■ 巻 頭 言
オール薬剤師と治療的自我 (社)福岡市薬剤師会 学術担当常務理事 千阪善弘

新緑がまばゆい季節となりました。四季は毎年繰返しますが、千年、万年単位では悠々とした変化でしかありません。一方現実社会では、金融ビッグバン,流通ビッグバン,医療ビッグバンとあちらこちらの分野で大改革が進行しています。

医療保険制度の抜本的改革が医療保険福祉審議会で検討されています。人口の高齢化及びそれに伴なう医療費の伸びと経済成長の伸びの不均衡がバックにあり、4つの柱について提言しています。
 (1)診療報酬体系の見直し
 (2)薬価制度の改正
 (3)高齢者医療制度の創設
 (4)医療提供体制

特に、医療提供体制では大病院は入院医療に重点を置き、外来は原則として紹介制とする。診療所はプライマリケアを重視するとあります。これによって、現在もそうですが医療機関の機能分担による“病一診連携”は今後増々促進されるであろうと思われます。薬剤師側も患者さんを中心とした“病一薬連携”、“診一薬連携”も進まねばなりません。

最近いくつかの雑誌に「オール薬剤師」という言葉を見ました。まさに「痛一薬連携し一体となった薬剤師」を表わしていると思います。

今まで薬剤師の姿そのものが国民からよく見えないと言われて来ましたが、目で見える形で示し、アピールする事が重要となって来ました。“病院一薬局の薬剤師”がそれぞれ別個に持っている患者情報を相互に提供し、それによって行なわれる服薬指導も1つの方法でしょう。

患者さんから信頼される事も、心で認められる事の1つです。これも服薬指導が役に立ちます。効果的な服薬指導の方法として、カウンセリング技法に「傾聴」があります。傾聴することによって患者さんと共感する事が可能となるのですが、可能か否かは医学の世界における「治療的自我」を養い身につけているか否かによります。

1人の心の中には、痛み,苦悩,病気,老い,死といった問題を受け入れる事が出来るという面と、そういった問題を見つめることには不安,恐怖を抱き逆に抑圧するというもう一面を持っています。心療内科の先生によれば、患者に共感できる「患者の視点」を持つことが出来る医師と、患者の側には立とうとせず一見たくましく頼りがいのあるように見える「医師の視点」を持った医師が観察されると言っています。

薬剤師にも医師と同様に「医師の視点」から「患者の視点」にシフトできる教育や訓練が必要ではないでしょうか。

薬剤師として目で見える形で認められ、又信頼を得て心から認められる事が、目前の21世紀では国民より確かなる評価を得ることにつながると確信します。 今一度、試練を乗り越えねばなりませんが“オール薬剤師”で頑張りましょう。

<私と薬>

去るH.11.1.23 ホテルニューオータニ博多にて、第2回12大都市薬剤師会連絡協議会が開催されたことは市薬ジャーナル3月号にてすでに紹介しましたが、今号では協議会の折にトップバターで発表された札幌薬剤師会に御寄稿願いました。今後も情報交換や交流の意味でもそれぞれの薬剤師会に協力して頂き、自己紹介をお書き頂こうと思っています。その節は、どうぞ宜しくお願い致します。また、今後とも末永く仲よくお付き合い下さるよう重ねてお願い申し上げます。        (K)

視覚障害者・弱視者・高齢者に対する医薬品誤用防止対策 (社)札幌薬剤師会 会長 高柳秀男

〜高 柳 秀 男 先生 プロフィール〜

 昭和17年4月8日生
  〃 41年 東京薬科大学卒業
  〃 43年 (有)十字堂薬局勤務
  〃 55年   〃   代表取締役
 現在   日薬薬局委員会第一委員会
      (社)北海道薬剤師会副会長
      (社)札幌薬剤師会会長

はじめに

日本の総人口の4%約480万人の人々が、何らかの障害をもっているといわれています。その内、視覚障害者数は全国で35万人(厚生省実態調査)、北海道で1級〜6級までの障害手帖をもっている人が1万7千人程おられます。

しかしながら、社会構造の変化、事故や食生活、生活環境の変化、そして高齢化社会に伴い糖尿病等生活習慣病の増大と、それにともなう白内障、緑内障、網膜剥離、視力減退等々増加しつづける弱視者を含めると全国で約300万人もの人達が、不自由な生活をしています。しかも点字のわかる人は約7万人、若くして視力を失なった人は、施設等で点字教育を受ける機会があるが、高齢にして視力を失なった人は、ほとんど点字がわからないのが現実です。高齢者の多数は何らかの疾患で病院にかかる機会が多く、何種類かの薬の服用が必要になります。弱視者だからといって例外ではないのです。

経緯について

平成10年8月の日本薬剤師会代議員会において、高齢者、弱視者及び点字の読めない視覚障害者の方々の為の誤用対策として記号化とその統一についての質問(栃木県薬剤師会小野村氏より)がなされ、その答として日本薬剤師会 秋葉常務理事より「検討し、その対応をしていきたい」旨の報告がなされました。また時を同じくして、丸谷佳織衆議院議員(北海道)が、国会(厚生委員会)で次の様な質問をしています。「病院で複数の薬をもらっても、視覚障害者は色や形で個々の薬の区別ができません。薬を飲むたびに、周囲の人に聞かなければならない精神的負担も大きい。薬の種類や服用方法を点字で表示したシールや薬袋の作製を国公立、民間病院で導入するよう要望し、さらに、障害者の高齢化に伴い、慢性疾患で投薬が必要な人も増えています。誤飲などの事故を防ぐためにも、早期実施が必要です」と結んでいます。

指摘を受けて、厚生省は各地方医務局宛に視覚障害者等に対する服薬指導について、点字を含めて7項目の障害者の状況に応じた適切な配慮を行うよう通知が出ました。しかし現場では、点字作製してくれる所はほとんどなく、ボランティアで点字を打ってくれる所があっても手作業で、時間が非常にかかる、ましてや記号化などは不可能なことで、混乱しているありさまです。

コンピューターで点字印刷安く早く

手間がかかって高価というのが悩みだった点字印刷を早くて安く仕上げるシステムを札幌市の会社が開発し、実用化したいがその応用について、アドバイスしてほしい旨の相談がありました。

従来の手作業に比べ1/3の費用で、時間も1/20になるという。又どんな印刷物にも点字を付けることができ、一度製版した樹脂版の間に紙をはさんで、プレスする方法なので、A4判用紙で3千枚を1時間で完了できるといいます。

しかも点字の凸部分の頭が丸いのも特徴で、点字を読み進むと指先が痛くなった悩みも解消されるという。早速、点字の読める障害者の方々に種々の紙に点字したものを触読してもらいましたが、指先の感覚が大変良いという結果が出、これなら点字シールや点字マークを作製し、普及すれば視覚障害者の人達への朗報になることと確信いたしました。

点字(サンシール)・記号(サンマーク)作製

幸いにも、札幌にてコンピューターシステムによる点字印刷の安価な製品作りのシステムを開発した潟Tン写真製版の協力のもと、サンシール・サンマークを完成させたものです。

その間、厚生省大臣官房障害保健福祉部の親切なる指導を受け、また札幌社会福祉協議会点字ボランティア指導員 田村聴氏を始め、(社)札幌市視覚障害者福祉協会,日本赤十字北海道支部点字図書センター、更には弱視者問題研究会代表本田和弘氏、及び札幌地区幹事工藤京子氏等の指導を受け、記号化と点字化を推進しました。

その指導をもとに試作したマークについて、北海道札幌盲学校校長 酒井宏之氏,国立函館視力障害センター,北海道高等盲学校,帯広盲学校,そして旭川盲学校の生徒約100名による触読アンケートを繰り返し行い、今回のサンシール・サンマークを作製することができました。

サンマーク・サンシールの完成

視覚障害者はもちろんのこと、弱視者、高齢者の方々の医薬品誤用防止策として、多剤投与における識別のため、点字の読める障害者の方々には点字シール(サンシール)を、更には点字の読めない障害者、弱視者や高齢者の方々には、記号化したシール(サンマーク)を貼りつける方法をとりました。

@仮称サンマーク(サンについて)

視覚障害者、弱視者が自立するための第3の目という思いが込められています。又太陽とか、明るさという前向きの意味あいです。

Aサンマークの種類及び記号

種類
【朝●】【昼●●】【夕●●●】【ねる前●●●●】
【とんぷく−】【食前|●】【食間|●|】
【食後●||】【右目□】【左目△】
サンマークの種類及び記号
右目・左目のシールは点眼薬に貼りつけるタイプ

Bサンシールの種類

最小サイズの和文字と点字を組み合せました。これも白・黒2種類×10種類を準備。

C本シールの品質・エコロジー

の り:無害で燃えるゴミ
台 紙:燃えるゴミで、リサイクルとして無公害
シール:無公害で燃えるゴミ

Dサービスする医療機関

全国の保険薬局、国公立病院、民間病院、診療所等々広く全国に普及させ、統一化を はかりたいと思います。

Eサービス対象者

視覚障害者(点字の読める方)には、サンシール(点字シール)
視覚障害者(中途失明による点字の読めない方)及び、弱視者には記号化したサンマーク(記号シール)弱視者、高齢者にはそれぞれの患者さんの障害の程度に応じて、最も識別しやすいものをもって貼付します。

F使用方法について

(1) 視覚障害者、弱視者及び高齢者の患者さん、その家族の方々に対し、施設内においてアナウンス又はポスター等によって紹介し、患者さんの要望に対しサンマーク又はサンシールのいずれかを使用します。

(2) サンマーク、サンシールは薬袋及び、一包化した分包紙に貼るのが基本。

(3) サンマークを貼って差し上げる患者さんには統一記号の種類について充分に理解  するまで説明します。

(4) 用法についても用法サンシールを薬袋に貼ります。

医薬分業の急速な流れの中、現在では3人に1人が処方箋ををもち、保険薬局を訪れています(御地はさらに分業率が上がっています)。その様な現状において、薬局の専門性としての機能を活かすためにも、等しく全ての患者さんに服薬指導等を行い、投薬された医薬品の誤用を防止しなければなりません。

更には、医薬品のコンプライアンスを高めるためにも、高齢者、弱視者、視覚障害者への心配りを健常者同様に行うよう心がけなければなりません。

医薬分業が進むにつれ、全ての国民に安心して薬の服用ができる、きめこまかな施策を行い、国民の理解を得ることが大切だと思います。

薬袋識別シール開発

<私のやっている医療薬学研究第6回> 薬の運び屋が関係した解毒作用 九州大学薬学部薬剤学講座 教授 澤田康文

これまでは「レセプター」が関係した薬の作用、「酵素」が関係した薬の作用などのファーマコキネティクスやファーマコダイナミクスに基づいた評価についてお話ししてきましたが、今回は薬物動態の中でも特に重要な「臓器組織における薬の取り込み・排出などの輸送過程」の研究についてご紹介したいと思います。我々は、これまで、脳、腎臓、肝臓、消化管における薬物の取り込み、吸収、排泄などの輸送過程の解析を試みてきましたが、これらは薬の作用部位での濃度を規定し、薬の作用の程度を決定する重要な過程であることはお判りだと思います。

今回は、これらの中で最近の我々の研究成果であります「グレープフルーツジュース成分と薬の相互作用」について詳しくご紹介したいと思います。

近年、グレープフルーツジュースの飲用により薬物のAUC及びCmaxが上昇するという相互作用が多数報告されています。表1に示しますように、この相互作用は、フェロジピン、ニソルジピンなどの各種ジヒドロピリジン系カルシウム括抗薬やテルフェナジン、シクロスポリン、シンパスタチンなど種々の薬物が対象となっています。

表1.各種薬物とグレープフルーツジュースを同時摂取した場合の各種薬物のAUCとCmaxの変化

これら薬物は主に薬物代謝酵素チトクロームP4503A4(以下CYP3A4)により代謝されることから、この相互作用は、グレープフルーツジュース中の成分による消化管CYP3A4の薬物代謝の阻害が原因とされてきました。一方、表2に示しますように、CYP3A4と薬物排出ポンプであるP糖蛋白質(以下P-gp)の基質認識性との類似が報告されていることから、グレープフルーツジュース中の成分がCYP3A4だけでなくP-gpに対しても作用を示し、グレープフルーツジュースの作用部位である消化管で、P-gpによる薬物排出を阻害 している可能性が考えられます。

表2.チトクロームP4503A4(CYP3A4)とP−糖蛋白質(P-gp)の基質、阻害剤と活性化剤リスト

そこで我々は、グレープフルーツジュース成分による、薬物の消化管排出に及ぼす効果について検討を行いました。

図1には、今回実験で用いましたヒト大腸癌由来培養上皮細胞(以下Caco-2細胞)の消化管吸収のモデルを示しています。このCaco-2細胞は正常消化管と同様に管腔側にP-gpを発現しています。

図1.Caco-2細胞による薬物の小腸吸収モデル

また、今回P-gpの基質としてビンブラスチン及びジゴキシンを用い、その動態を観察することで、ジュースによる消化管P-gpの機能変化を評価しました。まず、初めにCaco-2細胞でのビンブラスチンの経細胞透過に及ぼす、グレープフルーツジュースの効果について検討を行いました。図2に示しますように、P-gpの基質であるビンブラスチンの吸収方向(頭頂膜側から基底膜側への輸送)の細胞透過速度は、50%グレープフルーツジュースあるいは、P-gpの阻害剤であるシクロスポリンA存在下で有意に上昇しました。

図2.Caco-2細胞単層膜におけるビンブラステンの頭頂膜側から基底膜側への経細胞輸送に及ぼすグレープフルーツジュース(GFJ)或いはシクロスポリンA(Cys A)の効果

これらの結果よりジュース中にビンブラスチンの吸収促進効果を持つ成分が存在することが明らかとなりました。

次に、メディウムからCaco-2細胞内へのビンブラスチンの取り込みに及ぼすジュース成分の効果について検討を行いました。グレープフルーツジュースを酢酸エチルにより抽出し活性成分を濃縮しました。この抽出物は、シクロスポリンと同様にビンプラスチンの初期の取り込みには影響せず、平衡値での取り込みを増加しました(図3)。

図3.Caco-2細胞によるビンブラステンの取り込みに及ぼすグレープフルーツジュースの酢酸エチル抽出物(AcOEt ext.)とシクロスポリンA(Cys A)の効果。*:P<0.05

よって、この取り込み増加はCaco-2細胞からのビンプラスチンの排出過程での阻害によるものと考えられます。

そこで、次にグレープフルーツジュース中の排出阻害物質の同定を目的とし、精製を行いました。グレープフルーツジュースの酢酸エチル抽出物の精製分離は、コスモシルカラムにて0から100%メタノールで溶出させ、それぞれの溶出分画についてビンブラスチンの取り込み平衡値に及ぼす影響を検討しました。メタノール60%溶出分画において最大の排出阻害効果が得られました。また、この分画は、経口製剤であるジゴキシンの取り込み平衡値も有意に上昇させました。一方、それぞれの分画によるCYP3A4阻害活性をテストステロンの6−β水酸化体の生成阻害率を指標に確認したところ、代謝阻害活性のピークは70−90%メタノール溶出分画であり、排出阻害の最も高い効果を示す成分は、代謝阻害を示す成分よりも脂溶性が低いことが予測されます。そこで、排出阻害能の高いメタノール60%溶出分画を更に分離精製しました。

メタノール60%溶出分画の精製分離は、メタノール溶出分画をシリカゲルカラムにてヘキサン/アセトン混合溶液で音容出させ、それぞれの溶出分画について、ビンブラスチンの取り込み平衡値に及ぼす影響を検討しました。その結果ヘキサン/アセトン(3:1)溶出分画において、最大の排出阻害効果が得られました。一方、それぞれの分画によるCYP3A4阻害活性を確認したところ、この分画には代謝阻害活性を有する成分も含まれていることが予想されました。そこで、次にこの排出阻害を示す成分をカラムにより精製することで単一成分とし、構造解析を行いました。

構造解析の結果、この分画に含まれる成分は、図4に示しますフラノクマリン骨格を有するジヒドロキシベルガモチンであると推定されました。

図4.Caco-2細胞によるビンブラステンの取り込みとヒト肝ミクロソームによるテストステロンの6β−水酸化代謝に及ぼす6',7'−ジヒドロキシベルガモテン(DHBG)の阻害効果

この化合物は、これまでにグレープフルーツジュース中でCYP3A4による薬物代謝を阻害することにより、相互作用を引き起こす原因物質の一つとして報告されています。そこで、この化合物の薬物排出と薬物代謝に対する効果について検討しました。その結果、ジヒドロキシベルガモチンの濃度依存的にビンプラスチンの取り込み平衡値は上昇し、また、CYP3A4活性は阻害されました。今回用いたグレープフルーツジュースには、約13μMのジヒドロキシベルガモチンが含まれますが、この濃度では、ビンブラスチン取り込み平衡値を約3.5倍まで上昇させ、また、代謝についてはこの濃度で90%もの阻害が見られ、この化合物は薬物代謝と薬物排出の両機構に作用することで、薬物相互作用を引き起こしていると考えられます。

