■ 巻 頭 言
景気浮揚せず (社)福岡市薬剤師会 会長 藤原良春

介護保険制度の導入は、建前としては家族介護の負担を軽減し、社会全体で支える仕組みを作ろうということであるが、最大の目的は医療保険で賄われていた介護費用の部分を切り離し、あるいは社会的入院を適正化することによって、医療保険の逼迫した財政状況を改善することにある。

では、介護保険の導入で医療保険の財政は改善されるのかということであるが、それを期待するのは無理というものである。世界に例のないスピードで進む少子高齢化社会にあって、老人保険の拠出金や終末期医療費は年々増大しているからである。

平成9年に実施された消費税の値上げ、薬剤一部負担金を含む医療法の改正で景気は一段と悪化した。国民の所得も年金も増えない中での介護保険の新たな負担は、更に景気を悪化させることになる。

そのことが分かっているため、この稿を起こしている6月19日現在、法律として制定されたにもかかわらず、保険方式の延期論や税方式の導入論が出てきたことに対し、政府の腰は定まっていない。

自民党は、自由党や公明党を引き込むためには何でもありの状況か。先行き不透明である。

4月16日に行われた医療保険福祉審議会制度企画部会の議事録を読むと、「物価や賃金がマイナスである状況において診療報酬改定はどうあるべきかという観点を持っていただきたい」という意見が出されている。

平成11年度の国民医療費は約30兆円、その中の薬剤費が6兆4,000億円(21.3%)、薬価差4,700億円と試算されているが、これは技術料の代替費でもある。病院薬剤師の給料もこの中に含まれている。次回の診療報酬改定では、薬価基準の引き下げ、薬価差益の更なる圧縮(現在7.3%)、技術料の切り下げがもくろまれているが、その結果、皮肉なことに分業率はますます高まっていく。

分業の進展そのものは決して薬剤師の力によるものではなく、あくまで経済上の理由でしかない?

日薬は、平成10年度の調剤報酬総額が1兆9,300億円、その中の技術料が6,570億円と大きくなり目立ってきたことから、医薬分業の是非が問われているといって大わらわになっている。

そのため地域住民にとって分かりにくい基準薬局の強化に努めようとしているが、それより各地域薬剤師会が必死になって取り組んでいるかかりつけ薬局対策、その基本となる薬剤師の資質向上のための各施策、さらに地域住民、行政、議員対策こそ評価すべきだ。

日本リテイル研究所(横浜市)が5月に実施した職業信頼度調査によると、米国での調査機関ギャラップ社と同様に26職種についての結果は、技術者、医師に次いで薬剤師が第3位であったという結果が出ている。これは日本で初めての調査ということであるが、このことからも、目薬は個々の薬剤師をもっと信頼し、自信を持つべきであろう。

日薬が今なすべきことは、日医が取り組んでいるような医療保険制度やその財政改革をどうするのかという大きなビジョンを示し政治力を使うことにある。地方薬剤師会はそれぞれに有力な国会議員を抱えている。その議員に対して何を物申すべきか示すときだ。選挙は近い。

<私と薬> 助役就任にあたって 福岡市助役 坂本雅子

「市薬ジャーナル」3月号に助役就任の紹介をいただいておりますのに、改めてまた紙面で会員の皆様に御挨拶の機会をいただきました。まずもって、歴代の会長の先生方を始め、会員の皆様一人ひとりに今までのお礼を申し上げます。

思い起こしますと昭和60年代初めは、各区の「健康フェア」「薬草観察ハイキング」、平成になって「在宅ケア・ホットライン」「医薬分業推進センター」、それに最近の「薬物乱用防止活動」など、数々の思い出に残る仕事を一緒にさせていただきました。心から感謝いたしております。

さて、この4月から、山崎広太郎市長の市政の補佐役として助役に就任させていただき、早4ケ月になろうとしております。山崎市長は、機会あるごとに「市民生活優先の行政」、市民の生活上の不安や不便を取り除き、「市民の豊かさの総和を引き上げる行政」、「市民の中に潜む力を引き出す行政」への転換を述べておられます。

私が助役として担当しますのは、「保健福祉局」「環境局」「消防局」「水道局」「早良区」「西区」です。今までの専門的な分野から、仕事の幅はもちろんのこと、役割や責任の重さが余りにも急に広がりましたので、しばらくは大変戸惑っておりました。

しかし、今まで経験してきました健康、医療、福祉はもちろん、今回初めて経験しますゴミ や環境、水問題なども、どれも命に関わる市民生活に直結した重要な課題です。さらに、どれも市民の皆様と協同で取り組んで行かなければ進まないもの、しかしまた、それだけに一人ひとりの力が集まれば、大きく社会が変わっていく課題でもあります。

まさに「市民の中に潜む力」を共に出し合って解決して行かなければいけない課題と言えます。そういう意味では、基本的には今までの仕事の延長線上にあるものと思っております。

21世紀まであとわずか。少子高齢社会への対応の先鞭を切って介護保険制度が始まります。介護保険は、個人は「自立」することを、社会は「ともに支え合う」ことを理念としております。介護保険制度の目指す理念は、これからの少子高齢化時代にとって確かに重要なことです。

しかし、短期間での制度づくりですので、どの市町村もそれぞれに厳しい課題を抱えてのスタートになりそうです。制度をつくりながら、理念の目指すところに早くたどりつかなければならないと思います。

薬剤師会は、従来より市民からの相談や情報の提供など「在宅ケア・ホットライン協力薬局」制度を通して市民を「支えて」下さっておりました。「市民のために何ができるか」一近年の薬剤師会の活発な活動をみますと、ここを原点に様々な活動を展開しておられるように感じます。社会経済状況は厳しく、医療福祉の分野も大きな構造改革と転換期を迎えております。

しかし、何時の時代にあっても「市民のための薬剤師会」であることが、薬剤師会の発展の原動力であると信じております。私も、今までの薬剤師会との活動の経験は大きな財産になっております。今後とも御支援、御指導をよろしくお願いいたします。

<私のやっている医療薬学研究 連載第7回> 「処方」作りとチェックを支援します!九州大学薬学部薬剤学講座
澤田康文

〈はじめに〉

今回は、これまで示して来たようなファーマコキネティクスとファーマコダイナミクスのデータから実際の現場で有用な薬品情報を構築し、それを医師による処方設計、薬剤師による処方鑑査、患者に対する服薬指導に活用する具体的方法について述べたいと思います。特に、薬剤性パーキンソニズムを回避するための支援システムの構築を例に挙げて紹介します。

薬物治療は患者の疾患の治療を目的とするものですから、疾患に伴う患者のQuality−of−life(QOL)の悪化は改善する方向に向かうはずです。しかし薬物治療には副作用がつきものであって、場合によっては重篤な毒性作用を伴うこともあり、QOLをかえって悪化させてしまうことが非常に多いのです。

医師や薬剤師をはじめとする医療従事者は薬物による副作用などを可能な限り回避して、QOLを悪化させないように努力しなければなりません(1)。

そのためには、特に薬剤師は副作用に関する「生きた情報」を構築し、医師に対して適正に提供する必要があります。ここで「生きた薬品情報」とは医師の処方設計や薬剤師による処方鑑査に直接生かせる情報、即ち個々の患者への適正な医薬品の選択、用法・用量の設定に有用な情報のことです。

しかし昨今の薬剤師の積極的な活動にも関わらず、必ずしも満足いく結果が得られていないのも現実です。特に多剤併用時の副作用発現の問題は医薬品の適正使用の立場から極めて重要であり、「生きた薬品情報」の構築と能動的提供法の確立は焦眉の急となっています(2)。

多剤併用時の重要な問題の一つとして、特に薬物間相互作用に関する薬品情報の構築、提供法についてはこれまで多くの議論が展開され、徐々に成果が上がりつつあります(3)(4)(5)(6)(7)(8)。しかし薬物間相互作用以外の多剤併用の問題については殆ど議論されていないのが現状です。

即ち多剤併用による色々な副作用の単純な集積が原因したQOLの悪化の問題なのです。副作用の単純な集積には、重積的なものと複合的なものが存在しますが、これらを処方毎に「生きた薬品情報」として構築し、更に適正に提供する試みは未だなされていないのです(4)(9)。これらの行為は医師によって作成された処方の適正性を総合的に評価することになる点で極めて注目すべき試みであると考えます。

1.重積副作用と複合副作用

多剤併用の問題として、副作用の重積と複合的集積について筆者の考え方を紹介したいと思います。先ず、重積副作用を想定した一つのエピソードを示して見ましょう。これまで重積副作用という名前の副作用が特にあったわけではなく、筆者の自作です。

「エピソード1」
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ある患者において、疾患治療を目的として幾つかの医薬品が一度に処方された。降圧剤、抗アレルギー剤、消化性潰瘍用剤、抗菌剤、向精神薬、制吐剤である。この患者の対象となっている各疾患の治療は完壁である。しかしなぜか患者の状態はだんだん悪くなり、「歩きにくい」「フラフラする」・・・などと訴える様になってきた。

「どうもこの薬が原因かもしれない、暫く飲むのをひかえておこう」患者自ら、自分の服用している薬の調節を行うようになった。そうこうしている間に対象疾患がぶり返してきた。その経緯を知らない医師は更に強い医薬品を処方することになる。患者は当然それを飲まない。この悪循環の繰り返しとなる。

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なぜこの様なことになってしまったのでしょうか?その原因として例えば次の様なことが考えられます。それぞれの医薬品にはまれにしか起こらない副作用があるとしましょう。めったに起らない副作用なのでそれぞれの医薬品が単独投与された場合には患者のQOLを悪化させるほどのことはありません。

しかしそれぞれの医薬品で、その副作用が同じ種類の症状であったらどうなるでしょう(もちろん主作用はそれぞれの医薬品で相違しているし、作用機構も千差万別です)(図1)

例えば、一つの医薬品において、ある副作用の強度が最大0.1(これは仮想の値です)であるとしましょう。その副作用の強度の累計が0.5以上にならないと症状が表れないとしますと、単独投与では症状がでないことになります。

しかし同じ程度の副作用のある医薬品を5剤以上併用すると患者にその副作用が表れることになります(0.1×5=0.5)。

ここで、この同じ種類の副作用は同じ作用機構によって起こる必要は必ずしもないことに注 意して頂きたいと思います。同一種類の副作が累積すると、患者にとって耐えられない肉体的、精神的な苦痛として顕在化してしまう可能性があります。更に、処方中の医薬品の数の増加に伴って激しく現れるようになります。累積性の薬剤性QOL悪化ということになるでしょう。この種の副作用には次のものがあります。

a)薬剤性パーキンソ二ズムなどの錐体外路症状
b)薬剤性痴呆
c)薬剤性睡眠障害
d)薬剤性抑鬱
e)薬剤性性機能障害
f)薬剤性眼障害
g)薬剤性泌尿器障害
h)薬剤性消化器障害

もちろんこれだけではありません。多くの他の中枢性、末梢性の副作用も同一種類のものが集積してしまう可能性は常にあります。このように同一の副作用が集積した場合を重積副作用と言うことにします(図2)。

色々な薬効・薬理作用を持った多種多様の医薬品があることがわかります。もしこれらの中から幾つかの薬の組み合わせが一つの処方の中に入ってくるとどうなるでしょうか?例えば図3のようなモデル処方を考えて見ました。

それぞれの医薬品は表1にあるものです。

図3の右のカラムに記載されているものは薬剤性パーキンソニズムの原因となるドパミンD2−レセプター遮断の強さを表す阻害定数です。単位は数nM〜数百nMオーダーでありレセプターへの結合親和性が比較的強いことがわかります。これらが合わさって薬剤性パーキンソニズムが重積する可能性があるので、このような処方には問題があると言えないでしょうか。

図3のような極端な処方は現実にはないのでしょうが、患者の疾患によってはこれに近い処方設計が行われることもあるかもしれません。

さて、これらの重積副作用の色々な種類のものが更に集積するとどのようになるでしょうか。

「エピソード2」
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多剤併用治療が行われている高齢患者は「歩きにくい」、「ぼけ気味」、「フラフラする」、「眠い」、「喉が渇く」、「目が霞む」、「尿が近くなる」・・・などを訴えるようになってきた。

ちょっとしたっまずきなどででも転倒してしまう。ある時、ふらついて転倒してしまい足を骨折してしまった。患者は入院することになった。高齢であることから骨のつきも悪く長期に入院となり、ベッドから出られない状態が続いた。

起きあがれないためストレスが蓄積し、人と話すことが少なくなり、更に最近はボケが一層悪化してきた。また気が弱くなり、今まで何とか改善してきた疾患が加速的に悪化の一途を辿ることになった。

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このエピソードに見られる事は、色々な種類の副作用の複合的集積で転倒にまで至ったのです。これを複合副作用と言いましょう(図2)。

以上の重積副作用、複合副作用は患者のQOLを極めて悪化させます。個々の医薬品は見かけ上QOLに対して何ら影響を与えなかったのですから、処方の狭い範囲の中での評価のみではこれらの副作用を的確に捉えることが出来ないことになり、処方全体を総合的に判断することが必要となります。この場合、処方全体とは、同一処方せん内はもちろん、複数科診療時、他施設診療時における複数処方せん内においてのことであることは言うまでもないことです。

ではこの重積副作用、複合副作用の起こる可能性を指摘し、事前に回避するためにはどうすればよいのでしょうか?現在の処方の積極的見直しが必要なのです。それぞれの医薬品にどの様な副作用があるのかを知った上で、副作用が重積、複合しないように、更に本当に必要な医薬品だけを処方するということです。

「必要だから処方するのだ」との反撃を食らうことがあるかもしれません。しかし薬物によるQOLの悪化が現実に起こっているのならそれと疾患との兼ね合いでもう一度処方を見直す謙虚さが必要ではないでしょうか?

 

2.「生きた薬品情報」の構築

個々の医薬品の副作用情報を全て医師の頭の中に入れておくのは不可能です。そのために側にいつも薬剤師がいて、即座に情報提供を行い、医師の処方設計のコンサルタンテーションを行うのです。薬剤師はこの点で薬物治療によって起こる患者のQOLの悪化の改善、回避に大きく貢献出来ることになります。

では薬剤師が医師の処方設計コンサルテーションを行うためにはどうすればよいのでしょうか?その場合、薬剤師は「生きた薬品情報」を常に持っていて処方設計支援を行わなければなりません。重積副作用、複合副作用に関しての「生きた薬品情報」について薬剤性パーキンソ土ズムを例に挙げて具体的に示したいと思います。

薬剤性パーキンソニズム発症の原因には、ドパミンの合成・代謝過程、レセプターとの相互作用過程において薬物が何かしらの作用を引き起こすことが考えられています。その中でも特に、中枢神経におけるドパミンD2−レセプターの薬物による遮断が大きく寄与しているといわれています(8)。

薬剤性パーキンソニズムの強度を評価するために、以前に示しました様に、個々の薬物のレセプター遮断に関する阻害定数(V値)と用法・用量で投与されたときの血液中の非結合型の薬物濃度(Cf)から次式によって計算できるドパミンD2−レセプター結合占有率(Φ)を使用することになります。

これを一種の薬物についての基本的評価式とする。今、薬物1から薬物nまでのn種類の薬物が処方されたとします。幾つかの薬物が処方された時、それぞれの薬物のドパミンD2−レセプター遮断に関する阻害定数がKi1、Ki2、Ki3、Ki4、・・・Kin、それぞれの薬物の用法・用量で投与されたときの血液中の非結合型の薬物濃度をCf1、Cf2、Cf3、Cf4、・・・Cfnとしますと、累積のドパミンD2−レセプター結合占有率(Φall)は次式によって計算することができます。

この得られたΦallを用いて処方の中の薬剤性パーキンソニズム発現強度を予測するので す。我々の動物実験の結果によると、各種アンタゴニストによるドパミンD2−レセプター結合占有率とカタレプシー強度(薬剤性パーキンソニズムと密接に関係ある行動薬理的評価)の間には良好な相関関係があることがわかっています。従って、Φallを用いれば処方を客観的に評価することがある程度出来るのです。

ハロペリドールのような抗精神病薬では主作用と副作用としてのパーキンソニズム発症.のメカニズムが同じであり、もっとも高頻度、高強度で薬剤性パーキンソニズムが惹起されると考えられます。一方、脳血管障害改善薬であるフルナリジン服用後の薬剤性パーキンソニズムに関しては、多くの副作用症例報告がなされています(11)(12)(13)(14)(15)。 この薬物に関してもドパミンD2−レセプター遮断によってパーキンソニズム、カタレプシーが起こることが知られています(10)(16)(17)(18)(19)。

以上のハロペリドールとフルナリジンについて、Φを実際に計算したところ、表2のような結果を得られました。

やはり予想されたように、薬剤性パーキンソニズムが起こって当然のハロペリドールのΦは高く、フルナリジンの場合にはその1/31の強度であることが推定されている。症例数の少ないマニジピンについてはフルナリジンにおける強度より更に低いことがわかります。

この解析ではCfとしては血液中の非結合型薬物濃度を用いていますが、実際には脳内のレセプター近傍の非結合型薬物を用いる必要があります。しかし、血液脳関門、血液脳脊髄液関門において薬物の輸送が制限されている場合には血液中の非結合型薬物濃度は代替出来ないことになり、占有率を過大評価することになります。

今後はヒトにおける薬物の脳内濃度を予測出来る手法を構築する必要があるでしょう。幸いなことに今回取り上げた3種の薬物は脂溶性が高く、脳内移行性が比較的良好であり、血液中の非結合型薬物濃度を用いても大きな違いはないことが予想されます。

 

3.コンピュータによる処方設計支援システム

以上の考え方を実際の処方作成に生かすためにはどのようにすればよいのでしょうか?図4には、仮想的に作った処方を示しました。

これはコンピュータ支援による処方オーダリングシステムを想定した処方設計です。今ここである患者に対して、薬物1、薬物2、薬物3、薬物4の4種類を処方したとしましょう。ここでキーDをクリックすると、ドパミンD2−レセプターを遮断する率(結合占有率)の計算が始まります。

薬物1と薬物2は過去に薬剤性パーキンソニズムの症例報告があり、ドパミンD2−レセプターを遮断する薬物であるとします。これらを初回に処方を作成した時、式1)と式2)によって計算したドパミンD2−レセプター結合占有率は図の下に示した物差し(メジャー)で可視化されます。薬物1、薬物2の単独では注意薬物のフルナリジンとハロペリドールの範囲(リスクエリア)からかなり下流に外れていて特に問題はありませんが、併用を考慮した場合の占有率はリスクエリアに位置しています。

患者が高齢であったり、中枢系疾患の危険因子を有している場合はこの処方では問題があることが判断されたとしましょう。従って、次の 段階として薬物2を薬物2’に変更を試みます。薬物2と薬物2つま主作用はほぼ同じですが、薬物2つこは薬剤性パーキンソニズムの症例は過去になく、またドパミンD2−レセプター遮断活性も極めて弱いとしましょう。

図5は薬物2を薬物2’に変更した後の新たな処方を示しています。

併用時においても占有率はフルナリジンとハロペリドールの間からは下流に位置していることがわかります。これで患者に対して最適であると判断されたなら、リターンキーをクリックして処方OKとなるわけです。

図4、図5の中にある選択キーにはDの他にMとHが用意されています。Mはムスカリニックアセチルコリンレセプターの遮断率(占有率)を計算するキーであり、口渇、便秘、視覚障害、排尿障害、薬剤性痴呆などを判断できます。またHはヒスタミンHrレセプターの遮断率(占有率)を計算するキーであり、薬剤性の眠気を判断できます。

このコンピュータ支援の処方オーダリングシステムは処方を多面的に判断できるシステムです。特に、処方された医薬品のファーマコキネティクス、ファーマコダイナミクスの判断から定量的なシミュレーションによって表現された高次元の「生きた薬品情報」を作り上げることができるシステムということになります。しかし未だ開発途上でありますので、今後の利用可能なソフトへと進めていくことが期待されます。

処方評価を多面的に拡張することを述べましたが、更にこのシステムを前回処方、複数科診療にまで拡張すれば、同一病院内での完壁なチェックが可能となるでしょう。またこれを複数病院、複数施設診療での処方にまで拡張すれば、患者の使用する医薬品の全てを加味した情報を構築することができることになります。しかし、これらを完成させるためには解決しなければならない多くの問題がありますが、将来に向けて大変に夢のあるシステムと言えると思います。

「このようなシステムは一体だれが作り上げるのか?」というような質問をよく受けます。実はこのシステムを完成させるための、薬品情報の収集、解析法の構築、ソフトの作成は全て薬剤師が行うのです。しかしこれを実施する薬剤師にはファーマコキネティクスとファーマコダイナミクスに基づいた薬品情報の解析能力を有していることが必須条件であることは言う耳でもありません。

