■ 巻 頭 言
量から質へ (社)福岡市薬剤師会 専務理事 南島敏彦

1995年の日本人の平均寿命は、女性が82.84歳、男性が76.36歳と、10年以上、日本の長寿世界一が続いています。

その結果、ここ数年少子高齢化のスピードは一段と加速し、社会制度の変革に本格的に取り組むことが急を要する日本の課題となっています。このような時代背景の中にあって、国民は薬剤師に対し、目に見える形での医療での携わりを求めています。

薬剤師がどのように考え、いかに患者と接するかによって、薬剤師の今後が大きく左右されます。特に、医薬分業においては、薬剤師自らの手で成し遂げねばならない課題が山積みされています。

現在の医薬分業は「本当に患者のためになっているのか」という指摘があります。これは、単に医薬分業の推進に励んでいればよかった時代から、真に患者のためになる医薬分業が必要な時代へ変わりつつあることを示しています。つまり、医薬分業が量的推進から質的評価へと移りつつあるのです。

そこで、医薬分業の質的向上は、今取り組まなければならない最大の課題と言えます。もし、質的向上を薬剤師自らが成し遂げていかなければ、医薬分業の進展は望めないばかりか医薬分業そのものが社会制度の中で埋没してしまうことになります。

医薬分業の質的向上を図るためには、薬剤師の資質の向上が必要と言えます。そのためには、処方解析・相互作用等に関する研修、病理・薬理に関する研修、調剤実務研修、在宅医療制度・公的介護保険制度を視野に入れた研修などに参加し研錬することが重要です。

今まさに、薬剤師が自らの資質のレベルアップを図り、患者に対し薬歴管理、服薬指導、薬剤情報提供を実践することが求められています。

医薬分業の質的向上を図ることにより、「国民に支持される医薬分業」・「地域住民に支持される薬局」つまり、かかりつけの薬局となることが必要です。薬剤師が、患者に薬歴管理、服薬指導を積極的に提供することにより、薬局、薬剤師の存在を国民に印象づけ、地域住民には「かかりつけ薬局」を持つことの意義を認識させなければなりません。

いみじくも先の通常国会で成立した薬事法・薬剤師法の改正の中で、薬事法第七十七条の三「薬局開設者又は医薬品販売業者は、医薬品を一般に購入し、又は使用する者に対し、医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供するよう努めなければならない」、薬剤師法第二十五条の二「薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない」などの情報提供に関する法律が加えられました。

つまり、患者に対し必要な情報提供をすることが、薬剤師の重要な努めとして位置づけられたのです。

自己の資質向上の研錆に努め、患者のための医療に心掛けることこそが今後の薬剤師の課題なのです。

<代議員会報告> 第37回 社団法人 福岡市薬剤師会
臨時代議員会(通算第65回総会)

日 時 平成8年12月10日(火)午後7時
場 所 福岡市薬剤師会 講堂

代議員会次第
1.開  会
1.会長演述
1.議 事 議
 議案
  第1号 平成8年度歳入歳出補正予算決定の件
  第2号 九大病院事業移管に関する件
1.閉  会

総会次第
1.開  会
1.会長演述
1.第37回福岡市薬剤師会臨時代議員会決定事項報告
1.閉  会

議案第1号 平成8年度歳入歳出補正予算決定の件

議案第2号 九大病院事業移管に関する件

 九大病院事業移管問題は、さきの第33回臨時代議員会において、理事会が定めた同問題についての今後の方針が否決されて以来、本事業の移管問題は、解決打開への道を閉ざされたままになっています。

 しかし、九大病院では、平成9年1月からオーダリングが実施される予定で応需薬局の拡大が迫られ、院外処方箋の応需問題をめぐる環境も大きく変化しようとしています。これを契機として、さきに改選された理事会が、新たに定める事業移管に関する方針について、代議員会の承認を得たく提案します。(内容別紙)

(別紙)

 「九大病院事業移管についての方針」

 平成4年9月から、福岡県薬剤師会の事業として発足した「九大病院の院外処方箋応需事業」を福岡市薬剤師会の事業として移管することについては、数次の話し合いののち、平成7年5月8日、最終結論を得てそれぞれの代議員会に諮られました。

 市薬は、第32回代議員会で事業移管を承認したものの、県薬の第74回代議員全では関連予算が否決され、つづく市薬の第33回代議員会では理事会が定めた今後の取扱い方針が否決されて、本移管問題について解決の道は閉ざされたままになっています。

 この九大病院からの院外処方箋応需事業は、主として福岡医療圏に展開され、市薬が事業運営の実務にあたって順調に進展し「かかりつけ薬局」の育成にも貢献してきました。

 ところが、九大病院では、平成9年1月からオーダリングを開始する予定で応需薬局の拡大が図られ、一層この事業の一元化、効率化が求められる情勢となり、この情勢変化を契機として、新執行部は新たな視点からこの事業移管問題の解決を図る糸口を見出し、県薬との話し合いを再開したい、さらに、会員の資質向上と業務の効率化を図り、事業の発展に努力したいと考えています。

熱の入った代議員会〜厳しい環境を反映して〜

今回の第37回臨時代議員会は、金額の動きの少なさから補正予算の意味がない、こんなことで会議費を使っていいのかなど、前評判が悪かった割には、質疑に移って絶え間ない質問が続き、非常に活発な緊張した代議員会となった。

一部補正予算は見送られ、焦点は第3款第16・17・18項の「在宅医療関連事業費」「ホットライン支援事業費」「医薬品情報委員会」の新事業に絞られた。

新事業によって膨れ上がる予算を懸念する質問が出て、薬剤師としての職能との兼ね合いもあり活発な意見交換がなされた。1時間の延長時間を更にオーバーして質疑がなされた。

決議は新事業3項目のそれぞれについて行ってはしいとの提案を受けて行われ、「在宅医療関連事業」「ホットライン支援事業」については過半数以上の挙手があり決議された。

しかし「医薬品情報委員会」については12名の挙手で定数に満たなかった。「九大病院事業移管」についても基本的には執行部の意見と同じであるとの意見も出、短い時間の中で内容の濃い質疑となった。

会議録(要旨)

福岡市薬剤師会第37回臨時代議員会並びに総会が平成8年12月10日(火)午後7時、福岡市薬剤師会館において開催された。

冨永常務理事の司会で進行され細井副会長の開会の挨拶、藤原会長による会長演述に続き、大庭議長、磯田副会長の登壇、議長より代議員総数68名中43名の出席で代議員会の成立が宣言された。

続いて梅末議事運営委員長(中央)の議事日程についての説明があり、大庭議長より議事録著名人として末田順子(南)、四富国臣(勤務)の両代議員が指名された。

直ちに議事に入り川上常務理事より提案説明があった。以下に議事録の要旨を報告する。

 

会長演述骨子

踏まえられた2つの理念

私は薬剤師会運営にあたり2つの理念を持っています。その1つは組織運営の理念です。会員に見える運営(支部長会や市薬ジャーナルによる情報の伝達)であり、開かれた会運営(今回の臨時代議員会で予算・事業内容の議論をしていただき皆様の意見をよく聞きたい)であります。

2つ目は地域医療における薬剤師としての理念です。世の中の薬剤師へのニーズは変化しています。平成4年の第二次医療改革(薬剤師は医療人である)、平成6年の地域医療保健法(保健と医療と福祉の包括的なシステムの中の薬剤師)、平成8年の薬事法・薬剤師法の改正(医薬品の情報韓供の義務化)などにより、薬剤師は地域医療体制のネットワークの中に組み込まれ行政・医師会・歯科医師会と一体となって地域医療に責献するようになっていきます。

この中で適正な医薬分業が求められます。公的介護保険への対応も必要になってきます。これらの事を踏まえて新事業を含む補正予算を作りました。

次は市薬への九大事業移管問題に関してです。先の代議員会での決議の有効性についていろいろ意見がありますので、ここで市薬の事業として取り組む事を再確認したいと思います。

 

安当と安心の事業

議長、篠田副議長に交替、質問に入る。

○横田副議長 これより審議に入ります。第1号と第2号の議案が出されておりますが、それぞれ分けて質問を求めたいと思います。

○吉田代議員(西)少なくとも新しい事業なり新しい物事をやる場合はその計画書みたいなものがあって、このくらいかかりますのでさせてくださいというのが、妥当じゃないかと思う。

○南島専務理事 新設の項目ですが、第3款の17号在宅医療関連事業費については、支部長会でも2度か3度出させていただいております。支部長の先生方にも各支部に対し、この事業が日薬から来たという時点で募集をし、南区が実施する。私どもが全面的にバックアップしていかなければいけない。これについて160万円が妥当なのか、この事業をやってみませんとわかりません。

次に、18項、ホットラインの支援事業費。これは在宅委員会でホットラインの協力、150点を実績に対して出すことは理事会でも了解をとり、これは最終的に代議員会にという判断。

次の第18項、医薬品情報委員会というのは、「くすりなんでも相談」というものを、今まで検討して、理事会及び支部長会でも何度が相談しております。実際にどういう形にするかということの準備の委員会を設置し、今後それを検討していきたいということで、会議費及び調査費を考え50万円の予算を立てた。

 

画竜点晴を欠く

○藤原会長 今回出しておりますこの議案とは直接関係ないのですが、まず、市薬薬局にクリーンベンチをぜひ設置したい。既に九州中央病院や、医療センターからも「薬剤師会さん、あなたのところでできますか」と。今の時点ではできません。

この間題については、何とかこの代議員会に間に合うように予算化をしたいと思っていた。在宅を薬剤師会が進めることを対外的にもの申すときに、これがなければ画竜点晴を欠くわけです。これは次の代議員会のときまでには何とか間に合わせたい。

 

3つの意味

それからもう1つ、この在宅関連の情報提供の問題。情報提供を会員に、150点つけたいということは、3つの意味があります。1つは会員の意識の啓蒙です。行政、といっても保健所ですが、この保健所からの評価がかなり低い。つまり、薬剤師からの情報提供が一番少ないわけです。医師、看護婦、その他の情報はかなりの数が出ております。

皆さん方のところにステッカーを貼っているわけですが、その活動が余りにも鈍いので、これを何とか活性化したい。そういう意識づけが、まず第1点。もう1つほ、医師、看護婦には、老健法の中で市町村長に対する情報提供には150点ついています。ところが、薬剤師だけがついておりません。

日薬の代議員会でも、この間題は一切出ていない。まだ、そこまでの認識が、行っていないんだろうと思いますが、何とかこの福岡で先鞭をつけたい。

会員に対する啓蒙、行政に対するアピール、それからこの実績づくり、この3つをもって、この150点。

 

増え続ける予算

○松島代議員(城南)先程、酉区の吉田先生がおっしゃったように付議事項の平成5年から6年、7年は、保険薬局会費すなわち10円の部分がずっと10%弱ぐらいの推移で伸びている。その分の収入と、もう1つは入会金が年間20件から30件ある。保険薬局50万円ですので、1,000万円クラスがずっと入ってきている。

それともう1つは、平成6年から応需薬局負担金が200円と、これが年間1,400万円クラスで入ってくる。そうすると、平成5年からずっと市薬の中には1,000万円から2,000万円が一般会費を除いて入ってきている。 それにしたがって、会務が非常に膨大化してきています。そのときに、平成5年には市薬薬局ができ、補助金として2,000万円を出した。そして、平成5年の予備費はわずか25万円ぐらい。たまたま平成5年に非常に収入が多かったので、予備費を1,000万円ぐらいためた。

平成6年にも増収があったから、1,000万円を市薬薬局に補助金を本会計から出した。そして、予備費がやはり1,000万円ぐらい来た。平成7年にかなりの増収があり、予算もかなり肥大化したが、1,000万円を市薬薬局に補助して、それ以外に会館修繕費とか分業推進費ということで700万円本予算の中に入れ込んだんです。3,400万円ぐらい残ってきた。

そして今度の8年度の予算になるわけです。ずっと予算が増えてきている段階において、市薬の資産というのは増えてきて、今度の補正予算は、8円を10円にしたときには、市薬薬局がかなり厳しくなる状態が来るでしょう。1,000万円毎年10年間返済していく。あと8,500万円残っています。せっかく平成5年に8円〜10円にしていただいたんです。

この付議書を見ると、増収があっているけれども、繰越金、予備費が減っているんです。

 

実を言うと間違いがある

これは実を言うと間違いが。会費が100万円上がる。入会金が400万円、保険薬局会費が200万円上がる。保険薬局会費を特に見ますと、200万円上がりますから10円×20万枚増える。20万枚ふえますから、この うち2円は20万×2円の40万円は県薬に払わないといけない。

支出の部分の増収が第4款の9項調剤基本料負担金は1,000万円。これは県薬に払うお金なので、実を言うとこれは1,040万円になる。

それともう一つは、入会金の問題ですが、50万円を保険薬局からもらうんですが、その5万円の分は県薬に支払わないといけない。

県薬入会金として第5款第3項にある。この分が入会した分だけ増えないといけない。8件か7件増えるかわかりませんが、その分がこれに40万円ぐらい上乗せになるから、ここから出てくる予備費がもっと減るんじゃないかと思う。

○川上常務理事 2番目の件からですが、確かに自然増に対し新設の3項目を中心に歳出を出しております。当初新しく4月から発足して、その時点で策定したものが現在の新設として出てきているわけで、自然増をキャッチして新設を策定したというものではない。こういう3本柱の新設は当初から構想と してあった。

もう1つ、歳出の県の分ですが、我々も確かに作成の時点では視野には入れてましたが、非常にまだ不確定要素が強い、金額的にも少し実際の母体からして少ない県への振込みの時差があることも含めまして年度末に一括処理をという考えのもとにあえてこういう形をとった。

 

非常におかしい理由

○松島代議員(城南)予算書すべて入会の保険薬局の枚数と県薬に支払う支出の金額というのは今まで常に一緒になっていたはず。

ただ、決算時期に支払いのずれが生じますので、その差はあったと。しかし、小さいからこれを入れないというのは、非常におかしい。少なくとも皆さんからいただいたお金ですから、決算時期のずれはありますが、予算においてはその辺はきちっとしていただきたい。

それと新規事業に関して、例えば医薬品情報委員会に50万円の予算をつけておられます。どういったメンバーで何回ぐらいの会議をされるのか、もう既に12月も半ばになっていますし、あと3カ月の間に例えば10人ぐらいのスタッフで費用弁償した4万円と、3回か4回されても20万円たらずであると考えれば、余りにもお手盛りの予算じゃないですか。

 

可能性が非常に少ない300万

それともう1点。第1款の第3項の旅費交通費。これは300万円になっていますが、過去のデータを見ますと大体100万円前後で来ている。今年度、日薬の学術大会に支部から2人と理事会から恐らく20〜30人行かれて、100万円ぐらいかかっていると思う。

それを計上されたのだろうと思いますが、昨年は160万円かかっているが、このうち30万円ぐらいが日薬の学術大会に若い人たちに行っていただこうということで。それを除くと130万円。そうすると300万円になる可能性は非常に少ないんじゃないですか。

それと第8項の消耗品代。これも300万円の予算が382万円に。去年は420万円。何で少なくなったのかなと忠いましたら、第3項の印刷費が170万円になっている。これはこの5〜6年、ずっと20万円だった。

前回の代議員会のとき、どうして150万円上がったのかと聞いたら、コピー代を含めて消耗品代とのタイアップで150万円上げて170万円にしたんだと。これと合わせるとこれは550万円ぐらいに。

確かに今、事業は伸びていますが、やはり前年度を無視したみたいな予算のつけ方は、非常におかしい。

○川上常務理事 まず、旅費交通費、主に日薬の長崎大会の方です。ご存じのように、今 度のテーマは特に重要なテーマで、ある程度の方に肌で感じていただきたいというのが趣旨。若干の人数のオーバーはありましたけれども、そちらの方がベターではないかと。

 

ご理解いただきたいコピーのあたり

消耗品ですが、これはかなり目配りはしてます。かなりの費用が要るわけで、また各支部の先生方が市薬にいらしても快くコピー等提供しております。残りの数字に関しては削減できるものはしていきたい。

 

160万円のどんぶり

○冷川代議員(博多)今の質問に関連しているんですが、特に新規でないものの予算の 増額について、やはり一番大事なのは現状の予算がどうなっているのかだと。結局、こ の現状の裏づけがないことには、幾ら増やしますと言われても、「はい、そうですか」 というわけにはいかない。

何にどれ位かかったから、現在これだけしかないから、これだけ増やしてくださいという、裏づけ資料が必要です。それがないことには、幾ら審議しても机上の空論で、全く時間のむだだと。まず資料の提供を要望。

それから、今、新規事業について、3つ話が出ていましたが、在宅医療関連事業費については両区がモデル事業をやられることはいいことだが160万円が、先ほどの専務の回答では適正かどうかわからない。ただ不安を与えないためにというのは、これは余りにもどんぶり勘定。

どういった計画がなされて、これだけは出すという説明がなされるべきです。これと、新規事業についてやはりきちんとした計画書の提出を。それからでないと、審議はできない。

 

3点セットの計画

○南島専務理事 在宅医療における薬剤使用の実態調査及び事例集の作成事業というものが、日薬の方から参り、計画したのが、南区と在宅委員会とのタイアップによる会議が1点。

南区の中での在宅の充実に対する三師会での協議に対する費用が2点。3点が、実際に行うものに対する事業の費用。

それで、大体博多区がどのぐらいの費用でできたものかを参考に出した。今の目算では160万円を超えることはないのでは。

○冷川代議員(博多)前回博多が160万円かかったから、目算にしていると言われたのですが、時期的な問題もあると思うんです。今回は既に12月で、あのときは8月から取り組んでいたので4カ月のずれがあります。

12月から3月まで、本当に160万円使い切れるものかどうか。また、東京への旅費は日薬の方で持つはずです。もう少し詰めた計画書で数字を出すべきではないですか。むしろ幾らかかるかわからないのなら、決算の時点で精算した方がいい。

情報提供につきまして、実績を上げるために1,500円出されると言われますが、これも主客転倒していると。実績が上がっていないのは、なぜ上がっていないのか、もう一度考え直してみれば、これは薬局で相談できるということがまだ十分に知れ渡っていないのが一番の原因。

まずは市民の皆さんに薬局で相談できるということを知らせるのにお金を使う方が先決だ。それがなされてから、実際に実績がどうなったのか、また情報提供料が医師や看護婦にはあると言われましたが、それは患者についての生活状況の情報提供であって、在宅のケアをお願いしますというような情報提供ではない。それもちょっと的が外れているのでは ないですか。

○藤原会長 薬局でこういう関係の事業をするとなると、相当の金が要るわけです。できれば、こういうのは市の方にお願いをしたい。

それと、これは発想がいささか違うわけですが、在宅というのは、我々がこれから一生懸命取り組まなければいけない非常に大事な事業で、できるだけ前向きに取り組んでいきたいと思いますが、会員を動かすというのは大変なこと。そこで、思い切った策が必要ではないか。

予算全体のことについて、いろいろ細かに不備があろうかと思いますが、先ほどの南区の問題にしても、余りにも遅い時期で、細かな計画書をつくってそれを検討する時間さえない。そういう状況で日薬から県薬を通じ、そして県薬は「どこの支部もこれを受けきれない、何とか福岡市で」と。

それなら福岡市でやりましょうと。予算ですから、若干ずれはあるかと思います。その 辺はひとつよくお考えいただきたい。

 

うらやましいかぎりの予備費

○式町代議員(城南)一昔前に私も会計をさせられたことから、3,000万円近く予備費があるとは、本当にうらやましい限りです。

今回、補正予算の付議事項を見て、まず考えたのは、例えば7年度の決算で、770万円ぐらいの自然増があったと記憶しております。これが何年か続いて、こういう補正予算になったのではなかろうか。

第3項の旅費交通費にしても、100万円ボンと長崎大会に。個人で行っている人もいるでしょうし、ただ大会がいいテーマだからと…。どうしても緊急に必要だということであれば納得できますけれども、これは補正を組まなくても事情を説明されるとみんな納得するものだろう。

ホットラインも、情報を提供したら1,500円。これもちょっと。ホットラインだけが在宅ではありませんし。

ナースステーションの具体的な話私のところはナースステーションが上にありますから、いろいろ具体的な話をしておりますし、ホットラインを通じなくても済むこと。ホットラインを通じてないから薬局が何もしていないというのではない。

それは周辺の医師にも薬局として患者さんを紹介したり、ホットラインを通じないとだめだという市自身、また執行部の考え方自身がおかしいのではないか。

それと、先ほどの南区のことですが、これはもう今期、来年の3月で事業は終わりなんですか。又、「くすりなんでも相談」というようなものは、差し迫ってなければ、来期からでも十分可能ではないんですか。

どうしても必要だというものだけを提出されるのが補正だろうと思うので、これを見る と800万円の自然増があるから800万円使うぞとしかとれない。以上、説明してください。

 

1つ狂った構想

○藤原会長 先ほども1回申し上げたのですが、実はもう少し大幅な補正予算にしたかった。そうすると、この800万円収入増、800万円支出増ということにはならなかった。当初の構想が、先ほど1つ狂った。これは市薬薬局におけるクリーンベンチの問題等。

それから、ホットラインの問題ですが、ホットラインに対する情報というのは、在宅つまり医療に関係するもの、福祉に関係するもの、この2つがある。

これから薬剤師がかかわり合っていかなければならない問題なのですが、まだまだ一般の会員まで浸透していない。少し理解していただけなかった面があるのではないでしょうか。

この補正予算案の形式は皆さんいろいろご意見があるようですが、行政というのはこういう形にするのが慣例。初めての経験ですが、大体このようになっている。

この補正予算というのは、やはり入ってきたものと出ていったものは一応合わせて、もし800万円の自然増があって500万円しか使わなかったとするならば、当然予備費の方に回るわけで、今回はたまたまその辺の数字が一致した。

 

省略した話

○式町代議員(城南)省噂しましたが、前回の代議員会のときにも会費と保険薬局会費については今後考えるということで終わっている。とうことは、自然増も少しは考えろということなんです。だから、入会金が1,500万円入る。これは400万円まだ増えるんだというような単純なことではない。入会金というのは1回こっきりのこと。

それと、特別会費、保険薬局会費にしても、今年の診療報酬改正でもやっぱり保険薬局はそれなりの犠牲を払っている。そういうことからすれば、予算があるから、自然増があるから使うというのではなくて、蓄えも必要だろうし、本来だったら考え方によると1億円の借金なんかでも、もうとっくに終わっておいたら、もっと有効に使えるということも。

将来、会員はひょっとすると減るかもわかりません。そういうことも考えた補正予算であるべきだろうと私は思っています。

 

拒否された基本的で大事な答弁

○藤原会長 今の問題は、非常に基本的で大事な問題でしょう。予備費が確かに今3,000万円。今、事務職員につきましても、今の数でいいかという問題。つまり、事務経費というのは増加の一途をたどる可能性が大きい。事務職員も恐らくもう少し増やさないと、対応できないというのが現状。

どうしても増えていく費用、それから保険薬局会費にしても、医療センターの200円にしても、果たしてこれをいつまでとるのか、基本的なことについては皆様方のご意見を幅広くお伺いした。

本来、この補正予算は、そこまで出すべきかもわかりませんが、来年度予算ではもっと出さなければならないものがメジロ押しになっていてその兼ね合いがある。

事業は増えるが、じゃあ事業をやめておくかということにもなりかねません。その辺について、こういう機会にじっくりご意見を伺いたい。我々執行部もまた真剣に考えていきたい。

 

しわ寄せの手数料

○本村代議員(早良)今の会長の答弁には非常に反発を感じるものがあります。今、政府並びに官公庁すべて行革行革と、これだけ叫ばれているのに、どうしてどんどん肥大化していくんですか。実際、これだけ国民医療が切迫してきましたら、厚生省、大蔵省はどこにそのしわ寄せを持ってくるかということです。絶対、これは医者と薬品、すべての手数料なり報酬に対して締めつけがどんどん厳しくなってくると。

今から、調剤薬局は安閑としていられない時代が来るという予想をどうして立てられないんですか。だから、入ってきたやつをみんな使おうという発想は最悪。どんどん小さくしていこうという発想をどうして持たないんですか。まだ事業がメジロ押しなんて言ったらとんでもないことになります。

これは全部の代議員の先生方に十分考えてもらうべきことです。こんな執行部に任せていたら、肥大化してしまって、この予備費まで全部使われますよ。私はこんな補正は認められません。もっと詳しい返答なり答弁をお願いします。

○藤原会長 決して、無制限に入ってきた金を便おうという発想は持ってはおりません。最低限必要な事業はやらなければならない。皆さんの会費ですから、これは慎重に皆様方のご意見もお伺いしながら、これからやっていきたい。

○樋口代議員(中央)今まで執行部の方のご意見をお聞きしておったのですが、まず教えていただきたいのは「在宅」の件と、それから先ほどの「くすりなんでも相談」、それからもう1つ「ホットライン事業」この3点。これを最初に新しい事業としてやるというお話がございましたが、それならなぜ皆さん方が予算をつくられたときに提案されなかったか。

南区の問題につきましては、時期が遅かったと思いますが、博多区がモデルでされたときの費用がどのくらいかかったか、それに対する月日がどのくらいだったかということを教えていただきたい。

それから、旅費と消耗品については中間監査をされております監事の先生に現状を報告していただきたい。

 

3月にするべきか4月にするべきか

又、総会費と代議員会の件ですが、今までは4月に代議員全をやっております。この時点でなぜ3月に開かなければいけないかということ。それと、先ほどの会長のお話の、市薬薬局の件がきちんとなっておれば800万円ぐらいの補正予算では済まないということでしたが、じゃあそれが済んでから臨時代議員会を開かれてもよかったのではないか。

この12月の忙しい時期に、えて補正予算を組む意義があったかどうかということもお尋ねしたい。

 

国民医療が切迫した中でするべきこと

○南島専務理事 在宅の件からまいります。この実施要綱は、平成8年4月1日から平成9年3月31日まで。3月31日までにやり上げるということ。一応、博多区に大ざっぱなことで聞いておるんですが、大体100万円近くかかったようです。

今回、私どもが考えていますのが、南区において各薬局が在宅に参加できるような形にしていきたいという計画。より多くの薬局がその事業の中に一部でも参加していただきたいので、それ以上の数字が必要ではなかろうか。

それともう1つ、「くすりなんでも相談」窓口ですが、市といろいろ交渉した経過がございます。それの準備にとりかかるために予算を組んだということです。

○川上常務理事 新設の16、17、18項ですが、我々が8年度当初予算を組んだのが、3月の20日ぐらいで、スターとしたのが4月です。8年度の当初予算の中に横棒が引いてあるのは、それはそういう意味。

○井原監事 先ほどから執行部に対しての質問が非常に膨大、一言で答えることはできませんが、むだなお金を使ってはいけない事は非常に大事なことです。代議員の先生方から10円の負担の分を始め、いろんな事を指示をしていただきたい。

藤原会長が初めに申されましたように、事業をする上でお金が要りますが、勝手にはやっていけない。そこで、代議員の先生方にご意見を伺って、それで事業を行っていこうという考え。

本日もこのような時期に開かれたということは、先生方のご意見を尊重する、聞こうという態度だと思います。私は臨時代議員会を開いていただいたことには賛成。

それから、私もチェックをさせていただいておる過程で、事業がすごい。それで、もうすべて簡略化しろということであれば、予算もどんどん削っていける。それともう1つ訴えたいのは、現執行部がどこに1つ大きな目標を持っているか。それは、市民はじめ行政に対しての薬剤師の職能をアピールするということです。

先生方から私の方にもご意見をください。それにのっとって執行部に対しても意見を言っていきたい。

○横田副議長 質問を受ける前に、お諮りいたします。最初の予定では1号議案2号議案含めまして、大体1時間の質問時間を予定しておりましたが、あと1時間の延長をされることで、ご同意いただけますか。
(賛成者拍手)

○藤原会長1つだけお答えいたします。なぜ3月に代議員会をするか。つまり、支部の事業、行政もそうですが、4月からです。できるだけ早く各支部が事業に移れるように、そういう意味で通常代議員会は3月にしたい。

○樋口代議員(中央) 先ほどの監事の先生にお尋ねしたかったのは、交通費が100万円アップされているんですが、現段階で当初予算をどれだけ使ってあるのかというのをお聞かせ願いたい。それと消耗品。

○川上常務理事 数字の方は私から答弁させていただきます。まず最初の方の交通費ですが、一応半期のあらかたの数字として、現在489,530円の数字が起こっております。ちなみに平成7年度ですと164万円。

それから消耗品が現在2,113,000円。

○樋口代議員(中央) 交通費は。

○川上常務理事 489,530円

○樋口代議員(中央) 実際何月までの分ですか。

○川上常務理事 一応9月30日で締めた分です。

○樋口代議員(中央)残高がですか。

○川上常務理事 使った数字です。

○樋口代議員(中央)その後に長崎。

○川上常務理事 はい、長崎の方がそれに入ってきて、大体150万円前後と見ておりますが、ご存じのようにまだいろいろ請求とかその他の事後処理ができてません。

○井上代議員(南)先ほどから出ています一般会費、処方箋1枚につき10円の件。これは予算を見てみますと、随分お金も余っているみたいなんですが、例えば1円なり2円なり各支部に配分を考えていただけないんでしょうか。