また、グレープフルーツジュース中には他にも多数のフラノクマリン類が含まれることから、今回、FC726、ベルガモチン、ベルガプトール及びベルガプテンについて、ジヒドロキシベルガモチンと同様に排出と代謝に及ぼす効果について検討を行いました(図5)。

図5.Caco-2細胞によるビンブラステンの取り込みとヒト肝ミクロソームによるテストステロンの6β−水酸化代謝に及ぼす各種フラノクマリン誘導体の阻害効果。点線はグレープフルーツジュース中の各種フラノクマリン誘導体の濃度を示す。

これらの化合物のいずれも濃度依存的にビンプラスチンの取り込み平衡値を増加し、中でもFC726での効果が顕著で‘した。また、FC726、ベルガモチン、ベルガプテンはCYP3A4の代謝に対しても阻害効果を示し、ジヒドロキシベルガモチン同様、排出と代謝の両機構に対し阻害効果を持つことが明らかとなりました。一方、ベルガプトールに関しては、代謝阻害効果はなくP-gpに対してのみ特異的阻害効果を持つことが示され、このような化合物は多剤耐性の原因となるP-gpの機能を阻害することで、癌化学療法における耐性克服剤となる可能性が考えられます。

次に、このグレープフルーツジュース酢酸エチル抽出物とジヒドロキシベルガモチンの効果が、確かにP-gpに対する効果であるかどうかを検討するために、ヒトのP-gpの遺伝子(MDRI)の発現系を用いて検討を行いました。MDRIのcDNAをトランスフェクトしてP-gpを発現させたLLC-GA5-COL300でのビンプラスチンの取り込み平衡値は、酢酸エチル抽出物及びジヒドロキシベルガモチン存在下において、野生株では何ら変化はみられないものの、コントロールと比較し有意な上昇を示しました(図6)。

図6.LLC-PK1細胞とLLC-GA5-COL300細胞によるビンブラステンの取り込みに及ぼすグレープフルーツジュースの酢酸エチル抽出物(GFJ AcOEt ext.)、シクロスポリンAと6',7'−ジヒドロキシベルガモテン(DHBG)の効果。*:P<0.05

このことから、酢酸エチル抽出物及びジヒドロキシベルガモチンは確かにP-gpに作用し、P-gpによる排出機能を阻害していることが確認されました。

既に示した表1に、これまでグレープフルーツジュースとの相互作用が報告されている薬物を示します。このAUC及びCmaxの上昇は、これまでグレープフルーツジュースによる代謝阻害で説明されてきましたが、図7に示しますように、今回の検討からこれらの上昇に代謝阻害だけでなく、消化管P-gpの排出機能の阻害も関与していることが明らかとなりました。

図7.消化管(小腸)における薬物とグレープフルーツジュースとの相互作用。P-gp:P-糖タンパク質、CYP3A4:チトクロームP4503A4

相互作用にしめるこれら両機能阻害の寄与は薬物の種類によって相違すると考えられます。薬物とグレープフルーツジュースの相互作用は、臨床においても重要な問題であり、今後更に相互作用の報告が増加すると考えられますが、代謝と排出の両機構の阻害を定量的に評価することで、相互作用の発生を予測し未然に防止することが可能となると考えられます。

文 献:

1) H. Takanaga, A. Ohnishi, H. Matsuo and Y. Sawada:Inhibititon of vinblastine efflux mediated by P-glycoprotein by grapefruit juice components in Caco-2 cells. Biol. Pharm. Bull., 21:1062-1066(1998)

2) A. Ohnishi, S. Yamada, H. Takanaga, H. Matsuo, S. Morimoto; U. Shoyama and Y. Sawada : Furanocoumarin derivatives in grapefruit juice as inhibitors of P-glycoprotein. J. Pharmacol. Exp. Therap., submitted.

新刊紹介

「薬のあぶない飲み方・使い方」
    澤田康文著(講談社 健康ライブラリー)
    定価1,800円

<研修> ファーマコキネティクスV. 博多区・中央区社保委員会 九州大学薬学部教授 澤田康文

今回のセミナーで一応“ファーマコキネティクス”は終了です。次回は番外編として、澤田先生が月間薬事に連載中の「ファーマコキネティクスABC」10、11、12月号をとりあげます。

〈テーマ〉
 病態下における薬物動態
〈担 当〉
 そよかぜ薬局 長崎伸二

甲状腺異常時における薬物動態

ジゴキシンを例にとると、甲状腺機能亢進時では尿中排泄が亢進し、半減期は短縮。また、甲状腺機能低下症にくらべて、クレアチニンクリアランスが2倍近く増加し、血清ジゴキシンが1/3近く低下。

甲状腺機能先進症および機能低下症患者におけるクレアチ二ンクリアランスと血清ジゴキシン濃度との関連性(Croxsonら、1975)0.5mgジゴキシンを7日間経口投与し、24時間後の血清中濃度を測定。

炎症性疾患時の薬物動態

炎症性疾患時の薬物動態には、変化はない
炎症性疾患には、α1−AG(α1酸性糖たんばく)が増加するため、塩基性薬物の血中濃度は上昇する。しかし、非結合型分率は、低下しているので、非結合型濃度は変わらない。
このため、薬物の作用には大きな変化はないと考えられる。
*非結合型濃度は血中濃度×非結合型分率で表される。

妊娠時における薬物動態

○フェニトインを例にとると、
妊娠中に血漿中濃度は低下(非結合型が増加)、分娩後は再び上昇。妊娠中は血清アルブミンが減少するため、タンパク結合率の高い薬では肝・腎クリアランスが減少し、タンパク結合率の高い薬では、肝・腎クリアランスが増加。

妊娠中および分娩前後にみられるフェニトインの血漿中非結合型率(Deanら、1980)

○腎排泄型抗生物質セフロキシムでは、妊娠により、血液中濃度低下がみられる。これは腎臓の糸球体ろ過速度が増大するためである。

妊娠時(11〜35週)におけるセフロキシムの薬物動態パラメータ(Philipsollら、1982)

○肝代謝型ジアゼハムでは投与初期には臓器組織内への薬の移行量が増え、血中濃度は低下。その後肝代謝分解酵素活性が低下するため、半減期が増大する。

−α1ブロッカーによる排尿障害 治療効果と循環器系副作用−
〜今回のPK&PD講義〜

前立腺肥大に伴う排尿障害の治療薬として、α1ブロッカーが臨床で使われている(プラゾシン、テラゾシン、タムスロシン、ウラビジル等)。血管平滑筋にも作用するため、副作用として起立性低血圧がある。
治療効果と副作用の関係をレセプター結合占有率を使って解析できる。

α−遮断薬の排尿障害治療における常用量投与時のレセプター結合占有率、および臨床有効率

常用量投与時の前立腺におけるα1−レセプター結合占有率(Φ)は、平均で83.8%と薬物によらず一定である。血管平滑筋におけるα1−レセプター結合占有率(Φ)は、表のような数値で表される。この結合占有率の差が副作用の程度の差を生じる要因となることが推測され、臨床試験における起立性低血圧の発現頻度の程度とほぼ一致している。

また、血圧低下の副作用は下のグラフのような関係であらわされ、さらに血圧低下率が予想できる。

血管における線合占有率(%)

<研修> 東大病院薬剤部大谷久克先生の講義を聴いて

3月11日、平成11年度のPK講義の締めくくりとして東大病院薬剤部の大谷先生をお迎えして、東大病院としての医師との連携の取り組み、重大な副作用回避の取り組み、又ご自身が研究されている薬剤によるQT延長のお話など、多岐にわたり−ご本人の弁によると幕の内弁当的に−話して下さいました。

その内容は非常に厚く私の能力の範囲を越えてしまい、全部を理解するのは困難でした。出来れば今回のお話をイントロダクションにして、数回に分けて一つ一つの項目について話していただけたらなと正直思いました。只、その時の率直な印象は、大学病院でだから出来る事じゃないか、特に東大病院だから出来ることで、一般の特に調剤薬局でなんかそんな話どだい無理よと、少し距離を置いた聴き方になってしまったのは否めません。後での質問でもそんな発言が出ました。

しかし、一日一日と日を経て、大谷先生のお話を反窮していて、将来は先生のお話されている事が、私達の身近に迫るのではないかと考えるに至りました。それは、以前ベッド数120床ほどの病院に勤務していた時の事を思い出したからです。

そこは大学から臨時の先生が多く来られていて、よく輸液選択についてとか、緑膿菌の対策について相談を受けました。私は今よりも知識が未熟で、薬局長があれこれと対応するのを見ているだけでしたが、その時のことを考えると、あの時、大学を出て10年前後の医師が、私達薬剤師に治療方法について相談を持ちかけてくるというのは、大学病院又は、基盤のしっかりした大病院などで、病院薬剤師が投与設計について、しっかりと答えていっている。その連携に慣れた医師が民間に下って、調剤薬局に相談を持ちかけてくる。あり得ない事ではないと思います。

確かに今、一病院対一調剤薬局という分業から患者本位の「かかりつけ薬局」に移行はしていますが、医師から信頼される薬剤師というのも必要だと考えます。

例えば、レニベースをインヒベースに変えようと思うんだけど、メパロチンをリボバスに変えようかと思うんだけど、と言うような質問をされて、能書に書いてあるとおりの投与方法を答えて果たして正しいのか、皆さんはどう考えますか? 過去2年間、PK講義を受けてきてもわかるとおり、腎排泄型か肝排泄型か、蛋白結合率の大きさ、どんなチトクロームとの型に分類されるのか、又患者側の要因、肝機能が低下しているか、腎機能が低下しているかなど様々な因子によって、同様な病態に使用する薬剤も、同様には作用しないと言うことはわかってきたと思います。そんなときに能書に書いてあるとおりの使用方法でなく、もっと論理的に計算して、この薬剤は、蛋白結合率がこれこれで、チトクロームのこのグループに属し、肝排泄型でグルクロン酸抱合である、半減期、最高血中濃度、分布容積、クリアランス等と、現在おたずねの患者さんの疾患から計算すると、Aという薬剤からBという薬剤に変更するとこの量が同等です。と言えるようにならなければならないのではないかと考えます。

近い将来それらが簡便にできるソフトが出来ると信じていますが、ソフトが出来なくても、個々の調剤薬局の薬剤師が、投与設計が出来る事が今後求められるのではないかと考えますし、それが出来なければ、医師の信頼は勝ち得ないし、信頼を勝ち得なければ、医師とはますます帝離していくのではないかと考えます。今からの薬剤師は、患者さんにとって信頼できる薬剤師であると共に、医師にとっても信頼できるパートナーでなければならないと、今回の大谷先生の講義を聴いて、かんがえました。又、いつか新鮮な刺激を私達に与えに来て欲しいと思います。

講演された大谷久克先生

(T.S)

<研修> 訪問歯科診療とは?

日 時:平成11年3月18日(木)
場 所:福岡県歯科医師会館5F 大ホール
テーマ:「訪問歯科診療」        企画  地域歯科医療委員会
     @「出かける前に」      博多区開業  新開清司先生
     A「只今診療中」       東区開業   中富新也先生
     B「患者さんの生理と心理」  入江内科医院 入江 尚先生

訪問歯科診療の実際と工夫の器具類と新製品等をスライド、ビデオを使って紹介しながらの、経験豊富な新開、中富両先生の講演、内科医の立場からの老人患者の特性についての入江先生の講演。

歯科大学側からは、患者を中心とした機能するネットワーク作り、ポータブル]線を使用する際の患者、施用者の]線防御に関する質問等あり。

訪問服薬指導に新たな視点を開かせて頂きました。

(石井雅明)

<トピックス> 薬剤性肝障害の最近の話題 学術委員会

薬剤性肝障害の障害像および臨床像は多種多様である。肝機能検査で偶然に発見され、自覚症状がなく検査値のみが異常な軽症例から、発熱、黄痕等の全身症状を併い生命を脅かす重症例までさまざま含まれる。

重症化を防ぎ、慢性化を未然に防止するためにも早期に正確に薬剤性肝炎と診断される事が重要である。しかし、薬剤性肝炎だと診断する特異的マーカーや検査法は今のところない。したがって、服用後に症状が発現し、中止により症状が回復すること、肝炎を起こす原因(B型肝炎,C型肝炎等のウイルス感染を含む)が、薬剤以外見当らないことなどの状況判断によってのみ診断されることになる。

医師が薬剤性肝障害の診断に使用している一基準を表1に示す。要点は、(1)薬物の服用に引き続いて肝障害があり、中止にて改善を示す。(2)リンパ球刺激試験(D-LST)が陽性を示す。(3)偶然の再投与で肝障害が再発する。(4)肝生検で特徴的あるいは矛盾しない肝組織像を呈することなどである。このほか、副作用情報や副作用報告に日常注意を払うことも必要である。

薬剤性肝障害を発生機序から分類すると、(1)用量依存性の肝障害を生じ、肝障害の発生が予知可能な中毒性肝障害(2)アレルギー反応によって起こり、これは患者の特異体質によるもので予知出来ない薬剤アレルギー性肝炎の2つに分類される。しかし、薬物によっては(1)と(2)の両方の機序が関与することが最近明らかにされた。臨床での医薬品による肝障害の多くはアレルギー性である。臨床像として、トランスアミナーゼの上昇を主とする肝細胞障害型(肝炎型),黄症のみ見られる純粋な胆汁うっ滞型および両者の混合型がある。この内、混合型が最も多く見られる。

薬剤性肝障害を成立機序から見ると、薬剤自体より、反応性に富む中間代謝産物を介して起こることが多い。最近、薬剤代謝における中心的な酵素であるチトクロームP450(CYP)の遺伝子解析により、反応性に富む中間代謝産物の生成には、CYPの亜型や遺伝子異常が関与することが明らかにされた。今後、この方面から肝障害成立機序の研究が進展することが期待される。
今回、CYPとの関連および最近報告された薬品について紹介します。

(1)アセトアミノフエン

アセトアミノフェンは解熱鎮痛剤として 一般に広く使用されている。中毒性肝障害を起こす代表的な薬剤でもある。アセトアミノフェンの約90%は肝でグルクロン酸抱合,硫酸抱合によって体外へ排泄される。
残りの約10%はCYP2E1によってN−アセチルP−ベンゾキノンイミン(NAPQI)が 生成される。NAPQIは反応性が高く肝毒性を持っているが、グルタチオン(GSH)抱合を受け解毒される。肝のGSHは、アセトアミノフェン大量服用者だけでなく、飲酒者や低栄養者でも減少しているため、服用量が中毒量以下でも非抱合のNAPQIによって肝細胞障害が起こると推測され る。

(2)ハロタン

パロタンはハロゲン系麻酔薬で安全性も高いと言われていたが、肝障害の発生頻度が高いことから使用量も激減している。中毒性とアレルギー性の両方の機序によって肝障害を起こすため肝障害発現モデルとされている。(図1)
肝でCYP2E1を介して代謝され、還元によってクロロトリフルオロエタン(CTE)とクロロトリフルオロエチレン(CDE)が生成される。

〈必須条件〉

1. 薬剤の服用歴がある。

2. 服用と症状発現の関係が明らかである(服薬開始後 12週間以内,75%は4週間以内に発現する)。

3. 薬剤の服用を中止することによって臨床的に改善する(薬剤を中止するにもかかわらず肝機能異常や胆汁うっ滞が持続し、時には6カ月以上も長引くこともある)。

〈十分条件〉

1. 偶然の再投与により肝障害の発現をみる(重症化することがあるので原則として再投与は禁忌である)。

〈参考事項〉

1. ほかの原因が認められない(アルコール性肝障害、ウイルス肝炎、自己免疫性肝炎の除外)。

2. 薬剤アレルギーの既往がある、あるいはアレルギー体質である。

3. アレルギー症状(発熱,発疹,痛棒感)を伴っている。

4. アレルギーを示唆する臨床検査所見が陽性である(末梢血好酸球増多,血清IgE値高値)。

5. 薬物感受性試験(リンパ球刺激試験)が陽性である。

6. 特徴的な、あるいは矛盾しない肝組織像を呈している。

7. 文献上,その薬剤について肝障事の報告がある。

表1 薬剤性肝障害の診断指針

一方、酸化によってトリフルオルアセチル(TFA)塩化物が生成される。このCTEとCDEの前駆物質及びTFA塩化物によって、中毒性及びアレルギー性肝障害を起こすとされる。
ハロゲン系麻酔薬として他にエンフルラン,イソフルラン,セボフルランがあり、ハロタンより毒性は低いとされているが、CYP2E1で代謝されるのでハロタンと同様、肝障害の発現には注意が必要である。

