに、あのビデオの裁判の場に、「シンナー君」が継続して立ち会う不自然さや、「私達は動物ではない」といって、登場者が全て動物である事の非現実性について鋭い批判をよせている子供も見られた。

質問も「依存性」に関する物で、「たった1度でもダメか?」「もう立ち直れないのか」「なぜシンナーが吸いたくなるのか」といった核心に迫るものも見られた。「シンナーを吸うとどんな気分になるのだろう」の質問に至っては、全くお手あげである。それこそ「寝た子を起す」興味や関心を呼び起す事になりかねないからである。

中学生に向けて不安や期待の交錯する卒業式前の児童に、医学薬学的見地から、シンナー等薬物濫用防止教育の時間を持つ有効性を、生徒の感想文からも大いに認める事が出来有意義であった。学校側も大変好意的に対応してくれ、感謝の気持いっぱいです。

(女賀)

女子薬のコーナー

未就業薬剤師の掘り起こしについて女子薬福岡支部長 上和田幸子

近年、医薬分業の進展と共に院外処方せんの発行の急速な伸びと、平成5年4月の「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」の改正により、全国的な薬剤師不足が懸念されています。

福岡市内には2大学薬学部と1薬科大学があり、毎年500名近くの卒業生を輩出してはいるものの、薬剤師として市内で就職する人は少ないと聞いています。

平成6年現在、すでに薬局薬剤師が福岡県全体で200人程度不足していると推測されており、平成12年(西暦2000年)には薬局薬剤師の需要に供給が追いっかず、何らかの対策が急務とされています。

今回、当支部では薬剤師不足を少しでも緩和するため、微力ながら未就業薬剤師の掘り起こしを行いましたのでその概要を報告します。

まず、入手可能な大学同窓会名簿より「職業欄空白者」を抽出することから始まりました。次いで、アンケート調査でした。はがき送付数714、有効回答数237(回収率33%)で、回答者のうち57%の134名は薬剤師として既に就業しており、薬剤師免許未使用者は43%の103名でした。薬剤師免許未使用者のうち、働く意志のある人は68名でした。

そこで、働く意志のある人を対象に「薬剤師を取り巻く社会環境」の説明会を開いたところ、みぞれの降る寒い日だった為でしょうか参加者は20名でした。市薬前会長木村英樹先生にも「薬剤師会について」お話いただいたところ、早速その日に日薬B会員になられた方がいました。

また、調剤業務に不安を持つ人のために、例年11月ごろ実施される福岡市薬剤師会主催の「薬局実務研修」を9月にお願いして、案内状を送付しましたが、受講者は最終的に14名でした。そのうち12名は福岡市薬剤師会薬局・研修センターで調剤等の実務指導を受け、年内に一応終了することができました。

なお、研修期間中、講義終了後に1時間程度談話会を持ち、当時の市薬副会長中島英之先生より「薬剤師を取り巻く現状」と題して厳しい医療環境を説明していただきました。また、調剤実習終了後には、当支部役員との意見交歓会を開き、率直な意見を出してもらって意思の疎通を図りました。いずれも12名の参加でした。

その席上、最初は「いろんな事情で今は働けない」とか「調剤にまだ自身がない」などと言っていた方々から、「子供を幼稚園から保育園に変えよう」「もう少し調剤実習がしたい」というように、積極的な発言がみられるようになり、成果として県薬の「薬剤師無料紹介所」へ5名が登録しました。やはりきめ細かな情報交換が必要だとつくづく感じました。

平成8年4月現在、薬局実務研修終了者のうち6名が就業しています。その内訳は、病院勤務1名、薬局勤務5名で、いずれもパートタイムでのスタートです。今回のような同窓会名簿からの掘り起こしは限度があり、薬剤師の需要をみたすには十分な数とは言えませんが、さらに様々な工夫をしながら一歩一歩進むしかないと患います。