4月に全長就任されたときに、支部活性化を随分力を入れておっしゃってたみたいですが、今まで半年見ていますと、南区の私たちは大きいお金をいただいている部分があると思うが、やはりやりたい事業でもやれていない支部もあるはず。

各地区の支部会費のばらつきを解消するためにも10円のうち、県薬に2円払ってあとの8円の中から1円なり2円なりを支部に分配されるようなお考えは。

 

1円あるいは2円を検討中

○藤原会長 今、おっしゃいました1円あるいは2円のことは、今考え、検討しております。支部に出している補助金が適正かどうかという問題も含めて、これは次の代議員会で、新年度の予算としてはっきりしたものを出したい。

○磯田副議長それでは今から休憩します。
〔午後9時07分 休憩〕
〔午後9時15分 再開〕

 

行き過ぎる答弁

○冒永代議員(早良)恐らく妥協点というのが出てこないように感じますので、幾つかの提案をさせていただきたい。

まず、会長の答弁は、非常に的を外れてほかの部分に行き過ぎるように思います。大体会長の演述そのものが7分間しかなかったのに、30分近く延長する、そういう計画性のないものは非常に好ましくない。

もう一つ、全長がのお話の中で、当初計画していたということが、幾つかの会議、代議員会、それから総会の回数をふやすと。最初から3月であろうが4月であろうが、会議を何回するということは当然わかっている。

そういう計画的なことはピシャッとしていただかないと、予算というのは幾らでも変更していいというものではない。

それから年末のこの忙しいときに臨時代議員会まで開いて補正予算を組むということは、必ずしなくてはならない事業に関しての補正予算であるべきであって、それは事業費に偏るべきもの。事務費、会議費、こういう事業の中でも実質的な新事業でないものに関しての補正予算というのは、普通は行われるべきではない。

例えば試験センターの流しが悪い、これに関しては、どうしても必要でしょうから、当然組まれて結構だと。この補正予算の中で幾つかのものを削除するという方法で、補正予算を修正し直されてはいかがか。

 

サラリーマン家庭の旅行

それから交通費とか消耗品、これはやはり計画があって、その計画にのっとって使っていくのが当然。予算をオーバーして使うというのは計画性がない。例えばサラリーマンの家庭が、給料が入ってこないのに先に予約して旅行するようなもの。こういうことをしていてはいけないということは当恕ご承知のとおりです。

○川上常務理事  一番最後の問題ですが、旅費、交通費とか消耗品ですが、計画性を持ってやるということです。ご存じのように、旅費、交通費に関しては、シミュレーションをして、例えば長崎までは7,500円ですが、仲々きちっといかないことは、私が言うまでもない。理解していただきたい。

○冒永代議員(早良)私が今申しましたのは、事業をしていないとか、妙な使い方をしているという意味じゃなくて、計画的に予算が組まれていたら、その予算の中で行動をするのが妥当じゃないかと。例えば100万円なら100万円の予算が組んであれば、その100万円の中で動ける行動をとらないといけない。

もし、事業が済んでから後でいいことであれば、補正予算を組まなくても、決算のときに、「実際にこれだけの仕事をしたんだ。だからこれだけ要ったんだ」という1回でよかったと思います。わざわざ補正予算を組まれるのは、何か後ろめたいことを後で言われるんじゃないかいう予測が何となしに起こる。

ただし、補正予算は補正予算の意味がありまして、緊急に必要なときに使う試験センターとか、在宅関係も、後から起こった事業ですから必要です。

しかし、これも必ず補正予算で代議員会の承認を得なくても、事実事業をし、緊急な事業だったと言えば、皆さんも理解できた。事業費の方の予算は、補正予算を組まなくても、または補正予算をとっても、皆さん理解できやすい。ところが俗に言う運営費、会議費に関しては、計画的にしないと幾らでも使っていれば無制限。

 

たまたまあった800万円同士

それから収入というのは、あくまでも臨時で多くなってきたから、これを使って行うと言う一部の意見と、会長は「そういう意味じゃない。800万円入ってきたから800万円使うわけじゃない」とおっしゃる。

しかし、たまたま数字が800万円同士で合った。いっそのこと、会長がおっしゃったように「800万円で済まんのだ、1,500万円も要るんだ」ということなら、わざわざ補正予算を組む値打ちがあったと思います。

その辺の理解をしていただかないと、何か数字合わせのために、それから皆さんの承諾を待てしないと、何か後ろめたいことを後で言われるんじゃないかという感覚で臨時代議員会まで開かれたんでは大変迷惑です。

それから、もっと計画的に、それから答弁ももっと的確にしていただかないと、非常にあやふやな部分が多いと思います。

○川上常務理事 先ほど「後ろめたいような」という言葉を出されましたが、新しい執行部になり、3月20日ぐらいの時点で作成。その根拠となるのは、平成7年度の予算並びに決算の出るちょっと前ですが、その数字を参考にして、前執行部の踏襲できるところはしながら、また新しい執行部として、新しい顔の見えるように組んだ予算。

 

真撃な気持の発想

それが現在に至り、若干でこぼこもありますので、これでは代議員の先生方を含め会員の先生方に申し訳ないという真撃な気持から、ここで一度でこぼこに対して補正をという発想からきたわけです。確かに執行部の中でもいろいろ意見があり、「なぜ今ごろこんなことをするんだ」ということがありました。

○権田副議長 冨永先生に確認させていただきます。発言されました趣旨としては、事業に関する予算を補正案として、いわゆる修正案として上程されるということでしょうか。

 

暗黙の1つの方法

○冨永代議員(早良)あと30分か40分で時間切れになってしまい、このままこれが採択されなければ、いよいよ何も事業ができなくなってしまいます。緊急にどうしても必要なものだけでも通すために、修正されてはいかがでしょう。それ以外に、例えば交通費であれ、実際に使われたものは、後で決算に出されては。これは暗黙の1つの方法じゃないかと。

○川上常務理事 今の修正ですが、もともと新しく出発してやっていく段階において、最後の年度末に、例えば「旅費交通費がちょっとオーバーしました、新しい執行部ですから」という案もないことはなかった。しかし、やはりここで新しい執行部がこういう補正を組んで、少しでも是正していこうという気持ちがありまして、あえてこうして年末の忙しい中でいろいろ議論のあった中で決定して代議員会を開いて補正予算を組もうということでございます。

○冨永代議員(早良) 私が言いましたのは、修正されれば、今日スムーズにある部分が通るでしょうと。そのまま行けば、万が一全部通らなかったときは、皆さんがお困りになるんじゃないでしょうかということです。

○南島専務理事 私どもは修正をさせてもらえるものであれば修正させてもらいます。今、どうしても新規事業というものはやっていかなきゃいけないと思っておりますので、その部分を残して、あとは修正させていただきたい。

 

説明できない項目

○吉田代議員(西)職能対策費を説明できる方はおられますか。説明ができないような項目を書かれても困るんですよね。説明も、なぜ50万円ふえたかというのもないのが1つ。どういう仕事をしていてどういう部署に入っているのかがわからない。こういう案というのはちょっとおかしい。

それと、緊急に言わないかんことができたんですけども、会長が事務職員を増やしたいといわれているが、これは絶対にやめてほしい。市薬薬局のときも、最初「パートでする」と言われ、いつのまにか職員になっています。

確かに職員は、今、必要でしょう。忙しいでしょう。しかし、1人増やすことで1億円近い金をあとの人間に負担させることになるんですよ。現実に今は黒字なのでいいだろう。ただ、今の事務職員の人たちが定年退職するまで維持できるだけの経済的な余裕があるならば結構ですが。

 

農協の現実

確かに今、事務の女の方は忙しいだろうと思います。下請けに出せるものとか委託できるものはどんどん委託すればいい。少し高くてもそのときだけで済みますから。それと派遣社員を入れるとか、薬剤師もパートが来ないから云々と言われた。

薬剤師のパートの値段を下げれば、そりゃ来ないですよ。今の時期、パートで済む、あと5年、10年しか要らないという物の考え方をする ならば、市薬薬局を実質的に備蓄センターにして、市薬薬局をつぶすときが来る可能性もある。

とするならば、パートの料金を上げてでも、今余裕があるのだからやる方向を考えないで、ただ今どちらが安いか高いかという物の考え方よりも。

今の農協が現実にそうなっている。農民から出てきて農協ができて、今農協のために農民が働いているような感じになっている。会長の言い方だと、今に肥大化してしまって薬剤師会が事業をするためのお金をどんどん集めないといけないような事態が。

100%市薬薬局が処方箋をとらないと、行く行くはやっていけないときが来る可能性が。

そこまで考えて職員を増やすということを言っているのか。僕は職員を決めるときには、必ず代議員会で議決をとってほしいと。パートがいつの間にか職員になったりするのだけは最低限で、そのしりぬぐいは今の若い人たちがそれを負担せねばならない。もしそれで財政が厳しくなったときには、今勤めている事務職員に迷惑をかけることになるので、慎重に発言をしてほしいと思います。

○川上常務理事 まず職能対策費ですが、薬剤師会の利益を考えいろいろ活動した費用です。もともとこの職能対策費自体が、20万円でございまして、さらに継続的にいろいろ活動していかなくてはいけないということで、かなり前向きに取り組んでおります。ここで50万円という数字はどうかということですが、70万円という補正で組ませていただきたい。

 

対応する試験

○藤原会長 補足してお答えいたします。まず事務職員の問題ですが、例えば試験センターの職員も増やさなければならないのではないか。薬局製剤を皆さんやっていらっしゃいます。やるからには、きちんとそれに対応する試験をやらなければいけない。今の現状ではそれはできません。そういう職員をどうするかという問題もあります。そういうことで一応「職員」という表現をしたわけです。

 

予想外の動議と修正案

○吉田代議員(西)今の答弁でいいんですけど、ただ僕が言いたかったのは、職員を増やすときには代議員会にかけるということを、ここで決めてもらいたい。緊急動議で、議案になるかどうか、議長、お願いします。 ○大庭議長 吉田先生の動議と冨永先生の修正案は予定外ですので、皆さんの賛同を得なくてはならないと思います。採決は後ほどとしまして、吉田先生の今の質問に対する答弁をお願いします。

 

身動きが出来ない人事

○藤原会長 こういう問題は非常に微妙なタイミングがあるわけで、例えば代議員会も、通常やっていた4月の代議員会を3月にもってきた方がベターではないか、その方が支部の活動はスムーズに移行するということに対し、それは問題だという発言がございました。

ということは、今までやっているように4月にやれと私は受けとめているわけでそうなると、大きな人事というのは、ここではっきり申し上げるわけにはいきませんが、少なくとも1月ぐらいの時点では決めないとなかなかうまくいかない。したがって、これ以上のことをちょっと申し上げかねます。

先ほどの職能対策費に関連しましても、これも絡んでいるとだけ申し上げておきます。必ずしも代議員会で了解をとらなければできないとなると、いささか身動きできないのではという危惧を感じている次第です。

 

最低限必要なこと

○吉田代議員(西) 市薬薬局ができるときに「パートでやります」が、いっの間にか職員になっていた。それから今の組織を維持するために1人要るという問題だったら、何も代議員会にかけてくれとは言いません。

ただ、新しく事業があって人を増やすときには、少なくとも代議員ぐらいは知っておくということは最低限必要じゃなかろうかと。僕も市薬薬局に、今何人勤めてあるか知りませんし、いつの間にかどんどん増えていっている。それが執行部が勝手にできるんだという問題では困りますと。

○光安副会長 市薬薬局に関しては、依然パート2人。総額は、金額的には減っています。人員も減っています。そういう事情はちゃんと把握しております。

○大庭議長 それでは、冨永先生の修正案に賛同の方、挙手をお願いします。

〔賛成者挙手〕

○大庭議長 少数でございますので、修正案は考えない、原案どおりということでございますね。

 

緊急にどうしてもこれだけは

○小野代議員(中央)もう一遍、冨永先生に説明していただいて、挙手するなり採決されたらどうでしょうか。

○冨永代議員(早良) 修正案を、執行部の方がお出しになるかならないかは執行部のお考えで結構です。修正案が出たからそれは可決するというものでも。緊急にどうしてもこれだけは可決して通していただけるだろうというような修正案を執行部が提案されてはいかがかというだけのこと。

[休憩]

○磯田副議長 第2号の九大病院事業移管に関する件で質問がおありの方、お願いいたします。

 

基本的には賛成の信念

○中島代議員(南)私は基本的にはこれに非常に賛成。九大に関することというのは、やはり福岡市薬が中心になってやらなくてはいけないとう信念を持っております。これはぜひ可決してやっていただきたい。今日の議題はその点までだろうと思いますけど、私が聞きたいのは、これは福岡市薬がやっていいよというふうに代議員の先生方の答えが出た場合に、どのような形でやっていこうとされているのか、会長のお考えをお聞きしたいと思います。

○藤原会長 まずそういうことになりましたら、こちらの考えを県薬会長にきちんとご説明いたします。と同時に、これは県の代議員会で決められたこと。したがって、県の代議員会で、もしこちらがこういうことをお願いしたいとうことで、これは県の方から議案は出ることはまずないと考えておりますので、ほかのところの代議員の先生方、あるいは支部の方に福岡市はこう考えておりますので、ご協力いただきたいという行動をすべきと思っております。

 

本当はよくない「もしも」の質問

○中島代議員(南)方法論としては会長のおっしゃるとおりだろうと思います。私が聞きたかったのは、「もしも」という質問は本当はよくないのかもしれませんけれども、県薬の代議員会で我々の希望どおり可決された場合、そして市薬の事業となった。

そういうときにどうやろうとするのか、そしてまた県薬との話し合いということが当然起こってくる。そういうときにこの市薬の事業にどういう考え方で、どいうふうに主張されるのか、私としては具体的に聞きたいわけです。抽象論よりも具体論でお願いしたい。

 

発生した執行部の使命

○光安副会長 我々新しい執行部の出発点は、九大移管の問題です。これは我々の使命。今回これを出したのは、もう一度、先生方の統一的な意思、執行部の再確認の意味です。我々に対する希望もこれだと思います。実際、県薬との話し合いももちろんですけど、一番大事なところは「かかりつけ薬局の育成」です。

そういう基本的な理念を持って、県薬の各地区の代議員の先生方にきちんと説明し、我々を県の代議員会の中で支援していただくように説得するつもりです。

○中島代議員(南)ぜひ頑張っていただきたい。

それから「九大問題」という言葉は、それこそ非常に問題があるようです。そのことだけで先へ進まないようなことが起こりかねない字句です。九大病院事業に関する件とか、そういう表現の方が、今後、話し合いとしては非常にスムーズにいく。ご健闘をお祈りしておきます。

 

「問題」という問題含んだ言葉

○光安副会長 どうもありがとうございます。先はどの「問題」というのは、これも非常に問題を含んだ言葉ですので、今後一切こういう言葉を執行部としては使わないようにいたします。

○篠田副議長 これで第2号議案につき質問はないということでよろしいでしょうか。

〔賛成者拍手〕

○横田副議長 では、さきに1号議案を途中で打ち切って九大病院事務移管に関する審議の方に移っておりましたので、第1号議案についての質問がございましたら、お願いいたします。

○中島代議員(南)1号議案の「くすりなんでも相談」の件についてですけども、これは市薬薬局で設けようということですか。イエスかノーかそれだけで。イエスということだそうですね。

 

実はあった歴史の中で

1つは、県薬の情報センターとどういうふうに協調していくのかということと、市薬薬局というのは平成4年度の厚生省の医薬分業支援センター事業の一環として、国、県、市から約3,000万円の補助金をいただいてやってきたこと。

その当時、こういう情報センターという考え方も持っておったんです。その中で県薬にもあるから、これはだめなんだと行政から言われた。ここで手を強引に挙げっ放しにしていると補助金すべてがどうなるかわからないというようなことが実はあったんです。

そういう歴史の中で、この「なんでも相談」をきちっと答えようと思ったらスタッフとかいろんな設備がたくさん要ると思います。それをどのようにしてやろうとしているのか。中途半端な形であれば果たして市薬の事業としてする価値があるんだろうか、県薬のすばらしい情報センターがあるじゃないか。この辺の関係をお聞かせいただきたい。

○南島専務理事「くすりなんでも相談」について基本的な考え方というのは、県薬の場合は専門家中心の形をとっております。私どもが今回考えておりますのは、市民にいかに私ども薬剤師会をアピールしていくかが非常に大きい要素です。

私どもは、すなわち一般の方のご相談に応じていくというのを考えております。そのためにはどういうふうな人手なり設備なりをということを今から考えませんと、そう簡単にはいけませんので、十分検討させていただきたい。

結果によっては方法論をもう一度練り直さなければならない。費用的にどの程度か、どういう方向から入っていくかも考えていきたい。基本的には県薬の情報センターとは異にするという考え方です。 これの広報関係については、『市政だより』などを使って、一般の方に幅広く広報していければ。

○中島代議員(南)要約すると、どういうふうにするか、するための委員会経費としてこれを上程する。だから具体的には、これから考えようということですか。

県薬の情報センターとの関係を、もうちょっと深く考えてみていただいたら、この50万円というのが本当に妥当なのかどうか、代議員の先生方も判断しやすいんじゃないかなと思います。

それから先はど会長が、市薬薬局にクリーンベンチ云々の件で、これは補助金絡みの問題があるわけです。

 

非常に恥ずかしい話

○藤原会長 在宅医療を進めていく上において、このクリーンベンチの設置というのは、もう避けて通れないと考えているわけです。これをどこかに設置しなければなりません。そのときに、会員のところでこれをやれと言っても、まず今の時点では不可能。それだけの需要もありません。

しかし、この大支部の福岡市がこれさえ持つことができないということでは非常に恥ずかしい。

したがって、先ほど九州中央病院あるいは九州医療センターからの要望もあったと申し上げましたけど、何としてでもこれを置いて、福岡市薬剤師会は在宅医療を前向きに取り組んでいくという姿勢を示す必要があると考えているわけです。

 

クリアしてほしいこと

○中島代議員(南) 基本的にはもちろん会長の意見に賛成。今、私が言いたかったのは、実はあそこの市薬、3,000万円もらった背景として備蓄センターで100平米、調剤センターで40平米、これだけの面積があるから、国は補助金を1,000万円やろうということだった。

それを一部は備蓄センターじゃなく、そういう形になると、当初は補助金を返せと実は言われているんですよ。そのことを交渉されているのかなと私は思ったんです。

だけど、平成4年当時は在宅の問題はほとんどなからた。そういう難しい問題がありますが、ぜひクリアして頑張っていただきたい。私は基本的には全く同意見。クリーンベンチの2階にあれだけの大きな備蓄センターは不要だと思います。下にするのかどうかは知りませんけど。ぜひ獲得していただきたい。

 

哲学でやったこと

それから市薬薬局の現況について教えていただきたいと思うんですが、会長が当初に「開かれた執行部」とおっしゃいました。

市薬薬局の現況について、支部長会か何かではされているのかもしれませんが、今、何枚処方箋が来てどうなんだと、私が関係しておったころは全部ジャーナルに載せておりました。それが具体的にないので、これをぜひ教えてもらいたい。

そして市薬薬局の運営については、そういう補助金等があって、国と県の方に毎月報告しておりました。日薬の分業関係の常務からもお褒めの言葉をいただいてバトンタッチしたわけですが、伝え聞いたところによると、5月か6月か不明ですけど、処方箋の市薬薬局に行くのが大幅に減った。窓口で非常に混乱を来したということを耳にしてました。

どういう哲学によってそういうことをしたのか、そしてまた最近はまた元へ戻った、どうして元へ戻すということにしたのか、市薬薬局の運営についてのはっきりした具体的な考え方を説明していただきたい。抽象論は結構です。

 

患者さんの希望のままに3カ月

○光安副会長 一番最初に5月一時下がりました。10%を割っています。その前後は13%、14%の推移でいって、このまま放置すると市薬薬局に集中するというおそれがあったので拡散を図りました。

拡散を図った結果、各かかりつけ薬局の先生のところに定着しました。その後市薬薬局の予算も我々がつくっておりますので、予算と数字を見ますと、大幅な減というのは、我々みずからつくった予算を修正せざるを得ないような立場になります。

では、どうすればいいかというと、患者さんの希望のままにやってみようかということを3カ月見ました。3カ月見ますと、自然に市薬薬局にも戻りますし、それぞれのかかりつけ薬局で努力していただいて定着しています。

現在は10月は11%で1,200万円ぐらいの保険収入があります。11%といったら大体前年度の月と一緒ぐらいです。前年度に比べて10%は増えていますので、基本的に増えた分は、皆さんのかかりつけ薬局の方に拡散して処方箋が行っている。

執行部の考えとしては、拡散をまず第一に考えています。やはり先生方のところに処方箋がいくように、これは九大病院しかり、九州医療センターしかり、国立帝福岡病院しかりです。そういう基本的な方針は、私たちはすべての病院に思っています。

 

ベターな型の位置づけ

○中島代議員(南) 現時点で拡散させようということは非常にすばらしいことです。その中の市薬薬局の位置づけ、役割ということを、どういう形がベターなのかを突っ込んでぜひやっていただきたいのと、その市薬薬局の現況について、ジャーナル等で発表していただきたい。知るすべがないとい うことを非常に残念に思っているんです。一時お金のことが言われましたけど、大きな立場に立って市薬薬局の運営に全力投球していただきたい。

○篠崎代議員(東)今の「くすりなんでも相談」は各薬局がその窓口になるべきでは。かかりつけ薬局という言葉をよく言っています。私どもも経験がありますけど、お客さんから質問を受けてわからないことは県薬の情報センターに問い合わせその場で答えました。そのほかにも自分で答えられるのは答えています。市薬につくるんじゃなくて、各薬局が窓口となるべきじゃないですか。

○南島専務理事 今も各薬局で相談に乗っていると思います。それは皆さん一生懸命やられていることです。ただ、広く市民に薬剤師会がそういうことをやっているとお知らせするということが非常に大事なことですし、薬局に行かれていない市民の方もおられます。例えば健康食品を買ってある方がそこで正しいことが伝達されているとは考えられないことがままありますので、正しく伝達する役目があります。各薬局での相談ももちろんですが、会として薬剤師としての相談ということを考えておるわけです。

○横田副議長 一応清水代議員の発言を最後の質問ということでよろしいでしょうか。

〔賛成者拍手〕

 

根幹に触れる問題

○清水代議員(早良)質問ではありませんが、今日の代議員会で、この補正予算のことと九大問題が主なテーマですけど、我々は久し振りの代議員会で、まだもっとほかにもいろいろ討議したいことはあったんです。これで終わってしまうようで残念なんですが、この補正予算というのは全予算から見ると2.4%です。800万円。そして予備費から見ても3分の1。

こういうものは市薬が自信を持ってやって、決算の代議員会で「こういうことをしました、どうでしょうか」と言って決算を通せばよかった。これが根幹に触れるような大きな問題であればやはり、九大問題はそれに入るのかもしれませんけど。

クラフトが今日、日本中で問題になっております。こういう大型門前薬局について、いろんな処置もとられたように思いますが、いまだにあちこちに出てきております。こういう問題についても、もし福岡市がそういう場面になったときどうするのか、また平日夜間急患センターの問題についてももう少し詰めておいてほしかった。それから定款問題、会員問題についても。

〔午後10時10分 休憩〕
〔午後10時15分 再開〕

副議長から議長に変更

○大庭議長 では審議を再開いたします。

○藤原会長 今日はいろいろと貴重なご意見を伺いましてありがとうございました。そういう意味でこの代議員会は大変意義があったと考えております。

 

伏せられたファックスの部分

なお、会計が皆様方に言いにくい面もあったかと思います。例えば消耗品の問題にしても、今各支部が膨大な量のファックスを使っております。そういうことでいささか伏せた報告もありました。醤さんのご意見を伺い、一般経費にかかる分はこれだけかかりましたと、次の決算代議員会で申し上げます。したがって、その部分は削除いたします。そして新規事業の部分について、ここで皆様方にご提案をいたしたいと思いますので、何とぞご了解いただきたい。

○大庭議長 会長は大まかに言われましたが、具体的な事実を挙げ、これは予算を原案どおり上程したいということを言ってください。

○南島専務理事 新規事業は、今回3題出させていただいております「在宅医療関連事業費」。これは日薬から来ました事業に対して南区を中心に市薬一体になりやっていくという160万円。

次に、「ホットライン支援事業」。これは情報提供について150点を提供するというものについて100万円。

最後に医薬品情報委員会。これは「くすりなんでも相談」についての準備です。これについて50万円。以上上程させていただきます。

○大庭議長 これより採決いたしますが異議ございませんか。

 

お願いしたい項別の挙手

○本村代議員(早良)第16項、第17項、第18項、これは項別に挙手採決をお願いします。

○小野代議員(中央)本村先生の意見に賛成です。全部ということになりますと、先はどの情報の話がものすごくひっかかるんです。意図はわかるんですけど、専務の説明されたのは、余りに大まか過ぎて、情報というのは、ものすごいお金がかかるんです。

私、県薬にいるからわかるんですけど、言われたことは、県の情報センターでもやっていることです。そういう意見が出なかったので、もうちょっと調べられて上程されたらどうかと思います。ここまで原案が出ていますので、たった3つですから、1つずつやられたらどうでしょうか。

○大庭議長 本村代議員、小野代議員のご意見に賛同される方、挙手。

〔賛成者挙手〕

○大庭議長 では本村代議員、小野代議員のご提案を、採用させていただきます。

議案第1号、平成8年度歳入歳出補正予算第3款第16項について、在宅医療関連事業の160万円について賛同のお方、挙手。

〔賛成者挙手〕

○大庭議長 可決といたします。

第17項ホットライン支援事業100万円、これについて賛同の方、挙手。

〔賛成者挙手〕

○大庭議長 可決といたします。

医薬品情報委員会50万円につき賛同いただけるお方、挙手。

〔賛成者挙手〕

○大庭議長 否決といたします。

以上により、この補正予算は修正されて第3款16項、17項のみを可決。

次に、議案第2号、九大病院事業に関する件につき、理事者提案どおり可決することに賛成の方、挙手。

○大庭議長 可決いたします。

以上をもちまして、代議員会を閉会いたします。

閉  会

〔午後10時26分 閉会〕

第65回総会議事録

〔午後10時27分 開会〕

○細井副会長 開会挨拶、よろしくお願いします。

○藤原会長 慣例によりまして、この代議員会の決定は総会の承認を得るということになっております。出席者は全く一緒でございますので、ご承認いただければここで拍手をいただきたいと思います。

〔拍 手〕

それでは一応承認されたものとみなして、決定事項報告にかえさせていただきます。

○司会 最後に閉会の言葉を光安副会長、お願いいたします。

○光宏副会長 私、市薬の方に入りまして20年ぐらいになりますけど、これほど本当に熱の入った代議員会は初めて経験しました。これはひとえに我々の厳しい環境がこういう行動に移すんでしょうと思います。以前は、何も皆さんの発言もないような代議員会でした。今回の決定事項は非常に民主的 な決定事項ですので、私はそれを尊重しまして、これからの執行に気を引き締めていきたいと思います。

〔午後10時29分 閉会〕

臨時代議員会インタビュー

・新規事業に対して、基本的な考え方と内容の説明が不足
・まだ結果がでたわけではないのでノーコメント
・補正予算を審議するには現状の数字が必要、九大事業移管問題は賛成
・今の時期になぜ補正予算が必要なのか
・的確な答弁を
・前回に較べ民主的な代議員会だった
・新規事業以外は通らなくて当然
・活発な議論が行なわれてよかった
・充分発言できない
・2%程度の補正なので代議員会を開く意味があるのか。補正しなくても皆納得するのではないか。もっと執行部は自信を持ってやってもらいたい。
・質問時間が限られており、次の質問者がまったく別の質問をすると、関連だっての質問がしにくい。
・今問題になっていることは沢山あって、補正予算よりも、九大処方箋応需の問題やクラフトの問題なんかを討議してほしかった。
・質疑応答は迫力があってすごかった。
・会長挨拶が長い。その分もっと質問の時間に当てたほうたよい。

金言・名言

    会社の利益は

      景気、天気、元気、やる気

      の四つの気で左右される


景気と天気は外部の環境、より大切なのは会社自体の力(元気)と開拓精神(やる気)。

<私と薬> 限りなくレトロ −セピア色のいい時代− 福岡市西保健所 所長 辻紀子

私の母は薬剤師です。当時の学校は入学したあと、専門を決める時点で医学部か薬学部のどちらでも自由に選べたそうです。本人は医学に進みたかったらしいのですが、既に父(私の祖父)と将来の夫(私の父)が医師なので、これからは医薬分業になるので、3人目の医師よりは薬剤師の方が重宝ということで薬学に進学したのだそうです。それから50年。