(3)フルタミド

フルタミド(オダイン錠(R))はアンドロゲン受容体桔抗剤で前立腺癌の治療薬である。米国では1989年2月から1994年4月までに肝障害による死亡が20例、日本でもこれまでに8例の死亡例が報告されている。
ラットの遊離肝細胞を用いた検討により、人の場合もCYP3Aと1Aを介して生成された反応性に富む中間代謝産物によって、中毒性機序により肝細胞障害を起こすと推測されている。

(4)糖尿病関係薬

トログリタゾン(ノスカール錠(R))はこれまで重篤な肝障害が13例報告され、うち、3例の死亡が含まれている。
アカルボース(グルコバイ錠(R))で57例,ボグリボース(べイスン錠(R))で20例の肝障害が報告されている。共に肝障害の機序は明らかでない。
エパルレスタット(キネダック錠(R))は承認以降、因果関係が不明なものも含め17例の重篤な肝障害が報告されている。

(5)漢 方 薬

漢方薬も医療用漢方薬だけでなく、一般に市服されている漢方薬でも肝炎の報告が見られる。 発生機序は明らかでないが、アレルギー性機序の関与が疑われ、肝細胞障害,脂肪変性,胆汁うっ滞,内芽腫形成などが見られている。

ハロタンの代謝と肝細胞障害機序

臨床検査 vol.43.No.3 1999年3月
medicina vol.36.No.2 1999年2月
薬品等安全性情報

<会員の広場> 『糸島博多湾岸君が代の旅』 早良支部 原南部会 温和堂薬局 福岡英樹

糸島博多湾岸君が代の旅

「日の丸」「君が代」が今年は特に取り沙汰されています。 春の卒業式入学式が近づく度に、この問題の記事を目にします。 何故かこの問題が取り上げられるのは、この時期に集中しています。本当に国旗、国歌を論じるなら、国民の誰しもが注目するオリンピックの時に取り上げればいいのにと常々思っていたのは私だけでしょうか。

今年の3月22日の新聞の「日の丸」「君が代」についての高校生アンケートの結果(全国県庁所在地を中心に168人を対象)では、国旗、国歌にふさわしいと思うという答えが、「日の丸」で59%「君が代」で32%だったそうです。

ところで「君が代」の歌詞の出典をご存じだったでしょうか。
「君が代」は「古今和歌集」の「賀の部」の冒頭に出てくる、読み人知らずの歌だそうです。

 君が代は 千代に八千代に さざれ石の
  いわは(いわお)となりて 苔のむすまで

 実はこの歌は、私達が住む糸島博多湾岸でつくられたという説があります。
この歌は、博多湾岸とその周辺の「地名」「神社名」「祭神名」から成り立っているということなのです。

◎『千代』‥博多区に千代町があります。
(八千代は千代の美称)

◎『さざれ石』・・・前原市の三雲遺跡の裏に細石(さざれいし)神社があります。

◎『いわほ』・・・古今和歌集は種々の伝本があり、「いわは」が「いわお」となっているものもあるそうです。ただどちらも 語幹は「いわ」です。 三雲遺跡から更に南に井原(いはら)遺跡があり、更に南には雷山の隣に井原山があります。現在は「いはら」と発音しますが、地元の方は「いわら」と言われるそうです。「いわら山」はおそらく「岩 羅山」であろうと古田武彦氏は解釈されています。
旧石器時代、縄文時代には巨石信仰があった事は知られており、この地帯には目 立つ岩があったのだと、古田氏は著書の 中で書かれています。

◎『苦のむすまで』・・・糸島郡志摩町船越に桜谷神社があります。ここの御祭神が苔牟須売神(こけむすめのかみ)です。

 「君が代」もこの福岡の地に謂れがあると思って聴くと、親しみがわいてきませんか。
一度この謂れの地をドライブがてらに回ってみられてはいかがでしょうか。

 梅の中道から志賀島に入り、右折して進むと『志賀海神社』があります。
志賀海神社には「しか」の名が示す通り、蔵には沢山の鹿の角が置いてあります。志賀島には昔は実際鹿がいたのだそうです。

 ここから真正面に千代町があります。
志賀海神社をスタートし、東区の香椎に向かうと『香椎宮』があります。
志賀海神社から東区香椎の香椎宮へ行く道は香椎路と呼ばれ、そこから先の博多湾岸が千代の松原と呼ばれていたそうです。

 ここから一気に西へ向かいます。都市高速から博多湾を一望しながら、鎌倉時代頃まであったといわれる博多湾と唐津湾とを一直線に結ぶ糸島水道を想像してみてください。
百道ランプを降り、よかとぴあ通りを西に向かい室見川を渡ると、左手に愛宕山愛宕神社があります。昔は海岸線はもっと手前にあったでしょうし、神社は夜は筆火を点していたでしょうから、愛宕神社は灯台の役目も果たしていたのではないかと想像してしまいます。

 国道202号線に入り、前原市に向かいます。産の宮の信号を左折し、JR波多江駅の横を通り南に山の方へ向かうと、三雲神社前というバス事があります。その左奥に『細石神社』があります。地元では三雲神社とも呼ばれているようです。
ここの御祭神は磐長姫(いわながひめ)と木花開耶姫(このはなさくやひめ)の二柱です。
このお二人は古事記では姉妹姫です。

 そこからさらに南へ1km程向かうと、『井原』という住所があり、考の南奥に見えるのが『井原山』です。

 来た道を戻り、202号線から糸島半島に入り、加布里から小富士を通り西へ向かい、松原の信号を左に入ると、船越という所に出ます。ここに『桜谷神社』があります。
糸島半島には二見ヶ浦の近くに「桜井神社」があります。名前が似てますので間違えないように。
『桜谷神社』は車では入れません。また一寸捜して分かるような場所にありませんので、車を海岸に置いて、神社の場所は地元の方に尋ねてください。地元では「若宮明神」とも呼ばれているようで「若宮様はどちらでしょうか」と尋ねられたほうが分かるかもしれません。
民家の横の道を通り、山の方へ畔道を歩いていると、木々に覆われた小さな社があります。鳥居には「若宮社」とありますが、社殿の戸を開けて中を覗くと「古計牟須姫命(こけむすひめのみこと)」と「木花開耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)」の二柱が祭ってあります。
「若宮明神伝記」には「桜谷にお祀りしてある若宮明神は、石長姫命(いわながひめのみこと)木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」とあり、「石長姫命は別名を苔産霊神(こけむすびのかみ)と申し上げ・・・」と記されているそうです。
苔牟須売神(こけむすめのかみ)とは結局石長姫(いわながひめ)のことであり、桜谷神社にも細石神社と同じ姉妹姫が祭られているのです。

 木花開耶姫は古事記で天孫降臨された適遊芸命(ににぎのみこと)の奥さんです。
神話の海幸彦、山幸彦の話はご存じの方も多いと思いますが、そのお母さんです。
木花開耶姫は富士山で祭ってありますが、この桜谷神社の近くに小富士という住所があるのも何か関係があるのかもしれません。
 ところで、古事記では邁遜芸命は日向(宮崎県)に天孫降臨されたとあります。
前原の「井原」から山を超えて福岡市に入る峠を「ひなた峠」といいますが、漢字で書くと「日向峠」です。ただの偶然なのでしょうか。

 古代史とは現存する遺跡や資料を繋ぎ合わせるある種想像の世界です。 縄文時代が発展して弥生時代になったと言われていましたが、縄文人社会を弥生人が征服したという説が強くなってきています。
 磐長姫は名前からして巨石信仰に結び付きます。であるなら縄文時代の姫神と考えられます。 木花開耶姫は邁蓮芸命の奥さんであれば弥生時代の姫神と言うことになります。
 なのにこのお二人は古事記では姉妹になっているのです。何故でしょう。

古事記の初代天皇は神武天皇です。そしてその始祖は天照大御神です。 邁遊芸命は天照大御神の孫に当たります。
 古事記をもっと遡れば、磐長姫も神武天皇と繋がりますが、天照大御神を始祖と見れば、磐長姫と神武天皇とは直接には繋がりません。
 なのに古今和歌集のこの歌には磐長姫(苔牟須売神)が出てきます。ならば「君」とはいったい誰のことを指しているのでしょうか。
 そんな事を考えてみるのも面白いものです。

糸島半島から博多湾にかけて、古代から相当に栄えた場所だったのだと思います。 大陸との交流も盛んだったのではないでしょうか。
 福岡の街は九州で一点集中といっていい程の発展をしてきました。そして福岡は東京文化も大阪文化も受け入れています。
 これも古代からあらゆる文化を受け入れて繁栄してきた名残りではないでしょうか。
 そういう事を考えながら、古代のロマンを求めて「君が代」の所縁の地を訪ねてみるのも楽しいものです。

《参考資料》
 古田武彦著
 「君が代」は九州王朝の讃歌(新泉社)

<リレー・書いていい友!(市薬会員の輪)> 「京劇を観て」 城南支部 別府部会 占部薬局 中山廣子

三古口(さんちやこう)覇王別姫(はおうべっき)

2月中旬頃、中国京劇を観に行きました。
京劇を観るのは初めてで、前知識もあまりなくて行ったのですが、すっかり魅了されてしまいました。舞台の俳優さんの演技というか、立ち回りに釘付けになった感じでした。中華人民共和国建国50周年を記念しての公演で、選りすぐりの俳優さんと、有名な出し物がそろっていました。

周恩来首相は文化を重んじ、こよなく京劇を大切にされ育ててこられました。中国は広大な国土と10数億の人口ですが、150の民族の集まりで隣とは言葉はもちろん風習や生活も違う国です。こういった民族を統一するために、周首相は心をなごませる歌や舞、特に京劇を用いられたのです。

千年にもわたるその土地の舞台芸術(劇団)が影響し合い北京で一つの形となっていったのが京劇なのです。しだいに庶民の間で流行していき、名声が高くなっていきました。酉太后に気に入られ宮廷へ招き入れられて、ますます大きいものになって全国へ普及していきました。

シェークスピア作品等、原作がすでに芸術作品として高い評価を受けている西洋戯曲の舞台と違い、京劇はあくまで俳優に舞台の成功のカギと作品の生命がかかっているのです。舞台装置や背景はほとんど使われません。

身振り、目線、歩き方でその場の状況や心情を表現します。俳優の唱(うたい)念(せりふ)倣(しぐさ)打(立ち回り)の4つの要素が芝居の優劣を分けます。俳優は想像を絶するような鍛錬の連続で「1日休めばその衰えは自分にわかる。2日休めば舞台の相方にわかる。3日休んで舞台に立つと客が承知しない」と言われています。周首相の励ましの言葉「たえず努力を!古典を学び、民衆の声に学び、独創精神を発揮せよ」現在もこの言葉を頭において芸に励んでいるそうです。

京劇のもう一つの特徴は独特のメーク「隈取(くまと)り)」でその人物をはっきりと分けています。 例えば赤は忠誠心・正義を、黒は豪傑肌の人物、白は佼精、金銀は多く神経に沿って使われその超自然性を表わすといった具合です。 舞台の右側に嚇子(はやし)方がいて、独特のリズムで音を奏でています。俳優はその昔とリズムに合わせて演じ歌います。

出し物の一作目は三盆ロ(さんちゃこう)舞台では暗闇を想定しての計算されたような立ち回りが見どころです。二作目は覇王別姫(はおうべっき)敵に包囲された項羽を虞美人は剣舞を舞って励まし、王の足手まといになるのを恐れ自ら命を絶つ悲恋ドラマです。 虞美人の健気な女心が胸にじんときます。三作目は三国志演義「赤壁の戦い」孫権は少ない兵力ながらも知恵を絞って勝つところが見どころです。

京劇といえば梅蘭芳(メイランファン)と出る位有名で、京劇を世界の芸術に高めた名優です。日本にも3度の来演でファンも多く、梅蘭芳は関東大震災の知らせを開くやいなや、中国でチャリティ公演を行ない、被災者のために義援金を寄せて下さいました。

周首相の言葉に「水を飲む前に井戸を掘った人のことを忘れるな」とあります。長年にわたって日中両国の友好のために奔走し尽してくださった方々、それこそ血のにじむような努力を忘れてはいけないと思います。京劇は歌舞伎に大きな影響を与えました。美術にしてもそうです。中国の文化の大恩を忘れてはいけない。むしろ恩返しをしていかなければならないと思います。

漢方は病を人間全体から見ていきます。病の進行を自然な形で静かに見守って行きます。何かそこに大きさを感じます。世の中が目まぐるしく変化していく昨今、何か遠い所に置き忘れてきた物を中国に感じます。厳しい中に人間愛を失わない中国。観終って改めて自分の姿を反省しました。

このリレーの次は城南区藤野薬局藤野久枝先生にバトンタッチします。

三国志

<文芸>

扁鵲(へんじゃく)(1)

 扁鵲(へんじゃく)という人は勃海郡(ほっかいぐん)の鄭(てい)の人で、姓は秦氏、名は越人(えつじん)という。若いとき舎(しゃ)の長となった。
客に長桑君(ちょうそうくん)という人がいて、越人は長桑君を謹んで待遇した。

十余年たった頃、長桑君は越人を呼んでいった。
「私は禁方(きんほう)の書(しょ)を持っている。年をとってしまったので、あなたに伝えたい。決して人に洩らしてはいけません。この薬を上池(じょうち)の水で三十日飲み、この書を読みなさい。三十日経つと、物が見えるようになるでしょう」 長桑君は禁方の書をすべて与えると、忽然と消えてしまった。

越人はその言葉にしたがい、三十日経つと垣根の向こうの人を見通すことができるようになった。

−『史記』扁額倉公(へんじゃくそうこう)列伝

− 子 豹(しひょう) −

「田忌(でんき)殿、お呼びで‥・」
「おゝ、豹(ひょう)か。待っていたぞ」
「淳于コン(じゅんうこん)殿より指示がありました」
「ささっ、近くへ」

 豹と呼ばれた男は草むらからゆっくりと出てきた。その日は鋭く光っている。
「何事でしょう」
「豹よ。斉の国情をどう思う」
「どうと申されますと・・・」
「先の斉(せい)王桓公(かんこう)殿がご逝去なされ、新しく威王(いおう)殿が即位されて何年になるであろう」
「8〜9年になります」
「その間、韓(かん)・趙(ちょう)・魂(ぎ)・魯(ろ)・衛(えい)より攻められ霊丘(れいきゅう)・陽関(ようかん)・博陵(ぱくりょう)・辞陵(せつりょう)を占領された」
「昨年はまた趙が甄(けん)に攻め入っております」
「残念なことだ」
「・・・・・・」
「それでも威王(いおう)殿は動こうとなされない。毎日酒色に溺れ、なぞかけばかりを楽しんで、そのいっていることは誰にも理解できない。賄賂は横行する。国政はまったく乱れ切っている」
「私もそのように思います」
「ただ淳干コン殿は稷下(しょっか)の長として頑張っておられる。あれほどの人物が何故このように乱れた斉の国にとどまっているのか不思議だ。何か考えるところがあるのだろうか」
田忌はそれとなく探りをいれた。
「分かりません。淳于コン殿の心のうちは誰にも分かりません」
「・・・・・・」
「しかし、目はいつもするどく輝いております」
「うむ。わしは以前国賓として魂(ぎ)に行ったことがある。その時、孫ヒン(そんひん)というものに出会い兵法の話を聞いた。これは使えると思い連れかえり屋敷を与えて丁重にもてなしている。 時期を待っているのだ。威王殿をお助けする時期がきっと来るに違いないと思っている」

田忌の屋敷に夕闇が迫っていた。臨シの表通りから外れている静かな屋敷だ。
「威王殿の即位は早すぎたのではないかと思う」
田忌がぽつりといった。
「それにしても桓公殿は何故あのように急逝なされたのか。今をときめく扁鵲がついていながら、どうして救えなかったのか。残念でならない。わしは国賓として魂へ行っていたので状況は分からぬが、扁鵲は治療を放棄して逃げ去ったというではないか」
「・・・・・・」
「もし桓公殿の病が癒えておれば、斉の国情もこのように乱れてはいなかったであろう。そのように考えると扁鵲は国賊ということになりはしまいか。許すことはできない」
田忌はするどく豹を見つめた。
豹は田忌が何故自分を呼んだのか初めて理解した。
         
「いま扁鵲は趙の邯鄲(かんたん)で婦人を診ています」
「邯鄲へ行っては貰えまいか」
有無をいわきぬ語気であった。
「はっ」
「扁鵲(へんじゃく)の真意をよくよく聞いてきてくれ。返答によっては切り捨てよ」
「はっ」

すっかり陽は落ちていた。
「豹よ。腕は落ちてはおるまいな」
田忌の声が闇に聞こえた。
一瞬、光が走った。剣が鞘に納まる音がした。
「すぐに出立いたします」
豹の声が響いた。しかしすぐに気配はなくなった。