この事業に対しては、福岡市薬剤師会から、平成6年度より通常の補助金のほかに特別補助金をいただいております。眠っていた貴重な薬剤師免許証が生かされつつあることは、福岡市薬剤師会のご配慮の賜物といっても過言ではありません。このたびの暖かいご支援に、まずはお礼を申し上げ、薬局実務研修までこぎつけた方の感謝の声を添えて報告とします。

[文献]
1) 下川昌文ら「薬局薬剤師の需給関係に関する研究一予加法と福岡県の現状」
  日本薬剤師会雑誌1995年 第47巻 第10号 p33〜p44
2) 下川昌文「薬剤師不足を考える−予測と回避法〜福岡県の場合−」
  ふくおか県薬会報1996年 第9巻 第3号 p6〜p10

薬局実務研修を受けて南区 熊本みつ枝

薬局勤務より実験室を運び、35年近く国立病院・療養所の検査料に臨床検査技師として勤めましたが超氷河期の昨春に定年退職。再就職は薬剤師でとのすすめもありましたが完全なペーパー・ドライバーと一緒。

そんな私に天の助けの「薬剤師の掘り起こし」で女子薬の御尽力で福岡市薬剤師会の薬局実務研修に参加。何と偶然に薬学のクラスメート二人と一緒に「三人合わせて一人分」と冗談云いながら机を並べて受講。

“ひさかたの講義をみたす秋の風”諸先生方の懇切丁寧な御講話や分厚い資料に老化の始まった頭は混線状態。薬局実習では学生時代の薬包紙調剤の記憶がよみがえり、現状とのハンディを痛感しましたが先生方の御指導のおかげでともかくも短期間に薬剤師としての充電期を終了。

御多忙中の先生方には何かと御手数をおかけ致してしまいました。その御指導に対しての感謝の気持は言葉では言いあらわせませんが、おくればせながら御礼申し上げます。ありがとうございました。

本来なら既に薬剤師として勤務している筈でしたが、生憎と昨冬より母の健康がすぐれずに通院がちですので当分は母を看るつもりです。落ちつきましたら改めて薬剤師として働きたいと思っています。その折は又よろしく御指導のほど御願い致してペンを置きます。

訃 報

 中央支部 春吉部会
 小野薬局 小野信方先生(享年80才)が、2月4日御逝去されました。
 謹んで、御冥福をお祈り致します。

弔 辞

今は亡き小野信方先生のご霊前に福岡市中央区薬剤師会を代表して、謹んでお別れの辞を申し上げます。

2年程前より病床にあられることはお聞き致しておりましたが、先生のご訃報に接しましたのは、昨日の朝でありました。

ご家族の懸命なご看病と我々会員あげてのご回復への祈りも空しく、病状の急変により不帰の客となられました。人の世の定めとはいえ、誠に痛恨の極みであります。今ここにかけがえのない先輩を失い、永遠のお別れをしなければならないことを思いますと、会員一同深い悲しみに包まれて言葉もありません。

先生は青雲の志を抱かれて京城薬学専門学校で学ばれ、昭和13年にご卒業になられました。その後九大病院薬剤部に勤務されて、薬学及び薬剤師としての道を学ばれたのであります。そして昭和24年、中央区春吉に小野薬局を開局され、地域住民の健康管理とその増進に当たるべく邁進して来られました。

先生のご生涯80年は、本に囲まれ、本に埋まり、正に学問と研究に費やされたといっても過言ではありません。

特筆すべきことはOTC薬に対する造詣の深さであります。そのために講師依頼がたび重なり、いつしか各地を講演してまわるのがライフワークといわれるようになられたのであります。講演するためには、薬以外の知識も必要になります。

たくさんのポケットが必要、たくさんの引き出しが必要と考えられて、そのための各種雑多な本を求められた結果、雑学の大家といわれるようになられ、多くの会員が深い感銘を受けたのであります。

そのような中にあって、昭和37年から44年まで福岡市薬剤師会の理事を勤められ、会発展にも尽くされております。ここに改めて感謝申し上げる次第でございます。

先生のご子息達は、ご長男が福岡大学薬学部の助教授として学問の道に進まれ、ご次男は小野薬局を継がれ、またご三男は独立されて開局され、県・市薬剤師会の理事、常務理事としてそれぞれ立派に活躍されております。