今、世の中、ようやく医薬分業の到来となりました。ひとつの事柄が言われ始めて、世の中が動き出すのに50年という歳月がかかりました。

私の父は、以前開業していた時、患者さんが「風邪をひいたので注射して下さい」と来られると、「注射なんかしないでいい。寝ていれば治る」と言っていました。「お薬を下さい」と言われたら、「薬など要らない。美味しい物を食べて寝ていれば治る」と言ってお薬をあげません。「注射もお薬もくれない」と患者さんが、よく怒って帰られていました。

そして国民皆保険の「本人の負担0」にも父は反対でした。「暴飲暴食、不規則な生活をして、病気になったらタダなんておかしい」「日頃から、栄養、運動、休養に気をつけて、自己管理をして、それでも病気になったら金を払うのが当り前」が持論でした。

又、保険点数を時代の物価上昇に合わせてスライド制にするべき論を誰よりも早く提案し、日本医師会の武見会長に馬鹿よばわりされたこともあったそうです。

一方、死にそうな重症の患者さんがあると、一所懸命に治療をしていました。治療の甲斐あって助かると、助かる人にどうしてこんなに薬を使ったのか、又、不幸にして、治療の甲斐なくその方が亡くなられると、死ぬ人にどうしてこんなに薬を使ったのかと、各れにしても、診療点数をバサッ!と削られることがしょっちゅうでした。そういう医療制度に、ほとほと嫌気がさし、20年程前、父は医院を閉じて、悠々自適のドクトルマンボウ船の旅に出かけて行きました。

ところで、父はいっも「厚生省の役人のバカが・・・」が口癖でした。何の因果か、そのバカな役人を娘の私はしています。保健所でしていることは、栄養、運動、休養を通しての若い時からの健康づくり。病気にもならず、お薬も余り飲まなくていい健康な生活支援です。(営業妨害だったらお許し下さい)そうして、私達が元気なお年寄りになることで、少しでも医療費を減らし来るべき少子高令社会への負担軽減ができるといいなと願っています。

それにしても、Long−Long−Ago、祖父の時代は、保険なんぞありません。留守番電話もありません。夜中でも、求めがあれば見事な24時間対応でした。当直の看護婦さんが、ぼそぼそ、続いてゴトゴト、ガタガタと戸があいて、戸外へ遠のいていく足音を、子どもの頃、ふとんの中で、まどろみながら聞いたものです。

粉末を乳鉢で擦って、さじ加減よろしく分配して、1包1包手で折って、飲み薬は洗ったビンに入れてコルク栓をして、「お大事に」と言葉をそえて手渡したお薬が、実によく効きました。

支払いは、催促なしのある時払いがほとんど。時にはお盆や暮にお米や野菜で頂いたり。ある時、ニワトリをもらって、庭に放していたら干していたお米をのどまで食べて死んでしまったこともあったとか。何ともセピア色ののんびりしたいい時代でした。

日本は今、来るべき少子高齢社会に向って、介護保険と医療保険の受益者負担の再構築を迫られています。限りなくレトロの時代には、お医者さんと患者さんのいい関係がありました。そこまで戻ることはできないでしょうが、何とか心の温かいお医者さんと協力的でよく出来た患者さんとのほのぼのとした医療、福祉が21世紀にも整ってほしいものです。

診療のあと、薬局でお薬の飲み方の説明をきき、最後に「お大事に」と心優しく手渡されるお薬を受けとる時、患者さんの真の癒しが始まるのかもしれません。薬剤師の皆様方、どうか、ほのぼの医療の仲介役をよろしくお願い申し上げます。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 経過報告 南支部長 末田順子

平成6年の10月より在宅患者服薬指導が実施され、在宅における薬剤師の職能もかなり向上してきました。患者主治医との連携のもと薬剤師が患家を訪問して在宅患者の薬剤管理や服薬指導を行う数もかなり増加してきましたが、それと同時に在宅医療に於ける薬剤使用の問題点も出てきつつあります。

その問題点を把握し、今後改善し、在宅医療に置ける医薬品の適正化を進めることが目的です。

又、このモデル事業の目的が介護保険への足掛かりとして行われていることも認識して戴きたいと思います。薬剤師が介護保険のケアプランへ、どの様なかたちで介入し、職能を発揮していけるかを考察していきます。

現在、「南区在宅医療委員会」の中にこのモデル事業委員会を併設して戴いて、医師会、歯科医師会、保健所、訪問看護ステーション、在宅ケアホットラインとの連携をとり、事業を進めています。

薬剤管理や服薬指導のみならず日常生活のADL、環境調査なども加えてアセスメント表、特殊医薬品のチェック表も合わせて作りました。

10薬局20例を選定し調査、検討中です。データ一等は逐次報告していきます。

 

「在宅医療における薬剤使用の実態調査及び事例集作成事業」
の実施検討会

日程

1.11/18 日薬にて説明会 末田

2.11/27 日薬漆畑常務理事 介護保険について 末田、井上

3.11/28 南区モデル事業委員会委員長 柴山、末田、井上、吉田、中島、岩佐
      モデル事業についての説明会

4.12/6 南区三師会
      モデル事業について三師会への協力依頼

5.12/7 市薬剤師会在宅委員会
      各在宅委員に原案の依頼
      アンケートのフォーマット作り(14日までにFAX)

6.12/13 両区処方検討会
      モデル事業に関する説明会

7.12/14 市薬剤師会在宅委員会 柴山、末田、井上、入江
      アンケートのフォーマット作り

8.12/16 南区在宅医療検討委員会
      モデル事業に関して協力依頼
   出席者
    医師会   森永、亀川、松尾、木下、西村、西岡、藤野、寺沢
    歯科医師会 山本、久保田、沖、永別
    薬剤師会  末田、吉田、井上、柴山、中島、岩佐、藤原、南島、入江
    保健所   横田、江上、牧本、田中、柿原、森
    訪問看護ステーション  高原

9.12/26 南区在宅医療検討委員会
   出席者
    医師会   亀川、藤野、寺沢、宮崎
    薬剤師会  末田、井上、柴山、中島、若佐、入江、福田、坂口、東
    保健所   江上、牧本、田中、柿原
    訪問看護ステーション  高原
   (1) アセスメント表の検討
   (2) 調査患者の選定
   (3) 今後の調査の進め方について

10.H9.1/7 南区在宅医療検討委員会
   出席者
    医師会   亀川、藤野
    薬剤師会  末田、井上、柴山、中島、岩佐、入江、福田、坂口、東、熊沢
    保健所   江上、牧本、田中、森
    訪問看護ステーション  高原
   (1) 調査患者の選定
   (2) アセスメント表の修正
   (3) 今後の調査の進め方について

11.H9.1/13 日薬
   出席者 来田、井上

12.H9.2/7
   出席者 末田、井上 柴山、中島、岩佐、入江、福田、坂口、東、熊沢
       (広報:伊東、上村)
   (1) 調査患者のデーターの集計
   (2) アセスメント表の見直し
   (3) 今後の調査の進め方について

13.H9.2/10 南区在宅医療検討委員会
   出席者
    医師会  亀川、藤野
    薬剤師会 末田、井上、柴山、中島、岩佐、入江、福田、坂口、東、熊沢
         (広報:伊東、上村)
    保健所  江上、牧本、田中、森
    訪問看護ステーション  高原
   (1) 調査患者のデークーの説明
   (2) アセスメント表の修正
   (3) 今後の調査の進め方について

14.H9.3/10 日薬にて予定
   出席者 末田、井上

 

「在宅医療」への薬剤師の取り組み 南支部長 末田順子

医師会の先生方には、日頃何かとご指導頂き感謝致しております。

この度、日本薬剤師会では、老人保健事業推進の一環として「在宅医療における薬剤使用の実態調査及び事例集作成事業」を行う事になり地域の医療機関との連携が比較的うまくとれている7支部をモデル地区として指定し福岡市では南区薬剤師会が受ける事になりました。

在宅医療の進展に伴い、患者主治医との連帯のもと、薬局薬剤師が患家を訪問し在宅患者の薬剤管理や服薬指導などを行うケースが増加しています。しかしこの分野に参画していく上では、医師、歯科医師、保健所、訪問看護ステーションなどのご協力、患者やその家族との連携が大切になってきます。

現在「南区在宅医療委員会」の中にこのモデル事業委員会を入れていただいて、医師、歯科医師、保健所、訪問看護ステーションのご指導を受けながら勧めさせていただいております。

平成6年より始まった薬剤師による在宅患者訪問服薬指導も少しずつ患者さんにも、理解されつつあり、喜ばれ、感謝されるケースも増えて釆ました。

薬剤師が関与することにより、患者さんのコンプライアンスが良くなり、QOLの向上に役立つよう努力していかなければと思っています。

古来からの往診という医療制度に培われた医師の患家での医療活動に比べれば、ほんとに始まったばかりの手さぐりの仕事です。薬剤使用における問題点などあればそれを抽出し把握するとともに、その改善策を検討して、医師に情報を提供することにより、在宅医療における医薬品の適正化を進めていけたらと思っています。

薬剤師が患家を訪問したおりに、薬の保管状況、服薬状況、その他、質問などすると思いますので、よろしくご協力のほどお願い致します。チーム医療の一員としておくればせながら薬剤師も頑張っていきたいと思っています。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 心のケア 南支部 高宮部会 薬局ヘルシー高宮 坂口久美子

訪問薬剤師として「こころ」を運びたいと頑張っている坂口先生の声

同じ地域の開業医の先生から訪問薬剤師の依頼を受け、ただ今、4件の方の在宅医療を務めさせて頂いております。

私が、“訪問薬剤師”として心がけていることは、「心のケア」。この事が、一番大切だと思っています。

在宅の患者さんを訪問して一番、感じ、気づいた事は私たち薬剤師は患者さんのみならず、介護の方への気配りが大切である事。これを私達は忘れてはなりません。

つまり、介護の方の労をねぎらうことが患者さんの病床生活(在宅医療)を大きく左右すると言う事です。私は介護をされる方によく、こんな話しをします。

“患者さんは、介護の方の愛情を土台として安心して病気と闘えるのですから私たち薬剤師と一緒に助け合って患者さんを少しでも幸せにしてあげたいですね。”

そんな台詞がつい出てしまう背景には、介護の方は24時間付き添わなくてはならない現状があり、そのことを思うと心の部分で少しでも楽になれるよう私なりに励ましてしまうのです。このように、私は介護の方とのお話に充分時間を設けるようにしております。

今後、在宅介護されている介護者の労を少しでも軽く出来るよう、私たち薬剤師は国ぐるみで応援してくれていると言う認識を持って患者さんに接して行く事が肝要であると思います。

また、訪問指導の依頼を受け、開業医の先生方とコミュニケーションをとれる事は、今後の地域医療に貢献できるシステムにつながると思われます。このように、医療に携わる者同士が対等の立場でスタートできる体制に立てるのは在宅医療に取り組む皮切りがあればこそと思われます。

これからも訪問薬剤師として、開業医の先生と一人の患者さんを通してそれぞれの医療分野を生かし分担して支えあって行きたいと思います。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 大きな波がやってくる〜在宅医療モデル事業を取材して〜 広報委員 上村義徳

かってなかった大きな波が押し寄せようとしている。その波は日本中に渦巻き、全てを飲み込もうとしている。高齢化社会の資料を読み進んでそんな印象を持った。

在宅のモデル事業で今回南区が運ばれ、その取材ということで前もっていろいろな資料を探してみた。在宅医療に関してはなかなか資料がない。

「調剤と情報」の去年の11月号臨時増刊号に『患者さんに喜ばれる在宅訪問』の特集があった。それに詳しく全国の在宅医療の現状が紹介されていた。編集は去年の12月に明治生命ホールで講演された日本薬剤師会常務理事の中西敏夫先生である。軽快な語りかけるような講演は今も非常に印象に残っている。

体験談風に綴られた特集は現状を理解する上で分かりやすく、苦労などもそのまま伝わってきて良かった。例えば沼津市の薬局では売り上げの99%がOTC・化粧品・雑貨という中で在宅医療に取り組んでいった過程が詳細に綴られていた。「前例がありません。なんでもありで取り組みましょう」という励ましの言葉は、「こうしてならないのではないか」「ああしなければならない」などガチガチに考えていた私を幾分ほっとさせた。

恐らく薬剤師の先生方の中にはそんな方も多いのではないかと思う。患家を訪問したり、またチーム医療でドクター・看護婦さん・ヘルパーさん・患者の家族の方とのコミュニケーションの計り方など新しい事ばかりで苦手といってしまえば話も終ってしまう。

かってない高齢化社会を乗り切るためにはひとりの力では最早どうしようもないのではないだろうか。皆でいろいろなやり方で高齢者を支えていく、またその周りで苦しんでいる人たちを助け合っていく、そういった高邁な精神・哲学が必要なのではないだろうか。

現在はボランティアもかなりあり公民館活動や老人会などで活躍されているけれども、そういった活動が人生に密着して、人生の半分以上を占める時代がすぐそこまで来ている。

1993年の「日経メディカル」にも在宅医療の特集があって、医師、特に開業医の先生方の在宅医療に対する戸惑いが書かれてあった。

酸素療法、自己導尿、栄養療法、ガン治療、痺痛管理についてのハウツーをまとめた特集である。往診で慣れておられる医師にしてしかりである。薬剤師の戸惑いは言うに及ぼすであろうが、いくつもの高いハードルを超えていかなければならないだろう。

更に先程の「調剤と情報」の中に、静岡市の例で「医師から指導の指示があった時点で必ず往診に同行し、医師の口から居宅における薬剤管理指導につき説明してもらうようにしていた」そして「往診に同行したことにより、薬剤師も医療チームの一員として認められた」とある。

しかし初めて薬剤師が患者宅へ訪問したときは、何をしに来るのだろうかと思われたそうだ。そういった地道な活動から在宅医療は作られていくのかも知れない。道のないところを手探りしながら、手を取り合って大きな波に立ち向かっていかなければならない。

2月7日7時より症例を持ち寄ってスエタ薬局の店内で準備会が開かれた。日薬からモルヒネ使用、L−ドーパ使用、インターフェロン使用の患者、パーキンソン、糖尿病の患者の10症例を集めてくれと指示が来ているとのことである。現在症例は20症例集まっている。

前日、前々日の東京での会合から帰ってきたばかりの今日の準備会は大変なスケジュールであるが、末田先生は疲労を顔にも出さず会は始まった。調剤室の前の白い相談机のこちら側にテーブルを二つ並べて12名が集まった。

ざっくばらんで、なごやかな会合だった。7枚にも及ぶ「在宅患者の服薬実態調査表」の他に「在宅患者の環境衛生チェック表」「在宅患者訪問薬剤管理指導チェックリスト表」「登録カード(基礎調査表)」「高齢者ケアサービス体制整備支援事業調査票」「薬剤師としてチェックすべきアセスメント」など一人の在宅患者に対して多くの情報を盛り込んでいかなければならない。

これらは博多区のモデル事業のものを参考にして南区三師会で話し合い、独自のものに作り直したものであるが先生方の苦労も大変なものがある。すぐにテーブルの上は資料の山となった。引っ切りなしに複写機が回り持ち寄ったデーターとごっちゃにならないようにするのが大変だった。

昨年11月に事業を引き受けてから猛スピードでここまで来ている。井上先生も資料が多すぎてまとめてはいるが捜すのに苦労されていた。広報委員会を思わせるような光景であった。

今回モデル地区に選ばれた静岡県沼津市、奈良県奈良市、岡山県岡山市、大分県別府市、長崎県長崎市の先生方も同じようにこのような作業を行ない苦労されているのではないかと思った。試行錯誤しながら道が造られている。チーム医療の一員であることをひしひしと感じた。

2月10日に南保健所で医師、薬剤師、保健所、訪問看護ステーションの方々が集まり、南区在宅医療検討委員会が開かれる。その時の資料は、単にデークーを集計するだけでは意味がないのではないかなどの意見が出て、発表する順番や段取りの打ち合わせもあった。

「調査患者のデークーの説明」は今回が初めてで、これだけの資料を集めておれば不備はないと思われるが、3番目の議題として「今後の調査の進め方について」と問いかけをしている。

同じく東京に行かれ、7日にも出席の入江常務も、今後は薬剤師も老人ホームなどにボランティアでどんどん行かなければならない。そして薬剤師の必要性、薬剤師だから出来ることをアピールする、そのことが本当の意味でチーム医療の一員として皆さんに認めていただけることになると話されせいた。

在宅医療の難しさは個々の人間性に近づいていかなければならないところにあるのではないか。

医師、看護婦、薬剤師、ホームヘルパーさんにネコ4匹で部屋がいっぱいになって喜んだおばあちゃんの話、寝たきりで動けないおばあちゃんの枕元の「看護スケジェール表」を見ると、5時から6時までの1時間に全く一人きりになる空白の時間帯があったなど聞くと、患者さんの人間性に近づき、細かく考えていかなければならないと感じさせられた。

今回症例として集められたパーキンソン病の三大症状として無動、筋固縮、振戦があるが、ヘルパーさんのマッサージが非常に良いなどはチーム医療の最たるものであろうし、褥瘡は写真では見たことがあるが、それが30分くらいで出来てしまうというようなことは、実際に当たったものにしか分からない。

油断するとすぐに褥瘡が出来てしまう。治すのに1週間2週間はかかってしまう。それらを考え一人の患者を支えていくことは並大抵の苦労ではない。そこにチーム医療の大切さ、難しさ、厳しさがあると感じられた。

また看護婦さんの中には患者さんの1年後はこうあってほしいと前向きのビジョンを持っておられる方もいるなど新鮮な活発な情報交換を行なっている先生のお話もあった。薬剤師としてはやはり「お薬が理解できて良かった」と言っていただくのがまず大事であろう。そして薬剤師に対する信頼感を得ることが大事だろう。そうして看護者の疲労はものすごいものがあることを忘れてはならないだろう。そんなことを考えさせられた1日だった。

最後に服薬カレンダーについても、使いかってなど意見が出された。モデル患者については無料で提供しているなどの現状もあり、入江常務のはからいで現在の患者数20名分を無料提供することになった。

この日早良区でも「在宅処方箋研修会」が開かれた。さらにこの日、早良区原南部会に調剤薬局としてフレッシュさんが入会の手続きを行なった。大きな波が確実にやってきていることを感じた。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 南区モデル事業を取材〜在宅医療検討委員会に参加〜 広報委員 伊東美穂

在宅医療検討委員会が南保健所で2月10日(月)夜おこなわれました。参加メンバーは医師会・保健所・訪問看護ステーション・薬剤師会です。

南区のモデル事業にかかわる方々は忙しい毎日の業務のあいだに患者宅を訪問して薬剤管理や服薬指導などに加えて「使用薬剤の実態調査」をしてこられました。

2月7日(金)には、スエタ薬局に各々データーを持ち寄り話し合いが持たれ、今日のこの会の為に準備 をされました。この委員会が薬剤師会の今回のモデル事業に協力していただいており第3回目になります。

最初に末田先生よりモデル事業の今までの経過報告があり続いて井上先生より2月7日に集計検討した「薬剤実態調査」についてデーターの説明がありました。その中で薬剤師が訪問するようになって薬の事が良く理解できるようになったとの患者さんからの嬉しい声がありました。

現在集まっている13症例の中から特にパーキンソン病・糖尿病について薬剤チェックシートを使って、中島先生と毛利先生から症例報告がありました。中島先生は患者さんとの係わりが長く深いようで豊富なデータをSOAP(詳細はP.43にあります)の手法を駆使しての報告でした。

パーキンソン病に狭心症があり、介護される方はいつ狭心症の発作が起るか気が気ではなく夜の睡眠も充分にとれず、非常に疲れておられたそうです。薬の変更により頻繁に起っていた発作がぴたりと治まりショートステイが可能になり、介護者の負担が軽減されたという話をされました。

毛利先生は在宅医療に係わられるのは今回が最初。訪問回数が5回とまだ始まったばかりという段階での報告です。患者さんの薬が家族全員で使う薬箱に入っていて服薬のたびに薬を探し出しておられたようで飲み忘れの薬があったそうです。早速1包ずつ日付を書いて整理するときちんと服薬できるようになった と話されました。この事は主治医にフィードバックされたとの事です。

両先生の発表はこれから在宅医療に参加したいと思っている私には重みのある報告でした。

この後、医師・保健婦の方々から指摘や質問があり活発な話し合いがなされました。その中から私たちが在宅医療に取り組む上で、原点と思われる指摘を一つ紹介します。

それは医師からのものです。病歴と薬の関係を突っ込んで欲しい。たとえば「オイグルコンが出ているから糖尿病」というのではなく、糖尿病はどの程度なのか現状はどうなっているのか薬剤師として検討してほしいと言う事でした。

チームの一員として在宅医療に参加していく大変さと責任を感じた充実した会でした。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 薬剤師のための介護保険の基礎知識 (社)日本薬剤師会常務理事 中西敏夫

新しい社会保障制度である公的介護保険制度の導入が平成12年(2000年)に予想されている。しかし、薬剤師にとっての福祉問題は、全く無関心であったといっても過言ではない。特に介護保険制度は全ての関係者がそうであるように薬剤師にとっても未知の世界である。

介護は、医師・歯科医師・看護婦は言うに及ばず、保健婦・社会福祉士等はもちろんのこと、多くのボランティアと共同して高齢者を介護・支援する「地域ぐるみの介護作戦」である。

マンパワーとしての参画が予定されている薬剤師として他職種の方々とチームを形成し、カンファレンスに参加し、ケアプランを作成し実行していくことは容易なことではない。とりあえずの入り口は、介護保険を中心とした制度を知ること、他の医療・福祉関係者と連携を図れるための専門用語を知ることから始 めなければならないと考えている。

今回は、介護保険に係わる用語を知り理解していくことから介護問題への取り組みの入り口とした。

■介護保険の基礎知識

○措置制度(福祉制度)

措置制度とは、福祉サービスの実施について利用者とサービス提供者との私的契約によるのではなく、行政庁が要件に合致すると判断するものを対象に必要なサービスの提供を決定する行政処分。また、地方公共団体は、自らまたは社会福祉法人等(特別養護老人ホーム等)に委託して措置を行い、その費用は公費により負担されるもの、とされ戦災孤児及び低所得者等の救済対策として位置づけられている。即ち、法的には生活保護法等に源を発すると解釈されている。そのため、福祉制度を利用する場合に心理的な負担が大きく、福祉施設への入所が適切な場合でも医療施設への入院を選択する場合が多く社会的入院が増加した要因となっている。

○介護とケア

介護は疾病や障害などで日常生活に支障のある場合、介助や身の回りの世話(炊事、買い物、洗濯、掃除等を含む)をすること。(社会福祉辞典 誠信書房)

ケアは狭い非医療的介助・援助サービスのみならず保険医療サービスとも係わって総合的な意味を有する。(立正大学教授 佐藤進)


■介護保険における用語解説と薬剤師の係わり

○介護保険に係わる職種/業種

保健・医療・福祉の専門職が担当すると考えられている。具体的には医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、看護婦、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士の9職種(資格者)とされているが他に栄養士、MSW(Medical Social case Worker)等も含まれるものとみられる。

また、業種として(財)シルバーマーク振興会の指定が必要との経緯があったが現在の指定要件には入っておらず、民間事業者・第三セクター等、農協、生協等の住民参加型非営利組織が認められる。今後の情勢により協同組合、株式会社等の事業者も認められる方向である。

○ケアマネジメント

加齢に伴う障害や疾病による二次障害等によって自力で日常生活を送ることが困難な高齢者に対して、その意志を尊重しながら多様な生活を支えるために様々なサービス提供機関と調整を行い、適切な介護サービスの利用に関する計画(ケアプラン)を作成し、総合的・一体的なサービスの確保を図る一連の活動。

要約すれば、(1)高齢者や家族の相談に応じ専門的立場から助言すること、(2)高齢者のニーズを把握しケアプランを作成すること、(3)ケアプランを踏まえ実際のサービスに結びつけること、(4)適切なサービスを継続的に確保することとされ介護保険の基本的な概念と考える必要がある。

○要支援者・要介護者

要介護者とは、寝たきり・痴呆等の日常的に介護を必要としている者。要支援者とは、虚弱老人(Frail Elderly)を指し、心身の障害または疾病等により移動、入浴等の基本的な日常生活動作(ADL=後述)について、必ずしも介助を要する状態ではないが1人で行うには困難が伴いまたは相当時間がかかる者。

介護保険導入時には要支援者・要介護者で220万人を超えるものと予想されている。

○要介護認定審査会(ケアマネジメント機関)

認定審査会は公的な機関を優先するものと考えられており、市町村(および都道府県)の認めた施設(在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム等)および諸会議(市町村・高齢者調整チーム、福祉センター、保健所、福祉事務所、社会福祉協議会等=市町村高齢福祉課が所管)により設置されるものと考えられる。介護保険導入時には全国で約2000ヶ所の設置が計画されている。

また、審査会を構成する者として上記専門職のうち学識経験があり研修を受けた者を都道府県(または市町村)が任命することになるものと予想され、1審査会当たり約5名の委員で構成されると考えられる。

○介護認定調査員

要介護者等の居宅に赴いて要介護のための調査を行う者。保健・医療・福祉の専門職の中から一定の研修を受け都道府県(または市町村)が認定する。1介護認定審査会に約5名が必要と判断されている。なお、調査員は認定審査会委員を兼任することは出来ないことになっている。

○要介護認定(介護認定アセスメント)

介護保険における給付を受けるかどうかは要介護者等又は家族等の選択によることとなっている(申請主義)。また、サービスを受けたのちにおいても保険申請が許される。

申請書は認定審査会が受理し、審査会から調査員が要介護者の居宅に派達され一定のフォーマット(様式=アセスメント表)による調査を行う。このことをアセスメント(評価あるいはニーズの把握)といい、アセスメント結果と医師の意見書とを合わせて審査会が検討を行い介護保険給付の可否および認定「量=料」の判断を下すことになる。

現段階では、要支援者から重度の要介護者までの6分類とされ、個々のケースにより在宅(約6〜29万円/月)か施設入所(約29〜43万円/月)かに分かれるがあくまでも在宅優先とされる。

認定業務は審査会個々の、あるいは市町村個々のばらつきが予想されるため、また、客観的な判断が必要なため国の定めたアセスメント表を提示すること、さらには、膨大な数の診査が要求されるためコンピュータに任されることが多くなるものと考えられている。

なお、認定後要介護者等の状況に応じて再度認定審査会により検討することになっている。

○ケアプラン作成権関及びケアマネジャー

ケアプラン(ケアのための計画)作成機関は、要介護者の今後のケア方針を具体的に計画する機関であり極めて重要な機関である。ここではケアプラン作成のための具体的なアセスメントにより計画が立てられる。医薬品を使用しているのかどうかも判断できることになり、福祉用具の必要性も判断可能である。

即ち、医薬品により要介護度が悪くなっていないかを検討することにより要介護者の状態が改善可能かどうか、更に、どのような福祉用具を必要としているか等を検討する。

この構成員は上記審査会と同様の専門職集団である。また、構成員には必ず一定の研修を受け、高齢者や家族の相談に応じ、ケアプラン作成におけるとりまとめ役を果たす担当者(ケアマネジャー)が1人必要である。

ケアマネジャーは、保健・医療・福祉の専門家であると同時に介護に係わる重要な役割を担うため薬剤師を含めた上記職種から一定の研修を受けた者が有資格者として認定される。あたらしい「資格制度」の導入といえる。

尚、地域におけるマネジャーを養成するための指導者研修会(中央研修会)が平成9年から順次開始される予定である。

ケアプラン(介護のための計画)を必要とするかどうかは要介護者又は家族の選択にまかされる、が結果として、220万人を超える要介護者のケアプランは220万通り必要であり、ケアプラン作成機関は「のべ」220万機関必要になる。市町村独自の機関のみでの対応は事実上不可能であり、多くは民間のケアプラン作成機関に委ねることになると予想される。

すべてに検討を尽くしたケアプランに従ってケアチーム(実際にケアを行う訪問看護婦、保健婦、薬剤師等及び事業者)に計画を示し実行に移される。

○ ケアメニュー

現在、想定されているケアメニューは以下に示す在宅介護12メニュー、施設介護3メニューである。

  <在宅に関する介護メニュー>

   (ア)ホームヘルプサービス
   (イ)デイサービス
   (ウ)リハビリテーションサービス
   (エ)ショートステイ
   (オ)訪問看護サービス
   (力)福祉用具サービス
   (キ)痴呆性老人向けグループホーム
   (ク)住宅改修サービス
   (ケ)訪問入浴サービス
   (コ)医学的管理等サービス
   (サ)有料老人ホーム等における介護サービス
   (シ)ケアマネジメントサービス

  <施設に関する介護メニュー>

    特別養護老人ホーム・老人保健施設への入所、
    療養型病床群等の介護体制の伴った施設(病院、診療所を含む)への入院

上記「在宅メニュー」のうち施設関連では(イ)デイサービス及び(エ)ショートステイ(短期滞在型)であるが、薬局薬剤師の紹介業務として注意しなければならないのはショートステイである。同じショートステイでも医療施設(医療重視型)である療養型病床群等と福祉施設(介護重視型)である特別養護老人ホーム等とでは介護に係わる人員配直が異なり配慮が必要であろう。