− 相変わらずすばやい男だ
田忌は頼もしく思った。

部屋へ向かおうとしたとき、足もとに気配を感じた。動くものがある。
田忌は思わず飛びのいた。蛇が釜首をもたげている。が、それはすぐに力なく崩れた。
見ると、蛇は中央でまっぷたつに切られていた。
− 恐ろしい男だ。戦国の世で身を守る術(すべ)であろう

趙の首都邯鄲(かんたん)は妓楼(ぎろう)が立ちならび、街ははなやいでいた。
患家は婦人が多く、扁鶴は連では婦人科を専門としていた。

「子陽(しよう)は鍼か」
扁鵠は子陽を見ていった。
「鍼は命でございます」
子陽は見向きもせず、一心に鍼を研いでいる。
「確かに・・・。しかし、そのように熱心に研いでいると、鍼が擦り切れてなくなってしまうのではないか。子陽の鍼は長く持たないと子明(しめい)がいっていたぞ」
扁鵲は笑いながらいった。

「ご冗談ばかり。私は患家のために最高の鍼をと願っているのです。子明もそのような考えでは医を全うすることはできますまい」
子陽は少しむっとしていった。

「怒るな、怒るな。子明も悪気があっていっているのではない」
「分かっております」
「しかし、わしも変わった弟子ばかり持ったものだ。子陽は鍼にばかり執着するし、子明は子明で予言に凝っている。確かに病気の予後について見通すことは大事なことだが、子明の場合は少し違う。易(えき)・ト(ぼく)とも違うし特殊な感性であろうが、医ではない。今のところ外れてはないようだから、それで良いのかも知れない。しかし、わしの弟子になったからには医でやってもらいたい」
「その通りでございます。私にも子明の医ではない力は想像がつきません」
子陽は笑いながらいった。

「子陽にしてもそうだ。鍼は患家を治すためにあるのであって武器ではない。そのことをくれぐれも考えて勉強してもらいたい」
「申し訳ありません。しかしお言葉を返すようですが、今のような戦国の時代には自分の身は自分で守っていかなければなりません。どうかお許し下さい」
「やむを得まい。子陽の鍼で助かったこともあるのだから・・・」

 扁鴇と子陽が笑っていると、子明がやってきた。

「何を笑っているのです。私のことではないですか」
「子明の予言の話をしていたんだ。子明の予言は近頃、一段と磨きがかかってきている。さぞかし医も相当上達してきているのではないかと」
 子陽が笑いながらいった。

「予言といえば私は最近不安で仕方がありません。先生に不幸がおこるような気がするのです。このようなことを申すのは非常に失礼かと思うのですが、この2〜3日胸騒ぎがしてなりません」

「子明のいうことだから注意をするにこしたことはあるまい」
扁鵲が笑った。
「冗談で申しているのではありません。くれぐれもご注意なさってください」「分かった。わしもこの4〜5日誰かに追けられているような気がしてならなかった。恨みをかうようなことはしていないつもりだが気をつけよう」
「誰でしょう」
子陽の目が鋭くなった。
「分からぬ」
「患家でしょうか」
「違うと思う」
「斉のものでしょうか」
「斉を出てすでに8〜9年になる。斉のものではなかろう」
「斉を出てから、やはり追手があったそうです。間一髪というのはああいうことをいうのでしょう」
 子陽が思い出していった。
「とにかく先生にはくれぐれもご注意をお願いします」

 豹は扁鵲を探りあてた。扁鵲は邯鄲で名を馳せていたので探りあてるのに時間はかからなかった。4〜5日扁鵲の素行を追った。用心深く後を追けたっもりだ。
− 今夜あたり会ってみるか

 あたりが夕暮れて、豹は扁鵲の平屋へ忍び込んだ。
− 玄関から堂々と入っても良かったのではないか。何も最初から殺すつもりではないのだから 
豹はふとそんなことを思ったが、出来ることなら扁鵲一人と会えれば都合が良い。

 庭の木陰に身を潜めて息を殺していた。
 闇がおおった。
 静寂が続いた。
 豹は動こうと思った。
 トットト
 耳元に軽い音が響いた。
「動くな」
 するどい声が静寂を破った。豹は一瞬足がすくんだ。見ると鍼が三本、目の前に突き刺さっていた。


「何もの」
「‥‥‥」
「動けば次は目を射る」
子陽の目が闇に光っている。
豹は動けなかった。

騒ぎを聞きつけて、扁鵲(へんじゃく)、子明(しめい)、子游(しゆう)、子儀(しぎ)が駆けつけた。
「何があったのだ。子陽(しよう)」
「曲者でございます。ご用心を。あの木の陰です」 
 子陽の指の先に、動かない人影があった。

「子陽。止めなさい」
 扁鵲はたしなめるようにいうと、今度は人影に向かっていった。
「おまえだな。このところわしの後を追けていたのは」
「・・・・・・」
「用があるなら正々堂々と玄関から訪ねてこい」
「先生、逃がすのですか」
 子明がいった。


「この4〜5日、わしを殺そうと思えばいつでも殺せている。それをしなかったのは目的が違うのであろう」
 扁鵲は豹にも聞こえるようにいった。
「失礼をいたしました」
 闇から声がした。

「私は子豹(しひょう)と申します。斉の田忌(でんき)殿に仕えるもの。田忌殿は、前の斉王桓公殿の治療を断って逃げたという扁鵲殿のことを調べてくるように、その真意のほどを確かめてくるように、私に指示なされたのです」
「失礼なことを申すな」
 子陽が鍼を持った手を振り上げた。
「待て」

  扁鵲は思い出した。
「田忌殿は斉の将軍ではないか」
「さようです」
「その将軍がわしに何と」
「田忌殿は今の斉王威王殿に失望されておられるのです。せめてもう少し先王桓公殿が生きていたらと思っておられるのです。扁鵲殿のことも聞き及んでおりまして、なぜ診療を断って逃げたのか不審に思っておられます」

「あれほど申し上げたのに」
「‥‥‥」
「わしは何度も桓公殿には申し上げたつもりです。今治療すれば治ると登宮するたびに申し上げたっもりだ。桓公殿は笑って本気にされなかった。どうしようもなくなって、わしは斉を経ったのだ。決して診療から逃げたのではない」
「‥‥‥」
「わしも弟子をかかえる身、もしものことがあってはつまらない。大事をとって斉を離れたのだ」
「‥‥‥」
「斉の稷門(しょくもん)に淳干コン殿がおられるが、彼が斉を去らないかぎり大丈夫だとわしは思う」

  稷門は臨シの西にあり、桓公はその近くに大邸宅をたくさん作り、方々からの学者を集めて議論をさせた。彼らは政府の職には就かず、自由な発想で議論していた。−百家争鳴(ひゃっかそうめい)−というのがそれだ。気に入らなければ立ち去るだけである。

「淳于コン殿は各地に人をやって情報を集めておられる。田忌殿にどうか斉のこれからのことはご心配なさらぬようお伝え下さい」
 扁鵲は笑った。

「数々の失礼お許し下さい」
 子豹は緊張を解いていた。
「田忌殿にはそのようにお伝えします」
 そのまま木陰の人影がふっと消えた。

「淳干コンというのはなにものですか」
子陽が鍼を抜きながら聞いた。
「わしもまだ会ったことはない。コンというから禿であろう。贅壻(ぜいせい)であったかも知れない」
贅壻というのは奴隷のことである。


「淳干コン殿は稜下の長を務めながら、密かに人をやって情報を集めているようだ。近々何かがおこるかも知れない」
 扁鴇はいつまでも賊の立ち去った木陰を見つめていた。

子豹は斉の臨シ(りんし)に帰ってきた。やはり臨シはにぎやかだ。商品はなんでも揃うし、闘鶏などの娯楽も少なくない。表通りに行くといつも祭りのような混雑である。

− 子陽とかいってたな。あの鍼には肝を冷やした。しかしあの時、間髪いれずに飛び込んでおれば、子陽を一刀のもとに切り捨てていたかも知れない。そうなれば扁鵲殿の話も開けてはいないだろう。子陽もおもしろい男だ。医の鍼が、あのような武器になろうとは 子豹は扁鵲よりも子陽に感心していた。

− それにしても扁鵲という人物はどんなに優れているというのだろうか。あの子陽があんなにあがめ奉って。淳干コン殿のこともいっていたが、どこからあのような情報を得たのか。おもしろい男だ。子陽と一緒に弟子になっても悪くはないな
子豹はそんなことを思いながら笑った。

「どろぼう」
 雑踏の中にその声は消えていた。
 子豹にぶつかるものがあった。
 男は観念して立ち止まり、子豹に哀願するような目を向けた。


「その男は泥棒です」
 追いついた男が息を切らせながらいった。
「包子(中華饅頭)を盗んだんです」

 男は包子を持った泥棒の腕をつかんだ。
「つきだしてやる。二度とこんなことが出来ないようにしてやる」
泥棒は二十代の青年で、身なりは粗末であった。腹を空かせて力が入らず、目は子豹に向けられている。

「待て。私が払おう」
子豹は泥棒に軽くうなづいた。
「そんなことをしてもこの男のためにはなりません」
「見ればまだお若い。包子一個で将来のある人生をつぶしても如何なものか」
「一度このようなことをしたものは繰り返すものです」
「この男は私の知り合いだ。勘弁していただきたい」
「そこまでいうのでしたら・・・」
男は泥棒をみて、
「二度とこのようなことはするなよ」
と、吐き捨てるようにいった。
野次馬も離れてもとの混雑に戻った。

「ありがとうございました」
「お若いのに、何か訳でもあるのか」
「申し訳ありません。私は蘇秦(そしん)と申しますがお腹が空きすぎてこのような馬鹿なまねをしてしまいました」
「飲茶でもやるか」

 蘇秦は一時、黙々と食べた。落ち着いたところで話し始めた。
「私は周の洛陽に生まれましたが、洛陽は昔ほどの文化的はなやかさもなく、産業もないものだから、みな行商で出稼ぎにいくのが一般なのです。私は学問で身を立てたいと兄達の忠告を振り切って、斉の鬼谷(きこく)先生に師事したのですが、残念ながら学費が尽き、洛陽へ帰って独学するつもりなのです。鬼谷先生から『鬼谷子(きこくし)』を頂き、それを何度も熟読するつもりです。兄達には顔向けできませんが仕方がありません。金はすべて学費に使い果たしてしまいましたので、二日間何も口にしていなかったのです。本当に申し訳ありませんでした」
「私にいっても仕方がない」
「本当に助かりました。やっと力が湧いてきました」
「学問も大変なことだな」
「どうかお名前をお聞きしておきたいのですが・・・」
「私は子豹と申すものです。困ったらいつでも訪ねてきなさい」
「またお会いすることがあると思いますが、その時にはお返しをさせていただきます」

子豹はやせ細ったこの青年のどこにそのような力が残っているんだろうかと笑った。しかし、蘇秦の目の奥に一瞬気塊がみなぎったのを子豹は見逃さなかった。
− もしかするとこの男はいずれ大物になるかも知れない
子豹はふとそう思った。
「洛陽までは道は遠い。気をつけてお帰りなさい。少ないがこれを旅費の足しにしなされ」
子豹は財布ごと蘇秦へ渡した。
「今日の出来事は一生忘れません。ありがたく頂戴いたします」

「豹か・・・」
田忌が庭のほうを振り向いた。
「豹には玄関というものがないな」
子豹を確認して田忌がいった。
「玄関より入ると、手続きが面倒でございます」
「して、如何であった」
「扁鵲殿にお会いしました」
− 殺せなかったな
子豹が扁鵲に敬称を付けたことで、田忌は全てを悟った。

「扁鵲殿はまた淳干コン殿のこともご存じでした。淳干コン殿は何かを調べているようでございます」
「何を調べているのだ」
「分かりません」
「・・・・・・」
「それから田忌殿にご心配なさらぬようにとのことでした」

田忌にはもうひとつ腑に落ちないところがあった。自分に見えていないことが、淳干コンにも扁鵲にも見えているような気がした。
「分かった」
田忌は決心したようにいった。

「明日威王殿にお会いしよう。そして孫ビン(そんぴん)殿を推挙してみよう。孫ビン殿の話を聞いて動かれるようなら威王殿にはお考えがあるはず。
もし動かれないようなら、わしは役職を離れるつもりだ」
田忌は自分にいい聞かせるようにいった。
「ご苦労であった。ゆっくり休むが良い。淳干コン殿にもよろしく伝えてくれ」
子豹が消えた。

つづく

学生時代は小説家になろうかと、夢見たりもしていました。卒業してメーカーに入り10年間はすっかりそのことを忘れていました。OTC薬局を開設して更に10余年、現在三児の父で51歳になります。薬剤師会に入り広報委員になり『中医略史』を書くようになって、再び挑戦してみようと『扁鵲』を書いてみました。出来るだけ説明を省いて読みやすくしたつもりです。ご期待されたし。

(上村義徳)

aaa戦国時代略図

<シリーズ・「ダメ。ゼッタイ。」薬物乱用防止活動5>

シリーズも5回目に入りました。今回はヘロインです。
ヘロイン中毒は、昔にも流行した時期があり、現在に至るまで、密売の道は絶たれずに続いています。このことからも、一人一人がしっかりした意識を持たない限りその暗い道を絶つのがいかに難しいのかが解ると思います。ヘロイン中毒者は、その薬の力を余すところなく享受する為、最後には自らの静脈を縦に裂いて、ヘロインを注入すると言います。ヘロインは非常に不衛生な注射器を用いたり、仲間での注射の回し打ちなどによって、ヘロインそのものの害のみならず、様々な感染症への羅患率も高く、とりわけAIDS感染拡大の一因になっていることもよく知られています。

(T.S.)

「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

モルヒネ (MORPHINE)

 コウビーズ(cobies)、キューブ(cube)、ドゥプ(dope)、エムセ(emsel)、ファースト・ライン(丘rstline)、グッズ(goods)、ハード・スタッフ(hard stu任)(ハードとは「強力な」といった意味で、スタッフは「プツ」(物)のこと)、ホウカス(hocus)、ジャンク(junk)、「エム」("M"。モルヒネの最初の文字(M)による)、ミス・エマ(MissEmma、勿論エムに掛けている)、モー(morf)(モルヒネの短縮形。以下も同様)、モーフィー(morphie)、モルフォ(morpho)、モーフィー(morphy)、マツド(mud)、シスター(sister)、スタッフ(stuff)アンキー(unkie)、ホワイトスタッフ(whitestuH)。

 モルヒネ(硫酸モルヒネ)は、歴史上最強の鎮痛剤と言えるでしょう。あへんの成分中、心地よさを感じさせる成分がこれです。多くのあへんアルカロイドがそうであるように、モルヒネも非常に強力で且つ中毒性も非常に高いものです。

メキシコ、中近東、東南アジアなどで生育している「けし」から粗製の「あへん」ができ、「あへん」から、モルヒネが作られます。

薬局で売られているものは(一般の市販薬ではありません。特別な処方箋が必要です)錠剤、カプセル、そして筋肉や皮下に注射できるタイプの液体のものもあります。純粋なものは、白色結晶性粉末で無臭ですが若干茶色がかったものや白色粉末のものもあり吸煙する者もいますが、あまり一般的ではありません。なぜなら、モルヒネは溶液として注射したとき最も強力な効果を発揮するからです。

医学的に正しい処方をされたときに、モルヒネは激しい痛みを和らげると同時に、痛みに伴う不安を除去し、患者に対して心地よい眠りを与えてくれます。

一方、中毒者にあっては、耐性が急速に進むため、摂取してもじきに普通の状態になってしまいます。3〜4時間もするころには、体が汗ばんで、イライラし始め、すぐに次に一発をほしくなるのです。薬をやめますと、体はゾクゾクし、暑くなったり寒くなったり突然変化し、悪心や手足の痙攣が起こり、そして一度にドッと発汗し、発熱し、震顛(ふるえ)を生じ、不安に悩みます。多量に摂取した場合や急性の中毒にあっては、瞳孔が収縮し、血圧が低下し、悪寒を覚え、ベトついて湿った青白い肌となり、ショック状態になり、意識が無くなり、昏睡状態に陥り、呼吸が停止して死に至る場合があります。

Q.ヘロインの原料はなんでしょう?
1.シンナーとよく似た化学薬品
2.ケシからとれる「あへん」を精製したもの
3.からだに無害な添加物

ヘロインの原料

ヘロインは、「けし」(我国において法律で栽培が禁止されている「けし」はパパヴェール・ソムニフェルム、パパヴェール・セティゲウム、パパヴェール・プラクテイアタムの三種類です)の液汁を集めて煮詰めて「あへん」を作り、そのあへんから「モルヒネ」を抽出し、モルヒネを化学的に化合してヘロインが作られます。