「この様なシステムが完成すれば薬剤師は一体何をすればよいのか?するべきことはなくなってしまったのではなか?」と言う質問もよく受けます。この様な質問をする方は認識が不足しているとしか言いようがありません。例えどのような優れた処方設計支援システムが構築されたとしても1そこから生まれたシミュレーション結果をそのまま使用するのは問題です。これらがいくら「生きた薬品情報」とはいえ限られたデータから構築された、ある意味では不完全な薬品情報であるからです。

最終的な処方作成は、医師の判断による患者の時々刻々と変わる症状のチェックや多くの臨床検査データの解析によって、医師と薬剤師、看護婦などの医療従事者の総合判断から決定されるべきものであると思います(処方作成は医師が行うものであるが、薬剤師や看護婦は薬品情報、患者情報を医師に提供して処方作成に参加するという意味)。

従ってここで作成された処方設計支援システムはあくまでも「支援」であることをしっかりと念頭におくべきです。これに限らずコンピュータによって行われる行為はどのような場合であっても「支援」行為であり、最終的には医師、薬剤師、看護婦などと患者との人と人との関係、医師と薬剤師、看護婦間の関係から得られる医薬情報を基に処方作成が行われるべきであると考えます。

〈おわりに〉

今、世の中は1993年、秋のフルオロウラシル系抗癌剤とソリブジンとの相互作用に基づく薬害以来、薬物間相互作用に関する大いなる関心が高まっています。しかし重積副作用、複合副作用は意外と見迦・されている、薬物併用の極めて重要な問題であると言えます。決して軽視してはならないと考えられます。この古くて洒しい考えを再認識し、患者の薬剤性QOL悪化を阻止することは薬剤師の行うべき重要な課題であるでしょう。

このための基礎と応用研究、薬品情報構築、薬品情報提供活動などは薬剤師の大いに活躍できる分野であります。その中で薬剤師の技量としてファーマコキネティクスとファーマコダイナミクスのセンスは必要欠くべからざるものであると考えます。

参考文献

1)澤田康文、山田安彦、伊賀立二:薬物療法のQuality-of-Lifeへの影響、その実態、予測と制御、連載第1回、薬とQuality-of-Life、月刊薬事、36:51−67(1994)

2)伊賀立二編集アドバイザー:「能動的医薬品情報提供活動と処方設計支援」、月刊薬事、11月臨時増刊、月刊薬事、36:2701−3163(1994)

3)伊賀立二監修、澤田康文編集:「薬物間相互作用と医薬品の適正使用」、月刊薬事、2月臨時増刊、月刊薬事、37:449−905(1996)

4)澤田康文:「薬の飲み合わせ」、講談社ブルーバックス、講談社(1996)

5)矢崎義雄、伊賀立二監修、伊賀立二、澤田康文編集:「一目でわかる医薬品相互作用」、文光堂、(1997)

6)澤田康文:「臨床医のための薬の相互作用とそのマネージメント」、南山堂、p.1−p.265(1996)

7)澤田康文:「薬の併用を考える」、文光堂(1998)

8)澤田康文:「薬のあぶない飲み方・使い方」講談社健康ライブラリー、講談社(1999)

9)澤田康文:重積副作用・複合副作用とQuality-of-Life、Antihypertensive Drugs and Interactions、and Interactions、8:3−4(1996)

10)澤田康文、原口佳織、伊藤清美、山田安彦、伊賀立二:薬物療法のQuality-of-Lifeへの影響(19)−カルシウム措抗薬によるQOLの悪化− 薬剤性パーキンソニズム(3)、月刊薬事、37(10):2195−2213(1995)

11)澤田康文、山田安彦、三田智文、小滝一、濱田 潤、山本康次郎、鈴木 登、伊賀立二:シリーズ:臨床医のためのくすりの時間(24)、−薬物性パーキンソニズムに注意して下さい(1)−、治療、76(3):1049−1068(1994)

12)澤田康文、山田安彦、三田智文、小滝一、濱田 潤、山本康次郎、鈴木 盛、伊賀立二:シリーズ:臨床医のためのくすりの時間(25)、一薬物性パーキンソニズムに注意して下さい(2)−、治療、76(4):1255−1262(1994)

13)澤田康文、山田安彦、三田智文、小滝一、濱困 潤、山本康次郎、鈴木 登、伊賀立二:シリーズ:臨床医のためのくすりの時間(26)、一薬物性パーキンソニズムに注意して下さい(3)−、治療、76(5):1523−1534(1994)

14)澤田康文、山田安彦、伊賀立二:薬物療法のQuality-of-Lifeへの影響(19)−カルシウム桔抗薬によるQOLの悪化−薬剤性パーキンソニズム(1)、月刊薬事、・ 37(10):1291−1296(1995)

15)龍美和子、小滝 一、伊賀立二、澤田康文:精神科医のためのくすりの時間、薬物によるパーキンソニズムの発現、精神科治療学、11:1321−1324(1996)

16)K.Haraguchi,K.Ito,Y.Sawada and T.Iga:Catalepsy induced by manidipine,a calcium channel blocker,in mice. Pharm.Phamacol.,48,429−432(1996).

17)K.Haraguchi,K.Ito,H.Kotaki.Y.Sawada and T.Iga:Catalepsy induced by calcium channel blocker,in mice. Biopharm Drug Disp.,19,115,122(1998).

18)K.Haraguchi,K.Ito,H.Kotaki,Y.Sawada and T.Iga:Prediction of drug−induced Catalepsy based on dopamine Dl,D2 and muscarinic acetylcholine receptor occupancy. Drug Metab.Disp.,25,675−684(1997).

19)A.Matsui,H.Matsuo,H.Takanaga,S.Sasaki,M.Maeda and Y.Sawada:Prediction of catalepsys induced by amiodarone, aprindine and procaine:Similarity in conformation of diethylaminoethyl side chain. J.Pharmacol.Exp.Ther.,287,725-732(1998).

<研修> ステップアップセミナー 
H11.クローズアップ新薬 −薬品情報を自分で作ろう−

〔ステップアップセミナー新シリーズ紹介〕

昨年度のファーマコキネティクスを基礎として、今年度は『クローズアップ新薬』が始 まりました。具体的な新薬の情報を元に、隠れた情報を読み説いていこうというものです。明日から使える情報満載です。多数の皆様の参加を歓迎します。以下にその骨子と9月までのスケジュールを示します。

(T.S)

〈趣 旨〉

最近発売された「新薬」のデータ(一次資 料、二次資料など)を精細に調査して処方鑑 査、服薬指導に役立つ「生きた薬品情報」を 構築する。

〈内 容〉

○薬効・薬理作用の特徴
 ・他の医薬品とどこがどう違うか?
○薬物動態の特徴
 ・肝消失(代謝と排泄)型か?腎排泄型か?
 ・初回通過効果を受けるか?
○製剤上の特徴
 ・どの様な性格を持った製剤か?
○使用法
 ・正しい使い方は?最適な使い方は?
○使用上の注意
 ・慎重に投与する患者は?
 ・基本的注意は?
 ・薬物相互作用は?食との相互作用は?体内動態、作用の変化は?
 ・副作用は?
 ・危険因子を持った患者への投与は?体内動態、作用の変化は?
 ・過量投与時にどうするか?
 ・適用上の注意は?

更にそれまでに検討した新薬が世の中で頻繁に使用されるようになった後、「使用上の注意」などで新たに喚起された最新情事鋸こついては適宜その都度本セミナーで紹介する。

〈方 法〉

各人が一次資料を収集し、それを熟読精査して、アドバイザーと議論を重ねる中でそれぞれの問題項目の根拠を明らかにする。図表を用いて判りやすい形で制限時間内でプレゼンテーションする。

〈成 果〉

新薬に関する「新薬基本情報集」を作成する。

<リレー・書いていい友!> 人生の活力 城南支部 七隈部会 藤野久枝

占部薬局さんから電話があり、バトンタッチだそうで、大変だァと先ず思いました。

ずいぶん前に、一度だけ書かされた事が、あるのですが・・・。何を書くか、毎日考えること久し。主人と二人での旅行を計画していたので、その事を書くことにしました。書く前に、この度、市薬剤師会より久々の市会議員が誕生し、本当に嬉しく思います。

冨永先生はじめ、ご家族の皆様、お世話された方々、本当におめでとうございます。健康に気をつけられて、今後のご活躍をご期待申し上げます。

さて私達夫婦は、ゴールデンウイークに秋田へ旅行致しました。今年の1月にカレンダーを見て、5月は連休が、4日間続くので思い立ち計画いたしました。二人の意見はすぐに一致。東北地方は、なかなか旅行する機会がなくこれで二度目です。一度は、以前に道路拡張工事のため薬局を建てなおすことになり休業しましたので、4月の下旬、岩手、青森と行って来ました。その時は、弘前城の桜がみごとでした。

今度は、秋田角館の桜を期待しました。今年は暖かくて、開花が早まるかも・・・と思っていましたが、通常であれば、4月下旬から5月上旬と云う事でしたので、期待してでかけました。ルートは、秋田市内、田沢湖畔、角館、男鹿半島一周。九州にない風景(まだ残雪もあり)と、独特の秋田弁。乗物は、飛行機、新幹線、ローカル線を利用しての旅行でした。

秋田新幹線の車窓からは、山桜がまだ花をつけていて淡いピンク色を呈し、八重桜は満開でした。この分だと角館の「しだれ桜」も、と期待がふくらみました。しかし残念ながら、すっかり葉桜になっていました。

この連休に私達を含む多くの人達も、期待して観光に来ているようでしたが、残念でした。でも武家屋敷はすばらしいものでありました。それを維持していく事は、大変なことだろうなと思います。人出も多く、私達もウオーキングシューズでがんばって歩きました。

タクシーでの移動中に、桜が残念だったと話していると、運転手の方が「水芭蕉」の群生地と、「カタクリの花」の群生地へと案内してくれました。雑木林の中の斜面に、濃いピンク色のカタクリの花が一面に、可憐に咲いていました。こんなに群生している所を見るのははじめてでした。運転手さんに感謝。

第二の目的は、温泉でした。温泉も沢山あり、泉質にそれぞれ特徴があり、どれも肌が、つるつる、すべすべ、シワものびたようでしたが・・・。ゆっくりと温泉につかり、その日の疲れを取り、美味しい食事をして、又明日の旅を・・・と。主人は東北の美味しいお酒も目的に入っていたようで、いろんなお酒を飲んでは舌づつみをうっていました。体重が増えるのが、少々気になりましたけれども。

薬局をしていると、何日も休みをとり旅行する機会はそう何回もないので、今回はゆっくりと旅行が出来て幸せでした。ちなみに福岡と違って薬局薬店は、あまり目に付きませんでした。又機会があれば、今度は新潟県に行きたいと思っています。主人は、どうでしょうか。たまにはいいですよね。皆様はいかがでしょうか、人生の活力として!!

カタクリの 花賑やかに 村おこし (角館にて 久枝)

次は中央支部薬院大隈薬局 大隈真寿美先生です。

<特集・「ダメ。ゼッタイ。」薬物乱用防止活動6>

薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

今回は幻覚剤です。70年代LSDがブームになり、多くの芸術家が、その幻覚の力を借りて行った芸術活動に対して、当時サイケデリック・アートとして評価されたこともありましたが、その後の研究で、美術学生を使って、LSDを使用した時と、未使用の時の美術の芸術性に有意な差はないと言われています。

今では音楽、美術などに於いて、LSDを使用することで自分にはない芸術性が拓かれるというのはそれこそ幻覚であるということになっていますが、それ以前より自然界に存在する幻覚剤は、その地域の宗教と密接に結びついて、神の降臨になくてはならないものとして使用されてきました。

しかし、宗教に於いて使用される場合は、ある一定の縛りの元に使用される為、幻覚剤による精神の荒廃はあまり問題にはされませんでしたが、LSDの出現によってその縛りがなくなると、人々は各地に存在する幻覚剤を求めるようになり、それによる精神の荒廃が問題になるようになってしまいました。

幻覚剤を使用することで、本当にはない自分があるように思えたりする。それが多幸感になる時はまだしも、その反対の作用を及ぼせば、自殺企図もしてしまう。恐ろしいと言えば恐ろしい。

しかしなぜかその中に怪しい輝きを秘めるもの。幻覚剤。人間の弱さにつけ込むこれらの薬物に溺れる事なく、自分は自分として生きて行くしかないのです。幸いなことに、日本にはこれらの幻覚作用をもたらす植物が少なく日本人の特性として、今までは、これらの植物に惑わされる事なく生きて来たのです。

モルヒネやヘロインのような多幸感をもたらす物とは性格を異にするため幻覚剤は日本人には受け入れにくいところがあるのが幸いして、これらの薬物、植物が日本に蔓延するのは現在避けられていますが、今後もこの状態が続くのを望んでやみません。

(T.S)

「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

Q.LSDとはどんな薬でしょうか?
1.栄養剤
2.催眠剤
3.幻覚剤

幻覚剤について

フェンサイクリディン(フェンシクリジン、PCP、Phencycliden)は、本能や認識を絶えず制御する役割を持っている脳の新しい皮質(ネオコルテックス)の機能を阻害します。

この薬物は痛みを感知する神経の受容体を遮断してしまいますからPCPに纏わる事故では、大抵自らを傷付ける形をとります。PCPの作用は色々ありますが、乱用者の多くは、隔絶された感じや疎外感を覚えるといいます。時間や身のこなしが、緩慢になります。

筋肉のバランスも崩れ感覚は鈍麻します。思うように話をすることも出来ず、話始めても支離滅裂になります。

PCPの常用者では、記憶力の低下と言語障害を訴えます。長時間使用しておりますとこうした作用のいくつかは数カ月から一年位続きます。不安定な感情…抑鬱、不安、暴力的行為など…も見られます。常習的乱用者では最終的に偏執病様の症状、暴力的行動などを示すとともに本人は幻覚におそわれます。多量を乱用した場合には痙攣、昏睡、心臓発作、窒息、脳溢血などをきたします。

リゼルギン酸(LSD、Lysergic acid diethy lamid)、メスカリン(Mescaline)、サイロシビン(Psilocybin)はいずれも幻覚や妄想を生じます。身体的には瞳孔の散大、体温の上昇、心拍数の増加、血圧の上昇、食欲の減退、不眠、体の震えなどが見られます。

感情や知覚は極端に変化します。また、LSDやメスカリン、それにサイロシビンは精神的な苦痛を伴う反応を示すことは珍しくありません。乱用者は恐慌状態(パニック)に陥ったり、清疑心に支配されたり、不安や焦燥に付きまとわれて自制を失います。例え使用を中止した後でも、後発性症状、つまり再燃現象(フラッシュバック)が発生することがあります。

■幻覚剤の概要

幻覚をもたらす薬物(hallucinogenic drugs)は、それが天然の物質であると合成された物質であるを問わず、外界に対する認識を歪んだものにしてしまいます。大抵の場合幸せな気分に、また時として極めて憂鬱な気分にかえてしまうことでも明らかなとおり、中枢神経に働いて興奮状態を作り出します。

幻覚剤の影響下では、瞳孔は散大し、体温及び血圧は上昇し、方向や距離、それに時間などの感覚も狂ってしまいます。使用した人は、音が「見える」とか色が「聞こえる」などと表現します。多量を用いますと、幻覚や妄想などを生じます。時折、自殺を図るなど極めて深刻な憂鬱状態や離人現象(自分が自分であるという嘩覚を喪失してしまうことで、自分がしていることを離れた所から自分自身で観察しているといった奇妙で不合理な現象)さえ惹起することがあります。

従って、幻覚状態にある人については、厳重な監視下に置いたうえ、自分や他人を傷つけたりすることを防ぐため、出来るだけ興奮させないように注意することが肝要です。一般的に、幻覚剤が体から完全に消えるまで、激しい不安、焦燥、不眠などの症状が残ります。

幻覚が体から完全に消失した遥か後でも、乱用者は突如として、色彩の感じ方に異変を生じたり、制止した物体が動いて見えたり、ある物体を他の物体と誤認したりするようなサイケデリック(催幻覚的、又は精神病者的)な状態の再発・・・即ちフラッシュバック(再燃現象)・・・を断片的に経験することがあります。

反復して使用しますと耐性が生じ、より一層の多量使用に懐いていきます。幻覚剤を断薬した後にも身体的依存が確認されたという証拠はありませんが、反復使用を続けますと、使用している幻覚剤の種類や使用量や個人差等にもよりますが、精神的な依存を生じる傾向が見られます。幻覚剤は使用に先立って、その作用を予測することは出来ない性格のものである、ということを肝に命ずるべきでしょう。

幻覚剤が、精神的な反応をどのように変化させるかは、正確に解明されている訳ではありません。可能性としては、非常に多くのことが考えられます。いずれにせよ、幻覚剤が脳細胞相互のインパルス(刺激)の伝達を阻害する作用を持っていることについては、殆ど間違いないでしょう。こうした作用は脳細胞と脳細胞の間に位置するシナプス(脳神経接合部)において、又は個々の脳細胞内部の働きを変えてしまうことによって、生じているのかもしれません。

幻覚をもたらす薬は、

(1)細胞内部におけるエネルギーの発生を阻止し、それによって刺激の伝達をも阻害してしまうか、または、

(2)血液脳関門(blood−brain barrier)の透過性を薬が増大させてしまうため、本来なら関門で濾過されるはずの血液成分まで、そのまま通過させ、脳内に侵入させてしまう。

などによって、脳の神経細胞に影響を及ぼしているのかも知れません。こうした血液成分の要素には、ヒトの体内で自然に発生し、神経の働きに影響を与える性質を持った幾つかの化学物質であって、濃度が高い場合には幻覚症状を来すものも、その要素として含まれています。

LSDの詳細

■通 称

アシッド(Acid)、バレルズ(barrels)、ビースト(beast)、ビッグ・ディー(big D)、プ ロッター(blotter)、ブルー・アシッド(blueacid)、ブルー・チーア(blue cheer)、ブルー・ヘヴン(blue heaven)、ブルー・ミスト(blue mist)、ブラウン・ドッツ(brown dotts)、カリフォルニア・サンシャイン(Califbrnia SunShine)、チェリー・トップ(cherru top)

チョコレート・チップス(chocolate chips)、クリアライト(clearlight)、コフィー(coffee)、コンタクト・レンズ(contactlens)、キューブズ(cubes)、カップケイクス(capcakes)、ドゥムズ(domes)、ドッツ(dotts)、50フラッツ(50flats)、ヘイズ(haze)、ヘヴンリー・ブルー(heavenly blue)、インスタント・ゼン(禅)(instant zen)

ルーシー・インザスカイ・ウィズ・ダイアモンズ(お気付きでしょうか、これは実は一種の暗号めいた名前で、各単語の頭文字を連ねてみてください。ルーシーのL、スカイのS、ダイアモンズのD)、メロウ・イエロウズ(mellow yellows)、マイクロドッツ(micro−dotts)、(ドットは「点」、文字通りマイクロ(ミクロ)の点で、直径2mm位の極めて小さな錠剤に極小量のLSDを吸着させたものです)

オレンジ・マッシュルームズ(orange mashrooms)、オレンジ・サンシャイン(orange sunshine)、オレンジ・ウェッジズ(orange wedges)、オズリー(Owsley、密造品なのに高品質の印と称して密造所(者)の名前を刻印したもので、現在では殆ど見られません。1970年代によく聞いた名前です)、ペイパー・アシッド(paper acid、日本で最も頻繁に見られるのはこれで、「プロッター・アシッド」[blotter acid]と言われるものの一種です。吸い取り紙のような紙にLSDをスポットしたものです。なお紙にはいろいろなものが印刷されています)

パーリー・ゲイツ(peadygates)、パープル・ヘイズ(purple haze)、パープル・マイクロ ドット(purple microdot)、ロイヤル・ブルー(royal blue)、ストロベリー・フィールズ (strawberry fields)、シュガー(sugar)、シュガーランプ(sugarlump、これら二つは、 角砂糖で、これにLSDを染み込ませて使うところからきています)、サンシャインsunshine)

ザ・チーフ(the chief)、ザ・ホーク(the hawk)、トクエンティー・ファイヴ(25)、ウェディング・ベルズ・アシッド(weddingbells acid)、ウェッジズ(wedges)、ウエジーズ(wedgies)、ホワイト・ライトニング(white lightning)、ウインドウペイン(window pane、透明又は、半透明のゼラチンにLSDを染み込ませたものです。ゼラチンの形がウインドウペイン(窓枠)に似ていることから、こう呼ばれています)、イエロウズ(yellows)、禅(zen)。

■1960年代になって不正市場に出回り始めたLSDは、無臭、無色、無味で極めて微量で効果があり、判明している乱用薬物中では、最も強力なものです。純粋な形態では透明な結晶ですが、液体の形で製造することも可能です。これを、たった一滴、紙や角砂糖やチューインガムをはじめ、キャンディー、クラッカー、・切手等々、凡そ何にでも垂らして使う・ことができます。