「在宅」において薬剤師の係わりは(力)、(コ)、(シ)に限られる。(シ)ケアマネジメントサービスについては上記の通りである。

(力)福祉用具サービスについては多くの問題点がある。その問題点は介護保険での用具サービスは貸与(レンタル)に重点がおかれていることである。ベッド等の機器については(財)シルバーサービス振興会の認定業者制度は「規制緩和」問題で問題外とされつつあるとはいえ、何らかの形で温存されるであろうし、展示可能な福祉用具については福祉施設(在宅介護支援センター等)での展示が義務づけられており販売されていると考えても不思議ではない。

平成8年9月19日の「介護保険法要綱案に係わる修正事項の概要」によれば「民間活力の積極的活用、規制緩和の推進等」があげられ「保険給付と保健対象外サービスの組み合わせ(=「混合介護」)が提言されている。これは上記メニューの他に従来の福祉事業の対象となっているもの(紙おむつ給付、配食等)とを同時に給付することが許されるということであり介護メニューが拡大するという意味を持つが、同時に競争の激化とサービスの向上が予想される。

上述したように(コ)の「医学的管理等サービス」こそが薬剤師としての職能を発揮する全てである。すべての薬剤師が在宅医療をきっかけとして経験してきたように居宅での医薬品管理から始まった薬剤師業務の実践現場 といえる。

「施設メニュー」では殆ど薬剤師が配置されていないと考える必要がある。そのため多くの薬剤師がボランティアとして薬剤の管理にあたっている事例が見られ高い評価を得ていることを参考としたい。

尚、現在でも福祉施設ではケアプランの作成が義務づけられている。

○ケアチーム

ケアプラン作成機関の要請を受けて実際に要介護者の支援を行う専門家の集団をいう。前述の通り薬剤師も含まれることになっている。

表題の通りチームであり、保健・医療・福祉の専門職としてカンファレンスを通じてケアを提供する。ケアの経過に応じて改善が見られれば時期を見て介護度の変更を行うべく手続きをとることになる。

○社会福祉士

専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障があるものの福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業とする者。(社会福祉士及び介護福祉士法)

■介護問題でよく使用される用語とその解説

○ADLとIADL

ADL(A c t i v i t i e s o f Daily Living)は起居動作、手洗い、食事、入浴、整容、更衣等の日常生活動作を言い、IADL(Instrumental ADL)は薬の管理、旅行、社会活動、電話、家計、買い物などの手動的日常生活能力を言う。

ともに精神機能の評価及び社会活動の評価として表現する。介護保険は介護することによりADLやIADLを改善し、QOL(Quality of Life)を高めることを目的とする。

特に高齢者の場合、老年医学的総合機能評価(CGA:Comprehensive Geriatric Assessment)を使用することも多い。

○MDS−HCとCAPS/MDSとRAPs

ともにアメリカで研究され(日本では池上直己 慶応大学医学部教授が参加されている)使用されている介護に係わる用語であり、在宅ケアにおける要介護認定とケアプラン作成の指標として考案された手法である。

わが国においてはMDS−HC(Minumum Data Set−Home)は、介護認定に使用される高齢者アセスメント表、CAPs(Client Assessment Protocols)は、高齢者の有する問題領域表を確定し在宅高齢者問題領域別検討指針としてケアプラン作成のモデル的要素をもつ。

即ち、MDS−HC/CAPsは介護保険での一連の流れといえる。例えばCAPsではケアプラン作成アセスメントにより「転倒」という問題領域があったとする。内的要因では身体的欠陥等があり外的要因としては医薬品(降圧剤等)や環境(滑り易い廊下等)等による影響により転倒が頻発するとする。

内的要因の改善には疾患を治療する、装具を配慮する等の方法があり、外的要因の改善方法としては処方を変更する、手すりをつける、絨毯を敷く等の対策手段が示されている。薬剤師にとって極めて興味深い内容となっている。

なお、施設ケアにおけるものとしては、MDS/RAPs(Resident Assessment Protocols)というMDS−HC/CAPs同様の指標となるものがある。

○トリガー(Trriger)

引き金、きっかけと訳されており問題領域(問題行動)に因るケアプラン作成のもととなるものを言う。例えば、上記「転倒」の事例では「めまい、立ちくらみ等の原因となる向精神薬の服用があった。不安定な歩行がみられた」ことなどをいう。

○ バリアフリー(BarrierFree)

障害者や高齢者の生活や活動に不便な障害(廊下や道路の段差等)を取り除くことを言う。転倒では、部屋に乱雑におかれている家具等を整理することも含まれる。

○ ベッドバウンド

ベッドに縛り付ける(bound)ことから「寝たきり」を意味する。

○ソーシャルワーカーとケアワーカー

ソーシャルワーカーは医療ソーシャルワーカー(MSW)、社会福祉士、生活指導員等をさし、ケアワーカーは介護福祉士、ホームヘルパーをさす。介護保険では介護認定調査員を始め重要な役割をもつ。

○グループホーム

小集団での討論・活動を通して要介護者の社会への適応を支援・助言すること。ボランティアとして家屋を解放し、ある種のデイサービス等を行う活動が広がっている。介護保険ではこれらのミニデイサービスもメニューに入れる方向で検討されている。

○ インフォーマル

公的でないもののことを言う。介護保険では民間活力の導入が大きな位置を占めておりケアプラン作成機関も民間の機関が指定される方向にある。また、ケアプラン作成の際においてもケアメニューにない(インフォーマルな)ものも組み込むことが許される。

○ ノーマライゼーション

年令及び障害の有無や程度等に関係なく、全ての人が当たり前の生活を送るため、ともに暮らして行けるような社会を作ること。

○福祉バンク

在宅の家事援助と介護サービスや施設サービス等で1時間1点の点数制及び時間貯蓄制度によるボランティア活動の1種類。

■キーワードは「市町村」・「民間活力」・「選択」、そして「支部薬剤師会」である

1)国及び都道府県の影響力が強化されたとはいえ保険者であり実施母体はあくまでも市町村である。国・都道府県に頼らざるを得なかった理由としては、資金不足の危惧、福祉施設・マンパワー等の充実度のばらつき(いわば市町村の努力不足)等のインフラの未整備が原因である。

そのため要介護認定も出来ない、ケアプランも作成不可能な市町村が存在することが危惧され都道府県の影響力が強くなっている。しかし、あくまでも主体は市町村である。

支部薬剤師会が対応すべきは市町村の高齢福祉課(別称あり)である。これらとどのような係わりを持ってきたか、係わりがないとすればこれから積極的に係わるかが問われる。薬局・薬剤師にとっての生命線は、まさに支部薬剤師会が握っている。

2)21世紀には高齢者が人口の25%を占め、その多くが要介護者であることを考えれば行政機関が全てを行うには無理がある。また、規制緩和の時代であり民間事業者を活用し競争原理を働かせて合理的な運営を考える方が得策でありサービスの向上も見込むことが出来る。

当然のことながらケアプラン作成機関もケアプラン実施の事業者も民間が大きな位置を占めることになる。心配事は、ケアプラン作成機関による民間事業者への利益誘導である。

3)介護保険利用の全てにおいて要介護者又は家族の選択に委ねられている。薬剤師に明るさが見えるのかどうかも要介護者次第といえる。

要介護者等に薬剤師が見えていてケアプラン作成の場で「ぜひあの薬剤師に託したい」と言っていただけるのかがすべてを決定する。在宅ケア12、施設ケア3のケアメニューからも薬剤師の重要性は見えてこない。

官営のケアプラン作成機関はともかく、殆どを占めるであろう民営のケアプラン作成機関に薬剤師が参画できるのか、ケアマネージャーとして薬剤師が主導できるのか、薬剤師の将来を占う上での重要な視点である。

厚生省高齢者介護対策本部では、平成9年1月から(1)都道府県に1ヶ所の地域を指定して認定審査会を設置し「介護保険認定業務」のモデル事業を実施すること、(2)各都道府県から薬剤師を含む10人程度を厚生省に集めてケアマネジャー養成のための講師役の研修会を開催する(3月から3日間程度)こととしている。

更に、4月〜各都道府県の福祉圏域で「モデル事業」を拡大することも検討している。平成9年以降は、その地域の薬剤師にとって将来を占う極めて重要な時期と言える。

結論として言えば、将来、紙おむつ等の介護用品や居宅を整備するための医薬品等を提供することが可能なのか、要介護者に薬剤師として医薬品の管理業務が可能なのか、である。それは、介護保険の中で薬剤師が地域住民の1人として認識され、介護支援者・介護事業者として存在するのかどうかである。

薬剤師が、ケアプラン作成機関からメンバーが限られた中での貴重な一員として要請されるのか、ケアマネージャーとしてケアプラン作成機関のリーダーとなるのか、地域薬剤師会が組織力を高めて多くの職種を集めたケアプラン作成機関となる得るのか、さらに、要介護者等に渡された限られた介護保険給付の貴重な財源から薬剤師への支払が許されるのか。

すべての財源は、上記した要介護度による認定給付金の中からケアプラン作成費用等すべの給付がなされる訳である。薬剤師会支部活動の成果を期待したい。平成12年はもうすぐである。

 

この原稿は現時点のものです。今後の国会署議等により多少の変更が予想されます。その場合にはお許し下さい。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング>

昨年11月30日(土)スカラエスパシオで「大学・行政・薬剤師の合同研究会」が行われました。その中で藤野哲朗先生がPOSについて1枚の処方箋を例にSOAPシートを使って講演されました。県薬会報1月号に要旨が掲載されましたが、ここでは全文を載せました。

医師からの情報提供が行われるようになり又、在宅医療への参加により情報が質量ともに増えています。薬剤師として介入しなければならない問題を把握するのに、SOAPは有効な手段の1つではないでしょうか。

 

SOAPについて 東支部長 藤野哲朗

ファーマシューテイカルケアーとは、患者のQOLを改善することを目的として、明確な結果を実現するために責任ある薬物治療を提供することである。

                           −Charles D.Hepler−

QOLとは、Quality of Lifeの略で、生活の質、人生の質、生命の質などと訳されているが、QOLの改善とは、患者が薬物治療の結果、身体的、精神的、社会的、日常活動的などの諸側面でより健康になったという満足度を実感として持つことです。

SOAPとは、POS(Problem Oriented System)というシステムを具体的に展開するための手法といって良いと思います。

POS とは、ProblemOrientedSystemの頭文字をとった略称で、「問題志向システム」と訳されております。これは、従来ぱくぜんと進められていた医療計画を分析して、合理的にわかりやすく整理したものです。

POSを創案しためはLawrence L Weed氏です。Weed氏はコロンビア大学を卒業した生化学と微生物学の基礎医学者でしたが、診療録に興味をもち、基礎医学の記録と臨床での記録を比較してみたところ、基礎医学の記録は1つ1つの問題を細かく分析し、克明に記録されていましたが、臨床での診療録は“不規則であり、組織だっていず、しかも印象を書き散らしたものにすぎなかった”ものでした。

そこで氏は“診療録を基礎医学の記録のように、もっと科学的に整備したものにしなくては”と考えたのです。

その後、Weed氏はメイン州の小さな地域病院の医学教育の部長となり、そこのレジデント(研修医)に、かねてから考えていたPOSのやりかたを提案したのです。

これがPOSの誕生ですが、世に発表されたのは1964年で“Medical Records,Patient Care,and  Medical Education” という論文で初めて紹介されました。

SOAPのSはSubjective(主観的情報)、OはObjective(客観的情報)、AはANALISIS&Assessment(分析と評価)、PはPlan(追痘証画)の頭文字をとったものです。

即ち、患者から得られた主観的情報と処方せん、添付文書などの客観的情報に分けて患者情報を収集し、それらの情報を分析し、評価し、問題を抽出します。抽出した問題のうちから薬剤師の関与すべき問題を運び、その問題の解決レベル(到達点)も検討し、薬剤師としての治療計画を立て、実行に移し、その結果をモニタリングします。

このようにSOAPとは、POSという医療行動システムを具体的に展開するための手法であり、プロセスであるといえます。また、SOAP方式で書き上げたSOAPシートは、問題志向型医療記録(POMR−Problem Oriented Medical Record)そのものであります。

薬局薬剤師の行うSOAPについて

SOAPとは、患者の薬物治療に関する様々な問題について、収集した情報や薬剤師の評価やプランを踏まえ合理的にアプローチする方法です。

その構成は、次のように分類されており、その頭文字からSOAP(ソープ)の名称で呼ばれております。

■情報の分類(Subjective,Objective)

Subjective:主観的情報(患者が言っていること:頭痛がする、また、薬剤師のチェックに患者が答えたことなど)

Objective:客観的情報(処方せん、添付文書など)

患者の言っていることは、薬剤師の質問に対する解答を含め、すべて主観的情報として扱い、客観的情報は、処方と添付文書、インタビューフォーム、医薬情報室からの情報、照会に対する医師からの回答とします。

◎なぜ情報を主観的(S)と客観的(O)に分けるのか

主観的情報(S)は患者の訴えなど、患者から得られる情報で、極めて個人差がありますが、患者の状況(病状)を知る上では重要なものであります。また、客観的情報(O)は科学的で普遍性に富んでいます。このような情報の性格の違いを良く知った上で両者を片寄らず収集することが、適切な問題抽出が出来、良い解決策につながるという点でこの「情報の分類」はSOAPを進める上で大変に重要なことであります。

■問題の抽出と分析(Analisis)&評価(Assessment)

情報(S,O)をもとに、まず、問題点をいくつか抽出します。それらの問題を分析し、評価し、薬剤師の介入する問題、介入しない問題に分けます。

■治療計画(Plan)

薬剤師の介入すべき問題に対し、分析、評価(A)の結果を勘案し、到達目標を決定し、計画を立案、実行し、モニタリングを行います。


実例紹介

 ワークショップの進め方について説明をいたしてまいりましたが、より十分な理解をいただくためには、実例を紹介するのが一番と考えます。ここでは、胃・十二指腸潰瘍の例を示します。

処方せん:(3月28日付)
タガメット   400mg 2錠
メイラックス  1mg  2錠
ガスロンN   2mg  2錠
2×朝、夕食後14日分

患者への質問から、次のような情報が得られた。

(1) 49才、男性、会社員(出版会社)、身長172cm、体重73kg、既往歴6才時に麻疹にかかった以外特になし、アレルギー(−)、副作用歴特になし、他科受診なし、併用薬は以前は胃痛の時市販の胃薬を飲んでいたが、入院後OTC薬は飲んでいない。アルコール(−)、煙草1日30本、肉が好き、車の運転は休日のドライブ程度である。家族は妻と子供2人(長男大学生、長女高校生)

(2) 患者は10年ほど前から、空腹時に胃部にシクシクするような鈍痛を感じることがあったが、OTC薬などで押えてきた。ところが、本年1月初旬より、胃痛(心音部)を食後に自覚するようになった。1月22日に胃内視鏡検査を実施したところ、胃と十二指腸に潰瘍があると言われた。特に十二指腸潰瘍は出血しているということであり、入院して治療に当たることになった。

 2月9日より3月13日まで入院し、退院直前の3月12日の内視鏡検査では、十二指腸潰瘍は周囲の組織とほぼ同じ色調になっているが、胃部の潰瘍は、まだ、赤みが残っていると言われた。心肩部痛などの自覚症状はほとんどなくなった。入院時に服用していた薬は、現在飲んでいるものと違っていた。美名、処方内容などは知らされていない。退院時に現在の処方の外来処方せんをもらった。この処方になってから、今までは、吐き気、眠気などの副作用を感じることはない。

(3) 患者は、ある出版会社に勤務しているが、仕事柄、残業が多く、帰宅時問が真夜中になることも珍しくない。このような時の夕食は、出前を取ったり、家に帰って食べたりして極めて不規則である。薬は食事の後に飲むものと思っている。

(4) 仕事が予定通り進まない時などイライラすることも多い。


◎患者の薬物治療計画を進めるためのデータ

(*1)喫煙量と胃潰瘍再発率(非禁煙群120例について)−並木らによる−


(*2)メイラックスはタガメットとの併用により、本剤の血中濃度が高められることがあるので、併用する場合には慎重に投与する必要がある。

(*3)各々の作用持続時間を見ると、シメチジン(タガメット)200mgで6h以上、ラニチジン(ザンタック)150mgで10h以上、ファモチジン(ガスター)20mgで12h以上、ロキサチジン(アルタット)150mgで20h以上である。

(*4)タガメットとガスロンNの副作用、相互作用の主なもの

タガメットの副作用:
 血液−まれに再生不良性貧血、無顆粒球症、血小板減少
 肝臓−まれに黄垣、ときにGOT、GPTの上昇
 腎臓−まれに間質性腎炎、また、腎不全の患者に一過性の血清クレアチニンの上昇
 内分泌−ときに女性化乳房、まれに乳汁分泌、帯下増加が現れる
 過敏症−まれにアナフイラキシー様症状、ときに発疹等が現れる

※ 相互作用−次の医薬品の代謝、排泄を遅延させ、血中濃度を高めることが報告されている
クマリン系抗凝固剤(ワルファリン等)、ジアゼハム、クロルジアゼポキシド、プロプラノロール、テオフイリン、フェこトイン、リドカイン、こフェジピン、イミプラミン、プロカインアミド

ガスロンNの副作用:
 消化器−ときに便秘、下痢、吐気、嘔吐
 肝臓−GOT、GPT、AL−P、LDHが軽度上昇する
 皮膚−ときに発疹が現れることがある
 その他−ときに胸部圧迫感が現れることがある

 

城南支部だよりにSOAPの事例があります。御参照下さい。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 「公的介護保険制度等に関する研修会」 博多支部長 木原三千代

日 時 平成9年2月5日(水)午前11〜6日(木)午後4時30分
場 所 お茶の水スクエアC館4回・C会議室

【第1日】

1.会長挨拶
    日本薬剤師会会長 吉矢佑

2.公的介護保険制度の仕組みと薬剤師の役割
    厚生省老人保健福祉局 老人保健課課長補佐 北僚泰輔

3.介護保険への日本薬剤師会の取り組み
    日本薬剤師会常務理事 中西敏夫

4.老化と老年病、特に老年病症候群について
    東京都多摩老人医療センター院長 上田慶二

5.訪問看護ステーション機能と地域連携
    日本看護協会常任理事 山崎摩耶

8.介護保険が提起する医療の新しい課題
    慶應義塾大学医学部教授 池上直己

【第2日】

7.高齢者介護への私たちの取り組み
 1)来るべき高齢社会へ向けての高齢者介護に対する取り組み
    岩手県花巻薬剤師会理事 武長進一
 2)「沼津市高齢者サービス調整チームを通じた行動を中心に
    静岡県沼津薬剤師会会長 小島俊夫
 3)高齢者介護における関係者間の連携について
    福岡市博多区薬剤師会 会長 木原三千代

8.高齢者介護とケアマネジメント
  −社会福祉士の実践からその役割を考える−
    日本社会福祉会副会長 杉村和子

9.ケアマネジメントにおける薬剤師の役割
    霞ヶ関南病院院長 暫藤正身

10.高齢者医療・介護における薬剤師の役割
  −高齢者におけるADL(IADL)と薬の関係について−
    日本病院薬剤師会常務理事 相戸病院薬剤科長 藤上雅子

11.総括
    日本薬剤師会専務理事 渡辺徹


日本薬剤師会「公的介護保険制度等に関する研修会」について

正月、御用始めの日、薬局の前に1台のマイクロバスが止まった。何だろうと見ていると、ピシッとしたスーツ姿の男性5〜6人と女性が1人降りてこられた。先頭の男性に見覚えがあった。そう、博多保健所の押領司所長だ。保健所の予防課長以下、全課長が揃っての年始回りは、今年で2回目である。

さて、上記のように福岡市薬剤師会に講演依頼があった。与えられたテーマは、「医師会、保健所、福祉行政との連携について」。博多区の事例についてとのことであり、引き受けることになった。この研修会には県薬から、県薬理事で南区でモデル事業を実施されている支部長の末田先生が、そして市薬からは在宅担当の入江常務理事が参加される。

次のような講演要旨を送ったが、各資料については、福岡市医師会の(1)在宅医療マニュアル、(2)市薬ジャーナル、(3)西日本新聞の記事などを使って作成した。市薬の藤原会長が、常々「会報は、記録という意味でも大変重要な役目を持つ」とおっしゃっているが、今回ほどそれを痛感したことはない。博多区で取り組んできたこととなると、市薬ジャーナルを探すしかないのだ。平成7年と8年の会報をコピーし、切り貼りしてA4に作り替えるとかなり立派な資料になった。

読み返してみると、資料のほとんどに保健所との関わりが記録されている。公的介護保険の導入に際しては、保健・福祉を司る行政との連携が不可欠である。

齢者介護における関係者間の連携について

1.はじめに

 超高齢社会の到来に向け、新たに公的介護保険制度が導入されようとしている。この制度において、薬局・薬剤師は医師、保健婦、看護婦等とともに介護サービス提供者として組み込まれることになっている。薬 局・薬剤師が現在の活動から一歩踏み込んで、より積極的に高齢者介護システムに参加していくためには、ケアチームの一員として保健・医療・福祉関係者との連携、協力体制が不可欠である。

2.医師会との連携

 福岡市薬剤師会が初めて在宅ケアと出会ったのは、平成5年6月福岡市が開催した「在宅ケア・ホットライン開設1周年記念講演会」の案内であった。会場で偶然お目にかかった、医師会の副会長は「今日の薬剤師会は関係ないのでは?」とけげんそうな顔をされたが、当時、在宅ケアへの薬剤師の参加に対する社会の認識は、この言葉に表されていた。

 そこで早速、福岡市薬剤師会は組織的な参加を理事会決定し、医師会の担当理事を訪ねた。担当理事のアドバイスにより、行政(衛生局・民政局)、医師会、歯科医師会から講師をお招きしての講演会を開催する一方、会報誌「市葦ジャーナル」に特集を組むなど、会員や関係団体に対し薬剤師の参加を積極的にアピールした。

 そして平成6年4月、訪問薬剤管理指導料が調剤報酬に創設されるのを機に、「福岡市医師会方式=在宅医療後方支援システム」に保険薬局が組織化された。

3.行政(衛生・民生)との連携

【福岡市在宅ケア・ほっとライン協力薬局制度】
 福岡市と福岡市薬剤師会は、平成7年5月から介護を必要とする高齢者やその家族が気軽に相談できる場を提供する地域薬局として標記制度をスタートさせた。次のような協力を行っているが、これも高齢者介護にかかわる「かかりつけ薬局」の持つ重要な機能の1つである。

(1) 在宅ケアはっとラインへの情報の提供薬局で介護を必要とする高齢者の情報を得た場合に、本人または家族の了解を得たうえで、必要な情報を電話か、ケース紹介連絡票を使って連絡する。

(2) 保健・医療・福祉サービスについての広報ならびに啓発薬局に、在宅福祉サービスについてのパンフレットを備え、来局者に保健・医療・福祉についてのサービスを紹介する。

4.博多区薬剤師会の取り組み

(1) 薬剤師会長に委嘱される在宅ケア関連会議
  保健所で開催される委員会には平成6年度から参加できたが、区役所の福祉課に
  設置されている高齢者サービス調整会議の方は残念ながら1年遅れの参加である。
  H.6 博多保健所 在宅ケア支援推進会議
  H.7 博多区役所 高齢者サービス調整会議

(2) 博多区薬剤師会「在宅医療懇談会」の開催
  第1回目 H.6 
   保健所3名、医師会3名、歯科医師会3名
  第2回目 H.7 
   保健所4名、医師会6名、歯科医師会2名、訪問看護ステーション博多1名
  第3回目 H.8
   保健所4名、医師会6名、歯科医師会2名、
   訪問看護ステーション博多・おおはま・わかば各1名、在宅介護支援センター2名

(3) 博多区薬剤師会・総会へのご来賓案内
  区長(次長は福祉事務所長)、保健所長、社会福祉協議会長(兼衛生連合会長)、
  医師会長、歯科医師会長、訪尚看護ステーション管理者等

(4)博多区健康フェア・第2部「まつりはかた」への参加(民生局との連携)
  博多区役所が主催する「まつりはかた」の健康づくりコーナーへの協力、
  保健所、看護協会、歯科衛生士等と担当

(5)「在宅ケア関連研修会」の開催
  H.6 博多保健所で三師会主催の研修会
  H.7 薬剤師会で在宅ケア研修会(所長、課長、在宅ケア主査)
     在宅ケア・はっとラインについて
  H.8 薬剤師会で在宅ケア研修会(所長、課長、在宅ケア主査)
   (在宅介護支援センター、市薬)在宅ケア・ほっとライン協力薬局制度について

5.訪問看護ステーション博多とのカンファレンス

 H.7年10月

 福岡市には医師会立の訪問看護ステーションが各区7カ所にあり、医師会との連携はそのままステーションとの連携になっている。平成7年から毎月このカンファレンスに参加している。医師会長は公務が重ならない限り出席されており、訪問看護ステーションとのカンファレンスではあるが、医師会との協議も兼ねることになり、大変有意義な会議になっている。
 実際、現在担当している78才のパーキンソンの女性は、このカンファレンスで、薬剤師に訪問指導してほしいと要請があった患者である。

6.そして、博多区在宅ケア懇談会(事例検討会)へ

 H.8年10月 第1回目開催

 博多保健所の講堂を借りてはいるが、事務局は保健所と訪問看護ステーション博多が輪番制で担当し、次のようなメンバーが参加している。奇数月の第2月曜日6時30分から2時間程度、それぞれのセクションから事例を出し、毎回2例について事例検討している。

 会議の主催者なく、会議案内も送られてこない。もとより、交通費が支給されるはずもない。それでも、それぞれが仕事が終わって集まっているのだ。終了時に次回開催日と事例紹介を担当する人を決めるだけである。会議が終わると全員で机やイスをかたづけて終わる。事例検討もさることながら、終了後の看護婦さんや保健婦さん達との情報交換が、また非常に有意義でもある。

 この会議は、将来公的介護保険が導入された際の、ケアマネージメント機関ともいえる会議であろう。なぜなら、ケアマネージャーになる職種の人たちのほとんどが集まって、ケアプランを話し合っているのである。

  保健所(所長、課長、係長、主査、担当保健婦、理学療法士)
  在宅介護支援センター(看護婦、ソーシャルワーカー)
  医師会(会長、副会長、在宅医療担当理事、ステーション担当理事)
  歯科医師会(会長、担当理事)
  薬剤師会(会長、在宅担当理事、社保担当理事等)
  医師会立訪問看護ステーション博多 管理者他5名
  医療法人立訪問看護ステーションおおはま 所長他2名
  医療法人立訪問看護ステーションわかば 所長他2名
    等、出席者は変動あり

7.おわりに

 平成6年に第1回博多区薬剤師会在宅医療懇談会を開催して、平成8年に博多区在宅ケア懇談会(事例検討会)が開催されるまでにおよそ2年。「在宅医療薬剤供給推進モデル事業」をさせていただいたことは非常に大きかった。

 しかし、モデル事業への応募に際し、医師会の了解を得るのは、決して容易なことではなかった。なにしろ、平成6年の第1回在宅医療懇談会での医師会長(産婦人科)のごあいさつは、「少子高齢化というなら少子の方が優先で、高齢化には、私はどちらかといえば後ろ向きです」とあって、医師会の理事会承認を取り付けるのは、極めて困難な状況であった。

 しかし、容易であろうとなかろうと、悲しいくらいに薬剤師会だけでは何一つできないのが在宅ケアだ。最近のことでいえばNHKや新聞社の取材にしても、取材申込みがあって一番初めに取った行動は、まず医師会長への電話、次いで担当理事との協議、それからようやく訪問指導の指示を出しておられる医師の了解を得るところまでこぎつける。

 取材に協力してもらう薬剤師には、一言「きみしかいない!」で口説く。また、第3回在宅ケア懇談会の取材にいたっては、医師会の他に歯科医師会、保健所、それに3つの訪問看護ステーションにも了解を得なければならないのだからつくづく大変だと思う。

 いずれにしろ、ケアチームというからにはいろんな職種の人たちとの連携が不可欠である。公的介護保険の導入に際しては、ケアプランの作成にかかわる関係職種のみんなから、薬剤師さんにもぜひ入ってもらいたいという要望がでなければ入れない。在宅ケアの現場では保健婦や看護婦といった職種の人たちとの連携がとくに重要である。

 従って、このような連携ができれば、公的介護保険の導入においても、薬局・薬剤師は充分に活躍できることを実感している。博多区薬剤師会はそのことを念頭において、今後とも取り組んでいきたいと考えている。

<特集1.南区在宅モデル事業ウォッチング> 公的介護保険制度等に関する研修会 (社)福岡市薬剤師会 在宅医療担当常務理事 入江理祐

2月の5日、6日に東京において、全国より各県の介護保険の担当者が集められ研修会が開かれました。

まず、厚生省老人保険福祉局老人保険課長補佐の北篠泰輔氏からは、まだ介護保険が国会を通っていないので、あらましを述べられた。

が、最後に、介護保険では、薬剤師はチームの一員として地域ケアを念頭におき、薬剤師というバリアーを越えた働きが求められる。又、介護保険に参加出来る職責は9種であり、野球のチームの人数と同じであり、どの守備位置を守るかは、今からの活動次第であると結んだ。