ヘロインは吸煙したり経口摂取もできますが、多くの乱用者や中毒者達は注射器(それも手作りの簡単なもの)を使って注射します。

少量の水でヘロインを溶かしますが、このとき、作業をし易ぐするために、にざる把手の部分を折り曲げたスプーンを使用します。これをマッチやランプの炎にかざして、ヘロインを溶かす訳です。こうして溶かしたヘロインは一度脱脂綿で濾してから注射器に吸い取るか、スポイトで吸い上げるかしたのち、既に血管に差し込んである注射器に繋いで、注射する、という方法です。(注射痕は腕から足先までのあらゆる場所や鼻、口の中、腎部や陰部などいたるところにみられます)ベルトや紐などの細い長いものを使って止血帯をつくり、これで静脈を浮き立たせます。

こうした静脈注射のほかに、皮膚を軽くツンと刺して皮下注射する場合もあります。(静脈)注射は乱用者の間では「メインライニング」(静脈を意味する俗語)と呼ばれ、高い金を出してやっと購入したヘロインを一滴たりとも無駄にせずに済み、而も最初に味わう快感が強力であることなどから、この使用法は彼らに最も好まれています。何年も注射を続けています静脈は破壊され皮膚は通常の注射が不可能なほど硬くなってしまいます。それでも彼らはハイな気分を求め、最後のあがきとして、皮膚を剃刀の刃で切り裂いて、まだ注射できそうな柔らかい静脈を模索します。

ヘロインの通称

ビッグ・エイチ(Big-H)、ブラック・タール(Black tar)、ブランクス(blanks)、ボーイ(boy)、ブラザー(brother)、ブラウン(brown)、ブラウン・シュガー(brownsugar)、キャパーリョ(caballo)、カーカー(ca-Ca)、チャイニーズ・レッド(chinese red)、チャイン(chaine)、コウビーズ(cobies)、クラップ(crap)、デウージー(doQjee)、ドゥプ(dope)、フリーパウダー(neapowder)、グッズ(goods)、「エイチ」(H)、ハード・スタッフ(hard stuff)、ハリー(Harry)、ホース(horse)、ジョイパウダー(joy powder)、ジャンク(junk)、カーカー(ka-ka)、メキシカン・マツド(Mexican mud)、ポイズン(poison)、スキャッグ(scag)(「スキャッグ」或いは「スマック」が一番一般的なヘロインの代名詞であると思われます)、スカー(scar)、シュメッ(schmeck)、スキャッグ(skag)、スマック(smack)、スメック(smeck)、スノウ(snow)、スタッフ(stuff)(「スタッフ」は「ブツ」(物)という意味ですからヘロイン以外の物にも使います)、シュガー(sugar)、テカーバ(tecaba)、シング(thing)、ホワイト・スタッフ(white stuff)

ヘロインとは

 ヘロインは何といっても乱用薬物の頂点に位置する物質で、アメリカでは乱用者に最も好まれている物質です。ヘロインは白色又は茶色い結晶性粉末で無臭、水によく溶ける苦味のある物質です(ヘロインが水に溶ける様子は、すさまじい程、速やかで、水面にヘロインが達したか否かの瞬間に水面を走り回って溶けます)。この物質の色は産地によって異なり、メキシコのものは茶色乃至は灰色、中近東及びアジアでは白色といった具合で、アジアのものは純白であるだけに純粋で、それだけ価格も高くなっています。

 ヘロインは化学的加工によりモルヒネから製造される物質で、モルヒネの誘導体ですが、モルヒネの3倍も強力ですし、中毒性もモルヒネに比べて非常に高い物質です。密売に供されているヘロインは製造工程に加えて、砂糖、タルカム・パウダー(目に蓄積して失明の原因になることも判明している)(タルカム・パウダーは、滑石と棚酸末の混合物に香料などを混ぜたもので、汗疹や爛れの予防に肌に付けるものであり、もともと体内に入れるものではない。エプソム塩、マンナ糖などの緩下剤、粉石鹸、キニーネ、ストリキニーネなどを混ぜ込んだりします。作用は殆どモルヒネと同じですが、より早く効き、且つ、効いている時間は短くなります。身体的な依存性は非常に高く、精神的な依存も存在します。他の如何なる麻薬よりも依存性が早くできあがります)

ヘロインの症状

 ヘロインを摂取すると、最初は多幸感(ユーフォリア/意味もなく幸せな気分)を味わいますが、その後は気息い感覚や悪心、嘔吐などの症状が始まります。瞳孔は収縮し、涙目になって痺みも伴います。

 度を過ぎた量を摂取すると、呼吸が浅く、遅くなり、ひきつけなどを起こしたり、こん睡状態から死へ至ることもあります。

 ヘロインにおいてもっとも恐ろしいのは、その禁断症状です。薬の効果がきれると、筋肉に激痛が走り、関節がきしむように感じます。その痛みは、骨がばらばらになって飛び散るかと思うほどで、激しい悪寒が襲ってきます。皮膚には鳥肌がたち、震えが起こり、そのうえ下痢を繰り返す、というのも特徴です。この症状が続くと、意識も定まらず膜臆とした状態になってきます。

さらに耐性によって量がふえると、末期的な禁断症状が起こり始めます。異常な興奮や、全身の痙攣、失神、筋肉と関節に及ぶ想像を絶するような痛みが、からだに完全に定着してしまうのです。

入院が必要となるほどの中毒患者においては、禁断症状が極端になると、自分の手の指にかみつく、壁や床に自分のからだを打ち付けるなどの自傷行為が始まったり、体中に虫がはい回るような感覚に襲われることもあると報告されています。

これらの症状が継続的に繰り返されると、たいていの人は精神に異常を来し、錯乱状態となります。

こういった恐ろしい禁断症状から逃れるために、またもヘロインを摂取する悪循環にはまりこみ、社会生活から脱落し、心身共に死の間際まで追い詰められてゆきます。

ヘロイン(あへん系麻薬)が身体に与える影響

●脳に対して
あへん系麻薬は、中枢神経に作用するためさまざまな意識障害や、幻覚・妄想、記憶力の低下、痙攣などを引き起こします。また、呼吸中枢に異常を来しますので、呼吸困難から、ひきつけや昏睡に至り死亡することもあります。

●気管支・肺に対して
気管支炎を引き起こし、咳や痕を生じます。

●胃に対して
嘔吐感や慢性的に繰り返す下痢を引き起こします。

●目に対して
あへん系麻薬は瞳孔を散大させたり、涙目になるなどの影響を与えます。

●心臓に対して
心不全や不整脈、胸痛を引き起こします。

●生殖器官に対して
精子、月経の異常をきたし、流産・死産、先天異常の原因となります。

●その他
注射針からの、エイズ感染や、肝炎、静脈炎が懸念されます。

◆不整脈
安静にしている時の成人の心臓は通常、1分間に60〜80回規則正しく拍動します。この心臓の拍動が乱れ、脈の打ち方が乱れる状態が不整脈です。突然死の中には不整脈 が原因である場合もあります。

◆心不全
血液を送り出すポンプとしての心臓の働きが低下すると、十分な血液を全身に送ることができなくなる状態が心不全です。突然 息苦しくなったり、呼吸困難に陥ったりするため、突然死を招くこともあります。

◆気管支炎
何ヵ月かにわたって毎日のように咳や痕がでます。これは気管支に慢性の炎症が起こっているためで、階段の登り降りや速足などのちょっとした運動で呼吸困難が起こります。また、心臓に負担がかかるので心不全を引き起こします。

◆肝 炎
肝炎の症状としては全身がだるくなる、食欲がなくなり吐き気をもよおす、黄症などがあります。

ヘロインの精神的症状

ヘロインの摂取は強烈な陶酔感をもたらすと言われています。その心地良さは精神的な依存性を強め、禁断症状の激しさは肉体的な依存を高めます。耐性も大きく、またたくまに使用量も増えてゆきます。

薬が切れると、禁断症状がおそってきます。最初のうちは倦怠感や、あくび、くしゃみ、不眠、鼻水やよだれが出るといった不快な症状程度ですが、徐々に動悼、発熱、悪寒、全身の震えなどの身体的症状が起こってきます。続いて筋肉や関節の激痛、下痢など繰り返し、それによって意識が膜臆としてきます。また蟻走感といって、体中を小さな虫がはい回るような不気味な感覚におそわれます。

こういった激しい禁断症状が慢性的に続くと、精神は完全に錯乱してゆきます。異常な興奮状態に陥って自分のからだをかきむしったり壁にぶちあてたりするような自傷行為に至ることもよくあります。すでに人間としての正常な感覚や精神活動はまったく失われた状態といってもよいでしょう。この錯乱状態は、入院すれば治癒するというものではなく、根深い精神障害として残ります。

●耐 性
過去に得られた効き目と同等の効き目を得るために、以前よりも更に多くの量を必要とする状態になること。耐性は特に依存と共に発現することがあります。

●蟻走感
その名の通り、体中を小さな虫に這い回られるような気味の悪い感覚です。ことに皮膚と筋肉の間に虫が走る感覚がし、皮膚が裂けるまでかきむしらずにはおれない状況に陥ります。

ヘロイン依存の禁断症状

薬物乱用による健康障害は次世代にも影響をもたらします。ヘロイン依存の母親から生まれた新生児は、出生と同時に母胎からの臍帯を経由したヘロインの供給が断たれることになるので、そのような症状の4分の3は生後48時間以内に禁断症状をあらわします。ヘロインの入手とその効果追求に対して過剰に動機づけられているヘロイン依存の母親は、新生児に対する養育も満足にできないため、米国では乳幼児虐待とされ、母親の親権は停止され、新生児は乳児院に預けられます。

「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(以下「特例法」)の概要

麻薬新条約で求められる規制のうち麻薬等原料の規制については、麻薬及び向精神薬取締法の改正により対応がなされ、一方、コントロールド・デリバリーの導入、不法収益の没収・保全・マネーロンダリングの処罰等については、これまでの薬物四法とは観点を異にしていることから特例法が新たに制定されました。
特例法の概略は次の通りです。

1)国際的コントロールド・デリバリーの実施を可能としたこと

わが国においては、これまで、出入国管理及び難民認定法により麻薬等の薬物所持者の上陸はいっさい認められず、また関税法や関税定率法により麻薬等薬物は禁製品とされ通関は不可能であり、当局が内容物を知りつつ薬物の搬出、搬入を認めることはできませんでした。そこで、特例法第3条に出入国管理及び難民認定法上の上陸手続きの特例を、同法第4条に税関手続きの特例を設定し、薬物犯罪捜査のため薬物所持者の入国が必要である旨の検察官からの通報若しくは司法警察職員からの要請、又は薬物犯罪捜査のため薬物の通関が必要である旨の検察官若しくは司法警察職員からの要請があり、且つ、当該薬物の散逸防止のための監視体制が十分確保されていると認められる場合に限り、薬物所持者の入国や薬物の通関を可能としました。

2)処罰範囲を拡大

麻薬新条約により、新たに犯罪として処罰するよう義務づけられたものとしては、1:薬物犯罪を組織・運営する行為、2:不法収益に関する隠匿偽装行為すなわちいわゆるマネーロンダリング行為、3:不法収益の取得、4:薬物犯罪の実行等を公然とあおり、唆す行為があります。

1に対応するのが、特例法第8条であり、薬物の不法輸入、輸出、譲渡等を業としたことを構成要件として重く処罰することとしました。
2に対応するのが、特例第9条であり、不法収益等の取得若しくは処分について、事実を仮装し、又は不法収益を隠匿したことを構成要件とする処罰規定となっています。

3に対応するのが、特例第10条であり、情を知って不法収益を収受したことを構成要件とする処罰規定です。ただし、法令上の義務の履行として提供したものを収受したもの(例:公租公課の支払い、罰則金の支払い、扶養義務の履行等)又は売買契約等債権者において相当の財産上の利益を提供する契約の際、契約時において債務の履行が不法収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者を除くこととし、取引の安定性の確保も考慮されています。

4に対応するのが、特例法第12条であり、不特定、又は多数の人が知ることができる状況において、薬物犯罪を実行すること、あるいは、規定薬物使用の決意を生じさせるような、又は、すでに生じている決意を助長させるような刺激を与える行為を処罰の対象としています。

3)不法収益等の没収、保全及び国際共助を可能にしたこと 

麻薬新条約は、薬物犯罪の不法収益をすべて没収し又はその相当価格を追徴する制度を設けたうえ、これらの没収や追徴を確保するために財産を凍結する制度を設けることを義づけ、さらに外国における没収、追徴の裁判の執行や財産の保全についての国際共助を義務づけています。

このため、特例法において、第14条から第18条までに没収、追徴の対象について規定し、薬物犯罪による不法収益は原則として必要的没収又は追徴することとするとともに、没収対象を有体物に限らず、あらゆる財産に拡大していきます。

特例法第20条から第23条までは、没収の手続き等について規定しています。また、特例法第24条から第55条までにおいて、財産の凍結のための没収保全及び追徴保全という新たな制度を設けその手続き等について規定しています。没収保全は、裁判所又は裁判官の発する追徴保全命令により没収対象財産の移動、処分を禁止するものであり、追徴保全は、裁判所又は裁判官の発する追徴保全命令により被告人等の一般財産の処分を禁止するものです。

さらに、没収や追徴の裁判の執行や保全の国際共助については、特例法第56条以下において、外国からの共助の要請があった場合に、わが国でこれを実施するための手続き規定を設けています。

4)その他

特例法第5条及び第6条において、金融機関及び郵政官署がその業務において収受した財産が不法収益である疑いがある場合、又は業務に係る取引の相手方がマネーロンダリング犯罪を行っている疑いがある場合に、これを主務大臣に文書で届けることを義務づけました。また、都道府県知事が監督官庁となっている金融機関の場合は都道府県知事に届け出て、次いで知事が主務大臣に届け出ることを義務づけました。郵政官署の場合には、疑わしい取引があった場合、これを帳簿に記録することを義務づけました。また、特例法では、国外犯の処罰規定として、「業として行う不法輸入等の罪(第8条)」、「不法収益隠匿の罪(第9条)」、「不法収益等収受の罪(第10条)」、「あおり又は唆しの罪(第12条)」が定められています。なお、薬物の輸入、輸出、製造、譲渡、譲受、所持等の違反行為についても、薬物4法で「刑法第2条の例による」とし、個々の罰則の構成要件について、「みだりに何々した者は〜の懲役に処する」というように改め、国外犯も処罰できることとなりました。

西日本新聞 H11.4.

薬物乱用防止啓発運動について 中央支部 六本松部会 昌徳堂薬局 樋口昌嗣

桜の開花と共に、学校薬剤師になってから、6年目を迎えました。小学校でいえば最高学年ですが、学校薬剤師の業務として満足がいかないままに中央区の理事となり、その責任の重さを感じております。

理事としての初仕事が、昨年6月28日(日)に、三越ライオン広場で行われた「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」に因んだ“ダメ。ゼッタイ。”普及運動一麻薬・覚せい剤・大麻・シンナーの乱用をなくそうの街頭活動でした。

セレモニーに引き続き麻薬犬による麻薬発見のデモンストレーションがあり、その後、私達は“ダメ。ゼッタイ。”普及運動のパンフレット配りに街頭に立ち、先ず最初に、薬物乱用に落ち入りやすい若者を対象に手配りしましたが、全く反応がない。それではと、中高年者に手渡したものの「私達には関係ない」と言った答が返ってきました。1時間近く街頭に立ち全く無関心で反応がなかったのには愕然とし、憤りさえ感じました。

私はもっともっと市民の関心は高いと思っていましたが・・・。逆に、私は反応がなかったからこそ、もっと皆んなが関心をもつようになるまで、啓発運動を続けなければならないだろうと、強く心に思った次第です。それが切っ掛けとなり、10月15日(木)に“あいれふ”で行われた中央区健康フェアのメインテーマに、“ダメ。ゼッタイ。”シンナー・覚せい剤等薬物乱用防止啓発運動を取り上げることを、提案させて頂きました。

早速、“ダメ。ゼッタイ。”のパンフレットを作成し、中央区の市立の小中学校は勿論の事、私立校、高等学校まで配布し参加を呼び掛けました。

当日は、役員、会員の先生方の協力で、九州大学薬学部助教授の山本経之先生を講師に迎え、「ひとはなぜ薬物に依存するのか?」をテーマに、ミニ講演会が行われました。その席に、私の担当小学校の養護の先生が出席され、この日の講演会が引き金となって、12月9日(水)の小学校の保健委員会で、お母さん方20名程に“薬物乱用防止”について1時間半程お話してほしいとの依頼がありました。

12月7日(月)に福岡市学校保健大会での発表を控えており、思うように準備も出来ないままに当日を迎えました。薬物乱用防止に関するビデオについては、木原三千代学薬専務理事に相談し、「森の裁判」と「ブレーンクラッシャー」を紹介して頂きました。