幻覚剤LSDは、時として錠剤やカプセルなどの形状で密造されることもあります。僅か1オ ンスのLSDで30万回分を製造することができます。そして28万分の1ccの分量で、幻覚を引き起こします。サイロシビンに比較して5,000倍も強力なLSDは、概ねグラム単位で計算されます。

100マイクログラム(マイクログラムは100万分の1グラムです)もあれば、たちまち幻覚の世界へ「プットンデ行って」しまいます。末端乱用者の使用量は普通50〜400マイクログラムで、この分量があれば、大抵8〜10時間は幻覚の世界をさまよっています。僅かに一回分、しかもこの分量だけで、問題を作ってしまう訳です。他の多くの乱用薬物と異なり、過量な使用(オーヴァードース)はあまりみられません。

(LSDは、・麦角菌や朝顔の種子の中から見つかった一種のアルカロイドであるリゼルギン酸の誘導体で、半ば合成により作られます)

LSDの最初の作用は、心身的なものです。摂取して凡そ1時間もした頃の最初の反応は、漠然として不安感や悪心で、そめ後に頻脈、散瞳、額面の紅潮、体温・血圧・心拍数の上昇、食欲減退、気分の高揚、不眠などの他、口の中に金属的な味を感じます。こうした症状を呈している「トリッパー」(幻覚の世界の彷後人)が、一体その後どうなるかは、その人が如何なる暗示を受け易い性質を持っているか、どんなことを期待しているか、といったことと深く関わってきます。

LSDの使用経験に関する「フラッシュバック」または症状の再燃現象と言われるものは、最初の摂取の後、数日で発生することもあれば、数カ月後或いは数年を要することもあります。

薬のこうした作用は、精神的なストレスや抗ヒスタミン剤の使用、更には、乱用者の最初の経験に関する刺激回想(stimuli reminiscent)・・音楽や甚だしい場合はネオンサインの光で あったりしますが…など付随意的なものが引き金となって顕れるのです。「フラッシュバック」が如何にして生じるか正確なところは誰にも判っていませんが、どうも化学的というより精神的な性格のものによって引き起こされているようです。

この薬は消化されやすい錠剤、カプセル、角砂糖、マイクロドット、プロッター・ペーパー(吸い取り紙)、四角いゼラチンなどに簡単に形を変えられるほか、切手、チューインガム、固い砂糖菓子、ソーダ・クラッカーなどに吸着させることもできます。

■プロッター・アシッド(blotteracid)

ここ数年LSDは連続マンガのキャラクターなどを紙に転写したものが出回っています。こうした物はいずれも子供たちにもお馴染みのウォルト・ディズニーの作品に登場するキャラクター・・・例えば、「グーフィー」(goofy。犬をモデルにしたもの)や「ドナルド・ダック」など・・・が印刷されており、肌に付けるとLSDが吸着される仕組みになっているのです(日本の乱用者は舐めて使用しているようです)。

■ピラミッド・アシッド又はウインドウペインズ(pyramidacidorwindowpanes)

ゼラチンの板にワッフル状の刻みが入れてあり、その刻みの一つ一つを矧がすと、それぞれが小さなビラミッド状(四角錐)になるもので、青、黄、赤、灰色など様々に着色されています。これらのピラミッドは咀嚼したり嚥下したりする目的で密売されています。

メスカリン(mescaline)の詳細

■通 称

アンハロニウム(anhalonium beans)、ボタンズ(buttons)、カクタス(cactus)、ヒコ リ(hikori)、フアダロー(huataro)、ミースイー(mese)、メスカル(mescal)、メスカ ル・ボタン(mescalbuttons)、ムーン・プランツ(moon plants)、スイーニ(seni)、ワコウイー(wakowi)。

メスカリンは「ペヨーテ」(サボテンの一種)の幻覚をもたらす主成分です。この植物そのものからも摂取することができる他、味も外観もまるで茶色い土のような有機体メスカリンをこの植物から取り出すことも可能です。

合成の硫酸メスカリンは白色、針状結晶ですが味はほぼ同様です。末端の密売で、合成のメスカリンの本物に出会うのは極希です。

通常メスカリンとして売買されている物の殆どは、PCP(フェンサイクリジン)、LSD(エルエスディー)、PCPとLSDの混合物、アンフェタミン類、STP(メトキシメチルアンフェタミンですが、「馬力」を上げることができるということで、1970年代に流行っていたガソリンの添加剤である「エスティーピー」(商品名STP)の名を借りてこう呼ぶようになりました)、ベラドンナ・アルカロイド(ベラドンナはヨーロッパ及びアジア原産の植物で、スコポラミン、アトロピン、エル・ヒヨスチアミンなどのアルカロイドを含む)、又は不手際な合成から生じた諸々の爽雑物を含む物などです。

メスカリンが注射されることは稀で、カプセルにすることは可能ですが、天然のペヨーテ・サボテンをそのまま口に含み、柔らかくなるのを待ってから、咀嚼しながら、或いはそのままで、嚥下して摂取します。苦味は避けがたいもので、摂取後、嘔吐することがあります。

メスカリンの「トリップ」(トリップとは「旅をする」ことですが、ここでは、薬理作用によって、精神的に尋常でない状態が作られ、その異常な状態の中に精神的に「彷徨う」(トリップする)ことを言います)も、LSDの場合と同様で、その時の心の状態(これをセット[set]と言います)や環境条件(これをセッティング[setting]と言います)に大きく左右されます。

つまり、ある場合にはまるで霧の中を舞うような幻覚的感覚を味わうでしょうし、また別の場合には精神分裂病様の傾向を示して、発件的に不機嫌になったり何の理由もなく激昂したり、不安、混乱、抑鬱、しんせん(=震え)、悪心、不眠、食欲不振などが見られる土とがあります。

楽しいという感情と悲しいという感情、うわついた感情と怒りの感情といったように、相反する感情が併存する状態になることも稀ではありません。使用者としては全く脈絡のない感 情に支配されて面食らってしまうといったことが起こります。

ご存じのとおり、メスカリンはメスカレロ・アパッチ(インディアン)が儀式の際に用いていたもので、今ではアメリカン・チャーチに属する土着民のみの使用が許されています。

わが国ではメスカリンも「麻薬」に指定されています。

ペヨーテ(PEYOTE)の詳細

■通 称

アンハロニウム(anhalonium)、ヒコリ(hikori)、フアト〜ニ(huatoni)、メスカル (mescal)、メスカル・ボタンズ(mescal buttons)、ペヨテイル(peyotyl)、セニ(seni)、ワコウイ(wakowi)。

この鼠色のサボテンはメキシコ及び米国南西部原産の植物です。成育中のこの植物の肉付きの良い緑色の先端部分は白い毛で覆われた房状のもので、地面からニョキッと顔を出しています。乾燥させますとボタン状のものは茶色に変わります。規制薬物の原料であるため、国境を越えてこの植物を持ち出すことはできません。

サイロシピン(PSYLOCYBIN)の詳細

■通 称

ホンプレシトス(hombrecitos。「リトル・メン」。男性の小人)、ラス・ムジェルシート(lasmujercitos。スリトル・ウイメン。女性の小人)、マジック・マッシュルーム(magic mushroom)、マッシュルーム(mushroom)、ノーブル・プリンセス・オブ・ザ・ウオーターズ(noble princess of the waters。「美しい水の王女様」といったところでしょうか)。

サイロシブ・キューベンシス(Psylocybe cubensis)やサイロシブ・メキシカーナ(Psylocybe mexicana)などメキシコ及びアメリカ合衆国南部原産のマッシュルーム(茸)を含め、少なくとも20種類以上の茸には、精神作用に影響を及ぼす成分であるサイロシビン(psylocybin)及びサイロシン(psylocin)が含まれています。

天然のサイロシビンは、粉末状胞子や茸の乾燥したものを挽いて粉末にしたものをカプセルに詰めた形状で入手することができます。また、茸そのものを室温で乾燥させ、或いは生のままで摂取することもできます。乾燥した茸は何年も有効です。乾燥茸を一度メチルアルコールに浸した後、蒸発濃縮させ透明な液体の中からサイロシビンを取り出すこともできます。

摂取した際の最初の反応は、身体的なもので、悪心、瞳孔散大、深在腱反射、脈拍・血圧・体温の上昇などです。体の震え、不安、顔の感覚の鈍麻、目眩などの症状が発生することも珍しくありません。通常、摂取後1時間以内に感覚が次第に低下し、万華鏡のような虹色の模様が視界をよぎるのを経験します。こうしたことはLSDと似ており、そのため時折LSDの代用品として使われることもあります。

サイロシビンは我が国では「麻薬」に指定されています。

麻薬及び向精神薬取締法(概略)

第一章
(目的)
第一条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

■麻薬及び向精神薬取締法中のLSD事犯

平成7年におけるLSD事犯の検挙者は、46人で前年の23人に比べ倍増し、押収量も2,261,423錠相当で前年の3,630錠相当に比べ2,257,793錠相当(622.0%)の極端な増加となった。

LSDについては、他の麻薬と異なり、その形態が錠剤、ペーパーLSD、ウインドペン、角砂糖にしみ込ませたもの、マイクロドット、粉末等多種多様であるうえ、1回の使用量が極めて微量であるため、量の測定が困難な場合もあることから、押収量の単位を1回使用分である錠に統一し、現末の場合は、50ug(1ugは百万分の1g)をもって1錠とすることにしている。

平成7年にLSDの押収量が極端に増加したのは、オウム真理教の教団施設からLSDの原末が111.881g(2,237,620錠相当)押収されたからである。平成7年のLSDの押収量からオウム真理教の教団施設から押収されたLSDの押収量を除くと、23,803錠相当である。

●年齢別検挙状況

麻薬及び向精神薬取締法違反は、20歳代の検挙者が168人で全体の50.3%、30歳代が105人で31.4%であり、この両者で検挙者全体の81.7%を占めている。また、未成年者は21人(6.3%)で前年に比べ3人(16.7%)増加した。

●向精神莱取締法事犯の状硯

平成7年における向精神薬事犯は、前年に比べ検挙件数・人員ともに減少した。向精神薬は鎮静剤系の乱用がほとんどである。

●一般状況

近年、睡眠薬、抗不安薬、鎮痛薬等の乱用が国際的に拡大し、我が国においても乱用の兆しがみられてきたこと及び「向精神薬に関する条約」を批准するため、麻薬取締法等の一部を改正する法律が平成2年6月19日に公布され、同年8月25日に施行された。

これにより、「麻薬取締法」の名称が「麻薬及び向精神薬取締法」と改正されるとともに、向精神薬取扱者の免許・登録制度の創設、向精神薬の譲渡規制、製造・輸出入に関する記録の義務付け、特定の向精神薬についての輸出入ごとの許可制度又は届出制度の創設等の規制措置が講じられた。

向精神薬事犯の検挙者は、法施行後毎年増加してきたが、平成7年は初めて件数・一人員ともに減少した。

また、平成5年からは向精神薬を鎮静剤系と興奮剤系に分類したが、検挙件数・人員は圧倒的に鎮静剤系が多い。

向精神薬の乱用は、催眠鎮静剤の乱用が多く、医療用としての通常の使用量より多く服用するとか、酒と一緒に服用する等の方法により中枢神経抑制による「時的な快感(もうろうとした状態)を求めるため乱用されている。

押収量は鎮静剤が79,468錠で前年の154,010錠に比べ74,542錠(48.4%)と大幅に減少し、興奮剤は9,141錠で前年の9,912錠に比べ771錠(7.8%)減少した。

横並び

「よそがやるなら、うちも」という横並びの姿勢がかつては成功をもたらしました。

しかし、バブルの崩壊で、みんなが乗ったバスの行方は不明です。これからは「みんながやるなら、私はやらない」です。この消極策が実は積極的な意味を持ちます。ブームに振り回されず、その企業にしかないもの、自社の源流を見失わない経営は、しぶといといえます。

逆の話ですが、不況の底で強気の設備投資をする会社があります。不景気時に発注するとプラントメーカーも仕事がほしいし、機械や人を遊ばせておくよりはと、好況時の30%程度安くなるといいます。深い読みと経験が必要ですが、個性ある中小企業の独自策です。

「犯罪の陰に・・・ 」清水貞知

昔日本では「犯罪の陰に女あり」と云われたものですが、中国では常に「犯罪の陰に麻薬あり」でした。それ程、中国では政治、財界、社会全般に亘って淫潤し、普遍的な魔力を持っていました。皆さんは御承知ないかも知れませんが、当時の日本の政党なども内密ながら、これに手を染めていました。

当時の日本政府と国際連盟(現、国際連合)の間に立ち、私等下級官僚は一方ならぬ苦労を嘗めさせられたものです。

その当時でもヘロインは麻薬中の王者で究極の珠玉でした。その前提として阿片の吸煙があり、次いでモルヒネと進みますが、ヘロイン(普通は白麺、ブツ、またはバーゼと呼び、本誌に出ている様な雑多な呼名を聞いた事はありません)は高価で、純品は皆無、大抵、良くて蛇(混ぜ物)が3〜6割でした。買入はそれを見分けるのが一つの仕事でした。その方法には色々あり、興味をそそるものもありますが、ここでは触れません。

冬期になると早朝の凍てついた路上のあちこちに裸にポロ一枚纏った凍死体が丸太のように転がっていましたが、それ等は皆、それら麻薬患者のなれの果てでした。

我々取締官僚からすると「近代中国の歴史は阿片と共にある」と云うのが実感でした。事実、麻薬政策無くして中国の政治も統治も無く、語れませんでした。

それが毛沢東の中国共産党が中国を制覇するに及んで、あれ程淫浸していた麻薬が一掃されましたが、それは犯罪の軽重に関係無く、片端から麻薬犯罪者は一斉に処刑するの厳罰を以て臨んだからです。見事と云うほかありません。

毛の業績には御承知のように多々ありますが、この一事だけでも、史上特筆大書して然るべきだと思っています。

目下我国でも青少年のシンナー吸引問題が指摘されていますが、毛の断固たる処置に比して、実になま温いと思っています。こんな問題は一刀両断、皮を切らして骨を断つ式で無ければ、根本的解決は望み得べくもありません。

曾てこれ等の問題に関し〈満州国における麻薬政策〉と題し起稿を試みた事もありましたが、資料、特に国際連盟に関する資料が入手出来ず、断念致しました。今でもさる大学教授から「もう一度、考え直し執筆を続けてみては」と誘われますが、資料が無く、推量ではdocumentaryな歴史物は書けません。

私ももう年(89才)、同僚でこの世に残っている者はいません。私が立証し得る最後の人間、その後は多分、それ等、生の史実は雲散霧消するでしょう。

翻って本誌の様に、薬剤師が覚醒剤悪用防止の先頭に立ち指導的役割を演ずる事は正に「鬼に金棒」、薬剤師の存在を社会的に認識させるには格好の命題だと思います。

<会員の広場> 我等の100日戦争 西支部 西部会 冨永薬局 冨永計久

4年前私は、ある男を口説き落とし市会議員に立候補してもらい、彼の後援会長として地域の皆様と共に頑張り、市会議員を誕生させることが出来ました。しかしながら、喜びは長くは続きませんでした。

彼は、運命としか言いようのない病気に冒され、今回の選挙出馬を断念せざるを得なくなりました。

私は後援会長として、12月末に後援会の皆様に彼の出馬断念を発表し、「今回の選挙は自主投票して下さい」とお願いしましたが、「後継者をなんとかしろ」と言う声が高まりました。

私は、出るも地獄、引くも地獄なら坐して死を待つより生きて出る地獄を選ぼうと思い、出馬の決意を固め、この平成10年12月の末突然の宣戦布告により今年の4月11日に行われました統一選挙に福岡市西区より市議会議員として立候補する事を決意し、100日戦争の幕が切って落とされました。

そして、私を支えて下さった地域の皆様、同窓生の皆様、そして薬剤師会の皆様、その他多くの皆様による必死の選挙戦が始まりました。

県薬、市薬、西区薬剤師会の物心両面による絶大なご支援をいただき、又一薬会、福大薬学部、蘇陵会等各大学OB会、卸、メーカーの後押しで見事当選させていただく事が出来、我等の100日戦争が終わりました。

しかし、私の戦いは今始まったばかりです。一年生議員なので勉強勉強の毎日ですが、市会議員として、医療の一担を担っている薬剤師として、地域とのパイプ役として一目も早くお役に立てるよう一生懸命頑張る所存ですので、今後共皆様方のご支援をお願いし、今回の選挙のお礼に代えさせていただきます。

<会員の広場> 「翔ぶが如く」を読んで 〜西郷隆盛と大久保利通〜 中央支部 天神部会 天神調剤薬局 田中泰三

ジャーナル第84号('99.3月号)「会員の広場」に寄稿して頂いた田中先生の“司馬遼太郎を語る会つこ興味を持たれた方が多く、その卓話集より、御本人が書かれたものを抜すいして掲載させて頂きました。皆様の御感想はいかに?(K)

 

卓話をすることが決まってから、テーマを探すつもりで読み始めました。「西郷さん」と言えばイメージとして、九州男児の象徴のような人物です。同じ九州人として、なんとなくあこがれを持っておりよしたが、銅像に観るようなどっしりとした頼りがいのある風貌と、明治維新を起こした革命家の一人ということや西南戦争で敗れた人ということ、それぐらいしか理解していませんでした。

果たして、読み終えて、意外な弱い一面を持っていたこと、それと西郷の歴史における華やか なる陽性的役目は、明治維新で終わっていたのかなと言う印象がのこりました。

これは、どんな革命家にも言える事だと思いますが、歴史的に見れば、一つのあるいは、一時期にその人物が歴史に名を残す大活躍をする。それゆえに名前が残る。そして役が終われば歴史の中心軸から自然とはずれていくと考えます。もし役目の終わった者が、無理やりその中心軸に縛り付けられるとどうなるのだろうか。

この小説は、「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」などのようなヒーローの立身出世を描いたものではありません。歴史上の役目を終えた西郷を象徴とする旧社会(旧藩体制)の衰退と、大久保利通を代表とする「太政官」の目覚ましい権力の発展を対極的に、この時代に生きたそれぞれの立場の人々を描いているようです。

角度を変えて見れば、西郷隆盛という虚像を取り巻く人々、恐れる側、それをかつぐ側、あるいはそれに希望を託す側の歴史的運命を描いていると言えそうです。要するに、そこに正気を帯びた「実」性の西郷はいなかったように思えます。

卓話については、薩摩が産んだ明治維新の二大巨人、西郷と大久保の人物の対象性について論じてみたかったのですが、慣れていないせいか、少し表面的な内容になってしまいました。うまくいかないものですね。言いたかったことについて、少し述べてみます。

西郷と大久保は同郷で、二歳違いの同世代。幼い時から同じ郷中(結束が異常に強硬な子供会・青年会のようなもの)で寝食を共にした幼なじみ。青年期は、それぞれ活躍の場こそ違っても陰に陽に助け合いながら大きく成長していった。そのころは、互いに無二の親友であることを確信していたに違いありません。

二人にとっての大きな転機は、やはり、戊辰戦争にて革命軍として勝利し、江戸城の開城を行い、明治維新が成立したこと。そして「太政官」という権威の誕生ではないでしょうか。小説はこの辺から始まります。

大久保は、日本という国を富国強兵し、西洋諸国なみの近代国家にすることを考えたリアリスト。そのための廃藩置県であり太政官の絶対権力でした。このときの大久保は「日本を手中に収めたり」心中そう確信したのではないでしょうか。

当時、「官」にとっての不満分子と言える旧藩の「官」になれなかった士族たち、特に、革命軍として一緒に戦った薩長土肥の士族達の憤りは深かった。命を懸けた同じ仲間が、片や、絶対的権力と巨額の富を得たのに比べ、自分達は、野に下り今まで以上の苦を強いられ、階級も失いました。大久保は、その不満分子を「太政官」という権力を強固なものにするためにつぶしていきました。

一方、西郷は、彼らの感情を見捨てることができず、その虚像のなかに“そのうっ積”を吸収して、自らを膨張させてしまいました。

当時、陸軍大将だった西郷は、絶対的軍事力を持っていました。しかし、太政官に対する憤り、旧士族に対する同情を持ちながら、決して、新政府に対するクーデターを自らの意志では、行いませんでした。このことからも西郷の革命家としての歴史上の役目は終わっていたといえるのではないでしょうか。

やはり、西郷は死ぬ時期を逸して、うつうつと生きていたのではないでしょうか。そして、虚像に膨張した“うっ積”は、西南戦争という最悪の形として爆発しました。その後、明治国家は大きな反乱もなく順調に発展を遂げていったのです。