次に東京都多摩老人医療センター院長上田慶二先生より老人と老年病、特に老年病症候群についてお話がありました。介護の基本と共に、高齢者は多くの薬を併用するという事を力説してありました。

3番目は訪問看護ステーションの機能と地域連携という題で、日本看護協会常務理事山崎摩耶さんより、介護こそ看護婦の仕事であり、介護保険におけるケアマネージメントは、私達にまかせてほしいと力説してありました。

慶応義塾大学医学部教授池上直巳先生からは介護保険において誰が評価しても同じように、評価されるべきであると言われていました。個人個人の病気の種類も違うし状態も違うのに、だれがしても一定の評価になる為のアセスメント表の作成はすごいものだと感心しました。

高齢者介護とケアマネージメントという題で、社会福祉士の杉村和子さんのお話は私達こそケアマネージメントに一番ふさわしいとのお話でした。実の所、私は社会福祉士なる職がいつ出来たのか、何をするのかすら今もよく解っていません。それなのにわれわれも望んでいるケアマネージメントの職をなくすかも知れません。

薬剤師は今、在宅で何をしていますかと問われています。訪問服薬管理指導が福岡市では30軒にも満たない薬局でしか行なっていません。ケアマネージメントにおける薬剤師の役割という事で、介護強化病院の斉藤先生からお話がありました。

全てのケアチームのメンバーは、自分の職を忘れてチームの一員となり、患者さんの自立に目標を置くべきであると力説。チームにおいて自分の職を、押し出せばチームがこわれると経験談を言われていました。

最後に、日本病院薬剤師会常務理事の藤上雅子先生からは、薬剤師は薬を通してのみ介護保険に役に立っべきである、コンプライアンスの向上、相互作用、副作用等を見つけることで役に立っていくべきである、という主張がなされていました。

今回の研修会において、薬剤師が薬剤師の仕事だけにかたよらず、福祉の事等をよく知り患者の立場に立って、お役にたてるようにというお話が多かったようです。この研修会は、90分単位で1日に4回、2日間ピッチリと勉強してきました。詳しくは又、お話出来るチャンスがあればしたいと思います。

いま福岡市薬剤師会においては、介護保険を睨みながら在宅医療あっての介護保険という事を頭にタタキ込み、今年は全会員の先生方に在宅医療とは何か、訪問看護ステーションとは何か、在宅支援センターとは何か、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウス、老健センター、デイケアセンター、デイサービスセンターとは何か、PT、OT、RW、ST、MSW、SWとは何ぞや。

以上の事を全会員の皆様に完全理解をして頂くために、毎月1回講演会をして勉強をしていただきます。21世紀の薬局は福祉がわからないと、お話にならないような気がしています。

<研 修> 第7回薬局実務研修会報告書 (社)福岡市薬剤師会 学術担当理事 千阪幸弘

第7回薬局実務研修会が去る平成8年8月31日(土)、9月1日(日)、9月7日(土)、9月8日(日)の4日間にわたって催され、滞りなく終了しました。

藤原会長をはじめとして福岡市薬剤師会、福岡県保健環境部責務課、福岡県薬剤師会の講師の先生、及び研修を受講された先生方のご協力に対して感謝致します。

本研修会は新卒の方、未就業者、実務から遠ざかっている方々等薬局実務の経験の少ない方を対象として開催しております。

案内は、市政だより、西日本新聞、市薬ジャーナル、県薬会報等に掲載して貰い、受講される方に、申込み用紙を送付し必要事項を記入の上、郵送又はファックスで薬剤師会に申し込んで頂くシステムになっています。

今回の研修会は、申し込み者37名、出席者36名でした。藤原会長の開講挨拶に始まり、今年は新たに在宅医療の講義が追加されました。

アンケート調査

(1)薬局実務を研修するために、自信を持って薦められる本部研修を1人でも多く受講して貰いたいと思います。その為には1人でも多くの人に知って貰う必要があります。
・オーナーから女子薬など人を介して教えて貰う方法
・市薬ジャーナル、市政だよりなど広報誌を媒体とする方法が有効な方法と分かります。
今後、利用できる広報誌の種類や広報頻度を増やす事も検討課題になると思います。

(2)薬局実務研修会受講者の現在の業務内容より研修会利用の仕方が分かります。本来の目的である薬局調剤の研修が一番多くなっています。その他、現在、就業していても自分だけの仕事範囲を超えて、保険制度の変化、医療制度の変化など広く他の関連分野の知識をも吸収したいという積極的な先生の受講も目立ちます。

(3)今回、初めて受講された方が殆どですが、前回、受講された方もいます。特に全科目受講された方は、新たに加えられた在宅医療が目的かもしれません。

(4)学術委員会主催の例会は、年10回(8月と12月は休会)開催されます。疾病別薬品について種類と特徴を比較検討するメーカーの講義(薬物療法研究会)と前回の薬物療法研究会で取り上げた薬品の臨床での応用について臨床医の講義(学術研究会)をセットで開催しております。受講者で出席0回も当然ですが、1回から2〜3回の方や、過半数の5回出席されている方もおられます。学術委員会主催以外にも薬局委員会主催の処方検討会も福岡市薬剤師会にはあります。

(5)費用については自己負担なのか、オーナー負担なのかによって高いか安いかの判断が異なると思いますが、大多数の方が「適当である」と回答されています。今後、福岡市薬剤師会として、受講された方が充分に納得される研修会になるよう内容を充実させ、又、時代を先読み出来る研修会でありたいと考えています。

<研 修> 管理薬剤師のための研修会〜管理薬剤師の責務について〜

主 催 (社)福岡市薬剤師会
日 時 平成9年1月12日午後1時
場 所 明治生命ホール8階
司 会 専務理事 南島 敏彦

1.主催者あいさつ
 会 長 藤原 良春

2.講演
 (1)「薬事法・薬剤師法の改正等について」
      座 長 副会長 細井 徹一
   福岡県保健環境部責務課 監視係長 中島久裕先生
 (2)「薬局のグランドデザインについて」
      座 長 副会長 光安 龍彦
   日本薬剤師会 常務理事 中西敏夫先生

初めての管理薬剤師を対象とした研修会が開催された。医療法改正に伴う薬剤師の責任と業務についての今後のあり方を薬事法・薬剤師法改正のポイントを解説しながら行われた。

1.国家予算からくる診療報酬改正の必要性
2.薬剤師の適正な医薬分業における役割をどう担えるかが今後の職能評価につながる。これらの内容はすべて我々薬剤師が避けて通れず、今後更に充実し、職能として当然このレベルを行っていることが認知されなければならない。

今後、薬剤師の存在感をいかに理解されるかは、日常業務の中の薬局の利用者すべてにいかに対応するかにかかっているのではないだろうか。

(K.K.)

〜薬事法・薬剤師法の改正と薬剤師会〜

薬剤師法が管理者に対し、調剤の重みを期待してきた今、薬剤師会の有り方も問われよう。会員名簿がどうも気になる。どうしても集金名簿に見えてしょうがない。開設者名簿なのである。薬剤師、管理者を重視した管理薬剤師名簿に作り変えるべきだと思う。

管理薬剤師が入れ替わるという問題もあろうが、この点は、事務局と部会で変更を把握していれば、たいした問題でもなかろう。

門前薬局は、開設者と管理薬剤師が、他人というパターンが多い。自分は、薬剤師会名簿に記されている者ではないのでと総会に出ない。もちろん、役員にはなれる立場ではないということになる。互いに顔を合わせることが、面分業への近道であろう。今の集金名簿は近々廃止してもらいたい。学校薬剤師名簿の方がよほど役に立っている。

薬務課の中島先生の佐賀での面分業では、局店頭での「どこの処方せんでも受付けます」という書出しは、分業率UPに繋がっているという例からも局店頭で、競合店ではなく、他局に行かれてる患者さんのデータも相互できるチームワークが必要とされる時代になってきたと思う。

我々は雑貨屋ではなく、医療関係者であるという自覚が結局生き残りにつながるのである。

中西先生の話題もさることながら、すぐ光安先生に話をふり、とても聞きやすい話法をお持ちであったのには感心させられた。

(K.T.)

<研 修> 薬局製剤研修会〜手づくりの処方を取材して〜 広報委員 上村義徳

薬局製剤研修会の今期のスケジュールとしては次のようになっている。

第1回 インドメタシン外用薬
第2回 感冒薬14号
第3回 便秘薬
第4回 健胃薬
第5回 クロトリマゾールM・軟膏 トルナフタート外用液 
第6回 ジフェンヒドラミン・フェノール・亜鉛華リニメント

 第2期生として市薬会員より募集して18名が応募してこられた。会費は1年間通しの6回分で15,000円、市薬の試験センターにて実施されている。

 すでにインドメタシン外用薬は9月24日に、第2回の感冒薬は12月5日に行なわれ大変好評を博している。原料の医薬品に関しても市薬薬局で責任持って管理し小分けに応じている。今回は第3回目の便秘薬ということで取材を行なった。

 1月28日19:30より国武先生の説明が始まった。市薬の第1会議室は計18名の出席者で一杯になった。

 「便秘のひどい方は3包まで増やしてください」「かなり飛び散りやすいので注意して調剤してください」「服用するときに水を1杯飲むように指導してください」など細かく注意がなされた。さらに「おだやかな便秘薬」のシールを薬袋に貼り付けるようシールも用意されていた。

 以上の説明を飲み込んで2階の試験センターへ移動した。電子計量器で1人分ずつ生薬を分けそのまま混ぜ合わせる。今回の便秘薬は分量さえ間違えなければ簡単な作業であるが、むしろその後の薬包紙での手作りの包装が難しかった。

 赤い包装紙に丸いオブラートを重ね、試験台の上に5列に並べていく。暖房の風でオブラートが2枚はどフイになってしまった。ワイワイガヤガヤと学生時代の実習のようで、先生方は5〜6歳若返っていた。

20包分24gを1包ずつ匙で振り分けていく。さすがにほぼ分量に間違いがない。しかしそれを包む段になると、オブラートを余分に入れている分、包みづらく皆さん苦労されていた。模造紙だともっと簡単だったかも知れないが本格的なパラフィン紙でオブラートを入れる知恵は、お客さん本意の長い経験から出たものだろう。こういった書物に載っていない方法を学べるのが実習の良いところだ。

 「今は皆さん分包器を使うので最近の方は不器用になっている」との国武先生の言葉だった。1回ずつ爪を立て、折り目を良くつけることがコツだということだった。

 内科の処方箋を受けている調剤薬局の先生はインドメタシン外用薬を寵に入れて置いているとのこと。一般OTCは置いていないが現在までインドメタシン外用薬は、すでに何度か作ったということだった。少しずつ薬局製剤が普及していっていることを感じた。

 「医薬品を製造することができる」ということは大事なことであり薬剤師たるところだとの考えを持って、国武先生は試験センターの充実を計ってほしいと話しておられた。

 次回の予定は健胃薬だが、水虫の季節に入るのでクロトリマゾールM・軟膏、トルナフクート外用液の2品目に変更になった。軟膏が多少時間がかかるということで、薬局委員のほうであらかじめ準備をしておくことになった。

 基剤のマクロゴール軟膏は火を使って溶かさなければならない。面倒ではあろが薬局製剤の中でも特に水虫の軟膏は目玉ともいえるので、先生方の期待も大きい。

 薬袋は市薬事務局に用紙を持ってきてコピーする場合は無料でよいが、用紙がない場合は10円戴くということである。価格は自由であるけれど標準的には20包980円が適当だろうとのことだった。

 薬局委員の先生方お疲れ様でした。時計を見ると丁度9時だった。


薬局製剤のための市薬薬局備蓄リスト

〔薬品〕
ジフェンヒドラミン原液  1g   52円
インドメタシン      1g   53円
クロトリマゾール     1g  187円
トルナフクート      1g  145円
イソプロピルアンチピリン 1g   11円
以上を10g単位で小分けします。

〔容器〕
インドメタシン容器(50ml)1本52円
を備蓄

<他紙より> 〜早良区医師会誌「さわら」より〜

 この原稿は早良区医師会の広報委員の廣島先生より、早良区医師会誌「さわら」の第74号に「調剤薬局から」という特集を組みたいからとの依頼を受けて、早良区の先生方が書きあげた原稿です。趣味や雑感など何でも良いという事でしたので、自由に書かれています。早良区医師会の御厚意により転載させていただきます。

 昨年6月頃お預かりしておりましたが、諸般の都合により今号掲載となりました。遅くなりましたことをお詫びいたします。

今、薬局で欲しいもの 早良支部 藤崎部会  ももち浜諦剤薬局 村岡朋子

 昨年は、2年に1度の保険点数の改訂年に当り、4月前後は、在庫調整や点数表の差し換え等で忙しく過ぎました。

 その間も、例の新聞紙上を賑わしたクラフトの事件や、HIV訴訟等のニュースが流れるたびに、一般の人々の薬務行政や、薬局、薬剤師に対する、良く言えば期待、悪く言えば批判に改めて、今後、薬局及び薬剤師のたどるであろう這又はその理想としなければならない姿を考えさせられる日々が続きました。

 そうこうしているうちに、“薬局のグランドデザイン”−将来ビジョンと21世紀初頭に向けての活動指針−という小冊子が届きました。

これには

(1) 薬局の基本理念
(2) 薬局サービスのあり方と薬剤師の役割
(3) 21世紀初頭の標準的薬局俊 −目標とする規模、数、分布−
(4) 薬剤師の資質向上
(5) 薬局機能及び薬剤師職能を支える組織活動のあり方
(6) 21世紀初頭に向けての活動指針

等が載っています。

 その中で特に(3)はたいへん興味深いものです。それによれば、これからの薬局に求められるものは

○開局時間10時間/日
○夜間・休日に対応(その為の仮眠室及び防犯を考えた夜間待合室)
○常時2名以上の薬剤師の就業
  これに伴い常勤薬剤師3名、非常勤薬剤師1名、薬剤師外スタッフ2名
○1500品目以上の備蓄薬
○一般医薬品
○医療用具
○介護用品
○衛生用品 等の備蓄
○その他

 これにより年間経費6,700万円がかかる見込み、ついては年間1億6,000万円の売上が必要であり、そのうち一般薬の売上を3,500万円以上とする。

 つまり月平均3,000枚の処方箋で1枚平均単価3,600円月収1,267万円ということです。

 大変きびしい条件と思われ、読めば読む程、ためいきが出てきます。そりゃ理想はいくらでも言えるよなあ、という気持を取り直し、ならいっそ、今、事情が許すなら私たちだって、これ位のものが欲しいんだというリストを作ってみました。

現在当薬局にあるもの以外で挙げれば

○10台以上駐車可能な広い駐車場
○夜間受付、夜間待合室
○夜間用仮眠室、風呂又はシャワー室
○患者用のベビーベット付きトイレ
○小児用、身障者用トイレ
○感染症用待合室(2室以上)
○プライバシーが守れる個室型の投薬窓口
○投薬指導箋(各国語バージョン)
○英独仏露韓中ポルトガル、インドネシア、アラビア語等が話せる受付
○全自動薬歴検索機
○集塵機付き製剤室
○ドラフト又はクリーンベンチ
○全自動予製剤機
○ケミクレープ
○大型空気清浄機(できれば陽圧室も)
○高速デジタルカラーコピー機
○シュレッダー
○水剤自動分包機
○患者さんも使える図書及び資料室
○電話、FAX付き薬剤配送車
○DI用ネットワーク
○災害時、緊急時用備蓄薬及び保管庫
○面分業対応のために必要十分な備蓄薬及び、それらを入れる調剤台
○24時間365日対応できるための人員
○在宅医療対応のための知識及び経験

 以上すべてが入るだけの十分な広さの薬局スペースと購入資金以上いろいろありますが、書いていてこんなのは相当な大手資本でなければむりだなあと、改めて思いました。

 私たちはせめて今ある状態の中で、せいいっぱいの努力をするしかないのでしょうし、少しでも理想に近づける様、手さぐりで進もうと思います。

 今後共、御指導、御鞭樋の程、よろしくお願い申し上げます。

<他紙より> 〜早良区医師会誌「さわら」より〜

高齢化社会に向っての調剤薬局の窓口 早良支部 西新部会 マルエー薬局 冨田郁美

昨年以来老人医療の介護問題、在宅医療等が社会問題として、新聞紙上を賑わして、大きく取扱われておりました。薬剤師である私共も、ホットラインと結び、老人医療チームワークの一員として共に動きたいと考えております。

私はもと病院薬剤師として勤めておりました。病院の窓口は、混雑するためご存知のように、正確に薬を渡し、服用方法を説明する程度となっております。調剤薬局の窓口のように患者さんとの色々のコミュニケーションは殆どありません。

私は今日まで20年以上、調剤薬局として患者さんに接してきて、患者さんの心理状態、時の流れと患者さんの変化について私見をのべてみたいと思います。

病院を訪れる人は、体の不調の原因の解明と不安を解消して貰いたいと云う心理だと思えます。お医者様には尊敬と畏敬の念と思いますが余り会話が出来ずに、特に薬に関しては私共に相談されることが多いようです。私共も以前にまして単に一種の薬の副作用より、現時点では薬と薬の相互作用についての情報を集め患者さんにそれを伝えようと努力しております。

ソリブジン、トリルダン、ロキソニン等、薬との相互作用、また体質や喘息や心臓病の患者には敏感に反応して死亡例まで出たことなど注意を促して服用法を説明しております。又患者さんの心理は生活者としての不安、日常の仕事、社会の中で生きていけるかどうかの不安、死の不安、成人病、癌にならないために毎日の生活はどうすればよいか、未病の段階で注意する点は何であるかと真剣に考えられて病に対する不安を解消しようとされてます。

この症状は癌の前段階じゃないだろうか、どきどきするのは心筋梗塞になるのだろうか、また現代はストレス社会であるため病の一因はストレスもありますと答えて、余り不安な生活にならないようにと話します。このような不安があるので病院や薬局に訪れるんだと私は思います。健全な精神の持ち主は、病と無縁の人が殆どですから……。

調剤薬局に見えたら、(1)よく患者さんの訴えを聞いて不安を軽くするための会話 (2)患者さんの病気について、その薬の効果副作用、病が早く治るために薬を効かせるためにの生活誌、例えば風邪の咳の患者さんに、冷たいものはダメだと、実際に漢方的に申しますと肺を冷やすので咳とか喘息など治りにくいんです。

一人生活者は食事のバランスのこと等々(3)単に病をもった人でなく、社会的、家族的背景をもった生活者であると云う視点を見失なわないような心構えで接します。医療は医師、看護婦、薬剤師、その他医療従事者のチームワークですからその自分の限界をわきまえながら、患者さんを常に全人的、包括的に見て行く姿勢は忘れないよう (4)患者さんのプライバシーは、私共医療人は守秘義務は当然のこと (5)小児、精神障害者、知的障害者、高齢者に対しては特別な配慮、病名を聞いたり、薬の中味をオープンすることなく、優しく、わかり易い言葉で理解するまで、同じ高さに立って繰り返しわかるまで説明することだと思えます。

特に最近の感想としまして、老人医療の中の痴呆症とアルツハイマー、実地に接しますと大変な業務であることが理解出来ました。同じことを何回説明しても、すぐ聞きかえす、今云ったことを次の瞬間忘れている。薬袋にマジックで大きく、のみ方と薬効を書いてあげて、のみ易いように−包化してあげても、本当に理解出来たかが心配になります。

この時あゝ介護が必要だと痛感します。然しうまく同居しておればよいのですが夫々の家庭事情で、老夫婦のみや一人ぐらしの老人は、やはりホットラインと結び治療することがベターだと思えます。

アルツハイマーだと自覚なしの人から1日10回以上電話がかゝると、少々こちらの神経もまいります。こういう患者さんは理屈でなく、介護による指示、監督しか解決出来ないと思います。医師の先生方この間題をどのように処理なさっていらっしゃるか知りたい所です。最後に服薬指導は、薬剤師志向でなく、患者さんの持つ問題を患者の立場に立って患者のために解決して行く患者志向でなければならないと思います。

そして今薬剤師としての全人的医療人は、身体的、心理的、社会的、倫理的にアプローチされたものを要求されていると思われます。この水準に達するよう努力し21世紀医療人として社会に貢献出来れば幸いと思っています。

<他紙より> 〜早良区医師会誌「さわら」より〜

薬局側から見た医薬分業 早良支部 原北部会 たつみ薬局 清水達三

今回早良区医師会報「さわら」に投稿させていたゞき有り難うございます。さて今回は薬剤師会がめざしている医薬分業と面分業について薬剤師側からの一方的な抱負について述べてみたいと思いますが、いっもお世話になっている医師会の先生方にお叱りを受けるかも知れませんがお許し下さい。

さて、早良区の医薬分業の現状について少しばかり分析してみますと、早良区内の薬局数は約85軒、そのうち処方箋調剤の出来る保険薬局は72軒ほど、さらに実際に処方箋を応需している薬局は62軒ほどになります。一方病院数は約160軒ほどだと思いますが、その内完全分業をされているのが47軒ほどで分業率から言うと約30%となります。診療科から見ますと耳鼻科・眼科・皮膚科・小児科・整形外科が分業率も高くなっているようです。

現在我々薬剤師会としてめざしているのは当然面分業であります。福岡、佐賀の分業進展率は日本一とも言えますが、これはマンツーマン分業が進んだ為に分業が進んだ訳で、これは厚生省がいう面分業でない為に評価も悪いのです。

次に世界の文明国の中で医薬分業がされてないのは日本・韓国・台湾の3ヶ国だけだそうです。我が国の医薬分業の歴史は文明開化の頃、福沢諭吉等によって明治7年に医薬分業が法制化された訳でありますが、当時は薬局数も少なく整備もされていなかったので医薬分業は実行されず、以来100年間分業は具体化されませんでした。本来はじめから医師が処方箋を発行し薬局が応需調剤できていたら医薬分業についての是非論もなかった訳であります。

しかし長年の問、医師が診療の中で薬を取り込んでいたし、それはそれなりに利点も多い為にその習慣は今更分業には納得いかない医師の理論も当然かと思います。

一方薬局は処方箋応需に到れなかった事で、以後生き残る方法として大衆薬(O.T.C.薬=Over The Counter薬)を発展させ、それでも食って行けなくなると化粧品や雑貨にまでも手を出していっの間にか物品販売業に成ってしまわざるを得なかった訳で、つまり医療の中から置いてゆかれてしまって100年余を経てしまいました。

しかし昭和40年代に理由はともあれ再び医薬分業の機運が芽ばえ処方箋発行料が10点から50点に引き上げられた事で医薬分業が進展しはじめるのです。しかし医療用医薬品について勉強していない既存の薬局には荷が重く腰が上らないまま、新しい薬剤師によるマンツーマン分業が始まり、またそれは分業の理念からは許されないリベート分業や第二薬局をも生みだす事になりました。

福岡の分業はマンツーマン分業であった為に分業も進展したのですが、マンツーマン分業を拒否した他地区では分業も進展しなかったのも事実です。それ以後分業は医療費抑制の先兵として、また医師から薬を切り離す口実として薬価切り下げが次から次へとはじまり、一方処方箋発行料も76点まで引き上げられました。

さて、福岡市では4年ほど前から国立病院や九大付属病院から面へ向けてのFAX分業が始まり、当初は大混乱の処方箋応需でしたが、やっと薬局薬剤師も調剤に目ざめ当初は医薬品を調達する事からの苦労でしたが、以後一生懸命勉強して今では一応それなりの実績を残す事が出来るようになりました。

今まで既存の薬局は百余年余り大衆薬を販売して来た歴史でもあり、準備はしたと言えども広域公立病院の処方箋応需には苦労の連続であり、それ以後勉強もして来ました。また地行浜に薬剤師会で分業推進センターを建て備蓄薬品の供給、調剤研修、在宅医療支援センターとして今後の面分業推進の活動をしております。

今後は調剤を扱っていく薬局としては「かかりつけ薬局」として当然の事ながら薬歴管理、投薬指導、相互作用、多科診療や大衆薬等の服用による重複投薬等の管理にも責任を果さなければならないし、さらに進んで老人福祉医療や在宅医療にも医療の一員として懸命に勉強している所でございます。

分業の昨今として昨年より利益追求型の大型調剤薬局や門前薬局、さらに第二薬局の問題が取り沙汰されております。要するに分業の適性化という事で面分業を阻害するものとして今回の調剤報酬改訂で厳しい抑制策が取られました。薬歴管理や投薬指導、副作用防止等の技術料はアップされましたが、処方箋の一薬局集中には調剤基本料が厳しくダウンされました。これにより大型門前薬局やマンツーマン薬局には収益のダウンが厳しくのしかかりました。

さらに次回の改正では経営の危機が現実になるとされています。それまでになんとか薬局も努力して面分業を推進してゆきたいと喘いでいる訳ですが、こればかりは相手(病院)の都合もありなかなか難しいものです。

面分業をめざしている既存の薬局についての大衆薬事情についても少しふれてみたいと思いますが、現在は規制緩和が叫ばれる中で大衆薬はコンビニやスーパーで無資格でも売らせろという緩和政策と、大衆薬を物品とみなした再販制度廃止と流通改革による価格破壊の中で既存の小型薬局は瀕死の状況に落ち込んでいます。

過去には巷の本や、メガネ屋、酒屋がディスカウント店に席巻されて消えていった様な状況に薬局も郊外型スーパードラッグに消えてゆきつゝあるのです。薬局の数が減ってしまわないうちに面分業を進めたいと薬剤師会としての望みなのではありますが、まだまだ薬局の努力と姿勢が足りないとはわかっています。

今、街のクスリ屋には保険薬局、一般販売薬局、薬店、薬種商と様々あり、他の業種の人々からは見分けがつかないというジレンマに悩んでおります。保険調剤が出来るのは保険薬局だけであり一応その看板は上げているのですが、雑然とした構えの中では見えない様です。これは保険薬局がマンツーマン調剤薬局以外は調剤で成り立たないからと言う事でもありますが、今後襟を正して改善してゆかなくてはなりません。

福岡市ではマンツーマン分業もピークを過ぎ今後は患者数の少ない為に近くにマンツーマン薬局がこない医院についての面分業を目ざしてゆきたいと思っています。

例えばあるAという医院が面に向けて処方箋を発行したと致します。その処方箋を応需した薬局は「A医院が処方箋を発行してくれるのなら、今後うちの客で病院に診てもらわなくてはならない客にはA医院を紹介しよう」、そうすればその客はA医院の発行した処方箋を持ってうちの薬局に来てくれる事になるであろう。つまり処方箋を受け取った薬局はそれ以後すばらしいクチコミ宣伝屋になってくれると言う理論です。マンツーマンの薬局を従えている病院では同じ釜の中の患者でしかなくその効果はありません。

面分業に於いて我々既存の薬局は病院から信頼される努力が不足している事も事実です。

そして今薬局は病院が安心して処方箋を発行してみようかと信じるところまで勉強し努力して改善してゆかなくてはなりません。そして地域医療の中で老人福祉医療や在宅医療の中でも一緒に仲間に入れてもらって進んでゆきたいと願っております。それには区単位の三師会ではなくもう少し掘り下げて組単位の医師と薬剤師の会合を開き互いに信頼を深めてゆき、組単位での面分業や地域医療、在宅福祉医療にも積極的にかかわって行きたいものだと願っております。

まだまだ分業や処方箋発行と応需について話したい事は沢山有りますが、長くなりますのでこの辺で終りますが、賢明な医師の先生からは沢山の反論もあり、生意気な奴とお叱りを受けるかも知れません。一人の変哲な薬剤師の放言としておきき流し下さい。

そして早良区医師会の先生方と共に仲間として医療の一端として三師会の一員として、なお一層の交流を深めてゆきたいとお願いする次第です。今後共よろしくご指導とご鞭接の程お願いいたします。

<他紙より> 〜調剤と情報2月号より〜

新薬勉強会(福岡)
同効医薬品の特徴を独自に評価
処方設計の情報支援を目指す

□開局すると個人での勉強は難しい

福岡市内に平成8年春、薬局を開設した堀之内真紀さんは、「開局して閉じこもってしまうと情報が入らなくなってしまいます。仕事を終えてから積極的に外に出るようにしています」と話しています。以前は調剤薬局に勤務していた堀之内さんですが、薬局を開設してからは自由になる時間も減ってきたようです。

薬局もビジネス街にあり、他薬局や医師との交流も希薄な面があるといいます。同じ福岡市内でも在宅ケア に積極的な地域では交流も活発に行われているようですが、堀之内さんは「個人で勉強するのは難しいので、市薬剤師会の勉強会などにも参加しています」と語っています。

堀之内さんがこの勉強会を知ったのは平成6年の秋、他の勉強会に参加した際に、知り合いの薬剤師から紹介されたのがきっかけ。何度か参加するうちに7年秋には世話人になるよう勧められたそうです。