先生、どうかご安心されましてご家族の方々のお幸せを天上よりお見護り下さい。

我々会員に対しましてもご加護あらんことをお祈り申し上げまして、お別れの辞といたします。

平成8年2月6日
福岡市中央区薬剤師会
会長 梅末芳彦

 

訃 報

 早良支部 西新部会
 (株)フジタ薬局 藤田脾先生(享年83才)が、3月23日御逝去されました。
 謹んで、御冥福をお祈り致します。

弔 辞

いまは亡き藤田 脾先生の御霊前に、謹んでお別れの辞を申し上げます。

先生には先ずお礼の言葉を申し上げなければなりません。30年前、私はメーカーに勤めておりました。丁度長女が生まれたとき、私は出張がちでありましたので、家内は福岡に親戚も知人もなく不安な気持ちで子育てを致しておりました。

熱を出してミルクを買いに行けないときはミルクを、体温計が壊れたといっては体温計を、スクーターを飛ばしてすぐに持ってきていただき、細やかな育児相談にも乗っていただきました。

その娘も薬剤師になり、いまでは二児の母親となっております。そのご報告とともに、心からお礼申し上げます。

去る1月13日、日本薬剤師会副会長荒巻善之助先生の講演会の折、お会いしましたときはお元気なご様子でしたので、一つのお願いを申しあげました。20年前の昭和51年、先生の医薬分業推進に対する熱意によって発足しました西区保険薬剤師会は、52年までの2年間毎月研修会を実施し、その実績が評価され、昭和53年の福岡市薬剤師会支部結成の契機となったものであります。

私はその事跡を記録に残しておきたいと考え、当時のことを書いておいていただけませんか、と申し上げましたところ、当時先生のご自宅に毎月集まり研修会の準備をしたことなどに話が弾み、気持ちよくお引き受けいただきました。それも中途にして先生は旅たたれ、何でもう少し早くお願いしなかったのかと後悔の念に駆られております。

唯一の救いは、種をまかれた先生の思いが大きく育ち、今日の支部活動の隆盛を見ていることであります。

かえりみますと、先生は大正元年8月8日長崎県諌早市で誕生された後、京城薬学専門学校に学ばれ、昭和10年にご卒業になられました。そして、平城で開局されたのですが終戦となり引き上げられ、昭和26年、西新にフジタ薬局を開局されました。

昭和30年代の乱売合戦の荒波をくぐり抜けられた先生は、薬局薬剤師の本分たる医薬分業を目指され、桑原先生という理解ある医師にも恵まれて、県下の医薬分業第1号となられました。

その草分けでもあった先生は、やがて福岡県薬剤師会の社保担当常務理事として後進の指導に当たられ、現在福岡県は、全国でもトップクラスの分業先進県となっております。先生の業績は高く評価され、福岡県薬剤師会の発展に尽くされた功績により、昭和57年厚生大臣賞を受賞されました。

今このような医薬分業の歴史の生き証人を失うことは、薬剤師会にとりまして大きな損失であり、誠に残念でなりません。今後、残された我々会員一同は、先生のご遺志に沿うよう努力して参る覚悟でございます。

先生、どうかご家族の方々のお幸せを天上よりお見護りください。我々会員に対しましてもご加護あらんこと をお祈り申し上げまして、お別れの辞といたします。先生、安らかにお眠りください。

平成8年3月26日
(社)福岡市薬剤師会
次期会長 藤原良春

 