歴史の中に大きな変化があるとき、そこには少なからずひずみが生じるとしたら、明治維新のひずみというか残物を、西郷自身そうであると自覚しながら、命を懸けて歴史の中に封じ込めたと考えてみます。それは、明治国家の基礎を一人で築き上げた大久保の陽性に比べれば、あまりにも陰性的役目です。本当の西郷の歴史上の役目は、案外そういうところにあったのかもしれません。

二つの巨星は、歴史の中で自分を捨て(無私)、それぞれの役割を充分把握しながら、まさに陰に陽に大活躍しました。そして大きく砕け散ったその破片が、その後の明治国家を完成させていったと考えては、その後の実務者に失礼というものでありましょうか。

<会員の広場> 『私は今脅されている』 早良支部 原南部会 温和堂薬局 福岡英樹

 私は今、友人からのFAXで毎日毎日脅され続けています。皆さんもそのFAXをちょっと読んでみてください。

◎貝原益軒の「養生訓」より
『たばこの性は毒である。少しは益があるというが損が多い。病気になることもあり、火災の心配もある。習慣化すれば癖になり、むさぼるようになって後で止めがたい』

◎成人男性の喫煙率
日本…60.4%(1992)
米国…31.7%(1987)

◎WHOの標語より
『喫煙か健康か・‥選ぶのはあなた』

◎男性の肺癌の7割以上が喫煙が原因。

◎肺癌全体で、重喫煙者は非喫煙者の3〜10倍の危険度がある。

◎咽頭癌は100%近くがたばこが原因。

◎たばこの煙には4000以上の化学物質が含まれる。その内発癌物質は200種ある。

◎早く吸い始めるほど肺癌で死ぬ。
喫煙開始年齢15〜19歳 6倍
20〜24歳 5倍
25〜29歳 4倍
30〜34歳 2倍

◎喫煙者の虚血性心疾患による死亡率、発生率は非喫煙者の1.6〜4.6倍。

◎バージャー病患者は全国で4〜5千人いるが、殆どが重喫煙者である。

◎たばこの煙に含まれるCO値は4万ppmで自動車の排ガス並である。

◎たばこを1日1箱(20本)吸う人の血中酸素レベルは、非喫煙者が2000メートル級の高山に登った時と同じ。

◎主流煙より副流煙の方が危険物質の含有が多い。
ニコチン………2.6〜4.9倍
ベンツピレン…2.5〜3.5倍

◎『赤ちゃんを取りますか?たばこを取りますか?』
低体重児(2500g未満)の生まれる確率は、喫煙本数に比例する。

◎受動喫煙が危ない。
『密閉した4畳半で、他人が4本たばこを吸うと、自分も1本吸ったと同じである』

◎ニコチンはビタミンCの吸収を抑える。
たばこ1本でビタミンCの1日必要量の半分が無効になる。

◎子供の誤飲の1番はたばこである。

◎広島市立安佐病院にはたばこを吸う医師はいない。何故なら、喫煙医師は採用されない。

◎『私は子供の喘息を一日でも早く治すため、又子供に与える薬を少しでも減らし、副作用を少なくするために、本日只今より禁煙を約束し、ここに禁煙誓約書を提出いたします』
北里研究所メディカルセンター病院では、小児喘息で来院した子供の親で喫煙者には、このような誓約書を書かせている。

<フレッシュさん> 一年間を振り返って早良支部 早良部会 もみじ薬局 土井麻希子

みなさん、初めまして。私の働いているもみじ薬局は、開局してやっと1年の新米薬局で、私を含めて薬剤師4名(うち2名は準に一度ずつのパートさんです)と事務員1名でやっています。建物の形がちょっと変わっているので、できあがるまで近所の方は喫茶店か何かができると思っていたらしいです。

患者さんの数は、他の薬局さんに比べてまだ少ない方だと思いますが、薬の配達が必要な患者さんも何人かいらっしゃるので、なかなか充実した毎日を送っています。

さて、話は変わりますが、去年、薬剤師会の主催するソフトボール大会とボウリング大会に、もう1人の薬剤師と参加させていただきました。

ソフトボールの方は、私はほとんどした事がなく、できれば隠れていようと思っていたのですが、しっかり見つかってしまって出場するはめになってしまいました。出場するからにはホームランを打って1,000円をもらって帰ろうと2人で話してたのですが、1,000円どころかヒットを打つことさえできませんでした(早良支部の方、役に立てなくてスミマセン。ユニフォームも作ったことだし、今少し練習しています)。

ボウリングはそれなりに自信があったのですが、思うようにはいきませんでした。スコアは…やはり運動不足がたたったのでしょうか。今度こそは!!!ということで早良支部の皆さん、前回参加した方もしてない方も今度は全員参加で頑張りましょうね。

そういえばもう一つ、最近患者さんの影響でガーデニングを始めました。始めたといっても、よくわからないままやっているので、患者さんに怒られながらですが‥・。とりあえず本とか雑誌を読みあさってはいるのですが、花を育てるのって大変ですね。花の特徴、種の蒔き時など色々難しいみたいなので、ひとまずチューリップから挑戦してみたところ、思いがけずうまくいったので、かなりやる気が出てきました。

それで今は、もうすぐ夏ということで、患者さんにもらったアサガオの種を植えています。他にも隣の家の万からキュウリやほうれん草も作りやすいよと聞いたので、そちらにも挑戦しています。これじゃガーデニングというより家庭菜園みたいですが。

全部種からやっているので今はどの鉢を見ても土しかないように見えますが、来年の今頃には赤やらピンクやら緑があるはず。しかもこの原稿を皆さんが読まれている頃には、キュウリやほうれん草が食卓に並ぶはず。これに成功したら他の野菜にも挑戦してみようかな。

こんな感じで一年間を過ごして来た私ですが、これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。

【市薬代議員会報告】第43回通常代議員会並びに第71回総会

日時:平成11年4月24日(土)4:00PM〜
場所:ホテルニューオータニ博多

代議員会次第 司会:瀬尾常務

1.開 会
(1)議長及び副議長選出
  議 長 式町先生
  副議長 樋口先生
(2)議長登壇
  議事運営委員長 日程説明
  議事録著名人指名
(3)会長演述
(4)来賓挨拶

2.議 事
【報告】
(1)第1号 平成10年度会務報告
(2)第2号 第80回(臨時)第81回(通常)福岡県薬剤師会代議員会報告
【議案】
(1)第1号 平成11年度事業計画決定の件
(2)第2号 平成11年度会費決定の件
(3)第3号 平成11年度歳入歳出予算決定の件
(4)第4号 借入金限度額決定の件


3.質 疑

<ブロック質問>

 各支部から活発なブロック質問・一般質問があった。それらの中から特筆すべき質問と答弁は次の通りである。

1.「かかりつけ薬局」の育成について

Q.(南区)(城南区・早良区・西区)(中央区)「かかりつけ薬局」の育成のためには対外的PR・研修・備蓄薬品の確保が重要である。どうなっているか。また市薬薬局は、どのような支援をしてくれるのか。

A.これは11年度事業計画の中心事業である。財政的に非常に厳しくなっているが節約をしながら、しかし重点的に「かかりつけ薬局」の育成を進めていく。

(1)「かかりつけ薬局」のPRのため福岡市・福岡医療圏・北九州市各薬剤師会と共同でテレビスポットを考えている。
(2)(1)とリンクして卸による分割配送を市内の問屋と交渉している。会員の要望が強ければ実現させていきたい。
(3)市薬薬局は特に、実務研修・医薬品の備蓄などで会員を支援していく。




2.歳入減・歳出増への対応

Q.(東区・博多区)(南区)(城南区・早良区・西区)5年10年先の薬剤師会の予算のありかたを視野に入れて、一般会費と保険会費のあり方、毎年増大している固定費の縮小方法、支部と市薬の事業の分担のあり方を検討する時期にきている。予算執行の心構えと決意をお聞き したい。

A.試験センターの規制緩和により歳入不足が生じた。非常に重大な局面を迎えたと自覚している。継続してきた薬剤師会の運営を分業率の上昇を勘案して基本的にどう変えていくか、今ターニングポイントにきた。どのようにしていくか合意を形成したい。「かかりつけ薬局」の育成を重点事業とし増収計画と節約計画を進めながら来年度の予算作成に支障のないようにしたい。

(増収計画)
(1)A会員の未加入者を組織委員会の事業の一環として入会促進を支部・部会と相談しながら進める。入会金の分割納入等を検討する。
(2)研修時に非会員から1回500円を徴収し入会を勧める。
(3)広域病院の処方箋が非会員の所へファックスで流れている。会員同録、特別会費をお願いする。

(節約計画)
(1)各委員会の委員会費と事業費の節約
(2)人事面も含めた事務局のあり方の検討
(3)ファックス・コピーなどの使用方法の検討
(4)その他


<勤務薬質問>



<一般質問>


4.採 決

5.閉 会


総  会
1.開 会
2.会長演述
3.第43回福岡市薬剤師会通常代議員会決定事項報告
 選挙(福岡県薬代議員及び予備代議員選挙)
4.閉 会


懇親会次第 司会:北島常務
1.開会のことば
1.会長あいさつ
1.表彰・祝彰
 ◆日薬有功賞伝達
 ◆部会表彰
 ◆高齢者表彰
 ◆還暦会員祝彰
1.県議・市議当選者紹介
1.当選者あいさつ
1.乾杯
  (祝 宴)
1.万歳三唱
1.閉会のことば


 

第43回通常代議員会並びに第71回総会がホテルニューオータニで開催された。ホテルと言うこともあってか、会場が非常に狭く感じられ、代議員会の緊張がいやがうえにも圧迫感を増しているような雰囲気の中で力強く開会が宣言された。先ず鶴原先生の議長代行により今期の議長及び副議長に式町先生、樋口先生が推薦され、承認された。続いて梅未議事運営委員長により、今回の日程説明があり、議事録著名人に東区伊東先生と中央区勢島先生が指名された。

会を始めるにあたって、「現状に於いて薬剤師の立場は非常に微妙で危うい。行政にさらに確固とした薬剤師の位置を定着させて行く必要がある。今回の選挙に於いて西区より冨永先生が選出されたことでもあるし、薬剤師の立場を行政にも今以上に確立していきたい」との演述があった。いつもながら問題山積の薬剤師の現状にまだまだ言い足りない様子ではあるものの時間の制約もあり、手短かに話を終えられた。

続いて、助役となられた坂本先生、県薬宮崎会長、薬務課天本課長補佐より来賓挨拶をいただき、速やかに議事に進行した。先ず、報告として、平成10年度会務報告、第80回(臨時)第81回(通常)福岡県薬剤節会代議員会報告があった。引き続き議案に入り、平成11年度事業計画、平成11年度会費決定、平成11年度歳入歳出予算決定、借入金限度額決定の4案件が提出された。

休憩を挟んで質疑に入り各区のブロック質問、勤務薬質問、一般質問と続いたが、各質問とも逼迫する市薬財政への不安に基づくものが多かった。その中で南区の末田先生のこのような財政の折りに高いホテルで代議員会を開催するというのも考えなければならないとは思うが、各ブロックに於いて未入会薬局への細かな入会勧誘の努力が市薬の財源を伸ばす事に繋がると思うと言う意見は、より現実的な行動を促す意見として光っていたと思った。

質疑応答も滞りなく終わり、今回の案件を挙手多数により承認して、会は閉会した。引き続き第71回総会が開会された。会長演述に続いて、第43回福岡市薬剤師会通常代議員会決定報告と福岡県薬代議員及び予備代議員選挙が行われ会は閉会した。

その後、部屋を移して懇親会が行われた。さっきまでの緊張した雰囲気とは一転して、会長の挨拶も行政に認められる強い薬剤師を目指すという一貫した姿勢は変わらぬ挨拶ではあるものの表情も和らいでいた。先の選挙に於いて市薬推薦の候補者全員が当選を果たされた事もあって、今回初めて市議に当選された冨永先生も含め、各区推薦の県議会議員、市議会議員もお招きして、お一人お一人紹介しながら、その当選をお祝いした。

同時に、会員の表彰・祝彰も行われ、日薬有功賞を受賞された平島貞幸先生への伝達が行われ、部会表彰、高齢者表彰、還暦会員祝彰も行われた。今回表彰を受けられる先生方全員の出席は望めなかったが、出席していただいた先生方には、表彰状や記念品と共に会員の先生方からの温かい拍手が送られた。会は議員の先生方も交えて和やかな中で乾杯に始まり、今後の薬剤師会の発展を願い万歳三唱して閉会の言葉で締めくくられた。

(T.S)

■■トピックス■■ 学術委員会

喘息治療薬における新しい剤形

はじめに

昨年、喘息治療の面で大きな貢献が期待されている気管支拡張効果を持つ、今までにないβ2刺激薬の貼付剤が、はじめて市販された。そこで今回は、β2刺激薬貼付剤(以下ホクナリンテープ)についての特徴等について、以下簡単に解説したい。

I.ホクナリンテープについて

一般に呼吸機能には日内リズム(circadianrhythm)があり、1日のうち深夜から早朝にかけて低下することが知られている。特に気管支喘息患者では、morning dipと呼ばれる早朝の呼吸機能の低下となって現れ、これによって起こる早朝発作は、患者や介護者の大きな負担となっている。

しかし、既存の経口β2刺激薬では、手のふるえ、動博など副作用の発現頻度が高く、また作用の持続の点からmorning dipを十分に予防することはできないという問題点がある。又、β2刺激吸入薬においても作用の持続性の問題からmorning dipを予防することはできない。

そこで、今回市販されたホクナリンテープにおいては持続的な薬物放出により、ツロブテロールの血中濃度の過度の上昇を抑えることができ、全身性副作用の軽減が期待される。

又、最高血中濃度到達時間を8〜12時間とすることにより、就寝前の貼付でmorning dipを抑制することが可能となった。

U.特   性

1.TCSにより主薬の放出をコントロール(TransdermalChrono−deliverySystem:経皮時間制御送達システム)
2.1日1回貼付で臨床効果を発揮
3.morning dipを抑制
4.経口、吸入投与が困難な患者にも投与可能などの大きな特性がある。

経皮時間制御送達システム(TCS)

 物放出機構は、結晶レジボアシステムを採用している。



1.膏体中に溶解したツロブテロール分子と均一に分散したツロブテロール結晶を共存させ、ツロブテロール結晶に薬物貯蔵槽としての機能を持たせている。
2.皮膚吸収に伴い放出されたツロブテロール分子をツロブテロール結晶から逐次補給することで膏体及び接着皮膚面表面のツロブテロール濃度を長時間一定に保ち、持続的な薬物放出を可能にしている。

吸収



 健康成人の胸部にホクナリンテープ2mgを貼付し、48時間にわたり血清中ツロブテロール濃度を測定。貼付後11.8時間で最高血中濃度に達した。その後徐々に減少し、半減期は剥離後5.9時間。
 また、気管支喘息小児患者の胸部に、年齢4〜9歳(体重18.8〜26.5kg)には1mg、年齢9〜13歳(体重33.0〜41.7kg)には2mgを貼付し、28時間にわたり血清中ツロブテロール濃度を測定したところ、貼付後14.0時間で最高血中濃度に達し、その後徐々に減少した。

貼付部位による影響

 健康成人の胸部、背部、及び上腕部にツプテロールテープ3mgを貼付し、貼付部位の血清中濃度推移を比較検討したところ有意差は認められず、貼付部位の違いが吸収に及ぼす影響はほとんどない。(注)本剤の承認された成人の1回用量は2mgである。


V.副作用

承認時における1002例中、副作用は116例(11.58%)、152件。主なものは振戦23件(2.30%)、心惇克進17件(1.70%)、貼付部位のそう痔感34件(3.39%)、発赤25件(2.50%)、かぶれ25件(2.50%)などである。臨床検査値異常はCPK上昇が28件(7.20%)認められたもののそれに伴う臨床症状はなかった。

今までの経口剤に比べて副作用は少なくなっている。しかし、かぶれ、発赤などの副作用がみられている。また、β2刺激剤による重篤な血清カリウム値の低下の報告はある。

W.相互作用

併用禁忌:カテコールアミン製剤
併用注意:キサンチン誘導体,ステロイド剤,利尿剤

おわりに

 ホクナリンテープは、薄くて小さい貼付剤であり1日1回貼付で24時間安定した気管支拡張効果が認められるため利便性・コンプライアンスに優れている。

 新しい製剤のため患者には

1.毎日同じ時間に貼りかえてもらう。
2.汗をかきにくいところに貼ってもらう。
3.小児には手ゐ届かないところに貼ってもらう。
4.同じ場所に貼り続けずに、貼り替えるときには場所を変える。
5.傷口や湿疹のあるところには貼らない。

等の説明は必要であろう。

貼付剤としたことにより、

@血中濃度のコントロールが簡便で、効果の持続性が得られ投与回数が減少できる
A肝での初回通過効果や胃腸障害を回避でき、食事による影響もうけない
B副作用が発現した場合等貼付後の薬物の中断が容易である
C経口や吸入投与が困難な患者にも投与可能で、投薬の確認も容易ゼある

など利点が多くβ2刺激薬としては、これからますます使用されていくことと思われます。


〈文 献〉
宮本昭正:新しい治療薬のポイントNo.10
マルホ株式会社:ホクナリンテープ製品概要総合文献集
        ホクナリンテープ医薬品インタビューフォーム

うちの看板娘(No.15)

大賀薬局博多駅前店編 博多支部 住吉部会

◎実はこの4人同じ歳なんです。最初に入社した私が一番ふけてるかも。いつの間にか一番うるさい奴になってしまいました。でも言われるうちが華だと思ってネ。いわゆる“愛のムチ”なんだから。本当の私は優しいハズ?!一緒に飲むと分かるわよ。ねえ、古村さん ウフツ。
 この写真なにやってんだって思いました?実は4人でスマップ踊ってるんですよ。1ケ月間早起きして朝練やったんです。朝から汗かいて、仕事始める前にぐったりなってしまってました。皆の前で踊った後は、「あー、やって良かったな」と思いました。一致団結ってやつです。青春だ!!って感じでした。めちゃ楽しかったです。また踊ろうね。

(香丸明子)

◎私の小さな目標
 まず(1)女性らしく美しくカサブランカのような人になる。そして(2)仕事では、正確 に華麗にコンピューターがうてる。矢のようにすばやく薬歴をひく!(目指すはヒアキさん=香丸さんかナ?!)
 趣味で演劇やダンスをするのが大好きなので、今回仕事場のみんなと練習できてとっても楽しかったです。また機会があればやりたいと思います。

(古村智子)

◎大賀薬局に入社して、あっという間に1年が過ぎ、だいぶ、仕事にも慣れました。写真は店長送別会の時に4人で踊ったものですが、リズム感がまったくなく、小学生の時にはスキップもできなかった私には、とても大変なことでした。しかし、猛練習のおかげか、当日はなんとか形になり、なによりも店長が喜んでくれたのがうれしかったです。

(藤尾美知代)

◎入社して、1年が経ちました。
 おっちょこちょいな性格の為、周りに多大な迷惑をかけつつ過ごしてきました。学生の時は温泉や旅行によく行ってたんですが、働き始めて出かける機会が減り、少し残念です。
 機械オンチの私ですが、最近ようやくパソコンを購入したので、壊さない程度に付き合っていこうと思っています。

(横田直美)

【女子薬のコーナー】平成10年度 福岡県女子薬剤師会 福岡支部報告

I.会議等

平成10年6月14日(日)通常総会並びに講演会

#演題1『在宅介護(介護保険)と薬剤師を取り巻く現況と今後の展望について』
 講師 福岡市薬剤師会 専務理事 入江理裕先生

#演題2『お寺から始まった手作りデイホーム「宅老所・よりあい」と共に』
 講師 宅老所よりあい代表 下村恵美子 様

#役員改選 詳細は市薬ジャーナル84号(1999年3月号)に掲載


平成11年2月11日(木)新年例会 於:福岡ビューホテル

#来賓
 自民党県連最高顧問 早麻 清蔵 先生
 自民党市議団会長 稲員大三郎 先生
 福岡市議立候補者 冨永 計久 先生
 福岡市薬剤師会会長 藤原 良春 先生
 福岡県女子薬剤師会会長 内野 孝子 先生
#卓話『介護保険モデル事業に於ける調査員として』
 講師 内野 孝子 先生


平成10年度役員会日程

・平成10年4月10日
 第1回 平成9年度事業報告及び10年度計画案作成
・平成10年7月3日
 第2回 平成10年度総会の反省と今後に向けて
・平成10年11月9日
 第3回 市長選に向けての選挙協力について
・平成11年1月9日
 第4回 新年例会の打合わせ
・平成11年2月6日
 第5回 新年例会の打合わせ


U.事業等

1.福岡市保母研修会への協賛 平成10年11月24日 福岡市民福祉プラザ

#演題1『保育園に於ける投薬について』
 講師 第一保育短期大学 助教授 松本紀子先生
#演題2『子供への薬の飲ませ方』
 講師 福岡県薬剤師会常務理事 末田順子先生