「眼科の処方せんが中心のため、関係のないくすりが多いのですが、複数の病気をもっている患者さんも多いので、質問された時に答えられるように勉強している感じです」とのこと。メインで応需している眼科医は、糖尿病で併発する眼疾患の専門医として広く知られた医師。そのため、応需薬局としても眼疾患以外の知識も求められるようです。

<特集2.日薬長崎大会Part2>

第29回日本薬剤師会学術大会の取材を通して 特別寄稿/薬業時報社 大阪支局 編集部 記者 橋本綾

昨年11月3、4日に長崎県で開催された学術大会は、私にとって人一倍の興味と関心を持って取材に臨んだ大会だった。というのは、大会前の取材を通して、吉岡県薬会長はじめ県薬の方々から、同大会の学術大会の聞きどころ、大会に賭ける意気込み、そして開催までの苦労話を伺っていたからだ。

とくに、「単なるお祭り騒ぎで終らせたくない。大会で得たことを薬剤師業務に活かしてほしい」と強調した吉岡会長の吉葉は、「学ぶ」という学術大会本来の意味が失われつつある傾向を諌めたようで、私の心に強く響いた。

そこで私は大会を取材する一方で、「参加者Watching」も行い、その勉強ぶりを観察することにした。

私が取材した2つの特別講演、そして2、3の分科会の範囲内で感じたことだが、立ち見ながらもメモを取ったり、質疑応答に積極的に参加したりして、何かを得ようという姿勢を感じ取ることができた人は決して少なくない、いや数多くみられたということだった。

なかには長旅の疲れかあるいは懇親会で飲み過ぎたのか居眠りをする人、また大会後の観光旅行で話が盛り上がっている人などもみられたが……。とくに特別講演で会場が暗くなった途端、前かがみになったり、抄録を落とす人が増えたことには驚いた。

1年に1回、全国から会員が一同に集まり、それぞれの研究・調査結果を発表したり、あるいは日常業務での意見交換を行えるという貴重な機会だ。2日間という短期間だが、その人次第で宝探しはいくらでもできるように思う。研究や調査結果を自分の業務にフィードバックしたり、また大会で知り合った人とのつながりも重要なものとなるかもしれない。

今年開催される東京大会からは、分科会のテーマや内容も様変わりし、一層学術色の濃いものになる予定という。第30回目の記念すべきこの学術大全開催に期待を寄せるとともに、薬剤師職能の向上に向けて、心機一転、取り組んでほしいと思う。

<特集2.日薬長崎大会Part2> 森川先生の講演を聴いて〜薬業経済分科会報告〜 広報委員 小松公秀

今後の高齢社会に対応しうる薬局とは何か。どのように地域社会に薬局の役割を高めるのか。このような内容で薬局経営とそのあり方について薬局グランドデザインを意識しながらのシンポジウムとなった。

福岡県からは、森川誠心堂薬局の森川先生がパネラーとして新しい地域薬局のあり方を自局であるそよ風薬局を例にとり、その開局のコンセプトから実際の業務、運営、収支の面よりの発表が行われた。

まずは、薬局のコンセプトとして24時間体制による処方箋の調剤は今後の薬局としてのあり方を大きくとらえている点。そのために薬局の立地、深夜業務におけるセキュリティーの確保、人材、それぞれが工夫され、そして利益の確保までも自身が予想に反して深夜の調剤が貢献しているとの事であった。

今後、薬局の深夜対応、在宅医療参加など地域の幅広いオーダーをいかに吸収できるかに主眼をおき、薬局経営を成り立たせる事を目指さなければならない。これらは現状では非常に困難な事でもあるが薬局グランドデザインの目指す薬局像であると同時に地域に求められる薬局像でもあろう。

<特集2.日薬長崎大会Part2> 薬業経済分科会発表 発表者 博多支部 千代部会 森川誠心望 森川公雄

全文紹介

福岡市で開業しております森川と申します。まだ、若輩者でして、諸先輩を前にして、しかも経営の話をするなんて、大変おこがましく恐縮しておりますが、どうかよろしくお願いいたします。

私は、福岡市内で、形態の異なる薬局を3店舗開設しております。1つは、ひい祖父の代から受け継ぎました薬局で、開局して101年目になります。ここは、九州大学附属病院の前にありまして101年前に九大病院からの要請でひい祖父が開局したと聞いております。

つまり当時は、当然、院外処方箋による投薬などはないのですが、九大病院の医師が「あそこに薬屋があるから、そこでなになにという薬を買って飲みなさい」というようなことを患者さんに言って、利用していただいていたようです。当時は医薬品の規制等も今とは全然違いますから、抗生物質やヒロポンのような覚醒剤、あるいは注射器、注射針など今では考えられないような物も扱っていたようです。

また、当時は独自の薬局製剤があたりまえで、うちでも「ハナクソ万金丹」というウソみたいな名前の化膿止めの薬を作っていて、これでかなり儲けたなんていう話も父から聞いております。その後、この薬局は典型的なOTC薬局として推進していき、13年程前から処方箋調剤を応需するようになり、その後九大病院の院外処方箋発行に伴い、現在はOTC業務と調剤業務が半々の形の薬局となっています。

ここでは昔から福岡市、福岡県の指名入札業者として、主に公立の小、中学校、幼稚園、保育所、養護学校、各施設などの保健室等の医薬品、医療用異、介護用品の納入も行っています。

2つめの薬局は、8年前に開局した、漢方薬主体の薬局です。ここは、漢方相談による煎じ薬、エキス顧粒等の販売を主体に、歯科を中心とした処方せんも応需しておりますが、ここは経営としては赤字でして困っております。

2年前に博多区薬剤師会で厚生省委託の在宅薬剤供給モデル事業をやりましたことで、ここでも、在宅の仕事を継続してやっているのですが、この8月より、特別養護老人ホームへの処方箋を介した服薬指導にでかけております。この仕事に在宅のフィーが頂けるのかまだはっきりしておりませんで、もしこれが頂けるのであれば、経営としてもどうにかやっていけるのではないかと思っております。

3つめの薬局は、今年5月に開局したばかりの、24時間、365日体制の調剤薬局です。ここが、その規模や、夜間・休日応需体制などの点で、グランドデザインに近いものではないかと言っていただく先輩がいらっしゃいまして、おかげで今この場にいるようなことになってしまったのではないかと思います。

この薬局は、まだ5月に開局したばかりですが、経営的には非常にうまくいっております。やはり、ある程度以上の規模の調剤薬局になりますと、想像していた以上にボリュームメリットというものがありまして、儲かるもんだなというのが実感です。そういう意味ではグランドデザインの主旨もとても納得できるものがあります。

また、夜間・休日・時間外の部分だけを切取ってみましても、決して赤字にはなっていないようです。この部分では、一日平均の処方箋枚数は10枚前後なのですが、休日、時間外、深夜のそれぞれの加算料等を加味しますと、人件費等の経費を考えましても、どうにかとんとんでやっていけてるようです。

しかし、これも今はうまくいっていますが、先のことを考えると不安になってきます。つまり、調剤の仕事というのは行政の示した調剤報酬のシステムによって国庫からお金を頂くわけで、その調剤報酬の改定によって多大な影響を受けざるを得ないからです。この4月の改定もはっきりいって現場では納得できないものが多く、その運用についても行政側ですら最近まではっきり説明できないようなものでした。

しかも、国民医療費のサイフもいっぱいいっぱいで、余裕どころかパンク寸前なのはわかっています。なんか、国民医療費の伸び率がこのままあと20年ほどいけば国家予算の総額を超えてしまうというような話も聞いたことがありますし、そんな中で、福祉と医療の予算の取り合いとか、選挙制度等のからみもあるのでしょうが、我々の伺知れないものがあるようでまったく不安だらけです。

どうもメーカーと医師の側はその利益をある程度保証されていて、問屋と薬局にしわよせがきているようにも見えるのは、やはり私のひがみでしょうか。しかしエイズ関連のニュースなどを見ていますと、やっぱりなどと思ってしまいます。

いずれにしても、これからの薬局経営を考える時、行政、特に、医療行政、福祉行政の影響を考えずにはおられません。そして、今までのように行政主導型というか、行政の示したシステムをぐちをいいながら甘んじて受け入れていくだけでは絶対にだめだと思います。我々の側から行政を動かし、我々で国民により良質の医療と福祉を提供できるシステム、そして我々が経済的につぶれないような調剤報酬のシステムを作っていかなければなりません。

行政を動かすには2通りの方法があると思います。つまり、行動で示す方法と、理論で示す方法です。そしてどちらにも国民の皆様の理解と認知が必要だと思います。

行動で示すとは、当然、仕事を通じて訴えるということです。つまり、今現在フィーをいただいている仕事の範囲や密度を自ら高めて、フィー自体を上げたり、フィーの付くシステムを改善したりということと、今現在フィーの付いていない仕事に必死で取り組んで、その仕事に対しての新しいフィーを妾得するということです。

例えば、今年4月に、薬剤情報提供料として5点のフィーが新設されましたが、これをめんどうだとか、たった5点だからといって取らないでいたのでは話になりません。これを取らない薬局が多ければ、せっかく頂けることになったフィーがなくなることにもなりかねません。

最低限この5点をみんなで請求することが大事なのです。当然何もしないで請求することはできませんが、どこまですればいいのかとか、よくわからないから止めとこうというのではなくて、不完全かもしれないけどとにかくやれるだけのことをやってこの5点を頂こうという姿勢でなければいけません。

そして、実際やってみると、患者さんがこのシステムというかこの仕事を喜んでくれるかどうかというのがわかります。患者さんが喜んでくれるというのはやはり一番うれしいことですし、そうなれば、もっと喜んでいただこうということになります。

逆にそのシステムが患者さんにとっていいものでなければ、なんとか患者さんのためになるものになるように改善しなければなり.ません。どちらにしろ、この5点の仕事の密度を高めていくことになれば仕事量も増えたりするわけで、5点では割が合わないということになるかもしれませんが、それでも各薬局がそれぞれ努力してこの5点の仕事を行政に認めさせて、5点を10点、20点と上げていくのです。

在宅の仕事に関しては、今我々にとって一番仕事の範囲を広げ、経済的にもフィーを増額、増設していけるチャンスだと思います。ここから、我々はなんとかして福祉の分野に、我々の経済活動を食い込ませていかなければならないと思います。つまり、先程からフィーを増やそう増やそうといっている訳ですが、医癖の予算は全く余裕が無い訳ですから、無いソデをいくら振ってくれといっても仕方が無いという面があるでしょう。

ですから、我々は福祉のサイフからお金を頂くことを、真剣に考える必要があると思います。これこそは今は全く報酬の無い分野である訳ですが、我々の将来のためにみんなでがんばっていかなければならないと患います。

具体的には、特別養護老人ホームや老人保健施設、あるいは障害者施設などに対する仕事をフィーが無い中でもみんなでやっていって行政に認めさせ、フィーをいただけるようにする、そして、そのフィーを福祉の予算から引き出すということです。もちろん、今ある在宅のフィーも、福祉からいただければまだまだ広がる可能性が増えてくるのではないかと思います。

さて、もう一つの理論で行政を動かすということですが、まず我々の内部で薬剤師職能と薬局の存在意義の理論構築を急がねばならないと思います。そして、それを対外的に国民の皆様に向かってさし示して、認知、理解してもらわなければなりません。つまり、ここで提言したいのですが、ぜひ日薬で薬剤師憲章を制定し、そこで薬剤師職能の社会的意義、薬局の社会的存在意義を確立したいのです。

薬剤師がどんな仕事を通して社会のどんな分野にどれだけの貢献ができるのか、そして、薬剤師の任務を遂行できる場としての薬局がどういうものであるべきなのか、我々薬剤師は薬局を通してこのように人類に貢献していきますよ、といったことを、この時期にはっきりと国民に認知してもらわなければならないと思います。

日薬では、すでに薬剤師綱領というものが制定されています。また、薬剤師法の中では、薬剤師の任務についての記述があります。OHPを用意してきましたので見て頂きたいと思います。まず、薬剤師法の薬剤師の任務ですが、これではやはり我々の仕事は調剤と医薬品の供給に限定されてしまうような印象を受けます。

ここにも福祉や在宅にかかわるものや、薬事情報の供給と管理といったものを加えたものに改定できたらと思います。つぎに日薬制定の薬剤師綱領ですが、ここでも仕事としては医薬品の製造、調剤、供給しか記述されてません。

これもやはり福祉や在宅、情報の管理や供給といったものが啓蒙できるような細かい内容にするべきだと思います。この薬剤師綱領において、我々の内輪での薬剤師機能の見直しと確固たる理論構築、そして薬局のあり方について、つまりグランドデザインとは別の薬局の社会的存在意義の理論構築をしっかり確立し、まずはそれを我々みんなが認識すべきだとおもいます。

そして、その後には、ぜひ薬剤師憲章を制定し、これは外に向けて対外的にもっとかみくだいたやさしい言葉で、国民全体に薬剤師と薬局を認識していただくことが必要だと思います。そこまでしなければたぶん理論で行政を動かすことはできないのではないでしょうか。

国民の皆様に我々薬剤師の職能を認知していただくために一番重要なことは、たぶん「医薬品の認識」ということではないでしょうか。つまり、医薬品が危険物であり人体にとって異物ひいては大きく括って毒物であるという認識です。

我々は今まで、医薬品の供給のみに熱心なあまり、OTCにおいても調剤の場でも国民に対して医薬品の安全性の側ばかりを語ってきたという面がないでしょうか。結局これが薬剤師職能の社会的認知という面では、自分の首を絞めることになっている気がします。

つまり、我々の職能というのは医薬品が非常に危険なものであるから、その危険な医薬品を管理し供給する立場にある者として、いわば危険物取扱責任者といった意味合いがあり、人の生命に強くかかわるものである故に、国家試験を経ていただいた職能だと思うのです。

だから、医薬品が安全なものならば薬剤師なんていらないということなのです。これからは、医薬品は危険ですよ、OTCの薬でも命にかかわることがありますということを国民に啓蒙していくべきだと思います。薬剤の供給以外の経済活動の場は、我々の前にたくさんあるのですから。

また薬剤の供給の分野においても、医薬品の危険性を国民に広く認識してもらえば、どこかのだれかが言ってるようなコンビニでアルバイトの学生に薬を売らせてもいいじゃないかとか、医薬品の通信販売とかそういったバカなことは通らなくなると思います。

また、医薬品の危険性を我々の方で軽んじて、しかも経済活動の方に意識が行き過ぎると、エイズ非加熱製剤問題のメーカーや厚生省の一部の役人さんのようになってしまうのだと思います。

今日この場は、薬局の経営、経済活動のシンポジウムなのですが、ひとつはっきりしとかなければならないのは、我々は金儲けを直接考える前に、国民、つまり患者さんやお客さんにとって何が一番いいのか、まずは国民の生命、健康のことを考えねばならないということです。これは別に、青臭い、きれいごとを偽善者ぶって言っているつもりは毛頭ありません。

我々の仕事が本当に国民の生命、健康に貢献するものであると認知されれば、我々は絶対に儲かるはずなのです。なぜならば、人はだれでも自分や家族の命が一番大事な物であるに違いないからです。自分や家族の命にかかわるとなれば人は金など惜しみません。しかし、ここにつけこんで儲けようとするならば、これは人として最低の行為になってしまうので我々にはやはりモラルが要求されるのです。

話がうまくまとまりませんでお聞き苦しかったと思いますが、つまりこれからは、仕事を、それも今はお金にならないような仕事を懸命にやって行政を動かし、薬剤師職能と薬局の存在意義を国民に認知してもらうことで行政を動かし、薬剤師の社会的地位を向上させることによって、経済的地位も大きく向上させれるような「時代」を作らなければならないということです。受動的に「時代を読んで」合わせていくのでなく、能動的に我々の「時代を作る」ために、みんなでがんばりましょう。

<特集2.日薬長崎大会Part2> 日薬学術大会を垣間見て 広報委員 堀之内真紀

参加してなどというのはおこがましいので、少しだけ学会の様子を見学させてもらいました。ポスターセッションの中で一番興味あったのは“緑内障疾患と抗コリン剤”でした。(何せ、眼科関係のものが少ないので)日本人は、高眼圧緑内障より正常眼圧緑内障が多いということを初めて知りました。(ほんとうに眼科の調剤にいて、恥しい話ですが…)

『井の中の蛙 大海を知らず』で小さい世界の中に居て、それに甘んじていてはどうしようもない気がします。十数年ぶりに久々学会というものを見学して、ワクワク体の中の血が騒ぐ感じがしました。もうすこしじっくり聞けたらよかったのに、とつくづく思いました。

<会員の広場> 一億総破産 中央支部 大名部会 調剤薬局マイヅル 平島公彦

50年前、死を以って国に報いる愛国心を国民に求めた軍閥は、天皇家の存続の為、無条件降伏という屈辱的な条件を国民になめさせた。無条件というのは唯の降伏とは訳が違うのである。皇国軍は聖戦の旗印のもと、アジアの人々の心の中に強い不信感を植え付けてしまった。戦勝国による東京裁判で大日本帝国は前科一犯となったのである。

そして日米安保条約のもと日本は米国の不沈空母となった訳である。米軍基地問題は南北朝鮮問題が解決されるまで削減不可能であろう。もはや日本の独立は米国の利益を害することがあっては存続不可能なのである。またアジアの一員としてアジア諸国から嫌われないようにしないと全く孤立してしまう危険性がある。

行政改革を旗印にした現内閣は旧国鉄の債務、住専問題等、大きな負債を先送りして、2%消費税アップを国民に押しつけるだけである。こんな無策ぶりでは海外投資家たちの日本市場からの撤退が始まり株価は下がる一方である。

ジャパン・プレミアムの存在は、いかに日本が国際社会で信用されていないのかの証しである。

この国では市町村議員まで含めると百人に一人は議員らしい。行革の第一歩は議員と役人の削減から行わねば何も進まない。多数議員と多数役人は質の低下と税金の無駄遣いである。しかし議員数の削減ができる政治家などいるはずもない。悲しいかな民主主義という言葉は、この国では死語に近いものがある。

政治家と役人の汚職。法と秩序の乱れは国が滅びる前兆ではないか。もはや政治家と役人は国民の税金を食いちらかす白アリみたいなものである。

5〜6年後には医療保障制度と年金が破綻するとのこと。2〜3年中には公的介護保険が導入されるだろうが旧国鉄、住専処理等の債務を加えると消費税率は15〜20%となり、国民の負担ばかり増すのである。

漢字の民という字源は矢で目を射られた盲人の意味であるからして、民は民らしく盲人でいた方が良いのだろうか。21世紀に向けて日本経済に光らしきものが見えてこないのが不安である。



平島先生は只今お嫁さん募集中です。写真が無いのが残念ですが(なぜか本人希望)お話をしてみたい方は、TEL713−7660もしくは、広報委員まで御連絡下さい。

  現在45歳
  趣味・スキー
  多分賞罰なし

〔フレッシュさん紹介〕 地域薬局の役割について思うこと 西支部 西部会 くれよん薬局 紺藤三紀

去年の11月西区元岡に開局したくれよん薬局に勤務することになりました。

就職した当初は、今まで病院で勤務していた私にとって、初めての事ばかりで、戸惑うことが多くありましたが、その中で、個々の患者さんへの服薬指導や訪問看護を通じて、実際に、患者さんの“声”を聞き、患者さんとのコミュニケーションの必要性や大切さ、また、患者さんから選ばれる立場だということを実感しました。

訪問看護で伺ったお宅では、今まで、家族の方が薬を取りに来られていたそうですが、実際に、薬剤師が訪問して服薬指導することで、患者本人に薬一つ一つについて、正しい情報が提供でき、安心感を与えることができるように患います。また、看護する家族の方々の負担も軽減されるようです。

今日、医療や医薬品に対する患者の関心が高まりつつあると同時に、情報が溢れかえっており、患者がその情報を正確に捕らえているとは限りません。

薬を理解し、正しく服用して頂くために、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、正しい情報を提供するために、日々努力していきたいと患っております。

〔フレッシュさん紹介〕 患者とのコミュニケーション 東支部 名島部会 ハート薬局 土器麻里子

『どうして薬局であれこれ聞かれるんですか?私たちは病院で症状について充分お話ししているし、もう一度同じ事を繰り返すのは面倒臭いし・・・。そんな事よりも早く薬だけもらって帰りたいんですけど』

開局してから4ヶ月余りが経った頃、ある患者さんのお母さんの1人に言われました。去年4月の改正以来、ますます厳しい状況に陥り、これからの服薬指導は薬剤師生命の中で重要な柱となっていくのに、それを否定されたことで大きな衝撃を受けました。

もちろん、このお母さんには時間を頂いて、医薬分業についての説明をしたわけですが、患者さんの中には、口にこそ出して言う方は少いけれど、このように思っている方は多いだろうと思います。患者さん達にとって我々薬剤師というのは、“先生”というより“薬局のお姉さん”で しかないのでしょうか。

ここで、自分自身の服薬指導を振り返ることにします。頭で分かっていることを、患者さんに分かり易く説明することの難しさは痛感していましたが、あれも言わなくちゃ、これも言わなくちゃと、随分肩に力を入れていた様に思います。ある人に、“同じ事ばかり言ってるね”と言われた事があります。同じ病気、同じ薬なのでどうしても同じ説明になってしまうことを指摘されたのだと思います。

患者さん1人1人の症状や、それに対する不安というのは違っているので、“薬についてこちらから一方的に話す”のではなく、“患者さん自身の話に耳を傾け、それに対して話す”という服薬指導が重要なのではないかと感じたのは、その時でした。

そう感じ始めると色々な事が見え始めてきて、不思議と患者さんとのコミュニケーションも拡がってきました。以前お世話になっていた井上先生に“自分の言葉で話せるようにならなくてはならない”と言われたことがあり、それは1人でやっていかなくてはというプレッシャーのあまり、一所懸命やってるつもりが裏目に出てまわりが見えなくなっていた私に“ガツン”と響く言葉でした。

人の猿真似ではなく、自分のスタイルでの方が、自分と患者さんとの信頼関係が築き易いのではと考えたのもこの頃だったと思います。現在では、服薬指導と認められる程度の多少なりの自信が持てる様になりまし た。

最近嬉しいことがありました。“私の体のことを良く分かってくれているから、別の病院の処方箋もこちらに持ってきていいですが”と患者さんに聞かれました。このことは、私の目指す“かかりつけ薬局”の第一歩となりました。

日頃、土器先生と呼ばれることに気まずさと抵抗を感じていた私ですが、少しだけ“先生”に近付けた気がします。選ばれる薬局こそが私の目標です。そのためにも、これからどんどん変わりゆく医療に遅れをとらない 様に勉強会に積極的に参加し、地域医療の貢献に努めていきたいと思います。

最後になりましたが、薬局開設に際しておしみない助言、御指導をして下さった井上嘉明先生に、この書面をお借りして深く御礼申し上げます。

<急患センターだより> 急患センターに出動して 中央支部 大名部会 (株)薬局白十字 副島昭仁

最近、インフルエンザが流行しています。全国各地で猛威をふるい、老人福祉施設では、91名に上る死者が出ていると新聞で報道されていました。先生方も、うがいと手洗いを励行し風邪をひかないよう注意してください。

さて、急患センターに出動しての感想ということでしたので、ペンをとりました。振り返ってみますと私が初めてセンターに出動したのは、まだセンターが薬院にあり、現在の百道に移転する前の最後の年だったと思います。

このセンターに出動したきっかけは、福岡市薬剤師会より病院勤務や調剤薬局からは多くの先生方が出動されているが、OTC薬局からの出勤者が少ないので、白十字から出てほしいという要請を受けて行くようになりました。

当時白十字は、OTC販売を中心とし、処方箋は眼科や歯科等を受け付けているぐらいでしたので、調剤、特に小児科の調剤に関しては経験がなく、不安の方が大きかったことを記憶しています。薬局長の成澤先生には大変失礼かとは思いましたが、生来の楽観主義も手伝って自分自身の研鱒と思い出動を決意いたしました。

最初の頃は、小児科の処方箋が回ってくるたびに、計量のため電卓とにらめっこでした。私と出動が一緒になった監査の先生方には大変ご迷惑をおかけしたことと存じます。

私にとっては、役に立つことが大いにありました。まず、カルテを見ることにより小児の経過観察や処置法がわかる点、症状に応じた薬剤の選択、個人差による薬用量の決定など非常に勉強になりました。また、職場や経験の異なる先生方と情報交換ができるなど有意義な時間を過ごすこともできました。

一番不安だった小児科について書きましたが、他に内科、外科、眼科、耳鼻科、婦人科もあり、それぞれいろんな勉強になります。いずれ平日急患診療も始まるようです。また、5月からは薬剤師法の改正により、薬剤に関する必要な情報を提供しなければならないようになります。

OTCを主にされている先生方も勇気と好奇心をもって出動されてはいかがでしょうか。先程申しましたように慣れるまでは仕事は大変ですが、それ以上に大きなメリットがあると思います。

前進あるのみです。健康に気をつけて楽しくがんばりましょう。

■■トピックス■■ (社)福岡市薬剤師会 学術担当理事 千阪善弘

ハンコマイシン耐性腸球菌

昨年の年末、ハンコマイシン耐性についての特集がテレビで放映されたが、国民にとっても、医療関係者にとっても一大話題を提供することとなった。抗生物質と薬剤耐性とはペニシリン発見以来いたちごっこを繰返して来ている。

グラム陽性菌感染症に有効な抗菌剤として欧米を中心に用いられてきたハンコマイシンは、25年以上にもわたって耐性菌の出ない抗生物質として貴重な存在であった。

わが国でも1991年から静注用のハンコマイシンがメチシリ ン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療に欠かせない切り札として導入された。

また経口用ハンコマイシンは抗生物質投与によるclostridium difficileによる偽膜性大腸炎の治療薬として導入された。

ハンコマイシンはS t r e p t o m y c e s o r i e n t a l i sの産出する2つの糖(glucose、Vancosamine)と7つのアミノ酸からなる糖ペプチド型抗生物質である。

細菌の生ずるに必須の細胞壁の構造ブロックであるムレインモノマーの一部であるD−alanyl D-alanineに結合して、ムレインモノマーが細胞壁の一部として組み込まれるステップを阻害する。その結果、細胞壁の合成はストップし細胞は増殖することができなくなる。

腸球菌はエネルギー生産過程で酸素を利用することができないカタラーゼ非生産グラム陽性球菌である。腸球菌はかってはレンサ球菌属に含まれていたが、現在は分類学上の別の属として分類されており、“腸球菌”“ E n t e r o c o c c u s ” “ L a n c e f i e l s D群のレンサ球菌”などの名前で呼ばれている。

臨床分離される腸球菌の約90%はEnterococcus faecalisであり、ほかは主としてE.faeciumが分離される。腸球菌の病原性因子としてはβ溶血毒素、バクテリオシン、蛋白分解酵素などが知られており、健康な人の口の中や大腸に常在菌として存在する弱毒菌である。

尿、膿、膣液、喀疾、胆汁、血液などの検査材料から分離され主として尿路感染症から分離されることが多い。院内感染菌の原因菌の1つでもある。

ハンコマイシン耐性腸球菌の耐性獲得方法は、精妙きわまる合目的メカニズムで行なわれており、驚く程である。

細菌の生理的な酵素系で行われている細胞壁の合成は2段階にわかれる。(1)まず、細胞質内で、細胞壁構成ブロック、ムレインモノマーが合成される。(2)それが脂質担体に担われて細胞質膜を通って細胞外に輸送され、そこでtransdycosylaseやペニシリン結合蛋白(PBP)の酵素作用により、既存の細胞壁ポリマーに取り込まれ、細胞質膜を覆う堅固な細胞壁の一部となる。

一方、耐性腸球菌の獲得したプラスミド上には9つの遺伝子が存在する。重要な遺伝子としてvan H,Van A,Van X,Van Y,VanZがある。

Van Hはdehydrogenaseを産生して細胞のなかに大量にあるビルビン酸をD型の乳酸(D−lactate)に変換する。Van AはligaseとしてそのD−lactateを細胞内にあるD−alanineに結合してD−alanyl−D−lactateをつくる。

このD−alanyl−D−lactateは細胞質膜を通って輸送され、transglycosylase,PBPの働きにより細胞壁に組み立てられる。

ハンコマイシンはD−alanyl−D−lactateに対してはD−alanyl−D−lactateに対する結合親和性の1000分の1の結合親和性しかないためほとんど結合することができず、細胞壁の合成が支障なく行なわれることになる。

van XはD−alanyl−D−lactateを分解してD−alanineに戻してしまう。Van Yはvan Xの働きを逃れて細胞壁構成ブロックにとり込まれてしまったD−alanyl−D−lactateを分解してしまう。

Van H、A、X、Yの各遺伝子が連動して機能すれば、細胞内で合成される細胞壁構成ブロックはすべてD−alanyl−D−lactateになってしまいハンコマイシンの作用ターゲットは全くなくなってしまうことになる。

以上のようなプラスミドによる供与菌から受容菌への接合伝達以外にも腸球菌は別の伝達方法を持っている。

それはvan B遺伝子群でvan A遺伝子群に類似のものであり、菌と菌が接触することにより、プラスミドではなく、染色体から染色体へ接合伝達するするものである。

欧米においてハンコマイシン耐性腸球菌が医療環境に拡った原因は、ハンコマイシンがMRSA感染症治療以外のペニシリン耐性肺炎レンサ球菌感染症などのβ−ラクタム薬耐性グラム陽性菌感染症や、家畜の感染予防と成長促進の目的でハンコマイシンと同じ作用機序をもつアポパルシンを飼料に混ぜて大量に用いたためである。アポパルシン耐性は即ハンコマイシン耐性でもある。

わが国でもアポパルシンは6年前よりブロイラーの飼料に混入して用いられており、使用量も年々増加している。将来ハンコマイシン耐性の腸球菌が登場する可能性は否定できない。

臨床と微生物 vol.22 No.5 1995.9
臨床と微生物 vol.23 No.3 1996.5
臨床検査   vol.40 No.4 1996.4


<市薬薬局のコーナー>

[広報]

会議報告

【理事会】

日 時
平成8年12月24日(火)

議 事

1.会長あいさつ
 私の持論として、3月に臨時代議員会をと考えましたが、先の臨時代議員会で皆さんがその必要性を感じてない様子なので、4月に通常代議員会を行うようにします。
 来年度の予算審議を早めにしたいと思っています。各委員会では、来年度の事業と予算について計画をつめてもらって、1月の理事会で討議し2月には決められるようお願いします。

2.報告事項

3.協議事項
(1)臨時代議員会の議決事項について
・九大事業移管問題は市薬への移管ができるよう努力するということで承認された。
・補正予算は否決というより保留されたので補正予算の執行ができない。
・補正予算書の第3款事業費のうち第16項在宅事業関連事業と第17項ホットライン支援事業は承認された。しかし予算がともなっていないので本予算の予備費をあてるためには理事会の承認が必要となった。全会一致で理事会に承認された。
(2)その他
・医療保険審議会建議書についで
・管理薬剤師のための研修会開催について
・市薬薬局の施設改善について
・試験センターの検査機器購入について
・福岡県医薬品計画試験について

(M.I.)