訃 報

 博多支部 千代・吉塚部会
 梅津薬局 梅津浩二 先生(享年57才)が、4月15日御逝去されました。
 謹んで、御冥福をお祈り致します。

会員の移動

会 務 日 誌

3月5日 在宅医療委員会 19:30
  6日 急患委員会 19:00
     衆議院選対区幹事長会議(東京) 15:00
  8日 三役会 19:00
  9日 太田誠一後援会事務所開き 11:00
  11日 広報委員会 19:30
  12日 薬業研修全県薬代議員予備会議 14:00
  13日 試験センター委員会 19:00
  18日 第274回理事会 19:00
  19日 市薬薬局委員会 19:00
     広報委員会 19:30
  21日 処方検討会 19:00
     社保・分推委員会 20:00
  22日 急患センター出勤者懇親会 19:00
  23日 調剤報酬改定伝達講習会(県薬) 14:00
  25日 組織委員会 19:30
     医薬品集編集委員会 19:00
     在宅介護支援サービス運営会議(ガーデンパレス) 14:00
  26日 調剤報酬改定説明会 19:00
  27日 同上 19:00
     福岡市健康づくり財団理事会(あいれふ) 13:30
     福岡市学校給食センター運営委員会 15:00
  28日 処方検討会(中央市民センター) 19:00
  29日 第275回理事会 19:00
  30日 薬局委員会 19:00
     広報委員会 19:30


※4月より少し詳細に報告します。

4月2日 役員就任表敬訪問・・・福岡市医師会・福岡市歯科医師会・九州医療センター
                市薬薬局(藤原、細井、光安、篠崎、南島) 14:00
  3日 医師会新役員来館・・・(新会長他)14:00
  3日 役員就任表敬訪問・・・福岡県・福岡市・福岡市健康づくり財団・
                九大病院(藤原、細井、光安、篠崎、南島) 14:30
     支部長会議・・・・・・第一会議室 19:00
  4日 歯科医師全役員来館・・(新会長他)13:00
  4日 役員就任表敬訪問・・・福岡県薬剤師会・
                山崎拓衆議院事務所(藤原、光安) 14:00
  5日 役員就任表敬訪問・・・福岡市(藤原、南島) 14:00
  6日 吉村剛太郎参議院中央情勢報告会・・・ニューオータニ(細井) 7:45
     飯塚薬剤師会館竣工祝賀式・・・・・・寿会館(藤原、南島) 17:00
  7日 役員就任表敬訪問・・・久保田市議、太田誠一衆議院事務所(藤原、南島) 10:30
  8日 広報委員会・・・・・・第一会議室 19:00
  9日 社保・分推・薬局・在宅担当理事会・・第一会議室 19:30
  10日 予算決算打合わせ会・・会長室(松島、細井、南島、川上) 19:00
  13日 急患委員会引き継ぎ・・第一会議室(光安、市原、中島、成沢、中尾) 18:00
     役員就任表敬訪問・・・早麻県議事務所(藤原、南島) 15:00
  16日 九州医療センター市薬協議会・・・・・推加栄 19:00
  17日 在宅委員会引継ぎ・・・第一会議室(袷川、光安、南島、入江、藤田) 19:00
  18日 県薬との打合わせ・・・一条(梶原、阿波、藤原、南島) 17:30
  19日 城南支部総会・・・・・志のぶ(藤原、南島) 19:00
  20日 顧問会・・・・・・・・一条(藤野、古賀、荒巻、三津家、藤原、細井、光安、
                南島、川上、水越) 18:00
  21日 福岡市学校薬剤師会総会・・・講堂(藤原) 14:00
  22日 計量普及協会理事会・・計量普及協会(細井) 11:00
     学術研修会・・・・・・講堂 19:00
     議事運営委員会・・・・第一会議室 19:00
  23日 急患センター新規出動者説明会・・急患センター薬局(成澤、光安、市原) 13:00
  23日 調剤報酬改正説明会・・講堂 19:00
  24日 調剤報酬改正説明会・・講堂 19:00
  25日 市薬薬局引き継ぎ・・・会長室(中島、光安、南島、入江) 19:30
     学術委員会・・・・・・第一会議室 19:00
  27日 市薬代議員会総会・・・講堂 14:00

[編集後記]

今後に期待!