2.県女子薬関連事業への協力

・平成10年4月19日 通常総会及び第1回研修会
・平成10年4月〜11年3月 役員会及び理事会(3回)
・平成10年6月20日 女子薬九州ブロック研修会(熊本)
・平成10年10月18日 県女子薬第2回研修会(福岡市)

3.九州山口薬学会・日本薬剤師会学術大会への協力

4.福岡市薬剤師会主催『薬局実務研修会』への協力

5.『市薬ジャーナル』への投稿

 

日本女子薬剤師会「功労賞」授賞式に参列して福岡支部 参与 城戸嘉寿子

5月のさわやかな風に迎えられて、久しぶりに東京の地に降り立った。

3年前までは年に数回東京に言っていたが、今回は2年ぶりの上京であった。

この度、はからずも日本女子薬剤師会功労賞を頂いたからである。

これは全国を10のブロック(北海道・東北・関東・東京・北陸信越・東海・近畿・中国・四国・九州(沖縄を含む))に分けて、毎年、各ブロックから1名ずつ表彰をうけるようになっているものである。

今年は九州ブロックの代表として私が受賞することになった。

福岡県でのこの賞の受賞者は第1回が田中美代先生で、この方は福岡県女子薬剤師会の生みの親、育ての親という方であった。7、8年前に故人となられた。次回は戸畑の宮崎綾子先生で、現在でも九州漢方研究会の理事長として頑張っておられる。前回は小倉在住の佐伯薫先生が平成2年に受賞されている。

私は4人目の受賞者となった。

5月15日、東京は晴海埠頭にほど近い、東京ホテル浦島に於いて表彰式が行なわれた。各ブロックから推薦を受けてこられた方々は上は87才で、割とお年の方が多く、私などは一番若い方であった。

秋島会長から一人一人、労をねぎらわれ、表彰状と、とても美しい七宝の飾皿の記念品が手渡された。

山形から見えた87才の先生は杖こそついておられたが、まだまだ矍鑠とした御様子に心強いものを感じた。

私は、そろそろ女子薬を引退しようかと考えていた折に、この賞を頂いたので、今しばらくは、女子薬のために、何かしらのお役に立たなければならないかなと思った次第である。

【地域で活躍する薬剤師】

家庭でできる指圧健康法について講演してほしいと言う依頼が中野先生の所にあった。中野先生は薬剤師であり鍼灸師である。依頼者は西銀会(西日本銀行のOB会)で総会後の記念講演だ。

それは4月1日11時半から1時間、大濠公園の近くにある西銀研修所で行われた。講演後、電話の問い合わせが多々あったと聞き、高齢者の健康への関心の強さを再認識した云薬局の周りの高齢者も同じだ。機会があれば薬局から一歩外に踏み出して地域保健活動をするのも“かかりつけ薬局”の一つの機能だと思った。

(M.I)

手軽に出来るツボ健康法(社)福岡市薬剤師会 薬局担当常務理事 中野勝郎

よく、ツボ刺激は、からだのバランスの乱れを整える全身療法であるといわれているのですが、鍼灸医学では「全身の気・血がスムーズに流れ調和がとれている状態」が健康であり、逆に「気・血の流れが滞った状態」を病気と考えています。気・血とは目に見えないもので、血液やエネルギーのようなものと考えればわかり易いでしょう。

従来、鍼灸医学の治療は、からだの新陳代謝をよくし、生命活動を活発にするという独特の考え方に基づいて行なわれます。鍼灸医学の世界で「からだに勝る名医・妙薬なし」とよく言われるのですが、これはいったいどういう意味をもっているのでしょうか。

私達は複雑な社会生活のなかで追いまくられ、自分の足で歩くことも、猛暑、厳寒に身をさらすことも少なくなってしまった私達の肉体に変化が起きないとすれば、その方が不思議というのかも知れません。

では、健康を回復・維持するためには、私達は何をすれば良いのでしょうか。まず、それには現代人を半病人にしている、例えば、ダイオキシンや環境ホルモンなど社会問題になっている生活環境を変えることも必要ですが、これは一朝一夕にはできないことですし、個人の力ではどうしようもありません。

そこでいきおい医師に相談し、クスリ、健康食晶などに頼ることになります。もちろん、これ は大切なことです。身体に外から薬物を加える療法を薬物療法というのに対して、鍼灸医学に基づくツボ健康法は、さしづめ物療療法といえるでしょうか?

しかし、それと同時豆、ぜひ考えていただきたい重要な事があります。例えば、ウサギや鳥などの自然界に生きる動物たちが、けがや病気をした時、どのようにして治しているのでしょうか。

彼らは、敵の目にふれない場所にひっそりと身を隠し何日もじっとしていて自分のからだの中の傷を癒し、病気に打ち勝つ力のあることを知っていて、それが傷口をかため、病気を追い出してしまうのをじっと待っています。一種の生物体である私達も当然この治癒能力を持っています。私達が病気にかかるのは、この治癒能力が衰えてしまった時です。いわゆる免疫力がなくなった時です。

病気になったり、その前ぶれがあった場合は、クスリに頼る以前に、まず、失われた治癒能力を再びよみがえらせることを考えなければなりません。私がお話しようとする「手軽に出来るツボ健康法」のねらいも、実はそこにあります。おそらく、たいがいの人が病気と症状をごちゃまぜに考えています。

からだの具合が悪くなると熱が出たり、下痢をしたり、だるくなったり、咳が出たりしますが、これらはみな病気の本態ではありません。病気を治そうとからだが努力しているあらわれ、症状です。

これを私達は自然治癒力といっておりますが、ツボ健康法がめざすのは症状を治すのではなく、元々誰のからだにも備わっている、あくまでも自然治癒力をよみがえらせるという、からだ全体が目的であると考えております。

そしてツポ刺激、すなわち、ツボを指圧するのは毎日行なうのが原則で、1回のツボ治療で驚くほどの効果が現れる場合もあり、慢性の病気では数ヶ月とか数年かけて悪くなった病気は、回復するまでに時間がかかりますので、根気よくツボの指圧を続けることが大切です。なお、ツボ療法を1〜2週間続けても症状の改善がみられない場合は、専門医に相談することは、いうまでもありません。

 

『簡単に見つかる、ひとりでできるツボ(経穴)』

○ツボとは・・・からだの表面には、刺激を内臓に敏感に伝える場所があるので、そこに手指で刺激を与え、健康をはかることができます。体表にあって、からだの各部に刺激を伝える場所−これが、指圧の代名詞のように思われているツボ(経穴)です。

(1)肩 井(けんせい)
肩井のツボを刺激すると、血と気がスムーズに流れるようになりますから、それから筋肉をほぐしましょう。肩の一番高く盛り上がったところ(中間点)と乳首から肩への延長線が交わる点に取ります。指3本で剃激します。

(2)大腸愈(だいちょうゆ)
腰痛の悩みは、2本足で歩く人類のさだめ、上半身の体重すべてがここに集中するからです。ギックリ腰など早い人で30代に経験しますが、あの痛さはその場で動けなくなるぐらい痛いもの、解決の基本は、腹筋と背筋を若々しく保つこと、大腸愈を刺激して予防に努めてください。一番下の腰椎突起(ベルトの位置)から指2本外側にあります。親指で刺激します。

(3)天 柱(てんちゆう)
天柱とは「頭をささえる柱」すなわち首をさしています。天柱の刺激により、頭への血流をよくします。2つの天柱を両方の親指で強めに刺激することで、血のめぐりを整えましょう。ぼんのくぼから指2本分外側、首筋にある2本の太い筋肉の外側に取ります。親指で刺激します。

(4)曲 垣(きょくえん)
肩甲骨の内縁の一番上にあります。このツボは3本の指(人差し指・中指・薬指)で強くもんでください。背中から肩への血液の流れがスムーズになり、こわばりがとれます。

(5)坐 骨(ざこつ)又は、股門(いんもん)
坐骨神経痛は歩いている時に、腰から太ももにかけて電気のようなどリピリとした痛みが走り、いつも腰のまわりが不安です。坐骨のツボを強めに指2本で押して下さい。毎日続けるうちに、その不安は解消するでしょう。お尻の丸みの下線頂点に取ります。親指2本を重ね斜め十字に刺激します。

(6)揖 鼻(とくぴ)
績鼻の「傾」は子牛をあらわしますので、憤鼻は子牛の鼻という意味です。膝の骨が子牛の顔に見えるのでこの名がつけられたそうで、膝の痛みが気になる人は、両手の親指で強めの刺激を与えて下さい。膝のお皿の一番下の部分に取ります。親指で刺激します。

(7)亜 門(あもん)
頭をさげると、うなじに「ぼんのくぼ」というくぼみができます。これが「亜門」です。頭が重い時、ガンガンする時は、両手の人差し指でやさしく、じんわりと刺激してください。頭部への血のめぐりが良くなります。

(8)天 突(てんとつ)
のどの痛み全般に使えるツボで、そのほかにも痕がからんだ時や扁桃腺炎や咽頭炎にも、両方の鎖骨の間にあるこの「天突」のツボを人差し指で弱めに1回3秒ぐらいを10回ぐらい、朝昼夜の3度指圧してください。

(9)横 骨(おうこつ)
クシャミヤ小走りした時に、尿が漏れてしまうのが尿失禁で、中高年の女性にとても多い症状です。この横骨のツボは恥骨より外側に指1本のところ、人差し指で両方の横骨のツボをゆっくりと1回3秒10回ほど1日3回やさしく刺激します。ぜひ、皆さんの奥様で悩んでいる方がおられたら、ご主人が横骨の指圧でいたわってあげてください。

(10)石 門(せきもん)
尿に勢いがない、トイレの回数がふえるなどの前立腺肥大は50才以上のほとんどの男性にみられます。これに効く石門のツボは、関元(かんげん)の指1つ上、関元は中極(ちゅうきょく)の指1つ上、中極は人間の局部には恥骨という骨がありますがその指1本上。この石門は、関元、中極のツボをさがしてからというふうに少しさがしにくいツボです。人差し指で強めに刺激 します。

(11)安 眠(あんみん)又は、下完骨(しもかんこつ)
常に何らかのストレスが加わっている現代社会では、不眠症に悩んでいる人は多いようです。安易にクスリに頼らず、快適に眠るには安眠のツボを刺激すれば、からだがリラックスして、ポーとあたたかくなって眠りやすいでしょう。安眠のツボの位置は、後頭部の耳のうしろ下方、乳様突起の角(かど)にあります。親指でゆっくり、じんわり刺激します。

【介護保険】在宅委員会

介護認定審査委員15名 決定(社)福岡市薬剤師会在宅医療担当 常務理事 田中範江

いよいよ平成12年4月から介護保険制度が始まろうとしております。4月から制度をスタートするために、要介護認定申請は今年の10月開始となっております。つまり10月よりスタートするということです。決定に係る審査判定を行う介護認定審査会の委員を15名推薦するように、福岡市より薬剤師会に依頼がきており、これも日ごろから行政へアプローチを継続した結果だと思われます。

昨年のモデル認定審査会では、委員として2名、オブザーバーとして全7区参加した実績を持っております。市薬としては42の合議体中15名参加します。この認定審査委員は、調査表による一次判定とかかりつけ医からの意見書また特記事項等により審査・判定をするという、大変責任の重いポジションだと言えます。15名の先生方のご活躍を郵待しております。

 

【薬局実務研究会】学術委員会

経験の深い方も浅い方も、OTCの方も調剤の方も、会員も非会員も薬剤師である以上は知っていて損はないはず!!初心にもどって、薬剤師であることを再認識しましょう!

今年は昨年に比べて日数は短く費用も半額になり、受講しやすくなりました。内容もポイントを押えた濃いものになっています。是非ご参加下さい。(K)

 

平成11年度(第10回)薬局実務研修会のご案内〜就職して1、2年生の方に最適です〜

福岡市薬剤師会では、薬局実務研修会を開催します。対象者として、今回新たに薬剤師になられた方、実務から離れていてこれから就職しようと考えておられる方、OTC専業の方、自分の専門以外の知識を総合的に広く修得したい方です。また、講義終了後、調剤実習を希望される方には別に日程を設けて、実習も行います。

今回より、日程、費用を変更し就業している方でも受講し易いようになりました。1、2年実務を経験した上で受講されると講義の内容をより深く理解し、更に自信を深める事と思います。是非、実務に就いておられる方にも受講して頂き、自己研修の場として、更なる飛躍の機会としていただくようお願い申し上げます。

薬局実務研修実施要綱(予定)は下記の通りです。

なお、会員、非会員関係なく薬剤師であればどなたでも受講出来ます。お知り合いの薬剤師の方々にもお知らせ頂ければ幸いです。

1.講 義

  日時:平成11年9月5日(日)、12日(日)の2日間(予定)
  場所:福岡市薬剤師会、会館講堂
     福岡市中央区今泉1丁目1番1号
     TEL(092)714−4416
  費用:会 員 6,000円
     非会員 8,000円
  講義内容:
     薬事関連法規 服薬指導 薬品情報の収集・管理 薬剤師の倫理
     薬歴の取り方 薬事情報センターの活動
     調剤 医療保険 在宅医療・介護保険

2.調剤実習(希望者のみ)

  場所:福岡市薬剤師会薬局
     福岡市中央区地行浜1丁目7番10号
  実習希望、日時、費用については薬局実務研修章の講義の際にお知らせ致します。

3.申し込み締切日:平成11年8月20日(金)

4.お問い合わせ先:

  申し込み方法等のお問い合わせは下記までご連絡下さい。

  (社)福岡市薬剤師会
     TEL(092)714−4416
     主催 (社)福岡市薬剤師会
     (日程と内容は次頁です)

 

[広報]

会議報告

【理事会】

日 時
平成11年4月21日(水)

議 事

1.会長挨拶

○11年は「かかりつけ薬局」の育成に力を入れています。(垂幕とステッカー)
○組織は生き物だから会員皆様の協力をお願いしたい。

2.報告事項

(1)会務報告(会務日誌のページに記)
(2)委員会報告
(3)その他の報告

3.協議事項

(1)第43回通常代議員会付議事項について各区よりの代表質問の答弁について
(2)その他

(K.T)

日 時
平成11年5月19日(水)

議 事

1.会長挨拶

 4月24日の通常代議員会も無事終り、新年度の事業が始まるが、現在の会計状況を常に見ながら事業を進めて行きたい。

 来月は、臨時代議員会が行なわれるが、事業会計報告は簡単にしてほしいとの要望がある。しかし、常務理事の方には昨年度頑張って行った事業を堂々と報告して頂きたいのだが、その辺の時間の調整を考えている。何れにしろ、質問が出てくれば常務理事等は自信をもって答えてもらいたいし、答えられると思う。

 というのは、私の認識だが、福岡市薬剤師会が行ってる事業は、全国的に眺めてもどことも遜色はないと考えている。それだけの内容のものをみんなが一生懸命頑張ってやっている。

 対外的にみても、市薬の地位は上がってきていると思うが、今年一年みんなで頑張ってより以上に市薬を認めさせることが大事だと思う。

2.報告事項

(1)会務報告
(2)委員会報告
(3)その他

3.協議事項

(1)第44回臨時代議員会の開催日程等について
  イ)開催日時と代議員会までの行事日程
    ・6月28日(月)19時 市薬講堂
  ロ)各委員会の事業実績報告
  ハ)学薬、勤務薬、女子薬、商組の概況報告
(2)研修会の出席者について
  イ)第12回地区指導者研修会
   (6月5・6日 於大濠荘)
  ロ)第10回薬局実務研修会
   (9月5・12日 於市薬講堂)
(3)その他

(K.M)

【支部長会】

日 時
平成11年4月13日(火)

議 事

1.会長挨拶

 選挙も終わり、冨永先生も上位当選された。市薬の推薦議員も全員当選され、選挙の目的は達成されたと思うし、薬剤師の力も議員さん達に認めてもらえたと思うので、これを行政に生かしたいと考えている。

 先月3月15日在宅介護支援サービスのホットライン事業についての話し合いがあった。直接的に薬剤師に関係するのは徘徊老人の支援策。これに薬局を組み込みたい。

 在宅医療を薦めたいが、事例検討会に対する評価があまりなされていないので、そのことを申し入れした。

 4月12日に介護保険計画策定委員会があったが、モデル事業の経過報告と分析のみで今は終わっている。4月28日に具体的な話し合いがある。

 参照価格制度が潰されたが、この裏を読まなければならないのだろう。先ず、日薬の顔が潰された。薬剤師会が甘く見られたのか?日医は損をしていない。これは今後も起こる。この時、しわ寄せを食うのは、保険薬局だ。

本当は、日薬が音頭をとって、動かないといけないのに動かない。今回は医師会サイドですすみ、薬剤師会には風当たりが強くなるだろう。日薬が動かないのなら九州だけででも団結して、本音の部分を突きつけていかなければならないと思っている。

2.報告事項

(1)会務報告
(2)委員会報告
(3)その他

3.協議事項

(1)第43回通常代議員会付議事項について
 平成11年度歳入歳出予算について

(T.S)

日 時
平成11年5月25日(火)

議 事

1.会長挨拶

 支部総会がほとんど終り、一段落ついたところで、各支部長は本格的に邁進して頂きたい。

 総務庁が国立大学病院の分析観察結果を発表した。医薬分業を積極的に進めようという勧告案がでている。私が思うには、厚生省ではなく総務庁が干渉して勧告案をだした所に意味があると思う。足踏み状態である九大病院の処方箋発行率にも影響を与えるであろうし、他の病院の院外処方箋発行にも波及してくると思う。

 医薬分業という動きの中で、国民に医薬分業というものが認識されてないのが問題と思う。薬剤師の必要性を国民にアピールしていく必要があっただろうが、やってきてなかったと思う。

 個々の薬剤師が頑張っても、国民に浸透させるのは難しいと思う。市薬で対外的アピールを続けたいと思う。

 何れにしても、内部的には、個々の薬剤師の実力アップのため、市薬としては今年度もバラエティーに富んだ研修会等を行い、かかりつけ薬局に取り組んで行きたい。

2.報告事項

(1)会務報告
(2)委員会報告
(3)その他

3.協議事項

(1)第44回臨時代議員会の開催日程等について
  ・6月28日(月)19時 市薬講堂
  ・代議員名簿の確認
(2)その他

(K.M)

委員会報告

【薬局委員会】

日 時
平成11年4月28日(水)
出席者
副会長:光安 常務理事:中野
理 事:毛利
委 員:行実・真鍋・津崎・東(干)・満生・國武

議 事
○薬物乱用防止講演会開催(市学薬と共催)
 日時−6月18日(金)PM7時30分−8時30分
 場所−4F講堂
 講師−九大、山本教授
○あいれふ主催薬草観察会の実施場所の選定について
 5月9日、西区花乱の滝、曲渕ダム、南畑ダムの下見に行く
○薬局製剤の用法及び用量\使用上の注意事項に関する厚生省医薬安全局よりの通知については、アスピリン、エテンザミド、アセトアミノフェン、ポビドンヨード、ヨウ素ヨウ化カリ含有剤について、製剤に添付の注意事項変更については4月1日より、含有製剤の添付文書に注意すること。

日 時
平成11年5月26日(水)
出席者
副会長:光安 常務理事:中野
理 事:毛利
委 員:東(千)・甲斐田・行実・真鍋・津崎・満生

議 事
○薬物乱用防止講演会(6月18日(金))PM7時開演
 座長:光安副会長 司会:真鍋委員
 受付:市学薬理事
○あいれふ薬草ウオーキング場所:曲渕ダム周辺に決定
 10月3日(日)あいれふ、9月26日市薬会員の観察会を予定、あいれふ藤崎氏と打ち合わせ。
○福岡市保健福祉局主催による「薬物乱用防止啓発展」は7月9日(金)・10日(土)の両日、天神イムズスクエアで開かれる予定。市薬側は薬用酒・薬用茶、「なんでもお薬相談コーナー」で、協力することになる。
○今回の薬局製剤研修会は5月29日(土)PM4時〜6時
 「クロトリマゾールM軟膏」を製造。
○冨永委員の市会議員就任につき、西区薬局委員が甲斐田恵子先生(下山門そうごう薬局勤務)にかわることになった。

 

【急患委員会】

日 時
平成11年4月27日(火)
出席者
副会長:光安 常務理事:市原
委 員:成澤・中尾

議 事
(1)平成11年度 6・7・8月分出動表の作成
(2)平成11年度 出勤者 登録数154名
  (内休み 9名(産休 6名、休み 3名)〉
(3)平成12年度 薬剤師会の要望事項について資料添付
(4)医薬品集第7版の改訂、編集委員会について

 