 

【理事会】

日 時
平成9年1月21日(月)

議 事

1.会長あいさつ
 明けましておめでとうございます。本年も忙しい年になると思いますが、皆様の頑張りを期待します。去年の4月、第1回理事会の時に、皆様に権限を委譲し自主的に活躍して頂きたいと申しました。
 1年経って何をすべきか分かられたと思います。去年を振り返り、今年を考える時、今考えているよりもっと多難な厳しい年になると思います。(広域病院や中小病院の急激な院外処方箋発行、介護保険への他業種の参入など)
 このような状況をふまえて、皆様には来年度の基本的な事業と予算を考えていただきたいと思います。今までやってきた事の踏襲では対応できない年になると思われるので発想の転換をはかってもらいたい。
 (例えば薬局委員会の名称をその会の目的と性格がはっきりわかるように改名する等)
 新しい発想で今年1年宜しく。

2.報告事項

3.協議事項
(1)来年度の事業計画について
藤原会長より
・支部への補助金の体制変更 特別会費の1円を各支部に返すと補助金の増える支部と減る支部があるので検討が必要
・試験センターの改革 ビル管理(学校の受水槽の管理)事業の充実、薬局製剤試験の充実(PL法に対応できる)
・在宅と介護保険の浸透 将来、大きな柱になるので各委員が協力し、支部ですること、市薬ですることを考える。
南島専務より
・代議員会は4月26日に行う。3月の理事会では予算を決定。
川上常務より
・組織の強化と在宅を柱に

(M.I.)

 

【支部長会】

日 時
平成9年1月27日(月)

議 事

1.会長あいさつ
 おめでとうございます。来年度から重点的にやっていきたいこととして試験センターの改革があります。委託予算の増額を要求中です。また中身をきちんとして検査体制を充実させたいと思っています。
 2番目に在宅医療の推進があります。市行政の改革により、区役所が主体となり各支部の対応が重要となってきます。平日夜間の診療問題ですが、予定より遅れそうだということで聞いています。

2.委員会報告

3.協議事項
(1)来年度の事業計画
・試験センターの改革
 具体的には各委員会で検討する。
・在宅医療の充実
 薬剤師会だけでは難しい面もあり、区役所との対応が大事である。
・日程予定
 代議員会 4月26日(土)予算事業報告
 支部長会 2月25日(火)3月25日(火)(第4週の火曜日を定例としたい)
(2)ホットラインの実施状況について
東支部:2件 保健所の方を呼んで講演会を行なった。在宅と混同している。
博多支部:3件
中央支部:4件 情報は507件あり他地区に住んでいる家族の方からの情報がほとんどで、
        民生委員から1割、医師より1割、薬局は1%とのこと。
城南支部:0件
早良支部:10件 民生委員より会合をという話があった。
西支部:0件 西区では民生委員より4割、医師より3割の割りではないか。
南支部:6件
(3)その他 「くすりなんでも相談」について再度提案する意志があるかどうか質問があり、執行部としては大事な問題であるとの認識を示した。
モデル事業について
・博多区は服薬実態調査の分析中で、結果は3月の薬学会で発表の予定
・南区は11月18日、目薬にて説明会、11月28日南区モデル事業委員会設置、12月6日三師会への協力依頼、12月13日南区処方検討会でモデル事業に関する説明会、12月16日南区在宅医療検討会、11月7日症例の選定、1月13日第1回検討会にて現在にいたっている。
(4)薬連に関して
薬連に関しては12月で決算なので、2月21日に部会連絡協議会を開きたい。

(Y.U.)

 

委員会報告

【広報委員会】

日 時
平成8年11月30日(土)

議 事
○ 新年号の原稿の回収
日薬長崎大会の特集のため原稿、写真がいつもより多い。
○ 今回は作業の合理化(時間短縮)のため、一校(第一校正)は北島常務に一任。(新しい試み)二校は、各委員が分担して行う。
○ 構成を今までとかえて、表紙から数ページはグラビアにしてはという意見を採用して、新年号で試みる。
○ 表紙の写真を工夫したい。(カラーに?)
○ 広告を市薬ジャーナルにのせることの是非を検討。
○ 広報委員会の予算が心細い。
・支出の明細の検討(発送費など)
・毎号80ページを越えている。
・今年度は実質4、5、7、9、11、1、3月号の年7回発行予定。
・外部の方などの原稿が増え、謝礼やジャーナル送付料が増えた。
(その他諸々のそれなりの事由有)

 

【組織委員会】

日 時
平成8年11月27日(水)

議 事
第14回市薬懇親ボウリング大会の打ち合せ
○ 案内状の内容検討
市薬ジャーナル新年号掲載
役員の方々への送付について
○ 競技規定
支部対抗戦と個人対抗戦を同時進行し、スコアーは両方の表彰対象とする。(支部対抗戦は、各支部代表者4名とする。中央支部の9レーンを使用)
参加資格
支部対抗…A会員、B会員及び市薬職員
個人対抗…A会員、B会員、市薬職員及びその家族、従業員
○ 懇親会の段取り
○ 参加メンバー他は、次回の12月12日の組織委員会で、大筋をつかむ。

日 時
平成8年12月12日(木)

議 事
○ 第14回市薬懇親ボウリング大会
・各支部参加者の最終締め切りをH9.1.13とする。
・競技規定の確認
・懇親会の式次第について
○ 管理薬剤の研修について(H9.1.12)
・組織委員会の役割分担の確認
・各支部を通じて、参加者促進を行う。
○ 未加入薬局の状況報告
○ 医療保険制度改悪に反対する運動署名の協力要請
○ 定款改正及び選挙規則について論議

日 時
平成9年1月9日(木)

議 事
○ 管理薬剤師研修会最終打ち合せ(役割分担の確認)
○ ボウリング大会の準備状況
(1月20日に参加者名簿〆切り)
(1月23日、大全進行の細かい部分の打ち合せ予定一関係者4名)
○ 定款の改正及び選挙規則について継続討議
○ 各委員会の活動状況について説明(細井、川上)
(組織委員として、全体の把握を促す。)

日 時
平成9年1月23日(木)

議 事
第14回市薬懇親ボウリング大会(2/2)大会運営の最終打合せ
○ 大会参加者の最終チェック(134名予定)
○ 役割分担の確認
○ ゲーム終了後の表彰式並びに懇親会の式次第について
○ 当日の備品搬入のチェック及び搬入者の確認

【組織・薬局合同委員会】

日 時
平成8年12月6日(金)

議 事
「管理薬剤師研修会」〜管理薬剤の責務について〜
日 時 平成9年1月12日(日)午後1時〜
場 所「明治生命ホール」8F
演 題
(1) 「薬事法改訂に併う薬剤のあり方」
  福岡県保健環境部薬務課 監視係長 中島久裕
(2) 薬局のグランドデザインについて」
  日本薬剤師会 常務理事 中西敏夫
以上、講演会実施について、準備、役割分担を決定。

 

【在宅委員会】

日 時
平成8年12月5日(木)

議 事
○ 副会長あいさつ
○「在宅医療における薬剤使用の実態調査及び事例集作成事業」に関する日本薬剤師会・会合に出席の末田先生の報告
 末田先生・柴山委員長を中心に福岡市薬剤師会の事業として発足
 フォーマット作成・・・12月いっぱい
 事業・・・来月よりスタートの予定
○ 地域・福祉を考える講演会(12/8)協力の要請
○ 聴覚障害者の方から要望のあった街角FAX設置(緊急時のみ薬局内FAX開放)、方針案決まる
○ 10月、11月のホットライン紹介データーについて

日 時
平成8年1月13日(月)

議 事
○ 副会長、委員長あいさつ
○ 各支部の今年度の反省
・ミニドック・各種ガン検診のパンフレットの配布は各支部でばらつきがあった
・ホットラインの認識が各支部ともとてもひくかったため、結果としての数字が出て来ていない(数件のみ)
○ 来年度の計画
・ミニドック、各種ガン検診のプリントの配布徹底
・ホットラインに対しての認識の周知徹底と質の向上
・訪問看護ステーションへの訪問ボランティア斡旋予定

【薬局委員会】

日 時
平成9年1月20日(月)

議 事
報告事項
○ 管理薬剤師研修会(1/12)の報告(出席295人)
○ 各区健康フェア報告書提出確認
○ 薬局製剤小分薬品値段訂正の件(FAXで流す)
○ 薬局製剤・薬袋印刷の件(印刷機使用)
  紙持参…無料  紙なし…1枚10円
協議事項
○ 平成9年度事業計画(案)
・市薬会員対称薬草観察会
・あいれふ主催薬草観察会の協力
・薬局製剤研修会の実施
・「健康教室」講習会
・「病気体験発表」講習会
・「お薬の手帳」作製検討
・各区健康フェアへの協力(4、5、6)は未定
○ GET THE ANSWER推進

 

【社保分推委員会】

日 時
平成9年1月17日(金)

議 事
○ 2〜3月広域病院訪問スケジュール表の作成
東 区)1 早良区)4 博多区)1 西 区)3
中央区)4 南 区)2 城南区)1 計16軒
○ 薬局の各区別一覧表の作成
○ ゲット・ジ・アンサーズ・キャンペーン
 タイムスケジュール表の作成
○ 処方検討会の製本化
○ 九大病院応需申請薬局の研修について
○ 支部処方検討会の見直し

 

【市薬薬局委員会】

日 時
平成8年11月16日(土)

議 事
○ 10月分業務報告 先月11.7%−>12.4%になる
○ ドアストッパー取付けの報告−とりあえずの処置
○ 来年4月よりの薬剤情報提供用コンピューター用プリンターが購入されました
○ クリーンベンチ来期へ
○ 九大オーダリングによる応需薬局研修の件
・まだ九大の処方及びマニュアルを市薬薬局は見た事がない。研修出来るかどうか、不安である。
○ お薬のなんでも相談一委員会を別に設置
○ 29日、視察者対応の件
 総合 光安副会長
 個別質問の受付 入江
 市薬薬局の運営管理 江田薬局長

日 時
平成9年1月14日(火)

議 事
○ 12月分の報告
○ 二階トイレ増設
エステイ・アナイ 見積り出る
他社の見積りも取り比較してみる
○ 九大の備蓄の件一主に医療センターの分しかない為検討
○ 昨年の反省
・拡散は計画的に
・会員の講習会が出来てない
・職員のオーバーワーク
・インターネットを活用してない
○ 来期の予定
・トイレ増設
・介護用品の販売
・クリーンベンチ継続審査
・薬歴のマニュアル化
・情報用のコンピューター導入
・在宅開始

 

支部だより

【早良支部】

生活リハビリ教室講演

1月23日、原団地集会場で開かれました薬務謀主催の「すこやかライフくすりのセミナー」に参加させていただき、1時間ほど「くすりとの上手なつきあい方」というテーマで話をさせていただきました。

出席の方々は「生活リハビリ教室」に参加されている方々で、ほとんどがお年寄りでした。それにこの教室を手伝われているボランティアの方と保健所の保健婦さんと薬務課からとで35〜6名だったと思います。

リハビリ教室という事で、基本的に皆さん病気を抱えており、話は最後までちゃんと聞いていただき、後では質問も出されていました。

質問しましたところ、
・薬を継続して服用されている方−約9割。
・2ヶ所以上の病院にかかっている方−約5割。
・薬を処方箋で薬局からもらっている方−3名。
・2ヶ所以上の薬局から薬をもらっている方−1名でした。

県の資料で「もっと身近にくすりのはなし」という10ページ程の小冊子が皆さんに配られましたので、出来るだけそれに沿って『くすりを正しく使うとは』と『医薬分業とかかりつけ薬局とは』という内容を中心に話をさせていただきました。

ちょうどインフルエンザが流行っていましたので、「カゼの予防には栄養を十分摂らないといけませんが、胃腸の弱い方が無理矢理摂るのは逆効果になりますよ」というような話を交えながら、インフルエンザの話とカゼの予防の話から始めました。

又、ニュースで2050年には65歳以上が総人口の宛を占めるという話がありましたので、「老化と病気」という事で、如何に健康に過ごすかは、機械と同じで如何に体を大切に扱うかという事です。結局一般によく言われる「早期発見・早期治療」が大事なんですよという話からくすりの話に入っていきました。『くすりを正しく使うとは』『医薬分業とかかりつけ薬局とは』という内容の話が主になりましたが、次のような話をさせていただきました。

お医者さんは患者さん一人一人に合わせて薬を処方されます。そして処方した薬はきちんと服用されているという前提で治療されています。しかし現実には薬を飲まずにいっぱいため込んでいる方がいらっしゃいます。飲まなかったのは済んだことなので仕方ありませんが、飲んでいないという事は必ずお医者さんに伝えて下さい。何故かお医者さんの前に行くと、無口な良い子になる方がたくさんいらっしゃいます。

お医者さんには自覚症状も含め必ず正直に話してください。決してお医者さんは恐くはありません。疑問があれば勝手に判断しないで必ずお医者さんや薬局の薬剤師さんに聞いてください。お医者さんに聞き難いという方がよくいらっしゃいますが、そういう方はかかりつけのお医者さんと同じように「かかりつけ薬局」を持ってください。

薬局の方が聞きやすい事は多いと思います。これからは皆さん自分のために薬局をもっと利用してください。

これからは処方箋を出される病院が増えてくると思います。今は、処方箋を出されている病院のすぐ横や近くに大抵薬局があると思います。そういう薬局の事を「○○病院の薬局」というように言われている事があります。

確かにその病院の調剤を主にされてますので、薬局もその病院の続きのように見えますが、医療機関としては病院と薬局は全く別のものです。

だから、病院で処方箋をもらったら、必ず横の薬局で調剤してもらわないといけないという事ではないのです。処方箋1まどこの薬局に持って行かれても構いません。もし、何時も相談している薬局があるとか、家の近くで相談しやすい薬局があるとかいうのであれば、そちらの薬局に持っていかれて構いません。

又、2ヶ所以上の病院から処方箋をもらわれていれば、出来るだけ1ヶ所の薬局で調剤してもらってください。そうすれば、薬の相互作用もチェックも確実にでき副作用の予防になります。確かに横の薬局の方が時間的には非常に便利ですが、これからは自分の健康管理に便利な薬局をさがしてください。病院で処方される薬は勿論ですが、大衆薬、健康管理の相談等何でも相談できる薬局、そういう「かかりつけ薬局」を持ってください。

最後に「薬」という字は「楽(らく)」になる「州(くさ)」と書きます。全く効果が無いとか、まして具合が悪くなるというのは本来の薬の目的とは違うのです。しかし、薬には副作用という問題は避けられません。副作用を如何に少なく、そして如何に少ない薬で効果を上げるか。その為に「かかりつけ薬局」を持たれ、もっと薬剤師を利用されて健康に長生きしてください。という事で終わらせていただきました。

質問があり「病院と医院はどう違いますか?」とか「噛んでのんだらいけない薬がありますが、何故ですか?」というのがありました。質問そのものは珍しい内容ではないのですが、お答えした後に言われた言葉が「病院と医院は博士号を持っとらっしゃるかどうかかと思うとりました。」「噛んだらいかんのは、歯が悪くなるけんかと思うとりました。」というものでした。一寸意表を突かれました。

以上報告いたします。

(福岡英樹)

 

1月23日(木)10時より、対象者として23名、ボランティア10名、保健所より松藤民地9名、県の薬務課より山浦氏が集まり原団地集会所にて県薬務課発刊の「もっと身近にくすりのはなし」の小冊子をもとに温和豊薬局の福岡先生が講演を行なった。

「ふれあいサロン」は現在早良区内に13ヶ所あり、高齢者の生きがいと交流の場を広げる意味で、40歳以上の方で、身体の不自由な方や、虚弱な高齢者のかたを対象にボランティアがお世話をしている。その中の「大原さくら会」では今年に入って、1月9日初釜、1月16日レクリエーション、1月23日講話(本日)、更に1月30日節分、2月6日レクリエーション、2月13日作品づくりなど3月末日までプログラムをつくって頑張っておられる。

今後はこういった高齢者を対象としたボランティア活動はますます増えていくのではないだろうか。薬剤師として地域、保健所、薬務課、あいれふ、病院などと深く関わりながら高齢化社会へ臨むことが大切なのではないだろうか。

薬務課より「医薬品の適正使用」「分業」「かかりつけ薬局」については充分説明してくれるようにとの要望があった。そこに薬務課の地道な活動が感じられた。

10分ほど座ったままの体操があり、1時間の講演があった。私は先に帰らせていただいたが帰り道、温和望薬局のガラスには「講演のため昼前は休ませていただきます」の黄色の張紙があった。

(上村義徳)

 

【東支部】

在宅ボランティア 〜新しい試み/東支部で第1歩〜

在宅医療に、薬剤師の参加と在宅患者訪問薬剤管理指導料が認められて早3年目。処方箋に基づいて行われる在宅訪問医療への薬剤師の参加と活動は少しずつ進んでいます。なぜ少しずつしか進まないのでしょう。色々な原因が考えられますが、医師が薬剤師の働きについてご存じない事が大きいと考えられます。

薬剤師が参加する事により、コンプライアンスがまず良くなります。薬に対する不安・不信・恐怖心を取ってあげる事ができます。また薬の飲み残しや数のバラツキが調整されます。その結果、抑圧や血糖は医師の診断通りにコントロールされ、医師にも患者さんにも感謝されています。看護婦さんも薬から解放されて喜ばれています。

患者さん達は、自分が服用している薬は何なのか、知りたいと熱望しています。ここで今こそ薬剤師は役に立つべきです。処方箋の発行を待っていては、薬の情報が欲しいと言う患者さんの願いをかなえる事はできません。

在宅のフィーはつきませんが、ボランティアで在宅の患者さんに情報を届けます。その方法として訪問看護ステーションの看護婦さんと一緒に回ります。まだ見ぬ患者さんの力になれるように、ボランティアで訪問します。

先日ファックスで募集しましたところ、多数の申し込みがありました。勉強会を重ね、行動開始の予定です。皆様、不安と希望を胸に張り切っておられます。

(入江理柘)

 

「東区三師会の集い」レポート

日 時 平成9年1月24日(金)午後7時
場 所 福岡リーセントホテル

今年も「東区三師会の集い」が行われました。この会も、今回で早7回目を数える事になりました。毎年、医師会−>歯科医師会−>薬剤師会と幹事が代って持回りとなり、今年は医師会の番でありました。医師会、松田先生の司会で、和やかなムードで進行しました。中でも、医師会御自慢の混声合唱団は毎年感心させられます。

人数も100名近く集まり、薬剤師会からも今年は29名も集まりました。来年の幹事の歯科医師会会長の御挨拶で締められ閉会となりました。

東区にはこの他にも毎年三師会のゴルフコンペもあり、年2回の親睦が行われています。

(加藤正剛)

 

〜第14回市薬懇親ボウリング大会〜

大会当日2月2日は折りあしく雨の日曜日になりましたが、会場の城山スポーツパレスは参加者のファイトと家族連れの子供たちの元気で活気に満ちていました。

わが東チームは松井先生を監督に加藤先生、仁田脇先生、佐々木先生と強豪ぞろい。1ゲームは順調でしたが、2ゲーム目には3人が不調だったにもかかわらず、佐々木先生が一人気をはきムードをたて直し1点差の優勝をものにしました。

個人戦でも10名の参加者のうち4名が賞に入りました。若い方の力も充実し将来も楽しみ。藤原会長より手渡された優勝トロフィーを前に皆で祝杯をあげました。松井先生の優勝の言。「1点差の優勝は神様の贈物」。

賞金の一万円は10人で仲良く山分けしました。ちなみに優勝トロフィーの東区優勝と書かれたリボンは8枚ありました。まだまだ増えそうです。

来年はあなたも参加しませんか!!

 

【南支部】

南支部は日薬のモデル事業「在宅医療薬剤管理実態調査」で充実した、しかし慌ただしい日々を送っています。在宅医療の中で薬剤師の職能をみつける努力に明け暮れ、支部長、専務は日薬の会議に日帰りで奮闘し、会員の方々も頑張って戴いています。在宅委員を中心に三師会、保健所にも協力をお願いして委員会を作りました。介護保険の設立に伴いケアプランの中に必ず薬剤師が介入できるよう、力をつけておかねばなりません。薬剤師の目を通した在宅ケア、いい知識と知恵をお貸し下さい。

医師会、歯科医師会にお願いして、症例も増やして行き、多くの薬剤師に「在宅服薬管理指導」をして戴く予定です。新年に入って各部会の三師会懇親会を続けています。南支部の医師会、歯科医師会、薬剤師会を8部会に別けて各地区で根差したチーム医療の連携を広げています。和気蔑々とした雰囲気の中で今後の厳しい医療界の話題など検討し合っています。

1/21に始まり最終は3/14に終わります。今年は薬剤師会の担当ということで、支部長、専務は全部会に出席し薬剤師会のPRに努めています。

1/10 処方検討会 アミカス 社保委員会
    1.九州医療センター腎、高血圧内科疾患について
    2.輸液の種類と使い方
1/13 南区医師会内科医会 西鉄ソラリア
    「インフルエンザについて」加地正郎先生
    薬剤師会も南区医師会内科医会の勉強会に参加しています。

 

【西支部】

西支部役員会

日 時 平成8年12月14日(土)午後7時30分
場 所 馳走亭
議 題
イ 各委員会の報告と今後の予定
口 健康フェアの反省
ハ 12月10日臨時代議員会の報告
ニ その他

全員出席といいたいところですが、1名欠席、どこへ行ったのかと議題イ、ロ、ハと終了後は盛り上がりの中、男性ばかりの西区役員会にも、多忙の中、太田誠一夫人がかけつけられ、夫人のお父様、亀井元県知事の話題で締め、会を終了した。

西区三師会役員懇親会

2月12日(水)7時30分、粕ひろ(姪の浜)にて、西区三師全役員懇親会を歯科医師会の主宰で行った。面分業の医師会への呼びかけはかなり進んでいるのに対し、歯科医師会への活動が不充分であったと反省するばかりであった。

歯科医師会の先生より、処方せんを出したいが受けてくださる薬局があるだろうか、という質問が多かった。手持ちの薬がなくなってから処方せんを出さなければいけないだろうからなかなか出せないという声もあった。近くの薬局で薬価で買いとり、出していただくよう話し合ってみるなど対策はうてるのではないでしょうか。

2次会では、西区歯科医師会、矢田会長の店?で矢田会長バーテンダーで大ハッスル、当番とはいえ、歯科医師会の先生方どうもおつかれさまでした。

早良区・西区合同学薬会
2月22日(土)午後7時、ジャンボ焼肉にて、早良、西台同学薬会を行なった。1年に1度の顔合わせです。今回の出席では満足できる出席状況ではなく残念であった。今期でおやめになる先生方大変お疲れさまでした。これからもアドバイスを頂くこともあるかと思いますが、その折はよろしくお蘇い申し上げます。

(津田和敏)

 

【城南支部】

処方検討会

日  時 平成8年12月12日(木)午後7:00
場  所 城南市民センター
参加人数 28名
発 表 者 調剤薬局ウェル 堀 美景先生

調剤薬局ウェル、勢島先生より「これからの処方検討会はSOAP方式でやりましょう」という申し出があり、偶然にも私も同じ考えでしたので、是非にとお願い致しました。

当日は28名近くの参加者あり、若い掘先生に勉強の成果を発表してもらいました。期間が短かったわりには、一生懸命にSOAPチャレンジしてもらい、先生の日常の薬局業務の一端を垣間見たような気が致しました。

若い先生達がこういう経験をつむことはこれからのファーマシューテイカルケアの一つをマスターしていくものと恩いました。

発表後、各先生からの質問、意見等でディスカッションも盛り上がりました。本来の処方検討会に戻ったような気がしました。


日  時 平成9年1月16日(木)午後7時
場  所 城南市民センター
参加人数 33名
発 表 者 ライオン薬局 東 美代先生

東先生には積極的に取り組んでもらい、少しレベルの高いSOAP方式での処方検討会にしていただきました。随所に勉強された箇所が見受けられ、はきはきと発表されて好感がもてました。いろいろな質問が飛び交い、ディスカッションにも発展していきました。

城南の先生方も2回目のSOAPによる検討会で、POS、SOAPのことが少しでも理解できたと思います。このことが先生方の薬歴を書くにあたっての参考の1つにでもなればいいと思っています。まずは小さな実践から・・・。


平成9年1月16日
ライオン薬局 東美代
科名:腎・高血圧内科
性別:女 年齢:62才

01 ノルバスク錠2.5mg 2錠 1日1回 朝食後28日分
02 マーズレンS顆粒2g 1日3回毎食後 医師の指示通り28日分
03 ポララミン復効錠6mg 1錠 1日1回 寝る前14日分
04 ポルタレンサボ50mg 28個 1日2回 医師の指示通り
05 ヒルドイド(20g) 2本 医師の指示通り
  **以下は余白**

(S)Subjective 主観的情報

・年齢62歳 女性 体重50kg 身長150cm
・薬物アレルギーなし アレルギー体質有り(肌弱い)
・前回(1/11)と同じDo処方:28日に1回医療センター通院
・30数年前よりリュウマチ 現在、手足かなり変形 ほとんど外出はしない
・長年お手伝さんがお世話
・10年前高血圧が原因で、くも膜下出血で倒れる現在、高血圧(不整脈有り)
・6年前、十二指腸潰瘍摘出
・1年前より老人性掻痒症−特に夜痒みがひどくて眠れず
・夏、肘の外傷にアロエを直接塗布−>かぶれる

(O)Objective 客観的情報

H6.10.12
国立病院九州医療センター 初診
内科 (1)ノルバスク2.5mg 1T 1×朝食後 14日
整形 (2)リマチル100mg 1T  1×朝食後 28日
   (3)ポルタレンサボ50mg 28個
    1ヶ月に2回通院
H6.12.5
内科 (4)ノルバスク2.5mg 2T 1×朝食後 14日
   (5)ウルソ100mg 6T   3×食後  14日
整形 (2)do 28日
   (3)do 28個
    1ヶ月に2回通院
H8.1.12
   (4)do 28日
   (6)マーズレンS顆粒 2g 3×n   28日
   (7) ポララミン6mg 1T 1×寝る前 14日
   (3)do 56個
   (8)レスタミンコーワ 20g
    1ヶ月に1回通院

    現在に至る

(A)Analisis & Assesment 分析と評価

※ノルバスク “副作用”

循環器:
 ときに眩卓・ふらつき、動悼、浮腫、昭房又は房室ブロック等、また、まれに期外収縮、胸部不快感があらわれることがある。

 消化器:
ときに堰気・嘔吐、心寓部痛、下痢、軟便、便秘等があらわれることがある。

過敏症:
 ときに発疹、また、まれに掻醇感があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

〈参考〉
Ca結抗薬は現在β遮断薬、降圧利尿剤、ACE阻害薬、α遮断薬等と同様に、降圧薬として世界  中で使用され、高血圧治療薬としての地位を不動のものとしている。しかしCa桔抗薬は血圧を下げる薬としてもともと開発されたものでなく冠血管拡張作用を持った狭心症治療薬として開発されたものである。

 普通に考えればCa桔抗薬は血管拡張薬の一つであり、投与されれば末梢の細小動脈が拡張して血圧が下がるのは理の当然である。メカニズムの研究の途中で当時の西独のフライブルク大学教授のFleckensteinによってCaアンタゴニストと命名されたのであるが、薬理学定義から見て合理的な名前でない。

 Ca桔抗薬といえば普通の括抗薬の様に受容体でCaと競合しそうなふうに先入観なしではとらえられるが、本当はCaの細胞内流入を抑制することにより平滑筋の弛緩や、心筋収縮力抑制を来す薬である。

患者からの訴えベスト3
 1 頭痛
 2 顔のほてり
 3 動悸

※ポララミン

“一般的注意”
 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操任には従事させないよう十分注意すること。

“慎重投与”
 :狭窄性消化性潰瘍、幽門十二指腸通過障害のある患者
 [抗コリン作用による平滑筋の運動抑制、緊張低下がおこり、症状が増悪する
  おそれがある。]
 :高血圧症のある患者
 [抗コリン作用により血管拡張が抑制され、血圧が上昇するおそれがある。]

※ポルタレンサボ

“禁忌”(次の患者には投与しないこと)
・消化性潰瘍のある患者(消化性潰瘍を悪化させる)
・重篤な高血圧症のある患者(プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧をさらに上昇させるおそれがある)

(Pr.)Problem 問題

(1)不整脈が少しある:ノルバスク2.5mg長期投与で増強されることはないのか?
(2)ポララミン長期服用:高血圧、潰瘍摘出後に影響はないか?
(3)ボルタレンサボ連続使用:十二指腸摘出後に影響はないのか?