「森の裁判」はアニメ調でシンナーの恐ろしさを、又、「ブレーンクラッシャー」は覚せい剤・麻薬の怖さを訴えたものです。最初に各々のビデオ(各20分)を見てもらい、レジメにそって40分程話をしました。中でも、引用したシンナー乱用防止研修会の感想文、「心の病気に効く薬はないといいますが、一つだけあるとすれば夢をもつことです。もし自分の夢をもつことができれば、シンナーを吸って見える幻覚より素晴しいものが見えてくると思います」(本文より)。この高校生の書いた作文には、同席された教頭先生も目頭が熱くなったと、話しておられました。

又、お母さん方も、今までは自分の子に限ってと全く他人事のように考えておられたのが、今日のシンナー・覚せい剤の話を聞いて、我が子が小学校を卒業して中学校に入学する年令、他人事には思えなくなり、薬物乱用の怖さを改めて感じましたと、感想を述べられていました。

年が明けて新年早々小学校から電話があり、今度は是非卒業を控えた6年生と5年生を対象に薬物乱用の恐ろしさについて、話をしてほしいとの依頼がありました。

私は公民館活動や商工会議所などで、中高年者を対象にお話をするのは慣れていますが、子供達の前で話をするのは初めてなので躊躇しました。

そこで、毎年担当小学校で“薬物乱用防止”について話をされている中野勝郎理事にアドバイスを受け、1月16日(土)の先生の授業にも参加させて頂きました。

2月12日(金)、午前11時〜正午まで、「君にせまるシンナーの恐ろしい影」というテーマで25分程話をし、その中でシンナーを吸うと脳が破壊され、小さくなる。一度小さくなった脳や肝臓・腎臓はもとには戻らないと、シンナーの恐ろしさを強調しました。

只、話をする時に一番気を使ったのは、“フラッシュバック”や“依存性”を始めとする専門的な用語や難しい言葉をどうやってわかりやすく伝えるかでした。その後、「森の裁判」のビデオを見てもらい、シンナーの有用性と恐ろしさを再確認して授業を終えました。

今までは、子供達にシンナーや覚せい剤の話をすると、却って子供達の好奇心を煽り、よくないのでないかと考えられていた時もあったようですが、これからは積極的にシンナー・覚せい剤を始めとする薬物乱用の恐ろしさを教えるべきだろうと思います。

又、私の担当校では、全父兄に“薬物乱用の恐ろしさ”について話をしてほしいとの依頼もあっております。このように今後、学校薬剤師に“薬物乱用防止”についての授業依頼が増えてくると思います。福岡市学校薬剤師会として、早急に統一したテキスト、パンフレット類、パネルなどの作成に取り組むことが急務であると思います。

最後に、今年も6・26が近づいて来ました。今年も街頭に立ち、一人でも多くの方に薬物乱用防止を訴えていきたいと思います。これも私達薬剤師の社会に貢献できる大事な仕事ではないかと確信致しております。

シンナー等乱用防止研修会

学校薬剤師の一人として活躍されている中央区薬剤師会の梅末先生が小学校の6年生にシンナー等乱用防止について講演された時の小学生達の感想を寄せていただきました。子供たちが薬物乱用に対して真撃な態度で受け止めていることが解ると思います。 (T.S.)

シンナー等乱用防止研修会実施報告書

シンナー指導(H11.2.23)に対する6年1組児童の感想

*私ははじめ、シンナーは悪いことばかりに使われていると思ったけど、ビデオを見て、シンナーが危険なのは、使い方を間違えたときだけだということがわかったのでよかったです。私は中学になって誘われてもやらないようにしたいです。

*僕は、シンナーは日常生活にもよく使われるんだなと思いました。質問の時には言えなかったけどシンナーのほかにも危険な薬はどんなものがあるのかなと思いました。また、気をつけたいと思いました。

*今日の授業で、シンナーが怖いこと、世の中に役に立っていることを知りました。でもそれは、シンナーがあるからではなく、私達の誘惑に負ける弱い心があるからいけないんだと思いました。ビデオや梅未先生のお話を聞いて、私は絶対シンナー・覚醒剤は悪く使わないようにしようと思いました。

*シンナーはとても体に悪いことが解かりました。そこで私が思ったのは、「なんで人に害を与えたり苦しませたりするのにシンナーというものを世の中に実在させるのかなー」と思います。でも悪いことだけではなかったのです。シンナーはペンキの中に含まれそして美しく壁などを塗っていて、世の中に役立っていることを知りました。 なのでシンナーは使い方を守り規則正しく使うようにしたいです。「シンナー」はこわい。

*僕はシンナーは体に悪いと思っていたけどペンキやスプレーに入って役に立っていることもあるんだなとわかりました。でもやっぱりシンナーをすすめられても絶対吸わ ないようにしたいです。

*今日の学習でシンナーはいけないものだと知りました。友達にすすめられたり先輩などに勧められるといっていたので、僕は絶対吸わないと思いました。そしてすすめないようにしたいと思いました。

*僕はシンナーは絶対に使いたくないと思います。歯がポロポロになったり呼吸困難になったり死んでしまうから絶対に吸わないようにしたいです。

*いままでシンナーのことなんてあんまり考えたことなかったけど、今日学習して身近にあるものが使い方を間違えると怖いものになるということがわかりました。絶対絶対シンナーは「ダメ」だと思います。これから甘い言葉で誘われたりするかも、だけど絶対吸っちやあだめと思います。だって人間やめたくないもん。これから吸ってる人を見かけたらすぐ110番したいです。地球がこれ以上汚くならないように。

*僕はこの貴重な時間にシンナーということを学びました。このシンナーは僕が思っていた以上はるかに恐ろしいことが解かり死にまでかかわるとは思ってもみませんでした。だけどこれから中学で、もしそういうことがあって誘われても断るようにしたいと思います。そうしたら怖くない。

*私は今日の学習でシンナーのまちがった使い方をすると体に異常が起こることが分かりました。シンナーは、今の社会に欠かせないけれど、自分の体のた卯こも絶対吸わないようにしたいです。

*シンナーの怖さが今日はじめて分かりました。アニメを見て分かったのは、悪いのはシンナーではなくそのシンナーを利用する弱い心だということです。私はシンナーなどを利用する弱い心は持ちたくないと思います。

*僕はシンナーについての学習をして、シンナーは絶対だめだということと、誘惑されてもやめられるようになりたいと思いました。

*シンナーを吸うとよいことは起こらないし幻覚や幻聴などが起こりとても怖いということが分かりました。

*シンナーは歯骨などがぼろぼろになったりして、とても害になることが分かりました。でも使い方さえ間違わなければ役に立つことがこの勉強を通して分かりました。

*僕はシンナーは使い方によって良くも悪くもなるということが分かりました。又、シンナーを吸う原因が人の弱い心なので、僕のシンナーへの対策としてはシンナーの誘惑などに負けない強い意思と心を持とうと思いました。

*はじめからシンナーは怖いものだということは、知っていたけど、今日の勉強で、もっと怖いということが分かりました。脳が縮んだり、体の中がポロポロになって死ぬかもしれないということも分かりました。シンナーは絶対に吸わないようにしたいです。

*シンナーはいろいろなところで使われてなくてはならないものであるが乱用してしまうと体に悪い影響が起こり、一生害に苦しんでしまうのでしないのはもちろんで、もし見たらすぐ110番したいと思います。

*初めはシンナーてなにかがわからなくて、先生の話やビデオでシンナーのことがわかりました。「ダメ。ゼッタイ。」という言葉を忘れずにシンナーを吸わないようにしたいです。

*今日の学習をしてシンナーの怖さが分かりました。そこまで深くシンナーのことを考えたことがなくて、今日よく分かりました。でもシンナーが怖くなるのは間違った使い方をした時だけで、そして結果的に誘う人間が悪いということが分かりました。

*私は先生の話とビデオを見て絶対にだまされないぞと決心をしました。今日は先生やビデオのおかげでシンナーの怖さなどいろいろなことが知れてよかったと思います。

*今まではニュースなどでいっていてなんか身近な感じだったけど、今日の学習でシンナーの怖さが分かり、悪いことには利用せずにいいことに使いたいと思います。

*もしもシンナーをのんだら神経に障害を持ったり肝臓とかの体の中がぼろぼろになり将来に影響することが分かりました。

*シンナーを吸うと酸素が足りなくなったりして息ができなくなって死んでしまう。とても怖い。シンナーは絶対に吸わないようにします。

*シンナーは使い方によって良い方向にも悪い方向にもなり、僕達の生活の周りでいろんな役に立っていて、薬物としてでなくペンキや接着剤として使うようにしたいです。

*ビデオや先生の話でシンナーはペンキやカラースプレーなどに使われていろいろなことに役立つが、身の回りにあっても吸ったりして悪いことには使わないようにしたいです。

<NNEWS PAPERより>

クスリと上手なお付き合い

リビング福岡 H11.3.20

知ってる?薬の副作用

市政だより・さわら区版 H11.3.15

医療における薬学と医学の真の連携

薬局新聞 H11.4.14

在宅医療と薬剤師

薬局新聞 H11.4.14

<耳の日講演会>

「耳の日」の講演会とコンサート

でっかい耳垢 広報委員 森山健次郎

朝10時過ぎに会場に到着。まずは「くすりの相談コーナー」を尋ねてみたら、10〜12時担当の松岡先生(せじま調剤薬局)と福田先生(井上調剤薬局)がスタンバイされていた。

このあとは、12〜14時担当は日高先生(太陽薬局ピア高宮店)と吉田先生(吉田薬局エル店)、14〜O時担当は森先生(双和薬局)と溝口先生(ひかり薬局野芥店)の合計6名の市薬会員の先生方に出動依頼をしているとのこと。

各相談コーナーでは、先生方が白衣ではなく私服姿で来場者に対応されており、白衣の壁がないため相談しやすい雰囲気があった。

今回初めて出動された福田先生に担当時間終了後感想を伺ったら「初めてのことで緊張した。耳鼻科領域以外の薬一般の相談が多かった」とのこと。

講演会場では5つの講演が用意されており、11時から中島英之先生(太陽薬局)の講演が約30分行われた。テーマは「漢方薬はすぐにはきかないの?」で、東洋医学と西洋医学の違いなど分かりやすく話された。

この講演会の特徴は「耳の日」ということで失聴難聴者にもわかるように、講演内容がすべて字幕で映しだされて読めるようにしている。講演者は字幕通りにしゃべらなければならない。中島先生に講演後感想を伺ったら「字幕通りにしゃべるのは、意外に難しく大変ですよ」とおっしゃっていた。

講演会取材後少し時間があったので、内視鏡コーナーで自分の耳の中を見せてもらった。生まれて初めて自分の鼓膜を見るつもりが、でっかい耳あかが画面いっぱいに映し出されたので、驚きと恥ずかしさでその場をすぐに立ち去った。

(森山健次郎)

講演者のアドリブを速記する様子薬剤師会からは中島先生が講演

<耳の日講演会> 「耳の日」イベント探訪記 広報委員 鮫島千織

3月7日、アクロス福岡で行われた、福岡地区耳鼻咽喉科専門医会(五孔会)、福岡県耳鼻咽喉科専門医会(福耳会)とエーザイ(株)主催によるイベントに訪れた。

昨年は、一般の参加者として訪れた。それは人工内耳という物に興味をひかれたからだ。しかし、人工内耳は完全聴覚失聴者にしか適用されないと説明を受け、少しでも聴覚があれば適用にはならないのだと聞いて、補聴器を最大ボリュームにして、かろうじて聞き取れるぐらいの聴覚の人はどう考えれば良いのだろうかと、なにか釈然としない気持ちで帰った。

確かに、人工内耳は手術を必要とするし、埋め込んだ人全員が、どの程度の聴覚を取り戻すかは未知数なのかもしれない。と自分を納得させたが、聞こえるか聞こえないかの狭間にある人に早くもっとクリアな聴覚が戻る日がくればと願う。

人は何かの障害で聴覚に障害を生じた人、生まれながらに聴覚の障害のある人がいるが、加齢と共に聴覚に障害の出来た人は、前者より聴覚の復活にはわがままと考える。若い頃にはあんなに聞こえていたのに、なんでこんなに聞こえないのか。取り戻せるものなら取り戻したい視力と聴力。それは、自分自身がそのような状態に陥った時の事を考えての、本当に利己的なわがままな願望でもある。しかし、いずれの人にも明るいクリアな音の世界が拡がる事を希望している。

さて、そういう今年は、広報の取材と言うことで参観した。午後から参観したので、講演会は「子供の浸出性中耳炎」と「鼻のアレルギーと花粉症」を聴講した。

後者は今までもよく聞かされていた話であったが、前者の浸出性中耳炎は、小児ならず成人にも無症候性に進行すると聞くと人ごとならず恐ろしくなった。最近聞き違いが多く、クリントンをフリントンと聞き違うのは朝飯前の自分を振り返ると人ごとではなく、こりゃちょっと見てもらわんとと考えてしまった。

展示は、昨年は一階の円形ホール内に展示があったのでいかにも暗い印象を受けていたが、今回は一階のアトリウムに移されていたため、昨年よりはオープンな印象を受けた。しかし、薬剤師会の場所は、展示のポスターも、今回の耳鼻咽喉科の催し物とはかけ離れていた感が否めなかった。

折角の耳鼻咽喉科の催し物なのだから、ポスターもアレルギー性鼻炎についてとか、中耳炎についてとかのものに出来なかったのか。又はポスターは、「薬はかかりつけ薬局へ」でもよしとすれば、せめて吸入薬、最近の新薬の実物などの展示ぐらいは出来なかったのだろうか、と考えた。実物がダメならメーカーにお願いして実物の写真でも良いのではないか。

ドクターの相談コーナーを覗けば、彼らは実物は置いてないまでも、それなりの写真付きの薬品一覧のようなものを駆使して質問者へ対応している。今、薬剤師の存在が問われている時、遠慮などせず鼻つまみ者のようになってでもしゃしゃり出て薬剤師の存在をアピールする時なのではないのだろうかと考え苛立ってしまう私だった。

(T.S.)

医師の相談コーナー薬剤師会の相談

【学薬のページ】 第2回学校薬剤師学校保健研究大会報告 それにしても参加者が・・・ 福岡市学校薬剤師会 専務理事 木原三千代

日 時 平成11年2月6日(土)午後3時
場 所 福岡市薬剤師会館 講堂
出席者 42名
            司会 坂田博子理事
大会次第
 開会のことば        吉田斌副会長
 主催者あいさつ       藤原良春会長
 来賓あいさつ
  福岡市教育委員会 教育長
          訣O田正夫保健体育課長
  学校保健会        竹嶋康弘会長
  福岡県学校薬剤師会    末宗成二会長
 来 賓
  保健体育課 主任指導主事
                平川壮先生
  養護教諭研究部会     江藤良子先生
  福岡医療圏地区薬剤節会     各会長
筒井昭仁先生【特別講演】
 「ヘルスプロモーションと口腔保健」
  福岡歯科大学予防歯科学講座
           助教授 筒井昭仁先生




【研究発表】
松岡佐智子先生 @「防煙教室の取り組みについて」
福岡市立西綾小学校 養護教諭 松岡佐智子先生






樋口昌嗣先生 A「プール授業とプール環境について」
福岡市学校薬剤節会     理事 樋口昌嗣先生







有馬純先生 B「簡易専用水道について」
福岡市学校薬剤師会    常務理事 有馬純先生






前頁のように学校保健研究大会が開催された。特別講演は学校歯科医師会にお願いして筒井助教授に講演していただいた。先生は新潟県に赴任しておられた時に学校薬剤師会と一緒になって、フッ素塗布について研究活動され成果を収められたこと、口腔保健の重要性等、分かりやすく講演された。松岡先生は、子どもを参加させた楽しい防煙教室のあり方について発表された。

そして、樋口先生には福岡市学校保健大会で発表されたプール環境についての研究を、また有馬先生には日ごろ目にすることのない簡易専用水道の施設について、たくさんのスライドを使って発表していただいた。

本大会でご挨拶をしていただいた福岡市学校保健会の竹嶋会罠には、医師会長としてのお忙しいスケジュールの合間をぬっての参加にもかかわらず、研究発表の最後まで残っていただき、学校薬剤師の実際の活動に大変な理解を示されていた。

このように来賓の皆様には理解をしていただいた研究大会であったが、会員の参加が少なかったことは残念であり、来年度への課題を残した。そして1週間後、会員さんから「水道水の残留塩素濃度が0mg/lから上がらない」との学校からの問い合わせに、どうしたらよいかと尋ねられた。有馬先生の「簡易専用水道について」を聞いていただいていたらと残念である。

【学薬のページ】 第44回福岡市学校薬剤師会総会 福岡市学校薬剤師会 専務理事 木原三千代

日 時
平成11年4月17日 午後6時
場 所
「ソラリア西鉄ホテル」
次 第

 開会のことば           吉田副会長
 会長あいさつ            藤原会長
 来賓祝辞   福岡県学校薬剤師会 大神副会長
 議 事
  報告第1号 平成10年度会務並びに事業報告
  議案第1号 平成10年度収入支出決算認定の件 監査報告
  議案第2号 平成11年度事業計画決定の件
  議案第3号 平成11年度予算並びに会費決定の件
 質疑応答
 閉会のことば           女賀副会長