【市薬薬局委員会】

日 時
平成11年5月12日(水)
出席者
副会長:光安 常務理事:藤田
理 事:小松
委 員:江田・江崎・徳永

議 事
○光安副会長より
・九大病院総事務長に会う予定
・国立南病院 院外処方増加傾向
・医療センター分 お薬説明書 会員に販売予定
○市薬薬局4月分現状報告
・集中率および処方箋受付回数少し上がり気味
  GW前後にかなりの患者が来局している。
  新患もかなりいる為新患を中心として面分業を進める。
・4月より薬剤情報提供を開始
  5月以降Do処方の患者も基本的に薬情を出す
・3月いっぱいで副島退職、4月より山本希入局
  薬局製剤原料の備蓄について
○九州医療センター窓口
・薬情に関する患者からのクレーム
・新患を散らす為にポスター等の利用は可能か?
○九大病院窓口
・院外処方箋発行率横ばい
・院内製剤を含む処方箋は院内処方
・投薬後処方変更となった場合、薬局の対応はケースバイケースとする
・薬情に関するクレーム
・訪問薬剤管理指導の依頼 1件

 

【在宅委員会】

日 時
平成11年5月14日(金)
出席者
副会長:合澤 常務理事:田中
理 事:原田
委 員:原口・木原・熊沢・春日・下瀬・中間

議 事
○平成11年度の活動内容について
・在宅の件数をふやす事を重点目標に。
・医師会の訪問看護ステーションと仲良くなるように各区でがんばる事。

 

【組織委員会】

日 時
平成11年5月21日(金)
出席者
副会長:合澤 常務理事:井上
委 員 竹野・見元・平島・東・佐藤・松浦・権藤・福岡

議 事
○市薬入会のすすめについて
・各支部入会金についての検討
・入会金分割について
○ソフトボール大会日程について
・10月17日(日)順延なし

 

【広報委員会】

日 時
平成11年4月6日(火)
出席者
副会長:合澤 常務理事:北島
委 員:戸田・石井・森山

議 事
○5月号市薬ジャーナル編集会議
・原稿集め

日 時
平成11年4月19日(月)
出席者
常務理事:北島
委 員:戸田・石井・鮫島・津田

議 事
○5月号第1校正 その1

日 時
平成11年4月20日(火)
出席者
常務理事:北島
委 員:戸田・石井・鮫島・森山・津田・伊東

議 事
○5月号第1校正 その2

日 時
平成11年4月28日(火)
出席者
常務理事:北島
委 員:戸田・石井・鮫島・森山・伊東

議 事
○5月号第2校正
・写真コメント再考

支部だより

〔東〕

〜東区薬剤師会会務報告〜

( )内は出席者
4月6日 東区総会
  21日 予備代議員会(正岡・藤野(哲ト・伊東・伊藤・楠本・竹野・條崎)
  24日 市薬総会(正岡・藤野(哲)・伊東・伊藤・楠本・竹野・候崎
     藤野(千)・石田)
5月7日 東区役所高齢保健福祉課訪問(伊東・中野(達))
  14日 市薬在宅委員会(原口)
  15・22日 第一回在宅研修会(8名)
  25日 支部長会(伊東)
  26日 市薬薬局委員会(津崎)
  28日 モデル事業報告会(40名)
     60頁を参照


〜平成11年度総会〜

日 時 4月6日(火)午後7時30分
場 所 リーセントホテル
出席者 23名 委任状41名(過半数46名)

 昨年度はモデル事業に取り組み、東区薬剤師会も活発になってきました。医師会・歯科医師会・保健所との連携もできてきました。
 本年度はこれをさらに強固なものにしていきたいとおもいます。
 千早病院の分業は今のところ白紙です。しかしゴーサインが出れば迅速に対応できるよう準備しています。本年度から各委員会の委員を2名にしました。皆様お忙しいので負担を軽くするためです。「委員になりませんか」と声がかかった時には御協力宜しくお願い申し上げます。

 総会資料の必要な方は組織委員(ハート薬局 691-6632)にお申し出下さい。

 県薬代議員(5名) 松井昌也・入江理裕・江藤克巳
           田中範江・伊藤一郎(中野達也)
 市薬代議員(9名) 藤野哲朗・加藤正剛・伊東美穂・中野達也
           楠本哲也・篠崎正十郎・正岡民次・江藤克巳
           馬場正佳(順不同・敬称略)


〜モデル事業終了報告〜

 東区薬剤師会ではモデル事業「在宅療養高齢患者のADL(日常生活動作)に及ぼす薬剤の影響調査」に取り組みました。昨秋モデル事業参加薬局を募集しましたところ、27薬局の応募がありました。御協力ありがとうございます。

 医師会や保健所などと会議を重ねモデル事業への理解と協力をお願いしました。その結果、医師会の訪問看護ステーションと保健所の在宅ケア・ホットラインから服薬がうまくいっていない患者さんを16名紹介してもらうことができました。実際に訪問できたのは6名で、27薬局すべてにいきわたらず申し訳なく思っております。

 モデル事業は在宅医療への薬剤師の参加のきっかけ作りと位置付けております。4月以降も新規の依頼がきています。患者さんの了解のもとにその患者さんの住所に一番近い薬局にお願いしています。これからもモデル事業でできた三師会・保健所との連携を維持・強化していきたいと思っております。御協力宜しくお願い申し上げます。

 日薬での最終報告会の貴重な資料で勉強会を始めます。全国の薬剤師が在宅医療の現場で経験した大切なデーターです。きっと私たちの役に立ちます。詳細は後日FAXしますので、奮って御参加ください。

 モデル事業の報告書を作成します。読んでみたい方は在宅委員(るり薬局 TEL642−1818、和光舞松原薬局 TEL683−2188)まで御連絡ください。


〜貝塚病院院外処方箋〜

 3月より貝塚病院が院外処方箋を発行しています。病院の御厚意により疑義照会窓口ができました。午後5時までは外来診察室で、処方医または外来責任者が対応してくださいます。

 疑義照会の時は処方医の氏名を受付(TEL632−3333)に告げてください。5時以降6時までは薬局が窓口です。また服薬指導に必要な情報(病名など)も提供されます。御活用され適切な服薬指導にお役だてください。

 病院より患者情報の提供を受けるだけではなく、主治医に伝えていないと思われる患者情報を入手した時には、積極的に医師にフィードバックすれば患者さんへ対して分業のメリットが出てきます。

 また調剤過誤が生じた時には早期に遠慮なく市薬にご連絡ください。「人のすることだから間違うこともある」との視点より、光安副会長が対処されます(これは貝塚病院だけでなくすべての広域病院に適用されます)。

 貝塚病院の医薬品リストが御入用の方は社保委員(楠葉堂薬局TEL691-4721)にお尋ねください。


〜デッドストック情報の定例化〜

 薬の管理の一助にと、医薬品デッドストックの情報を毎月FAXで流すことになりました。デッドストックがありましたら、市薬へレセプト提出時に「東区薬剤師会デッドストック情報」(この用紙のことは社保委員にお尋ねください)にご記入のうえ市薬事務局へお持ちください。翌日、東区の保険薬局にFAXされます。

 売買の交渉は各自FAXで電話の時は先生方の忙しくない時間にお願いします。消費税5%は加算されます。

 またこのデッドストック情報は粕屋薬剤師会にも流されます。粕屋薬剤師会のデッドストック情報も東区薬剤師会にFAXで提供されます。売買の方法は同様です。詳細は、社保委員にお尋ねください。


〜在宅研修会について〜

 モデル事業は終りましたがこれによって在宅医療に取り組む核ができました。これを中心に、3月東京で行なわれた報告会の報告書の抄読会と事例検討会をセットにして2カ月に1回、在宅研修会を行ないます。今回行ないました、「在宅酸素療法」のようなイベントをおり込んでいきます。在宅医療に関心のある方は是非御参加下さい。

(支部長:伊東美穂)

 

〔早良〕

〜平成11年度 早良区薬剤師会通常総会〜

総会次第         司 会 福岡 秀樹

1.開会の言葉       副会長 清水 達三
1.早良区薬剤師会会長挨拶 会 長 本村 精也
1.来賓祝辞
  福岡市薬剤師会会長  藤原 良春
  福岡県薬剤節会会長  宮崎 和人
1.議事
(1) 平成10年度事業報告 専 務 上村 義徳
   平成10年度決算報告 会 計 有馬  純
   平成10年度監査報告 監 査 冨田 郁美
(1) 平成11年度事業計画 専 務 上村 義徳
   平成11年度予算案  会 計 有馬  純
(1) 質疑応答

懇親会          司会 福岡 秀樹

1.開会の言葉       会 長 本村 精也
1.来賓祝辞
  県会議員 横田進太 古川 忠
  市会議員 渡辺史人 大森哲也 津田隆士
1.乾杯          瀬越  寿
1.万歳三唱        冨永 宏資
1.閉会の言葉       行実 公男

(書記:西岡啓子)

 

 

〔西〕

〜平成11年度三師会懇親会〜

担当 歯科医師会西支部
司会 歯科医師会西支部 神田専務理事

日 時 平成11年5月27日(木)7時30分
場 所 三四郎

式次第

1.開会の辞  上原歯科医師会副支部長
2.挨拶    矢田歯科医師会西支部長
       緒方西区医師会長
       占部薬剤師会西支部長
       石田西区長
3.乾杯    神宮西保健所長
4.協議事項
5.自己紹介
6.万歳三唱  荒浪西区次長
7.閉会の辞  池尻歯科医師会西支部監事

 今回より行政も三師会に入って頂き、西区長石田氏の意見により「四者会」に改名してはどうかということとなった。特に荒波次長は三師に対し情報交換に積極的に飛び回られ、アルコールを口にする間もなかった程であった。




〜西支部総会〜

日時:平成11年6月19日(土)午後7:30〜
場所:とり市
司会:仲上一成先生(専務担当)
支部長挨拶:占部吉幸先生

 西区より介護認定審査委員に中間道子先生と中野勝郎先生が推薦されました。本年は介護の年であり、おふたりの活躍を、ご期待申し上げます。

来賓:藤原良春先生

 今回、総会には40名程の会員が出席され、個々の薬局の現状について話が盛り上り総会後の懇親会は、あっという間に終わった。
 年を重ねる毎に、会員相互というより、支部なかまという意識が強くなっているようで良い支部総会になって来たと満足に思った。

(広報:津田和敏)

 

〔中央〕

〜中央区薬剤師会役員・部会長会議〜

日時:平成11年5月18日(火)午後7:30〜
場所:市薬会議室
議題:1.平成11年度事業計画他
   2.総会式次第他

 福岡市中央区薬剤節会定時総会並びに懇親会の事前の協議及び平成11年度事業計画について検討した。



〜平成11年度中央区薬剤師会総会・講演会・懇親会〜

日時:平成11年5月22日(土)午後5時〜
場所:セントラルホテルフクオカ

総会次第
司 会   吉田理
開 会   樋口昌嗣
会長挨拶  梅未芳彦

 今後も中央区各支部の連携を深めていきたい。

来賓祝辞  藤原良春

 参照価格の案もつぶれ、平成9年医療改正では治療フィーで薬剤師会が一番影響を受けた。日薬にやる気があるのかどうかを問いたくなる。

 介護保険も、4月実施に間に合うのか疑問だ。介護保険料を三千円ぐらいとしているが、福岡ではとても出来ないだろう。サービスが安定している所は高くなる為、福岡市はもっと高くなると考えられる。今年も国政選挙があるが、これからはこちらの要求をつきつけて応援していく態勢を取る必要がある。

 中央区で昨年おこなった薬物乱用のキャンペーンは良かったと思っている。地域に向かって大きく貢献する事なので、引き続きやって欲しい。

議長選出  川上繁

議事

(1)報 告

 第1号 平成10年度会務報告並びに事業報告  樋口昌嗣
  中央区健康フェアに於いて、
  1.『ダメ。ゼッタイ。』ミニ講演会に際し、オリジナルのチラシ6万枚作成。
   各学校に配布した。
  2.中央区健康フェアアンケート調査日頃薬剤師が慣用している言葉について、
   一般の人に熟知度を調査した。今後もこの調査を継続し、調査結果について
   は九山、日薬の学会でも発表出来るものにしていきたい。
   今回の調査の結果については、市薬ジャーナル1月号に詳細している。
  3.'99中央区薬剤師会新春の集い1月24日城山ボウルにてボウリング大会を行っ
   た後、場所をセントラルホテルフクオカに移して、県議会議員早麻清蔵先生、
   市議会議員稲員大三郎先生の時局講演会、並びにボウリング大会の表彰を行った。

 第2号 第43福岡市薬剤師会通常代議員会報告 下瀬和俊
  1.一般会員数の発表
  2.事業計画・平成11年歳入歳出予算案

(2)議 案

 第1号 平成10年度歳入歳出決算認定の件   小松公秀
  中央区薬剤師会監事 三津家正友先生より、中野 佐先生と共に内容を承認の宣言あり。

 第2号 平成11年度事業計画決定の件 下瀬和俊、遠藤誉理男
  ・市薬事業計画の推進(かかりつけ薬局の育成、強化)
  ・中央支部部会強化への支援
  ・ステップアップセミナー積極参加への支援
  ・三師会及び広域基幹病院面分業へ向けての対策
  ・健康フェアへの積極的参加
  ・薬物乱用防止啓発運動(関係団体特に学校薬剤師会、中央保健所、三師会との協調)
  ・在宅及び公的介護保険制度への参加確立に努力

 第3号 平成11年度歳入歳出予算決定の件   小松公秀

 第4号 市薬代議員承認の件         下瀬和俊
  以下のメンバーを選出した。
  遠藤誉理男・下瀬和俊・梅末芳彦・国武靖夫・平島久美夫・樋口昌嗣・勢島充
  平島公彦・川上肇・小野信明・田中泰三・松尾可恵・予備(吉田 理)

 第5号 その他  梅末芳彦
  年会費値上げについての要望

 新入会会員紹介

 閉会


特別講演

〔演題〕「環境問題と薬剤師の役割」−ダイオキシンからのラブコール−
〔講師〕福岡大学工学部土木工学科教授 松藤康司先生
    (福岡大学薬学部第8回卒)
 松藤先生は福岡大学薬学部を卒業後、同大学工学部の助手となられ、その後一貫して土木工学科で 研究を積んでこられました。座長の勢島先生とは薬学部での同級生です。中央区では「ダメ。ゼッタイ。」と共に、それを取り巻く環境問題にも取り組む中で、今問題となっているダイオキシンについて、先生に講演をいただきました。

〔座長〕勢島充


中央区薬剤師会懇親会

総合司会:樋口昌嗣
開会の辞:福岡市中央区薬剤師会 会長 梅末芳彦
来賓祝辞:参議院議員      吉村剛太郎
     福岡県議会議員    早麻清蔵
     福岡市議会議員    稲員大三郎
     中央区長       林田政継
     中央保健所長     竹中章
     衆議院議員      山崎拓秘書 古賀正秋
花束贈呈:
     祝当選福岡県議会議員     早麻清蔵
     祝当選福岡市議会議員     稲員大三郎
     福岡県知事表彰(薬事功労賞) 光安龍彦
     福岡県薬剤師会会長賞     小野信昭
     中央区連盟活動支援者へ日頃の感謝の気拝をこめて 友永美枝子
     (選挙活動において私共が出動できないところをカバーしていただいています)
     九州・山口薬剤師会長賞    藤原良春



乾杯:福岡市薬剤師会顧問     久保田秀巳
祝宴:カラオケ大会etc.
万歳三唱:福岡県薬剤師会専務   小野信昭
閉会の辞:中央区薬剤師会組織理事 平島久美夫
(敬称略)


 平成11年度の中央区薬剤師会総会・講演会並びに懇親会がセントラルホテルフクオカで開催された。総会に於いては、平成10年度の事業報告、会計の報告と、平成11年度の予定事業、予算報告があり、挙手を以て同意された。引き続き福岡大学薬学部を卒業後、現在は福岡大学工学部教授になられた松藤先生の特別講演が行われた。

 その中で、先生は現在我々を取り巻く環境問題に影響を与えている様々な物質に対して、それらを徒に忌避するのではなく、生物界の環境に及ぼす物質の問題は、人間のちょっとした心がけで回避出来る問題なのだから、ダイオキシンが我々にもつと自然を大事にして欲しいと、ラブコールを送っているのだと考えて欲しい。と楽しいイラストを交えたレジメとともにスライドでわかりやすく説明された。

 その後部屋を移して、懇親会を行った。来賓に吉相剛太郎参議 院議員、早麻清蔵県議会議員、稲員大三郎市議会議員、林田正継中央区長、竹中章中央保健所長、又諸事の都合により、やむなく欠席された山崎拓衆議院議員に代わって、古賀秘書をお迎えして、皆様から祝辞をいただいた。

 昨年の功労者に花束の贈呈と記念品の贈呈を行った後、全員で今後の中央区の発展を祈念して、久保田秀巳市薬顧問の音頭で乾杯を行った。その後は、料理とお酒で、会場も盛り上がり、カラオケが入ると北島啓子、平島公彦両先生の絶妙な司会進行により早麻議員は“北の旅人”、稲員議員は“旅人よ”を突然の指名にもかかわらず快く披露して下さり、会場は一気に打ち解けたムードとなった。

 その後中野佐先生が持参のカラオケテープで藤山一郎の“青春日記”、続いて中央区各部会の会員が次々に自慢ののどを披露して、会は大いに盛り上がり、福岡県薬剤師会専務の小野先生の音頭で万歳三唱を行った後、中央区薬剤師全組織理事の平島久美夫先生が会を閉めて、今回の行事が滞りなく幕を閉じた。


〜平成11年度 中央区在宅ケア支援定例会(第1回)〜

日時:平成11年6月30日(水)18:30〜20:00
場所:中央保健所 作業室(あいれふ6階)
内容:1)挨拶
   2)保健福祉総合相談窓口業務について
   3)各機関からの報告・話題提供
    ・介護保険係より  
    ・訪問看護ステーションより
    ・高齢者福祉係より
    ・地域保健係より
   4)事例紹介
    次号にて詳しく紹介

(広報:鮫島千織)

 

〔博多〕

〜博多区薬剤師会会務報告〜

平成11年5月8日(土)博多区薬剤師会定期総会
      10日(月)博多区在宅ケア懇談会
            博多区役所
            鶴原会長、蔵元専務、木原理事、森理事出席
      13日(木)ファーマシューテイカルケア研修会
      26日(火)支部長会 鶴原会長出席
平成11年6月2日(水)インターネット講習会(博多区薬剤師会主催)
            NTT博多支店 鶴原会長出席
      6日(日)介護保険講演会 箱崎会館
            蔵元専務、木原理事参加
      7日(月)理事・監事会・部会長会


〜定期総会を開催〜

日 時 平成11年5月8日(土)5:00PM
場 所 ホテルステーションプラザ

 第22回定期総会が開かれ、鶴原会長一年目の各報告がなされ、とどこおりなく一年が過ぎたことを会員に報告致しました。

 次に今期の事業計画が審議され、鶴原会長がきびしい社会環境ではあるけれど、各薬局の資質の向上に役だつ企画・研修会を行なっていきたい旨を説明し承認されました。

 又事業計画の中で、インターネット・パソコン研修の企画・実践や博多区医師会の御協力をいただいて、地域の医師による研修会を行なうことを説明して、多くの人々の参加を呼び掛けました。

 懇親会は多くの来賓の方々をお迎えして、今回の統一地方選挙で推薦し当選を果たされました、県議、市議の先生方より博多区薬剤師会に力強い支援のおことばをいただきました。医師会の古川会長より、博多区三師会が組織されていますので、これを利用しての博多警察署との防犯に関する協力が具体化する旨のお話をいただきました。

 60名以上の方々に参加していただき、来賓の方々との談笑があちらこちらでなされていました。ただもっと多くの先生方に参加していただき、地域医療の各会とのコミュニケーションがもっと取れれば良いのではないかと考えました。今年も総会は盛況のうちにお開きとなりました。

(専務理事:蔵元良行)

 

〔城南〕

〜城南支部運営委員会〜

日 時 平成11年4月19日(月)19時
場 所 海宴亭福岡店
議 題
(1)城南支部総会について
(2)平成10年度決算と事業についての反省
(3)平成11年度予算と事業計画について
(4)代議員の選出
(5)その他


〜城南支部総会〜

日 時 平成11年5月8日(土)19時
場 所 ホテル日航福岡
出席者19名
委任状16名

 平成11年度城南支部総会、並びに懇親会がホテル日航福岡で開催された。総会には御来賓として藤原会長に出席して頂いた。松島支部長が挨拶で「今年度も前向きな支部活動を心掛けたい。かかりつけ薬局の構築・育成のためには個々の薬局の協力が必要」と述べられた。