◇ まず愛をベースにし、やさしさと誠実を用意し、そこに寛容と希望を入れてよく混ぜる。 次に患いやりとユーモアを入れて、さらによくかき回す。 その上に感謝をたっぷりふりかける。これはすべて自らの体温で焼くが、焼きながら笑顔のスパイスをまぶすのがポイント。

“感性の調理法” えのきどかつみ 男 48歳

分量が知りたい方は戸田宛ご一報を。

(戸田昭洋)

  

◇ 今までは定期的に送られてくる“市薬ジャーナル”を何気なく関心のあるページだけをめくっていましたが、この度、城南区の広報委員として編集のお手伝いをさせて頂くことになり、私自身驚いております。

何も解らない状感ですが、せっかくの機会ですので、諸先生方が薬剤師として、今、何をなさっておられるのか、勉強させて頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

(東 美代)

  

◇ はじめての広報委員会に出席して、大変な仕事だという印象を持ちました。校正もさることながら、目に見えないご苦労があって「市薬ジャーナル」はできあがっていたのだなあと感じました。

しかもこれだけの内容のものを、2カ月に1度出すことができるのだろうかと、今から心配しております。先輩がたのご苦労は、大変なものがあったのではないでしょうか。

広報委員を仰せつかって、今まで頂いた「市薬ジャーナル」の編集後期を読み返してみますと、11時まで推敲だとか、午前になるまでだとか書かれています。しかしできあがったときの喜びも書かれてあります。

表紙の写真なんか印象がいいし‥・、なんてのんびり考えながら読んでいたのですが、今度は作る側になって、その重みや責任を感じています。

身の引き締まる思いが致します。

とにかく足手まといにならないよう、早く仕事に慣れて、お手伝いができるようがんばりたいと思います。そして、楽しみながらやっていきたいと思っております。よろしくお願い致します

(上村義徳)

  

◇ 市薬西端の西支部西部会より広報に参加します。10年前OTCを始め、何のメリットもないだろうと考え、5年間は市薬に加入しませんでした。今では会のメリットに感謝しております。今後は市薬ジャーナルを通して会に役立って行きたいと思っております。

(津田和敏)

  

◇ はじめまして。夏も近づき活動期に入ってきたと感じております。勉強をしなければいけない事がまた増えたように思いますが、前向きに取組んで行きたいと思います。

(小松公秀)

  

◇ 4月より新執行部に成りメンバーが一新したが、引き続き広報担当を仰せつかり、及ばずながらお引受けした。たった今ジャーナル5月号の編集、校正を何とかおおかたの所やり終えホッとしかかっている所である。

今回は、4月・5月と続けての発刊の運びと相成り(今までは1・4・7・10月の年4回、今後は1・3・5・7・9・11月の年6回発刊予定の為)時間的な配分や原稿の集まり具合の予想がつきづらかった事、今までの委員の方々が諸般の事情で全員リタイアなさった事、新しいコーナー創りや試みをやった事、そしてやはり責任者としてはある程度のレベルとボリュームのものを作りたいという気持ちがあった事などが掬い交ぜになり、少々肩に力が入った。

数日前、各支部からの広報委員の方々と初めて顔を合わせ、どなたにも瑞々しい感性と、暖かさを感じた。とても嬉しく、頼もしく、ありがたく感じた。きっと未熟な私をお助け下さり、否、リードして下さると確信する。

今後は、“一冊の本の中で会話が出来る”様な、読者の心に響くジャーナルを目指し、毎号を楽しみに待ってて下さる愛読者が1人でも2人でも増える事を切に期待しつつ、関係者全員で模索して行きたい。

“最後に今まで色々な面でお導き頂いた前広報関係の皆様、本当にお世話になりました。今後共、お智恵を拝借いたしたいと存じます。ありがとうございました。”

(北島啓子)

  

  

平成8年5月31日発行
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会 T E L 092-714-4416
発 行 人 藤 原 良 春
編 集 人 北 島 啓 子
委   員 上 村 義 徳
      小 松 公 秀
      津 田 和 敏
      戸 田 昭 洋
      東   美 代
担当副会長 細 井 徹 一
印 刷 所 (有)興英社印刷