樋口理事の司会進行により、上記のように福岡市学校薬剤節会総会が開かれた。県学薬の末宗成二会長があいにく八幡薬剤師会の総会と重なったため出席できないとのことで、副会長の大神信勝先生がおいでになり、ご祝辞をいただいた。藤原会長は、薬物乱用防止活動の大切さと、薬剤師会としてもダルクなどの更生施設に対する公的な支援のあり方についてはもっと積極的に行政に働きかける必要があること、そして薬物乱用防止活動に関する図画・ポスターに福岡市薬剤師会長表彰が創設できたことで、学校保健会において、ようやく三師会が同じになれたことなどを挨拶された。

報告や議案の提案があったのち質疑に移り、城南区の式町先生から研修費の決算が予算を大幅に上回っていること、そのため11年度予算が一気に倍になっていることについて質問があった。執行部は、12年に北九州市で開催が予定されている全国学校保健大会のために多めに予算を組んでいるが、できるだけ少ない決算になるように努力することとし、議案はすべて承認された。

懇親会は坂田理事の司会により進められた。来賓祝辞は、まず前日に就任されたばかりの保健体育課・篠塚課長から、そして市議選に当選されたばかりの9名の議員さんを代表して大江市議からお礼のことばと祝辞が述べられた。また前任者の弘田課長には、女賀副会長より感謝の意とともに花束が贈呈された。

パーティも1時間ほど過ぎ、そろそろお料理も少なくなったころ中央区でトップ当選をされた稲員市議がおいでになった。ところがもう一方見馴れたお顔がニコニコと入ってこられるではないか。なんと!山崎拓代議士である。学校薬剤師会の総会に山崎代議士がおいでになるなんて大感激。上手なごあいさつに会場は一気に盛り上がりをみせた。そして藤原会長がお礼のことばの中で、参照価格や薬価差問題など、一段と厳しくなる薬局の実情をそれとなく・・・ではなく、シッカリとお願いされていた。

最後に、我らの冨永市議による万歳三唱でお開きとなった。

ご来賓の方々 会場を一気に盛り上げた山崎拓先生 光輝く希望の星

2月7日(日)10:00AMより 城山スポーツパレスにて 参加者133名<第16回市薬懇親ボウリング大会>





団 体 戦      TOTAL
優 勝  勤  務(1,163)
準優勝  東支部 (1,161)
3 位  城南支部(1,111)

団体戦優勝特 別 賞              TOTAL
  女性ベスグロ   タケウチ トシエ (329)
  男性ハイスコア  ニシズミ キクオ (203)
  女性ハイスコア  タケウチ トシエ (169)
  ブービー賞    クラモト ヨシユキ( ? )

個 人 戦          TOTAL
  優 勝  ニシズミ キクオ (361)
  準優勝  ジョウゴ トモヤ (343)
  3 位  ゴンドウ マサヒコ(341)

飛 び 賞
  5位 マツイ マサヤ    7位 ササキ マサミチ  10位 ヤスコウチ ヒサト
  15位 ヤマモト カズヒロ  20位 ナカノ ヒロシ   25位 タナカ ケンイチロウ
  30位 クロダ ティコ    35位 ヤマダ アキラ   40位 フジワラ ヨシハル
  45位 ナカオ ヤスマサ   50位 ユキザネ ユミコ  60位 キハラ ミチヨ
  70位 シモセ カズトシ   80位 ハナオカ アキコ  90位 トクナガ カナコ
  100位 ツチダ ユウジ    110位 マツモト チカコ  120位 ナリサワ テツオ
  130位 シモセ カズマサ

(敬称略)

個人優勝 準優勝 3位

来年も栄光を目指し頑張りましょう!!
ボーリング大会写真

うちの看板娘 No.14 

井上薬局編 南支部 大橋部会

福田ゆき子はじめまして。

私は去年の10月半ばから井上薬局に勤めています。早いもので気が付けば半年以上の時間が経ちました。仕事にも徐々に慣れてきて少しは投薬も形になってきたと自分では思っているのですがオーナーである井上先生がどう思っているかは不明・・・です。気さくで楽しい井上先生と気の合う優しい事務さんに囲まれ毎日幸せに働いています。半人前にもまだ到達していない私ですが、笑顔の投薬を心掛けて頑張っています。

市薬親睦ソフトボール大会参加をきっかけに色々なイベントに顔を出させて頂く機会が増えました。一番最近では3月7日にアクロス福岡であった「耳の日のイベント」のお薬相談コーナーに参加しました(御一緒させて頂いたせじま調剤薬局の松岡先生、しどろもどろの私を助けて下さって有り添うございました。この紙面を借りてお礼申し上げます)。緊張しっぱなしの2時間でしたが、良い勉強になりましたし楽しかったです。積極的にイベントに参加していきたいと思っています。

趣味という趣味の殆ど無い私ですが、去年の6月頃にある連続テレビドラマにはまってしまい機械音痴にも関らずノートパソコンを衝動買いしてしまいインターネットを始めました。今はメール交換にしか使ってない状態ですが、近くは私の職場から徒歩一分の所に住む薬剤師友達から始まり大阪・東京、遠くはハンガリーと幅広く(?)楽しんでいます。ドラマの様に素敵な恋愛が舞い込んでこないのは残念ですが(笑)。

季節は春がすぐ先まで来ていますが、私にも暖かい春がやって来ると良いなーと思っている今日この頃です。

(福田ゆき子)


〜オーナーより一言〜

昨年10月より管理薬剤師として頑張ってもらっています。
 明るい性格と、各種研修会などに積極的に参加するなど向上心旺盛な女性です。今後も笑顔を絶やさず明るく患者さんに接して欲しいと願っています。

広報

会議報告

【理事会】

日 時
平成11年3月17日(水)
議 事

1.会長挨拶
 3月12日福岡市介護保険事業策定委員会 が行われた。平成8、9年までは想像でものを言っていたが、介護保険の調査の中で、一人で暮らしていくよりは、介護を希望。
 家族での介護よりも、専門の介護を希望している。ということが解ってきた。しかし委員会の内容はその緒にもついていない。
 今までは、厚生省のしばりがあったが、これからの介護保険の中身は行政の自主性にまかせられており、介護保険料も市町村の財腹によってマチマチになってくる。4月28日に次回の会議がある。ここからが出発点と思って薬剤師会としても取り組みたいと考えている。平成10年度福岡市在宅介護サービス運営会議の在宅ケア・ホットラインについても薬剤師会として、しっかりと取り組んでいくことで薬剤師の位置を確保していかなければならないと考えている。
知事会の面々 今回、西区の各薬局を足で意識調査して回り解ったことは、薬剤師会との乖離だった。薬剤師会入会のメリットがなければ、今後の組織運営には難しいものがあり、一部の役員による運営で、実状とは乖離して空洞化する危惧を感じた。
 3月15日の学薬理事会で、学薬組織を改変して委員会にしたいと提案したが、これには予想どおりの反対があった。しかし学薬の仕事をしてくれる会員が今後減少の一途をたどるであろうことは目に見えているし、組織的に学薬の位置づけをきちんとしなければ、緊縮財政のおり、本会計からの支出もできなくなると考えている。

2.委員会報告

3.その他の報告

4.協議事項
 ソフトボール・ボウリング大会について。個人から参加費をとってはどうか?
 研修会費徴収について。非会員から一律参加一回毎に500円を徴収する。
 3月24日、25日の研修会で案内する。目標はB会員の拡大。看板を出してB会員入会の案内をする。

(T.S.)

【支部長会】

日 時
平成11年2月26日(金)
議 事

1.副会長挨拶
 3月・4月は忙しい月になりますがよろしくお願いします。4月の予算委員会は収入が減っており、それにそって予算を立てなければならないと思います。薬局の薬剤師不在の問題で行政は今年も行う予定だそうです。薬連関係では冨永先生の件があります。

2.報告事項
(1) 会務報告
(2) 委員会報告
(3) その他
 @「処方医と薬剤師による処方検討全集」の取り扱いについて
 A第43回代議員会までの日程について

3.協議事項
(1) 平成11年度事業計画について
(2) 平成11年度歳入歳出予算について
  現在までの中間決算で見ると収入がかなり減である。来年度予算案の方向性の問いかけ
(3) 部会連絡協議会の開催について
   3月6日(土)セントラルホテル
(4) 市薬・県薬代議員会の選出について
  本年度議員改選(各支部総会で決定)
(5) その他 薬剤師連盟の件

(Y.U.)

委員会報告

4月6日までに提出された議事録を基に報告します

【組織委員会】

日 時
平成11年2月23日(火)
出席者
副会長:合澤 常務理事:井上
委 員:竹野・見元・福岡・東・松浦・権藤

議 事
○ボウリング大会の反省
○平成11年度事業計画について
・ソフトボール大会・・・順延なし
・予算減・・・10%位
・研修カード作製について検討
・未加入薬局について


【急患術委員会】

日 時
平成11年1月29日(金)
出席者
副会長:光安 常務理事:市原
委 員:成澤・中尾

議 事
@ 平成11年度出動表の作成
A 平成11年度出勤者の確認表の送付
B 平成10年度出勤者の懇親会(3/19)
C チーフの研修会(3/9)
D 年末・年始診療の問題点
E その他


【学術委員会】

日 時
平成11年1月27日(水)
出席者
副会長:市花 常務理事:千阪
委 員:権藤・高木・野見山・白石・中川

議 事
○2月薬物療法研究会について
・2月16日(火)に行う。
・演題「最新の喘息治療」
・講師 日本グラクソ 田坂雅也先生
○今後の例会スケジュールについて
・3月は「鼻炎」、4・5月は皮膚科、6月は消毒剤、7月は新構造式の抗うつ剤、8月は精神科用薬とする。
・3月に臨時の講演会「バイアグラ」を予定。
○H10年度の薬局実務研修会の反省
・H11年度を行うにあたり、10年度分の問題点提出。
 (テキスト、期間、時間、内容について)


【広報委員会】

日 時
平成11年2月20日(土)
出席者
常務理事:北島
委 員:石井・伊東・鮫島・津田・戸田・森山

議 事
 次回3月号は4月統一地方選に向けて、選挙関連の記事を入れていくこととしたが、内容によっては公職選挙法に抵触しかねない部分も出て来る可能性があり、取り扱いについては慎重を期すこととなり、全体的な内容の監査、取り扱いについての関係各所への問い合わせ等は戸田先生にお願いした。
 しかし、西区からの冨永先生の立候補もあり、穏健な形ではあってもその応援の姿勢は随所にもりこむこととした。

− ★ − ★ −

日 時
平成11年3月2日(火)
出席者
副会長:合澤 常務理事:北島
委 員:石井・津田・戸田

議 事
○3月号第2校正・選挙の記事の掲載の件。
○薬連のコーナー
・支部報告との関連を検討。

− ★ − ★ −

日 時
平成11年3月3日(水)
出席者
常務理事:北島
委 員:石井・伊東・鮫島・津田・戸田・森山

議 事
○ジャーナル3月号第2校正そのA
・「支部だより」に追加原稿。今回の「支部だより」は内容が豊富なために編集に時間を費やす。
○ジャーナル5月号の取材の打ち合わせ
・取材担当者を決める。

− ★ − ★ −

日 時
平成11年3月9日(火)
出席者
常務理事:北島
委 員:石井・伊東・鮫島・津田・戸田

議 事
〇第3校正・写真のコメント再考



【市薬薬局委員会】

日 時
平成11年2月8日(月)
出席者
副会長:光安 常務理事:藤田
理 事:山本・小松
委 員:江田・江崎・徳永

議 事
○光安副会長より
・九大医事課長と話し合い
・国立南病院の現状報告
・新規会員薬局への教育について
○市薬薬局1月業務報告
・集中率が先月と比較して17.1%より18.0%と上がっている
・一日平均受付回数 85.6
○2月1日付けで九大窓口より、1名市薬薬局へ事務職員移動
○研修生
・3月より日本薬剤師研修センターより研修生3名
・1月25日より学生実習 毎週2日間3〜4名
○九大窓口より
・Dr印の無い処方箋の調剤を断った薬局がある
・ヨウ化カリウム丸は湿気に注意して保管・パナルジン錠 一回半錠は粉砕可
・恵愛団薬局への患者情報について
・電話回線 ISDN導入して回線を減らす方向
○平成11年6月までに九州医療センタ一・九大病院・国立南病院の調剤申し合わせ集を作成する方向

− ★ − ★ −

日 時
平成11年3月8日(月)
出席者
副会長:光安 常務理事:藤田
理 事:小松
委 員:江田・江崎・徳永
恵愛団主任薬剤師:工藤

議 事
○市薬薬局2月業務報告
・ほぼ先月と横ばいの状態
・相互作用検索減少・・・市薬ジャーナルでアピールしてはどうか
○研修生
 ・4月からの研修生、辞退
○薬情について
 ・レセコンに医療センターにて了解済のデータをインプット
 ・再度、薬剤部真鍋先生と話し合い予定
 ・4月より薬情開始予定
○九大窓口より
・恵愛団薬局への患者情報について
  窓口にてわかった情報については、基本的に連絡する
・九大薬剤部、院内の薬袋変更・・・裏面を透明にする
・新薬 フジモトFP錠には覚醒剤原料を含む為、譲受証が必要
・貝塚病院 3月より院外処方としておりフジモトFP錠も処方されている



【薬局委員会】

日 時
平成11年1月23日(土)
出席者
常務理事:中野(勝)理事:毛利
委 員:津崎・国武・満生・真鍋・東(千)・行実

議 事
 第2回研修会の製造品目は感冒14号を実習した。材料のアリメジンが委員会の手違いで混合できず、未完成の製剤を研修生に渡す不手際があり、アリメジンは後送したが未着のところが2名ほどあり、迷惑をかけた。今後は注意して研修実習にあたりたい。

− ★ − ★ −

日 時
平成11年2月24日(水)
出席者
常務理事:中野(勝)理事:毛利
 
委 員:行実1東(千)・津崎・満生

議 事
○薬局製剤研修会について
 @薬局製剤、製造原料は市薬薬局を通して注文。容器薬袋材料は市薬事務所に受けてもらうこと。代金支払いは薬局委員会研修費より支出するものとする。
 A実習時に使用する計量器、分包機など薬局委員会購入の器機類 etc. の目録を作成。必要な器具等は今後補充してその器機類の管理をする。
○薬局製剤指針の一部改正について
 @アスピリン等サリチル酸系製剤に関する措置により
 Aクエン酸シルデナフィル製剤(バイアグラ)の販売及び管理についての注意通達事項
 (A) 医師の処方せんに基づき調剤されたものに限って投与又は販売されること。
 (B) この薬品の管理において、盗難又は紛失なきように必要な措置を講じること。
○平成11年3月14日開催の「第1回シティウォーキング in ふくおか」参加者は各自で申し込むこと。参加決定者は現在のところ、中野、津崎2名のみ。

支部だより

〔南〕

〜南支部理事会〜

日 時
平成11年2月24日(水)
出席者
常務理事:中野(勝)理事:毛利
 
委 員:行実1東(千)・津崎・満生

議 事
1.平成10年度における事業報告
 (1) 「医薬研究会みなみ」
 (2) 薬草観察会 場所 油山自然の森
 (3) 市薬ソフトボール大会(H10.10.18)
 (4) 三師会ソフトボール大会(H10.11.8)
 (5) NPO参加について(H10.10.18)
 (6) 三師会合同懇親会(H11.2.13)
2.広域病院面分業への対応 門前薬局 4薬局予定
3.平成11年度総会予定
4.平成11年度事業計画

一同集合

「医薬研究会みなみ」研修会報告

平成11年1月よりはじまったこの研修会も4月で14回を迎えます。南福岡病院の会議室に毎回約50人の薬剤師が集まって臨床薬剤師としての力を着々身に付けています。

毎回、各科の専門医による講演によってあらゆる診療科の知識を得ることができます。
院外処方せん率も10〜20%で留どまっていましたのが40%にあがって来ました。各薬剤師の患者さんへの服薬指導、情報提供などレベルアップされて来たものと嬉しく思っています。

今後とも薬剤師職能をアップして、患者さんや医師との信頼関係の構築に努力していきたいものです。

「医薬研究会みなみ」

平成10年
 1月 西間院長 「小児喘息」
    鶴谷副院長「肺気腫」
 2月 岸川先生 「花粉症」
 3月 柴田先生 「アトピー性皮膚炎について」
 5月 池田先生 「最近の結核について」
 6月 加野先生 「小児における気管支炎、肺炎などの感染症について」
 7月 岩永先生 「大人における気管支炎、肺炎などの感染症について」
 9月 西間院長 「吸入療法について 〜吸入補助器具の使い方を含めて〜」
 10月 小田嶋先生「アレルギー用薬」
 11月 村田薬局長 「院内における服薬指導」について
平成11年
 1月 広瀬先生「咳喘息について」
 2月 中野先生「軒」
 3月 岡田先生「ウイルスと治療薬」
 4月 村田薬局長 「治験薬とその概要について」