 中山議長(占部薬局)により議事が進行され、報告事項及び議案など審議され、賛成可決された。



 総会終了後は、別室で懇親会が行われた。

 懇親会には、御来賓として南部城南保健所長、大江市議会議員、武藤県議会議員に出席して頂いた。豪華な会場と料理とで優雅な懇親会であった。




〜第2回城南区三師会ゴルフコンペ〜

日 時 平成11年5月23日(日)
場 所 セブンミリオンカントリークラブ

 昨年から始まった城南区三師会ゴルフコンペが、今年は、歯科医師会の当番で開催されました。

 天候は雨で、コンディションは最悪にもかかわらず、ハイスコア続出の中、今年も歯科医師会の先生が優勝されました。

(広報:森山健次郎)

 

〔南〕

〜第22回定期総会〜

日 時 平成11年6月12日(土)17時
場 所 「清水苑」

総会式次第  司会 専務 井上嘉明

1.開会のことば  副支部長 吉田邦夫
2.支部長挨拶   支部長  末田順子
3.議事      専務   井上嘉明
  報告第1号 平成10年度 支部運営事業報告
  報告第2号 平成11年度 市薬代議員会報告
  議案第1号 平成10年度 決算承認の件
        監査報告
  議案第2号 平成11年度 事業計画の件
4.閉会のことば

懇親会 18時

1.開会のことば
2.来賓紹介
  福岡市南区    区 長 永松 正彦
  南 保 健 所  所 長 横田  清
  南 警 察 署  署 長 荒牧 靖夫
  南区医師会    副会長 宮崎  忠
  南区歯科医師会  会 長 山本俊三郎
  福岡県薬剤節会  会 長 宮崎 和人
  福岡市薬剤師会  副会長 合澤 英夫
  衆議院議員山崎拓事務所 秘 書 西村 俊隆
  県議会議員    古賀順一郎
  市議会議員    国分 徳彦
3.乾杯
4.懇談
5.閉会のことば


報告第1号 平成10年度会務並びに事業報告

1.一般会務報告

 1) 会員数
    平成10年3月末現在 88名(A会員)
    平成11年3月末現在 95名(A会員)

   部会数 五部会

   部会長
    長住部会  山口 淑子
    高宮部会  柴山 正典
    野間部会  岩佐周一郎
    大橋部会  城戸加寿子
    井尻部会  角野 健身

   平成10年新入会員者
    井尻部会 ニック薬局     吉川 正男
    大橋部会 くれよん薬局    二本木道則
         アガペ 日赤通り店 藤木 一行
         のため薬局     山本 朋子
         大賀薬局老司店   大賀 研一
    野間部会 屋形原調剤薬局   白木 信宏
    長住部会 や の 薬 局   矢野 太郎

   役員紹介
    会 長  東田 順子
    会 計  具嶋 圭次
    副会長  吉田 邦夫
    鑑 査  木村 英樹
    専 務  井上 嘉明


委員会報告

 組織委員会          松浦 秀紀
  H10.10/18 ソフトボール大会
     11/8 三師会ソフトボール大会
     12/23 第1回 順子カップ
  H11.2/7 ボウリング大会

 薬局委員会          東  千鶴
  H10.9/23 薬草観察予備調査
     10/4 南区薬草観察会
     10/7 南区健康フェア
     10/18 NPOフェア参加

 社保、分推委員会       荒木みどり 菅 道文

 医薬研究会「みなみ」 (国立南福岡病院)
  H10.5/11 最近の結核について     池田
     6/8 小児における気管支炎、肺炎 加野
     7/13 大人の気管支炎、肺炎    岩永
     9/14 吸入療法について      西間
     10/12 アレルギー用薬      小田嶋
     11/9 院内投薬における服薬指導  村田
     12/14 南福岡病院調剤基本     中島
  H11.1/11 咳・喘息          広瀬
     2/8 夜間睡眠障害        中野
     3/8 ウイルスと治療薬      岡田

 在宅委員会          熊沢 正浩
  H10.4/30 在宅医療福祉委員会 アミカス
     5/18 在宅医療福祉委員会 アミカス
     7/27 在宅医療福祉委員会 アミカス
     在宅介護支援センターへの相談協力員
     街角相談薬局としての機能
     ケアマネジャーへの取り組み
     9/28 在宅医療福祉委員会:ケアマネジャーテスト研修会
     11/16 在宅医療福祉委員会
  H11.1/18 在宅医療福祉委員会
     3/15 在宅医療福祉委員会

 商区健康づくり会議
  公民館にて 地域薬剤師で対応
  H10.5/27 塩原(末田、東)
     5/29 花畑(熊沢、毛利)

 三師会理事会
  H10.5/19 末田、吉田、・井上

 三師会懇談会
  H11.2/13 タカクラホテル  担当 歯科医師会

 商区薬剤師会21回定例総会
  H10.6/13


事業計画

1.支部ならびに部会活動の活性化

2.医薬分業の推進、支援
 ○広域病院の院外処方せん発行への働きかけ
 ・日赤病院
 ・九州中央病院
 ・九州ガンセンター
 ○三師会、保健所、福祉との連携強化
 ○地域住民団体との積極的交流
 ○在宅医療供給業務の推進
 ○公的介護保険への対応
 ○デッドストック情報の強化
 ○かかりつけ薬局の推進

平成11年度 役員紹介
 会 長  未田 順子
 副会長  吉田 邦夫
 専 務  井上 嘉明
 会 計  具嶋 圭次
 監 査  木村 英樹
 委 員
     薬局委員  東  千鶴
     組織委員  松浦 秀紀
     社保委員  荒木みどり
     分推委員  菅  道文
     在宅委員  熊沢 正浩
     広報委員  戸田 昭洋
 部会長
     長住部会  山口 淑子
     高宮部会  柴山 正典
     野間部会  岩佐周一郎
     大橋部会  城戸加寿子
     井尻部会  角野 健身
 県薬代議員
     吉田邦夫・井上嘉明・大庭秀臣・戸田昭洋・中島英之 (岩佐周一郎)

 市薬代議員
     末田順子・吉田邦夫・井上嘉明・大庭秀臣・山口淑子
     東 千鶴・柴山正典・岩佐周一郎・菅 遺文


福岡市薬剤師会南支部総会出席者名簿 平成11年6月12日

長住部会
 部会長 山口貴巳男(長丘薬局)
     木村 英樹(きむら薬局)
     熊沢 正浩(花畑薬局)
     深見 俊彦(ふかみ薬局)
     山本 陽一(ひろき調剤薬局花畑店)
     藤野  強(裕生堂薬局花畑店)
     江口真理子(槍原薬局)
高宮部会
 部会長 柴山 正典(平和調剤薬局)
     女賀 信子(メガ調剤薬局)
     日高 雅紀(太陽薬局ピア高宮)
     坂口久美子(薬局ヘルシー高宮)
     内山 ゆき(薬局漢方大桶)
     荒木みどり(アガペ日赤通り店)
野間部会
 部会長 岩佐周一郎(壮健薬局)
     吉田 邦夫(福岡調剤薬局)
     松浦 秀紀(ながお調剤薬局)
     中島 英之(太陽薬局屋形原店)
     戸田 昭洋(上人橋薬局)
大橋部会
 部会長 城戸加寿子(ライト薬局)
     大庭 琴臣(大庭薬局)
     井上 嘉明(井上調剤薬局)
     具島 圭次(蛭子屋薬局)
     末田 順子(スエタ薬局)
     孝富士由美子(スエタ調剤薬局)
     東  千鶴(塩原薬局)
     松本千賀子(大橋中央薬局)
     延谷美代子(大橋調剤薬局)
     中村 純一(ライト薬局)
     佐野 彰夫(佐野調剤薬局)
     毛利久美子(のばら薬局)
井尻部会
 部会長 松田美佐子(サンメディコ薬局)
     松本 泰郎(的場コクミン薬局)
     児島 拓也(大賀薬局老司店)
     有田 俊雄(有田薬局)
     川畑健次郎(けやごう調剤薬局)

                  以上35名

第22回南支部定期総会、並びに懇親会が清水苑で開催された。
総会は、議長の大庭先生の議事進行によりとどこおりなく終えた。
引き続き、多くの御来賓を迎えての懇親会が行われた。
今回初めて南警察署の荒牧署長に出席して頂いた。

(支部長:末田順子)

【支部訪問】おじゃましま〜す!

東区編「在宅療養高齢患者のADLに及ぼす薬剤の影響調査と
その調査結果の活用に関する研究事業」を終えて
〜モデル事業を新たな出発点として〜
福岡市東区薬剤師会 会長 伊東美穂

今まで思ってもみなかった出来事が次々と起こり、世の中は大きく変化しています。その中で今だかつて世界が経験した事すらない高齢社会を日本は迎えようとしています。標記の事業もそうした事情の中で始められました。当の高齢者の方々は、施設での生活より住み慣れた自宅で安心して暮らす事を願っています。

特に医療の面においては入院より在宅でのケアを望まれており1、在宅医療に取り組んでいる薬剤師には大きな期待が寄せられています。

全国老人クラブ連合会の調査では、服薬している高齢者の半分近くは、「薬が余る」とアンケートで答えておられます。今回のモデル事業に率いても、薬剤師は高齢者の方々に適切な服薬指導を行い、良質なわかりやすい医療を在宅で提供できました。

この事により地域の中で医師・歯科医師・保健婦・看護婦・ホームヘルパー等々に薬剤師が信頼されチームの一員として欠くことの出来ない存在であり、連携していく事がベターであると認識されました。この事は今回のモデル事業における大変大きな成果と思われます。

短かい期間のモデル事業のなか、はじめて在宅医療に取り組む薬剤師は時間に追われながらも、オーダーメイドの対応を心がけ積極的に行動しました。患者さんからは「説明がよくわかり安心して薬を服用できるようになりました」と、おほめの言葉をいただきました。

今回のモデル事業のテーマのデータを出すには時間が足りませんでしたが、医師の指示通りの服薬が出来る事により、薬効が副作 用等を大きく上まわるという結果がみられました。薬をキチンと正しく服用するという事の大切さを、あらためて勉強いたしました。

また「患家から、又患者さんの日常生活の中から、薬局内の業務を見直す事ができた」という薬剤師の感想がありました。在宅医療の中から新たな視点を得た薬剤師は、患者さんのADL・QOLの向上のために有効な仕事が出来たという手応えを感じました。

このような成果をあげたモデル事業を行うにあたりまして、福岡市東区医師会・福岡市歯科医師会東支部・福岡市東保健所・東区在宅ケアホットライン・訪問看護ステーション東等より強力なバックアップを得ました。

特に東区医師会は、今回のモデル事業のテーマは薬剤の副作用調査の意味合いが強いとの見解でしたが、今後地域医療ネットワークの構築には三師会における協力は不可欠であるとの観点から御協力いただきました。

医師会のモデル事業協力決定は、Eメール・FAX・会報等により全会員に通知されましたので、この事業がスムーズに運び、大きな推進力になりました。また、東区保健所は行政の立場から、的確な助言・・協力が得られました。各位には、心より感謝申し上げます。

臨床に不慣れな薬剤師が、このモデル事業により在宅医療への参加の手がかりを得ました。これを出発点として薬剤師の専門性を活かし、高齢者の在宅医療と共に次なる介護保険にも貢献できるよう研錆を積み、各機関と連携を深めていきます。

今後とも御指導・御鞭接の程、宜しくお額い申し上げます。

 

モデル事業に参加してを新たな出発点として
〜失礼かもしれませんが“かわいい!”と〜
大賀薬局 香椎店 栗田美穂

最初は、知識も経験も浅い未熟者の私が、医師や介護者の方や保健婦さんに受け入れてもらえるのだろうかととても不安でした。でも、おばあちゃん(患者)にお会いして、手を握ってお話して、失礼かもしれませんが“かわいい”と思いました。最善の医療を受けてほしい、自分にできることを精一杯やってみようーと。介護者の方や保健婦さんにも薬について色々な質問をしていただけて、うれし かったです。

また、実際に患者さん宅に伺って感じたことは、薬というのは、その人を取り巻く介護システムの一部に過ぎないこと、同じ薬でも一人一人の生活リズムに合わせて服用方法もだいぶ違ってくるということです。頭の中では分かっていたのに、今までは処方せんで出される薬を中心に患者さんのことを考えていた様な気がします。

これからは、介護システムや生活リズムをよく把握して、それに関わる人達との信頼関係の中に入って行けるように知識も深め、薬剤師としてのプライドとサービス精神を忘れないようにしたいです。

 

モデル事業を通してハート薬局 竹野将行

モデル事業参加を決め、間もなくして、伊東会長から訪問看護ステーションを通じ患者さんを紹介していただきました。ちょうど主治医が変わっていたこともあり、詳しい症状等を得ることができず、脳梗塞,75歳,女性という断片的な事だけを聞き、患者宅をステーションの方と訪問しました。

御主人との2人暮らしで、家の中では手すりにつかまりながらではありましたが、1人 で歩くことができるようでした。言葉もゆっくりではありますが、十分理解することができ安心したことを憶えています。

患者さんの院外処方への最大の不安は主治医に院外処方を書かせる手間によって、主治医が薬を処方してくれなくなるのではということでした。このことはT病院の薬局長の同意を得ていることなので心配ありませんとモデル事業への協力を得ることができました。

処方内容で問題となったのはセデスGの服用についてでした。(1.0g/28回)。ひどい頭痛の為、過去に4〜5g/day服用することもあったそうです。主治医は変わったばかりでしたので、とりあえず同処方ということでしたが、この処方には医師も私自身も液量するという意見で一致しました。

しかし、数度の勉強会の中で“副作用の発現よりも、患者さん自身のQOLを考えて、そのままの処方でも良いのではないか”という意見もありました。患者さんにセデスGの事を話すと、以前は28包では足りないと言っておられたのに、1gを2〜3回に分けて服用するように なり、セデスGが余ってくるようになりました。以前はセデスGに頼り過ぎていたのではないかと考えています。

モデル事業を通して、患者さん宅へ訪問し、服薬指導することは薬剤師としての仕事の中で大変意味のあることだと感じました。今回の事業で培われた、医師会、歯科医師会、訪問看護ステーション、保健婦との連携をより強いものとして、これからの薬剤師の発展を願っています。

 

やろうと思えばできることナカノ薬局 中野達也

「高齢者のADLに及ぼす薬剤の影響調査とその調査結果の活用に関する研究事業」に参加して、私の感じたことを文章にしてくれということでうまくは書けませんが、読まれた方が「それなら自分も訪問服薬指導をやってみよう」と思って頂けたらとペンをとりました。

私が受けもった患者さんは、70才,男性,1人暮らしの方で保健婦さんより簡単な現在の状況をもらい、主治医より患者情報を頂いて訪問をはじめました。

事前の心配事はこんなモデル事業の一環として訪問させて頂くのだから失敗できないというプレッシャーのなかで3つほどありました。まず、1つ目は、まだ一度もお会いしたこともない方に抵抗感なく受け入れてもらえるかでした。

店頭でお会いしている方だったら自分で感じるものがありますがお会いしてない方はどんな方なんだろうと不安です。しかし初めの訪問時は、いつも行き慣れて患者さんとコミュニケーションができている保健婦さんに同行して頂き、患者さんに紹介して下さったおかげでなんなく受け入れてもらえました。

2つ目は今までチーム医療の方々と交流をもったことがなかったのでどのような職種、職能をもった方々がその患者さんのまわりにおられるか分からず、お互いの職域を侵さずチームの一員として皆さんに認識してもらえるにはどうしたらよいだろうかということです。

最初は保健婦さんと同行していただき訪問を重ねて行くことで訪問看護婦、公的ヘルパー、私的ヘルパー、ボランティアの方々と顔みしりになり患者さんの状態経歴を聞くことで親しくなり、性格、行動パターン、好み等聞かせて頂きました。それによって患者の背景がかなりはっきりしてきました。

3つめは、主治医に私が訪問することで診療上、活用して頂くことができる情報をフィードバックできるかでした。この件は、はっきりした言葉では頂いてませんが少しは役立っているのではないかと思います。それは新規に訪問に行ってくれないかとの申し出があるので、こちらがかってに判断しています。

これからもわかるように訪問服薬指導は特別なものではないと思います。薬剤師ならどなたでもやろうと思えばできることです。

件数が多くなればなるほど一般の方にも薬剤師が地域に貢献しているというアピールの1つになると思います。機会があればぜひやってみて下さい。

 

 

「高齢者のADLに及ぼす薬剤の影響調査とその調査結果の
活用に関する研究事業」報告会

式 次 第   司会 中野達也

1.開会の挨拶  東区薬剤師会会長       伊東美穂
1.来賓挨拶   東区医師会会長        松本守立
        歯科医師会東支部支部長    原口修
        東 保 健 所 所 長    押領司文健
        東区役所高齢保健福祉課課長  冨永彰三
        訪問看護ステーション東管理者 林業倫子
        福岡市薬剤師会会長      藤原良春
1.乾 杯    東区医師会専務理事      宮近信彦
1.懇親会
1.閉会の挨拶  東区薬剤師会副会長      伊藤一郎

はじめは少々張り詰めていた空気も、前向きで楽しい会話と美味しいワインのお陰で、とても和やかな会となりました。今からの東区の更なる発展を予感させ、伊東支部長がちょっぴり眩しい一時でした(K)

文芸

連載小説

扁鵲(へんじゃく)(2)

− 孫ビン(そんびん) −

紀元前342年、戦国時代はいよいよ複雑に策略が横行し混迷を深めていく。

孫ビンを見て、初め威王(いおう)は嫌悪感を抱いた。将軍である田忌(でんき)が推挙した人物である。それがこのように醜い姿をしているとは今の今まで知らなかった。籠の上に座った人物の額には、醜い入墨があった。

「ビンとは足切りの刑のことではないか」

「その通りでございます。鼻削ぎ・耳削ぎ・足切り・入墨・腐刑とありますが、孫ビン殿は足切りと入墨で辱しめを受けております」

「そのようなものを推挙とは、どういうことか」

「私は以前、国賓として魏へまいったことがございます。その時たまたま孫ビン殿に会い、兵法などの話をいたしました。その知識は驚くほどです。いつか威王殿のお役に立つと思い屋敷を与えて推挙の時期を待っておりました。どうかよろしくお取り計らいを」

「ここに羽根を切られた鳥がいる」

威王が話し出したとき、田忌は嫌な気がした。

− また愚にもつかぬなぞかけか

「窓の外の木ノ実がとりたいがどうすれば良いか」

田忌がうんざりしていると、孫ビンが笑いながらいった。

「口がありますので、信頼できる部下に取りにやらせます」

「信頼できる部下かどうかどうして分かる」

「部下の動向を探ります」

「羽根がないのにどうやって探る」

「信頼の出来る部下に採らせます」

「堂々巡りだな」

威王は少しむっとしたが、

「稷下(しょくか)に屋敷を与えよう。田忌、それで良いか」

田忌はよく分からなかった。はぐらかされたような気がした。

推挙に失敗すれば将軍の職を離れようとまで思いつめていたのに、孫ビンの兵法の話も聞かず、稷下に屋敷の待遇。

なぞかけは何か意味があったのか。威王殿はむっとしていたようだが・・。考えるといよいよ分からなくなる。

孫ビンのあの容姿を考えてみると、すぐに稷下に屋敷を与えるなどの決断は、勇気のいることである。

田忌は威王の底知れない度量を垣間見たような気がした。

淳于コン(じゅんうこん)が威王を訪れた。

「2〜3日前孫ビン殿が稷下に越してこられました」

「様子はどうだ」

「足が悪いので籠に乗って挨拶まわりをしておられます」

「田忌より推挙があった」

「聞き及びますところによれば、孫ビン殿は『孫子』の兵法を著わした孫武の子孫だそうです。優秀な人材を獲得なされました」

「そうか」

「さて、ここに飛ばない鳥がいます」

淳于コンが唐突にいった。

「なぞかけか」

「その鳥は何年も飛びません。まわりの鳥はあの鳥は飛ばないのだと思っています。私もそう思っていたのですが、私には信頼できる部下がおりまして、いろいろな情報が入ってきます。その部下より飛ばない鳥の話をよく聞くのです。とても興味があります。飛ばない鳥は飛ぶための準備をしているのだというのです。おもしろいではありませんか」

「・・・」

「そろそろ時期がまいったのではないかと思いますが如何でしょう」

威王は淳于コンの目を鋭く見つめた。

「飛ばない鳥がひとたび飛び立てばどこまでも飛んでいくだろう。すでに準備はできあがっている。淳于コンよ、よくぞいった」

威王の顔は、いつになく晴れ晴れとしていた。

威王は全国の地方官に招集を命じた。

− 何事であろう

東の即墨(そくぼく)の長官は不安であった。ほとんど中央との接触がなく、唯々決められたことを毎年こなしてきただけであった。噂によれば側近のものに付け届けなどしておかなければ斉王への覚えが悪いという。