(P)Plan 治療計画

※長期服用、坐剤使用で患者から不安、訴えはない。
(1)28日に.1回の医療センター通院の際、血圧、心電図検診を欠かさないこと
  (ノルバスク2.5mgのコンプライアンス指導)
(2)ボルタレンサボ50mg:使用のチェック!(使い過ぎに注意)
  保管:冷蔵庫(残薬より使用すること)
(3)ポララミン服用:拝みがひどい時のみ服用すること
(4)食事のアドバイス:グレープフルーツジュースは控える


以上が私達、城南支部の処方検討会ですが、実質的には40分前後の時間を使っています。その他はメーカー講演(関連性あるテーマ中心に)が1時間くらいあります。残った時間約20分間を支部会長挨拶、連絡、そして各役員(薬局、組織、広報、在宅、社保)の報告にあてています。

ちょうど9時に終わりますが時間が少し足りないくらいです。これも支部活動の1つです。出席者も徐々に多くなってきています。まだまだよりよい企画をして充実した検討会にしていきますので、ご協力よろしくお願い致します。(他の支部の先生方の参加も歓迎します。)

(瀬尾 隆)

いまいづみ日記

広報委員として1年、多くのことを学んだと思う。理事会・支部長会にも出席させていただき、問題意識を持つようになってきた。多くの頑張っておられる先生方の人格に多少なりとも触れることが出来たし、私にとっては良い刺激となった。広報委員も精鋭が集まっており、

 広報の母
 広報の良心
 広報のプレーン
 広報の鷹
 広報の太陽
 広報の目
 広報の豹
 広報の海
 広報のコンピューター

などと仇名をつけてみたが、私などなかなか仇名の中に入り切れない。

それにしても今年2年目は多くの難題がありそれをどのように解決していくのか、理事の先生方あるいはまた日薬の動きなどをしっかりと見つめていきたいと思う。問題意識を持つようになったが、まだまだ知ら ないことが多い。在宅にしても時々刻々と変わっているし、新しい情報についていかなければ状況が分からなくなってくる。

南区の在宅医療のモデルなども気になる。情報提供の問題にしても、ジャーナルの1月号に掲載された高知医大の判例もあり、かなりシビアな考えを持っていないといけないのではないかと思う。

 全てを受け入れ
 前向きに良い方向へ
 正確な知識を持って
 あるときは鋭い爪で批判し
 しかし広く温和に
 全てを見通す目を持ち
 ただちに問題に飛びかかり
 静かに深く落ち着いた表現で
 理知的に素早い判断を

そのような広報委員でありたい。広報委員の2年目は皆新たな気持ちではりきっています。

(Y.U.)

【学薬のページ】 第5回 理事会報告 理事 女賀信子

日 時 平成8年12月2日(月)
場 所 てら岡
出席者 藤原会長、細井、木原各副会長
    有馬常務理事、吉村、坂田、竹尾、中野、深見、井上、女賀各理事
    野口、井原各監事
議 題
1)会長あいさつに続き平成8年度秋以降参加の各学会状況報告が行われた。
(1) 平成8年度学校環境衛生研究協議会
   (10/24・25)前号市薬ジャーナルにて報告済み
(2) 第29回日薬学術大会(11/3〜4)長崎市
(3) 第46回全国学校薬剤師大会
   全国学校保健研究大会(11/13〜15)佐賀市
   出席者 藤原会長、細井・木原各副会長、木村先生、瀬越先生

2)市立学校2学期飲料水水質検査と学校給食センター職場環境調査報告
(1) 水質検査結果(2学期)
   理化学検査及び細菌検査に於て不適の学校はありません。
(2) 遊離残留塩素濃度が基準値以下の学校を区別に表わすと

基準値が及ばない原因は受水高架槽の老朽化他各学校によって異なります。該当校は教育委員会に報告し、施設の改善等の申し入れを行う必要があります。

(3) 飲料水の搬入状況は、採水当日の搬入を守れなかった所が11校ありました。デークーの信憑性に関わる重要なルールですので、今後は厳守をお願いします。

2学期、学校給食センター職場環境調査報告

10月14日(月)〜18日(金)に市立学校給食センター(郡の津)、有田、柳瀬、箱崎の各支所に於て、食器具の洗浄消毒状況、空気環境調査、照度環境調査が試験センター職員により実施された。各施設共、澱粉性残留物、脂肪性残留物試験に於て、食器や食缶蓋の曲がり角に、一部残達が認められた。

又、試験対象となった汁椀にフォーク等によると考えられる無数の細かい傷があり、交換の必要性が報告された。空気環境調査に於ては、施設設備機械の作動(例、自動食器洗浄の熱湯くんの運転や、エアーカーテンの開閉等)により、浮遊粉じん、気動、落下細菌落下真菌等の環境レベルが変動している。

 

第29回日本薬剤師会学術大会
学校薬剤師分科会 報告
理事 竹尾禎二

(1) 平成7年度学校保健調査報告

(2) 特別講演
   「いのちあるものの未来のために今何をなすべきか」
     長崎大学薬学部名誉教授 有害敏彦
〔要旨〕
 現在の社会経済活動が続けば、2025年頃に地球は人口80億、食料不足、貴重資源の枯渇、環境劣悪化(オゾン・酸性雨・温室効果ガス等)のため人類最初の危機の到来が予想される。その対策として現状の正確な情報の開示が必要であり、その情報を把撞認識して、未来のために環境負荷の少ない小さな社会システムに変えていく以外に道はない。

(3) 教室二酸化炭素濃度測定を行っての一考察
     釧路市学校薬剤師会

(4) 学校砂場の消毒と検査についての一考察
     八戸市学校薬剤師会
〔要旨〕
 学校プールに使用している次亜塩素酸Na液等で100〜200mg/リットルの塩素液約100リットル/日を作り、それを砂場(約30m2)全体に1週間散布し、夜間はシートで覆った。
 検査結果は大腸菌群数は、大巾に減少し、糞便性大腸菌・食中毒病原菌(サルモネラ・ブドウ球菌)についても陽性度が低下したので、塩素剤の消毒が有効であると確認された。
 砂場の対策として抗菌砂(高価)・焼砂(作業が困難)等の方法があるが、塩素剤による消毒方法が、コスト面・作業面・安全面においてすぐれており、夜間はシートで覆い犬猫の侵入防止をはかればより有効である。但し、塩素消毒後においても無菌状態になるわけではないので、砂場等の使用後の手洗い指導を徹底させねばならない。

(5) 熱風消毒保管庫の温度管理について

(6) プールの細菌検査結果に及ぼす要因について
     岐阜県学校薬剤師会
〔要旨〕
 プール水定期検査中、大腸菌群が陽性となった検体のうち、残留塩素が検出されているものもある。
 このため、大腸菌群が陽性となる要因について、種々、検討を行った。結論としてはプールのすべての場所で少なくとも0.4mg/リットル以上あるように管理されていれば大腸菌群は検出されない。
〔報告者注……残留塩素が0.4mg/リットル以下(0.1〜0.3mg/リットル)の場合でも、プール水中の有機物やPHによって消毒効果(殺菌力)の減少が考えられるので、大腸菌群を検出させないためには、0.4mg/リットル以上の濃度が必要となります。〕

(7) 水質検査での大腸菌群確定時間について
     岡山県検査センター
〔要旨〕
 同センターにおける本年度学薬会員依頼の飲料水及び給食器具の検査件数は、大巾に増加した。これはO−157食中毒の影響であると思われる。同センターでは、簡便かつ短時間で大腸菌群を判定できるコリターグL−50を応用し、良好な結果が得られた。

 

第6回理事会報告

日 時 平成9年1月17日(金)
場 所 市薬会館 第一会議室
出席者 藤原会長、細井・木原各副会長
    有馬常務理事、竹尾・中野・吉村・深見・坂田・井上・女賀各理事
    野口監事
議 題:
○ 次年度新規事業
次年度から開放プールの水質検査は、試験センターへ移行したい。
○ 学校給食センター職場環境調査
今年度2学期から試験センターに移行された同調査は次年度も引き続けられる。
○ 薬物乱用防止啓蒙活動が、今年度の研究
課題として残されている。堀家直二先生、大神信勝先生、両講師を招いて2月15日(土)研修会を開催する。
○ 病原性0−157への対策は昨年に引き続き、磐石の注意を払って頂きたい。
○ 教育委員会から水質検査に於いて以下の4点が要請事項として挙げられましたので、厳守願います。
1.採水当日の搬入。
2.採水前の手指の洗浄消毒および給水栓等の消毒。
3.10分以上流水した後の採水。
4.運搬時の検水の保冷。(約4℃)
その他、デークーの比較検討には採水場所は固定するのが望ましいと思われます。

頓服

広報のこの1年に思う

 昨年4月、各支部推薦の委員の先生方をお迎えし、新しい広報委員会が発足した。
 私には初対面の上、広報の仕事は初めてという先生が殆どだった。しかし、なによりも良い会報を作ろうという熱意あふれる素晴らしい先生方ばかりで、この1年、力を合わせ無我夢中で会報づくりに取り組んできた。
 お陰で、回を重ねる毎に意見も活発にお互いうちとけた仲になり、さらに、前期からの経験を生かした北島委員長の持ち前のリーダーシップで見事なチームワークづくりができていった。
 今までの年4回から新しく隔月6回発行となり、それに追い付くために、慣れないなかで委員会は深夜になることもしばしばだった。ほんとに皆様に大変ご苦労をお掛けしたと今も忘れられない。お一人ずつお顔を思い浮かべながら感謝申し上げている。
 やがて2年目を迎えるにあたり、
 (1)会員に伝えたいことは何か
 (2)会員が知りたいことは何か
 (3)それをどう紙面に実現するか
 (4)予算を有効に使うためにも、編集段階や制作段階その他で改善すべき点は何かなど
 皆で広報の使命を話し合いながら、役立つ会報づくりに一層精出していきたいと願っている。

(細井徹一)

女子薬のコーナー 薬局実務研修会受講前田智子

私は一昨年、薬局実務研修を、そして昨年、調剤実習を受けました。

第一線でご活躍されている先生方に直にお話を伺い、又調剤では3人という少人数で木目細かくご指導いただきました。そして、先生方の穏やかながらも薬剤師としての誇りと情熱、厳しさを感じることができました。

かかりつけ薬局、在宅医療、服薬指導、薬歴管理等、薬剤師の担う役割は多大なものがあります。ブランクのある私にとってこの研修は大きな励みになりました。

また、楽しくご一緒に調剤実習を受けました2人の先生方のご活躍ぶりにも刺激を受け、良いご縁をいただいたと思っています。

これを機に、女子薬に入会させていただきました。よろしくご指導の程、お願い申し上げます。

 

薬局実務研修と調剤実習を受講して高畑佐恵子

数年前に高齢になった親が急に倒れたときにスムーズに介護が出来るように、介護教室に参加しました。その教室参加がもとになって地域老人の会のお手伝いをするようになり、高齢者とお話しする機会が多くなり薬剤師として病気のこと、薬のこと、食事のこと色々と相談されるようになりました。

好きな漢方の勉強のみ細々と続けていただけでは対応できないと思い薬剤師会に入会、在宅医療、かかりつけ薬局など次々新しい取り組みがあることを知り、昨年一大決心をして実務研修も受けることにしました。

ですが卒後30年を数える私としては参加者はお若い方々ばかりだろうと勝手に思い、そっと会場に入りましたところ参加者の平均年令はずっと高く堂々と(?)真ん中に座って受講しました。

渡された参考資料は学びたい、知っておきたいと思った内容がしっかり網羅されていて、手作りで資料を制作された方々の努力に頑が下がる思いがしましたし、貴重な機会を与えて下さった事に感謝しています。

高齢者の様々な質問を受けてきて在宅医療の必要性を痛感していますので相互作用と最近の処方箋の取扱いも知りたく調剤実習も希望しました。薬剤師会薬局の先生方には手のかかるおばさん薬剤師の参加は迷惑だったでしょうが、丁寧に繰り返し教えていただき忘れられぬ経験をさせていただきました。

在宅医療を実践するにあたって、高齢者の生活や考え方、理解の幅を少しでも知っておくことが大切だと思います。高齢者と接する機会を出来るだけ増やして役立てて下さる事をお願いします。

News Paperより

講演などをなさる時のインテリジェンス、ナイスジョークを飛ばされる時のユーモア、カラオケの時の音楽的センス……等々。色々な面をお持ちの中島先生に御登場頂きました。

※会員の皆さんの「こんな記事が載ってましたヨ」…の御連絡、お待ちしてます。

博多区薬剤師会も参加している「在宅ケア懇親会」の様子が西日本新聞に取り上げられました。

文芸

中医略史(3)

「松   明」

松明の灯がゆらゆらと動いていた。

「私にはあなたの考えが分かりません」

牢番は牢の中の暗がりに話しかけた。

「今をときめく親王曹操殿に逆らって投獄されるとは、一体あなたはどう考えておられるのですか」

牢の中から答えは返ってこなかった。

「あなたのご高名は、私もかねがね伺っております。曹操殿も侍医として長くそばに置きたいと考えておられるのに、あなたは固くそれをご辞退なされこのように投獄の身になっておられる。私なら曹操殿に仕え栄華の一端なりとも味わいたいと思います。栄華と投獄とでは雲泥の差ではありませんか」

ときどき松明のぱちぱちと弾ける音が響いた。

「それにしてもこの頃は洪水や長い戦争などが続いて疫病が流行っております。外に出たところで何も良いことはありません。本当に地獄のようです」

長い静寂があった。牢の中で華柁は二度と表の土は踏めないかも知れないとふと思った。

「麻沸散というものを聞いたことがあります」

牢番が再び話し始めた。

「腹痛で3日間苦しんでいるものに麻沸散を飲ませ、お腹を切り裂いて悪い部分を取り出し治療したという話を聞いたことがあります。患者は1ケ月もすると車を引けるようになったということでしたが、その治療を行なった方こそ、華佗という先生だという話でした。お腹を切り裂いて生きていることが出来るなんて、そんな不思議なことが本当に出来るんでしょうか。私にはとても信じられません。そのような先生がこんなところへ閉じ込められていらっしゃるのは本当に残念です」

しばらくして、牢の中から声が聞こえた。

「薬石だけでは駄目な病気もあります。麻沸散というのは幾度もの実験を繰り返して出来た処方なのです。その処方でもって、薬石では良くならない多くの難病を治療したものです」

華柁は思い出すように言ったが、すぐに続けた。

「それより故郷では私の帰りを待ち望んでいる人たちが大勢います。病気で苦しんでいる故郷の人たちのところへ今すぐにでも帰りたい気持ちでいっぱいなのです。曹操殿は頭痛がありますが、それは針をすればすぐに良くなります。そのことだけで侍医となってとどまることは出来ません。広く衆を助けたいのです。それに曹操殿は人の命を扱う医者をお認めになってはおられない。側近の萄或殿にとりなしていただいたけれど、鼠のやからなど構うなとまで言われました」

華柁はあきらめたように深いため息をついた。

「やはりそうでしたか」

牢番は暗い牢の奥の声に目をやっていった。一瞬松明がめらめらと燃え上がった。

「やはりそのような治療の噂は本当のことだったんですね。今からでも遅くはありません。曹操殿に拝謁して、侍医になることを承諾されてはいかがですか。私がお取り計らいを致しましょう。きっとお許しが咄ることと存じます」

「ありがとうございます」

牢の声は言った。

「私はもう諦めています。ただここに私が長年書き綴ってきたものがあります。麻沸散の処方も書いております。今までの私の経験がすべてこの中に書かれております。これをどうか広く万民のために使ってほしいのです。曹操殿の目に触れないように表に持ち出してほしいのです」

松明が再びめらめらと燃え上がった。張りつめた空気が漂った。

「出来ません」

牢番はきっぱりといった。

「そのようなことは私には出来ません」

しばらくの沈黙があった。そして牢の中から低い声が聞こえた。

「あなたにご迷惑をおかけすることは出来ません。この書はこの場で焼き捨ててしまいましょう。そこの松明をお貸しください」

牢内に入った松明の火はしばらく華柁の苦悩の顔を写し出していたが、床に置かれた書籍にためらいがちに近づいていった。火は燃え移ってめらめらと燃えあがった。

こうして華柁の書は後世に伝わらなかった。華柁は建安8年(203年)に獄中で亡くなった。

麻沸散は史書に名前が残ったが、処方は残らなかった。後漠末の三国志の時代である。

(上村義徳)

獄中で華柁の書を焼いたことは記録に残っている。しかしこのような理解のある会話が牢番との間でなされたかどうかは定かではない。

薬連のコーナー 医療保険制度改革に反対する署名

新たな薬剤費の自己負担については、従来の全医療費に対する定率負担等との制度的な相違が明確でなく、医療の現場での患者に対する説明が困難である。

新たな薬剤負担の位置付け、性格等を明確にし、財政再建策は保険料の引き上げ、次に国庫負担増が順序であるから、患者負担増は最後の手段とし、なかんずく患者負担の引き上げがあまりに急激なものとならないよう審議されるべきであるという日薬方針のもと、10,451名の医療保険制度の改革に反対する署名を集め、山崎拓、太田誠一両代議士のもとに届けた。

ご協力御礼。


署名運動結果

(1) 太田誠一事務所へ
    12月27日  2,056名
    1月10日   721名

(2) 山崎拓事務所へ
    12月27日  7,674名

    合  計  10,451名

訃 報

 東区
 柴田伊津郎先生(83才)が12月21日に御逝去されました。
 謹んで、御冥福をお祈り致します。

弔 辞

謹んで柴田伊津郎先生の尊霊に拝します。

不肖、私は40有余年、御交誼をうけた1人として、又(社)福岡市薬剤師会を代表して、霊前に伏して幽明別離のことばをのべる、悲しい役目を負うことになりました。

先生は該博な薬学の知識をもちながら人前でそれを誇らしく示されることがない。先生の学問は、ただ御自身の知的満足を基底として集積されたものであり、請われれば惜しみなくそれを与えられる。その知識の深淵を窺い見る思いを新たにしております。

先生は昭和12年3月、名古屋薬学専門学校を卒業後、昭和17年まで、九州大学附属病院薬局に勤務後、昭和17年4月より昭和19年3月まで、韓国木浦府立病院薬局に勤務、その後昭和22年3月まで早良鉱業早良綜合病院に勤務後、現在地に於いて開局されている。

先生は必置制以前から学校薬剤師として活動され、市・県学業理事・副会長を歴任され、同時に県薬剤師全役員として、長きにわたり御協力を頂きました。さらに当時私の多忙故、後任として会を代表して国民健康保険診療報酬審査委員は12年に及びましたが、多数の医師の間にあって、薬系委員として信頼を高めて頂いたことは特筆すべきです。

先生の履歴の一端を示しましたが、身を剤界に投じられてより、50有余年、その間、地道に功名も求めず、利達を追わず、孜孜としてたゆまぬ精進で、社会の中の薬局・医療の中の薬剤師としてその職能の開発・向上につとめられたことは、衆知のことです。

先生の人格・徳望を併せて先輩・後輩の信望あつく、人は言う。

「薬剤師の鏡と」!!

先生の受賞は、市・県・大臣賞と多数にのぼりますが、自ら求められたことがない。特に昭和63年春の勲五等双光旭日章受賞に際しては、時の神谷会長が密かに推薦されたものであり、先生の恐縮振りが目に浮かびます。

酒も私共とよく座を共にしていただきましたが、あだやかな飲み方の中に酔いが廻られると、兵隊用語で「おせわになります」と、よく連発されたものです。あれや、これや、走馬灯の様に思い出されます。

天地の悠久に比べれば、寸陰の経過かも知れませんが、大正、昭和、平成の人生80有余年、国家の消長、産業・経済の大変革時代に生きられた。常によき先輩として、私共をリードして下さったことは、忘れることが出来ません。

重き病床にあられましたが、「我はわが務めをなせり」として永眠につかれたのであろうと思います。

最後に終始かわらぬ温き御交誼に対し厚くお礼申し上げます。

先生の在天のみたまが、安らかにとこしえに鎮まりあられんことを祈ります。

合 掌

平成8年12月23日
社団法人 福岡市薬剤師会
顧問 藤野義彦

 

会員の移動

会 務 日 誌

12月2日 小石原市議議長就任祝賀会 ホテル日航フクオカ(光安副会長) 18:00
  5日 薬局委員会 試験室 19:00
     在宅医療委員会 第2会議室 19:30
  6日 薬局・組織合同委員会第1会議室 19:30
  7日 九大応需薬局講習会 講堂 14:00
  9日 社保・分推委員会 福新楼 19:30
  10日 第37回臨時代議員会 講堂 19:00
  11日 藤野顧問叙勲祝賀会 ホテル日航フクオカ 17:00
  12日 政治団体の収支報告書説明会 県選管 13:00
     組織委員会 第1会議室 19:30
  14日 在宅委員会と南支部打合せ 第1会議室 18:00
  16日 広報委員会 第1会議室 19:30
  17日 理事・支部長合同会議 福新楼 19:00
  19日 薬局委員会 木曽躇 19:30
  20日 市薬薬局委員会 第1会議室 19:30
  21日 広報委員会 第1会議室 19:30
  24日 第284回理事会 19:30
  26日 処方検討会 あいれふ 19:00
  27日 御用納
1月6日 御用始
     新年名刺交換会 ホテル日航フクオカ 11:00
  7日 緑進会議新春の集い 国際センター 12:00
  8日 国民健康保険運営協議会 アクロス607 15:00
  9日 組織委員会 第1会議室 19:30
  12日 管理薬剤師のための研修会 明治生命ホール(295名) 13:00
  13日 在宅医療委員会 第1会議室 19:30
  14日 市薬薬局委員会 第1会議室 19:30
     勤務薬剤師会新年例会 八仙閣(藤原会長) 18:30
  17日 社保・分推委員会 講堂 19:30
     学術委員会 網元  19:00
     薬業研修会 第1会議室 14:00
  18日 石井道子参議大臣就任祝賀会 小倉(藤原会長、光安副会長) 18:00
     医誠会新春のつどい ソラリア(南島) 18:00
  20日 薬局委員会 第1会議室 19:30
     久留米保健所 市薬薬局視察
  21日 福岡健康づくりセミナー アクロス 14:00
     第285回理事会 19:30
  22日 学術委員会 講堂 19:00
  23日 処方検討会 あいれふ 19:00
     組織委員会 第1会議室 20:00
     広報委員会 第2会議室 19:30
  24日 社保・分推委員会 第1会議室 19:30
     東区三師会 リーセントホテル(藤原会長) 19:00
  27日 支部長会 第1会議室 19:30
  28日 薬局委員会 第1会議室 19:30
  29日 常務理事会 第1会議室 19:30

春の薬草

サンシュユ

強壮や利尿用に

2月も残り少なくなると、春はそこまで近づいています。

そろそろサンシュユの黄色い花も咲き始めます。

サンシュユは中国原産で、ミズキ料の小高木です。日本には野生はなく、庭園樹として植栽されています。2月下旬から4月にかけて、黄色い花を咲かせます。花のあと実をつけ、秋に赤熟します。

薬用には赤熟した果実を使います。稲子を抜き、果肉を乾燥して用います。古くからの薬草で、中国最古の本草寄「神農本草経」に記載され、日本でも「サンシュユ」(山茱萸、肉山茱萸)として日本薬局方に収載されています。

単独で民間薬として使われることはありませんが、薬用酒として賞味されます。ホワイトリカー1.8リットルに、サンシュユの実150グラムを漬け込みます。滋養強壮、収れん(傷口を保護し、血管を収縮させる)などの目的で使われます。

漢方では、老人性の腰痛や下肢痛、夜間頻尿といった症状に用いる八味地黄丸(八味丸)に、また症状は似ているが、冷えのない人に使う六味地黄丸(六味丸)、さらに尿の出がよくない人に用いる牛車腎気丸、といった処方にサンシュユが配合されています。このほか最近、中国から伝えられた右帰飲、左帰飲といった処方にも配合されています。

一時、日本では、グミの実を「和山菜英」として代用に使っていましたが、現在では使われていません。

◆冷川先生の著書“身近な薬草”より。

[編集後記]

◇ 温故知新

辻先生(私と薬御寄稿)のお父様への尊敬の思い感動しました。よし私も子どもに良き父だと言わせたい。と勇気が沸き上がってきました。

患者さんと医療関係者の良き関係、よき時代を、いやそれ以上の時代を築こうではありませんか。

話はかわりますが、小学4年生の手という気になる詩を見つけました。先生方の意見、投稿を期待します。

 手

 手が ふるえる。
 (くすりをのんでいるから)
 だと思う。
 力をだしたらふるえがとまらない。
 気になる。
 夏でもふるえる。

ぜんそくの薬が、子どもをつらくする。くすりを飲んでいるから。の下りがとても気になる。本人にあって何を飲んでいるのか。医師には伝わっているのか。

ここで、辻先生のお父様はどう対応されるか。と思いながら昔の様子に話入っていました。

最後に、市民の健康な生活支援は、私共にとっても願いです。このような営業妨害なら大歓迎です。

(津田和敏)

  

◇ 今回は伊東先生と南区の在宅医療のモデル事業を取材してみた。多くの先生方の努力に触れてさわやかな印象を持った。医療体制の変化は目まぐるしいものがあり、それについていくのも大変であるが、積極的 に道を造っていくのも大変だ。

ただこうして薬剤師としての未来像がはっきりしてくるにつれて、歪みや乳韓が加わってきていることも忘れてはならない。同じ薬剤師でありながら、OTC薬局、調剤薬局、病院薬剤師の利害関係も次第に明確になってきていることも忘れてはならない。

それぞれに悩みがあり、複雑で多様化してきている。全体的に見た場合に、どのように対応していくべきかは非常に難しい。OTC薬局としては医療費の自己負担が増えることによって、来店客が増えてくるかも知れない。保険薬局にとっては自己負担増はマイナス面で、また技術料等の引き下げなどで厳しくなる。

分業が進んでくるにつれて中小病院の院外処方が増えてくるだろうが、病院薬剤師の方向性が問い直され労働条件的に負担が増していることも忘れてはならない。更にまた広域を受ける薬局の時間的、人的な負担は増えてくる。

広報委員としてはそういった悩みや努力、或いは問題点などを取り上げていくべきなのだろう。今回の在宅のモデル事業は、時間的にも精神的にも非常な努力の上になされていることを感じた。大きな時代の流れの中で模索する薬剤師の姿があった。

(上村義徳)

  

◇ 女偏

「大衆のルサンチマンに根差す卑しい政治、それが民主主義だ」という言を発したのは、ニーチェだ。ルサンチマンつまり怨恨のような強い感情を前執行部にかかわり、あえて代議員になられた方々には持ちあわせがない。

しかしジェラシーという弱い感情ならば、その方々に広く深く蔓延している。嫉妬、つまり女偏が2つも付く心性にいちいち応対しなければならないのだから、現執行部にかかわる方々の苦労も並大抵ではなかろう。

代議員会議事録要旨の作成にあたり、私だけはそう感じた。

(戸田昭洋)

  

  

平成9年3月10日発行
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会 T E L 092-714-4416
発行人   藤 原 良 春
編集人   北 島 啓 子
 委員長  伊 東 美 穂
 委 員  上 村 義 徳
      小 松 公 秀
      津 田 和 敏
      戸 田 昭 洋
      東   美 代
      堀之内 美 紀
担当副会長 細 井 徹 一
印刷所   (有)興英社印刷