 

〜両区薬剤師会親善ゴルフ大会「順子カップ」開催〜

南区薬剤師会親善を図るために、そして若い薬剤師達の団結を期待して南区会長主催の「順子カップ」を企画しました。夜須高原の大自然の中で和気藷々と南区の輪が結ばれています。

第1回順子CUP

第2回順子CUP

第2回順子CUP

 

(支部長:末田順子)


〔城南〕

〜城南区医師会・薬剤師会懇親会〜

日 時 平成11年2月15日(月)19時
場 所 喜水亭

『城南区医師会・薬剤師会による懇親会』 を開催しました。医師会14名、薬剤師会15名の参加をみました。今年は昨年に引き続き2回目で、医師会と医薬分業に関する情報交換を行いました。

瀬尾先生が先ず現在の医薬分業の状由を話 されました。次に面分業とかかりつけ薬局の取り組みの中で処方せん記載のポイントにふれられ、再度確認をお願い致しました。そのあと懇親会に入り、なごやかな雰囲気となりました。

地域の医師会の先生方と分業という共通のテーマについて語り合う良い機会です。城南支部ではまだ、この会は2回目と始まったばかりですが、この会の主旨を汲み入れ、次の機会には更に多くの先生方が参加されたらと思います。

今年もよろしくお願いしますなごやかな雰囲気

〜支部研修会〜

日 時 平成11年2月18日(木)19時
場 所 城南市民センター
参加者 21名
研修内容
@ 「バイアグラ」の学術研修 ファイザー製薬 学術担当者
A 2/25(木)処方説明会の研修
B 支部連絡事項
C その他

〜三師会例会〜

日 時 平成11年3月9日(火)19時
場 所 観山荘
参加者 25名
今年は薬剤師会が幹事担当で、松島支部長の司会で会が進んでいった。出席者は、おもに各師会の役員をされてる先生方だった。

挨拶も一通り終りこれから 中央は松島先生 かなり盛り上がってます

〜支部研修会〜

日 時 平成11年3月16日(火)19時
場 所 城南市民センター
研修内容
@ 3/25(木)処方説明会の研修 参天製薬 学術担当者
 ・慢性関節リウマチについて
 ・リマチル錠(R)、アザルフイジンE腸溶錠(R)について
A 支部連絡事項
B 厚生省共同個別指導での留意点の解説 社保担当 瀬尾先生
     (県薬会報 3月号 8ページ参照)
C その他

(広報:森山健次郎)


〔博多〕

 〜博多区薬剤師会会務報告〜

平成11年1月
 18日(月)理事・監事・部会長会
 26日(火)支部長会                       鶴原会長出席
平成11年2月
 4日(木)博多保健所運営協議会                 鶴原会長出席
 18日(木)ファーマコキネティクス
 25日(木)博多区医師会在宅ケアカンファランス  蔵元専務・木原、森各理事出席
 26日(金)支部長会                       鶴原会長出席

平成11年3月
 6日(土)部会連絡協議会
 8日(月)博多保健所在宅ケア懇談会          蔵元専務・木原理事出席
 9日(火)理事・監事会
 11日(木)ファーマコキネティクス
 12日(金)博多保健所高齢者サービス調整会議           鶴原会長出席
 18日(木)地区連絡協議会                    鶴原会長出席
      歯科医師会在宅研修会      蔵元専務・木原、森、石井各理事参加
 19日(金)看護ステーション懇親会           蔵元専務・木原理事出席
      県薬代議員会予備会議             藤田、市原各理事出席
 26日(金)博多区健康づくり委員会               森川副会長出席
 28日(日)県薬代議員会 蔵元、木原、市原、藤田各代議員及び田代予備代議員出席
 30日(火)理事・監事・部会長会

平成11年4月
 11日(日)統一地方選推薦県議、市議全員当選


〔中央〕

〜第4回中央区在宅ケア支援定例会〜

日 時 平成11年3月10日(水)
場 所 中央区保健所作業室(あいれふ6F)進行担当 中央区薬剤師会
支部長  梅末 芳彦
在宅委員 下瀬 和俊
内 容
1.在宅ケア・ホットライン相談状況
2.各機関からの報告、話題提供
 (1) 薬剤師会から
 (2) 事例報告
  ・ひらお訪問看護ステーション
  ・ささおか在宅ケア・ホットライン
  ・市医師会訪問看護ステーション
 (3) 医師会から
 (4) 歯科医師会から
平成10年度訪問口腔衛生指導実績報告
訪問歯科診療を受けた人(H11年1月現在)11名

〔今回薬剤師会から話題提供として〕
訪問薬剤指導について事例3例をとりあげて説明した。これからの薬剤師の業務がいかに重要な立場にあるかを主として各機関にアピールする。平成12年から始まる介護保険も薬剤師の重要性をアピールする良い機会であると思い、薬剤供給モデル事業から話を始め、在宅介護用晶、福祉機器の供給、相談応需までを一通り説明し話題提供とした。

在宅ケア・ホットライン相談状況

表2 医療に関するものの内容(件)

(専務:下瀬和俊)

〜 中央区三師会開催〜

日 時 平成11年3月31日(水)7:00PM〜
場 所 日本料理かじ本店
来る統一地方選挙に向け三師会の結束を図り、中央区推薦議員の方々が一人も欠かすことなく当選を果たされるべく力強いエールをおくった。
出席者
医 師 会  10名
歯科医師会  10名
薬剤節会   13名
推薦議員   6名

医師会清沢参与より激励の一言歯科医師会花岡支部長(左)

〜中央区薬局研修会〜

日 時 平成11年4月9日(金)
場 所 福岡市薬剤師会館講堂
演 題 1.バイアグラ発売に伴う諸注意
    2.厚生省共同個別指導について
    3.最近の調剤過誤事例報告
講 師 福岡市薬剤節会副会長 光安龍彦先生

〜中央区統一地方選挙反省会及び慰労の夕べ〜

日 時 平成11年4月24日(土)
場 所 糸
統一地方選も終わり、中央区薬剤節会推薦議員も無事トップ当選されたので、早麻清蔵議員、稲員大三郎議員もお迎えして、会員の慰労を兼ねて反省会を行った。

ご支援御礼

先般の統一地方選挙におきましては、皆様の絶大なご支援を賜わり厚く御礼申し上げます。お陰様をもちまして中央区推薦の
県議会議員  早麻 清蔵 先生
市議会議員  稲員大三郎 先生
両氏ともトップ当選を果たすことが出来ました。ありがとうございました。

〜中央区薬剤密会総会〜

日 時 平成11年5月22日(土)17:00〜18:00
場 所 セントラルホテル福岡
ひき続き特別講演 18:00〜19:00
「環境問題と薬剤師の役割」
 〜ダイオキシンからのラブコール〜
  講師:福岡大学工学部土木工学科教授 松藤康司先生(福大薬学部8回生)
※特別講演は自由参加です。中央区以外の方の参加も歓迎します。

(支部長:梅末芳彦)


〔早良〕

第33回早良支部だより

統一地方選報告

おめでとう!冨永計久先生
当選者
当選者
福岡市議選の最終得票

〜 薬剤市議誕生までの軌跡 〜

薬剤市議誕生までの軌跡
H11.4.11 選挙当日


〜 当 選 御 礼〜

会員の皆様の絶大なご支援を受けて、見事薬剤師会待望の薬剤師の市議会議員冨永計久先生が誕生しました。

冨永先生を熱心にご支援頂いた会員の皆様方をはじめ、ご支援にご尽力頂いた方々に厚く厚くお礼申し上げます。

投票の結果は、初陣を飾るにふさわしい上位当選で、今後の議員活動にも力強さを感じる得票数、立派な成績でした。

あらためて、会員各位のご支援に感謝申し上げますとともに、薬剤師職能をさらに発展させるため、一層のご協力をお願い申し上げます。

福岡市薬剤師連盟
会長 藤原良春

同級生である冨永計久君が市会議員新人候補者として12月の末に出馬を決め見事に上位当選するという快挙を成し遂げる事が出来ました。

これも一重に薬剤師会を含む三師会の御推薦を頂き多大なる御支援をいただきました皆様方の御尽力の賜物と我々冨久(ふく)の会の同級生一同、心より感謝を申し上げる次第です。
私達冨久(ふく)の会は冨永君の母校であります元岡中学校の昭和39年度卒業生で結成をいたしました。私が地元周船寺で木材店を営んでいる関係で「雄ちゃん、あんたは何時でもおるし連絡もしやすかけん、あんたが会長ば引き受けてやんない」との仲間の一言でいとも簡単に引き受けてしまいました。結成はしたものの期間は3ヶ月余りしかなく、選挙活動の知識もなく選対本部を見様見真似でスタートしました。

唯一の救いは選挙事務所内のムードが非常になごやかで温かかったという思い出があります。 それからクリーン選挙をめざし完全禁酒令が発令され、女性支持者又、女性会員の役割分担と男性全員の活動がスムーズに運んだ事も会員の和を保つ為に必要でした。

しかし選挙では今までの常識に従えば悪貨は良貨を駆逐するという経済の廟則がうっかりすると働くという話もあり、決して油断は出来ないものと思っていました。冨永計久君の人格を傷つけるような事があっては、それこそ地域の不名誉、地域の人々の良識を疑われる事になるとお互いに言わず語らずのうちに結束を固めていた次第です。

その結果知らず知らずの内に人々の心の結束によりついに勝利の女神が微笑んでくれたと確信しております。

冨永計久君は市会議員として今や、この大きく発展してゆく酉区のホープであるばかりでなくその頭脳となり、推進力となってゆくだけの力量を持った男だと思っております。
これからは是非、有権者の代表として衆望を一身に担って大いに西区の発展にご活躍されます事を祈念いたします。

薬剤師会会員の皆様、誠にありがとうございました。

冨久(ふく)の会 会長 三苫雄次


お知らせのコーナー

第一薬科大学同窓会公開セミナー
貝塚病院院外処方箋発行

頓服

〜選挙を終えて 〜

今回の市議選の結果はすばらしいものがある。西区で薬剤師の冨永計久先生が立候補されたことが、今回の選挙戦を盛り上げたように思う。

それが他の地区に影響して、市薬の推薦議員全員当選という結果になった。市薬会員の意識もこれまでになく盛り上がったように思う。やはり薬剤師会の組織票は固いと再認識させられた。

薬剤師はいま色々な問題を抱えている。完全分業への過渡期でもあるし、それによる歪みもある。厳しくなってきた病院薬剤師の問題、さらに競争の激しくなったOTC薬局の生き残りの問題、やらなければならない在宅問題等々数えればきりがない。

考えてみれば薬剤師になって良かったと何人の人がいえるだろう。後を継がせたいと何人の先生方が考えるだろう。後輩の先生方にそのように思ってもらえるように布石を作っていかなければならない。

そういった点で、今回冨永計久先生が市会議員に当選されたことは非常に意味のあることで、大いに期待されるところだ。特に冨永先生は市薬の薬局委員会の常務理事を務められた方で、薬剤師の悩みや問題点については精通されているので、行政への大きなパイプが出来たことは確かだ。

OTC薬局・調剤薬局が淘汰されていく中で、薬局とは如何なるものかと、基本的なところから問い直さざるを得ない時代になってきた。不透明な時代、厳しい時代に、どうか薬剤師の方向性をしっかりと示していただき、行政へ働きかけていただきたいと思う。

(上村義徳)

<商組のページ>

商組のページ

県薬代議員会報告 県薬代議員会報告

県薬代議員会報告

<市薬薬局のページ>

福岡市薬剤師会薬局現状報告

会員の移動

会員の移動
会員の移動

〜かかりつけ薬剤師〜

医師は「かかりつけ医」であるのに対し、薬剤師の場合は「かかりつけ薬剤師」でなく「かかりつけ薬局」と表現される。これでいいのか?最近そういう話が出てきた。

しかしこれは主治医のようなシステムは薬局には無く、複数で患者(顧客)対応している現在、致し方ないことであろう。敢えて言うなら病棟薬剤師のみはそう言える。

今の所、まずはしっかりと「かかりつけ薬局」の育成に専心し、それを定着させる事が先決であろう。それからの出発ではないだろうか?

(K)

会 務 日 誌

3月2日  広報委員会                 19:30
  3日  広報委員会                 19:30
  6日  部会連絡協議会               17:00
  8日  市薬薬局委員会               19:30
  9日  急患委員会                 19:30
  10日  三役会                   19:30
  16日  薬物療法研究会               19:00
  17日  理事会                   19:30
  24日  学術研修会                 18:00
  25日  処方説明会                 19:00
      市長要望書提出(三師会)           16:00
  27日  薬局製剤研修会               16:00
      薬局委員会
  29日  社保分推理事会               19:00
4月2日  急患委員会                 19:00
  6日  広報委員会                 19:30
  13日  支部長会                  19:30
  16日  顧問会                   18:30
  17日  学薬総会                  18:00
  19日  広報委員会                 19:30
  20日  三役会                   19:30
      広報委員会                 19:30
  21日  理事会                   19:30

[編集後記]

〜見る前に飛べるか?〜

だんご三兄弟の歌が流行っている。ニュースで今の状態は泳げ鯛焼きくんが流行っていた1975年頃に似ている。と言っていた。鯛焼きくんは、自分の日常に嫌気がさして、自由を求めて、海に飛び込んだ。それはその頃よく言われていた“見る前に飛べ”の言葉どうりの日常の打破だったが、その無謀さ故、最後はあえなくおじさんの腹に納まってしまった。そしてその頃の若者たちも今や団塊の世代として、おじさん(日本)の腹に納まっている。そして、その鯛焼きくんから生まれた世代は、一つの串におさまっていることに幸せを感じている。現在の日常に安定を感じている。

だんご三兄弟にとっては、串の中こそが社会であって、ばらばらにされただんごの世界なんて怖くて考えられないだろう。是か非かの問題ではないが、過去のそれとは異なるだろう。だんご三兄弟もばらばらになっただんごの未来も考える必要があると考えている。人生マニュアルどおりにはいかないと思うのだが・・・。

(鮫島千織)


〜十年一昔〜

十年一昔というが、最近一昔離れた後輩の薬剤師達と飲みに行く機会が多く、ふと思ったこと。

自分がこの業界に入った十数年前と違い、現場の仕事内容は高度化している。薬剤情報提供、相互作用等のチェック、服薬指導や飛交う広域院外処方箋の応需、薬剤調達、配達など仕事の質、量は明らかに違う。

スタート地点が高度化した環境の中で、それらを淡々とこなしている若い薬剤師達がたくましく思えた。

(森山健次郎)


〜歴史ブーム〜

『中医略史』は長い間ご愛読ありがとうございました。史実に基づいて限られた紙面で人物が浮かび上がるように努めてまいったつもりですが、成功したかどうかは定かではありません。特に歴史上の漢方の先輩たちが如何に勉強をしてきたかを描きたかったのですが、如何だったでしょうか。

学生の頃より読書は好きだったのですが、『重耳』や『孟嘗君』『始皇帝暗殺』など中国の歴史ブームの昨今、本格的な小説に挑戦してみようと『扁鵲(へんじゃく)』を書き上げました。今回は史実もさることながら面白さを重視して気軽に読んでもらえるようがんばりました。
原稿用紙100枚位の作品ですが、5回の連載になります。

福大の先輩・同級生・広報委員会の各先生方・また薬剤師会の諸先生方の暖かい励ましなどがあってここまで続けられ、更に私自身発展できているのだとつくづく考えています。このようなことを他力というのかも知れないと1月号の巻頭言を読み返しています。

(上村義徳)


〜覚  悟〜

覚悟は眠りからさめること、目がさめていることを意味する言葉ですが、もともと「覚」も「悟」もさとりということですから迷いを去り、真理を体得し、さとりの知恵を得ることを意味する仏教語だったのです。

世間一般に「覚悟」といえば、あらかじめ心構えをすることや心の用意をするという意味で使われています。

冨永計久先生、おめでとうございます。
  「計久、覚悟!」

なんだかイメージが違うようでありまする。

(戸田昭洋)

  

平成11年5月20日発行
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会
TEL 092-714-4416
FAX 092-714-4421
担当副会長 合 澤 英 夫
常務理事  北 島 啓 子
委 員   石 井 雅 明
      伊 東 美 穂
      上 村 義 徳
      鮫 島 千 織
      津 田 和 敏
      戸 田 昭 洋
      森 山 健次郎
発行人   藤 原 良 春
発行部数  1、3 5 0 部
印刷所  (有)興英社印刷