− こんなことなら年に何度か臨輜(りんし)へ足を運んでおけばよかった。後悔しても始まらない。開墾も終わりやっと豊作が続いているというのに、中央との接触がないばかりに残念だ。

− それに比べて阿の長官はどうだ。あんなに側近のものと親しくして、古巣に帰ってきたようではないか。二年前衛(えい)が薛陵(せつりょう)に攻め入ったときも、隣町でありながら阿の長官は何も情報を流さなかったというのに。阿の地方は開墾もされず、人々が貧困であえいでいる。それなのに中央への付け届けであのような自信の振舞い。

− 納得がいかない。せめてもう少し威王殿が政務に真剣に取り組んでおられたら、他国より攻められることもなかっただろうし、国政もこんなに乱れてはいなかっただろう即塁の長官はそんなことを考えながら、もし自分が裁かれるようなことがあっても、潔く受けようと思っていた。

− 動きだしたぞ

淳于コンは身震いが止まらない。威王の動きを知ったのはこの2〜3年のことである。稷下の長となって部下や友人、淳于コンを慕ってくる客などが多くなったが、その中から心を許せるものを選んで、地方や他国へ送り込み情報を得ていた。商人や官吏、農民や飯店など情報元は多彩だった。

その中に威王の命を受けて動いているというものに何人か会っている。

− やるな

淳于コンはそう思った。

− いずれお助けする時が来るだろう。その時は不器用な田忌殿と一心同体だ

「何を笑っておられる」

田忌が近寄ってきた。

「これは田忌殿、うれしいのです。この日を長い間待ち望んでいたのですから」

「今日のことは、私は何も知らされておりませんが…」

「私も知らされておりません。しかし分かるのです」

「何が分かるのです」

「これからなされることです」

「・・・ 」

「大変なことが起こりますぞ」

「まったく淳于コン殿は不思議なお人だ」

田忌はそれ以上は聞かなかった。

「それはそうと先日稜下に、孫ビン殿が越してこられたが、田忌殿は良い人材を見つけてこられたともっぱらの評判です」

「それは良かった。容姿があのようだから心配していたのです」

「大変な時代になりましたな」

「・・・」

「西の秦(しん)では変法を行なっているそうです。今は魏や趙が問題になっていますが、秦がこう力を持ってくるのは時間の問題でしょう。公孫鞅(こうそんおう)という男が強引に改革を行なっていますたいしが大した男です。太子が法を犯したとき傳(でん)(後見役)の公子虔(こうしけん)殿、師(教育薬)の公孫賈(こうそんか)殿が入墨・鼻削ぎの刑を受けています」

「そこまで・・」

「公孫鞅という男は残酷な男です。しかしあのような男がいなければ思い切った改革は出来ますまい。孫ビン殿の活躍の場もそう遠くはないと思いますよ」

− そうであれば良いが・・

田忌は口には出さなかった。

総勢七十名あまりが集まった。確認が終わると側近のものが威王へ合図した。

「威王である」

声は鋭く響き渡った。一瞬のうちに静寂が宮殿を包んだ。

「今日集まってもらったのは他でもない。皆の日頃よりの苦労に、感謝してのことである。即位して九年になるが、その間国の内外をよく調べさせてもらった。他国より占領されたところも多く、皆には苦労をかけたと思っている」

皆一様に背筋の凍る思いがした。ただ酒色に溺れ、愚にもつかぬなぞかけに明け暮れていたのではなかったのだ。

「そこでこれまで励んできたものには、それなりに褒美をとらせようと思う。不満のものもあろうが朕の気持ちである。さらに人事に関しては今回大幅に変更の予定である。呼ばれたものは前に進み出よ」

威王はそこまでいって座った。側近のものが竹筒を持ち出して、うやうやしく威王へ拝礼していった。

「阿の長官、前へ出よ」

− やはり付け届けをしておかなければならなかった

即塁の長官は努力が報われていないことが残念だった。

「阿の長官であるか」

威王がいった。

「はっ」

「そちの話は側近のものからいろいろと聞かされている。品行方正で民よりの信頼も厚いと聞いている。特に指導力に優れており、民のためであったら私財をなげうっても救いの手を差し伸べているという」

威王は長官を見据えて続けた。

「しかしながら一方、阿の地方では開墾がなされておらず民は貧困で苦しんでいるということも聞いておる。どちらが本当のことか」

「昨年も豊作でございます」

「阿の長官は冷酷で、ない米をむしり取り、逆らうものはむちで打つ。民の多くが飢えでなくなっていると聞いている。」

「・・・」

「政務には気を使わず、私利私欲をはかり、衛が隣町の薛陵に攻め入ったときも、何も知らなかったというではないか。そのようなことで、長官が勤まると思うか」

一同は震えあがった。

「刑は烹殺(ほうさつ)である。引っ立てよ」

烹殺というのは煮殺すことである。

「また阿の長官より賄賂を受け取っていたものも調べはついておる」

長官と二人がその場から連れていかれた。

何が起こったのか分からない。しばらくざわめきが静まらなかった。

− 始まったか。威王殿見事です

淳于コンの心は踊っていた。

− このことか。淳于コン殿がいっていた大変なことというのは。それにしても、威王殿はいつの間にこれほどのお調べを

田忌も喜びが込み上げてくるのを抑えることが出来ない。

「即墨の長官、前へ出よ」

再び空気が凍りついた。即墨の長官は震えが止まらない。威王の前にたどり着き、拝礼しても恐ろしさが先に立った。

「即墨の長官であるか」

「はい」

「東の半島であったな。長旅さぞかし疲れたであろう。側近のものから話を聞いたことはないが、即墨はいまどのようであるか」

「はい。やっと開墾もすみまして昨年は豊作でございました」

「うむ」

「ようやくうるおってまいりました」

そこまでいうのが精一杯だった。

「よく頑張ってくれた。一万石を与える」

「はっ」

即墨の長官は報われた気がした。深々と拝礼すると急に涙が出てきた。

こうして次々に明暗が分かれた。一日にして運命が分かれた。

「今後とも朕のために頑張ってもらいたい」

最後に威王がいった。

「まず九年の間に攻め入られた失地をすべて回復する。そして二度と攻め入られないように万全を期すつもりだ」

威王は約束通りその年のうちに占領された全ての失地を取り戻した。その後威王の時代には他国が攻め入ることはなかった。

夕暮れていた。

子豹は田忌の屋敷の前まで来たとき、ただならぬ気配を感じた。

人気のない場所である。

一人の男を三人の男が追っている。男は追いつかれて切られた。

「無念だ」

男の口から洩れたのを、子豹は聞き逃さなかった。

「待て」

男の剣を払って子豹がいった。

「三人で一人の男とは卑怯であろう」

「問答無用」

二人の男が切りかかった。それより早く子豹の剣が空を舞った。

剣を鞘へ納めたとき、二人の男が倒れた。

「やるか」

子豹は三人目の男に目をやった。男はちっと吐き捨てるようにいって走り去った。

「如何いたした」

子豹が男を抱き起こした。

「私は韓(かん)のものです。国相の申不害(しんふがい)殿より田忌殿への書状でございます」

男はそういって懐から牘(とく)(木簡)を取り出した。

「どなたか知りませんが、これを田忌殿へ」

「しっかりいたせ。田忌殿の屋敷は目の前でござる」

そのまま男は意識を失った。

田忌は書状を読むとすぐに、子豹をともなって宮殿へ登った。淳于コンと孫ビンがすでに威王と話し込んでいた。

「ちょうど良かった。呼びにやるところであった」

威王が田忌を見ていった。

「韓より書状が何度も来ている。どうやら魏と趙が韓を攻めているらしい」

「私にも書状がまいりました。持ってまいったものは賊に襲われました。恐らく魏の追手ではないでしょうか」

「将軍ホウケンの差し金でしょう」

孫畦が吐き捨てるようにいった。

「いつものやり口です」

「すぐに救援をさしむけましょう」

田忌が威王へ促すようにいった。

「そのつもりだが、」

威王は孫ビンにいった。

「将軍になって、軍を仕切ってはもらえまいか」

「私がですか。私はこのように刑を受けたものでございます。そのようなものが将軍では軍の士気に関わります。どうか私に輜車(ししゃ)(幌のついた馬車)を戴けないでしょうか。田忌将軍の参謀として参戦したいと思います」

「よくいってくれた。田忌も心強かろう」

「はい。孫ビン殿に軍師になってもらえばこれほど心強いことはありません」

「私はホウケンが許せないのです」

孫ビンは恨みを込めてぽっりといった。

「ホウケンと私は同門なのです。それなのにホウケンは策略をもって私を罪に落とし、このような入墨と足切りの刑を受けさせたのです。兵法を学んだとはいえ、このようなやり様は人として許すわけにはまいりません。その後私はたまたま田忌殿とお会いでき、斉へ逃れることが出来たのです。そのまま魏へ留まっていたら殺されていたに違いありません。切り捨てられた足が痛む度に、はらわたが煮えくりかえる思いなのです。それはさておき、韓よりの救援の依頼ですが考えがございます」

「うむ」

「魏へ兵を進めましょう。ホウケンは必ず兵を返すでしょう。そこを馬陵(ばりょう)で待ち伏せするのです。馬陵は道の両側が切り立っており、待ち伏せには持ってこいの地形なのです」

「そんなにうまくゆくかな」

「ホウケンの考えは知り尽くしております。策がございます」

「分かった。すぐに兵を集めよ」

十万の兵が馬陵へ向かった。

斉軍と魏軍は馬陵でにらみ合った。

− 今夜あたり奇襲をかけるか

ホウケンは考えていた。

− こんなことなら孫ビンを殺しておけば良かった。同門のよしみで命だけは助けたが、後悔先にたたずか。思い切って殺しておくべきであった。足を切られて、ここまでやるとは思わなかった。しかし、いかに優れた兵法でも、兵に逃げられては勝ち目はなかろう。こんどこそ息の根を止めてやる

「今夜奇襲をかける」

ホウケンは一同へいった。

「今夜ですか」

「そうだ。敵は長期戦を考えている。あのようにかまどを作って食事の用意をしている。煙が方々で立ち上って、いかにも長期戦の構えだ。奇襲は考えておるまい」

「しかしこれだけの兵が動けば分かります」

「確かにそうだ。敵もそう考えておろう」

「七万の兵です」

「うむ。だから動きの鈍い歩兵は残していこう。馬車のみで踏み込み混乱に乗じるのだ。こちらの動きが早ければ、気づかれる前に壊滅させることが出来る」

「大丈夫でしょうか」

「あの煙が見えるか」

「・・・・」

「数が減っていると思わないか」

「そういえば」

「初めの日よりすでに半減している」

「確かに」

「脱走兵が多いのだ。敵はすでに戦意を失っている」

これは孫ビンの作戦だった。最初の日は十万のかまどを炊き、次の日は五万に減らし、次の日は三万に減らす。このようにして敵の目を眩ませるのだ。これを「増兵減竃の計」という。

魏の兵は静かに、そして素早く闇に紛れて馬陵へ達した。

− ここを抜けたら一挙に攻め込もう

ホウケンは慎重に、そして大胆に考えていた。

「何か書いてあります」

先導のものがいった。

「何事か」

「この幹に何か書かれております」

見ると、一本の木の幹が削られており、そこに何やら書かれている。

「よく見えぬ。火をつけよ」

「敵に悟られます」

「かまわぬ。敵は近い。一挙に攻める」

松明に火がともった。

− ホウケンはここで死ぬ

と書かれていた。

− 謀られたか

ホウケンが気づいたときには遅かった。

火を合図に上から矢が次々に降り注いだ。

切り立った崖の上に、点々と松明がともり、石が投げ込まれた。先程までの静寂と闇が嘘のようだった。逃げ惑うだけの魏軍の姿が、燃え盛る火に映し出された。馬のいななきと魏軍の叫びで馬陵はたちまち騒然となった。

こうして混乱した魏軍はあっけなく敗退した。

「孫ビンにしてやられた。やはり殺しておくべきであった」

ホウケンはそのまま無念のうちに自害した。

「やりましたね」

田忌は孫ビンへいった。

「ホウケンは策を廻らし、策に溺れたのです」

つづく

(上村義徳)

 

 

<市薬薬局のコーナー>

会員の移動

会 務 日 誌

4月22日 処方説明会          19:00
  24日 第43回通常代議員会及び総会  16:30
  26日 学薬理事会          19:30
  27日 急患委員会          19:30
  28日 広報委員会          19:30
     薬局委員会          19:30
5月7日 社保分推垂員会        19:30
     学薬研修会          19:30
     かかりつけ薬局流通部会    19:30
  10日 三役会            19:30
  11日 社保・分推社会保険研修会   19:00
  12日 市薬薬局委員会        19:00
  13日 代議員会議事打合せ会     19:30
  14日 在宅医療委員会        19:30
  18日 薬物療法研究会        19:00
  19日 第316回理事会         19:30
  21日 組織委員会          19:30
  24日 女子薬剤師会         19:00
  25日 支部長会           19:30
     在宅医療委員会        19:00
  26日 薬局委員会          19:30
     処方説明会          19:00
  28日 福岡医療圏協議会       19:30
  29日 薬局委員会          16:00
6月7日 広報委員会          19:30
  8日 監査会            18:30
  9日 支部長会           19:30

新企画

会長へちょっとインタビュー広報 上村義徳

広報
 日薬の「グランドデザイン」がありますが、まず薬局の将来像をお聞かせ願いたいと思います。

会長
 日薬の「グランドデザイン」では処方せん応需に必要な薬局数は2万軒だと試算しています。すでに請求薬局数は3万2千軒を超えております。それでは1万2千軒は切り捨てられるのかということですが、わたしはそうは思いません。地域密着型であれば生き残れると思います。

広報
 難しい時代になってきました。方向性としてはどのようになるでしょう。

会長
 現在ものすごい速さで高齢社会に向かっています。地域差もあるでしょうから目薬の物差しをそのまま福岡市薬に持ってくるのもどうかと思います。ただ薬局としては今後医療の中に組み込まれていかなければ経営は成り立たないと思います。そういった点で、OTC・調剤薬局というような垣根を取り払い「かかりつけ薬局」ということで考えていかなければならないと思うわけです。

広報
 『かかりつけ薬局』ということが、市薬の重要な事業計画の一つになっています。具体的にステッカーを作ったり、市薬に垂れ幕を作ったりとアピールをしておりますが、アピールはある程度成功していると思います。しかし『かかりつけ薬局』という言葉自体分かり難いのですが、具体的に我々がしなければならないことはどのようなことでしょう。

会長
 我々のしなければならないことは、医療・保健・福祉の三つに尽きると思います。医療の中に在宅も含まれます。保健は市民へ向けての健康教育、薬の正しい使い方等ですが、医師会は糖尿病・腎臓病など組織だって市民への教育を行なっています。

 老人クラブから昨年は市薬に単発的に講演依頼がありましたが、そういったものを行政とタイアップして行なっていく必要があります。また薬草観察会などもこの分野に入ります。三つ目の福祉に介護保険が入るわけです。

広報
 公民館活動についてですが、これは薬剤師の職能のアピールという点で非常に大切なことだと考えています。講演依頼は今後増えてくるのではないかと思います。会員としては時間的な制約もありますがなるべく多くの方に行なっていただきたいと思う訳です。将来的に何らかのビジョンを考えておいででしょうか。

会長
 まず人材の確保が大変です。公民館の講演の場合昼ですので会員の先生方は大変なご苦労をされています。南区などは別に支部で予算をとっているようですが、そのような努力が必要かも知れません。そして組織だった展開を考えていくべきだと思います。

広報
 在宅介護の問題ですが、福岡市では審査委員会のメンバーに15名が入ることになりましたが。

会長
 平成6年以降、博多区・南区・東区が参加した在宅医療のモデル事業、あるいは介護保険認定モデル事業に委員として、また、オブザーバーとして参加された支部の先生方のご努力、更にそれを後押しした市薬の役員の先生方のご努力が行政に認められたからだと思います。ただこれも今後は人材の問題ががらみます。

 ケアマネジャーなどはまったく新しい職種ですし、調剤を離れてやらなければ務まりません。経済的にどうかということを考えなければなりません。認定審査委員についても時間的制約は大変なものがあります。

広報
 在宅といえば各区でホットラインを主にしたような医師・歯科医師・薬剤師・看護ステーション等の会議がなされているようですが。

会長
 先日在宅介護支援サービス運営会議がありました。各区で行われている事例検討会がありますが、薬剤師がどのように係わっているかは区によって温度差があります。私はこの事例検討会を各区の行政の中に正式に位置づけしてくれるように依頼しました。

 そして一般の薬局まで参加が出来るように考えています。まず必要なことは、薬局の顔が見えなければだめだということです。さらに介護相談の看板など作成しましたが、今後相談機能の位置づけも行政の中にしていかなければならないと思います。

広報
 薬物乱用についても薬剤師は深く係わっております。各区の健康フェアでも啓発を行なっていますし、行政のキャンペーンに参加しておりますがどのように考えておられるでしょう。

会長
 薬剤師の社会的責務として薬物乱用については学校薬剤師であるなしにかかわらず取り組まなければならない問題だと考えています。薬剤師の仕事は水ぎわでの防止活動です。それからもれた者つまり乱用者をどうするかは、政治・行政の問題ですが、治療の場が非常に少いということに対して薬剤師側からの発言も必要です。

 現在ではごく一部の病院、ボランティア活動のダルクだけで対応しているのが現状です。これもまた人材の問題がありますが、そういった点では「ジャーナル」の役目というのは会員のみならず、対外的にも啓発ということで頑張っていただきたいと思っています。

広報
今日は風邪気味のところを押して、インタビューにお答え頂き有り難うございました。良かったらまた機会を捉えてこのようなインタビューを試みたいと思っております。今日は有り難うございました。

今後、市薬の方向性を知るためにも、アトランダムに会長へ直撃インタビューをやってみたいと思っています。会長、その折はどうぞ御協力を!(K)

[編集後記]

〜子ども育成事業と会議〜

学校薬剤師として小学校に足を運ぶ回数が増えたことがきっかけで校長室に入り、いつの間にかPTA副会長を受け、2カ月が過ぎた。PTA役員とは、学校に出向き在校児童のことを考え話し合って会を運営していくものとばかり思い、役を受けたのだが、自治会、市P連と学校外で活動することが多いのにびっくり、特に子どもを自治連合会としてどう育成していくかという会議、しょっ中夜話し合われるのである。子どもとの会話を持つべき大切な時間帯に、話を聞いてやるべきお母さん達が夜会議に時間をうばわれている。これでいいのか!私にはようわからん。

(津田和敏)

 

〜平等・博愛・奉仕〜

介護保険が動き出した。今後日本の高齢者社会に向けて、社会全体で高齢者を支えようという姿勢は支持できる。しかし、介護保険制度をよく見れば、その制度が適用されるのは、日本人であることが必須条件になっている。つまり、在日外国人には適用されない。

国民健康保険は留学生にも門戸を開いているし、日本社会に於いて就職した在日外国人には等しく社会保険が適用される。日本に居住する限り一定の保険料(税)を支払えば、被保険者になれるのに、本当に介護が必要になった時には、その適用外になるというのはどういうことなのだろうか?かつてクリミア戦争に倒れた敵兵に対しても、傷病者に敵味方はないとして等しく看護したナイチンゲールの精神は平等・博愛・奉仕。介護保険に流れる精神は不平等・非博愛・不奉仕なのか?

(鮫島千織)

 

〜 重積副作用 〜

代議員会・総会が終わり、何となく一段落という感じがする。要介護認定審査は実質的に今年の10月に動きだす。推薦された審査会の委員も少しずつ忙しくなってくる。また支部の薬草観察会も準備段階に入っている。「健康まつり」も行政との話が始まり、更に福大病院の薬剤部による勉強会も始まった。

在宅委員会、薬局委員会、社保・分推委員会が忙しくなってくる。各委員会が忙しいと広報委員会も忙しくなる。広報委員会はいつまでも忙しい方が良い。今回の澤田先生の『「処方」作りとチェックを支援します!』は勉強になった。ひとつの到達点を示していただいたようだ。

重積副作用という言葉も、はっきりと言葉にすることによって問題点が浮き彫りになった。そして色んな薬剤情報に関する問題を考慮しやすくなったように思う。

(上村義徳)

  

平成11年7月20日発行
福岡市中央区今泉1丁目1番1号
社団法人 福岡市薬剤師会 TEL 092-714-4416
FAX 092-714-4421
担当副会長 合 澤 英 夫
常務理事  北 島 啓 子
編集委員  石 井 雅 明
      伊 東 美 穂
      上 村 義 徳
      鮫 島 千 織
      津 田 和 敏
      戸 田 昭 洋
      森 山 健次郎
発行人   藤 原 良 春
発行部数  1、3 5 0 部
印刷所   (有)興英社印刷